新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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 さて、皆さん。

 デュランダルの企みによって地球に住む住民とプラントの民たちが一つにまとまろうとしていました。

 しかも、それはロゴスの手下とされるブルーコスモスの構成員や連合兵士にまで浸透しつつあったのです。

 これにウォンが一つの演説をはじめました。

 一方、宇宙ではデビルガンダム軍団を再結成しようと企むマスターアジアのもとにジェントル・チャップマンとミケロ・チャリオットが現れたのです。

 はたして、マスターアジアは何をしようというのか?

 それでは、ガンダムファイト!!

 レディイイイ、ゴォオオオオオオッ!!

第64話



第64話 因縁の対決 マスターアジア 対 チャップマン

 

 ブルーコスモスメンバーの一人。ルクス・コーラーは、自分の置かれている現状を理解した。

 

 

 

「ジブリール!」

 

 

 

 急いで通信を繋げ、盟主である男に助けを求める。

 

 

 

 同時期に攻め込まれていたブルーノ・アズラエルの方は、コーラーよりも必死になって告げていた。

 

 

 

「助けてくれ! 暴徒が屋敷にまで…!」

 

 

 

 彼らは、夢を見ていたはずだった。

 

 

 

 自分の体が、得体の知れない何かに変わる夢を。

 

 

 

 それが夢だとわかって、ホッとした矢先にこれだった。

 

 

 

「ジブリール! 何とかしろ! うわぁ!」

 

 

 

 ジブリール邸のモニターど流されるロゴス幹部たちの阿鼻叫喚。

 

 

 

ーー地球連合・ヘブンズベース基地。

 

 

 

 この場に集合したロゴス構成員たちは、その映像を巨大モニターに流されているのを目にする。

 

 

 

「みなさん、はじめまして。私は盟主ジブリールの参謀を務めさせていただいております。ウォン・ユンファと申します」

 

 

 

 そんな彼らの前に一人の長髪にサングラスのコートを着たスーツ姿の男が演説を始めた。

 

 

 

「ご覧ください、連合兵士・ブルーコスモス構成員のみなさん。これが長年あなた方が仕えてきた主たちの姿です。

 

 なんと粗末なことでしょう。

 

 あなた方はこんなモノのために、その尊い命を犠牲にしてきたのです。

 

 腹が立ちませんか?

 

 自分たちの人生はなんだったのか? 疑問を持ちませんか。

 

 いま、これがあなた方にとっての最後のチャンスなのです。諸君らが蒙昧な忠義に囚われ、その尊い命を無能な豚どもに捧げるのであれば、私は止めません」

 

 

 

 彼の演説は自然とその場にいた人々の心に沁み渡るように、響き渡る。

 

 

 

 彼はサングラスの奥にある瞳を悲哀に満ちたものにすると悲痛な叫びを上げた。

 

 

 

「ただ私は悔しいのですよ。

 

 これほど優秀な組織、これほどまでに優れた構成員を擁していながら、たかが一般市民からなる烏合の衆に攻め込まれ、ろくに応戦もできずに無様に助けを乞うてくる。

 

 もう一度その目でごらんなさい。醜い豚どもの顔を。これが現ロゴスの頂点たちの実態です」

 

 

 

 悲し気だった表情は怒りのそれになり、ウォンは更に強く告げた。

 

 

 

「組織にとって彼らは、癌以外のなにものでもない。

 

 世界の支配者となるならば、我らの真のロゴスの王に与しなさい」

 

 

 

 そんな彼の演説に最前列にいた一人の兵士が言った。

 

 

 

「だけど! ギルバート・デュランダルは! この泥沼の戦争を終わらせようとしてくれているんだぞ! 戦争が本当に終わるなら!」

 

 

 

 彼の言葉は実質、ロゴスに対する裏切りだった。

 

 

 

 それでも、ウォンと言う男は慈悲深い笑みをもってその言葉に頷き、答える。

 

 

 

「あなたの意見はよくわかります。ですが、これをご覧ください」

 

 

 

 ここでウォンが提示したのは、全世界に向けてデュランダル議長が放送したものとは少し異なっている。

 

 流される映像は蹂躙されたベルリンの街。議長の演説のなかでは消えていたアークエンジェルとストライクガンダム。

 

 

 

 そしてカオスガンダムにマスターガンダム達。

 

 

 

 その後のデストロイガンダムからゴッドガンダムを模したデスルークへの変化。

 

 

 

 プラントからの送信ナンバーがついたデストロイガンダムの設計図。

 

 

 

 さらには地球を席巻したユニウスセブン、その墜落に関わったテロリストたちのMS--ジン・ハイマニューバⅡ型とそれを基にしてDG細胞で変化させられたゴッドガンダムを模した機体ーーデスナイト。

 

 

 

 ウォンはすべての映像の事実を一目瞭然となるように次々と流していく。

 

 

 

 それらが、合成などでできるものではないことを証明しながら。

 

 

 

「なんだよこれ……! なんなんだよぉ……っ!」

 

 

 

「わかりますよ。クモの糸をつかむような、最後の希望だったのですね?」

 

 

 

「う、ぁ、ああっ……! 家族が、居たんだ……! ベ、ルリンにっ」

 

 

 

 絶望に打ちひしがれ、その場にうずくまる男にウォンは歩み寄り、肩を静かにたたく。

 

 

 

「そうですね。あなたのような現場の構成員の方には、なにも告げられませんからね。

 

 ですが現実を見てください。これが真実なんですよ。あのきれいごとを語るデュランダルの。こんな男が本当に、約束を守りますかね?

