新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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みなさん、いよいよ物語にあの男が登場しました。

そう!!

ドモン・カッシュの師であり、先代のキングオブハート。

東方不敗マスターアジアです。

彼が何故復活し、地球連合に力を貸すのか。

はたして、彼の目的は、一体、何なのか?

シュバルツとの今回の対戦で明らかになるのでしょうか!?

それでは、ガンダムファイト、レディー、ゴー!!!



第5話 宿命の強敵 その名はマスターアジア

「アレが例の部隊の母艦ね」

 

 

 

ミネルバ艦長タリア・グラディスは、プラントに空けられた巨大な穴から、宇宙へと出港していた。

 

 

 

モニターに映されているのは、見たことのない所属不明の軍艦。そのハッチが開かれ、強奪された3機の機体と黒い機体が収容されていた。

 

 

 

「間違いないわね、アーサー! 本艦はこれより、所属不明艦を追撃します。対象を『ボギー・ワン』とする!!」

 

 

 

「り、了解しました、艦長!!」

 

 

 

「コンディションレッド発令! パイロットは各MSにて、発進待機せよ!! メイリン、復唱して艦内に指令」

 

 

 

「はい!!」

 

 

 

 

 

ミネルバの初出艦の日が、そのまま初の戦闘行為になるのであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

時は少し遡り、ザフトに保護をされた3人。オーブの代表であるカガリ・ユラ・アスハ。その護衛のアレックス・ディノとシュバルツ・ブルーダーは、モビルスーツデッキにて、ギルバート・デュランダルと邂逅していた。

 

 

 

「ご無事でなによりです、姫。優秀な護衛をお持ちですね。驚きましたよ。

 

まさか、バックパック無しのザクで新型のセカンドステージと渡り合うとは。

 

しかも、もう一人の方は。

 

我々の見たこともない技術体系で作られたあの黒いMSは、一瞬で3機のセカンドステージを行動不能にしてみせた。驚異的な強さですね」

 

 

 

強すぎる力は争いを呼ぶ、と先に告げたカガリへのデュランダルの痛烈な皮肉に聞こえた。

 

 

 

「シュバルツ殿は、私達オーブに故あって力を貸してくださっているだけだ。オーブの戦力ではない」

 

 

 

カガリが静かに言い返すと、デュランダルは穏やかに更に食い付くように続けた。

 

 

 

「つまり、彼は今でこそ、オーブに力を貸しているが、オーブとは関係ない存在だと?」

 

 

 

そこまで言われて、アスランーーアレックスが気づく。

 

 

 

「勘違いしないでいただきたい、確かにシュバルツ殿はオーブの軍人ではないが、だからと言って、代表の護衛をされる程信頼の厚い方だ。

 

オーブから、簡単に離れる様な真似はされないでしょう」

 

 

 

「それは、君もかな? アレックス・ディノ君」

 

 

 

「どういう意味ですか?」

 

 

 

「いや、少し気になってね。アスラン・ザラ君」

 

 

 

「ーーっ!!」

 

 

 

ギルバート・デュランダルの言葉に、アレックスことアスランは顔を歪める。

 

 

 

デッキにいたパイロットや整備士が一斉に先の大戦で主犯とされる、パトリック・ザラを思い起こした。

 

 

 

その息子でありながら、三隻同盟の一員となり、戦争を終結させた英雄である。

 

 

 

「アスラン・ザラって?」

 

 

 

「知らないの、シン? 前大戦の主犯であるパトリック・ザラの息子で、ラクスさまと共にプラントを離れ、戦争を止めた英雄じゃない!」

 

 

 

「英雄……っ!」

 

 

 

ルナマリアの説明を受け、シンの目つきが変わった。彼の脳裏に浮かぶのは、逃げ遅れて爆発に巻き込まれた家族と、空に浮かんでいた、青い翼を持つモビルスーツだった。

 

 

 

そこまで思い返したシンは、感情のままに、カガリ達の前に立つ。

 

 

 

「綺麗事ばかりしか言わないな、さすがはアスハのお姫様だ!」

 

 

 

「誰だか、知らないが。今度俺の前でアスハ代表にそんな口をきいたら、許さない」

 

 

 

「許さない? あんたらは、そうやって、いつまでも英雄気取りか? あんたらの、オーブの理念のせいで犠牲になったひとがいることに目も向けないで!!」

 

 

 

アスランの瞳が驚愕に見開かれる。気づいたのだ、彼の目にあるのは、憎しみと悲しみ。

 

