新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
なんと我らがシン・アスカとキラ・ヤマトが、ミネルバとアークエンジェルを率いて、ぶつかり合うことになったのです。
そう、ギルバート・デュランダルの目を欺く為に。
はたして、彼らは無事にこの茶番劇を終わらせることができるのか!?
それでは、ガンダムファイトォ!!
レディィィィッ! ゴォォォオオオッ!!
ーーーー西ユーラシアにて
始まっていた。
すでに激戦と呼ばれる戦闘は始まっていた。
アークエンジェルは、氷山と雪原を切るように移動しながら、敵の攻撃を回避していく。
「直撃は避けて! ベルダート、ヴァリアント、撃てぇ!」
「ーー了解!! 行くぞ、アウル!!」
「合わせるぜ、スティング!!」
マリューの指揮の下、砲撃席に座るアウルとスティング。アークエンジェルは次々と群がるバビと呼ばれる空戦型MSを撃墜していく。
「ーー右舷4、バビ3機確認! 距離イエロー!!」
「ミサイルは機銃で撃ち落せ! ビーム砲は、ビーム撹乱幕で無効化させるんだ!!」
ステラの通信にネオが声を張り上げる。
「艦首取り舵5! 来るぞ、ノイマン!!」
「ーー了解です、バルドフェルド隊長!!」
歴戦の勇者達はブリッジにて神がかり的な連携のもと、大天使を操る。
そんな檄が飛び交う指令室から離れて、キラは静かに瞳を閉じ、呼吸を整えていた。
アークエンジェルの甲板には、一機のガンダムが腕を組んで立っている。彼は、そのコクピットの中にいた。
エールストライカーを装備したストライクガンダム。
「ーーキラ君、できそう?」
マリューからの問いにキラは静かに頷いた。
「ーーええ。僕とストライクなら、できます!!」
キラが光を無くした目を見開くと同時に、ストライクガンダムのボディが白く輝き始める。
「ーー明鏡止水とSEEDを使えば、全ての攻撃を落とせる」
空中に一気に飛翔し、無数のバビに向かってライフルの速射砲を放つ。
「「「ーーっ!?」」」
一瞬で、15機のMSが撃墜された。
しかしキラはそれに構わず、他方の部隊を見て取るや一気にフリーダム並みのスピードで、敵陣地に斬りかかる。
「おのれ、旧型など落とせ!!」
バーニアをふかして一気に加速し、突っ込んでくる機体に次々とビームやミサイルが放たれる。
それを網の目を縫うようにジグザグに移動しながら、かわす、かわす、かわす。
目の前に、その旧型のガンダムは現れた。
「ーーば、ばかな!?」
「おのれ!?」
抜刀ーー、ビームサーベルの桃色の斬閃が宙に一筋引かれ、コクピットを残して落とされるMS達。
「ーーさすがはキラ・ヤマト。フリーダムのパイロットなだけはある」
「ウィラード隊長、いかがなされますか?」
「MS隊に熱くなるなと伝えろ。我々はミネルバが来るまでの足止め役だ」
「ーーはっ!」
部下の一人にそう答え、ウィラードはモニターを見据える。
「追い込みなどと悠長なことを言わず、船一隻とMS1機など叩き潰してしまえばーー!」
これに不満そうにする副長をウィラードは見据え、言った。
「現実を見ろ、副長。奴はフリーダムのパイロットだった。すでに20ものMSが旧型のストライクに落とされているのだぞ?」
「…中途半端な数で攻めるからです。MSが強力でも所詮一機。母艦を狙えばーー!」
「やってみるがいい。責任の全てを君が負うのであればな」
副長の案にウィラードは無碍もなくそう言った。すると、副長は不満げになりながらも口を閉ざす。
瞬間だった。
目の前でほとんどのMSが爆発したのだ。
「ーー!? な、何が起こった!?」
「敵が増えたのか!?」
艦長と副長の二人の疑問に答えたのは、通信兵の言葉だった。
「ストライクガンダムです! ストライクガンダムからあり得ない程のエネルギーが放出されています!!」
「なんだと!? オーブはニュートロンジャマーキャンセラーをストライクガンダムに付けたのか!?」
副長が驚愕の表情でモニターを見据える。
