新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
喜びを分かち合う2人の兄弟。
一方、キョウジの力を得たウルベは、圧倒的な力で全てをねじ伏せようとします。
これを迎え撃つのは、無敗のオーブ軍とキラにアスラン。
はたして彼らは、ウルベとウォン、ジブリールを倒すことができるのか?
それでは、ガンダムファイト!!
レディィィィッ、ゴォォオオオオオッ!!
ザフト高速艦エターナル。
ジブラルタル基地から脱出に成功したアスランとメイリンは、オーブ軍のアークエンジェルと無事に合流を果たした。
そのままシャトルでマスドライバーから宇宙に上がったキラとアスラン、そしてメイリンは、クライン派が拠点としている廃棄プラントのドックから歌姫の船に乗艦した。
そのブリッジで、キラはラクスと久しぶりの邂逅を果たしていた。
「ーーキラ。よく来てくれましたね」
いきなり胸の中に飛び込まれて強く抱きしめられた。
キラは訝しげに思いながらもラクスを抱き締め返す。
ラクスの顔が悲し気に歪んでいたのをキラは見逃さなかった。
「ラクス、どうしたの?」
「ーーわたくしは、一人の女性を不幸にしました。それにキラ。あなたは、これからーー!」
涙を流しながら珍しく要領を得ないラクスにキラは優しく微笑んで、背中をさすりながら問いかける。
「ゆっくり話して、ラクス。何があったのかを」
「はいーー」
そんな二人の親密なやりとりをメイリンがポカンとしながら見ている。
アスランは、そんな彼女に説明した。
「キラはラクスの恋人なんだ」
「ーーえ? でも、アスランさんとーー!」
「あれは、別人なんだ。話すとややこしいんだけどな」
?マークが飛び交うメイリンに苦笑しながら、アスランは頷いた。
そんな彼に別方向から遠慮ない声がかけられた。
「やっと宇宙に上がってきたか! 甲斐性なしめ」
「そういう言い方はよせって」
「いいんじゃない? ストレートに言った方が本人の為よ」
聞き慣れた3人の声にアスランが目を見開く。
ラクスを抱きしめていたキラも、目を見開いて声の方を向いた。
「「イザーク! ディアッカ! ミリアリア!」」
ポカンとする2人の少年に3人は微笑みを浮かべた。
キラが思わず彼らに声をかける。
「力を貸してくれるんですか、ディアッカ! イザークも!!」
正規の軍人だったイザークとディアッカ。
彼らは、ザフト軍を抜けてまで自分達ーーもといラクス達に協力してくれたのだろう。
キラが感動したように告げるとイザークは、不敵な笑みを浮かべた。
「フン、その喜びよう。俺の力を正しく理解しているようだな。流石はキラ、何処かの甲斐性なしとは大違いだ」
胸を張り威張るイザークの横からディアッカが気楽な笑みを浮かべて言う。
「ま、成り行きだ! 俺たちも議長が怪しいのは分かってたからな」
更にミリアリアが補足説明をした。
「キョウジさんに頼まれた依頼3つのうち、2つを完遂させたの。そしたら、ラクス達に合流してって言われたのよ。依頼内容はデュランダル議長の動きの報告と、セイランとの無線チャンネル。それと、プラントとの取り引き」
3人の言葉にキラが目を見開いた。
「そんな大変なことを3人でーー! しかも、こんな短期間で成果を出すなんて」
そこまでの成果を叩き出したことにキラは、思わず感嘆の声を上げた。
それに彼らは微妙な表情になる。
「? どうしたんだ、イザーク?」
自慢話が始まるかと身構えていたアスランは、彼の反応に思わず問いかけた。
すると、イザークはアスランをチラ見した後、キラを見据えて言った。
「ーーキラ・ヤマト。貴様は、これから悪夢を見ることになる。おそらく、貴様にとってアレは悪夢だろう。酷な言い方だが、覚悟しておくんだな」
深刻な表情のイザークに、アスランは隣のディアッカやミリアリアを見ると、彼らも深刻な表情になっていた。