 

 

それは、かつて、実の母を奪われた自分に似ている、と。

 

 

 

「アスラン、すまないがどいてくれ。名前を教えてくれないか? 私はカガリ・ユラ・アスハだ」

 

 

 

「ーー!? カガリ!?」

 

 

 

カガリもまた、自分にぶつけてきた少年の怒りの感情の奥に、悲しみを見つけていた。

 

 

 

「俺は、シン・アスカだ。カガリ・ユラ・アスハ、あんたの親父のウズミの姿勢は立派だったよ。オーブは理念に殉ずるってさ。

 

俺も、家族も、オーブの理念には、同調してた。

 

でも、あんたの親父は、国民より、理念を選んだ!!

 

あの戦争の時に、被害にあったのは、あんたらの国に住んでた、俺たち家族だよ!!

 

あんたらは、自分の理念貫いたから、だろ?

 

だけどな、そのせいで、誰が犠牲になったのか、あんたらはかんがえたのかよ!!?」

 

 

 

全てを言いまけたシンの横から、レイが現れシンの頭を抑える。

 

 

 

「申し訳ありません、議長。カガリ代表。この男の処分はこちらで…」

 

 

 

「待ってくれ! シン。お前は、オーブの選んだ道が間違いだと言うのか?」

 

 

 

カガリは、代表として、国民であったシンの声を聞こうと呼びかける。彼は言ったのだ。理念を信じていた、と。

 

 

 

「間違いだとか、そんなことを言いたいんじゃない。あんたらの選択で、誰かが犠牲になったって話をしてんだよ。綺麗事だけじゃ、守れないんだよ!!」

 

 

 

「ならば、ありがとう、シン。お前の名と言葉を刻んでおく。力だけでも、心だけでもダメなんだ。私は、それを忘れて自分の理念にのみ拘っていたのかもしれない」

 

 

 

「!? なんで、礼なんか言うんだよ? 先の大戦で亡くなったのは、俺の家族だけじゃ…。あんただって」

 

 

 

「国民を守る為に私達は、存在する。民を守れない理念ではダメなんだ。確かに、お父様の死は私にとっても辛い。でも、お前は一つの家庭に育ち、平和に暮らしていたんだ。オーブを信じてくれていたのに、答えられなくて、申し訳ない」

 

 

 

頭を下げるカガリに、シンは戸惑いの表情を浮かべた。どうしたら、良いのか、分からなくなってしまったのだ。

 

 

 

ただ、頭を下げられて、シンはようやく自覚した。

 

いや、前から自分でも分かっている。

 

 

 

シンが口にしたことは、甘えが前提にあった。

 

 

 

世界は、戦争をしていたのだ。

 

 

 

オーブという島国の周りは。

 

 

 

それに巻き込まれないなど不可能だと言うのに、どこかで、自分達は、戦争をとおい世界だと考えていた。

 

 

 

オーブだけは巻き込まれない、と、何処かで。

 

 

 

だから、唐突に巻き込まれ、恨んだのだ。

 

 

 

「…あ、あの、俺」

 

 

 

シンが何かを言う前に、艦内に放送が響き渡る。

 

 

 

『コンディション・レッド発令!! パイロットは各機体に乗り、出撃に備えよ!! 繰り返します、コンディション・レッド発令……!!』

 

 

 

放送を聞き、レイがデュランダルに話しかける。

 

 

 

「議長、申し訳ありませんが我々は出撃に備えます。すぐに護衛の者を」

 

 

 

「構わない、レイ。先ほどブリッジから来たばかりだ。元来た道くらい分かるよ。カガリ姫達もきてください」

 

 

 

レイは、その言葉に敬礼して、立ち去る。後ろではルナマリアにシンが引っ張られていた。

 

 

 

「?え? しかし、新型の艦のブリッジになんて」

 

 

 

開けっぴろげな態度を取るデュランダルに、アスランは、懐疑的な態度を取る。

 

 

 

「今は、緊急事態ですからね。この状況では、人手も欲しい。他力本願で申し訳ないが、姫達のお力を貸していただきたい」

 

 

 

「ご配慮、感謝する…」

 

 

 

あまり、感情を出さずに、カガリは、そのような言葉を口にした。

 

 

 

「カガリ、無理をするなよ」

 

 

 

「分かってる。こども扱いするな、アスラン」

 

 

 

微かに笑い、カガリは、デュランダルの案内に従う。そのやり取りをシュバルツは目を光らせながら、見ていた。

 

