新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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皆さん。

前回のお話で、辛うじてステラの救出に成功した我らがシン・アスカとキラ・ヤマト。

ですが、DG細胞に侵された亡者の軍勢は、数を増すばかり。

ミネルバ率いるザフト軍も、撤退行動を余儀なくされます。

そんな中、アークエンジェルと共に彼が現れたのです!!

それでは!

ガンダムファイト!!

レディィィィッ! ゴォォォオオオッ!!!

第46話



第46話 シュバルツ&マスター 対 DG細胞

 

漆黒の空に浮かぶ無数の機体。

 

 

 

空を見上げれば、あまりの数に目をそらしたくなる。

 

 

 

だが、地上を向いても地平線を覆うような無数のMSが存在する。

 

 

 

「……まずいわね。このままでは、防衛網どころか…!!」

 

 

 

タリア艦長が言うように、一般兵にも既に無視できない程の被害が出始めている。

 

いや、既に彼らの精神は破綻寸前だ。

 

通常極度の緊張感と集中力を保っていられるのは、30分程度だと言う。

 

数の不利に加えて地の利すら既に無いに等しい今の状況では、緊張や集中力を絶やせば簡単に撃破されるだろう。

 

それが、2時間を過ぎている。当然交代をして兵士達を休ませたい所だが、その暇さえ与えられない。

 

ルナマリアやレイも、明鏡止水の修行をしているからこそ辛うじて保っている。休ませたいところだが、彼らが交代すれば、あっと言う間に防衛網は突破されるだろう。

 

いや、既に交代要員の兵士達さえ、前線に投入されている。

 

「負けるわね、このままじゃーー。各艦に通達して! 防衛網が破られるのも時間の問題。今の状況では、全滅も考えられる。30分後、撤退行動に移します!!」

 

 

 

「了解! こちらミネルバ、ザフト全軍に通達!

 

30分後撤退行動に移す! これを視野に入れて行動せよ! 繰り返す!!」

 

 

 

メイリンがザフト全軍に通達を行う中、狂気の軍団は変わらずにこちらに向かってくる。

 

 

 

「防衛網が破られるのは時間の問題だけど、退路の確保を急がなければーー!!」

 

 

 

しかし、レーダーに映る機影の数は既にベルリンの街そのものを完全に取り囲んでいる。

 

 

 

「か、艦長!! どうすればーー!?」

 

 

 

「……絶望的ね。まさか倒せば倒すほどに数が増していくなんて。何て連中なの」

 

 

 

親指を噛みながら、タリアは必死に頭を回転させる。

 

 

 

退路の確保すら、難しい現状だった。

 

 

 

ミネルバのタンホイザーもルナマリアのオルトロスも、無数のデスアーミーを焼き尽くしはすれど、軍団に穴を開けることはできない。

 

 

 

( 戦略級の兵器で一方向だけでも穴を開けることができれば、そこから逃げられはするけれどーー。それができるとしたら、ユニウスセブンをも消したシュバルツ・ブルーダーのガンダムだけ。でも、今彼に助けを求めたら、敵のガンダム達や戦艦をフリーにしてしまう。どうすればいいーー!?)

 

 

 

その時だった。

 

 

 

「ーーミネルバよ、その場を動くな!!」

 

 

 

第三者からの通信がミネルバのブリッジに入ったのだ。

 

 

 

「艦長、南方の退避推薦ルートから、高エネルギー反応!!」

 

 

 

メイリンの報告が上がった直後、通信先の声が叫んだ。

 

 

 

「ーー流派、東方不敗が最終奥義ぃ!! 石破ぁあ!! 天ぇえん驚ょぉお拳ぇえええんっ!!!」

 

 

 

紫の驚の文字がミネルバのモニターの前に映し出されると、黄金の極太のビームが「驚」の文字を前方に押し出しながら放たれた。

 

 

 

全てを破壊する凶悪なまでの破壊力と圧倒的な黄金の光。

 

 

 

無数のデスアーミー達が、一気に消し飛び、包囲網に巨大な穴をぶち上げた。

 

 

 

「ーー艦長! 包囲網が破られました!! 退避ルート確保できます!!」

 

 

 

「ーー今のは、まさか」

 

 

 

ミネルバのモニターに現れたのは、赤い羽根を持つ巨大な角のガンダム。

 

 

 

「ーーマスターガンダム!? な、なんで!?」

 

 

 

アーサーが驚くのも無理は無い。あのガンダムは確かに地球連合のファントムペインに所属していた。

 

 

 

だが、タリアは冷静だ。

 

 

 

「ーーマスターガンダム、協力を感謝します」

 

 

 

「ーー艦長!?」

 

 

 