どういうことかとキラが問いかけるよりも早く、イザークによく似たーー低い声が彼らに語り掛けた。
「DG細胞はコピー体を作ることができる。それについては、シャイニングガンダムのデータから、お前たちも知っているんだろ?」
イザークよりも更に低い声。
キラは目を見開いてそちらを見た。
燃えるような赤い鉢巻とマントを身に着けた黒髪黒目の青年。
キラの尊敬する二人の人間によく似た、鋭い瞳の武道家。
彼らと同じくらいにキラにとっては、尊敬に値する男。
彼の戦いを見て、誰よりも励まされたのは自分だとキラは自覚していた。
少年は震える声で、その男の名を告げた。
「ドモン・カッシューーさん!」
そんな震える少年の声に、男ーードモンは不敵な笑みを浮かべて見せた。
「はじめまして、だな。兄さん達を助けてくれてありがとう、キラ。お前には、直接礼を言いたかった」
永遠の名を冠する戦艦で、キラとアスランは最強の武道家と邂逅した。
彼から聞いたことは、キラにとって確かに悪夢であった。
彼にとって怨敵ともいえる男ーーラウ・ル・クルーゼの復活と、彼が守り切れなかった少女ーーフレイ・アルスターの姿をしたDG細胞の生命体。
その生命体はキラ・ヤマトを苦しめるためだけに存在すると言う。
そしてラクスの姿にもなることができる。
そんな突拍子のない内容。
聞いただけのアスランにはSFのような話だ、現実味がないとしか思えなかった。
だがーー実際はそんな生易しいものではない。
それは、ラクス・クラインを模した演説を見て理解していた。
「……キラの前にいずれフレイーーううん。ファム・ファタールとラウ・ル・クルーゼは現れると思うわ」
ミリアリアの言葉にキラも静かに頷いた。
「分かったよ、ミリィ。ありがとう」
「キラ、大丈夫なの?」
「分からない。でも、僕は決めたんだ。もう迷わないって」
強い瞳で応えるキラにミリアリアは悲し気な目になる。
「キラ、でもあの子は。フレイはーー!」
何かを伝えようとするミリアリアをディアッカが制した。
静かに首を横に振る彼に、ミリアリアも寂しげに頷く。
これにドモンが一拍置いてから声を上げた。
「話は落ち着いたようだな。ラクス、キラ達のガンダムを!」
その言葉にキラとアスランの目が見開かれた。
「! 僕たちのーー」
「新しいガンダムーー!」
彼ら二人の前に現れたのは格納庫に置かれていた二機のMS。
ストライクフリーダムガンダムとインフィニットジャスティスガンダムであった。
「お前たちの戦闘データを基にしたものと、キョウジ兄さんからのデータで創られた機体らしい。特にストライクフリーダムの方は、ザフトが量産型のフリーダムを作成しようとしていたデータを拝借した。じきにそこの二人ーーイザークとディアッカ用のフリーダムも作られるだろう」
ドモンからの説明にキラ達は目を丸くする。
「兄さんからのデータは渡りに船だった。ガンダムのOSは俺の方でも調整しておいたから、後で確認してくれ。それとアスランは格闘が得意だと聞いていたんでな、そのように関節部を改良するよう指示しておいた」
キラが静かにストライクフリーダムを見上げる。
感じたのは、フリーダムとその分身だったストライクの感覚だ。
「…すごい。僕の機体そのものだ」
アスランの方も明鏡止水で機体の五感を感じて取る。
「これはーー俺の想像通りに動く。これが、未来世紀のフレーム技術なのか」
二人の反応にドモンはニヤリと不敵に笑って言った。
「さあ、地球に向かうぞ。そろそろ終わりにしてやろうぜ、こんな馬鹿げた戦いをな!」
力強い彼の言葉に二人の少年はこくりと頷いた。
こうして、コズミックイラ最強のパイロットーーキラ・ヤマトとアスラン・ザラ。
未来世紀最強の男ーードモン・カッシュ。
三人の駆る強力過ぎるガンダム達は、青き母なる星地球へと降り立った。
オーブのマスドライバー。