 

 

(このデュランダルという男から、妙な気配を感じる。まさかとはおもうが、警戒しておいて損はあるまい)

 

 

 

こうしてデュランダルの案内で3人はミネルバの指令室。すなわちブリッジに現れた。

 

 

 

「議長!? 彼らは?」

 

 

 

「タリア、今は非常事態だからね。オーブのカガリ姫は先の大戦での経験もある。何かの助言を得ようかと思ってね」

 

 

 

デュランダルの言葉に胡散臭さを感じているのか、タリアはジッと彼の顔を見据えたのち、言い放つ。

 

 

 

「分かりました。そちらにお控えください」

 

 

 

席を3つ用意させ、座らせる。正直、今は一刻を争う状況だ、もめている場合ではないと、自分に言い聞かせる。

 

 

 

これから自分達は、たったの一隻でザフトの一拠点を落とし、機体を強奪したとんでもない連中に挑まなければならないのだから。

 

 

 

前方の船を見て、タリアは意識を集中する。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「足が早いね、全く。なかなか、どうして。優秀じゃないの、ザフトの新型艦は」

 

 

 

「どうしますか? 大佐」

 

 

 

「そりゃ、こちらにまでわざわざ来てくださったんだ。お出迎えしなきゃね。あくまで、ご挨拶程度にな!

 

機体を強奪するって任務は達成してるんだ、敵のデータ集めに専念するぞ!」

 

 

 

その号令に従い、スローターダガーに乗るパイロット達。

 

 

 

「ネオ、俺たちも出るぜ!!」

 

 

 

「ザフトに目にもの見せてやる!!」

 

 

 

「ステラ、戦うよ?」

 

 

 

三人の言葉を聞き、ネオが応えようとした時、第三者であるマスターアジアの声が聞こえてきた。

 

 

 

「かぁつ!! 貴様らは先の戦いで充分に働いた。今は休み、わしらの戦いを見て取るが良い!!」

 

 

 

「東方先生? あなたが出ると頼り甲斐があり過ぎて、手加減効かないんですが…」

 

 

 

「馬鹿者!! 聞けば貴様らは、連合とやらの非正規軍であろう。となれば、連合の機体で戦えば、戦争を仕掛けたのは、誰であるかなど明々白々!! スティング達の機体を使わねば、一発でばれる。ワシのガンダムを除いてな」

 

 

 

「いや、だから、あなたの機体はヤバイんですよ、色々!! 上層部にバレるのも避けたいんです!! あなたの常識はずれな強さも含めて!!」

 

 

 

「ばかものがあ!! 貴様のように愚図愚図していては、何の役にも立たぬわ!!

 

真の闘いとはどのようなものか、貴様にも見せてやろう!!」

 

 

 

そう言うと、東方不敗マスターアジアは、袖口から4つの球を取り出した。

 

 

 

球はそれぞれ、光を放っており。

 

 

 

紫、深緑、橙、白、の4つの光の球である。

 

 

 

「マスターガンダムを使えぬとあらば、後はこの3つのガン玉を使うしかあるまい」

 

 

 

紫の球を袖に戻し、残りの3つの球を掌に乗せる。

 

 

 

「出でよ、我がガンダム達よ!! 我が手足となりて、戦え!!! クーロンガンダム!! シャッフルハート!!ヤマトガンダムよ!!!」

 

 

 

マスターアジアの言葉に応えるように、3つのガン玉は、光を強く放ちながら、宙域に出て行くと、深緑の光と共にクーロンガンダムと呼ばれた、釣鐘のような鎧を着たガンダムが。

 

 

 

橙色の光を放ちながら、シャッフルハートと呼ばれた、ハートの形をしたMAが現れ、奇妙な頭部の形をした人型の

 

機体へと変化した。

 

 

 

最後に白色の光と共に現れたのは、インパルスガンダムに近いトリコロールのガンダムであった。

 

 

 

「いくぞ、流派東方不敗!! 十二王方牌大車併!!!」

 

 

 

左手で円を描き、12の紫の光の球を作り出すと、それを右手を突き出すと共に放って、4つの光の球が一つになり、3つの強烈な輝きを放ちながら、三機の機体の胸へ吸い込まれていった。

 

 

 

3つの機体は、それぞれの目が光り、同時に構えを取る。

 

 

 

クーロンガンダムは、袖口からビームクロスを取り出し、それをまるで薙刀のように頭上で振り回す。

 

 

 

