新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
我らがシュバルツ・ブルーダーの闘いはますます激しくなっていきます。
本日の対戦相手は、ザフト脱走兵と呼ばれる過激派テロリスト!
既に過去の大戦で獄中にいるはずの者たちが、巨大なコロニー、ユニウスセブンを地球に落そうとしているのです。
はたして、シュバルツやミネルバ隊、アレックス・ディノことアスラン・ザラは、彼らの陰謀を止めることができるのでしょうか!?
それでは、ガンダムファイト!!
レディー、ゴー!!!!
L4宙域において、ザフト巡洋艦ーーボルテール。
その艦には、先の大戦で死線を潜り抜けた戦士が二人いた。
1人は、三隻同盟に付いた褐色の肌と金色の髪の青年ディアッカ・エルスマン。
もう1人は、最後までザフトに所属しながら、三隻同盟と最終決戦にて手を結び、戦果をあげた銀色の髪とアイスブルーの瞳を持つイザーク・ジュールだ。
どちらも、キラ・ヤマト、アスラン・ザラに匹敵する腕を持つとされている歴戦の勇者だが、年齢はまだ10代である。
彼らのモニターの前には、巨大な質量が映し出されていた。
「でかいね、ホントに。こいつを、砕けって?」
ディアッカが、口調は軽いものの、眉根を寄せ、苦虫を噛み潰したかのような顔で、上官となった同僚イザークを見据える。
イザークも、端正な顔立ちに似合わない鋭い瞳で、ユニウスセブンを睨みつけていた。
「こんなん、俺たちだけでやれって? 無理だろ、流石に」
反応の無い、イザークに体ごと振り返り、主張すると、イザークもディアッカを見返してきた。
「分かっている。今、この近くにいたミネルバ隊のタリア・グラディス艦長に応援を要請した。後2時間程度でこちらに合流できるそうだ」
「制限時間は約3時間、ほとんどキワキワだな。グレイトな作戦だぜ!」
「ディアッカ! 破砕作業は貴様が指揮を取れ。俺は、この宙域に不審なものがいないか、艦に残り索敵を行う」
「はいはい、人使いの荒い上司だぜ」
そう言いながら、飄々とした態度でデッキを去るディアッカ。 彼を見送ると、イザークはモニターのユニウスセブンにもう一度目をやった。
( ユニウスセブンーー。
地球に堕ちるはずのない軌道を描いていたこのプラントが、地球に堕ちる。
何処かの馬鹿の仕業か、運命のいたずらか知らんが、新たな戦争の火種になるには充分な質量だ)
「俺たちが破壊せねば、またもナチュラルとコーディネーターとの戦争が始まる。ニコルを犠牲にして得た平和をまたしても、壊すことになる。
そんなことは、させんぞーー!」
ユニウスセブンの中にいる、多くの犠牲者の遺体を思いながら、イザークは黙祷の代わりに胸に拳を当て、平和を維持することを約束するのだった。
ーーーーーー
ザクやゲイツの編隊を組みながら、プラントを細かく砕くための装置『メテオブレイカー』を受け取る。
「さあて、とっとと終わらせようじゃない! こんな任務はさ!!」
殊更、明るく言いながら、ディアッカは予定ポイントを確認し、手早く設置するよう指示していく。
持たされているメテオブレイカーの数は30。
これらを全て、予定ポイントに付けて砕いたとしても、地球への被害は避けられない。
それでも、被害を最小限には抑えられる。
何も邪魔が入らなければーーだが。長距離狙撃ビーム兵器『オルトロス』を携帯しながら、ディアッカは辺りに気を配る。
そのディアッカの予感が的中した。
「熱源反応ーー、MSか!?」
瞬間、目の前でゲイツが二機、爆発した。舌打ちしながら、モニターにて機影を確認すると、ザフト製の機体であることが、一目でわかった。
先の大戦でザフトの主力MSであったジンがそこにいたのだ。
「やはり、ナチュラルへの復讐を考えた過激派の仕業かよ!!」
「エルスマンさん、どうしますか!?」
「決まってんだろ、迎撃だ!! メテオブレイカー隊は、そのまま、作業を続けろ!! 各員は、テロリスト共に、作業の邪魔をさせるなよ!!」
言うと、ザクのバーニアを添加させ、携帯していた狙撃ライフルを構える。
「ディアッカ・エルスマン! ガナー・ザク・ウォーリア、行くぜ!!」
赤いビームが、目の前でライフルを構えるジン二機をつら抜いた。
