新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
一方、ドモンとDは果てなき強さを求め、より高みに達する為に修行を開始するのです!!
それでは、ガンダムファイト!
レディイイイイッ!! ゴォォォオオオッ!!
ーーーープラント、ラクス・クライン邸にて
ギルバート・デュランダルによって作られたラクスことミーア・キャンベルは今、焦っていた。
自分の家として用意されたラクス・クライン邸に自分が憧れたオリジナルのラクスがいることに。
そして、彼女が鼻歌混じりに朝食を作っているのを見て、寝ぼけまなこを大きく見開いて叫んだ。
「ラクス様が、そんなことしないでください! あたしがやりますから、ラクス様!!」
焦って声をかけると、当のラクスはフライパン片手にベーコンエッグを作りながら、ミーアに笑いかけた。
「無理を言って泊めさせていただいたんですもの、このくらいは当たり前ですわ。やらせてくださいな」
「ーーで、でもぉ」
本気で困った顔をしているミーアにラクスが微笑みながら言った。
「では、一緒に作りましょう。量がいるみたいですから」
「ーーえ? 量??」
「お外で、ドモンさんとDさんが組み手をしてるんです。お腹をいっぱい空かせて来ると言ってましたから、大量にいると思いますわ」
「ーーど、どれだけ食べるつもりなんでしょう?」
表情を引きつらせながら言うミーアにラクスも困ったような表情で笑うと言った。
「ーーさあ? けれど気持ちよく食べてくださいますわ。きっと」
「が、頑張ります」
ミーアは気合いを入れ、ラクスの隣に立つとキャベツを切り始めた。
一方、ドモンとDはL4と呼ばれる宇宙宙域のデブリ帯に居た。
ゴッドガンダムは両腕を組んで、隕石の群れの一つに静かに立つ。
「うおおおおおおおっ!!!」
その周りを無数のデビルガンダムが取り囲みながら拳を、蹴りを繰り出してくる。
ゴッドガンダムは泰然としてゆるぎない。
迫りくる攻撃にゴッドガンダムは静かに組んでいた両腕を離す。
と同時にドモンがカッと目を見開いた。
「はぁっ!!」
気合い一閃。
ゴッドガンダムは隕石の上で強烈な踏み込みと共に右の肘打ちを何もない空間に向かって放った。
同時、炸裂音が響きわたり弾き飛ばされるデビルガンダムの巨体。
超スピードから生み出される無数の残像、それに目もくれずドモンは目にも映らないデビルガンダムの本体を見切り、肘打ちでカウンターを決めたのだ。
デビルガンダムはデブリ帯に広がる巨大な隕石の一つに背中から当たりそうになるや、寸前で姿を消した。
これを見ると、ゴッドガンダムはその場で自分の左側に右の正拳突きを放つ。
すさまじい衝撃音と共にゴッドの右拳を受け止めるゴツイ右手が現れた。
一瞬後、目と鼻の先にデビルガンダムが立ちゴッドガンダムを見下ろしている。
「どうした? お前の腕はこの程度か、D!?」
「フンーー! 笑わせるなよ、ゴッドガンダム!!」
デビルガンダムは左の拳を握ると同時に上背のある頭上から、ゴッドガンダムの顔面に目掛けて振り下ろす。
眼前で左手一本で受け止めるゴッドガンダム。
見上げるゴッドガンダム、見下すデビルガンダム。
互いにパワーを絞りあい、動かない。
同時に膝蹴りを繰り出し相殺、すると同時にその場で足を止めての拳と蹴りの繰り出しあい。
一つ一つが、空気の無い宇宙空間に衝撃波を振動させる。
ゴッドガンダムとデビルガンダムは互いに拳や蹴りを交わしながら、徐々にその全身に白い炎のようなオーラを纏っていく。
エネルギーの出力が徐々に、しかし明らかに桁を越えていく。