 

 仮に争いを終わらせたとして、そこにあなたの望む未来が待っているのでしょうか?

 

 世界にはね。あの男が語るような都合のいい平和などありはしないんです。必ず搾取する者、される者に分かれてしまう。それが摂理なのです。

 

 私ならこの泥沼を終わらせられる。諸君らの望むロゴスの世界をつかんで見せます」

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

 すがるような目を向けてくる構成員。

 

 

 

 その周囲の者たちも彼の言葉に飲まれている。

 

 

 

「そう。みなさんの力を使えば、一瞬でこの状況を覆して見せましょう。

 

 そして私が晴らせてあげましょう。あなた方の無念を。

 

 涙をぬぐって前を見たら、相手を想ってくださいと、どの口が言うのか? と。

 

 この私が、奴らを処断してあげましょう」

 

 

 

「ああ、ああっ……!」

 

 

 

 ウォンのフィンガースナップが鳴り響き、モニターの画像が移り変わる。

 

 

 

 そこにいたのは、無限の大地に地平線にまで佇むデスアーミーの大群とデスルークの黒い壁だった。

 

 

 

「この戦力差を、うち破れますかね。むなしい夢物語に踊らされた、哀れな暴徒たちに。そしてコーディネーターに与した、愚かな連合兵士たちに」

 

 

 

 それは現在のロゴスにはあり得ないほどの戦力。

 

 

 

 全盛期のロゴスが保有している兵力の軽く倍は整っている。

 

 

 

 地球連合の全体の物量、ザフト全体の戦力。それらを上回るものだろう。

 

 

 

「これらはまだほんの一部の戦力に過ぎません」

 

 

 

 そんな戦力を見せながら、ウォンはサングラスを指で押し上げていとも簡単に言う。

 

 

 

 これに兵士の誰かが言った。

 

 

 

「何者なんだ……! あんたは?」

 

 

 

 これに笑みだけを浮かべて返すと、ウォンは立ち上がり全体にむけて両手を広げて叫んだ。

 

 

 

「本当の支配者がだれか、知らしめようではありませんか。思いあがった宇宙そらの子どもコーディネーターたちを地に這いつくばらせ、許しを乞わせましょう。

 

 我らに反旗を翻した愚か者たちに、現実を突きつけましょう。

 

 この世界がだれのものか、という現実をね」

 

 

 

 彼の言葉に、それまで意気消沈としていた兵士や構成員の士気が高まり、熱となり、怒号となって答えた。

 

 

 

 次々と拳を作り、天に突き出す。

 

 

 

 

 

「ハ、ハハハッ! よく言う!」

 

 

 

 この光景を見ながらジブリールは向かいのウルベに笑いかける。

 

 

 

「ベルリンを自らの手で焼き払っておきながら、よくもまあその遺族の前でぬけぬけと! ウォンの役者ぶりには驚かされるよ!」

 

 

 

 ワインを向かいの席のグラスに注ぎながら語るジブリールに一つ会釈してウルベはワインを一口飲むと言った。

 

 

 

「あれを指示したのは君だよ、ジブリール。それに、今回の演説くらいはやってもらわねば私たちが組んでいるメリットがない。

 

 ウォンは四年もの間、私たちの世界を支配した実績がある」

 

 

 

「つくづく化け物じみた奴らだよ、君たちは」

 

 

 

 やっかみ半分の笑みで言うジブリールに冷酷な笑みを返しながらウルベは言った。

 

 

 

「化け物? 違うな。我々は世界の敵だ。そうだろ?」

 

 

 

「フ、フフッフッフッフッフ! ハッハッハッハッハッハ!」

 

 

 

 二人の笑い声が闇の中に響いていく

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 現在あるプラント本国の一群から、少々離れた廃棄コロニーや戦艦、MSなどの残骸の数々ーースペースデブリの中で、二機のMFが身を潜めていた。

 

 

 

 そのうちの一機ーーマスターガンダムのコクピットで、ギルバート・デュランダルの再びの演説を聞いて、東方不敗マスターアジアは静かに目をつむり言った。

 

 

 

「これがギルバート・デュランダルか。なるほど、危険な男よ。人間を自分の意見にまとめ上げるだけのカリスマを持っておる」

 

 

 