現状において、二つに別れた地球連合と元々敵であるザフトのマスドライバーを除けば、唯一といってよい施設だった。
そのシャトルの一つにロゴス幹部ロード・ジブリールが乗り込んだ。
彼の前に一機のMFが現れる。
丸いボディに異形の両腕を持つその機体をジブリールは知っていた。
「四天王ーーウォルターガンダム!? ウォンか!!」
ジブリールの声にウォルターガンダムのパイロット、ウォンが答えた。
「ええ。よくぞ無事にここまでたどり着きましたね、ジブリール」
「お前こそ、よくぞ復活した! ウルベは!?」
「問題ありません、ウルベも無事に復活しています。それよりも、そのシャトルには自爆装置が付けられているようです。ガンダムのレーダーに反応があります」
「ーー何? おのれ、キョウジ・カッシュめ! 用意周到な!!」
ウォンからの言葉にジブリールが歯ぎしりする。
ウォンは静かに告げた。
「落ち着いてください。貴方もDG細胞の使用者です、ならばそのシャトルを取り込んでしまいなさい」
「ーーなるほど。良い手だ」
言うと同時にジブリールの全身から紫の光がはなたれ、シャトルを内部から変換していく。
これにウォンがニヤリと笑った。
「そう、それで良いんです。さて、私はここに来る愚か者どもを排除した後にシャトルに乗り込みましょう。貴方はシャトルを発進させなさい」
「いいだろう。お前たちの戦いを見させてもらおう」
邪悪な笑みを浮かべ合い、両者は迫りくるオーブ軍を見据えた。
マスドライバー施設の周囲を取り囲んで、トダカは告げた。
「気をつけろ! 自爆装置が発動しない!! ここで奴らを落とさねば、後の世に禍根が残るぞ!!」
トダカの艦の後ろからアークエンジェルが姿を見せる。
「まったく、ステラ達をジブラルタル基地に送ったすぐ後で、こんなことになるとはな」
苦笑と共に言う金色の髪の男ーーネオ・ロアノーク。
これに茶髪の男ーーアンドリュー・バルトフェルドが答えた。
「ぼやくな、ロアノーク! それだけ、敵を追い詰めてる証拠だ」
その言葉にマリュー・ラミアス艦長も頷く。
「そうよね。MS隊は発進準備を!!」
この言葉に、二人の男は頷いた。
「アンドリュー・バルトフェルド! ガイアガンダム、発進する!!」
「ネオ・ロアノーク! ウィンダム、出る!!」
自分たち用にカラーリングとチューンされたMSで出張る二機。
バルトフェルドはガイアを四足にして、ホバーユニットの上に飛び乗った。
「ステラみたいに海面を走らないのか?」
「お前さん、一人で戦うのなら海面にダイブして、スキューバダイビングを楽しんでやっても良いがね」
笑顔で揶揄してくるネオにバルトフェルドも軽口で返す。
目の前に広がるデスアーミー達と4機のMF--ガンダム。
彼らを前にしても、余裕があった。
マスドライバーを最悪破壊すれば、シャトルは宇宙に上がれないからだ。
いくらMFが強力だと言っても、手駒が30機程度のデスアーミー達では守り切れない。
落ち着いて攻めれば、いくらでも攻略はできると歴戦の勇士である二人は考えていた。
そこにだーー。
「刮目せよ! ヴァァアアニシングゥフィンガァアアアアアア!!」
青黒く輝く光線が放たれた。
その光は瞬く間に、展開していたオーブ軍を消し飛ばす。
「なんだと!?」
「この力ーー、まさか!!」
ネオとバルトフェルドがそちらを見れば、紺色のトリコロールのボディと白を基調とした顔と手足のガンダム。
ゴッドガンダムやシャイニングガンダムによく似た、デスガンダムタイプのMSがいる。
「これはーー!!」
驚愕するオーブ軍に謎のGガンダムタイプのパイロット--いや、ファイターはニヤリと笑いながら言った。
「無力な人間どもめ! 私たちの邪魔をするな!!」
長髪の軍人ーーウルベ・イシカワだった。
これにムラサメ隊がMA形態で4機編成と隊列を組んで挑む。