シャッフルハートは、腰から赤色の光を放つビームサーベルを抜き、長柄の棒と合わせて、長巻とする。

 

 

 

ヤマトガンダムは、腰の黒塗りの柄から抜刀し、ピンク色のビームサーベルを構える。

 

 

 

「スティングはヤマトガンダムを! アウルはクーロンガンダムを!! ステラはシャッフルハートをよく見ておけ!! ゆけい、我がガンダム達よ!!」

 

 

 

マスターが言い放つと、三機の機体は、常識はずれの動きで、ミネルバに迫るのだった。

 

 

 

「なあ、俺もう、艦降りていいかな? あんな反則爺さんの面倒見れねえよ」

 

 

 

「気をしっかり、大佐! あなたじゃなければダメなんです!!」

 

 

 

「それ、お前がやりたくないだけじゃ…」

 

 

 

副官に励まされるが、納得いかない、ネオ・ロアノークであった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

時を同じくして、ミネルバもシンのインパルス、レイとルナマリアのザク2機と他にゲイツR3機が出撃する。

 

 

 

数の上では、倍になるミネルバ隊だが、出撃してきた敵の三機はデータに無いアンノウンばかりだった。

 

 

 

「敵のデータに該当がない? 本当にボキー・ワンね」

 

 

 

「バカな、あの機体は!?」

 

 

 

眉根を寄せ、見たことのない機体に頭を痛めるタリアだが、脇で覆面の男が叫んだ。

 

 

 

そう言えば、彼もまた、常識はずれの機体と動きをしたパイロットであった。

 

 

 

「まさか、あなたの知り合いなの? あの三機は」

 

 

 

「知り合いなどと生易しいものではない。アレは東方不敗マスターアジアの歴代のガンダム達よ。まさか、この世界に顕現していたとは。ならば、アレを使うのは、マスターアジアただ一人。気をつけてください!」

 

 

 

「ザフトの最新機を三機まとめて行動不能にしたあなたが言えば、説得力は充分ね。各パイロットに告げます。

 

敵の戦力が未知数な上に、敵はこちらの性能を上回るかもしれないそうよ!気をつけて、深追いはしない、データを取れれば良いわ。常に複数対1を心掛けて!!」

 

 

 

「私もガンダムで出ましょう。奴の真意を探らねばならん」

 

 

 

そう言って立ち上がり、おもむろに右手を掲げようとするシュバルツをアレックスが止めた。

 

 

 

小声で話し合う。

 

 

 

「ちょっと待ってくれ、シュバルツ!! あなたの力はあまり見せつけてはいけない!! 軍に利用される恐れがある」

 

 

 

「分かってはいるが、しかし、奴を止めれるのは、私しかいないんだ」

 

 

 

「どうしても行くなら、ガンダムは使わずに、できる限り目立たないでくれ」

 

 

 

「了解した!」

 

 

 

シュバルツは、いったんアスランから離れると、タリア艦長の方に顔を向ける。

 

 

 

「艦長、余っている機体はあるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、シュバルツはモビルスーツデッキにて、手頃な機体を選んだ。

 

シュバルツは、言い放った。

 

 

 

「いい機体だ、よく整備されている。シュバルツ・ブルーダー、ザク! 出撃する!!」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

防戦に徹し、2対1を常に心掛けているおかげで何とか落とされずには、済んでいるが。

 

 

 

圧倒的に力に差がある。

 

 

 

どの機体も動きが軽く、横だけではなく、縦にも動くのだ。立体的な動きと戦術に、シン達は、苦戦していた。

 

 

 

「こんのー!!」

 

 

 

ビームライフルを放つも、目の前にいるクーロンガンダムは、ビームクロスを回転させて、弾いてしまう。

 

 

 

そのまま、突進してくるので、バーニアをふかし、上に逃げながら、もう一機のゲイツRと連携して戦うのだが、突如薙刀のようだったクロスは、ムチの様にしなり、ゲイツとシンのライフルを切り裂いてみせた。

 

 

 

接近戦を挑もうにも、あまりに動きが違い過ぎて、挑む気にすらならない。

 

 

 

はっきり言って、勝ち目がないレベルだ。

 

 

 

「どうすりゃいいんだよ、こんなバケモノ」

 

 

 

「シン、ここは俺がやるぜ!」

 

 

 

「んな、無茶だ!?」

 

 

 

ゲイツのパイロットがしびれを切らしたのか、一気にクーロンガンダムとの距離を詰めて、左手の複合兵装防盾システムのビームサーベルで斬りかかる。

 

