新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
ギルバート・デュランダル議長とロゴスを掌握したウォン・ユンファ、ウルベ・イシカワとの対決がいよいよ始まろうとしています。
全世界を巻き込んで。
はたして、シュバルツとシン達は、無事にこの戦いを切り抜くことができるのでしょうか!?
それでは、ガンダムファイト!!
レディィイイイ!、ゴォオオオオッ!!
ザフト・ジブラルタル基地。
ジブラルタル海峡に位置する地球連合が正式に認めたザフトの拠点である。
目と鼻の先にはヘブンズベースと呼ばれる連合の重要拠点がある。
世界の敵ーーロゴスを討つ。
一つの目的の為に、ザフトの拠点には反ロゴス派の地球連合軍とザフト軍の混成チームが展開されていた。
徐々に夜明けが来る。
朝日に照らされ、闇が晴れていく。
語弊があった。
ヘブンズベースという基地の大地は、陽の光が当たっても闇が晴れる事はない。
いや、その大地を闇が埋め尽くしているというべきか。
「な、なんなんだ? この部隊は!?」
どちらに属する兵士の言葉かはわからないが、彼らにとってそれは初めて見るMS達。
一つ目鬼を思い起こさせる黄土色の機械の異形達。
それが、地面を足の踏み場もないほどに埋めている。
海面では水色のMS。
上半身は一つ目鬼のMSと同じだが、下半身が魚の形をしている。
これがヘブンズベースをグルリととり囲み、無数の赤い目が海面から光を放っている。
空もまた、巨大な蛾のようなフォルムをしたMAが、緑色の一つ目鬼のMSの胴体部をはめ込んで無数に浮かんでいる。
ミネルバ以外の人間が知るはずもない。
死の軍団ーー。
デスアーミー。デスネービー。デスバーディー。
陸、海、空、全てを覆い尽くす、絶望の軍団。
それらを従えるのは数十体の巨大な魔神だ。
ベルリン街を絶望に染め上げたデストロイガンダムが立ちならんでいる。
しかし、それらはまるでビデオの早送りの様に金属である表面を溶かしていき、姿を変えていく。
移植された物質ーーDG細胞によって作り替えられていく機体。
武神と魔王の顔と胴を模した造りの機体へと変化する。
死の壁の名を冠する「デス『ガンダム』・ルーク」というMSへと。
機体の大きさは、ベルリンの街を襲った100メートルを越えるものではない。
35メートルから40メートルくらいの機体である。
これは、DG細胞の自己増殖によって大きくなる前、デストロイガンダムの元々の大きさをそのまま変化させたものである。
「機体も見たことのない奴ばかりだが、問題はあの物量だぞ。水平線までビッシリ見えるじゃないか! あの赤い目が!!」
連合の全兵力を集めても、この物量は超えられないだろう。
ザフトの全能力をもってしても、これだけのMSとMAを揃えられないだろう。
死の軍団はデュランダル軍の気勢を、その物量で削いでいた。
当然、部隊を見たデュランダルも冷や汗を流している。
「これがーーこの物量が、奴等の力か。信じられんことだが、奴等もDG細胞のコアを持っているのか?
