新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
一方、ウルベの前にはドモン・カッシュとゴッドガンダムが現れたのです。
果たしてドモンは、どのような闘いを繰り広げるのか?
それでは、ガンダムファイト!!
レディイイイ、ゴォォォオオオ!!
自由と正義と運命の名を冠するガンダムを救ったのは、神の名を持つガンダムだった。
彼は悠然と海上で両腕を組み、威風堂々と現れた。
「キング・オブ・ハート、ドモン・カッシュ君か。久しぶりだね」
冷たい笑みを浮かべて、その瞳の奥に憎悪の炎を讃えて。
ウルベは「消滅」の名を自ら付けたヴァニシングガンダムのハイパーモードを解除してから語り掛けた。
「さっきも言ったが、俺は貴様の顔など見たくもなかったがな」
「お互いさまだろう。わたしとて君と出会うのはもう少し先でよかったのだ」
「……また下らんことを企んでいるようだな?」
ドモンの探るような言葉にウルベは冷酷極まりない笑みを浮かべた。
「世界をこの手にすることが、下らないかね?」
「ああ。これ以上ないほどに下らん」
「ならば、見逃してくれないかね? 君にとって下らないことならばね」
「断る」
はっきりと冷たいウルベの目を見て告げるドモン。
ウルベは表情を変えぬまま問いかけた。
「ほう? 一応聞いておこう、何故だ?」
「世界は誰のものでもない。この青く輝く母なる大地。地球こそ、最高の命だ!! 俺たちはその一部に過ぎない」
ドモンは静かに燃える漆黒の瞳でウルベを睨みつけると、構えを取った。
「それを忘れて、何が世界を手に入れるだ。貴様の行いは愚の骨頂!!」
これにウルベもニヤリと返して両の腰に左右の拳を置いて構える。
「ーーそうか。ならば仕方ない」
一瞬の静寂後、両者が互いに向かって拳を振りかぶってダッシュした。
ぶつかり合う二つの機体。
殴り合いが始まった。
悪魔の男は、醜悪に歪んだ顔で笑う。
「今度こそ! 殺してやるぞ、ドモン・カッシュゥウウウ!!」
その顔を静かに睨み据えて、ドモンは不敵に言った。
「できるものなら、やってみろ!」
ぶつかり合う拳と拳。
蹴りと蹴り。
全身から紅い気を放つウルベに、ドモンは緑色の気を両手足に纏わせ、迎え撃つ。
秒間、数十の拳蹴打が乱れ飛ぶ打ち合い。
右の上段回し蹴りを放つウルベ。
狙いはゴッドガンダムの左側頭部。
対するドモンは、膝を曲げて上体を下げ、かいくぐりながら踏み込んで左のフックを放つ。
ウルベは上体を背後に反らし軸足を一歩下げて、顎先でフックを避けると右ストレートを放った。
しかし、ドモンは即座に右足一本で左側にサイドステップするとウルベの右ストレートを体ごと避け、がら空きの右顔面に右拳を放つ。
「次元覇王流、聖拳突きぃいいい!!」
ウルベはこれを顎先に置いていた左掌で受け止める。
火花がバチバチと散り、海面を大気を揺らす。
凄まじい衝撃が受け止められた右拳から生じていた。
「ーーぬぅう!?」
「それで止めたつもりか、ウルベ!!」
気が更に増し、ガードを押し切ってヴァニシングガンダムの顎を殴りつけるゴッドガンダム。
「ぐう!!」
忌々し気にウルベは、顎先に入った一撃に首を左右に振るも、次の瞬間には側頭部にドモンの気を纏った右の上段回し蹴りが決まっていた。
「聖槍蹴り!!」
「ぐは!!」
海面に水柱を立てながら、叩き込まれるヴァニシングガンダム。