 その言葉にデビルガンダムのコクピットにいるDは瞳を細め、マスターガンダムに顔を向けて言う。

 

 

 

「マスターガンダム。こんなデブリ帯に何の用だ?」

 

 

 

「ふん、せっかく貴様のDG細胞があるのだ。使わねば損と言うものよ」

 

 

 

「ーー何?」

 

 

 

「よいか、わしらは人類の敵だ。デュランダルが作り出した紛い物ーーロゴスとは違う。本当の意味での敵となるのだ。そして、敵足りうるには力が要る。貴様の大事な女子を救うためにもな」

 

 

 

 言いながらマスターガンダムは周囲の残骸に使えそうなものがないかを確認していく。

 

 

 

「母艦もしくは拠点がわしらにも必要となる。一番良いのは、デュランダルとやらが貴様を復活させたそのーー何とかというコロニーを持てれば早いのだがな。MSに貴様のクローン体、かつてのデビルガンダム軍に勝るとも劣らぬ部隊が出来上がるであろう」

 

 

 

 数ある艦の残骸から、一隻の戦艦を見据える。

 

 

 

 復元させるなら、もっと形の残っているものがあるというのに、マスターアジアはその戦艦に強く惹かれた。

 

 

 

 マスターアジアにはその残骸から戦士の遺志を感じたのだ。

 

 

 

 水色のザフト製の戦艦の残骸だった、名をヴォルテール。

 

 

 

 かつて、クルーゼ隊が乗っていたアデス艦長の艦である。

 

 

 

「…ほう。これは中々良いものだ」

 

 

 

 言いながら手を伸ばそうとして、マスターガンダムは動きを止めた。同時にデビルガンダムも顔を横に向ける。

 

 

 

 マスターアジアの口元がにやりと笑みを浮かべ、Dの瞳は鋭くなる。

 

 

 

「丁度良い、四天王も一気に復活できそうだな!」

 

 

 

「…そう上手く行くか?」

 

 

 

「行かぬなら、力づくで従わせるまでよ!!」

 

 

 

 言うや否や、気配を感じた方に一気に飛び立つマスターガンダム。

 

 

 

 これを見送ると、静かにDは倒されたボルテールを見据える。

 

 

 

「……」

 

 

 

 そのままに、Dもデビルガンダムの羽を広げ、気配のあった方向に向かって飛び立った。

 

 

 

 

 

 思った通りの二機のガンダムが宇宙空間に浮かんでいた。

 

 

 

 ジェントル・チャップマンのジョンブルガンダムとミケロ・チャリオットのネロスガンダムである。

 

 

 

「…来たか、マスターアジア」

 

 

 

「待たせたようだな、チャップマン」

 

 

 

「構わん。今この場で、どちらが史上最強のファイターかを決められるのであれば」

 

 

 

 言いながら、チャップマンはジョンブルガンダムの全身から青白い闘気を吹き立たせる。

 

 

 

 これにマスターアジアも東方不敗の構えを取り、紫色の気をガンダムの全身にまとわせる。

 

 

 

「ほかに何がいるというのか……!? そうだろう、マスターアジア!!」

 

 

 

 獅子王の咆哮に応えるのは、不敗の猛虎の雄叫びだった。

 

 

 

「…ふん。ならば、受けてみせい!! ガンダムファイトォ!!」

 

 

 

「レディイイイ!!」

 

 

 

「「ゴォオオオオオオッ!!」」

 

 

 

 ぶつかり合う獣王と鬼神。

 

 

 

 マスターガンダムの神速の踏み込みからの右正拳。

 

 

 

 これを片手でつかみ取るジョンブルガンダムの神域の見切り。

 

 

 

 鬼をも屠る一撃を軽々と放つ鬼神が如き男と、それを完璧に捌いて返す精密機械のような男。

 

 

 

 炎と氷。

 

 

 

 両者は相いれない存在でありながら、惹かれあう。

 

 

 

 力と技のぶつかり合い。

 

 

 

 何気なく繰り出され、交換する拳や蹴りの数々は必殺の威力。

 

 

 

「ぬぁあああああっ」

 

 

 

 裂帛の気合とともに放たれたマスターガンダムの右の拳を右拳の甲で受け流しながら、マスターガンダムの右側面に入ると同時に左の正拳を右面に放つジョンブルガンダム。

 

 

 

 流れるように自然なその一撃をマスターガンダムが顔の横に構えた左掌で受け止める。

 

 

 

 転瞬、高速でその場から動きながら拳と蹴りを交換しあう両者。

 

 

 

 一秒間に数十発は放たれる打撃の交換。

 

 

 

 目まぐるしく入れ替わる両者の位置。

 

 

 

 拳と拳をぶつけ合い、離れ合う両者。

 

 

 

「…相も変わらず。正確な攻撃と見切り、恐るべき男よ」

 

 

 

「貴様こそ。あの時の大会以上の気だ。いいぞ、これでこそ『最強』を決める戦いに相応しい!!」

 

