新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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 みなさん、ギルバート・デュランダルはついにアークエンジェルに対する宣戦を議会で明言しました。

 これを受けて、イザークとディアッカ、ミリアリアはオーブの参謀となったキョウジに連絡を取るのです。

 はたして、彼らがどのような活躍で物語に参加してくるのか

 それでは!

 ガンダムファイト!!

 レディイイイイイッ! ゴォオオオオオオオッ!!

第52話



第52話 水面下で渦巻く邪悪

 

ーープラントにて

 

 

 

 最高評議会の会議を傍聴したイザーク達は、ミリアリアを連れて街のビル内の施設にやってきた。

 

 

 

「ーー? ディアッカ、イザーク。ここは何なの?」

 

 

 

「ここは、クライン派と呼ばれる連中が昔使っていたアジトでな。今は俺専用で政治絡みの機密情報をやり取りするために使っている。オーブのバルトフェルド隊長とな」

 

 

 

 ミリアリアの問いかけにディアッカは頭を抱えていた。答えたのは、隣のイザークだった。

 

 

 

「ーー! だから、バルトフェルドさんがユニウスセブンのシュバルツさんの活躍を!」

 

 

 

 ミリアリアは何か納得したような表情になる。

 

 

 

「ーーああ、そういうことだ。今度はこちらの質問だ。何故お前がそれを知っている?」

 

 

 

「? それ?」

 

 

 

「バルトフェルド隊長がシュバルツ・ブルーダーがユニウスセブンを破壊したことを知っていることだ」

 

 

 

 イザークの言葉に、ミリアリアはクスリと笑った。

 

 

 

「キラが、そんなこと知るはずないものね。ラクスから教えてもらった、てのはどう?」

 

 

 

 ディアッカが朗らかに笑うミリアリアに不安げな表情で問いかける。

 

 

 

「ーーミリィ、お前。一体、誰の指示で俺に会いに来たんだ? いや、俺達に」

 

 

 

「ーー何、情けない顔してんのよ。あんたに会いに来てやったのは仕事じゃないから、安心して」

 

 

 

「ば、馬鹿! そんなんじゃねーよ!」

 

 

 

 ミリアリアの茶目っ気たっぷりの笑顔にディアッカは頬を真っ赤に染める。

 

 

 

「ということは、その仕事とやらの一環で、俺に会いに来たのか?」

 

 

 

「ーーええ。デュランダル議長の本性が知りたくてね。私も半信半疑だったんだけど。その人の指示で貴方達に出会ったら、見れるって言われたのよ」

 

 

 

「そいつは、議長がこのタイミングで議会を開くのを見抜いていたのか? しかも、その内容まで。事実だとすれば悪魔的な洞察力だ」

 

 

 

 ミリアリアの言葉にイザークの表情が青くなる。

 

 

 

「事実、悪魔的よ。彼は、その頭脳と能力でオーブを何度守ったかわからないわ」

 

 

 

「ーーお、おい! それって」

 

 

 

 ミリアリアの言葉に、ディアッカが大きく目を見開き、イザークも得心したと笑みを浮かべる。

 

 

 

 ミリアリアは、静かに机に置かれたパソコンの前に座る。

 

 

 

「イザーク。この端末、使っていい?」

 

 

 

「ーーふふふ。議長に一泡吹かすためにも、いずれ協力を申し出たい相手だった。バルトフェルド隊長から聞いているぞ。オーブの参謀にして守護者の名を」

 

 

 

「イザークなら、そう言ってくれると思ったわ。ディアッカ、あんたも覚悟はいいわね?」

 

 

 

 ミリアリアの言葉に、ディアッカが表情を歪めながら問いかける。

 

 

 

「一応、聞いていいか? 今から何をする気なんだ? つーか、考える時間とかないのかよ!?」

 

 

 

「この私と一緒にいられるのよ? なんか問題あんの?」

 

 

 