だがーー水面から柱が立つと黄金の光が海中から放たれ、金色になったヴァニシングガンダムがゴッドガンダムの前に姿を現した。
「遊びは終わりだよ、ドモン君」
ウルベが二律背反の境地を使い、ヴァニシングガンダムのハイパーモードを発動したのだ。
対するドモンは静かに左手を顔の横に、右拳を腰に置いて膝を曲げ構えを取る。
「フンーー。死ねええええ!!」
黄金の気を全身からあふれさせ、右の拳を振りかぶりながら放つウルベ。
同時にドモンは右の拳に螺旋を描く緑色の気を纏わせると、目を見開いて気合いを入れ放った。
「次元覇王流ーー聖拳突き!!」
まともにぶつかり合う二つの拳。
目を見開いたのは、ウルベだった。
「ーーこれは!」
明らかにウルベの放った右ストレートは、ドモンの右正拳よりも強烈な威力を誇るーーはずだった。
だが、現実はそうではない。
ウルベの拳はドモンの拳によって完全に抑えられていた。
「なんだと!?」
目を見開くウルベ。
淡々と彼を見据えるドモン。
両者は互いの中央で拳を合わせた姿勢で止まっていた。
「ーードモン、貴様!?」
今のウルベに対抗するには、ドモン自身もハイパーモードになるしかないはずだった。
だがドモンはハイパーモードどころか、明鏡止水すら発動せずに己の拳と気で止めていた。
「どうした、ウルベ。押し返してみろよ」
「き、さ、まぁああああああ!!!!」
淡々と不敵な笑みを浮かべて告げるドモンにウルベは血走った眼を向けて吠える。
「あれはーーどうなってんだ? 黄金のガンダムを止められるのは黄金のガンダムしか無いんじゃないのかよ」
真っ向から受けて止めたドモンのゴッドガンダムに、ネオが目を剥いて問う。
これに応えたのはシンだった。
「相手の打突点をずらした上で、自分の打突点を合わせて止めてるーー!」
「ああ? なんだ、そりゃ!?」
「……信じらんねえ。あのウルベの鋭い攻撃をずらして、自分の打点を一方的に当てて止めるなんて」
「おい、坊主! 分かりやすく言いやがれ!! なんで金色じゃないのに、止めてんだよ!?」
「見たまんまだよ」
目を見開いて冷や汗を流しながら、シンはネオに顔を向けることなく言った。
「ああ!?」
その態度におざなりにされていると憤るネオだが、シンは構わずに告げた。
「そのぐらい、あの二人には差があんだよ」
その言葉に、この場にいる誰もが戦慄した。
絶句した彼らは呆然と、黄金の機体とぶつかり合うトリコロールのガンダムを見据える。
神域ーー正にその境地に辿り着いた男の力を見据える。
キラ達は知らない。
未来世紀でのドモン・カッシュの二つ名を。
次元覇王流とは、何の比喩でもない。
武を極めたが故に、世界を統一し英雄たちを率いた男。
彼の生き様そのものの二つ名。
あのデビルガンダム事件から誰が呼び始めたのかは定かではないが、こう呼ばれるようになった。
次元(世界を)覇王(武を持って統べる者)とーー。
ドモンの動きは、明らかに極みに達した者の動きだ。
そして、それを完璧にトレースするゴッドガンダムにも驚愕する。
( バカな! こんな動きをトレースできるだと!? あり得ん!!!)
ウルベはガンダム開発局に居たからこそ、分かる。
今のゴッドガンダムの動きは、MFのソレではない。
まるで生身の人間のようだ。
未来世紀にあって尚、考えられない技術だった。
( アルティメット細胞か!? 機体をファイターに合わせるように作り変えたのか!? いや、あり得ん!! だったら、私のヴァニシングも同じはずだ!!!)
