新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
はたして、我らがミネルバは、この闘いを勝利することができるのか。
それでは、ガンダムファイト・ヘブンズベース攻略作戦!!
レディィィィッ、ゴォォォオオオッ!!
絶望の空に、大地に、海に向かって。
運命の名を冠するガンダムは、光の翼を広げて大剣を抜き放ち、死の軍へ斬りかかった。
「このデスティニーなら、こんなこともできる!!」
明鏡止水で機体の特性を掴みながら、SEEDで己の感覚を最大限に引き出す。
光の翼を広げたデスティニーは、残像を残しながら音速を超えて縦横無尽にデスアーミーの大群を切り捨てた。
「シン! 陸上はルナマリアに任せろ!!」
「レイは、海上をお願い!! シンは空を!!」
「了解だ! 陸、海、空、全て斬り伏せてやる!!」
3機のガンダムは、デスアーミーの大群を紙のように切り捨てていく。
「な、何て奴等だ!」
「あれが、ミネルバか…!」
デスティニーガンダムの動きはその中でも特筆すべきものであり、戦場そのものを一瞬で横断する程だった。
背中の大剣ーーアロンダイトを抜き放てば、一気に数十体のMSの胴を薙ぎ。
背中のロングライフルを構えて撃てば一直線上に並んだ敵を全て水平線の彼方まで爆発させる。
そしてーー
「いくぞ、見様見真似! 我が心、明鏡止水。されどこの掌は、閃光の煌きなり!!」
シンが目をつむりながら右掌に気を集中させる。
同時にデスティニーガンダムの右手が青白い光を放ちだす。
ビーム砲の原理で実装されたその兵器は、本来は液体金属であるフィンガーとは違う原理の技。
だがーーーー!
無茶な道理を通すのが、明鏡止水の「境地」だ。
「くらぇええええええっ!!!」
デスティニーガンダムの右手にある青白い光の球は、ガンダムの頭程度の大きさになって放たれた。
「「「「「----っ!!?」」」」
一瞬後、光の爆発が起こり触れたもの全てを消し飛ばす。
「できた!!」
あっという間にデスティニーガンダムは百の敵を葬ったのだ。
これを間近で見た連合・ザフトの兵士たちは、あまりの威力に凍っていた。
「な、何だ? あの戦術兵器は?」
「し、信じられん威力だぞ…!」
葬り去った事実など、シンの頭にはない。
この戦いは、百や二百を葬ったくらいで終わらない。
「シュバルツさんが、敵の本拠地に乗り込み大将首を獲るまで気は抜けない!!」
明鏡止水を維持しながら、シンはデスティニーガンダムに最大稼働を強いる。
もともとの出力が違うためか、デスティニーガンダムは初陣でもシンの要求に応えてくれる。
だが、やはり「境地」--黄金のハイパーモードにはなれない。
機体特性をそこまで把握していないのだ、これは仕方のないことだろう。
このシンの活躍を見て、デュランダルはほくそ笑んだ。
「素晴らしい。これほどのものかーー! 彼ならば、ガンダムファイターにも届く!! やはり、SEEDの因子か!!」
笑みを強めるデュランダルに通信が入った。
「いいえ。これは彼の心の強さですわ」
「ーーなに?」
モニター越しに現れたのは、ラクス・クラインそのものの少女。
「あの力の前にはSEEDも、きっかけに過ぎません。心の力、己を信じ抜くことができた者だけが、あの強さを得ることができるのです」
「…私や君には、難しい境地だな? ギル」
ラクス・クラインの隣にいる仮面の男の苦笑を受け、デュランダルも笑う。
「なるほど。だが、私は己のやることを信じている。信じ抜くことが力となると言うのならば、私にもできるのではないだろうか?」
「やれやれ。キングはまだ大人しくしていてくれ。まずはビショップから出ようじゃないか。ルークは取られてしまったからね」
言いながら、仮面ーークルーゼは嗤う。
「久しぶりに私も出よう」
「すまないね、ラウ。気をつけてくれたまえ」
「分かっているさ、ギル」
そう言い合うと、クルーゼはラクス・クラインを見据えた。
「では、行ってくるよ。ファム」