強烈な右の回し蹴りが両者の中央でぶつかり、距離が離れる。
「たぁあああああったぁ!!」
「うぅおおおおおおおっ!!」
両者、腰だめに両手をたわめて同時に前方に突き出す。
真紅の熱戦と青紫の光線がぶつかりあい、互いに向かって押し合う。
「まだまだぁあ………!!」
「なめるなぁあああっ!!」
押しつ押されつ、赤と紫の強烈なビームは太さを増し、威力を増し、やがてデブリ帯の一角を消し飛ばしながら爆発して相殺した。
体格差をものともしないゴッドガンダムのパワー、デビルガンダムのスピード。
両者の基本性能は五分と五分。
後は、ファイター次第である。
「ーー! す、凄すぎるーー、データなんか取っても意味ないんじゃないか。これーー」
これを見るのはエターナルに乗るマーチン・ダコスタだった。
彼はエターナルにゴッドガンダムとデビルガンダムを乗せ、当人たちの希望通りに暗礁宙域にまで運んだのが、そこで再び人智を越えたバトルが展開されていた。
はじめは、記録映像を残しつつデータを取るつもりだったが余りにもレベルが違い過ぎる戦いに、この世界のMSに応用するのはまず不可能であると判断していた。
この宙域にデュランダルの監視艦は存在しない。
ドモンからは、これだけを告げられていた。
「誰もいないところの方が、俺もDも修行に専念できる。ダコスタ、お前もその方が都合がいいだろ?」
ダコスタは思う。
何も考えていないようで、彼ーードモン・カッシュの行動は実は理に適っている。
ここからならば誰に盗聴されることなく、ザフトで暗躍するイザーク達と連絡が取れるだろう。
さすがに地球のオーブ本国やアークエンジェルのバルトフェルドまでは無理だろうが。
Dを強化することに何の疑問も感じないわけではないが、これを主たる目的にすることでデュランダルたちの目を欺くことに一役買っている。
(デュランダル議長の前で、ドモンさんはあくまで自分勝手にふるまって見せていた。アレは多分、本人の性格だけではない。
ドモン・カッシュは強敵以外に興味はない、というブラフを議長に植え付けるためだったんだ。--いや、ブラフは言い過ぎだけど)
目の前の激戦を繰り広げている両者は、楽しそうに目をギラギラさせ、口元を歪ませている。
少なくとも、今の彼らには目の前の相手以外は映っていない。
純粋に戦いを楽しんでいる。
「ーーなんだろうな。非効率的なことしてる気もするのに、羨ましいと思ってしまうのは」
ダコスタには、これほどの戦いを行いながらも絶えず笑みを浮かべる二人の戦士が眩しく映る。
しばらく彼は通信の手を止め、両者の戦いに見入っていた。
「どうやら、力と技の使い方を覚えてきたようだな」
満足気味に笑うドモンに、Dも不遜に笑い返す。
「ゴッドガンダムよ。そうやって、いつまでも見下していろ。今に目にものを見せてくれる!!」
「そいつは、楽しみだ。ならば、次は明鏡止水でいくぞ!! ついてこい、D!!」
「望むところだ!!」
両者、同時に両拳を腰において構える。
瞬間、闇の中で黄金の輝きが二つ、生み出される。
その光は神々しく、宇宙の闇を照らし出すかのようだった。
日輪を背にし、ハイパーモードと化したゴッドガンダムは、同じく翼を上に展開してハイパーモードと化したデビルガンダムを睨みつける。
両者は、トリコロールだった全身を黄金に変え、圧倒的な力と光を纏って宇宙を疾駆するのだった。
ーーオーブ本国にて
トダカとババは今しがた宇宙に上がったシャトルをアスハ派の施設から見据えながら語る。
「カガリ様は、大丈夫なのでしょうか?」
「キョウジ殿が一緒に行かれたのだ。問題はないだろう。あるのは、本国の方だ」
