新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
前回のお話で、デビルガンダムの怒りを買ったデュランダルですが。
彼はこれから世界に対してとんでもない演説を行います。
はたして彼の思惑通りに世界は動くのか?
それでは、ガンダムファイト!!
レディイイイイ、ゴォオオオオオオッ!!
瓦礫が落ちる。
デパートだった建物を完膚なきまでに破壊する。
黒地に赤いラインの入ったザクのボディを、赤を基調としたトリコロールの巨大なガンダムの右手が貫いた。
「我のこの手が陰りて嗤う。すべてを屠れと高まり狂う!! 暴ぅうううう裂!! デビィイイイイルフィンガァアアアアアア!!」
強烈な青紫の炎が、全てを焼き尽くさんと周囲を照らし出す。
破滅の炎。
悪魔の力。
「デェエエッド、エンドォ!!」
強烈な爆発と共に、跡形もなく亡者のMSは消されたーー。
宙に浮かぶのは、悪鬼としか思えないほどの強烈な鬼気を放つ巨大な羽を持ったガンダム。
「Dさん。一度、エターナルへ!」
「……」
ゴッドガンダムのコクピットにいるラクスからの通信に静かにDはデビルガンダムの全身から放つ凶気を抑えた。
「…ありがとうございます、Dさん」
プラント報道局。
そのテレビ局員は、目の前で席に座るデュランダルに語り掛けた。
「では議長、よろしいですか?」
ギルバート・デュランダルはこれに一つ微笑むと、つぶやくように頷いた。
「ああ頼む。始めよう」
テレビ局員が頷きながら、合図を送る。
「 3,2…」
デュランダルはモニターに自分が映し出されたのを確認した後、一呼吸を置いて話しかけた。
「皆さん、私はプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルです」
ーー『我等プラントと地球の方々との戦争状態が解決しておらぬ中、突然このようなメッセージをお送りすることをお許しください。ですがお願いです。どうか聞いていただきたいのです』--
ミネルバ艦内にて、ブリッジではこの様子が緊急で放送されているのを受信した。
メイリンがこれに反応し、すぐにタリアに報告する
「艦長! デュランダル議長がプラントから緊急メッセージを!」
タリアとアーサーの瞳が鋭くなり、メイリンに頷く。
「あらゆるメディアを通し、全世界へ向けられています」
「あらゆるメディアを…!! 議長は本気なのか!?」
驚愕するアーサーの横でタリアも頷き、アーサーに指示する。
「始まったわね。シュバルツ殿たちにも聞かせるように艦内に通信を流して」
「あ、はい。ですが、よろしいのですか? レイもいるのでは? 彼はーー」
「仕方ないわ。それに、ザフト軍ではないシュバルツ殿がレイを信じると言ったのよ? 同じミネルバのクルーとして、私たちが信じなくてどうするの?」
「ーーはいっ!!」
力強い瞳で頷くアーサーにタリアも微笑みを浮かべて頷いた。
ーー『私は今こそ皆さんに知っていただきたい』ーー
アークエンジェル艦内ブリッジにて
ミネルバとの作戦で潜水に成功したアークエンジェルは、海中でこの放送を聞いていた。
ブリッジ内は、キラが操舵手としてマリューは艦長席に、ステラが通信席についている。
ほかの者は、仮眠を取っている状態だった。
マリューが瞳を鋭くしながら見据える。
「何? どういうことなの? もしかして、これがキョウジさんの言っていた?」
ステラが瞳を大きく開きながら、モニターのデュランダルを見る。
「ぁ… 、何だろ? この人、怖い」
「ステラ、ごめん。この演説を録音しておいて。後で皆にも見てもらおう」
「うんーー」
キラの言葉に何とか微笑みを浮かべて、ステラは録音を開始した。
「デュランダル議長…」
これを確認して優しく彼女に微笑んだ後、キラは静かにその瞳に炎をたぎらせ始めた。
ーーミネルバのドック内にて
艦内で一番広いこの場所で、シュバルツの修行を受けている4人。
そんな彼らのもとにも、議長の放送が届いていた。
ーー『こうして未だ戦火の収まらぬわけ。そもそも、またもこのような戦争状態に陥ってしまった本当のわけを』ーー
シュバルツが覆面の奥の瞳を鋭くし、皆に叫んだ。
「動き出したか。アスラン! シン達も一度手を止めるのだ」