「もっと、平和かつムードのある場所で好きな女と一緒にいたいんだよ!!」

 

 

 

「じゃあ、この後で」

 

 

 

「嘘つけぇぇぇええっ!!」

 

 

 

 絶叫するディアッカの隣でイザークが腹を抱えて愉快そうに笑っている。

 

 

 

「く、くくく。良かったじゃないか、ディアッカ。念願が叶って。は、腹が痛い…!!」

 

 

 

「お前もザフト抜けなきゃならなくなるかも知れない状況で、笑ってる場合か!?」

 

 

 

「ん? こんな退屈な任務しか与えられない飼い殺し状態の軍に何の未練もないぞ? ハーネンフースなら上手く部隊を纏められるだろうしな」

 

 

 

 ディアッカの抗議にイザークは笑みを引っ込め、背筋を伸ばして真面目に答えた。

 

 

 

「お、お前、シホの気持ち分かってんのか?」

 

 

 

「ーーああ、お前がやたらと気に入らないようだな」

 

 

 

「ーーぐ、ぐれいと〜」

 

 

 

 シホが何故ディアッカを嫌っているのかを理解できていないイザークに。やはり、相方は軍人バカだったとディアッカは思い知った。

 

 

 

 そしてミリアリアは、モニターに一人の青年との通信を繋げた。

 

 

 

「ミリアリア、早かったね。彼らが?」

 

 

 

「ーーはい、イザーク・ジュールにディアッカ・エルスマン。プラントの防衛部隊の中でも、キラやアスランに匹敵するエースパイロット達です」

 

 

 

「ーーはじめまして。キョウジ・カッシュです。君たちのような先の大戦の英雄に出会えて光栄だ」

 

 

 

 穏やかな表情で語る青年にイザークとディアッカがやはりと頷く。

 

 

 

「なるほど。貴公があのシュバルツと双璧をなす、オーブの守り神か」

 

 

 

「話は聞いてるぜ。不可能と思われる作戦を立ち上げては見事に成功させる奴だってな」

 

 

 

 二人からの言葉にモニターの中の青年は肩を少し竦めて気さくに笑った。

 

 

 

「そんな大層なことはしてないさ。オーブの戦力あってのことだしね」

 

 

 

「なるほど。

 

 貴公はやはり、あのシュバルツの相棒だな。能力や強さに溺れず、自分が何をすべきかを考えている。

 

 しかしーー、だからこそ疑問だ」

 

 

 

 イザークは初め、賞賛するように話しかけていたが、やがて瞳を鋭くして話しかける。

 

 

 

「何がかな?」

 

 

 

「貴公は、オーブにいるだけで議長が議会を開くタイミングや内容を言い当てた。なのに、ベルリンの作戦は見抜けなかったのか?」

 

 

 

「ーー」

 

 

 

「仮に気づくのが遅れたとしよう。しかし、シュバルツの能力と貴公の洞察力があれば、まず出し抜かれることはあるまい。単刀直入に聞く。何故、そうしなかった?」

 

 

 

 鋭く真っ直ぐにキョウジを見つめるアイスブルーの瞳をキョウジもまた、真っ直ぐに見返してきた。

 

 

 

「下手な言い訳をしないでもらおう。確かに貴公にはオーブの参謀としての役割がある。外交面と軍事面の双方で貴公はオーブから離れるわけにはいかない。おまけにその仕事量も膨大なはずだ。だがーー」

 

 

 

 イザークは鋭い瞳のまま口調を詰問風にする。

 

 

 

「それはあくまで、この世界の技術に則ったやり方だからだ。バルトフェルド隊長から聞いているぞ、貴公は別の世界の人間だ。その技術を使えば、もっと早く効率的に、仕事を回せるはずだ。そして空いた手で、デストロイやロゴスの情報を手に入れられたはず。現に今、あんたはミリアリアに確信をもって議会が開くことを告げている!」