 

 

「現状において、最強の称号は我が愛弟子が持って居る。奴に挑戦するのがどちらか、決めておくとしよう!!」

 

 

 

「面白い、確かに今のドモン・カッシュは貴様よりも強い!!」

 

 

 

 笑いながら応えるチャップマンに東方不敗も笑う。

 

 

 

「その様子ならば、貴様ドモンと立ち会ったな?」

 

 

 

「ああ。余計な邪魔が入ったが、あのまま戦えばどうなっていたかな。確かに素晴らしい戦士になっていたぞ」

 

 

 

「その話、貴様を倒してからじっくりと聞かせてもらおう!!」

 

 

 

 言うやいなや、一気に気を高めて殴りつける。

 

 

 

「ダァアアアクネスフィィンガァアアアア!!」

 

 

 

 いな、右正拳に見せかけたそのフォームから必殺のフィンガーを放つマスターガンダム。

 

 

 

 しかし、ジョンブルガンダムは受け流すのではなく、右手首の部分を掴んで受け止めると、自身の右側に投げるようにして流し、強烈な左のボディを入れ、マスターを弾き返す。

 

 

 

「ふん」

 

 

 

 背中に背負ったライフルを抜き放つと、右手一本で構えて放つ。

 

 

 

 同時、弾かれたマスターも右手からダークネスショットを放った。

 

 

 

 中央でぶつかり合う両者の光弾だが、マスターガンダムの一撃は容赦なくジョンブルガンダムのライフルを飲み込み、貫いていく。

 

 

 

 咄嗟に左に見切るジョンブルガンダムだが、その先にマスターガンダムが回り込んできた。

 

 

 

「逃さん!!」

 

 

 

 強烈な右のハイキックを放たれ、ガード越しに吹き飛ばされるジョンブルガンダム。

 

 

 

 マスターガンダムが続けざまに左のダークネスフィンガーを放ってきた。

 

 

 

 当たれば、ガードに使った両腕と首をそのまま持っていかれる。

 

 

 

 咄嗟にジョンブルガンダムのバーニアを使って後方にバックステップし、鼻先で避ける。

 

 

 

「ーーフン!」

 

 

 

 射程距離外に逃げたジョンブルガンダムにマスターの右手が肘の関節部から外れて伸びた。

 

 

 

「ディスタントクラッシャー!!」

 

 

 

 伸びた右腕はジョンブルガンダムの左腕を掴むと、引き寄せるように本体の肘部にくっつき、強烈な左の拳をジョンブルガンダムの右頬に叩きつけた。

 

 

 

「ぐぅ!!」

 

 

 

 うめき声をあげながら後方に弾き飛ばされるチャップマン。

 

 

 

 それを羽を広げて加速しながら追いかけるマスターガンダム。

 

 

 

 

 

 

 

「チャップマン!!」

 

 

 

 思わずと言う風に観戦していたミケロのネロスガンダムが一歩前に出ようとする。

 

 

 

「余計な真似はするな、ミケロ・チャリオット」

 

 

 

「……デビルガンダム!!」

 

 

 

 自分の背後に回っていた、ゴッドガンダムと同じ顔とボディ、マスターガンダムの腕と羽を模したガンダムを睨みつける。

 

 

 

「貴様もファイターならば、あの二人の戦いにケチをつけるな」

 

 

 

「……! 機械のてめえが、人間のファイターたる俺に命令をするってのか?」

 

 

 

「……聞き入れず我に逆らうというのであれば、もう一度叩きのめすまでだが?」

 

 

 

 ミケロとて、現状でデビルガンダムに勝てる手段がないことは理解していたため、大人しくその場にとどまる。

 

 

 

 それを横目で見てDは両腕を組んだまま、二人のファイトを見据えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 追撃を仕掛けてくるマスターガンダムに対し、ジョンブルガンダムは態勢を整えると同時に迎え撃った。

 

 

 

 繰り出される拳と拳、蹴りと蹴り。

 

 

 

 高速打撃の打ち合いに、連続で衝撃波が巻き起こる。

 

 

 

 強烈なハイキックを互いに放ちあい、互いの蹴りがぶつかり合う。

 

 

 

 咄嗟に両者はバックステップすると、ジョンブルガンダムが再び背中のライフルに手をかけて片手で構える。

 

 

 

「ーーなに?」

 

 

 

 対するマスターガンダムの態勢にチャップマンは驚愕に目を見開いた。

 

 

 

 その構えは、右腰に両手をたわめておいていたのだ。

 

 

 

 両の手の中には、紫暗の炎の球が生じている。

 

 

 

「石破天驚拳!!」

 

 

 

 紫暗の炎の弾がMF一機を軽く飲み込むほどの大きさで放たれる。

 

 

 

 ほとんど気を溜めずに放たれたその一撃は、戦艦の主砲クラスの威力を誇る。

 

 

 

「チっ!」

 

 

 