攻撃を全て無効化されている。
ドモン・カッシュの気をゴッドガンダムが何倍にも高めて手足に凝縮させている。
放たれる技の全ては、奥義としての位置も威力も求めていない。
これは、通常打撃の延長にある技なのだ。
その証拠にドモンの技は、次々と繰り出されている。
流れるように、極自然にだ。
それだけの動きを苦もなくトレースするゴッドガンダムは、既にドモンと人機一体と言って良いだろう。
つまりゴッドガンダムは、ドモンの肉体そのもの。
「ーーあり得ん!! ドモン、貴様は!?」
「ウルベよ、貴様はガンダムの意志を感じないのか?」
「ーーなんだと?」
「ガンダムをただの道具としか思えないなら、貴様はこの域には立てんぞ。どう足掻いてもな」
ドモンの言葉に頷くように、ゴッドガンダムがデュアルアイを輝かせる。
ウルベは、苛立っていた。
今の自分は、あのシャッフル同盟を蹴散らした時よりも強化されているはずだった。
このヴァニシングガンダムもまた、グランドマスターガンダムを作り変えた機体だ。
だというのに、完璧に技が止められている。
「ーードモン、なんの真似だ!?」
そして、もう一つウルベを苛立たせる最大の理由があった。
ドモンの動きだ。
次元覇王流という技に惑わされることなく、気づいた。
相手の攻撃に同じ攻撃を放つ、流派があることを。
相手の技を予測して先に放ち、潰す技があることを。
「ドモン・カッシュ!! 何故、貴様がその見切りを知っている!? 何故、私の技を貴様が!?」
ウルベが気にするはずだ。
彼は一度も自分の流派を使わずにドモン達に倒されたのだから。
では、何故ドモンが自分を裏切った武術の技を知っているのかーー。
『僕は、父さんが大好きだよ!!!』
そんな空耳がウルベの耳に届く。
思わず、目を見開くウルベは攻撃を止めた。
「ーーまさか」
それだけを呟いたウルベにドモンは静かに構えを解いて立つ。
「貴様があいつに教えた技だ、ウルベ」
そのドモンの言葉に、ウルベは静かに表情を消すと目の奥に凍てつく憎悪を浮かばせた。
「ほう。力無き虫が、無謀にも君に足掻いたか…! やはり愚か者だった」
嘲り侮蔑するウルベに、ドモンは淡々と告げた。
「親父を何故殺した、と言われた」
「………」
目を細め、ウルベはドモンを睨み据える。
ドモンは構わない。
拳を握り、ウルベの前に掲げると淡々とした声で続ける。
「親父のせいで、母さんがどれだけ苦しんだか。自分がどれだけ苦しんだかを伝えることができない、とな」
ドモンが語り終える寸前にウルベが不意打ち気味に右ストレートを仕掛けた。
「ーードモンさん!!」
「汚ねえぞ、ウルベ!!」
キラの悲鳴、シンの罵声が響く中、鈍い音が聞こえてきた。
ウルベの拳は、ゴッドガンダムの顔の右の空間を打ち抜き、反対にヴァニシングガンダムのアゴにドモンの右正拳が決まっていた。
「ーーーー!」
強烈なカウンターに、ウルベが後ろに一歩下がる。それを見て、ドモンは告げた。
「確かに伝えたぞ。あいつの怒りとその母親の悲しみを」
言うと同時に、ゴッドガンダムの胸部カバーが開き、背中の6枚のフィンが左右対称・上下に展開され、日輪を背負う。
キングオブハートの紋章がガンダムの胸の紅いクリスタルーーエネルギーマルチプライヤーに浮かび上がり、ゴッドガンダムが黄金の気と真紅の劫火を纏った。
対峙するウルベは静かに前屈みになりながら顎をひと撫ですると、ゆっくりとドモンに顔を向けた。
「つくづく、不愉快な奴だよ。貴様と言う男はぁああああああ!!!」
言いながら、ウルベは両の拳を腰に置いて構え、一際大きな黄金の気を纏う。
ヴァニシングガンダムの胸部エネルギーマルチプライヤーは、黒に近い紺色の光を放っていた。
対するドモンは、気で増幅され具現化した真紅の劫火を両手足に纏わせる。
同じネオジャパンという国で作られたガンダム。
同じ顔をしたガンダムが、黄金の気を纏って互いに構えを取り向かい合う。
一瞬の静寂。
静かに波の音が辺りに響く。
仕掛けたのは、ウルベ。
音速どころか、バーニアすら使わずに消えるようなスピードで動く。
凄まじい地鳴りと衝撃波が発生し、海面を割る。
二つの黄金の光の玉が、激しくぶつかり合っていた。
拳を放つ、放てば避ける。
避ければ、放つ。
譲らない打ち合いは、苛烈かつ荘厳。
海が割れ、黄金の光に空が灼かれる様は、正に神話のような神々しさがある。
だが、打ち合いに差が現れ始めた。
ウルベの右正拳をサイドステップでかわすと、立ち位置を入れ換えながら正拳突きを返すドモン。
対峙するウルベには、残像と戦っているかのような印象を受ける。
捌いていたウルベだが、ついに首が跳ね上がった。
( 退くな! 退けば、一気に奴の連撃に飲み込まれる!!)