「「「「はい!」」」」
流れる汗をぬぐいもせず、4人はモニターに映るデュランダルを見つめる。
「さて、どう出る?ギルバート・デュランダルよ」
シュバルツは静かにデュランダルに対し語り掛ける。
宿敵を前にした戦士の顔で。
ーー『各国の政策に基づく情報の有無により、未だご存知ない方も多くいらっしゃるでしょう』--
プラントの人々の前の巨大モニター。
ここに先のベルリン基地での一戦が表示される。
往来を行き来し、買い物中の女子学生の集団。
その中の一人が思わず叫んだ。
「うそー!?」
ーーーー地球にて。
とある飲食屋での一幕。
客の一人である中年男性がこれに反応する。
「なんだ、こりゃあ…」
デパートに買い物に来ていた親子連れの者たちも。
「まあ…」
「あ、怪獣!」
母親が手で口を覆い、幼い子どもは無邪気に指さす。
ーー『これは過日、ユーラシア中央から西側地域の都市へ向け、連合の新型巨大兵器が侵攻したときの様子です』ーー
ロゴスのジブリール邸
薄暗がりの部屋の中で、ロード・ジブリールがモニターを前に大きな反応を示していた。
「なんだこれは!? 止めろ! 放送を遮断するんだ! 早くしろ!」
映像の中の巨大MAデストロイガンダムは、ベルリンの街を焼き払い、大量に現れた一つ目のMS達が街を埋め尽くしていく。
これを横に見ながらチョコレートを一つ摘み食するウォン。
彼の向かいに座るウルベは、ワインを嗜みながら己の長い髪を弄んでいる。
ーー『この巨大破壊兵器は何の勧告もなしに突如攻撃を始め、逃げる間もない住民ごと3都市を焼き払い尚も侵攻しました。
我々はすぐさまこれの阻止と防衛戦を行いましたが、残念ながら多くの犠牲を出す結果となりました。
侵攻したのは地球軍、されたのは地球の都市です。何故こんなことになったのか。連合側の目的はザフトの支配からの地域の解放ということですが、これが解放なのでしょうか?
こうして住民を都市ごと焼き払うことが!
確かに我々の軍は連合のやり方に異を唱え、その同盟国であるユーラシアからの分離、独立を果たそうとする人々を人道的な立場からも支援してきました。
こんな得るもののないただ戦うばかりの日々に終わりを告げ自分たちの平和な暮らしを取り戻したいと』--
オーブ本国に帰国したキョウジ達もまた、シャトルでこの報道を聞いている。
「どういうつもりだ、デュランダル議長は。ロゴスに関わる国が、現状どれだけいるとーー。しかも、プラントだってーー」
「一つは、証拠隠滅。情報を横流ししていた事実を握り潰すために相手先を消す。もう一つは、俺たちが自由に使える部隊。アークエンジェルを倒したこと。他にもあるだろうが、この二つが一番大きいかな」
カガリは自分の隣に座るキョウジを見る。
「邪魔が入らない今のうちに打てる手を打ちたい、だからこそのこのタイミング。
ロゴスが全て悪い、彼らに唆され、あるいは脅されたから同盟を癒着をせねばならない国もいただろう。だから関わる国が悪いのではない。おそらく、彼はそう続けるつもりだ。
そうやって民衆を纏めるーー、パニック心理を使った誘導か。ある意味賢いが、結果を残せなければ一気に自分が糾弾される。でかい博打だな」
静かにキョウジは、自分の手元にあるパソコンに目を落とす。
「ウルベ達がロゴスに居るのなら、この演説をどう捉えるだろうな…」
微かに憂いを帯びた瞳でキョウジは窓から見える空港の景色を見ている。
また多くの人が死ぬーーその確信をもって。
ーー『戦場になど行かず、ただ愛する者達とありたいと。そう願う人々を我々は支援しました』ーー
ベルリン周辺の被災地の映像が映し出される。
泣き喚く子供。
「ママー! ママは!? 」
赤子を抱き、ボロ衣を着た悲哀と憎悪に満ちた瞳の女性。
「あの連合の化け物が何もかも焼き払っていったのよ!」
自宅らしき家の瓦礫の前にいる男が叫ぶ。
「敵は連合だ! ザフトは助けてくれた! 嘘だと思うなら見に来てくれ!!」
映像が切り替わるーー。
ーー『なのに和平を望む我々の手をはねのけ、我々と手を取り合い、憎しみで討ち合う世界よりも対話による平和への道を選ぼうとしたユーラシア西側の人々を連合は裏切りとして有無を言わさず焼き払ったのです!