同時に、左右からジンが二機、高速で実体剣を構えながら、切りつけてくる。
「ただのジンじゃない、改修されてやがる!!」
紙一重で見切り、交差する三機。
ディアッカの正面に、角のあるジンが、ビームライフルを構えていた。
「ーーしま!?」
緑色のビームが放たれ、ディアッカのザクを襲う。衝撃に備えるディアッカだが、ビームはザクの前方で、ビームグレイブによって払われた。
「!! イザーク!!」
「貴様がいて、この体たらくとはな。情けないぞ、ディアッカ!」
「言ってくれるぜ!!」
スラッシュ・ザク・ファントムーー。青白い塗装の機体であり、その手にあるのは、先の大戦で猛威をふるった連合のMS、ストライクガンダムの対艦刀『シュベルトゲーベル』を参考にして作られた、長柄の武器ビームグレイブがある。
更に切りかかってくる二機に、横薙ぎを見舞い、真っ二つにしてしまうイザーク。
接近戦のイザークと狙撃のディアッカのコンビは、次々とジンを蹴散らす。
しかし、目の前の2人が強いことがわかるや否や、敵MSは、メテオブレイカーの作業員達を攻撃し始めた。
メテオブレイカーは、ジンの攻撃で設置面からズレたり、破壊されてしまう。
「くそーー! これ以上はやらせん!!」
「何故、邪魔をする? 偽りの平和で、何故笑う!? 貴様らは!?」
「偽りだとーー?」
ジンの隊長機の通信に、イザークの眦が吊り上がった。
「貴様が何故、こんな真似をしたのか。何を考えているのかなど、どうでも良い。だがな、あの大戦で俺は掛け替えの無い同僚を失った。
その犠牲を無駄にする行為は、断じて許さん!!」
イザークの頭に浮かぶのは、ピアノが好きで、誰よりも平和を願った少年だった。
「馬鹿めーー!! 掛け替えの無い同僚を奪われたのならば、何故討たない!! 我々コーディネーターは、ナチュラルがいる限り平和など無いのだ!!!」
「貴様の勝手な理屈だろうが! 聞く気のない言葉など吐くだけ無意味だ!!」
「ヒヨッコ風情が!!」
互いに剣とブレイドをぶつけ合う。
高速での移動からの斬り合いが始まった。両者の斬り合いは、周りが手を出せ無いほどに早い。
しかし、そんな中で、イザークのザクは、ジンの隊長機を詰め将棋のように、次々と追い詰めていく。
「馬鹿なーー!? お前のようなヒヨッコに、この俺が!?」
「散々、ヒヨッコ呼ばわりしてくれるがな、貴様の動きなど、ストライクやフリーダムに比べたら止まって見えるんだよ!!」
先の大戦で自身を何度も苦しめたキラ・ヤマトの乗機。
アレに比べたら、余りにも力不足だった。
見る間に左肩、右足を切り落とされるジン。
「おのれ!!」
ジンが振りかぶり、剣を袈裟懸けに切り込む。同時にイザークもザクのビームグレイブを振り下ろした。
一方的にジンの実体剣が切られ、ザクはくるりと回転して胴薙ぎを放つ。
咄嗟にバーニアをふかし、バックステップの要領で後退するジンだが、右手に咄嗟に構えたビームライフルを切り落とされてしまう。
「ーーなんだと!?」
「これで、終わりだぁ!!」
大上段に構え、とどめを刺そうとするイザーク。
その背後から、一機のジンが剣を脇に構えて、突貫してきた。
「サトー隊長!!」
「ーーチッ!」
舌打ちし、咄嗟にスラッシュザクを軽く一歩分脇によけると、それまでザクが立っていた胴の辺りの空間に体ごとジンが体当たりしてきた。
「邪魔だぁ!!」
長柄をクルクル回転させながら、遠心力たっぷりの一撃を放つ。
見事にジンは、首を跳ね上げられ、爆発した。
だが、その間に隊長機であるサトーが、後退する。
「逃がすものか、テロリストが!!」
「俺は、まだ、くたばる訳には、いかんのだ!! 妻と娘の墓碑をナチュラル共に堕として、その苦しみを分からせるまでは!!?」
バーニアを吹かしながら、メテオブレイカーに向かうサトー。
「やらせるかあー!!」
ビームグレイブを構えながら、必死に食い下がるイザーク。
「悪魔に魂を売ってでも構わない!! このプラントは、必ず地球へーー!!」
ーーーー よかろう。
その時、ジンのコクピットの中では、異常なことが起きていた。
「ーー!?」
サトーの耳に幻聴が届いたのだ、それは、幻聴だったはずだ。
何故なら、コクピットには、サトーしかいないのだ、なのに、肉声が聞こえたのだから。