だが、その場から姿を消して見せるとウルベのガンダムは、一気にムラサメ隊の上空に現れ、エネルギーショットを右手から放った。
「な!?」
「ばかな!?」
ムラサメ隊のパイロットたちはそんな言葉を最後に光の中に消えて行った。
「ーー! 畜生!! やはり、犠牲者なしでは無理か!!」
バルトフェルドが、消えて行ったパイロット達を見て拳を握りしめる。
キョウジが参謀となってから初めてのオーブ軍の犠牲者が出た。
分かってはいた、覚悟もあった。
だがーー。
「許さんぞ、ウルベ!! みんな、下がれ!!」
虎の咆哮に鷹も呼応する。
「一人で無理すんな、いくぞ!!」
二機のMSの動きにウルベの目が鋭く細まる。
「ほう…、一体はガンダムか。面白い!!」
二機は、ヴァニシングガンダムの両側から音速の域に達した動きでビームライフルでの波状攻撃を行う。
それらをアクロバティックな動きで避け続ける。
「なるほど、中々に鋭い動きだ。まあ、所詮MSの動きだが」
ウルベの嘲笑に舌打ちするネオとバルトフェルド。
「ならーー!」
「直接切りつける!!」
左右からのビームサーベルの一撃。
ウルベは軽々といった風に左手と右手をかざし、受け止める。
「デタラメ過ぎんだろ!!」
「くそーー!!」
悪態を吐く二機に対し、ウルベは呟く。
「何故勝てもしない勝負に挑むのか、理解に苦しむ」
そう述べると同時に両手から気を放って吹き飛ばす。
「何故だとーー?」
「すぐにわかるさ」
吹き飛ばされながら告げる二人の言葉に訝し気に眉を寄せるウルベ。
ふと気配を感じて上を向くと同時。
二つの声が聞こえた。
「アスラン!!」
「くらえ、ウルベ!!」
キラとアスラン。
フリーダムとジャスティス。
二機のガンダムからの砲撃だった。
視認すると同時に放たれた多重砲撃。
「チッ」
ウルベは舌打ちすると同時に、両拳を作ってビームを弾いていく。
懐に現れたのは、赤いガンダムーージャスティスガンダムだ。
「いくぞぉおお!!」
柄の両サイドからビーム剣を作り出し双身のサーベルをジャスティスは振りかぶる。
「面白い!!」
ウルベも腰からビームサーベルを抜き放つ。
桃色の斬閃が宙に描かれて交差する。
二閃、三閃される両者の剣戟。
中央でつばぜり合いになる。
「ーーMFの動きについてくる、だと?」
「いつまでも、自分たちが圧倒的に上だなんて思うなよ!!」
そう告げるアスランにウルベはニヤリと笑った。
「笑わせてくれる!!」
同時に右の前蹴りでジャスティスのボディを蹴り飛ばす。
「ぐぅ!!」
後方に弾け飛ぶジャスティス。
その陰から、音速を超えた動きで青き翼のガンダムが斬り込んで来た。
「はぁあああああっ!!」
「甘い!!!」
正面から斬り合う。
キラのフリーダムが目の前に現れていた。
キラは斬撃が止められたと見るや左の逆手で右腰から逆サイドのビームサーベルを抜き放つ。
ウルベは咄嗟につばぜり合いをしていたフリーダムの右手のサーベルをはじき返し、逆手に抜き放たれた斬撃を受け止めた。
「ーーくっ!」
「ほう、刹那の拍子で抜刀してくるとは。中々の使い手だ!!」
冷酷な笑みを浮かべて蹴りとばす。
同時にウルベの目に青い物体がいくつか目の端にちらついていた。
「ーーこれは、ビットか!」
そう、ストライクフリーダムの青き翼を成していた無数のひし形のビット。
それが空中に浮いている。
「下らん、ビット攻撃など。我々の世界では大した脅威ではない!!」
ウルベは斬撃から波動を飛ばしてキラのスーパードラグーンを切り落としてしまう。
「一つ、二つのドラグーンを切れるからと言ってェええええ!!」
叫びながら、キラは残りのドラグーンから緑色のビームを放つ。
網の目のように走る砲閃。
ウルベは咄嗟に機体をバックステップさせる。
一瞬後、ウルベがいた位置には全方位からのビーム砲がぶつけられていた。
「ーーん!」
ウルベが素早く左右を睨みつけると、光の翼を背負ったフリーダムガンダムと、音速を超えた動きで突っ込んでくるジャスティスガンダムがいた。