咄嗟に左手で顎を庇いながら考える。
連打に打ち勝つのは、強打だ。
攻撃を受けながら相打ち狙いでヴァニシングフィンガーを準備する。
劫火を纏った拳が厄介ではあるが、一撃の威力はそれほどではない。
ハイパーモードになった自分ならば耐えられる。
鋭い、左から右の正拳。
( 目に映らない程に速いだと!?)
蹴りも拳も、早過ぎて打ち終わりしか見えない。
しかも一撃の威力が固く、急所に当たれば意識を刈り取る程のキレを持つ。
そのスピードは、ガンダムシュピーゲルのシュバルツに匹敵している。
そのキレは、流派東方不敗そのものだ。
東方不敗の通常打撃を技にまで昇華したドモンの狙いは、これだった。
通常打撃を極めれば、隙の無い連撃を放つことができる。
更にドモンは、攻撃を放ちながらも気を高めて行く。
「ーーく!」
苦し紛れに放った右の前蹴り。
これをドモンは、サイドステップで左に回り込んで避けると同時に、左足でウルベの軸足を掬うように蹴り払った。
「ーーぬお!」
咄嗟にウルベはバーニアを使って宙でバックダッシュを試みる。
その目の前にゴッドガンダムが踏み込んできた。
「ーーもらったぞ、ゴッドガンダム!!」
溜めていた気を解放しながら、光輝く右手でゴッドガンダムの頭部を狙う。
「虚無となれ! ヴァニシングフィンガァア!!」
鷲掴みにしようと放たれる右掌。
完璧なタイミングだった。
キラもアスランもシンも、口を開けたままゴッドガンダムの頭部を鷲掴みにされる映像が見えた。
そう。
そんなものを幻視してしまう程に、ウルベのヴァニシングフィンガーは、完璧なタイミングで放たれたのだ。
空を切るヴァニシングフィンガー。
一瞬後に首を横に回し、踏み込んできたゴッドガンダムと目があう。
右掌をストレートのように振り切ったヴァニシングガンダムは、完璧に無防備だった。
見開いたウルベの目に、力が漲る拳を握り締めたゴッドガンダムが居た。
「疾風突き!!」
左の拳を踏み込みのスピードを重ねて放つ。
右のわき腹にまともに入る拳。
思わず前のめりになるウルベにーー
「聖拳突き!!」
間髪入れずに放った右の正拳で横面を殴りつけ、首を捻じ切れさせる。
「聖槍蹴り!!」
右に捻じ切れた顔を左のハイキックが蹴り戻す。同時にジャンプしてその場で回転し、遠心力を加えた右のハイキックを喉元に決めた。
「竜巻蹴り!!」
顎を落としたヴァニシングガンダムに、回転しながらの跳躍力を加えた左のアッパーを放つ。
「蒼天紅蓮拳!!」
上空に跳ね上げられたウルベ。
「更ぁらにぃ!!」
ゴッドガンダムは更に右のアームカバーを展開し、紅蓮の劫火を右掌に集約させた。
「俺のこの手が真っ赤に燃える、勝利を掴めと轟き叫ぶ!」
「が、はあ…」
ウルベが顔を元の位置に戻し、宙での態勢を整えようとした時、真っ赤に燃える右掌が眼前にあった。
「う、おお!!」
悲鳴を上げるウルベの顔面を容赦なくゴッドガンダムの右掌が鷲掴みにした。
思わず、両手で右腕の部分を掴み、引き剥がそうとする。
「爆ぁあく熱! ゴォッドフィンガァアアアッ!!!」
「ぐわぁあああ!!」
青白い雷が火花を散らし、宙に吹き荒れる。
ウルベの必死の抵抗が実を結んだか、ガッチリとロックされた右掌を少しだけ剥がすことに成功する。