いや、それにしても。この量は考えられない。
何よりあの強力なMAを数十機も量産するとはーー!」
想定していた戦力のおよそ10倍以上の質と量だ。
信じられないが、ザフト・連合の同盟軍である自軍の戦力が数で劣っている。
『親愛なる地球軍の皆さん、そして物を知らない稚拙な正義を語るコーディネーターの皆さん』
その時だった。
前方に巨大な人間を写した立体フォログラムが現れた。
緑がかった長い髪、サングラスをかけた、濃い茶色のスーツの上にコートを着た男。
『私の名は、ウォン・ユンファと申します。お見知りおきを。さて、皆さんに最後通告をしてあげましょう。我がロゴス軍に降るのならば、命までは奪いません。連合も、もちろんザフトもね』
その発言はブルーコスモスの盟主たるロード・ジブリールでは考えられない話だった。
コーディネーターを見下し、異端と見なし全てを排除・抹殺しようとするブルーコスモスの思想からは大きく離れている。
反ロゴス派の地球連合軍もザフト軍も、胸の中に渦巻く何かを感じる。
それが意味するものはーー不安だ。
ただ、不気味な存在が目の前の男。
理解しがたい何かが、目の前の軍勢だった。
否、理解したくない者、というべきか。
『賢明な貴方がたならば既にお分かりかとは思いますが、この数を覆すのは至難の業です。どう少なく見ても、あなた方が負ける可能性は高い』
ざわざわっと軍人達から戸惑いの声が上がる。
敵の謎のテクノロジーもそうだが、数が尋常ではない。
これに真正面から挑めば、間違いなく玉砕するのはこちらだ。
『それとも、無駄なことと知りながら無様に挑んで醜態を晒しますか? 彼らのように』
『デスガンダム・ルーク』のコクピットに乗せられていたのは、見覚えのある男たちだった。
「…あ、ああああ……!」
「た、たすけ……!」
「ジブリーるるるるぅ…!」
恨めしそうに悲鳴やうめき声を上げながら同じような言葉を呟く。
見ただけで分かる。
ロゴスのメンバーと公開されたロード・ジブリール以外の男達だったのだ。
皆、レジスタンスや暴徒によって捉われたはずの者たちーー。
「ど、どうなってるんだーー?」
その様を見るや、この場にいる者が全て戦慄した。
ロゴスメンバーの者たちは見るからに生きていない。
生きているはずのない傷を負っている。
顔半分を削られた状態のもの。
目玉を失くしているもの。
明らかに死者の顔色をしているもの。
様々な様相を呈している男達だが、共通しているのはおよそ人間としての生を終えながらも、不自然に紅く輝く瞳と六角形の金属片を首の頸動脈から頬の辺りまでびっしりと文様のように浮かび上がらせていることだ。
その姿にある者は恐怖に口を覆い。
ある者は感じる不快感から嘔吐した。
デュランダルをして、その光景に目を見張った。
「こ、これはーー!! DG細胞か…!?」
モニターを見て立ち上がり、拳を握りしめるデュランダルにフォログラフの男ーーウォンは笑いかけた。
『そう。貴方たちの指導者ーーデュランダル議長もよくご存じのDG細胞です』
男の指が鳴らされると同時に、空に浮かび上がるのは巨大なスクリーン。
海面の水をデスネービーが操作し、水のスクリーンを作っている。
そこに映し出されたのは、ユニウスセブン。
落下事件の全容だった。
「…これを今更、何故流す!?」
デュランダルの問いに応えるようにウォンは嗤う。
ジン・ハイマニューバⅡ型が、ザクを相手に猛威を奮っている。
『ご覧ください、テロリストの連中のMSを』
これを流しながら、ウォンは更に告げた。
場面はロゴス首領ジブリールの放った部隊ーークルセイダーズが、ザフトの謎のMSに倒されていく場面だ。
全世界に放映されていた二つの映像を流した後。
左右に並べて比べるように流す。
ジンがザクを高速ですれ違いざまに刀で切り捨てる。