 

 

 

「ーー」

 

 

 

「何故、あの慎重な議長の行動を予測し発言さえも見抜く男が、あれだけ派手なロゴスの船の行動を予測できなかったのか。いや、予測していたのに防がなかったのか。確かに貴公とシュバルツは全力を尽くしたのだろう。だが、あくまでそれは個人レベルの全力だ。

 

 それだけでも十分すぎる力を持つからこそ、普通は見逃してしまうだろうが、俺はそうはいかん。あんたとシュバルツが密に連絡を取り合っていれば、この世界に起こる事件のほとんどを防げるーー違うか、キョウジ・カッシュ!?」

 

 

 

「それはーー」

 

 

 

「買い被りなどとは思わんぞ、俺は。ミリアリアをここに寄越したのはアンタだからな」

 

 

 

 イザークはまるで挑むかのようにキョウジを睨みつけていた。互いに黙って相手の目を見つめる。

 

 

 

 イザークの言葉に、キョウジは穏やかな表情を真剣なものに変えてジッとイザークを見ている。

 

 

 

「最初に言わせてもらう。俺は神様じゃない、俺ひとりの力には限界がある。勿論、シュバルツもだ」

 

 

 

「ーーっ! 買い被りだと? そう言いたいのか?」

 

 

 

「仮に、君の言葉のとおりだとしても俺は今のやり方を変える気はないよ」

 

 

 

 キョウジの言葉にイザークは眦を吊り上げ、机をたたいた。

 

 

 

「ふざけるな!! 何人死んだと思っている!? 民間人だぞ!!!!」

 

 

 

「戦争で人が死ぬのは当たり前、じゃないのかい?」

 

 

 

「防げる犠牲なら防ぐのが軍人だろうが!!」

 

 

 

「ーー不測の事態もあるさ」

 

 

 

 肩をすくめるキョウジをイザークは睨みつける。

 

 

 

「勘違いしないでくれ。確かに裏でウルベという男が関与しているのは予測できていた。その情報についてはシュバルツには伝えてある。そしてシュバルツと同等の実力を持つマスターアジアも協力してくれた。ここにアークエンジェルとミネルバが加わった。その結果がアレだ」

 

 

 

「……ベルリン基地を守れただけでも奇跡だというのか? あの物量を覆す部隊でさえ、それがやっとだと言うのか?」

 

 

 

 後ろからディアッカがイザークの肩を制しようと手を伸ばすのを、ミリアリアが止めた。

 

 

 

「ーーミリィ?」

 

 

 

「イザークも分かってるわよ。信じたげなさいよ、親友なんでしょ?」

 

 

 

「ーーああ」

 

 

 

 拳を握りしめ、歯を食いしばるイザークはまるで自分を責めているかのような表情だった。

 

 

 

 キョウジはその目を決して逸らさない。

 

 

 

「--俺は、かつて民間人を殺めたことがある」

 

 

 

 イザークの唐突な言葉に、キョウジは眉を上げながらも静かに聞いている。

 

 

 

「脱走兵だと勘違いして撃ったが、どちらでも同じだ。あれはただの八つ当たりだった。自分のプライドの為に、戦う意志のない人間を殺した」

 

 

 

 静かな言葉はしかし、彼を知るディアッカやミリアリアにはよく分かる。

 

 

 

 彼は忘れていないのだ、あの時の自分の暴挙を。

 

 

 

 その時の犠牲のことを。

 

 

 

 未だ、キラの心に楔となって存在する事実は、イザークにとっても重い疵であった。

 

 

 

「その時の罪滅ぼしなど、今になって出来る訳がない。たとえベルリンの街や、そこに行くまでに出た犠牲者たちを守れたとしても、俺が殺した事実は変わらない。それでもーー!」

 

 

 

 彼の心の中には、緑の髪をした少年がピアノを弾いている姿がある。

 

 

 