なんの罪もない子供まで!!』--
ジブリール邸では、いよいよジブリールに余裕がなくなっていた。
「止めろ! 何をやってる!? 早くやめさせるんだ! あれを!!」
ロゴスの幹部から次々と巨大モニターに通信が入る。
「ジブリール、どういうことだね。これは?」
「これは君の責任問題だな!」
「何をしようというのかねデュランダルは」
次々と現れるロゴス幹部の物言いにジブリールは脂汗を流していた。
これらの発言を何食わぬ顔で聞き流し、ウォンはデュランダルの顔を見据える。
ウルベに至っては失笑を隠すのに口元を抑えていた。
「ウルベ! ウォン! 何か、何か良い手はないのか!?」
焦りに焦ったジブリールは、ふと気づいたように言う。
「そうだ! デスルークの映像を流してザフトの茶番だと主張すればーー!!」
これに呆れかえったようなウルベの声があった。
「こんな茶番にわざわざ付き合うのかね? ジブリール」
「…何?」
ウルベの冷酷な瞳と冷たい笑みに、ジブリールは勢いを失った。
ミネルバのアスランたちが戦場の様子を見ながら言う。
「フリーダムやアークエンジェルがいない」
「マスターガンダム達も…!?」
アスランの言葉にルナマリアも続ける。
「く…! やっぱり、議長は!!」
隣でシンが歯を食いしばりながらモニターを見ていた。
「ウォンの言ってた茶番ってこれか……!! 人の命を犠牲にして、茶番を演じてやがる!!!」
怒りを露わにするシンはレイを睨みつけた。
「こんなことをする奴が、世界を平和に導くだって!? 本気で言ってんのか!!」
「……俺は、そう信じている」
シンの怒りを真っ向から受け止め、レイは冷たい瞳でシンを見返す。
「この、わからずやが!!」
思わず胸倉をつかもうと前に出るシンの腕をつかんで止めたのは、アスランだった。
「やめろ、シン!」
「…アスラン隊長! なんで!? あんただって!!」
「その怒りをレイにぶつけたって何も変わらない」
「ぐ……!!」
その様を見ながらシュバルツは静かに言った。
「シン、アスラン。お前たちの怒りは分かる。だが、ミネルバにはプラントに家族を持つ者が多くいる。今は耐えるしかない。一時の怒りで行動すれば、本当に大切なものを見失う。お前たちは、もうわかっているはずだ」
彼の言葉に二人は静かに頷き返してきた。
それを確認すると、シュバルツはモニターに目を戻す。
(レイ、どうすれば分かってくれるんだよ。お前は…!!)
シンは横目にレイを見ながら胸中でつぶやく。そんな彼の肩を静かに一つ叩く者がいた。
「! ルナ」
「抱え込まないでよ。あんたもレイも」
「ああ。分かってるよ」
モニターでは議長の演説が続いている。
ーー『何故ですか?何故こんなことをするのです! 平和など許さぬと! 戦わねばならないと! 誰が! 何故言うのです! 何故我々は手を取り合ってはいけないのですか!?』--
その時だった。
場面が転換し、緑の山と自然に囲まれた背景に一人の少女が映し出された。
「! ラクス…!?」
驚愕に目を見開くアスラン。
彼の目から見ても、今目の前に映るラクスは完璧だった。
完璧すぎて、違和感しかないほどに。
(ミーアじゃない…!!)