トダカは憂鬱そうに語った。
無理もない、オーブの政治のほとんどをキョウジの指示で行っていたのだ。
彼がいなくなれば、軍人が本職である彼らにはマニュアルどおりのことしかできない。
「このタイミングでのプラントからの呼び出しに、何故キョウジ殿は応じたのでしょう?」
「おそらく、不穏分子を炙り出すためだろうな」
ババが、理不尽と言えるプラントからの面談に応じたキョウジの考えが分からず、首をひねるとトダカが答えた。
「不穏分子、セイラン家ですか? 本当にロゴスとつながって?」
「証拠もないのに、あれだけ強くは言えんだろう。キョウジ殿の目論見では、ギルバート・デュランダルはアークエンジェルを亡き者とすることで、世界の支持を自分に集めようする算段があるようだ。そのためにセイラン家を利用しようというのだろう」
トダカが頷きながら答える。
「……セイラン家とロゴスが癒着している。その証拠をプラントが持っているのだとすれば、用意周到ですね。このタイミングで出せば、プラントからオーブを責める口実を与えることにもなりかねない。
でも、何故デュランダル議長はそうまでして、世界の支持を得たいのでしょうか?」
「分からん、キョウジ殿ならば何かを感づいているのかもしれんが。あの方は基本的に危機が迫った状態でなければ自分の考えを迂闊な憶測だと言い、話してくれない」
「困った方だ。もっとも彼の推測が正解、と安易に考えてしまう我々も問題ですがーー」
ババの言葉にトダカも頷く。
「だからこそ、キョウジ殿は必要以上の言葉を言わないのだろう。我々が思い込みで縛られないために」
「つくづく、彼には頭が下がります。ずっとオーブに居てくれれば良いのですがーー」
「とりあえず、今はオーブの希望たるカガリ様を守り抜いてくれるだろうさ。ギルバート・デュランダル議長は危険な男だ。しかし、キョウジ・カッシュが彼に劣るとは、私にはどうしても思えん」
「ーー私もです。だからこそ、このタイミングでもカガリ様と二人で行くことを見送ることができる」
キョウジは行く前にノートパソコンと書類を入れたケースを持っていた。
彼曰く、備えあれば憂いなし、との事だ。
空を見上げる二人の目には、キョウジがデュランダルを打ち倒す姿が浮かんでいた。
ーープラント本国
オーブの輸送艦に操縦士等を残して、一人の少女と男が足を踏み入れた。
彼らはギルバート・デュランダル議長の私室に複数人の案内を受けながら通された。
カガリ・ユラ・アスハとキョウジ・カッシュである。
「よく来てくれましたね、姫。さあ、そちらにおかけください」
穏やかな笑顔でギルバート・デュランダル議長はカガリ達を迎えた。
彼の両隣には金髪の秘書と黒髪の緑服のザフト軍人がいる。
「ーー来なければ、宣戦布告すると言っていたくせに。随分と慇懃な態度だな」
「申し訳ありません。ですが、事実を事実として述べたまでです」
皮肉交じりに告げるカガリにデュランダルは意にも介さず、言葉を返した。
「事実だと!? オーブやアークエンジェルが、ブルーコスモスやロゴスと通じている訳がないだろう!!」
即座に眦を吊り上げて答えるカガリに、苦笑を浮かべてデュランダルは返した。
「ですが現実に『アーモリーワン』で奪われたカオスガンダムが、アークエンジェルから出撃したのを見れば一目瞭然ではありませんかな? おまけにセイランがブルーコスモスの一派と癒着している事実もね」
「カオスガンダムに関しては、捕虜として我が軍に投降してきたんだ! ベルリン基地を守るためにも協力してくれるとのことだった! だから、アークエンジェルと共にベルリン基地の救援に向かったんだ!!