 舌打ちと同時に宇宙空間でありながらも右側に前方転身し、避けるジョンブルガンダム。

 

 

 

 そこへ、先回りしたマスターガンダムの強烈な右の横蹴りが放たれていた。

 

 

 

 両手で受け止め、しっかりと蹴り脚を掴むとマスターガンダムの胸元を掴みあげ自分の後方へ背負い投げする。

 

 

 

 空中で体を翻し、態勢を立て直してくるマスターガンダムの喉元を狙ってジョンブルガンダムは右の前蹴りを放った。

 

 

 

「グランドォオオ、ホォオオオン!!」

 

 

 

 青白い雷を纏った右のつま先は、角を思わせる程に鋭利な一撃となって放たれる。

 

 

 

 咄嗟に両腕でガードしようとするマスターだが、その威力に気付きバーニアを使って後方へダッシュ。

 

 

 

 紙一重で避ける。

 

 

 

「避けたか、流石だな」

 

 

 

 称賛するチャップマンに応えず、マスターは構えを取りながら言う。

 

 

 

「今の技ーーグランドガンダムの?」

 

 

 

 これにチャップマンは頷いて答える。

 

 

 

「そうだ」

 

 

 

 チャップマンは自分のボディであるジョンブルガンダムを見下ろして言う。

 

 

 

 同時に背中のロングライフルを抜いて手元に置く。

 

 

 

「俺に最も適したガンダムはこのジョンブルガンダムだ。だが、グランドガンダムのパワーも捨てがたかった」

 

 

 

 すると、ロングライフルが右手と左手に別れて二丁に増えると同時に砲門が二門へと変わった。

 

 

 

 グランドキャノンと呼ばれた砲身へと。

 

 

 

 これを改めて背中に交差させて収める。

 

 

 

「だから、俺に適した姿になってもらったのだ」

 

 

 

「なるほどな。グランドガンダムのDG細胞によりジョンブルガンダムへの擬態を行う、だけではなく貴様と人機一体となっていたオリジナルのジョンブルガンダムをグランドガンダムに取り込ませたか」

 

 

 

 得心したマスターに頷きながら、チャップマンは語る。

 

 

 

「そして、グランドガンダムとジョンブルガンダムの二つの特性を持った新しい機体へと変化させる。ウルベやウォンと手を組んだのも、この機体を完成させるためだ」

 

 

 

 グランドガンダムの火力とパワーを持ったジョンブルガンダムへと変化したと言うわけである。

 

 

 

「だが、グランドホーンに関してはミケロのおかげだな」

 

 

 

「なるほど。銀色の脚を学んであのガンダムローズをも行動不能にした角の一撃を再現させたのか」

 

 

 

 機体同士の融合、技の開発。

 

 

 

 チャップマンは、強さへの余念がなかった。

 

 

 

「となれば、ミケロのネロスガンダムもーー」

 

 

 

「当たり前だ、もっとも奴の場合はまだ機体を使いこなせていないようだがな」

 

 

 

 この答えにマスターアジアはにやりと笑った。

 

 

 

「フフフ、楽しみが増えたわ。チャップマンよ、貴様がわしに負けた場合、無条件で我らデビルガンダム軍に貴様とミケロは入ってもらうぞ!!」

 

 

 

「ーー何?」

 

 

 

「これは、既に決定事項だ!!」

 

 

 

「相変わらず、勝手な男だ」

 

 

 

 今聞かされた理不尽ともいえる言動に、チャップマンは一言だけ告げると異論を唱えるでもなく構えを取る。

 

 

 

「マスターアジアよ、俺と俺のガンダムが得た新しい能力を見せてやろう」

 

 

 

「よかろう、来るがいい! 我が流派! 東方不敗に負けはない!!」

 

 

 

 互いに睨み合う。

 

 

 

 一瞬後、チャップマンはその場から左の拳でジャブを放った。

 

 

 

(そんな間合いで振って何になる?)

 

 

 

 マスターガンダムとジョンブルガンダムの間合いは、蹴りすらも届かない間合い。

 

 

 

 気弾や銃弾でなければ、その場から届くような技はない。

 

 

 

 それ以外であるとすれば、先のマスターガンダムのように腕を伸ばす技だがーー

 

 

 

「! しまった!!」

 

 

 

 咄嗟に気付き、首を横にひねる。

 

 

 

 同時にジョンブルガンダムの拳がマスターガンダムの右の空間を刈り取って行った。

 

 

 

 手首からワイヤーのようなものが伸び、ジョンブルガンダムのリーチが一気に伸びたのだ。

 

 

 

「グランドボンバー、という。しかし、よく避けたな」

 

 

 

「たわけが、そのような小賢しい技でわしを止められるものか!!」

 

 

 

「ならば、試してやろう」

 

 

 

 淡々とした口調で放たれる強烈な左の拳。

 

 

 

 マスターガンダムは余裕を持ってそれを右に首を倒すだけで見切り、踏み込もうとして気付いた。

 