「行ってらっしゃい、フィルム」
互いに意味深な笑みを浮かべて述べ合うと、クルーゼは格納庫に向かった。
既に一人の男が待機している。
「遅かったですね。クルーゼ隊長」
「待たせてしまって申し訳ないな、ヴェステンフルス隊長」
オレンジ色の髪をした赤服を纏った明るい男。
名をハイネ・ヴェステンフルス。
オレンジカラーを専用色とした、優秀なザフトの兵士だった。
他に彼と同じ髪型と背格好でサングラスをかけた赤服の男が5名いる。
「よろしく頼むよ、ナイト君」
「ビショップ殿、援護をお願いします」
互いにそう述べ合うだけの余裕がある。
ハイネと他の5人は、待機しているMSに乗り込む。
そこにあったのは、デスガンダム・ナイトと呼ばれる機体だった。
形はジン・ハイマニューバⅡ型と同じだが、出力はウィンダムのジェットストライカーエンジンを吸収したことで最新鋭のグフすらも上回る程に進化している。
もう一つの違いは、ハイネ機のみ青色の部分をオレンジにしていること。
ビームライフルではなく、片手携行式のビームガトリングガンであること。
左手のシールドにヒートロッドを取り付けていること、だろうか。
そしてクルーゼが乗り込むのは、かつてのプロヴィデンスガンダムをDG細胞によって変化させた機体。
他のザフト製のデスガンダムと同じく、頭と胴体と機体全身の色をゴッドガンダムにしただけで、他は変わっていない。
両腕、両足、バックパック。
全てプロヴィデンスガンダムのものだ。
「デスナイト・ハイネ隊。発進どうぞ!」
ラクス・クラインの声で、アナウンスが告げられる。
「ハイネ・ヴェステンフルス! デスナイト、出るぞ!!」
次々と飛び立つ。
前縁部が紅く、羽の部分が白い機体は、青白いバーニアの火を吹き上がらせる。
「デスビショップ、発進どうぞ!」
その声を聴いて、クルーゼは笑みを浮かべて答えた。
「フィルム・ノワール! デスビショップ! 出るぞ!!」
飛び立つのは摂理の力を持った死の監督だった。
一方でシュバルツもまた、シュピーゲルをザクに変化させた状態で無双していた。
「…借りるぞ」
ヘブンズベースの地面にまで一般のザク部隊と共に到着すると、彼は倒されていたグフからテンペストソードを取り、それで敵機を切り刻んでいく。
金棒を振り上げるデスアーミーを一振りで4、5機纏めて切り捨てる。
それを数回繰り返したのち、叫んだ。
「邪魔だ! シュトゥルム・ウント・ドランクウウウウ!!」
疾風怒濤にして暴風雨の剣を持った彼の機体は、正に竜巻と呼んで差し障り無い。
地形を削り、天高く現れた竜巻に飲まれていく敵軍。
傍で見ていたザクのパイロット達は唖然としていた。
ルナマリアのインパルスガンダムが、そのザクの隣に現れた。
「シュバルツさん、やり過ぎです! 目立ち過ぎ!!」
「…しかし、お前たちの負担が」
言おうとするシュバルツをルナマリアが目で制する。
「信じてくださいよ、あたし達を」
「…すまん」
頭を下げ、シュバルツはザクの一般部隊に紛れ込んだ。
「さ、大口叩いた分は、きっちりと責任取らなくちゃ!!」
デスアーミーの大群を見ながら、ルナマリアは言う。
右手にはビームライフルの代わりにオルトロスを装備していた。
「ザクみたいにジェネレータに直結してもらってる分やり易いわ。行くわよ、インパルス!!」
両手持ちでロングライフルを構えて放つ。
本来、この攻撃はインパルスの出力ではできない。
すぐにエネルギー切れを起こしてしまうからだ。
だが、明鏡止水を使うルナマリアが使えば、無理も通る道理となる。
赤いビームは先のデスティニーと同様に直線上の敵を蹴散らしていく。
だが、吹き飛ばした矢先に左右から開いた地面に殺到して、踏み場を埋め尽くしていくデスアーミー達。
「ったく、相も変わらず」
うんざりするとばかりに、嫌がるルナマリア。
海上、上空でもレイとシンが同じようなことに陥っていた。
シンの力を持ってしても、デスルークにたどり着くことすらできていない。