我々は、ロゴスとは無関係だ!!」
強気に発言するカガリに対し、デュランダルは静かに秘書を見つめた
「失礼いたします、カガリ様」
そう告げ、スーツを着た金髪の美女はケースから書類を出してきた。
「これをご覧ください。ブルーコスモスの金回りを調査していたところ、オーブにも何件かやり取りを行っている政治家がいるのです。その中でも、最も交流が深いのがセイラン家ーー」
「ば、ばかな!!」
秘書の説明に目を大きく見開きながら、カガリは書類に目を通していく。
彼女の顔色がみるみる青ざめていった。
セイランの隠し口座からブルーコスモス、いやロゴスの政治家宛に出入金が何度もされている。
「改竄された書類じゃないんだな?」
「口座番号などを調べていただければ、実際のセイランの金回りなどもわかるはずです」
カガリの言葉にやや不快気に秘書は答えた。
「ーーすまない。念のための確認だ」
青ざめているカガリの表情を見れば、これが改竄されたものかどうかなど一目瞭然だろう。
カガリとて国家元首を名乗る身だ。
セイランの隠し口座は、幾度となくオーブの政治交渉に使われてきたことを知っている。
実際の口座番号までは知らないが、調べればすぐに足がつくような嘘をこの場では吐かないだろうとカガリは判断した。
「いかがでしょうか? カガリ姫」
「……隠し口座なんだろ? セイランのモノだと良く分かったな」
「見てもらえれば分かりますが、取引の窓口がオーブのモノです。ここ最近、頻繁に行われているようなので、気になりましてね」
不味い状況だとはっきり分かった。
「政治家の癒着など何処でもあることですが、セイランはオーブ創設時からの古参政治家。しかもオーブの隠し口座の役割もある」
デュランダルは悲痛な表情になりながら、カガリに問いかける。
「姫は私と同じく、戦場を否定する同士だと信じておりますが、これではーー」
「ーーくっ」
歯がみするカガリに、デュランダルは悲しげな表情のまま、告げる。
「姫、返答願います。セイラン家とブルーコスモスの癒着についての返答を」
その時だった。
今まで黙っていた男がついに口を開いたのだ。
「ーー待っていただけませんか? デュランダル議長」
男の言葉に、カガリの表情が一気に晴れやかなものに変わった。
「君は?」
値踏みするような瞳で笑みを浮かべるデュランダルに、キョウジは静かに一礼をすると続ける。
「ーーキョウジと言います。以後、お見知りおきください。カガリ代表、ご無礼ながら私から話をさせていただけませんか?」
「ーー頼む、キョウジ」
「ありがとうございます」
カガリに断りを入れた後、キョウジはデュランダルと目を合わせた。
「待つ? 待つとは何を待てば良いのかな? キョウジ君と、言ったか」
デュランダルの言葉にキョウジは微かに眉を上げ、自分の中で一つ頷いた。
デュランダルは、キョウジをはじめて見るようだ。
キョウジの勘ではあるが、デュランダルは演技の類をしていない。
何故ならば、こちらが声をかけるまで彼はカガリから目を離さなかったからだ。
もし、彼がキョウジの正体を知るならば、カガリから自分に視線を転じた時に微笑みを浮かべるはずだとキョウジは確信していた。
「その書類の真偽はともかく、事態の確認をするには時間が必要ではありませんか?」
キョウジは微かに口の端を歪めた後、余裕を持ってデュランダルを見つめた。
「セイラン家は、オーブの設立当初からの古参政治家であることはご存知ですね? その不正を暴くのならば慎重にならざるを得ない。そんな権力を持つ政治家がブルーコスモスと癒着していた事実が晒されれば、中立国を謳うオーブの威信に関わることになる」
「ーー今までオーブが築き上げてきた全てを失いかねない事態ではあるね。しかし、キョウジ君。私は君たちオーブやアークエンジェルがロゴスの手先に成り下がっていると判断している」
キョウジはそれに微笑みを浮かべた。
「嘘ですね」
「ーー何故、そう思うのかね?」
「この癒着の記録を見ていただければ分かると思いますが?」
キョウジは渡されたプリントを一つ取り上げ、記載されているデータを示した。