二機は左右から同時に斬撃を放ってくる。
「ヴァニシングスラッシュ! タイフゥウウウウン!!」
ウルベは正眼にビームサーベルを両手持ちで構えると、その場で回転を始めた。
「これは!!」
「その場で大回転だと!?」
キラが目を見開き、アスランが何のつもりだと驚愕に叫ぶと同時、桃色の斬撃を竜巻状にして切り込んで来た二機の一撃を弾き飛ばす。
「やっぱり、これはドモンさんの!!」
「なんだと!?」
キラとアスランが後方に弾き飛ばされる。
同時にヴァニシングガンダムは回転をぴたりとやめ、腰にサーベルを素早く差すと同時に左右の手を吹き飛ばされている二機に伸ばし、エネルギーショットを放った。
態勢を整えるためにバーニアを逆噴射して、宙に一瞬止まる二機の目の前に光が迫る。
「ーーくっ!」
「バカな!!」
二機は同時にビームサーベルで光弾を切り払う。
内、ジャスティスガンダムの目の前にヴァニシングガンダムが現れ、拳を振りかぶっている。
「もらった!!」
にやりと笑いながら、ウルベは拳をジャスティスガンダムの顔面に振り下ろす。
桃色の光が同時に火花を散らした。
「ほう?」
冷酷な笑みで感心したようにウルベはもらす。
拳が、桃色の刀身に止められていたのだ。
「さっきも言ったが、自分たちがいつまでも上だ何て思うなよ!!」
「中々ーー楽しませてくれる!! ヘブンズベースでやりあった小僧どもより強いようだな!!」
すぐさま、ウルベは逆の拳を放つ。
アスランはそれを双身のサーベルで受け止めた。
次々と放たれる拳と蹴りを前に、防戦一方になる。
「アスラァアアアアアンッ!!」
瞬間、キラがウルベの背に突っ込んで来た。
アスランに向けて放っていた蹴りを、そのままの勢いで後方に回し蹴りとして放つ。
キラはそれを膝で受け止めた。
「ーー何!?」
目を見開くウルベにキラが強い瞳で言った。
「ウルベ!! いつまでも貴方たちの思い通りには、させない!!!」
言いながら、フリーダムが右の回し蹴りを放ってきた。
鋭い一撃は、ウルベをして思わずガードするほどだ。
「この動きーー! 貴様!!」
背を向けていたウルベの脇腹にジャスティスガンダムの右の回し蹴りが放たれた。
つま先から膝の部分にビーム刃を発生させて、だ。
「ぬん!」
咄嗟にウルベは右の肘に気を集中させて受け止める。
「喰らえ!!」
ジャスティスガンダムの両肩からビーム砲が連続で放たれた。
咄嗟にウルベはジャスティスガンダムに躰を振り返らせつつ、上体を横に倒して次々と避ける。
不安定な態勢になったヴァニシングガンダムのボディを、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスの同時に放たれた横蹴りが吹き飛ばした。
「ぬぅ!!」
腹を抑えながら、前方で全砲門を開いてこちらに構えている二機のガンダムを睨み据える。
「これがーー!!」
「俺達の力だぁああああ!!」
デュアル・ハイマットフルバースト。
二機の砲撃は全てウルベのヴァニシングガンダムに向けて放たれている。
避ける術は存在しない。
「ぬぅ!!」
思わず唸り声を上げるウルベ。
まともに無数のビーム砲がぶつかり、宙で爆発する。
その光景にオーブの誰もが歓声を上げた。
キラとアスラン。
彼ら二人を除いて。
ゆっくりと立ち上る爆煙。
それを気合を入れてかき消し、ウルベのヴァニシングガンダムは現れた。
胸部のエネルギーマルチプライヤーをさらけ出し、青黒い光を放たせて。
機体は一気に黄金の光を纏う。
禍々しい青黒い光と神々しい黄金の光。
その二つを放つ二律背反の境地。
「中々の強さだ。くく、手に入れたこの力。試すには丁度良い!!」
ウルベは口の端を吊り上げながら、金色となった自身を見下ろす。
その気迫は海面に波紋を浮かばせ、空の雲を吹き飛ばす。