「それでも、こんな真似を俺は二度と見逃すつもりはない!! キョウジ・カッシュ、あんたと組めば議長やロゴス共を止められるのか!? こんな悲惨な戦場を失くせるのか!? そこをはっきりと答えてもらおう!!」

 

 

 

「君の理想どおりの結末を迎えられるかは、分からない。だがーー」

 

 

 

 キョウジとイザークは互いに目をそらすことなくーー腹を割って語り合う。

 

 

 

「君たちと俺たちが組めば、議長の企みを止める切り札となる。これだけは確実に言える」

 

 

 

「ーー切り札、か。飼い殺しよりは余程、俺の目的に合いそうだな」

 

 

 

 キョウジは改めてイザークを、そしてその後ろに立つディアッカを見つめる。

 

 

 

「頼む。君たちの力を貸してくれ。俺だけの力では限界がある。俺やシュバルツにも守らなければならないものがあるんだーー! だから、頼む。君たちの力を俺にくれーー!!」

 

 

 

 ディアッカが笑みを浮かべて言った。

 

 

 

「俺の意思は決まったぜーー! イザーク、お前はどうすんだ?」

 

 

 

「ふん、決まっている。よろしく頼むぞ、キョウジ・カッシュ!!」

 

 

 

 イザークも不敵な笑みを浮かべて、キョウジに力強く答えた。

 

 

 

「こちらこそ、よろしく。個人的に君たちとはーー特にイザークとは仲良くなれそうな気がするよ」 

 

 

 

「そりゃ、すげぇな。こいつの扱いづらさは半端じゃないんだぜ?」

 

 

 

 ディアッカが茶化すのをキョウジはにこりと笑って言った。

 

 

 

「俺の弟に似ている気がしてねーー」

 

 

 

「勝手に弟扱いをするなーー! 俺は一人っ子だ!!」

 

 

 

「それはすまないね」

 

 

 

「ーー笑うな、馬鹿にしているのか!!」

 

 

 

 二人のやり取りはどこか、本当の兄弟のようだったと、後にディアッカは語るーー。

 

 

 

 ひと段落が付いたところで、ディアッカが問いかけた。

 

 

 

「それで、さしあたって俺たちは何をすればいいんだ?」

 

 

 

「君たちにしてもらいたいのは、三つある。優先順位は君たちに任せる」

 

 

 

 キョウジはそう言うと、指を三つ立てた。

 

 

 

「一つ、行方しれずになった廃棄コロニー。こちらではプラントというのだったね。それを探してほしい。名を「メンデル」」

 

 

 

「メンデルだって? メンデルもユニウスセブンのように周期を離れたって言うのか?」

 

 

 

 ディアッカの言葉にキョウジはコクリと頷いた。

 

 

 

「つい先日、ラクスがメンデルの潜入に成功したんだが、その後にこちらからも調査団を派遣したんだ」

 

 

 

 これにイザークも目を丸くした。

 

 

 

「メンデルは正体不明の集団が根城にしていて、中に入るのは困難だとクライン派の連中から聞いていたが、よく入られたものだ」

 

 

 

 ミリアリアも横でうなずきながら答える

 

 

 

「ラクスって昔から無茶するところあったしね。でも、そのおかげで強力な助っ人にも出会えた」

 

 

 

「ドモン・カッシュだな。あんなに強いんなら確かにラクスの一人や二人くらいなら余裕で守れるんじゃね?」

 

 

 

 ディアッカの言葉にイザーク、ミリアリアも頷く。

 

 

 

「けど、ラクス達がメンデルに入ったのって、今からわずか一週間足らず前のことだろ? その間に周期が変わったってのか?」

 

 

 

「あの巨大な質量がこの短期間で移動するなど、あり得ない話だ」

 

 

 

 ディアッカにイザークも続ける。これにキョウジがジッと彼らの目を見ながら言った。

 

 

 