「セイラン家、かどうかは分かりませんが。この口座が取り引きを始め、金回りが良くなっているのは半年前からですね?」
「ーーそれが、何だというのかね?」
「セイランがオーブの実権を握ったのは、その更に前ーーウズミ前元首が亡くなられてからなんですよ」
「ーーそれが?」
キョウジの言葉に眉根を寄せながらも、デュランダルは繰り返し問いかける。
「おかしくないですか? このデータが真実だとして、ブルーコスモスとオーブの政治家が癒着を始めたのは半年前からになるんですよ? 何故、このタイミングで判明したのでしょう?」
「ーーそれを調べるためにも、セイラン家を」
「貴方はロゴスの金回りを調べていたら、と言いました。確かに、ロゴスの金回りを全て調べていれば、いずれはブルーコスモスに行き当たり、オーブの政治家との癒着は分かるでしょう」
「だから、現に調べてここに証拠が揃っているではないかね?」
何を論ずることがあるのだ、とばかりに返すデュランダルにキョウジが更に告げる。
「半年前から癒着をはじめたのは間違いないでしょう。何故なら、カガリや他の議員達も、金回りに気づいていない。逆に言えば、その程度の額のやり取りしかしていない」
「君は、何が言いたいのかね?」
「分かりませんか? なら続けましょう。ロゴスの温床になっているブルーコスモスですが、ロゴスのメンバー全てがブルーコスモスではない、ですね?
つまり、ブルーコスモス=ロゴスとは一概には言えない。ブルーコスモスとロゴスの一部のメンバーは同じだが、全てではない」
「無論、その可能性も考慮しているとも。その上で」
話そうとするデュランダルを遮り、キョウジは静かに告げた。
「たった半年で、ブルーコスモスとロゴスの構成員全てを把握した、と?」
「以前から目をつけていた構成員が一人いてね。その者のデータ全てを洗うことは不可能だが、怪しいと思う取り引きは調べていた」
「では、お聞きします。
取り引きが怪しいと見る時は、どのような時ですか?
数字が羅列されているだけのデータから、貴方はどのようにして、怪しい取り引きを判断されたのでしょう?」
「……金額とタイミングだが?」
この答えにキョウジは満足気味に笑った。
「半年前から取り引きを始めた新参者が、小規模な金額のやり取りをしていることが、気になりましたか?」
「カモフラージュの可能性もあるからね」
「なるほど。同時期に同じ位の金額のやり取りをする新規の者が何人いたかは、分かりませんが。このデータから、カモフラージュを感じましたか?」
キョウジは静かに告げる。対するデュランダルは無表情だった。
「何が、言いたいのかね?」
「簡単なことです。ロゴスのメンバーを調べて、こちらの隠し口座を引き当てたのならば、他のデータも引き当てているのではありませんか?
先ほど、全てのデータを調べるのは不可能だと言いましたね? ですが、同時期に同じ条件の取り引きが一体何件あったのか、把握されているのでしょうか?」
「把握する必要はないだろう。君は、論点をずらそうとしているに過ぎない。大事なことは、ブルーコスモスにしてロゴスの構成員と貴国の古参政治家セイランが、癒着しているという一点だ。それをどうやって我々が調べたのかを議論する必要はない」
「半年前から今までの段階で限定させて頂けるならば、99822件です。内、当口座からの取り引きは200件前後になります」
「ーー何?」
訝しむデュランダルにキョウジは淡々と告げる。
「自国の財布の話です。把握しておかない訳には行きません。私が参謀になったのは、ほんのちょっと前ですから、貴方の優秀な秘書さんのように取り引き先までは把握できませんでしたが。
それでも、取り引きをしている相手先が同時期に同額のやり取りをどれだけの相手にしているのかは、把握しました。当然、それ以上の金額のやり取りも他の口座のものとしていた。
連合とのやり取りはもちろんだが、プラントともね」
キョウジの言葉に、デュランダルは面白そうな顔をした。
「ほう? それは由々しき事だ。犯人は誰だったのかな?」
「分かりませんね。プラントの端末は分かりましたが、誰かまでは特定できなかった」