すると、残像を残すほどのスピードで縦横無尽に空を駆けるストライクガンダムの姿があった。
ストライクは、そのスピードからビームライフルを構えると、一斉に打ち出したのだ。
ーー閃光、爆発、連鎖。
ビームライフルを射角を微妙にずらしながら、連続で放つ。
それは、あまりにも早すぎて。
銃声が一つしか響いていないのに、無数の弾丸が宙を走りMSをバビ隊を叩き落していく。
「こ、こんなことがーー!?」
「な、何故ストライクガンダムにこんなことができる!?」
あまりにも理不尽な力の差だった。
フリーダムガンダムを知るウィラードにすら、この事態は予測できていない。
「ニュートロンジャマーキャンセラーなどではない。この動きは、一体なんだ!? 私の記憶が間違いでなければフリーダムをも上回っているではないか!? 何故、こんな化け物がオーブに居る!?」
こんなバカなことが起こるはずがなかった。オーブは連合との対決でフリーダムを失ったはずだ。このアークエンジェルにはもはや主力と呼べる機体はストライクガンダムとカオスガンダムぐらいしかない。
だが、カオスガンダムを出してくればロゴスとオーブとの癒着問題をこれ以上ないくらいに大々的に発表できる。それも向こうはわかっているだろう。
だからこそストライクガンダム一機しか出さなかった。
だが。
蓋を開けてみれば、何世代も前のストライクガンダムが変わらず彼らザフトに猛威を振るっている。
グラスゴーは目の前で見ている事実に戦慄していた。ウィラードはいけ好かない男だが、戦術面においては確かな男だ。
それをたった一機で翻弄している。
いや、戦艦三隻を使った合同作戦が、たった一機のモビルスーツにいいように戦場をかき回されているのだ。
「ええい、ミネルバはまだかっ!」
「間もなく到着するとのことです!」
「早く来いと伝えろ! このままでは防衛網を突破されるぞ!」
「りょ、了解しました!」
「デュランダル議長が危険視するわけだ! これは……この力はあまりに過ぎた力だ! 一つの国が保有してよい戦力ではない!」
すでにフェイズシフトは切れているはず。切れていなければならない。だというのに、目の前のモビルスーツは変わらぬ猛威を振るっていた。
「たった一機に! 全滅させられるというのか! こんなバカげた話が……!」
目の前で次々と落とされるモビルスーツ。ウィラード、グラスゴー、二つの部隊が恐怖にかられるのも無理はないことだった。
その恐怖がブリッジに蔓延するころ、通信兵より一つの報告が入った。
「ミネルバです! アークエンジェル正面にミネルバが現れました!」
これにそれぞれの艦を預かるグラスゴーとウィラードが指示する。
「よしっ! 我らはアークエンジェルを逃がさないように包囲するんだ! あとのことはミネルバに任せろ!」
「手並み拝見と行こうか。タリア・グラディス。あの化け物を相手に貴様らだけで倒せるというのならな!」
突如、二人に応えるようにウィラード隊とグラスゴー隊にミネルバから連絡が入った。
「こちらミネルバ。タリア・グラディスです。貴艦らの援護に感謝します。ここまで包囲してくれれば結構です。アークエンジェルは我々が」
「アークエンジェルの撃破確認をしろと本国の厳命だ。我々は包囲するだけで手は出さん。邪魔にならんようにしているから早急にアークエンジェルを落とせ」
「はっ」
通信が切られた。
ーーーー
ミネルバのブリッジにて。
タリア・グラディスは艦長席で一つ、ため息を吐いた。
「やはり本国から手が回っているか。……仕方がないわね」
「グラディス艦長。もしかして作戦が?」
「読まれている可能性があるわ。考えてみれば、総指揮を握っているのは議長だったわね。私の考えは読まれているか」
タリアは親指を噛みながらひとりごちた。
「アークエンジェルから送られてきた通信を開いて。盗聴に注意!」
「りょ、了解!」
メイリンの応答の声と共にブリッジのモニターに、マリュー・ラミアスの顔が浮かび上がる。
「ーーというわけよ、ラミアス艦長」