「嫌な位置に敵を配置してるのも、気になるわね」
圧倒的な物量に目が行きがちだが、ヘブンズベースにたどり着くための港には必ず上ランクの四本足でロングライフを持ったデスビースト達が配備されている。
迂闊に攻められないこの戦域。
しかし、痺れをきらした別動隊のザクやウィンダムがデスアーミー達を無視して本陣に切り込もうと突っ込む。
「! バカ、敵の戦力も削れてないのに! 無謀よ!!」
瞬く間に撃ち落とされるザクとウィンダム達。
墜落した地面では緑色のコードが現れて、彼らの機体を蹂躙していった。
すぐに立ち上がってくるMS達。
だが、彼らは既に人ではなかった。
「う…! うぅう…!!」
うめき声を上げながら、ザクやウィンダムが味方であったものを攻撃し始める。
先ほどまで味方だったものからの攻撃に、流石の兵士たちもすぐに反撃できずに落とされる。
そして、海上に落ちた機体もまたーー不死の軍に入ることとなる。
予め、言われていたことではあった。
だが、現実に目の前で落とされた味方が作り変えられていく光景に恐怖しない者がはたしているだろうか?
この光景に、思わず指令席を立ち上がってデュランダルが叫んだ。
「なんということだ! 撃破された者をそのまま、支配下にするだと!?」
デュランダルの言葉に、フォログラフの男が応じる。
『言いませんでしたか? 貴方達に残されている道は、全滅という苦痛の死だけです』
「どこまで卑劣なんだ、貴様らは!!」
本気で怒りを露わにするデュランダルを見据え、ウォンは冷たい笑みを浮かべる。
『支配者ともあろうものが、この程度の戦況で一々感情を露わにするなど。滑稽ですよ、デュランダル』
「貴様らだって、人間だったのだろう!? なのに、殺すだけで飽き足らず、その命と体を蹂躙して先兵にするなど許されることではない!!」
『下等な人間どもと一緒にしないでいただきたい。我々はDG細胞によって生まれ変わった上位種だ。君たち、コーディネーターやナチュラルなどと言う選民思想に似たようなものだよ』
「ふざけるな!! 私は、その思想を排除するためにここにいるのだ!!!」
怒鳴りつけるデュランダルにウォンは厭らしい笑みを浮かべる。
『ならば、やってみるがいい。そして思い知りなさい。己の無能と無力さをね』
ウォンの言葉と同時に居並ぶデスルークの胸のカバーが数体開き、その胸の前に青紫に禍々しく光る球を作り出した。
『デスアーミー達だけでも充分なようですが、こういうのはいかがです? 陽電子縮退砲、発射!!』
放たれたのは、青と赤の光を放ちながら全てを蹂躙する砲撃。
光の線は海上の潜水艦。
空中の戦艦を全て飲み込んだ。
一瞬でシンやルナ、レイが倒したMS以上の数のザクとウィンダムそして戦艦が落とされた。
「ば、バカな…! これほどのものだというのか…!!」
測定した威力のほどは、ミネルバの陽電子砲『タンホイザー』の倍近い。
戦力差は明らかだった。
敵は倒しても倒しても、その分だけ湧いて出てくる。
おまけにこちらのMSは倒されれば、敵の一員にされる。
これでは、どれだけ強力な部隊を持ってしてもヘブンズベースを攻略するなど不可能だ。
「こんな…! こんな奴らがいるというのか…!!」
デュランダルをして、予想外の相手だった。
悪を望んだのは事実だ。
世界を一纏めにするためには、悪が必要だ。
未来世紀ーー異世界のガンダム達も、強力な敵デビルガンダムを倒すために一丸となった。
だが、これほどとは思っていなかったのだ。
ジブリールやロゴス、ブルーコスモスなど比ではない。
これは、正真正銘の『悪』そのものではないか。
目の前の軍勢とそれを操る男を見ながらデュランダルは戦慄していた。
恐怖していた。
自分の理解が及ばないとてつもない存在に。
DG細胞を得た自分にすら、想像できない恐怖だった。
欲望が恐ろしいことは、この世界でも同じだ。
だが、桁が違う。
これほどまでに純粋な悪意の塊を、デュランダルは知らなかった。
デュランダルの士気に影響したのか?