ザフトのMS「デスガンダム・ナイト」が連合のウィンダムを高速ですれ違いざまに刀で切り捨てる。
「ーーあ!」
誰かが、そんな声をつぶやいた。
『よく似ていると思いませんか? この二つの機体の関係が何なのか、知りたくありませんか?』
厭らしい笑みを浮かべてウォンは兵士達に問いかける。
連合もザフトも、完全に動きを止めていた。
まさか……、と。
ザフトの放った謎のMS「デスガンダム・ナイト」もまた神の名を冠する機体を模していた。
トリコロールの色に、頭部と胴体がゴッドガンダムの機体。
しかし、その両腕と両足、更に背部のバーニアの形などは正にジンそのものだった。
『自分たち以外の者がこの力を持っている訳がない。だから、こんな無謀な真似ができたのでしょうね』
厭らしい笑み。
そして、彼は言う。
『この機体の名は、『デス(ガンダム)・ナイト』というそうです。私たちの機体はそれに合わせて『デス(ガンダム)ルーク』と名付けています』
ざわつく人々。
当然だろう。
今、見せられた映像がすべてを物語っている。
「つまり、テロを起こしたのはーー!!」
「デュランダル議長!!」
連合とザフトの兵士達が同時に振り返る。
『…あなた方は、そんな男の為に勝てる確率のない勝負に挑むのですか? その男が嘘つきであることは既に明白ですよ』
ざわめく兵士達に、一斉通信が入る。
「連合・ザフト同盟軍の皆さん。わたくしは、ラクス・クラインです!」
その通信に、皆がモニターを確認する。
そこには一隻の戦艦『レセップス』があった。
そのブリッジにて、艦長席に座った黒い陣羽織を着たポニーテールの桃色の髪の姫が、黒の軍服に金色の髪の仮面の男を傍らに置いている。
彼女は凛とした視線でモニターを睨みつけている。
「惑わされてはなりません! ベルリンの街を焼き払ったのは、彼らなのです!!」
ラクス・クラインは悲痛な顔と声で告げる。
「思い出してください! 親を奪われて涙する幼い子どもの涙を! 子どもを奪われた父親の怒りを! 母親の嘆きを!!」
真摯な表情で彼女は告げる。
「アレを何度も繰り返さんとするロゴスを決して許してはなりません!! あのような非道な真似をわたくし達は許すわけにはいかないのです!!」
凛として強い口調が響き渡ると同時に、フォログラフのウォンがサングラスの淵を押し上げながら言った。
『ええ、確かに。ベルリンの街を焼き払ったのは私たち、ロゴスです』
はっきりと告げる。
それに連合・ザフトの軍人の目がまた集まる。
『もっと言うなら何を隠そう、私こそがこのデストロイガンダムーーデスガンダム・ルークとデスアーミー達を使ってベルリンの街を焼いた張本人です』
ウォンの言葉に連合・ザフトを問わず憎しみの視線が殺到する。
『ですがーーそれならば、廃棄コロニーを地球に落とそうとしたテロリストを、極秘に飼っていたあなた方プラントーーいや、ギルバート・デュランダルはどうなのでしょうね?』
「諸君らーーロゴスと一緒にしないでもらおう!!」
即座に反論したのはギルバート・デュランダルだった。
指令席から立ちあがり、敢然とウォンに向かって語る。
「彼らは、私たちの呼びかけに応じたのだ!! 必死にユニウスセブンを止めるザフトの勇士達に感銘を受け我々の軍門に降った!! 確かにテロにかかわったメンバーを匿ったことは謝罪する。しかし、罪を認めて謝罪をし罪を償おうと必死に! 己の命を差し出してプラントの為に戦おうと言う彼らを! あなた方ロゴスの慰み者として犠牲に差し出すことは、私にはできなかったのだ!!」
更にこう続けた。
「仮にユニウスセブンが地球に落下すれば、今回のベルリンの街など比較にならない程の犠牲が出ただろう。だが、それは我らの勇敢なザフトの兵士達が止めた!! 犠牲は出なかった!! 」