 

 

「 馬鹿者がぁー!!」

 

 

 

振り下ろされるクローを右腕で捌き、強烈な左の掌底がゲイツのアゴにヒット、のけぞるゲイツの胴体に次々と貫手が放たれ、瞬く間にゲイツは行動不能になった。

 

 

 

「な、動け! 動けー!!」

 

 

 

「たわけが、己の功を焦り、敵に致命的な隙を見せるとは!! しばらくそこで頭を冷やすがいい!!」

 

 

 

そのまま、クーロンガンダムは、インパルスガンダムに向かってきた。

 

 

 

「さあ、一対一ぞ! どうする、異世界のガンダムファイターよ!」

 

 

 

「早い!! クソォッ!!」

 

 

 

右の拳を正拳で放ってくるクーロンガンダム。インパルスガンダムは、その素早い一撃に盾を構えて受け止める。

 

 

 

バキィッと言う音とともに、盾が崩れる。

 

同時に衝撃で体がズレるインパルスに、クーロンガンダムの左ハイキックが迫る。

 

 

 

バキィッ 反応できず脇に吹き飛ばされる機体。

 

 

 

V P S(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲が、まるで意味をなさないとんでもない威力だ。

 

 

 

「クッソー!! こんな奴にぃー!!!」

 

 

 

退け反らされた首を元にあった場所に戻すと同時に、ビームサーベルを抜いて斬りかかる。

 

 

 

「ほう! なかなか、見る所のある動きだ!!」

 

 

 

シンの攻撃を脇に避けながら、クーロンガンダムは笑ってみせた。

 

 

 

両の手を大きく広げ、手招きしてみせる。

 

 

 

「さあ! 次々とかかってこんか!!」

 

 

 

「こんのーっ!! ふざけるなぁ!!」

 

 

 

 挑発に頭に血をのぼらせたシンは肩口からビームサーベルをもう一振り抜き放ち、次々と右唐竹、左胴薙ぎ、右突きを繰り出す。

 

 

 

 クーロンガンダムはそれらを紙一重で避けながら、まるで円を描くように、舞を舞うかのような類稀なる足さばきで、一定の距離を保ったまま、戦闘を継続する。

 

 

 

 胸部に2門内蔵されるMMI-GAU25A 20mmCIWSを放つインパルスだが、連続で放たれるバルカンの弾丸すら見切り、クーロンは首を左右に高速で倒すだけで避けきってみせる。

 

 

 

シンのインパルスは、決して愚鈍ではない。

 

 

 

むしろ、スピードだけなら、クーロンよりも早く動いている。

 

 

 

しかし、力量差は、明白だった。

 

 

 

シンの攻撃は、クーロンのボディに一度も触れていない。

 

 

 

「どうした? ガンダムを駆る男子がその程度とは、拍子抜けぞ!! それとも、出し惜しみしているのかな?」

 

 

 

嘲笑をされたことに、シンの怒りのボルテージは、更に上がる。

 

 

 

「なめるなー!!!」

 

 

 

ふた振りのサーベルをクロスさせ、切りつける。

 

 

 

しかし、その一撃は空を切り、機体は大きくバランスを崩した。

 

 

 

「な!?」

 

 

 

ーー こいつ、動きが!? 一瞬だけ、早く!!?ーー

 

 

 

通常、人間同士の闘争ならば、相手に目を慣れさせるためにワザと遅く動き、大きな一撃をさそって、本来のスピードで攻撃を避け、カウンターを入れる戦術があるのは、わかる。

 

 

 

達人同士なら、なおのことだ。

 

 

 

だが、モビルスーツ同士にその理論は当てはまらない。

 

 

 

なるほど、サーベルを振り下ろす速度は変えれよう。

 

 

 

バーニアの出力で移動速度も変えれよう。

 

 

 

 

 

しかし、軽いステップのような緻密な動きもさることながら、その動作を変わらず、スピードだけをあげるなど、機械の動きではない。

 

 

 

 

 

まるで、それは、、、、人間そのものの動きだ。

 

 

 

 

 

「なんなんだ、こいつは!!?」

 

 

 

 

 

一流のパイロットであり、一流のモビルスーツを駆るシン・アスカだからこそ、目の前の敵の異常さに気づいたのだ。

 

 

 

カウンターの一撃に弾き飛ばされながら、シンは目の前の敵を睨みつけた。

 

 

 

どれだけ力の差があろうとも、あきらめない。

 

 

 