「…ギルバート・デュランダル。貴様は己の野望の為にここまでするというのか」
静かにーーシュバルツの全身から気の炎が吹き上がっていた。
ーー『みなさん、わたくしはラクス・クラインです。このたびの戦争は確かにわたくしどもコーディネイターの一部の者達が起こした、大きな惨劇から始まりました』--
アスランすら驚愕するほどに完璧な『ラクス・クライン』にミネルバのクルー達からも歓声が上がる。
「ラクス様だ!」
「ラクス様!!」
シンがアスランを見ながら、言った。
「ラクス・クラインってキラさんの恋人じゃないんですか? どうして…!?」
「…シン。悪いが、あれは議長のラクスだ。本当のラクスじゃない」
「…なんで言わないんですか」
「言ったところで、手遅れだろう」
そういい合う両者だが、ラクスの演説は進んでいく。
ーー『それを止め得なかったこと、それによって生まれてしまった数多の悲劇を。
わたくしどもも忘れはしません。被災された方々の悲しみ、苦しみは今も尚、深く果てないことでしょう。それもまた新たなる戦いへの引き金を引いてしまったの、仕方のないことだったのかもしれません』--
ミーアが攫われたコロニーから脱出する歌姫を乗せた一隻の戦艦。
エターナルに乗艦したラクスは、そのブリッジにて『ラクス・クライン』の完璧な演説ぶりに苦虫を噛んだような表情になる。
「本当に鏡を見ている気分ですわ。わたくしならば、こうするーーそれを完璧にトレースしている」
「……これが、DG細胞のクローンなのか。カーボンヒューマンでも僅かな差異がオリジナルとあると言うのに」
ダコスタの言葉にラクスは静かにドモンの隣で悪鬼のような形相になっている赤い髪の青年を見据えた。
「世話になったな。ドモン。ラクス・クラインに、マーチン・ダコスタ」
「! Dさん、まさかーー」
Dはそれ以上何も言わない。
変わりに彼の胸元から真紅の血のような赤い光が満ち、全てを照らし出すと彼はその場から消えた。
「Dさん!!」
止めようとするラクスをドモンが無言で制した。
「ドモンさん!!」
「Dよ。お前がその拳をどう振るうのか、見せてもらうぞ」
エターナルの艦外モニターでは、デビルガンダムが赤い翼を広げてこちらに一度だけ手を振る。
そのまま一気に背を向けて飛び立って行った。
ーー『ですが、このまま進むことはなりません!
こんな討ち合うばかりの世界に、安らぎはないのです!
果てしなく続く憎しみの連鎖も苦しさを、わたくし達はもう十分に知ったはずではありませんか?
どうか目を覆う涙を拭ったら前を見てください!
その悲しみを叫んだら今度は相手の言葉を聞いてください!
そうしてわたく達は優しさと光の溢れる世界へ帰ろうではありませんか!』--
ミネルバのブリッジではアーサーが苦笑していた。
「以前の私なら、素直にこれを見れたんでしょうけどね。でも、流石ラクス・クラインだ」
「そうね…。現実にベルリンに居た私たちでさえ、彼女の言葉が正しいように聞こえてくるわ」
ーー『それがわたくし達全ての人の、真の願いでもあるはずです!』--
『ラクス』の演説が終わると同時、デュランダルの席の隣へと彼女は現れる。
そのタイミングでデュランダルが口を開いた。
ーー『なのにどうあってもそれを邪魔しようとする者がいるのです。それも古の昔から。
自分たちの利益のために戦えと、戦えと!戦わない者は臆病だ、従わない者は裏切りだ、そう叫んで常に我等に武器を持たせ敵を創り上げて、討てと指し示してきた者達。平和な世界にだけはさせまいとする者達。
このユーラシア西側の惨劇も彼等の仕業であることは明らかです!』--
この言葉に顔色を青くさせたのは、ジブリールとロゴスの面々だった。
モニターのディスプレイにロゴスの幹部メンバーすべての顔写真が貼られていたのだ。
「おやおや、これはこれは傑作ですね」
「秘密結社の幹部の顔が、こうもあっさりと向こう側に知れ渡っているとはな」
ウォンが出来の良い喜劇を見たように、ウルベがつまらないコントを見たように反応する。
その前でジブリールは、必死に部下に通信を送っていた。
「ジブリール!」
ロゴスの一人が思わずジブリールに対策するよう、名を呼ぶ。
「やめさせろ! 今すぐあれをやめさせるんだ! 何故出来ん!?」
ーー『間違った危険な存在とコーディネイター忌み嫌うあのブルーコスモスも、彼等の創り上げたものに過ぎないことを皆さんは御存じでしょうか?』--
それをあざ笑うかのように、デュランダルの演説は続いていく。
「ううっ…」
何もできないことを理解したジブリールは、うめきながらウルベを見た。
「茶番だと言ったな、ウルベ。だが、これでは我々はーー!!」