軍勢はヘブンズベースから後退を始めていた。
未だ前線を維持しているのは、シンとレイ、ルナマリアだけだ。
他の兵士たちは、恐怖からか?
本能からか?
戦闘宙域を離れようとしている。
そこへーー。
『陽電子縮退砲、発射!』
チョコレートを一つつまみながら、片手間に指示するウォン。
そうして、また3部隊がまとめて消されていった。
『ふむ。つまらないですね。闘う気がなくなりましたか? デュランダル軍?』
未だ抵抗を続ける三機のガンダムを見下ろしながら、ウォンはデュランダルに語り掛ける。
「……く!」
歯を食いしばるデュランダルにウォンは嗤いかけた。
『分かりましたか? ものを知らない子どもの夢であるとね』
「ーーそして、夢も終わりだぁあああ!!」
ウルベがその後を継ぎながら、自身のデスルークに陽電子縮退砲を構えさせる。
光の球を両腕で抱えるようにして構え、前方にただ突き出すだけで発射される強力無比な一撃。
防ぐ術は、ない。
「……まさか!!」
デュランダルが気付いた時には、既にウルベが笑みを浮かべていた。
「そのちっぽけな基地ごと。島ごと消し飛ぶがいいーー。デュランダルゥウウウウウ!!」
放たれた光は、全てを飲み込んで行く。
これまでの一撃の比ではない。
それもそのはずだった。
ウルベはガンダムファイターでもある。
エネルギーマルチプライヤーと呼ばれる胸のクリスタルを模しているデスルークに気を送ることなど容易い。
気と陽電子。
その二つの異なるエネルギーを圧縮して放つ、正に縮退砲である。
「まずい! ミネルバが!!」
「ジブラルタル基地ごと、消し飛ばすつもり!?」
「ギル! ミネルバァアアアア!!」
光に気付いた三機であったが、既に遅い。
放たれた一撃は全てを消していく。
その時、シンの頭の中にはベルリンの街での光景が思い浮かんだ。
「くっそぉおおおお! マスターアジア!! 俺達を、助けろぉおおおおおお!!!!」
絶叫するシン。
その時、緑と青、桃の光の球がジブラルタル基地の前の海域に現れる。
「行くぞ、アウル! ステラ!」
「OK! スティング!!」
「うん、行こう!!」
聞きなれた三人の声に、シンが目を見開く。
「今のってまさか…!!」
瞬間だった。
三体の機影が宙に浮かぶ。
それはMSに似て非なる存在。
「スティング・オークレー! クーロンガンダム!!」
釣鐘のような鎧を着こんだ風体のガンダムが、右手を拳にして腰に置き、左手を開いて前に突き出す。
「アウル・ニーダ! ヤマトガンダム!!」
左手を顔の横に構え、右手を腰に置く。白を基調としたトリコロールのガンダム。
「ステラ・ルーシェ! シャッフルハート!!」
両の手を開いて空に向け、左手を前に。右手を顔の横に持ってきて片足で構えるハートを模したガンダム。
彼ら三人は、同時に吠えた。
「「「我ら! 流派、東方不敗!!」」」
迫りくる光の一撃に三体のガンダムは紫に輝く右手を開いた。
「「「ダァアアアクネスフィィンガァアアアア!!!」」」
三体の右手が同時に突き出され、光の壁が生じる。
それと青い光線がぶつかった。
爆発。
衝撃。
爆音。
そして水蒸気。
それらがあたり一面を見えなくした後、ゆっくりと水蒸気と煙は晴れた。
そこに威風堂々とした三体のガンダムが、紫色の気の壁を作り、攻撃を防ぎきっていた。
「…!! なに?」
ウルベが忌々しそうに表情を歪ませる。
同時にシンの表情が晴れやかなものになった。
「お前ら!!」
レイが思わずと言った表情で告げる。
「何故、ここに!?」
これにスティングが不敵な笑みを浮かべ、アウルが好戦的な笑みを返す。
「お前らだけじゃ、話にならないだろ?」
「僕達を仲間外れにすんなよ。ステラの借りを返してないからなぁ!!」
ステラが微笑みながらシンに語り掛ける。