デュランダルは堂々とウォンの目を見据えて言う。
「我々を糾弾したいと言うならば、まずは己の罪を認め贖罪してからにしていただこうか!!」
これにウォンが拍手をして返す。
『テロリストを更生した、ですか。ご立派な事ですね。私には到底理解できないことだ。疑わしい者は全て排除するのが世の理だと言うのに、わざわざ裏切り者を信じ、首輪も付けずにMSを渡すなどね』
厭らしい笑みを浮かべるウォンをデュランダルは冷厳とした表情で睨み返す。
『まあ、それは構いません。それよりも兵士の皆さんに、もう一度見せておきましょう』
言いながら、ウォンは海上に浮かぶスクリーンにデスアーミーの一つを示した。
コクピットのハッチが開けられ、中から金属の肌を持った骸骨が鎧のような黄土色のパイロットスーツを着て出てくる。
「……な、なんだと?」
当たり前の反応を返す兵士達にウォンが告げる。
『私は無駄が嫌いな男です。ベルリンの街に行くまでに多くの犠牲を払いました。その犠牲者達がこのまま亡くなるのは無駄ではないか、と考えた私は彼らの遺体にとある細胞を移植しました』
笑みを浮かべて、ウォンは言う。
『デュランダル議長も良く知る、DG細胞です。テロリストたちの機体を変化させた、ね。この細胞を移植された人間は死してなお、我々の言う通りに動くゾンビ兵へと変化します』
意味深な視線をデュランダルに向けるウォン。
それを冷めた目と笑みで返すデュランダル。
『皆さん映画などでご存じでしょうが、ゾンビに殺されたものはゾンビになるのです。稚拙で抽象的な正義の為に死してなお、辱めを受けたい方はどうぞ戦いに参加なさい。我々の力を理解し、投降するという賢明な方はこちらに来なさい。ただの人間の部隊もロゴスにはきちんとあります』
その言葉と共に、ロゴス側の地球連合艦の一隻が通信を入れてきた。
「お前たち、こっちに来い!! 何故、同じ連合同士で殺し合わなければならないんだ!!」
その兵士の言葉に揺れ動く地球連合の兵士達。
彼らとて分かっている。
卑劣な行為だった。
罪のない市民を虐殺し、訳の分からない細胞を移植してゾンビにしたて、異形のMSに乗せて利用する。
許されるはずのない、最低最悪の行為だ。
敵の戦力と強大な能力。
そして、恐ろしい事実を淡々と告げる神経。
正義を取るか、命を取るか、究極の選択を選ばされようとしていた。
「地球連合軍のみなさん」
その時、ラクス・クラインから声が上がった。
「彼らの言葉に恐怖し、屈して投降するのならば止めません。どうぞそのようにしてください」
「ラクス! 何を!!」
ラクスの発言を止めようとするデュランダルにかまわず、彼女は続けた。
「ですが、わたくし達は。わたくしは最後まで戦います。何故ならば、このようなことを見逃すわけにはいかないからです! ここで彼らを見逃せば何度も同じことが繰り返されることでしょう! ですからーー」
瞳を閉じた後、再び瞳を開く。
「わたくしと共に戦う気高く勇敢な戦士としての誇りをお持ちの皆さん。最後までわたくしと共に戦い、彼らの悪意を止めようではありませんか!!」
これにザフト軍が拳を突き上げて答えた。
対して地球連合の者たちもまた、告げる。
「正直に言って、ギルバート・デュランダルのやり方に疑問が生まれた。だが、今この現状でロゴスの奴らを野放しにするわけにはいかない」
「この戦いで勝利を収めた後、納得のいく話を聞かせてもらうぞ! デュランダル議長!!」
同時に武器をそれぞれ構え出す連合とザフトの同盟軍。
これにウォンは苦笑を漏らした。
『理想と共に殉ずるか、愚かですね』
そんなウォンに通信が入る。
一体のデスルークからだった。
「ウォン、もう良いのではないか? いつまでも茶番に応じていると時間が過ぎていくばかりだ」
鍛え抜かれた上半身の裸体を晒し、顔半分を鉄仮面で覆った長髪の男がウォンに告げる。