不屈ーーシンに備わっている一流の証は、その闘志にこそ、あったのだ。

 

 

 

 

 

一方、レイ・ザ・バレルやルナマリア・ホークもまた、苦戦を強いられていた。

 

 

 

相手は、シンのインパルスに似た白を基調としたトリコロールの機体と、奇妙な頭部をした、黒を基調とする機体である。

 

どちらの動きも桁外れに早く、ビーム砲を軽々とかわし、機関銃の弾幕をその弾の上でステップを踏みながら避けるという、離れ業まで披露してくれた。

 

 

 

すでに同行していたゲイツRは、パイロットこそ生きてはいるものの、機体はスクラップも同然にされている。

 

 

 

「ルナマリア! まだ、いけるか?」

 

 

 

「当然よ、私も赤なんだから!!」

 

 

 

ルナマリアは、レイの言葉に気丈に答えながら、長距離用の狙撃ライフル『オルトロス』を放つ。

 

 

 

赤の核に青い光を放つビーム砲は、本来であればMSの二機や三機、軽々と貫通する。しかし今回それは、黒の機体、シャッフルハートの橙色に輝く右手によって防がれていた。

 

 

 

「また、あの妙な兵器!?」

 

 

 

その光は、まるでバリアの様にシャッフルハートとヤマトガンダムを包み込み、完璧に遮断されてしまう。

 

 

 

「厄介だな、あの手は」

 

 

 

言いながら、ビームライフルを構えて、敵に放つ。

 

 

 

正確な射撃は、機体の頭部や肩部に放たれていたが、ヤマトガンダムもシャッフルハートも、自分の持つビームサーベルを脇に掲げると、上と下にわずかに動かすだけでビームライフルを弾いてしまった。

 

 

 

「狙いはよし、だが、わかりやすいのが欠点よな!!」

 

 

 

言うやいなや、直進で突っ切ってくるシャッフルハート。ビームトマホークを抜き、応戦するブレイブザクファントム。

 

 

 

長柄を回転させながら、切りつけてくるシャッフルハートに交差攻法気味に斧を切り返す。

 

 

 

すれ違う両機体。

 

 

 

互いに振り返り、シャッフルハートは、静かに構える。

 

 

 

同時、ブレイブザクファントムは、両手両足を切り落とされていた。

 

 

 

「なーー!?」

 

 

 

「未熟、未熟!! 未熟千万!!! その程度の腕でワシに勝とうなど、10年早いわ!!」

 

 

 

強烈な前蹴りが胸部に叩きこまれ、なすすべもなく、弾き飛ばされるレイ。

 

 

 

それを咄嗟に支えるルナマリア。

 

 

 

「レイ!? 大丈夫なの!?」

 

 

 

「ーー!! ルナマリア、逃げろ!!」

 

 

 

「ーーえ?」

 

 

 

ルナマリアの赤い機体。ガナーザクウォリアーの右脇に、シャッフルハートは橙色に輝く右手を振り被って移動していた。

 

 

 

「ーーしまーっ?」

 

 

 

防ぎようがなく、目をつぶり、衝撃に備えるルナマリア。

 

 

 

しかし、輝く右手は、眼前で止まっていた。

 

 

 

はじめは、何故なのか分からず、次に目を肥やして見ると、緑のカラーリングをした自分達と同じザフトの機体。

 

 

 

ザクが、シャッフルハートの右手首を掴んで止めていたのだ。

 

 

 

「そのくらいにしてもらおう。東方不敗マスターアジアよ!!」

 

 

 

現れたザクは、シャッフルハートのパイロットに向けて不敵に告げる。

 

 

 

対峙するシャッフルハートを遠隔で操る東方不敗もまた、宿敵との邂逅に笑みを浮かべた。

 

 

 

「ーー来たか、ネオドイツのガンダムファイター!!」

 

 

 

「ーーそう!! 私の名はーー」

 

 

 

『シュバルツ・ブルーダーだ(よ)!!』

 

 

 

果てしない暗闇の中、それを吹き飛ばす戦いが始まろうとしていた。




みなさん、お待ちかね〜!!

ザクを駆りシャッフルハートと戦うシュバルツ。

シンもまた、インパルスを駆り、クーロンガンダムに挑みます。

しかし、機体性能の差は歴然!!

一気に窮地に立たされてしまうのです。

次回!!

機動武闘伝GガンダムSEED-DESTINY第6話 激闘 シュバルツ対マスターアジアに、レディー、ゴー!!
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