「何をみっともないことを言っているんだ、君は? こんな子どもじみた幼稚な演説を聞いて何を狼狽えている? 私の同士たる君が」
「…幼稚じみた?」
ウルベの言葉にジブリールは思わず感情を爆発させた。
「何が幼稚なものか!? 奴らは、ユーラシアの虐殺を映像にした挙句に我々の顔と名前まで公表したんだぞ!! このままでは、秘密結社としてのロゴスはーー!!」
「一つ聞くんだがね、ジブリール。君は、世界の敵と呼ばれようとしていることに動揺しているのかな?」
「当たり前だろう!! 貴様も自分の世界で敗北して知っているだろう!? 世界すべてが敵になれば、我々がいくら優れていてもーー!!」
「ふふ、いいだろう。その答えは演説を聞き終わってから説明してあげよう。一つだけ言えるのは、あの時のガンダムファイター達と同じようにはならんだろうね。彼のやり方ではーー」
この期に及んでも余裕のウルベにジブリールは一縷の望みを託すのだった。
ーー『その背後にいる彼等、そうして常に敵を創り上げ、常に世界に戦争をもたらそうとする軍需産業複合体、死の商人、ロゴス!彼等こそが平和を望む私達全ての、真の敵です!』--
街の人々が全て、頭に?マークを浮かばせていた。
「ロゴスってなんだろ?」
「そんな奴がいるのか?」
畳みかけるようにデュランダル議長の演説は続いた。
ーー『私が心から願うのはもう二度と戦争など起きない平和な世界です。よってそれを阻害せんとする者、世界の真の敵、ロゴスこそを滅ぼさんと戦うことを私はここに宣言します!!』--
オーブシャトルで演説を聞き終わるまで降りるのを待っていたカガリとキョウジ。
カガリは静かに一つ息を吐くと、憂い気に頭を抑えた。
「キョウジ、お前の言う通りだ。…これは大変なことになる」
「ああ。だが、デュランダルは墓穴を掘ったかもしれない」
だが、隣のキョウジの言葉にカガリは目を大きく見開いた。
「ーーえ?」
「手の内をさらしたな。奴らにーー!」
キョウジ・カッシュの頭の中では、ほくそ笑む二人の悪党の顔が浮かんでいた。
デュランダルの演説が終わったのを確認すると、ウルベはロゴスの面々に一礼した。
「初にお目にかかる。世界を闇より牛耳ってこられた秘密結社「ロゴス」の方々」
これにウォンも習って横で一礼する。
「ここは、我々の提案に乗っていただけるとありがたいのですがーーよろしいでしょうか?」
二人の笑みは、闇に輝く紅い月のように不気味だった。
「なんだ、君たちは?」
「ジブリール。何故、部外者が君の家にいるのかね?」
そんなメンバーにウルベは笑いかけた。
「部外者ーーですか。確かに。ですが、部外者の我々だからこそ見えるものもあるとは思いませんか?」
「私たちの提供するものは、少なくともロゴスの方々には悪いものではありませんよ」
二人の言葉に胡散臭そうな表情でジブリールを見るメンバー。
「もしかすると、皆さんは先の演説の問題点すら気付かれておられないのですか?」
ウルベの言葉にロゴスの面々は驚愕の表情になる。
「問題点だとーー?」
これにウォンが横から解説を始めた。
「ええ。民衆の指示を集めるために行われた演説ですが、あれはね戦争から逃げたいという民衆のパニック心理を利用しただけのものですよ」
サングラスを持ち上げて彼は言う。
「集まるのは一時的なもの。むしろ掲げられた目的を達成できなかった時の民衆の離れ方はまるでクモの子を散らすようなものです」
「要するに、本物の烏合の衆ということだ」
「ロゴスを討つ、正義の味方の希望に満ちた言葉は美しい。ですが、それならばそれで正義を打ち砕く非情な現実を見せてあげればいいではありませんか」
二人は悪意の塊のような笑みで言う。
それは異形の笑み。
それは正に邪悪。
「夢見がちなコーディネーターの諸君に教えてあげなければいけませんね。正義と悪などという言葉でひとくくりできるほど、単純ではない、と」
「悪ならば悪でかまわないだろう。幼稚な正義を打ち砕く力が悪だと言うならば、むしろ進んで名乗るべきだろう。世界を牛耳るのは我々だ、とね!!」
二人の男はそして言う。
「「そして知るがいい!! 我々を敵に回したその愚かさをなぁ!!!」」
みなさん、お待ちかね~!!
ラクス達と離れたDの前に現れたのは、東方不敗マスターアジア。
いきなりDはマスターアジアにファイトを挑まれるのです!!
一方でデュランダルの演説を聞いたウルベ達は、ロゴスに一つの取引を持ち掛けたではありませんか!!
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第62話に!!
レディー、ゴー!!