「シン。レイ。ルナ。ステラ達も闘うよ」
ルナマリアが思わず顔を伏せながら言う。
「馬鹿じゃないの、あんた達。こんなーーこんなーー!!」
声を震わせる。
言葉にならない。
そんな彼女に三人の少年少女は笑った。
「ああ」
「そうだね」
「大馬鹿野郎だ」
まったく気負いのない、まるで近所に出かけるかのような三人の雰囲気にシンは心から感謝した。
「シン! 仕掛けるなら今だ!!」
「みんなが来てくれたんだもの、負ける気がしないわ!!」
レイとルナの言葉にシンも頷く。
「よぉおおおおおしっ!!」
デスティニーガンダムが、主の気持ちを汲んだのかその両の目を発光させる。
並び立つ6機のガンダム。
「この力に気の輝き。それにその機体。なるほど、マスターアジアの弟子たちか。ミネルバのガンダム達も中々のものだったが、君たちも我々の手ごまになりに来てくれたわけだ」
冷酷な笑みを浮かべて告げるウルベにスティングが言った。
「うるさい!!」
「なにーー?」
不快気に目を細めるウルベにアウルが怒りを込めて言う。
「お前は死ねよ」
「お前だけは、私が落とす!!」
普段穏やかなステラも、すさまじい怒りを目から発していた。
「なるほど。さしずめ君たち6人は世界の希望を背負った勇者ご一行で、私はそれを迎え撃つ魔王といったところかな」
これにウルベは余裕を持って返す。
「今の内に笑っているんだな」
レイが冷たい目で声で告げる。
「そうやって見下して、バカにしてればいいわ」
ルナマリアが、不敵につげる。
そしてーー。
「お前がほくそ笑んでる間に、俺たちはお前より強くなる。見てろよ。その笑いを、俺たちが止めてやる…!!」
燃える赤い瞳で、シンが告げた。
これに冷酷な笑みでウルベは返す。
「ならば来たまえ。私が相手をしてあげよう」
両の腕を広げて、打ってこいと手招くウルベ。
周りのデスアーミー達は、闘場を作るように円を描いて止まる。
これにルナマリア、レイ、スティング、アウル、ステラが答えた。
ーー「「「「「ガンダムファイトォォオオオッ!!!!!」」」」」ーー
シンのデスティニーガンダムが光の翼を広げて大剣を正眼に構える。
「レディィィィッ!!」
空気が張り詰めて、はじけた。
ーー『ゴォォォオオオッ!!!!!!』ーー
同時に並び立った6機のガンダムが、巨大な壁に向かって突っ込んだ。
「ならば来い! 異世界のガンダムとそのパイロット。いや、ガンダムファイター共!!」
ウルベも真っ向から迎え撃つ。
巨大な足に向かって挑みかかるのは、ビームクロスを薙刀にして振り回すクーロンガンダムとシャッフルハートだ。
「くらえ!」
「もらった!」
両の足に向かって、斬りつける。
「甘いな、諸君」
紙一重でバックステップされて避けられる。
「外さない!」
「着地点なら、どう!?」
着地点にレジェンドのバックパックからの多重ビーム砲とインパルスの特設オルトロスが放たれる。
「狙いは良いが、無駄だ」
片足を上げて着地と同時に空を蹴り払う。
その蹴りの放った圧力で、ビーム砲がかき消された。
「だったら!!」
「フィンガーなら、どうだ!!」
足をルークが戻すと同時に、左右に飛び上がったデスティニーとヤマトガンダム。
二機は、それぞれの右手を光らせている。
「灼熱、サンシャインフィンガー!!!」
「これで、決まりだぁあああ!!!」
左右からの同時攻撃は、ルークの顔面に放たれた。だが。
二機の指が頭部に触れそうになる直前で動きが止まる。
「な、何だと? この巨体でこいつ」
「このスピードを見切るのか?」
2人の手首の辺りを巨大な手が掴み止めていた。
「攻め方は悪くないが、その程度の動きでは私に触れることはーー!」
上に放り投げられると同時に、デスルークが右手を地面に付けて逆立ちし、デスティニーとヤマトガンダムを蹴り飛ばした。