 

 

 既にジョンブルガンダムの左拳は次のジャブを放つ姿勢になっている。

 

 

 

「チャップマン、貴様!!」

 

 

 

「イギリスにもボクシングはあるぞ? マスターアジア」

 

 

 

 世間話をするような気安さで次々と放たれる鋭く硬い拳。

 

 

 

 上体を反らし、拳で付け根をはじきながら踏み込んで右手のフィンガーを放とうと気を溜めるも。

 

 

 

「ぬぅっ!!」

 

 

 

 掌が紫暗に輝き始めたと同時に、手首を叩かれて上に跳ね上げられた。

 

 

 

 顔をさらけ出したマスターにジョンブルの左拳が次々と狙い放たれる。

 

 

 

「おのれぃ!!」

 

 

 

 咄嗟にガードを固めるしかマスターガンダムにできることはなかった。

 

 

 

 踏み込んだ分、元の位置にはじき返される。

 

 

 

 肩口からまっすぐに放たれるその一撃は、避けづらく、早く、そして速射性も高い。

 

 

 

「……やりおるわ」

 

 

 

 マスターをして、そう言わしめる。それほどのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 観戦していたDが思わず感嘆の声を上げる。

 

 

 

「なんという強力にして正確な拳打だ」

 

 

 

 チャップマンの冷静な瞳を睨みつけながら、Dは言った。

 

 

 

「マスターアジアがダークネスフィンガーを放とうと気を集中した一瞬を狙って手首を跳ね上げた。いや、それを考えることは誰にでもできるだろうが、あの破壊力を前に躊躇なく実行できるとは」

 

 

 

「けっ、なめんじゃねえよ! デビルガンダムよぉ」

 

 

 

 驚嘆するDに対して、ミケロは不機嫌そうに言い放った。

 

 

 

「なに?」

 

 

 

「チャップマンは三度に渡ってガンダム・ザ・ガンダムの称号を勝ち取った王者だぜ? あれくらい屁でもねえ」

 

 

 

 言いながらミケロは自身を振り返って思う。

 

 

 

(ーークソッ、なんて強さだ。どっちも!!)

 

 

 

 

 

 マスターガンダムは静かに構えを取ると言った。

 

 

 

「大したものよ。ディスタントクラッシャーで迎え撃とうにもそう連射できるのであれば、こちらが不利。ならばーー」

 

 

 

 その場でフットワークを刻み始める。

 

 

 

 ゆらりとした残像をも生み出すその動きは、流派東方不敗の技の一つ。

 

 

 

「この動きをとらえることができるかな?」

 

 

 

「演舞かーー。面白い」

 

 

 

「ゆくぞ、酔舞! 再現江湖・デッドリーウェェエエエエイブ!!」

 

 

 

 ゆらりとした動きから物理法則を無視した速度で一気に残像を散らしながら、踏み込むマスターガンダム。

 

 

 

「ならば、全て撃ち落とす!!」

 

 

 

 チャップマンはそう言うと、次々と左のジャブであるグランドボンバーを放ち続ける。

 

 

 

 避けるも避けたり、撃つも撃ったり。

 

 

 

 超スピードでの動きで両者は交差し合う。

 

 

 

「ぬん!!」

 

 

 

 無数に放たれたジョンブルのジャブが本体の顔を捉えようとした時、マスターガンダムは気合を入れて右拳で左の拳を下に払いのけた。

 

 

 

 同時に懐に飛び込んで見せる。

 

 

 

「隙ありぃ!!」

 

 

 

 左の拳でボディブローを放つマスター。

 

 

 

 しかし、その一撃はジョンブルガンダムの青白い雷を纏った右掌に掴みとめられていた。

 

 

 

「ーーなにぃ!!?」

 

 

 

「グランドサンダー」

 

 

 

「チィイイイッ」

 

 

 

 咄嗟に掌を払いのけて下がるマスターガンダム。

 

 

 

 一瞬後、強烈な光を放つ紫電の球がジョンブルガンダムの右掌に生じていた。

 

 

 

 そのままつかみ取られていれば、間違いなく全身を電流が走り、動きを奪われてしまっていただろう。  

 

 

 

「安心するのは早いぞ。その間合いはーー」

 

 

 

「なんと!?」

 

 

 

 ジョンブルガンダムの右足に紫電の雷が纏い、斜め上に蹴り上げられる。

 

 

 

「グランドホーン」

 

 

 

 態勢の崩れたマスターガンダムに避けるすべはない。

 

 

 

 だが、この男はマスターアジアである。

 

 

 

 いつまでも後退などする男ではない。

 

 

 

「ならば、ダァアアアクネスフィィンガァアアアア!!」

 

 

 

 右手に紫暗の炎を纏わせ、マスターガンダムのフィンガーとジョンブルガンダムのホーンがぶつかり合う。

 

 

 

 相殺ーー。

 

 

 