「さっさと全滅させようじゃないか。その後で、ゆっくりと教えてやればよい」
『…仕方ありませんねぇ。では、はじめましょうか? あなた方デュランダル軍にとって最期の戦いをね』
言うと同時に部隊が展開される。
これにデュランダル軍も応戦するように展開、先手必勝とばかりに戦艦の主砲が火を噴く。
狙うのは巨大なMAデスルークの一体だ。
だが、砲撃は直撃するも、その巨体にダメージを与えることなくあっさりと蹴散らされる。
それに衝撃を受けながらも、ウィンダムとザク・バビ・グフが戦いを挑んでいく。
一方でドックの中に未だいるミネルバは先の両者のやり取りを見てため息をついていた。
MSカタパルトにデスティニーガンダムを載せたシンはコクピットの中で悪態を吐く。
「どいつもこいつも大概にしろよ。勝っても負けても良いことなしじゃねえか!」
「ホント、何だってこんな戦いに出なきゃいけないのかしらね」
隣ではルナマリアがコアスプレンダーを予めインパルスにドッキングし、フォースシルエットを装着した状態で告げる。
「ーー片方は人の心を操る正義で、片方は命を弄ぶ悪だ。ふざけんなよ、どっちも!!」
シンが思わず告げると艦長席からタリアが通信を入れてきた。
「この状況で、貴方達を出撃させなければならないこと自体、歯がゆいわ。ごめんなさいね」
「…気にしないでください。あの化け物の軍勢が相手なら、私たちが出ないとあっという間に負けちゃいますから」
ルナマリアが落ち込むタリアに向かってそう言う。
「議長の考えもきな臭いですけど、ベルリンの街を焼いた連中を見逃すわけにはいかないでしょ! 人として!」
強気に叫ぶルナマリアにシンも頷いた。
「だな。シュバルツさん、艦長! ちょっといいですか?」
シンの発言にタリアとガンダムシュピーゲルに乗ったシュバルツがこちらを見てくる。
「シュピーゲルは、鏡転同血を使えば機体を変化させた状態で出撃できるんですよね?」
「ん? ああ、そうだが?」
この言葉にシュバルツが目を見開いた。
「シン、まさかお前はーー!」
「いつまでも、貴方に頼ってばかりじゃいられないんですよ。俺も」
言いながら、シンは考えた作戦を説明し始める。
「まずシュバルツさんにザク・ウォリアーになってもらって、一般の兵士たちに紛れて敵の本拠地に向かってもらう。俺とレイ、ルナがその間は奴等の主力を引き付ける。当然、シュバルツさんのザクの動きに敵は困惑するだろうし、シュバルツさんだと見抜くだろうけどな」
「シュバルツさんだけが、要注意って感じだったものね。でもーー」
「そうさ、俺が明鏡止水の『境地』ーーハイパーモードになれば、脅威がシュバルツさんだけじゃないって思う」
「ザクの姿をしてもらって無双しても、すぐにザク達に紛れればどれがシュバルツさんかは分からない!」
「そうやって、敵の目を欺いている内にシュバルツさんが生身で敵本拠地に侵入。ロゴスの首領であるジブリール達を捕まえる!!」
「敵全体を相手にするより、よっぽどマシって感じね!!」
ルナマリアの合いの手を受けながら、シンも説明に熱を込める。
シュバルツは静かにシンを見返した。
「危険な任務だぞ? 私と別行動を取り、ウルベ達を相手にするというのだからな?」
「分かってます。でも、キラさんやアウル達がいない。マスターアジアもいない、アークエンジェルもない。おまけにアスランまでいない状況じゃ、手が圧倒的に足りない。おまけに敵の数はベルリンの街以上だ!!」
シンの発言にシュバルツも目を細める。
「まともに戦っても勝ち目はない。だから私に大将首を落として来い、と言うのだな?」
「シュバルツさんなら、危険だけどできるはずだと信じて立ててみました! どうですか?」
シュバルツは静かに覆面の奥の表情を微笑ませると、言った。