「それは残念だ。私としては、同志であるプラントの人間がロゴスと繋がるなど、考えられないが。物的証拠がないのに、大きな事を言うものではないよ」
デュランダルは両手を組んで、微笑むが構わずにキョウジは告げる。
「特定できなかったが、端末番号が奇跡的に合う相手がいましてね。その相手も名前は不明ですが、私とやり取りをしたことがある」
「ーーほう? どんな?」
笑みが冷たいものに変わった。
「プラントにいるオーブの国民を帰国させたいと、告げた相手ですよ。デストロイの設計図を暗号化して送ってきた、ね。気になって調べたら、その端末から遠隔プログラム別の端末にアクセスして、地球連合にガンダムの設計図を送っていました」
「ーー!」
「気づいているでしょうが、今の連合には新型を作るだけの予算も頭脳もありません。だからこそ、アーモリーワンでの強奪事件が起こった。
誰かが、デストロイガンダムを連合にーーロゴスに開発させるようにデータを送らなければ、彼らはガンダムを作れないんですよ」
キョウジは自分が持参したケースから紙とノートパソコンを取り出した。
まずは紙を広げて見せる。
ビッシリと記載された文字の羅列が紙に記載されており、データのやり取りを説明しながら、キョウジは一つの端末番号を見せた。
「見てください。この端末番号から複数の端末へと指示を飛ばし、リモートコントロールをしています。たとえば、こんな風にね」
キョウジは、持っていたノートパソコンを広げるといきなり何かを入力した。
すると、デュランダル達の部屋のディスプレイが自動で表示され、文字が適当に入力されている。
表記された文字は、ピーターパンシンドローム。
「如何です、デュランダル議長?
ちなみに、端末からのリモートコントロールのやり取りを消す方法が、この数式を打ち込むことです」
入力された文字列に反応し、少なくともネット内では履歴が消えたように映る。
「暗号化しているだけで、消すことは不可能ですがね。亜空間回路のような別空間の中でのやり取りならば、ともかく。同じネット空間の中では、データは必ず残る」
「ーーーー何者だ、君は? ザフトの暗号化媒体プログラムを再現するとは」
「単なる科学者のはしくれですよ」
言いながら、キョウジは静かに端末を叩く。
「ーーでは、件の端末番号にメールを送ってみましょうか。音が立つように設定してね」
エンターキーを押すと同時に、電子音が執務室の机から聞こえた。
「手の込んだ悪戯だね。仮に君の言うとおりだとしても、データ上からは証拠はない。それなのに、どうやって証明する?」
語るデュランダルの表情は固い。
対するキョウジは、静かに音がした議長席の机の上のパソコンを示した。
「開いてもらえませんか? デュランダル議長」
「ーーーーーー」
デュランダルは固い表情のまま、パソコンを開く。
今度は彼の顔が真っ青になる番だった。
キョウジは何食わぬ顔で続ける。
「端末にデータを送る際、復元させるソフトを作りましてね。貴方が開けば自動的に消されたやり取りを復元させるようにしたんですよ」
「ーーバカな!」
パソコンを開けば、ディスプレイに六角形の金属を模した画像が大量に現れ、次々とプログラムを復元していく。
( これは、DG細胞!? こんな使い方をしてくるだと!? 一体、何者なんだ!?)
戦慄し、硬直せざるを得ない。自分は得体の知れない何かと対峙しているのだとギルバートはこの時、悟った。
「やり取りを復元できているはずです。貴方が潔白ならば、それを今、見せていただけませんか?」
静かにキョウジは微笑む。
「ーー貴方のパソコンを調べさせてください。もちろん、全てね」
薄暗がりの中で、彼の穏やかな声が響いた。
皆さん、お待ちかね〜!
キョウジの知略と能力の前に、デュランダルは戦線布告を待つ方向で話し合います。
しかし、彼の能力に気付いたデュランダルは、オーブのシャトルを人質にとり、デビルズサンクチュアリを使っての勝負を挑んでくるのです!
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第54話に!
レディー、ゴー!!