 強烈な光の衝撃波が両者の技によって生まれ、二機の間合いを離れさせる。

 

 

 

「グランドキャノン」

 

 

 

 間髪入れず、ジョンブルガンダムは背中に差していたロングライフルを一丁引き抜くと、マスターガンダムに放った。

 

 

 

「どぅわ!!」

 

 

 

 悲鳴を上げながら、強大な砲撃の威力に弾き飛ばされるマスターガンダム。

 

 

 

 それを淡々と見据えながら、もう一丁のライフルを抜くと、左右に構えて、次々と放つ。

 

 

 

 砲弾は宇宙空間で次々と爆発し、マスターガンダムを追い詰めていく。

 

 

 

 左右にステップしながら避けるマスターガンダムであったが、チャップマンの正確な射撃はついにマスターガンダムの顔を捉えた。

 

 

 

 強大な爆発が再び起こる。

 

 

 

 が、それを一瞬でかき消し、マスターガンダムが両の拳を腰において構えをとって現れた。

 

 

 

 瞬間、黄金の気柱が生じる。

 

  

 

「!! 明鏡止水の境地ーーハイパーモードか」

 

 

 

 黄金の機体へと変化したマスターガンダムにジョンブルガンダムが両手に持った左右のロングライフルを構える。

 

 

 

「続きをはじめるか、マスターガンダムよ」

 

 

 

「来るがいい、ジョンブルガンダム!!」

 

 

 

 左右のライフルが火を噴く、と同時にマスターガンダムがその場から消えた。

 

 

 

 現れたのはジョンブルガンダムの目の前。

 

 

 

 紫の光を放つ右手を振りかぶっている。

 

 

 

 同時にジョンブルガンダムも右手に溜めた雷の球を突き出す。

 

 

 

 両者の紫暗の炎と紫電の球がぶつかり合った。

 

 

 

 強大な爆発と共にまたしても相殺する一撃。

 

 

 

 瞬間、マスターガンダムの猛攻が始まった。

 

 

 

「! なに?」

 

 

 

 嵐のような連撃が始まったのだ。

 

 

 

 ジェントル・チャップマンとジョンブルガンダムをして受けに回らざるを得ない程の。

 

 

 

 見ればマスターガンダムはそのエネルギーの全てをラッシュに繰り出していた。

 

 

 

(速く、鋭い! これがハイパーモードのマスターガンダムか!!)

 

 

 

 ピンボールのように左右に弾かれるジョンブルガンダム。

 

 

 

 まともに受ければ、ガードした腕を砕くほどの威力の連撃を、ジョンブルガンダムは冷静に捌いている。

 

 

 

 そう。

 

 

 

 捌いて、この威力であった。

 

 

 

(ガンダムがファイターの力を引き出し。ファイターがガンダムの力を引き出している。事実上、今のマスターガンダムを倒すのは不可能、か)

 

 

 

 

 

 

 

 Dをしていよいよこれが終盤だと気付く。

 

 

 

 マスターアジアは自分と丸一日全力で戦い、究極の石破天驚拳を放って気力がほとんど残っていない状態だった。

 

 

 

 それからマスターは気の回復に一日を使い、万全の状態にまで戻している。

 

 

 

 恐るべき回復力と言えた。

 

 

 

 それでも、このラッシュは長時間保つものではない。

 

 

 

 一瞬でも手が遅れれば、手痛いカウンターを食らうのは必定。

 

 

 

 仮にラッシュが続いたとしても、終わりまでチャップマンが受け切れば、一気にマスターは不利になる。

 

 

 

「獅子王争覇、か。確かにあの男にふさわしい」

 

 

 

 Dは静かにこの勝負の行方を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 苛烈な攻めにさらされながらも、思考に埋没するチャップマン。

 

 

 

 体は自然と動く。

 

 

 

 鋭い攻撃を捌きながら、左のジャブーーグランドボンバーで牽制しながら、右手の電球ーーグランドサンダーで衝撃を和らげて受け流しながら。

 

 

 

(だが、このラッシュには終わりが来る。それを待って、グランドホーンを打てばよい)

 

 

 

 残像と戦っているかのような錯覚に陥りながらも、チャップマンは攻撃を捌いている。

 

 

 

 見えない攻撃だと言うのであれば、見なければよい。

 

 

 

 体が自然と反応するままに、チャップマンはハイパーモードのマスターを捌いている。

 

 

 

 一方でマスターアジアも同じだった。

 

 

 

 既にマスターアジアは無意識の境地にいる。

 

 

 

 ただ体が反応するままに、闘争本能の塊となって攻撃を放ち続けていた。

 

 

 

 だが、彼自身も分かっている。

 

 

 

 この動きは自分にとって最上の動きだ。

 

 

 

 この動きをずっと続けることはできない。

 

 

 

 既にマスターは自分の動きに違和感を感じ始めていた。

 

 

 

 拳が徐々に重くなっている。

 

 

 

 繰り出す蹴りに切れがなくなってきている。

 

 

 

(このままでは、いずれハイパーモードが切れる、か。ならばーー!)