「ど、も、ん、カッシュぅうう!!!」
「ウルベぇえええええ!!!」
強烈な紅蓮の光が右掌から発され、ウルベのヴァニシングガンダムの全身を飲み込むと、遥か後方へと弾き飛ばした。
「ぐわぁああああああっ!!」
悲鳴を上げながらも体勢を斜にして、熱線から体を捌く。
ヴァニシングガンダムは、肩口から火花を上げながら海面に沈んだ。
獲物を逃した紅蓮の光は、死の軍団を見せしめとばかりに飲み込んで空中で爆発した。
「たった一撃で、あんだけいた化け物が消えたーー!」
シンが茫然とつぶやく中、光を放ったガンダムは、海面に顔を向けていた。
しばらくすると、ゆっくりと海中からヴァニシングガンダムが体中から火花を上げながら、浮き上がってきた。
ハイパーモードは切れ、ウルベ自身の気も尽きていた。
「終わりだ、ウルベ」
金色の武神が、静かに構えを取った。
キングオブハートの紋章が胸に浮かび、それを両手で抱えると紅蓮の光の玉が出来上がる。
それを右腰に両掌を置いてたわめ、腰だめに構える。
両掌にあった光の玉は、黄金に変化した。
ーー 流派東方不敗 最終奥義 石破天驚拳 ーー
今から放たれる技を理解し誰もが息を呑む中で、ウルベが口を開いた。
「くくく、はははははははは!!!」
哄笑が響いた。
「いやはや、参った参った。これほどか。ははははははは! デビルガンダムが勝てん訳だ!!」
ひとしきり笑った後、ウルベはドモンに向き直り、叫んだ。
「ーーおのれぇえええっ!! 何故だ、何故、貴様にこんな力がある!!! 貴様などに、何故この私がここまで追い詰められると言うのだ!!! おのれ、おのれ、おのれぇええええっ!!!」
喚き散らすウルベを、ドモンは眉一つ動かさずに見つめていた。
「ーーお前は誰にも勝てん」
「なんだとーー!?」
ドモンからの言葉に、ウルベが目を見開く。
「ウルベ、人1人の力などたかが知れている。どれだけ力があろうと知恵があろうと世を動かすのは、1人の人間ではない。100人、1,000人の人が動いて初めて動き出すんだ。お前は、そんな事も忘れたか? 師匠に負けて学んだのは野心だけか? こんな異世界に来てまで他者を貶めることしか学ばなかったのか!?」
「ーー!」
「情けない。今の貴様を見ていると、昔の自分を見ているようで腹がたつ!!」
怒気に触れ、ウルベが目を見開く。
「心無い言葉で自分を慕う人を傷つけ、自分の弱さから目を背けて! 本当に大切なことを見失う!! 甘ったれた昔の俺だ!!!」
ドモンの怒気は収まらない。
「だがな、人は変わる! 敗北や挫折を糧に変わる!! あのデビルガンダムーーDもそうだ!!」
ドモンは、心の中に浮かぶライバルと認めた自分と瓜二つの姿を選んだ者を思い浮かべる。
「奴は、負けて自我を得た。そして、人の心を得た!! 誰に教わったのでもない、自分で学んだんだ!! 貴様が弱い虫けらだと言った奴もそうだ!!!」
憎しみと悲しみをぶつけてきた少年を思い浮かべた。
「奴は貴様の言葉と母の死に傷つきながら、それでも前を向いて歩いている!! 真の強さを知る為にだ!!」
熱い炎を胸に抱き、ドモンは叫んだ。