「君たちはユニウスセブンで見てるんじゃないのか? からくりの正体を」

 

 

 

「「ーー!!」」

 

 

 

 ふたりの目が大きく見開かれる。彼らの頭の中によみがえったのは、不気味な触手が生えたメンデルの地表。

 

 それに取り込まれ、不死身となった部下やテロリスト達だ。

 

 

 

「まさか、メンデルには、あの化け物がいるのか? ではーー!!」

 

 

 

「そろそろ教えてくんねえか? デビルガンダムってのは何なんだ? バルトフェルド隊長からは、危険な兵器としか聞いてねえんだが」

 

 

 

 イザークとディアッカの言葉にキョウジも頷いた。

 

 

 

「俺の世界で作られた地球再生の為のガンダムさ、元はな。だがプログラムが狂っている。本来のDG細胞とはあらゆる環境下でも活動できる生物的要素の三大理論「自己進化・自己再生・自己増殖」を持つ金属製ナノマシンの名称さ。これにより汚染物質の分子レベルでの除去などを行い、地球の浄化をするはずだった」

 

 

 

「だったーー?」

 

 

 

 ミリアリアが眉をひそめながらキョウジに問いかける。

 

 

 

「プログラムが狂ったと言っただろう? そのせいであらゆる構成物を自身の支配下に置く存在に変わったんだ。これに感染したものは、凶暴さや闘争本能が拡大化し、脳まで浸食された場合はDG細胞に全身を侵されてゾンビになってしまう」

 

 

 

「ベルリンに現れたあの無数のMSのパイロットは、元は人間だったゾンビの兵士ーー?」

 

 

 

「ああ。そして、重要なことはもう一つ。この細胞は死者をよみがえらせることができる」

 

 

 

「「「ーー!!」」」

 

 

 

 全員がキョウジの発言に衝撃を受け、なにも言葉を発せない。

 

 

 

「もっとも、俺の知っているDG細胞と今のDG細胞は若干仕様が違うようだ。もともとのDG細胞はあくまでデビルガンダムの支配下にあった。それがどんな人間だろうと同じだ。だが、今のDG細胞にはデビルガンダムの支配力がない」

 

 

 

 キョウジはDというデビルガンダムが自我を得た赤い髪の写し身を思い返し、言う。

 

 

 

「今、DG細胞を支配しているのはギルバート・デュランダルとウォン達だな」

 

 

 

「そのメンデルにはなにがある?」

 

 

 

「おそらくだが、デビルガンダムは自分の体を二つに分けている。戦闘に特化した今の姿を本体とするならば、それとは別に無駄と判断して切り離された機体があるはずだ」

 

 

 

「メンデルにはその切り離された不要なDG細胞の塊がある、と?」

 

 

 

 イザークの言葉にキョウジは表情を苦いものに変えて言った。

 

 

 

「ーーいや、おそらくデュランダルの作り出しているDG細胞製のMSーーゴッドガンダム擬きーー達は、その切り離された機体で作り出されているんだろう。そしてソレはメンデルを単機で移動できるように作り替えた」

 

 

 

 キョウジの説明にミリアリアが天を仰いだ。

 

 

 

「ちょっと、想像が追いつかないわね」

 

 

 

「いや、俺たちにはわかる。ユニウスセブンの戦いで現れた緑色のコードは確かにプラント全体を侵していた」

 

 

 

「アレの本体がメンデルにあるんなら、急いで潰さねぇとやばいぜ!!」

 

 

 

「何より、あの触手には借りがあるからな。その親玉ならば叩き潰してやらねば気が済まん。よし、最優先事項にする!!」

 

 

 

「おいおい、まだ二つ目と三つ目を聞いてないだろう。……ったく」

 

 

 

 鼻息を荒げる相棒にやれやれとディアッカは肩を落としながら、つぶやく。

 

 

 

「すまないが、破壊は無理だ。戦略級兵器でも完全に消滅しきることができなければ、二度目は無傷になるよう、あれは進化していく」

 