自身に満ち溢れたパワーに、ウルベは心から陶酔していた。
「キョウジ・カッシュはよくやってくれたよ。おかげで私はハイパーモードを手に入れることができた。この力で私は更なる高みに達することができるだろう」
喜びに打ち震えるウルベにキラが鋭い瞳のまま、告げた。
「確かに凄い力だ。だけど、勝てないわけじゃない!」
「ーーなんだと?」
力の差を見せつけられても、キラの目は曇るどころか鋭くなるばかりだ。
「確かにお前は強い。だけどお前の強さは、お前だけのものだ! 俺たちには背中を預ける仲間がいる!!」
アスランもキラと同じ強い光を持った目で告げる。
それをウルベは、冷酷な光を持った瞳で。
人ならざる姿になりながら、告げた。
「ならば、私に勝ってみるがいい。この無知で無力なガンダムファイターども!!」
その言葉にキラとアスランは、ウルベの正面に向かって立つ。
2人は互いに見合うと頷き合い、気を解放した。
「ーー!? まさか、貴様ら!!」
ウルベが目を見開くと同時に、黄金の光を放つ二機のガンダムが現れた。
「明鏡止水ーーハイパーモードだと!?」
目を見開くウルベにキラは告げた。
「ウルベ、人は絶えず進化していくものだ。あなたのように人を捨てなくても、人はあらゆる可能性を秘めている! 細胞や遺伝子に決められた世界なんか、僕たちは要らない!!」
「俺たちは戦い抜く! 希望の未来を掴み取り、互いに分かり合う道を模索する!! 相手への敬意と理解を忘れずに、必ず貫き通す!!」
「「それが、僕(俺)たちの戦いだぁあああっ!!!」
二つの光は、大気を揺るがし、大海に巨大な渦を巻かせる。強大なプレッシャーを放っている。
その気迫に、僅かにヴァニシングガンダムが押される。
「ーーおのれ、何という奴らだ!!」
ウルベをして、そう言わせる程の力を放つ、二機のガンダム。
「ーーならば、私も応えてやろう。久しぶりにガンダムファイトになぁ!!」
構えを取るウルベに、キラが叫んだ。
「ガンダムファイト!!」
アスランが継いで叫ぶ。
「レディィィィッ!!」
2人は高めた気を爆発させて、ウルベに突っ込んだ。
「「ゴォォオオオオオッ!!」」
ウルベもまた、黄金の気を纏い告げる。
「ならば来い! コズミック・イラのガンダムファイターども!!」
三つの黄金の光の球が、空中でぶつかりあった。
少し離れた場所の海域から、ザフト軍が隊列を組んでその戦いを見ている。
「キラさん、それにあの赤いのはアスランか。戦ってるのか!!」
「艦長、出撃許可を下さい!!」
シンとルナマリアが、即座にタリアに告げる。
その横ではステラやアウル、スティングも頷いていた。
「分かったわ。アーサー、全軍に通達! ザフト・地球軍の先陣を本艦が行います!!」
「はい! 分かりました!!」
タリアの指示にアーサーも頷く。
シン達は格納庫に走って行った。
「シュバルツ殿は、後から来てくれますよね?」
アーサーの言葉に、タリアが微笑んで頷いた。
「今は、そっとしてあげましょう。あんな幸せそうな彼をはじめて見たわ」
タリアの言葉に、アーサーも頷く。
彼らは一呼吸置いて気持ちを切り替え、目の前の敵を。
戦いを見据えた。
「ミネルバ隊! オーブ軍に助太刀します!!」
マスドライバーの奪取は、はたして止められるのだろうか。
新たな火種が燻りはじめているのを、彼らはまだ知らない。
みなさん、お待ちかね〜!
キラとアスランの明鏡止水を迎え撃つのは、二律背反の境地に達したウルベ。
その圧倒的な力に大苦戦を強いらされるキラ達。
更にゼウスガンダム達やウォンのウォルターガンダムまでも参戦し、絶対絶命の危機に。
彼らを救ったのは、5人の新たなるガンダムファイター達でした!
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第77話に!
レディー、ゴー!!