サトーは、分からず、震え始めた。
「なんだ? 何がーー!?」
ーー貴様が呼んだのだ、悪魔(オレ)をなーー
「なん、だとーーーー?」
「喜ぶがいいーー、貴様の肉体と魂を我が一部としてやろうーー」
その声が、耳元に聞こえたその時、サトーの足から一気に冷たい何かが、頭にまで這い上がってくる。
自分の体の感覚が無くなっていく。
知らない記憶が、知らない言葉が、次々と流れてきてーー。
そして、その時にサトーは、人をやめたのだった。
ーーーー
動きを止めたジンに、スラッシュザクが追い付く。
「観念したか!?」
ビームグレイブを構えてスラッシュザクが、その背後からオルトロスを構えたザクウォリアーが、ジンを狙っていた。
「観念したかーー、 だと?」
通信から聞こえる声は、先ほどまでとちがい、どこか落ち着いた声をしていた。
「観念するのは、貴様らだ。ヒヨッコども、その力をデビルガンダムに捧げろーー」
「何を!?」
「イザーク!?」
サトーの言葉に、疑問を投げようとしたイザークに、ディアッカが焦った声を上げる。
見れば、イザークのスラッシュザクに切られた部分から緑色のコードが伸び、ウネウネと触手の様に動いたかと思えば、其処から切られたはずの腕が、足が、胴体が、再生したのだ。
まるで、ビデオの逆再生を見るかの様に、新品のような輝きを放ちながら、ジンは蘇った。
「なんだとーー!? 何だ、これは!?」
「イザーク、そいつだけじゃないーー!!」
「何ーー!?」
見れば、メテオブレイカーを設置し終えた部隊にも緑色のコードが巻き付いていた。
そのコードは、ユニウスセブンの地表を割って伸びている。
まるで、生き物のように。
「おい、イザーク! これはヤバイぜ!?」
見れば、破壊されたはずのゲイツやザク、ジンが瞬く間に触手によって再生されていく。
「ディアッカ、再生された俺の部下たちはーー」
「甘い期待はやめとこうぜ、どう考えても、まともじゃない!! このユニウスセブンは!!?」
オルトロスを構え、再生されたばかりのザクやジンを撃つ。
軽々とMSを2、3機貫いてくれるビームだが、ジンもザクも爆発せずにその場に残り、こちらを見据える。
開いた穴からは無数の緑色の触手が伸び瞬く間に再生した。
「ーーこりゃ、ヤバイよな?」
「一体、何なんだ! コレは!!」
メテオブレイカーを設置するどころではない事態に巻き込まれ、イザークとディアッカは、再生されたジンやゲイツやザク、更には触手を相手に戦わねばならなくなった。
「ジュール隊長!!」
まだ無事な部下たちは、イザークを庇おうと、前に出ようとする。
イザークは、それを制した。
「貴様らは、一旦ボルテールへ引け!! 此処は俺とディアッカが殿を務める!!」
「マジカヨ……!」
冷たい汗を額に浮かべながら、ディアッカは、目の前の人でなくなった者たちを見据える。
一瞬ーー、ユニウスセブンに赤いデュアルアイが見えたような気がした。
ーーーーーー
ボルテールに帰還したザクやゲイツ。
MSデッキから、一気にブリッジに走りこむパイロット達。
「ジュール隊長は!?」
「まだ、戦っておられる。本艦は、すぐにこの宙域を離れろとの指令だ」
「そんなーー!? 隊長もエルスマンさんも、機体のエネルギーが!!」
「分かっているーー。我々もお二人を援護したいが、正直に言って、足手まといにしかならない」
「ザクをーー、出撃します!!」
1人が、もう一度デッキに走ろうとするのを副官が止めた。
「やめろ!! ジュール隊長のご意思を、無駄にするな!!!」
「ーーっ!?」
「信じるんだ、あの人達を!! あんな化け物に、我々のジュール隊長やエルスマン殿が負けるわけがないんだ!! ミネルバと一刻も早く合流し、ジュール隊長の援護に向かうんだ!!」
「でも、それまでザクのエネルギーは、持ちません!!」
「ーー機関全速、この宙域を離脱し、ミネルバ隊と合流する!!」
「副長!!!」
なおも、聞き分けのないパイロットの1人に、彼らの2倍生きている副官は、睨みつけた。
「いいか、若僧どもーー。俺なんかより、はるかに若い隊長やエルスマン殿が命かけて、俺達を守るために戦ってるんだ。何も感じない人間なんぞいるわけないだろう!!
