新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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みなさん、マスターアジアは生きていました。

しかも彼は過去に使用した乗機を全て操り、ミネルバ隊に襲いかかってきたのです。

はたして、彼らは、マスターの操るガンダム達を退けることができるのか!?

それでは、ガンダムファイト、レディー、ゴー!!





第6話 激闘 シュバルツ対マスターアジア

 

地球連合艦ーーガーティ・ルー艦内

 

 

 

激戦を繰り広げる、ミネルバの部隊とマスターアジアの三機のガンダム。

 

 

 

その戦闘をモニターで眺めながら、東方不敗は、笑みを浮かべた。

 

 

 

「わっはははは! やはりワシの思ったとおりであったわ!!!」

 

 

 

「東方先生、あのザクのパイロットが、ステラ達を一機で行動不能にした奴、ですか?」

 

 

 

この部隊の隊長であるネオ・ロアノークは、確認の意味で話しかける。

 

 

 

「いかにも! 奴こそはネオドイツのガンダムファイター、シュバルツ・ブルーダーよ!! 恐るべき知略、体術、腕を持つ、ワシの相対した敵の中でも五指に入る程の実力者だ!!」

 

 

 

「あなたみたいなバケモーーもとい、超人にそこまで言わせるとは、厄介な奴がザフトにいるもんだ」

 

 

 

「しかし、あのような機体では、いかにシュバルツと言えども、全力は出せまい。状況を確認する意味を込め、叩き潰してくれよう!!」

 

 

 

獰猛にして狡猾な笑みを浮かべるマスターアジアにうすら寒いものを感じつつも、頼りにも感じる自分に苦笑するネオ・ロアノーク。

 

 

 

(正直、負ける気がしねぇな。この男の力がある限り)

 

 

 

ステラ達に毒されたかと、自嘲気味に笑うネオの前で、人知を超えた戦いが、繰り広げられようとしていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ルナマリアのガナーザクウォーリアを救った。一機のザクウォーリア。

 

 

 

その機体のコクピットには、いつの間にか、未来世紀で使われていた、簡易型モビルトレースシステムが組み込まれていた。

 

 

 

(私の中のDG細胞が、まさかこのような所で生きてくるとはな。皮肉だが、今はこの力に頼るしかあるまい)

 

 

 

アスランに諭されるまでもなく、シュバルツとて自分のガンダムの力を異世界で示しつけるつもりはない。

 

 

 

むしろ、できる限り機体を温存して戦いたいのだ。

 

 

 

あの男の正体を突き止めるまでは、目立つわけにはいかない。

 

 

 

デビルガンダムの力は、正に渡りに船だった。

 

 

 

ナノマシンの塊であるDG細胞は、機体の姿を変えることはもちろん、コクピットの仕様さえ変化させることができるのである。

 

 

 

これにより、本来はMSを扱えないシュバルツも、苦もなく機体を動かせると言うわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

シャッフルハートのフィンガーを止めたまま、ルナマリアを振り返り、シュバルツは告げた。

 

 

 

「ここは、私に任せて、君はやられた仲間を船に回収するんだ!!」

 

 

 

「で、でも、あなたは!?」

 

 

 

「そんなことは、どうでもいい! 今は私に任せろ!!」

 

 

 

瞬間、シュバルツのザクウォーリアがシャッフルハートの顔面に向けて左拳を放つ。

 

 

 

左掌で受けるシャッフルハート。

 

 

 

防がれた瞬間、ザクはその身を側宙で回転しながら、浴びせ蹴りを放つ。

 

 

 

宇宙空間にいるとは思えない、素早い動きだが、シャッフルハートは見事に上体を反らすスウェーバックで、鼻先にて見切り、ザクの頭部にフィンガーを放つ。

 

 

 

ザクは、元いた位置に足を戻した刹那、くるりと半身を回転して右手を裏拳気味にフィンガーを放つシャッフルハートの右手首にぶつけ、反らす。

 

 

 

すれ違う両機体だが、振り向きざま、凄まじい拳と蹴りが互いの間で交差する。

 

 

 