「考えてみなさい。今、連合に操られている彼女のことを」

 

 

 

そう、タリアには確信があった。

 

今、デストロイガンダムに乗せられている少女ーーステラは、マスターガンダムの弟子なのだ。

 

 

 

「話の分かるものがおるようだな。このような非道を流派東方不敗の拳士として許すわけにはいかん。貴様らの退避ルートは確保する!! その上でワシにどうして欲しいか、言うが良い!!」

 

 

 

「ーー感謝します。では、私達の退避が完了次第、シュバルツ殿の援護をお願いできますか?」

 

 

 

「安心するが良い、既にシュバルツの元には援軍を向けておる。それと、ミネルバよ。ワシの他にも、貴様らの援軍が来たようだぞ」

 

 

 

「ーーえ?」

 

 

 

マスターガンダムが顔を向けた先には、オーブのアスハ私軍とされる不沈艦ーーアークエンジェルが、奪われたカオスガンダムと一見フリーダムガンダムに見えるよう改造されたウィンダムやムラサメの連合・ザフト・オーブの混成MS部隊を展開していた。

 

 

 

「ーーオーブのアークエンジェル?」

 

 

 

「こちら、オーブ軍アスハ派アークエンジェル。ミネルバとザフトの皆さん、聞こえますか? これより、あなた方を支援いたします」

 

 

 

艶やかな女性の声とモニターに映る妙齢の美女。

 

 

 

「私は、アークエンジェル艦長マリュー・ラミアスです」

 

 

 

ブリッジが息を飲む中、アーサーが頬を赤く染めて見惚れている。

 

 

 

「貴艦の援護に感謝します。ですが、ラミアス艦長。既に我が方の防衛網は無いに等しい。このまま続けた所で無益に人が死ぬだけです。私達ザフトは、これより撤退行動に移ります。アークエンジェルにあっては私達と共に殿をつとめていただきたいのですがーー」

 

 

 

「そのつもりで、こちらに来ました」

 

 

 

艦長同士の会話にカオスガンダムのパイロット、スティング・オークレーが割り込んだ。

 

 

 

「話の際中悪いが、俺も参加させてもらって構わないか? あんた達にとって、俺は殺しても殺したりない奴かも知れない。それでも、こいつらだけは許せねえんだ!! 頼む!!」

 

 

 

「ーー僕も参加させてくれ! あんたらのアビスガンダムを盗んだ上に壊しちまった。虫のいいのは、わかってるけど!! それでもーー!!」

 

 

 

必死に頼み込む2人の少年パイロットに、タリアは告げた。

 

 

 

「あなた達が、どこの誰かは知りませんが。その機体はザフトのセカンドステージのMSに良く似ているだけの機体ですね」

 

 

 

「ーーえ? いや、俺たちは元ーー」

 

 

 

「別の機体ですね? はっきり言ってこんな問答をしていること自体無駄なことです。良く考えて答えなさい」

 

 

 

「ーーけど。それじゃあ、あんたが上に!」

 

 

 

まだ何かを言おうとするスティングにタリアは吠えつけた。

 

 

 

「今、この状況でカオスだのアビスだの言ってる場合じゃないことぐらい子どもでも分かるでしょう!? 手を貸すなら、さっさとしなさい!!」

 

 

 

「「ーーは、はい!!」」

 

 

 

思わず、スティングとアウルが気をつけの姿勢で答える。マリューはそんな2人に微笑むと、そのままタリアに告げた。

 

 

 

「ーー感謝します。ミネルバの艦長」

 

 

 

「タリア・グラディスです。援護をしてもらうのは我々の方。感謝するなら私達の方ですわ、ラミアス艦長」

 

 

 

微笑み合う美女艦長達に、周りのクルーが呆気に取られていた。

 

 

 

「艦長、よろしいのですか!?」

 

 

 

「ねえ、アーサー?」

 

 

 

「は、はい?」

 

 

 

「今、ここを乗り切らないとよろしいも何もないってことは、分かってるんでしょうね?」

 

 

 

「ーー申し訳ありませんでしたぁあ!!」

 

 

 

タリアの冷たい怒りを込めた視線に射抜かれ、アッサリと平伏すアーサー副長であった。

 

 

 

「わっははは! まこと、そのとおりだ!! スティング! アウル!! 話は後にせい、ワシがこの場を押さえる!!貴様らは、前線で交戦中の白と赤のボウズを手助けせい」

 

 

 

「誰が、ボウズよ!? 私は、女よ!!」

 

 

 

マスターガンダムの言葉に、ルナマリアが抗議の声を上げるも黙殺される。

 

 

 

「良いな? 我が弟子達よ」

 

 

 

「「はい、師匠!!」」

 

 

 