「何故変わろうとしなかった、ウルベ!! 貴様だけだ!! 貴様だけが変わっていない!! 細胞の能力に酔いしれ、他人を食い物にして得た力で強くなったなどとほざく!! 自分の弱さから目を背け、人類に滅びろ等と戯言を言う!!!」
怒りのままに、ドモンは続けた。
「そんな奴は、誰にも勝てん!! 自分から逃げた貴様は、そうやって力無い人を踏みにじって自己満足と陶酔に浸かり、一生自分の弱さから逃げ続けるだけだ!!!」
「戯言はしまいかね? くくく、ドモン君。どうやら、私は君が憎いようだ」
ドモンの言葉を受け、ウルベが引きつるように笑いながら、告げる。
「憎くて、憎くて、憎くて仕方がない!!! 殺してやる、殺してやる、殺してやるぞ、ドモン・カッシュゥウウ!!!」
ウルベが叫びながら両手を前に突き出し、ヴァニシングフィンガーのエネルギーを光の球にして構える。
「ならばーー流派、東方不敗が最終奥義!!!」
ドモンの奥義が、ウルベの力が放たれようとする矢先、第三者の声が響いた。
「そこまでだ。オーブ軍、ザフト、そして裏切り者の地球連合軍にガンダムファイターの諸君」
その声に、ドモン達が顔を向けると、未来世紀のフォログラムによって映し出された巨大な人が浮かび上がる。
「「「ロード・ジブリール!!!」」」
シンやキラ達が叫ぶのを心地良さげに聞きながら、ジブリールは告げた。
「そう。ロゴスの最後の首領にして、世界の敵。ロード・ジブリールだ。単刀直入に言おう、諸君らに勝ち目はない、退きたまえ」
この圧倒的に不利な状況で、ジブリールは告げた。
天を指差して。
「さもなくば、君たちを裁きの光が襲うだろう。オーブなどと言う島国ごと、消す光がね」
その言葉に、皆が色めき立つ。
まさか、そんな言葉が彼らの間を飛び交う。
「ーー奴がウルベ達の協力者か。なるほど、ウルベやウォンによく似ている。欲の塊か」
ドモンの静かな言葉を聞いて、ジブリールが笑う。
「光栄だよ、キングオブハートに私を評価していただけるとはね。君ならば、私の言葉がハッタリかどうか、分かるのではないかな?」
いやらしい笑みを浮かべるジブリールに、鋭い目をしたドモンは告げた。
「衛星兵器、やはり持っていたか」
「ーー素晴らしい洞察力だ。その通りだよ、ドモン・カッシュ」
「貴様らのような下衆は必ず大量殺戮兵器を用意するものだからな」
ドモンに手を叩きながら、ジブリールは告げた。
「レクイエムーーいずれ、世界を浄化する裁きの光の名だ。我々を見逃せばよし、無理ならば全て焼き払う。細胞のコアを持つ私やウルベ達は生き残れるだろうが、君たちはどうかな?」
「汚ねえ真似を次から次へとーー!!」
怒りに震えるシンの叫びに、ジブリールが笑った。
「勝利こそ全てなのは、諸君らも同じだろう。さあ、我々を見逃して貰おうかーー」
ジブリールの言葉に、オーブ、連合、ザフトの三軍は支配されていた。
嫌な予感が、戦場に渦巻いていた。
みなさん、お待ちかね〜!
ジブリールの言葉に、大混乱するオーブ三軍!!
しかし、ドモンはこの状況を想定した上で愛馬・風雲再起と大切な妻から預かったガンダムを召喚するのです!!
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第80話に!
レディー、ゴー!!