打つも打ったり、守るも守ったり、両者全くひかない五分と五分。

 

 

 

バキィッ 互いに強烈な右肘打ちをぶつけ合い、一度離れ構える。

 

 

 

そのあまりの動きに、レイもルナマリアも、否、この戦いを見るもの全てが唖然としていた。

 

 

 

次元が違うのだ、文字通り。

 

 

 

「流石よな、シュバルツ。しかし、その機体でどこまでワシについてこれるかな?」

 

 

 

「やはりマスターアジアか。貴様はこのような異世界で、軍などに所属し、何をなすつもりだ?」

 

 

 

「知りたければ、その拳で語れ! 貴様ほどの男ならば、その方が早かろう!!」

 

 

 

「いいだろう、受けて立ってやる!!」

 

 

 

「ならば、ゆくぞぉ!!」

 

 

 

次の瞬間、凄まじい連撃が互いに放たれ合う。嵐のように凄まじい両者の打撃。

 

 

 

一秒の間に、数十もの打ち合いをしている。

 

 

 

拳と蹴りが、互いに放たれ、防がれ、なお、繰り出される。

 

 

 

打ち負けた方が一方的にやられるであろう、この打撃の交換に、徐々に差が出てくる。

 

 

 

(ザクの動きが、急激に鈍くーー?)

 

 

 

そう、ザクウォーリアの動きが傍目から見ても明らかに遅くなり始めている。

 

 

 

見れば関節可動部から、火花が散り始めていた。

 

 

 

(あの動きに、機体がついて行っていない、このままではーー)

 

 

 

レイが、目を鋭く細める。

 

 

 

シュバルツの登場で巻き返しかけた状況は、悪化しつつあった。

 

 

 

右拳が、ザクのモノアイにまともにヒットし、仰け反りながら両手でガードを固めるザクに、シャッフルハートは、一気に距離を詰めて襲いかかる。

 

 

 

ブロックの上からでも御構い無しのラッシュ。

 

 

 

徐々に、ガードしているザクの両腕が崩れ始める。

 

 

 

ダラリとガードを下げるザクのボディに強烈な拳が叩きこまれ、くの字に曲がるそのアゴに掌底がまともに突き刺さる。

 

 

 

体を縦に起こされたザクにすかさず、後ろ回し蹴りがヒットし、後方へ弾き飛ばされる。

 

 

 

(やはり、モビルスーツでは、この辺りが限界か!!)

 

 

 

「わっははは!! どうした、シュバルツ!? ガンダムを呼ばんのか!? それとも、そのような機体でワシのシャッフルハートの相手ができると思うのか!?」

 

 

 

「よく言う。貴様こそ、遠隔リモートでの操縦であろう。モビルトレースにしては、反応が鈍い。それで私のガンダムの相手など、甘く見過ぎだな」

 

 

 

言うやいなや、シュバルツは肩に装備している片手斧を抜き放ち、水平に構えた。

 

 

 

「マスターよ、この技を破ってから、そのような物言いをするがよい!!」

 

 

 

瞬間、ザクウォーリアがその場でコマのように大回転する。

 

 

 

その勢いは、疾風怒濤の如きものであった。

 

 

 

「これは、シュバルツの必殺技!!」

 

 

 

「いかにも!! シュトゥルム・ウント・ドランクぅ!!」

 

 

 

凄まじい竜巻を起こしながら、ザクウォーリアがシャッフルハートに迫る。

 

 

 

合わせて、シャッフルハートも右手を掲げる。その手は桃色に輝いていた。

 

 

 

「ならば、こちらも! ハートフルフィンガー!!」

 

 

 

漆黒の竜巻に向かって正面から放たれる桃色の光を放つ右手。両者の技が、真っ向から激しく衝突した。

 

 

 

力と力がぶつかり合い、爆発する。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

「何なのよ、コレは!?」

 

 

 

自分達の目の前で、とんでもない光景が映し出される様を、ルナマリアはヤケになりながら、叫んだ。

 

 

 

「ルナマリア、味方機の回収は終わったか?」

 

 

 

「終わったわよ! それより、レイ! あんたよくこんな連中の前で冷静でいられるわね!!」

 