2人の少年が気を取り直し、笑顔で快諾する。

 

 

 

「ーーよろしく頼むぜ。スティング・オークレーだ」

 

 

 

「アウル・ニーダだ。よろしくな、ミネルバのパイロット」

 

 

 

マスターの指示で前線のザクに肩を並べるカオスガンダムとムラサメ。

 

 

 

「レイ・ザ・バレルだ。戦力は多い方がいい。悪いが宛てにさせてもらう」

 

 

 

「ルナマリア・ホークよ。アウルだっけ? アビスはどうしたのよ!? そんな機体で大丈夫なの!?」

 

 

 

ルナマリアの言葉にアウルはムラサメのビームサーベルを抜くと、言った。

 

 

 

「アビスの戦闘データは、こいつに引き継がれてる。やれるさ!!」

 

 

 

「宛てにしてくれて構わないぜ!! お前らは戦い過ぎだ。少し、休め!!」

 

 

 

言いながら、スティングとアウルが明鏡止水を使い、一気に機体の性能を向上させる。

 

 

 

カオスガンダムが、背部のビームポッドを射出し、複射で一気に上空のバーディタイプを落とし、地上ではアウルのムラサメがMS形態で倒されていた一般兵のザクからオルトロスを拾い上げると、先のルナマリアと同じようにビームを放って薙ぎ払う。

 

 

 

「すまん。よろしく頼む」

 

 

 

「助かるわ、本当にありがと」

 

 

 

機体を直立させたまま、気を回復させる両者にスティングがいいはなった。

 

 

 

「俺は、アークエンジェル隊の1人! スティング・オークレーだ!! 「妹」のカリは返すぞ、ゾンビども!!」

 

 

 

「1人で突っ走り過ぎてやられんなよ!! 僕たちの戦いはまだこれからなんだからさぁ!!」

 

 

 

敵のど真ん中で敢えて目立ち、ルナマリアやレイから敵の目を離させようとするスティングに、アウルも付きあった。

 

 

 

「東方先生も来てくれたか、この戦争勝てるな」

 

 

 

「油断するなよ、ネオ。とりあえず全軍の退避ルートを確保してからだ」

 

 

 

「分かってるさ!」

 

 

 

別の部隊は、ネオとバルドフェルドの2人が退路を確保しながら、敵に牽制している。

 

 

 

「なんとか、なりそうね。後は、シュバルツ殿とシン達だわーー!」

 

 

 

タリアが安堵の息を漏らしながら、周囲を確認すると同時に、シン達の方にもキラが駆るストライクガンダムが助太刀していることがモニターで確認できた。

 

 

 

いよいよ問題は、シュバルツの方だがーーと目をやるのと三体のMFが爆発するのは、同時だった。

 

 

 

「ーーな、何が!?」

 

 

 

見れば、ハートを模した機体のガンダムと釣鐘の鎧を着たようなガンダムが、それぞれの右手を桃色に輝かせている。

 

 

 

「クーロンガンダムに、シャッフルハート!! マスターアジアか!!」

 

 

 

シュバルツは、後3合ほど打ち合えば3体のガンダムの動きを完全に把握できたのだが、その前に凄まじい気を放ちながら、2機のMFがシュピーゲルと対峙していた亡者のガンダム達に襲いかかった。

 

 

 

「ーーマスターアジア? 誰だ、それは」

 

 

 

「ーーその声、その顔!? 貴様は、まさか!?」

 

 

 

「はじめまして、だよな? 俺と貴様は初めて会うはずだぜ? ネオドイツのガンダムファイター」

 

 

 

シュピーゲルに話しかけてきたのは、若々しい声。

 

 

 

シュバルツからすれば、懐かしい程に遠い記憶。

 

 

 

自分がシュバルツとなる前の記憶だった。

 

 

 

振り返れば、第七回ガンダムファイト大会に参加したネオジャパンのガンダムがそこにいた。

 

 

 

24年も前のガンダムとファイターが、時を越えて再びシュバルツの前に立っているのだ。

 

 

 

「シュウジ・クロスーー!」

 

 

 

シュバルツの声に応えるように、シュウジと呼ばれた緑がかった長い黒髪を三つ編みにした青年が力強く叫ぶ。

 

 

 

「そう! 俺は東方不敗マスターアジアではない!! 一人の武道家として、最強を目指す男!! シュウジ・クロスだ!!!」

 

 

 

その背後では、それぞれの敵を圧倒するガンダム達から、マスターガンダムと同じ声が聞こえてきた。

 

 

 

「「この身の程しらずが!!」」

 

 

 

両者には右手を相手に正拳突きのように突き出し、2機のガンダムーーコブラとジェスターの装甲を貫くと、力を解放した。

 