「やはりこうなりましたね。では、手筈通りーー」
「ええ。うまくやってちょうだい。こっちも全力でいくから」
「了解」
短い通信が終わった。
「アスラン! やれるわね?」
砲手席に座るアスランに声をかける。アスランの目の前にはアークエンジェルから送られてきた艦の構造図があった。
「大丈夫です! タンホイザー、いつでも撃てます!」
「コンディションレッド発令! インパルス、シン・アスカは出撃準備せよ!」
ーーーー
モビルスーツデッキにて。
「マジで行くのかよ、シン。一騎打ちなんて危険すぎるぜ! 艦長もなに考えてるんだか」
こう言ってきたのはモビルスーツ整備班の褐色の肌の少年、ヨウランだ。これにシンは笑顔で返す。
「やれるさ。それだけ俺は鍛えられたからな。相手がキラさんだからって簡単に負けたりしないぜ」
「で、でもよ! 艦三隻の部隊とたった一機で戦って無傷なんだぜ!? 信じられねえよ……! あの機体は連合の量産型モビルスーツーーウィンダムやウチのザクシリーズにすら基本性能は劣るっていうのに」
「機体の性能なんか問題じゃない。明鏡止水を学んだんなら、どれだけ心を研ぎ澄ませられるかが勝負だ」
シンはまるで自分に言い聞かせるかのように、まなじりをキリリッと上げて言った。
「とりあえず応援してるわよ、シン。相手がキラだからって簡単に負けるんじゃないわよ」
「わかってるさ、ルナ。キラさんたちをうまく逃がすためにも、俺が全力で行かなきゃ!」
その時、指令室から通信が入った。
「インパルス! コアスプレンダー! 発進どうぞ!」
メイリンの指揮がデッキに響き渡る。これにシンはいつも通りに答えた。
「シン・アスカ! コアスプレンダー! 行きますっ!」
青白いバーニアの灯が止まり、小型戦闘機がモビルスーツカタパルトから発射された。
空中で合体し、一機のガンダムへと変化する。フォースインパルスガンダム。肩口からビームサーベルを抜き、雪原の吹雪の空に浮かぶキラ・ヤマトのエールストライクガンダムに突っ込む。
「キラさん!」
「ーー来たか、シン!」
同時にビームサーベルを繰り出しあい、つばぜりあう。両者の放った衝撃に、雪山が揺れる。
グラスゴー隊が悲鳴を上げた。
「な、なんだぁあっ!?」
ウィラード隊は観測手の報告に耳を疑った。
「予測エネルギー量をはるかに上回っています!」
「なんだと言うんだ!?」
二機のモビルスーツの激突を、静かに見守るミネルバとアークエンジェルのブリッジ。
「キラ……、シン……!」
深刻な表情でモニターを見据えるアスランを、心配げに見るメイリン・ホーク。
タリアから檄が飛んだ。
「艦首五十! 射角合わせ! 中途半端にやるんじゃないわよ! 本気で落とすつもりでいきなさい!
機銃! 撃て!」
対峙するアークエンジェル。
ステラが叫ぶ。
「ミネルバから機銃、来る!」
「回避! 面舵四十!」
見事に避けるアークエンジェル。
「バリアント! 撃てー!」
ミネルバに向かって放たれる電撃砲。対するミネルバはメイリンが叫ぶ。
「迎撃砲、来ます!」
「ビーム攪乱幕を艦周囲に張りなさい! 同時にトリスタンをアークエンジェルの足元に撃て! 雪原を利用し、水蒸気を発生させろ! 相手の目をつぶせ!」
「了解!」
鍔競り合うシンとキラ。
そのうち、シンがちらりと二隻の戦艦の戦いを見る。
「いくら議長の目をあざむくためとはいえ、本気で落としにかかってないか!?」
「そうだね。たぶん本気だ。いや、マリューさんも、本気でこの場から逃げようとしてる。でないと、生半可なことじゃ彼らの目はあざむけない」
「だからって落とされたら元も子もないでしょ!」
「もっとお互いを信じるべきだよ、シン。それより僕たちも始めようか」
「あっ、はい!」
同時に剣を払う。
(アークエンジェルとミネルバが目標地点に行くまで、俺達は戦闘を長引かせなきゃならない。明鏡止水の力を使えばグラスゴーやウィラードが手出しできないレベルの動きはできる! このレベルで動いていれば!)