 

 

「ま、マジかよ……!!」

 

 

 

「場所の特定だけを頼みたい。その上で余力があれば敵のゴッドガンダム擬きの機体を捕獲してもらえないかな?」

 

 

 

 キョウジの言葉につまらなさそうにしていたイザークの顔がニヤリと笑う。

 

 

 

「任せておけーー。俺もあの機体を手に入れてみたかった」

 

 

 

「ーーったく。ま、しょうがねぇな」

 

 

 

「それでキョウジさん、二つ目はなんですか?」

 

 

 

 ディアッカとミリアリアの言葉にキョウジが一つ頷くと

 

 

 

「二つ目は、プラント内の情報収集だ。プラントの市民達には今回の戦争がどのように報道されているのか、世論調査はどうなのか、議会の内容等を把握して報告してほしい」

 

 

 

「私の得意分野ですねーー!」

 

 

 

 ミリアリアの瞳がきらきらと輝く。ディアッカがその横から話しかけた

 

 

 

「それで、最後の三つ目は?」

 

 

 

 キョウジがここで不敵な笑みを作った。

 

 

 

「デュランダル議長が把握しているオーブの政治家セイラン家とロゴスの癒着に関する情報を調べてほしい」

 

 

 

「それは、オーブ自身の話だろう? アンタでもわからないのか? バルトフェルド隊長からも聞いているだろう?」

 

 

 

「聞いているが、調べようにもオーブの政治家のほとんどがセイラン派なんだ。今はカガリが実権を握っているが、カガリは国民の支持はあっても政治家達の支持がない」

 

 

 

「よくそれで、政治が滞らずにやれているな」

 

 

 

 イザークが感心したような声をあげるが、キョウジは首を横に振った。

 

 

 

「ほとんど鎖国状態にして、貿易できる所を限定している。でないととてもじゃないが、処理できない」

 

 

 

「なるほど、オーブは自給力があるからな。最低限の生活ならばできる、か」

 

 

 

「だが、オーブという国自体の政治を行うのであれば有力な政治家であるセイラン家を排除すると一気に政治にまとまりがなくなる。下手すれば、国は崩壊しかねない」

 

 

 

 キョウジの言葉にイザークがギリギリと歯ぎしりし始めた。

 

 思い出すのは、青みがかった黒髪の同僚だ。

 

 

 

「あ、の、役立たずの甲斐性なしめが。二年もの間、なにをしていたんだ……!!」

 

 

 

「それを言ったら、ラクスやキラも同じだろ」

 

 

 

「馬鹿者、ラクス様は一線を引きキラ・ヤマトと幸せになられたのだ。ソレでよい!!

 

 だが、アスランは国家代表であるカガリ・ユラ・アスハの恋人なんだぞ! ボディガードだけで結婚できるわけないだろうが!!

 

 そもそも、あいつがザフトで権力を持っていれば、ラクス様の偽物やらデュランダル議長があそこまでのさばらなかったんだぞ!!」

 

 

 

 イザークの言葉にディアッカが圧倒されていると、隣でミリアリアがうんうんと頷いていた。

 

 

 

「……その言葉、本気であの馬鹿に聞かせてあげたいわね」

 

 

 

「話、続けていいかな?」

 

 

 

「あ、はい! どうぞ!!」

 

 

 

 キョウジは気を取り直し、表情を新たなものにすると続けた。

 

 

 

「アークエンジェルを倒すと言った議長だが、攻撃を開始するには手札が不足している。そもそも、議長がなぜアークエンジェルを邪魔だと判断しているのか」

 

 

 

 これにディアッカが答えた

 

 

 

「自分の思い通りにならないからだろ。アークエンジェルはいつだって自分の信じる道を行くからな」

 

 

 

「それもあるが、利用できるなら利用するだろう。彼は今回、アークエンジェルを悪にすることで自分を正義だと主張している」

 