 

 

「クーゥウロン、フィンガァーー!!」

 

 

 

「ハーァトフル、フィンガァーー!!」

 

 

 

巨大な爆発が空で起こり、火の粉と化す。

 

 

 

2機のガンダムのフィンガーは、文字どおり敵を消滅させてみせたのだ。

 

 

 

「な、何がーー!?」

 

 

 

タリアでなくてもそう思うだろう。

 

 

 

一瞬の出来事だったのだから。

 

 

 

そして、最後のゼウスガンダムもーー

 

 

 

「合わせろ! ネオドイツの!!」

 

 

 

「任せろ、シュウジ!! シュトゥルム・ウント・ドランクゥゥウ!!」

 

 

 

コマのように回転しながら、竜巻と化すシュピーゲルに刹那の瞬間に全身を切り刻まれ、上空に弾き飛ばされる。

 

 

 

「流石だな、シュバルツ。ならばーー」

 

 

 

その真上には、トリコロールのMFがあった。

 

 

 

その姿は、シャイニングガンダムやゴッドガンダムに似ている。

 

 

 

「久々にアレをやるか、ヤマト! ゆくぞぉ!!」

 

 

 

若々しい声が響き渡り、ヤマトと呼ばれたガンダムは右手をゴッドガンダムのように赤く燃やし始める。

 

 

 

「俺のこの手が唸りを上げる。炎と燃えて全てを砕くッ!! 灼ゃぁああああく熱ぇぇつッ!!」

 

 

 

真紅の炎は、太陽の如き輝きを放ち、その全身に黄金の光を纏う。

 

 

 

「サァアン・シャイン・フィンガァーー!!」

 

 

 

巨大な爆発が起こり、呆気なく消し飛ばされるゼウスガンダム。

 

 

 

完全に消滅された彼らは、複製されない限り復活は無理だった。

 

 

 

ガンダムシュピーゲルと交差しながら、ベルリンの街の煙突に両腕を組んで並び立つ。

 

 

 

第七回ガンダムファイト大会に参加したネオジャパンのガンダム。

 

 

 

流派東方不敗という独自の拳法を開眼した若き天才ファイター。

 

 

 

シュウジ・クロスとその愛機ーーヤマトガンダムだった。

 

 

 

「あの機体は、なるほど。アーモリーワンの時以来ってことね。敵なら恐ろしいけれど、味方ならなんて心強い」

 

 

 

タリアが、その正体を見てとるや頷く。

 

 

 

歴代のマスターアジアのMFが、再び揃い踏みした瞬間であるーー。

 

 

 

「ウォルフ! いや、シュバルツ!!」

 

 

 

「ああ、終わらせよう!! 私と貴様が組んで負けるなどあってはならん!!」

 

 

 

「なればーー、ガンダムファイトぉおお!!」

 

 

 

この世界の人間が誰一人とて知る由もないが。

 

 

 

かつて、最強のファイターの称号。

 

 

 

ガンダム・ザ・ガンダムの栄誉を勝ち取った男が二人並び立った瞬間だった。

 

 

 

「ーーシュウジ・クロス? 国外追放されたファイターが、何故異世界に? しかも展示されているはずのヤマトガンダムに、私を負かしたマスターアジアのクーロンガンダムまで」

 

 

 

ウルベが首をひねるなか、シュバルツがシュウジの後を受け継ぐ。

 

 

 

「ーーレディィィィッ!!」

 

 

 

これを受け、ウルベが冷酷な笑みを浮かべて告げる。

 

 

 

「化石のようなガンダムに、時代遅れの忍者か。ならば、まとめて叩き潰してくれる!!」

 

 

 

アズラエルの前に緑と黄色の光が放たれ、ウルベが駆る専用機のガンダムが現れた。

 

 

 

そのアズラエルのデッキには巨大なMFーーグランドマスターガンダムが生えている。

 

 

 

「「「ゴォォォオオオッ!!!」」」

 

 

 

無数の亡者の軍勢を率いるウルベガンダムに、たった二人のガンダム・ザ・ガンダムが、真っ向から挑んだーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さん、お待ちかね〜!!

マスターアジアことシュウジ・クロスの参入で一気に形勢を変えるガンダムシュピーゲルとヤマトガンダム。

一方で、シン達はデストロイガンダムとウォルターガンダムのコンビネーションに苦戦していました。

更に、シン、キラ、アスランの攻撃で崩されたデストロイガンダムは、自己進化の果てにデスルークと呼ばれるゴッドガンダムを模したトリコロールの機体に変化してしまうのです。

果たして、シン達はこの巨大なMFを倒せるのか!?

次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第47話に!

レディー、ゴー!!
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