「ーーできん!!!」
凄まじい蹴りを受けながら、二機は宙で反転して地面に着地する。
「やろう、マジで強い」
「ああ。シュバルツが一瞬で倒したから分かんなかったけど、僕ら6人相手に隙がない」
シンとアウルが目の前の男を評すると、彼は冷酷な笑みのまま、言ってきた。
「異世界の君たちは知らないだろうが、私もガンダムファイターでね。君たちの師匠ほどではないが、そこそこ強かったのだよ」
肩をすくめ、おちゃらけて言うが、その実は全く笑っていない。
冷酷にして不気味な笑みを浮かべるウルベにシン達が気圧されていると、変化は起こった。
強烈な気を感じて、シン達もウルベも手が止まったのだ。
気の出所に気づいたのは、ウルベだった。
「ーーこの気、デビルガンダムか!?」
ウルベが上空を睨みつけた時、一隻のザフト艦レセップスが現れた。
「者共、よぉく聞けぃっ!! ワシらこそ、人類の真の敵!! デビルガンダム軍団よ!!!」
聞き覚えのある男の声に、シンが目を見開く。
「東方不敗、マスターアジア!?」
「「「ーー師匠!?」」」
隣でアウルやステラ達が、彼の名を呼ぶ。
レセップスの甲板の上で腕を組む機体があった。
すると、巨大なツノと赤い翼を広げた黒いガンダムの持ち主は、ニヤリと笑って告げた。
「そう! ワシの名は! デビルガンダム四天王が頭、東方不敗マスターアジア!!」
続いて、イギリス紳士のハットにコートと軍服を合わせたような機体の持ち主が、ライフル片手に名乗りを上げる。
「ーー獅子王争覇、ジェントル・チャップマン」
その2人の前に不機嫌そうに赤い髪をトサカに立てた、鷹のような顔の男が告げた。
「天剣絶刀、ミケロ・チャリオット!!」
3人が名乗りを上げた後、マスターガンダムが頭上を指し示す。
「ーーそして、我らが王のお出ましだ!!」
通常のMFよりも大きい20メートルを越えた巨躯。
ゴッドガンダムの顔と体に、マスターガンダムの腕と羽の形をした、悪魔のガンダム。
「天地魔王、我が名はーーデビルガンダム!!」
運命と伝説の名を冠する機体は、魔王とその眷属の機体を呆然と見上げていた。
「デビルガンダムに、マスターアジアだと!?」
『チャップマンにミケロまで。私達を裏切るのですか?』
問いかけるウォンにミケロは睨みつけた。
「吐かせよ。てめえ等に利用価値がねえだけだ」
これに隣のチャップマンとマスターアジアが続いて述べる。
「こちらの方が性に合う。それだけだ」
「人類の真の敵、それがワシらであると示す為にも邪魔な貴様らには真っ先に消えて貰おう。ウォン、ウルベ!!」
吠えつけるマスターアジアに、ウルベが舌打ちを返す。
「あまり、調子に乗らんでいただきたいものだな。東方不敗」
構えを取るウルベ。
だがーー。
「ーーえ?」
ウルベの目の前に、魔王の翼を広げたガンダムがいた。
難なく、デスルークのマルチプライヤーを右手で貫き、そのまま片手で持ち上げると、右手を青紫に燃えさせる。
「我のこの手が陰りて嗤う。すべてを屠れと高まり狂う!! 暴ぅうううう裂!! デビィイル!! フィンガァアアアアアア!!」
「ーーなんだぁあああっ!??」
そのまま、跡形もなく巨躯を消し飛ばす。
あっと言う間のことだった。
「ーー我が眼前に立ちはだかる者よ、身の程を知れ」
デビルガンダムーーDがヘブンズベースに殴り込みをかけたのだった。
皆さん、お待ちかね〜!
人類の敵であると語るマスターアジア。
言いながらも彼らは、率先してヘブンズベースのウォンとウルベを追い詰めて行きます。
果たして、彼らの目的は?
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第70話に!
レディー、ゴー!!