互いにライフルのビーム弾をライフルで撃ち落とし、サーベルの斬撃をサーベルで切り払う。
インパルスとストライクーー両者の動きは音速に達していた。
「し、信じられない……っ! こ、こんな奴が我がザフトにいたのか!」
「ミネルバめ、忌々しい! あんなエースパイロットを飼っていたとは!」
歯ぎしりをする二隻のザフト艦。
激しい戦闘を繰り広げるアークエンジェル隊とミネルバ隊。
そのさまを雪山から両腕を胸の前で組んで見下ろすモビルスーツーーいや、モビルファイターが一機あった。
「うむ、いい調子だ。さすがは歴戦の猛者たちだな。目標ポイントまであと五キロ。うまくやってくれよ」
シュバルツ・ブルーダーとガンダムシュピーゲルであった。
一方、ミネルバのブリッジにはルナマリアとレイがモビルスーツ格納庫からやってきていた。
「お姉ちゃんっ!? 作戦行動中だよ!」
「出撃できないんだから、せっかくなんだしブリッジで見たいじゃない? ね、レイ」
ルナマリアはメイリンの抗議に返すと隣のレイを見て言う。
「ああ。かまいませんか、艦長」
これにレイも静かに頷いた。タリアは微かにレイを意味ありげに見た後、告げる。
「かまわないわ。むしろ砲撃手を交代してちょうだい。砲撃班は索敵のほうに回って」
「了解」
レイが答えると同時に砲撃手の席についた。
「味方にも注意してちょうだい。この周囲に正体不明の艦があれば真っ先に連絡して」
「わかりました!」
ルナマリアも同じように席に座る。
タリアの指示に、アーサーがやや戸惑った表情になった。
「艦長、この作戦をウィラード隊たち以外が見ていると?」
「可能性があるわ。相手がデュランダル議長ならね。慎重になりすぎて損はない。それにしても――さすがね、アークエンジェル。普通ならとっくに落ちてるはずなんだけど」
「歴戦の猛者というだけのことはありますね! もっとも、アークエンジェルからの反撃もなかなか手厳しいものですが」
「皆の腕の見せどころってところね」
「キラ……、シン……! なんて動きなんだ! フリーダム、いやそれ以上だ」
そうつぶやくのはアスランだ。それを横目で聞きながらルナマリアは言った。
「ウチのシンも、捨てたもんじゃないでしょ? アスラン」
「ああ。今のあいつは、間違いなく俺より上だ」
素直に自分よりも上のレベルで動いているシンを評する。それにルナマリアが眉をひそめていった。
「それは、シンには言わないでくださいね。あいつ、すぐ調子に乗るから」
「手厳しいんだな、ルナマリアは」
「当然です。甘やかしたら、成長しないじゃないですか」
「っふっふ、そうだな」
ルナマリアの遠慮ない言葉にアスランも思わず笑ってしまった。
「それにしてもさすがですね。キラ准将。アークエンジェルも。本当に紙一重の戦いって感じです」
「ああ。だからこそ、これに気付かれるわけにはいかないんだ! いやーー」
「アスラン? どうしました?」
その時、アスランが何かに気付いたようにブツブツと小声で言う。
「むしろおかしいのか? これだけやりあっていて、被弾率が両方ともゼロだ。当たっていたとしても、運よく機銃のような軽いダメージのものしか当たっていない。これだけ打ち合っているのに? これは……まずいか?」
「でも、ビーム砲なんて当てたら……!」
「いや、多少の被害はこちらも向こうも覚悟しているはずだ。ルナマリア! すまないが俺が指示するところへビーム砲を打ち込んでくれ! 艦の動きを鈍らせる!」
「いいんですかっ!?」
驚愕の声を上げるルナマリアにアスランは頷いた。
「アークエンジェルなら、うまくやる!」
「どうなっても知りませんからね!」
「トリスタン、撃て!!」
アスランの指揮が飛んだ。
これにアーサーが思わず艦長を仰ぎ見る。
「いいんですか、艦長!? あんな勝手な指示させて」
「かまわないわ。彼はそもそもフェイスだもの。にしても、たしかにそうよね。これだけ打ち合っていて、双方、かすり傷程度じゃたしかにおかしいわ。もう少しごちゃごちゃ行くわよ!」
「りょ、了解! 総員、身の安全を第一にしろ!」
アーサーの指示に、それぞれの区画にいる者が衝撃に備える。
アークエンジェルのゴッドフリート一番に被弾するビーム砲。アークエンジェルのブリッジのすぐそばを通り過ぎていった。
「ゴッドフリート一番、被弾! なろぉ!」
「スティング! バリアントだあ!」
「わかってる!」
それを後ろで見ながら、サブの艦首席からバルトフェルドがため息を吐く。
「見事なもんだ。今の、誰がどう見てもブリッジを狙って打って外したようにしか見えないな」
「気軽に言ってる場合かよ! ひやひやもんだぜ、こっちは! なんて無茶苦茶しやがるんだ! スティング! やり返してやれ!」
ネオからの指示にスティングがにやりと笑った。
「オーケイ! いくぜミネルバああ!」