 

 

「ザクウォーリアにあんな動きができることは、俺も驚いている。正直に言えば、悪夢のようだ」

 

 

 

「良かった、あたしだけじゃなかったのね」

 

 

 

「ああ、しかし。今は、やれることをやろう」

 

 

 

「分かったわ、レイ!!」

 

 

 

冷静な同僚から、動揺を押さえようとしている努力を感じたルナマリアは、何処か安心していた。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

光の爆発が晴れ、二機の機体は未だに健在していた。

 

 

 

しかし、シャッフルハートはほとんど無傷に対し、シュバルツのザクウォーリアは、両腕が崩壊し、全身から青い火花が散っていた。

 

 

 

エネルギーも切れ、明らかにもう戦える状態ではない。

 

 

 

「マスターアジアよ。貴様はーー」

 

 

 

しかし、シュバルツの声には、バッテリー切れで動かなくなった機体への絶望や相手への恐怖はなく、驚きの色が強かった。

 

 

 

「さすがよな、シュバルツ。そのような機体でよくぞワシと組み分けた。見事なものよ、貴様こそ我が生涯の宿敵であったわ。

 

貴様ならば、デビルガンダム相手にも遅れは取るまい」

 

 

 

マスターアジアから、闘気が失せていた。構えを解き話しかけてくる。

 

 

 

その様に、シュバルツは得心した。

 

 

 

「やはり、貴様が軍に所属しているのは」

 

 

 

シュバルツの言葉を遮り、マスターアジアが話す。

 

 

 

「あくまで、力を貸しているに過ぎぬ。わしの目的は、デビルガンダムの破壊以外には無いのだからな」

 

 

 

「ならばーー、私に力を貸してくれないか? デビルガンダムの脅威は貴様も知っているはず」

 

 

 

「それは、断る。折角、貴様と敵対しておるのだ。これぐらいでなければ張り合いがない。

 

どちらが先にデビルガンダムを倒すか、勝負と行こうぞ」

 

 

 

男臭い笑みを浮かべるマスターアジアに、シュバルツは真剣な表情で話しかける。

 

 

 

「マスターアジアよ、何故とは問うまい。貴様がデビルガンダムを倒す目的はおそらく、私と同じはずだからな」

 

 

 

「さあてのぅ、大悪党のワシを信じると痛い目を見るかもしれんぞ?」

 

 

 

ニヤリと笑うマスターに、シュバルツも覆面越しに穏やかに笑う。

 

 

 

「貴様の拳が語っていた。シュウジよーー」

 

 

 

「その名は捨てた。そして、貴様はウォルフ・ハインリヒでは無い。貴様は、シュバルツ・ブルーダーよ」

 

 

 

「ふ、違いない」

 

 

 

互いに声を出して笑いあう。あれほどの激闘を繰り広げておきながら、両者の間には親友のような雰囲気が流れていた。

 

 

 

「シュバルツよ、貴様との決着は互いに一対一のファイトーーガンダムファイトをおいて、他にあるまい。

 

それまで、腕を磨いておけ!!」

 

 

 

シャッフルハートは、そう宣言すると、ハート型のMAに変化した。

 

 

 

その上にヤマトガンダムが腕を組んだ姿勢のまま乗る。

 

 

 

そして凄まじいスピードで戦域を離れていった。

 

 

 

「マスターアジアよ、かつての機体全てを使ったうえで私の前に壁足らんとするか。ならば、私もまた、この技を完成させるしか、あるまい。

 

鏡転同血ーーシュピゲル・アンデア・ユングス・ブルートを!!」

 

 

 

再戦を誓うシュバルツは、拳を握り、胸に固く誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

一方、シンの駆るインパルスガンダムとクーロンガンダムの戦闘は、互いの近接用ビーム兵器でのつばぜり合いの状態になっていた。

 

 

 

「どうした? この程度では、このクーロンガンダムを倒すことなど、夢のまた夢ぞ!!」

 

 

 

「クッソー!! 押し切れない!!! 何で!!?」

 

 

 

まるで万力で捕らえられたかのようにビクリともしない敵のビームクロス。

 