 

 

 

 マスターアジアは、その時を待つ。

 

 

 

 己の気力が尽き果て、動きが鈍る時ーー、その時こそが勝負の境目だと理解した。

 

 

 

 唐突に、それは来た。

 

 

 

 自分の全身から気が抜け、体が一気に重くなる。

 

 

 

 マスターガンダムが黄金から元の黒を基調としたボディに戻ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 思わず、拳を握ってミケロが言う。

 

 

 

「こらえきりやがった、チャップマンのやろう!!」

 

 

 

 ラッシュの最後の右ストレートを捌かれると同時に、マスターガンダムの全身を覆っていた黄金の気が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時にチャップマンの右手がマスターガンダムの手首をつかむ。

 

 

 

「グランドサンダー」

 

 

 

「ぐぅおおおお!!」

 

 

 

 電撃が全身を襲い、マスターの体を麻痺させる。

 

 

 

 身動きの取れないマスターガンダムに、強烈な角の一撃が迫る。

 

 

 

「終わりだ、マスターアジア。グランドホーン」

 

 

 

 右足のつま先で喉元を狙って放たれる強烈な前蹴り。

 

 

 

 

 

 

 

 Dが目を見開く。

 

 

 

「見事だ、チャップマン」

 

 

 

「チャップマン!!」

 

 

 

 ミケロが勝利を確信して、ジェントル・チャップマンの名を称賛の意を込めて呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 だが、その一撃は空を切った。

 

 

 

 動くはずのないマスターガンダムが、よろよろとした動きでありながらも自分の左脇に避けたのだ。

 

 

 

「…あ、甘いわ! 戦いはまだ、終わっておらんぞ!!」

 

 

 

 息も絶え絶えとしながら、告げる男の気力ーー。

 

 

 

 マスターの人外ともいえる気合いが、不可能を可能とした。

 

 

 

 そんな宿敵の動きにチャップマンは喜びと共に言った。

 

 

 

「見事だ、マスターアジア。だが、角は一つではない」

 

 

 

 蹴り抜いた右足を軸足に戻すと、今度は左の脚が雷撃を放ち始める。

 

 

 

「まだ、左が残っているーー!」

 

 

 

「この、たわけがぁああああああ!!」

 

 

 

 瞬間、再びマスターガンダムが気柱を上げ、全身に黄金の気が宿る。

 

 

 

 明鏡止水・ハイパーモード。

 

 

 

「ここに来て、限界を超えてきたか! マスタァア! アジアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 獅子の叫びを上げながら左のグランドホーンを放つ、チャップマン。

 

 

 

 対するマスターも猛虎の雄叫びを上げて黄金の鬼神の機体を動かす。

 

 

 

「チャァアアアアアアアアアアップマン!!」

 

 

 

 青白い電撃を纏った一撃。

 

 

 

 その軌道と形は正に角だった。

 

 

 

 それは宇宙空間に確かに現れた。

 

 

 

 鬼神の喉元を最後まで捉えること敵わずにーー。

 

 

 

 マスターガンダムの絶妙な上体逸らしーースウェーバックに、ジョンブルガンダムのつま先は空を切った。

 

 

 

「これで、とどめよ!! ダァアアアクネスフィィンガァアアアア!!」

 

 

 

 目を見開きながら、蹴りを放った姿勢のままにチャップマンは迫りくる右の掌を見た。

 

 

 

 それはジョンブルガンダムの頭部をしっかりとつかむ。

 

 

 

「爆ぁあああああく発ぁつっ!!」

 

 

 

 ジョンブルガンダムの頭部は完全に消し飛んだ。

 

 

 

 同時にマスターガンダムの全身に満ちていた黄金の気も消え、糸の切れた人形のように宇宙空間に浮かぶ。

 

 

 

「ーーわしの勝ちのようだな。ジェントル・チャップマン」

 

 

 

 息も絶え絶えにしながらも、辛うじてそれだけを言うマスターアジアに。

 

 

 

 頭部を破壊され、機体が完全に動かなくなったチャップマンは言った。

 

 

 

「ああ。文句の付けどころがない。俺の完敗だ」

 

 

 

 思えばそれは、この世界ーーコズミック・イラに来て初めてのことではないだろうか。

 

 

 

 チャップマンは穏やかな表情で笑いながら自分に勝った男を讃えた。

 

 

 

 

 

 

 




 皆さん、お待ちかね~!!

 ジブラルタルに集められていくロゴスとブルーコスモスのメンバー。

 これに対抗するためにデュランダルもまた、ザフトと反ロゴスの連合兵士をまとめようとミーアを連れて地球に降り立ちます。

 ジブラルタル基地に到着したアスランはその報告とイザークからの進言により、ザフトを抜ける決意をするのです。

 次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第65話に!

 レディー、ゴー!!
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