 

 

「そんなん戦争すれば皆、そうじゃないのか?」

 

 

 

「思い出してくれ。彼は戦争を仕掛けられた時、アーモリーワンの頃に慎重に行動するよう告げていた」

 

 

 

「その後のユニウスセブンの時も、だな」

 

 

 

 キョウジの言葉にディアッカ達もうなずきながら深刻な表情に変わる。

 

 

 

「向こうから一方的に殴ってきたときは、なにも言わずに殴らせておいて。協力してきたアークエンジェルを悪と呼び叩き潰そうとする、か」

 

 

 

「……不思議ね。カオスガンダムの件があったとしても、今回は協力して闘ってベルリンの街を守れたんだし」

 

 

 

「現場の兵士達は納得しないだろう。アークエンジェルに命を救われたようなものだからな」

 

 

 

 キョウジは考え込む三人に対し、告げた。

 

 

 

「だからこそ、ロゴスとオーブとの繋がりを日の下に晒したいんだろうね。セイラン家はオーブの政治の実権を握る古参の家、そいつがロゴスと通じていれば。

 

 戦争を仕掛けるにはこれ以上ない切り札だろう? なんせザフトとロゴス、どちらとも通じているんだ。戦場を混乱させかねない。

 

 信じられない味方ほど、厄介な敵はないからね」

 

 

 

 三人はさらに熟考する。

 

 

 

「ちゃんと考えたら、矛盾も見えてくるけど。プラントの人たちは事実を歪曲されている」

 

 

 

「俺たちはクライン派やバルトフェルド隊長との繋がりがあるから、惑わされずに済むがーー」

 

 

 

「ほかのザフトの一般部隊には無理だな。よく考えてるぜ」

 

 

 

 それぞれの答えにキョウジは一つ頷くと、続けた。

 

 

 

「だからこそ、君たちにはデュランダルがどのような情報を得ているかを調べてほしい。俺はオーブの参謀と言われてはいるが、正直内側を見ている暇がないんだ」

 

 

 

「ーーわかった、引き受けよう」

 

 

 

「ありがとう。イザーク、ディアッカ、ミリアリア」

 

 

 

 こうしてイザーク達三人は、キョウジからの極秘任務を遂行するため行動を開始するのだった。

 

 

 

 

 

ーーオーブ本国にて

 

 

 

 会議室でミリアリア達との通信を終えて、一息つくキョウジにカガリが血相を変えてやってきた。

 

 

 

「大変だ、キョウジ!! プラントから、デュランダル議長から要請があった!!」

 

 

 

「落ち着いて。用件は?」

 

 

 

「私にプラントに来て説明しろ、とのことだ。今回のアークエンジェルにカオスガンダムが載っていたことと、セイラン家とロゴスとの癒着に関する説明を直接聞きたい、と。従わなければ、我々に対し宣戦布告すると言ってきたーー!」

 

 

 

 キョウジの瞳が鋭く細まった。

 

 

 

 

 

ーープラント・デュランダル執務室

 

 

 

 ギルバート・デュランダルはモニターに映るアークエンジェルとアズラエルの戦いを見ながら静かにつぶやいた。

 

 

 

「始めようか。私の望む未来と、君たちの未来。どちらが皆が望む未来かをーー」

 

 

 

 薄暗がりの部屋で、デュランダルは冷たくほほ笑む。

 

 

 

 世界は、一気に動乱を迎えようとしていた。

 

 

 

 




 みなさん、お待ちかね~!!

 デュランダルに呼び出しを受けたカガリに、キョウジも同伴します。

 プラント最高評議会議長との会談の席で、デュランダルとキョウジの頭脳ファイトが始まるのです。

 一方、ドモンはDと共に新たなる境地へ足を踏み出そうとしているではありませんか!!

 次回! 機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第53話に!

 レディー、ゴー!!

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