「お前が言わなければ、私が言おうと思っていた作戦だ。よくぞ一人で考え、導き出した」
「ーーはい!!」
誇らしげにシンは胸を張り、声を上げた。
そして、レイを真っ先に見据える。
「この作戦は、ルナとレイ。二人の協力が絶対いる。レイは俺に言いたいことがあると思うけど、今は。今だけは手を貸してくれ!!」
頭を下げる。
「頼む、レイ!!」
レイは、モニター越しのシンの言葉に静かに目を向けると言った。
「…俺の方こそ頼む」
「え?」
つぶやくようなレイの言葉にシンは顔を上げて目を丸くした。
そこには覚悟を決めた戦士の顔をした男がいた。
「今回のことではっきりと分かった。ギルを止めなければならない。その為にも、俺はこんなところで死ねない! だから、シン。ルナマリア、手を貸してくれ!!」
ルナマリアの言葉にシンとルナマリアは互いに顔を見合わせた後、言った。
「……ああ。当たり前だ!!」
「やっと、そういう気になったわけ? ホント、しょうがないんだから」
二人からの言葉にレイは、心の奥に震えるものを感じて頷いた。
「ーーすまない、二人とも。俺が馬鹿だった」
「後にしようぜ、レイ! 今はあの悪党どもをぶっ倒す方が先決だ!!」
シンの言葉に、レイは静かに頷いた。
「ああ…! 分かっている」
その隣でルナマリアがブリッジに向かって叫ぶ。
「艦長! 私ーールナマリア・ホーク! レイ・ザ・バレル! シン・アスカ! これより出撃します!!」
その言葉にタリアが微笑みながら頷く。
「いつの間にか、逞しくなったわね。貴方達は」
「誇りに思うよ。シン、レイ、ルナマリア。お前たちと共にミネルバに乗れたことを」
隣でアーサーが頷きながら言った。
これに三人は力強い微笑みを返す。
「アビー! 発進コールを!!」
「は、はい!」
メイリンの代わりに補充兵としてミネルバの通信兵を行うことになった金髪の前髪がくせ毛の美少女。
アビー・ウィンザーという。
慣れないながらも、彼女は言った。
「デスティニー! カタパルト発進どうぞ!!」
その言葉に、熱き魂を胸に秘めて炎のような赤い瞳の少年が答える。
「シン・アスカ! デスティニーガンダム! 行きます!!」
絶望ーーその代名詞とも言うべき死の軍団。
彼は、それに迷うことなく突っ込んでいった。
「シンの奴、張り切ってるわね。次、あたしが行きます!!」
「は、はい! よろしくお願いします!」
ルナマリアの名乗りにアビーが頷く。
「インパルス、発進どうぞ!!」
アビーに向かってウインクするとレイに向けて微笑んでから、ルナマリアは不敵に笑みを浮かべた。
「ルナマリア・ホーク! インパルス! 出るわよ!!」
彼女もまた、運命の名を冠するガンダムの後に続く。
「最後です、レジェンド! 発進どうぞ!!」
静かに瞳を閉じながら、レイは思い返す。
ーー 人はね、レイ。自分以外のものにはなれない --
自分の分身たる人間の言葉。
ーー その涙の意味を理解した時、聞かせてくれ。お前の本当の願いを --
自分を変えてくれた人間の思い。
そして、受け入れてくれた仲間。
守りたいと願う場所ーーミネルバ。
「レイ・ザ・バレル! レジェンド! 発進する!!」
鋭い瞳の中に確かに燃える魂の炎。
レイ・ザ・バレル。
彼の「伝説」はここから始まるのだった。
皆さん、お待ちかね~!
デスティニーガンダムとシン。
レジェンドガンダムとレイ。
そして、インパルスガンダムとルナマリアは素晴らしい攻勢を仕掛けます。
しかし、敵の数は膨大。
一気に苦境に立たされてしまう彼らの下に駆け付けたのは、彼らと同じ熱い魂を注入された三人でした!
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Detiny 第69話に!
レディー、ゴー!!