放たれるバリアント。それは正確にミネルバのトリスタン砲台を破壊する。
メイリンが叫んだ。
「トリスタン、2番被弾!」
「こ、しゃ、く、なっ!」
「お姉ちゃん! 熱くなっちゃだめだよ!」
妹の声も聞こえないのか、ルナマリアは同僚に声を張り上げた。
「レイ! イゾルデで敵の砲撃を止めんのよー!」
「わかっている。イゾルデ、攪乱弾発射!」
放たれた砲撃はアークエンジェルの手前で爆発し、データ機器類にジャミングを及ぼす。
ステラが叫んだ。
「ジャミング弾! 通信機器、回路異常!」
マリューは冷静にステラに指示する
「キョウジさんがオーブ戦線で作ったレーザー探索システムに切り替えてみて!」
「了解! ……うん! よく見える!」
ステラが指示通りに切り替えると、今まで以上にはっきりと敵の位置や弾丸が見える。これに思わずステラが笑顔になった。
それを見ながら、ネオがなんとも言えない表情をする。
「こ、れ、は……。このシステムは、詐欺じゃないのか?」
「何を今更…」
あきれ顔でそう告げるのはバルトフェルドであった。
「目標地点まで、あと二キロ! お互い良い感じにボロボロになってきたぜえ!」
「というかさ! 途中からあいつら、マジで落としに来てねえか!?」
スティングの言葉にアウルがやや苛立ち気味に言った。
ネオがそれを見ながら、つい言う。
「というか、お前らもまじで落としにかかってないか?」
「向こうがやってきたんだよ!」
「子どもじゃないんだからよ、アウルーー」
「いざとなりゃ、シュバルツがなんとかするだろ! 僕らそれであいつ等に逃げられたことだってあるんだからさあ!?」
その時、ネオの顔が凍った。
「そういやあ……さんざんあいつらには世話になったな……。フッ、スティング! アウル! やっちまえ!」
「お前さんも十分子どもだと思うんだがねえ、俺は」
「聞こえん!」
大人げなく吠えだしたネオにあきれ顔でバルトフェルドが告げるも、ネオは全力で無視した。
「その言葉を待ってたぜ! ネオ!!」
「目にもの見せてやる、ミネルバぁああ!」
ネオからの許可を得た二人の少年兵士は、やる気に満ち溢れてミネルバの武器と言う武器を破壊しに砲撃を放っていく。
一方、何度も彼らとぶつかったことのあるルナマリアは、砲撃手が誰なのか気付く。
「この射撃の癖! 絶対スティングよ! バリアントの右側打ってるやつ、スティング! 左側打ってるやつアウルじゃない! あ、い、つ、らぁ~!!」
「当然だろう。我々は敵同士だ」
「冷静に言ってる場合じゃないでしょ! やられたら、やり返すのよーっ!」
「りょ、了解」
レイに指示しながら、自身もトリスタンをアークエンジェルの武装に向けて放つ。
「いや、なんか趣旨が変わってきてないか?」
思わずアスランがつぶやいた。
そう言いながらも、ブリッジや急所は見事に外す両艦。
グラスゴー、ウィラード隊は思わずつぶやいた。
「なんていう、でたらめな艦なんだ……! どっちも!」
「これは確かに、我々が足手まといだというのもわかる。艦も、モビルスーツも、操縦士たちも、レベルが違い過ぎる!!」
またしても砲撃が被弾し、爆発する。
これにメイリンが半泣きで叫ぶ。
「六番被弾! お姉ちゃんたちのバカー! 怖いよぉー!」
「なに言ってんの! あとちょっとであの生意気な奴等をギャフンと言わせられんのよ! 砲台あと二つ!」
互いの武器を次々に壊しあう両者。
タリアがぽつりとつぶやいた。
「これ、修理いくらかかるかしらね」
「考えたくありません…」
「まいったわね……」
艦長と副長がそんな会話をするなか、ついにアークエンジェルとミネルバは作戦決行ポイントに達した。
「アークエンジェル! 作戦ポイントに入りました! ……やっと終わるぅ~」
「あーーーーー! あと一個だったのにぃいいいい!!」
ホッとするメイリンのアナウンスが響くと同時に、悔しそうに頭を抱えるルナマリア。
「でも! 着水するにはキラさんを回収しないとできないんじゃ」
メイリンが現在も空中で交戦するインパルスとストライクを見据える。
「あとはシンとキラ准将に任せましょう。うまくするでしょう、あの二人なら」
「分かりました!」
そう、後はアークエンジェルが海面に着水し、キラが着艦するのを見て予め海面で分離した第2エンジンをタンホイザーで撃ち抜くだけだ。
エンジェルダウン作戦も、いよいよ大詰めを迎えていた。
皆さん、お待ちかね〜!
作戦ポイントに辿り着いたアークエンジェル。
キラはこれを確認すると、シンに決闘を申し込むのです。
彼らの戦いは、モビルスーツの常識を越え、明鏡止水の「境地」へと足を踏み入れるのです!
次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第58話に!
レディー、ゴー!!