 

 

ある時は鞭に、ある時は刃に変わる恐ろしい武器だ。

 

 

 

中途半端な距離で戦うと一気に戦局を決められてしまう。

 

 

 

シンなりに考えた末での結論であった。

 

 

 

しかし、クーロンガンダムは、突如シンのサーベルを斬り払う。

 

 

 

「ーーっ!?」

 

 

 

インパルスの首元に、切っ先が突きつけられていた。

 

 

 

「ふん、ここまでかーー。存外、楽しめたわ! また相見えようぞ!! 異世界のガンダムファイターよ!!」

 

 

 

言うや否や、クーロンガンダムの蹴りがインパルスを後方へ弾き飛ばす。

 

 

 

と同時に、一気にクーロンガンダムは戦域を離れていった。

 

 

 

「な!? 逃げるな!! こんのぉ!!」

 

 

 

追いかけようとするシンだが、同時にインパルスのフェイズシフトが、切れる。

 

 

 

「ちくしょう! エネルギーが!!」

 

 

 

コンソロールパネルに拳を叩きつけ、シンは暗闇の中遠ざかるバーニアの火を睨み付けた。

 

 

 

その彼を回収しようとミネルバが、後方に現れる。

 

 

 

「ーー負けた。ちくしょう!! 俺は、強くなったはずなのに!!! ちくしょう!!」

 

 

 

シンの慟哭が、インパルスのコクピットで響いた。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

三機のMFは、ガーティ・ルーの近くに来るとそれぞれ、白、深緑、橙色の光を胸から放ちだし、光の粒子となって消えた。

 

 

 

ブリッジにて、それを確認したマスターアジアは、一つ頷くと、掌を広げた。

 

 

 

その上に三つの光の球が現れ、ガラス玉となった。

 

 

 

白の球には「和」、深緑の球には「九」、橙の球には「心」の漢字一文字が刻まれている。

 

 

 

それらを握り、裾に戻すマスターアジア。

 

 

 

既に敵は見る影もなく、完全に撤退に成功していた。

 

 

 

「スゲー!! さすが、師匠だ!! なあ、スティング!?」

 

 

 

「師匠!! 俺にもさっきの奴にやった技を教えてください!!」

 

 

 

「アウル、スティング。修行するの?」

 

 

 

ブリッジでの3人の少年少女の反応は、憧れ、焦燥、希望とみな、バラバラではあったが、マスターアジアは気にもせずに告げる。

 

 

 

「真の戦いとは、いかなるものか、理解できたか?」

 

 

 

「あのデタラメなザクの使い手以外なら、武器の間合い。パイロットの癖、全て把握できましたよ。ご協力感謝します、東方先生」

 

 

 

いつものように、ひょうひょうとしながらも、何処か緊張しているネオにマスターは笑った。

 

 

 

「シュバルツは、我が生涯の宿敵よ。貴様らが束になろうと敵う相手ではない。しかし、あの白いザクの使い手とガンダムのパイロット。

 

どちらも見るところがあった。貴様らも注意することだな」

 

 

 

「ーーええ。おそらく、現時点でなら、負けはしないでしょうが、相手はコーディネイター。成長速度も我々ナチュラルとは違いますからね」

 

 

 

「ふんーー、遺伝子やら薬やらに頼らずとも我が流派東方不敗に敵はない。スティング達には、更なる訓練を用意しよう。貴様もやるか? ネオ・ロアノーク」

 

 

 

「謹んで、遠慮いたします!!!」

 

 

 

地球への進路を取りながら、ガーティ・ルーは、宙域を後にした。

 

 

 

こうして、ファントムペイン対ミネルバ隊の戦いは、ファントムペインの完全勝利となったのだ。




みなさん、お待ちかねー!!

圧倒的な力の差に敗北したミネルバ隊。

シンは、自分の非力を嘆き、シュバルツに更なる力を求めるのです。

しかし、さらなる苦難が彼ら一行を待ち受けているではありませんか!?

次回機動武闘伝GガンダムSEED-DESTINY第7話に、レディー、ゴー!!
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