だがな!! お前らは犬死にさせるつもりか、あの人達を!!? それだけは、絶対に許さんぞ!!」
普段は寡黙な副官の、凄まじい迫力に、少年パイロット達は、何も言えなくなった。
「お前ら、パイロットだけが悔しいと思うなーー。この船の皆、ジュール隊長のお力になれんことが、悔しいのだ。急ぎ、合流に向かえ!!」
ボルテールは、一気にミネルバ隊への進路を取り、航行を始めた。
ーーーーーー
ボルテールから送られてきた映像と救援要請は、ミネルバ隊に、衝撃と恐怖を与えていた。
誰もが、ミーティングルームのモニターから、目を離せない。
おそらく、同時にこの映像を見ているブリッジの反応も同じだろう。
「何なんだよ、これはーー!?」
シンの言葉は、端的に皆の心情を言い表していた。
まるで、悪夢だーー。
倒されたはずの敵が、MSがまるで生きてる物であるかのように再生する。
先ほどまで味方であったものが、ジュール隊に攻撃を仕掛けてくる。
腹を貫かれようが、首を跳ね上げられようが、直ぐに再生して、攻撃を仕掛けてくる。
ユニウスセブンの巨大な地表が割れ、そこから、無数の緑色のコードが触手のように蠢きながら、ジュール隊を取り込もうと襲ってくる。
取り込まれれば、化け物にされ、かつての仲間を攻撃しにくる。
誰が見ても分かる。
これは、あってはならないものだ、と。
言葉もないミーティングルームへ、デュランダルがカガリ達を連れて現れた。
「遅れてすまない、タリア。姫の護衛であるアレックス殿とシュバルツ殿も、今回の作戦に参加してくれることになってね」
作戦会議に遅れたことへの謝罪と説明をするデュランダルだが、この場にいる誰一人ーーレイでさえ、彼に気づいていない。
ただ、棒立ちになって、モニターに目を向けていた。
それは、後から来たカガリやアスランも例外ではない。皆、同じように表情を固くし、恐怖に襲われていた。
「ーー化け物だ」
誰かのその言葉に、皆が頷く。
悪夢だーー、イザーク・ジュールやディアッカ・エルスマンは殿を買ったらしいが、これでは、間に合わないーー。
それほどまでに、絶望的だ。
「艦長ーー、今回の出撃は、私だけにしていただきたい」
「なんですってーー?」
覆面の男の全身から凄まじい気が放たれている。
そして覆面の奥にある目はーーそれは、戦う覚悟を決めた男の目だった。
「勝算は? 私たちにできることは、何かない?」
タリアとて、このまま、手をこまねいているわけにはいかない。
勝てる作戦を出さなければならない。
もし、アレが地球に降りたら、どうなるかーー。
この場にいる誰もが、そこに想像が至った。
「ならば、周辺の雑魚の掃除をお願いします。本体は、我が命に代えても、破砕して見せましょう」
この男がここまで覚悟を決めなければならない相手ーー。
既に状況はそこまで悪いのかと、アスランは歯をくいしばる。
「シュバルツさんーー、俺も出ます」
「アスラン!?」
カガリを制し、一歩前に出る。
「こんなところで、貴方を死なせる訳には行かない。話を聞いてもらってませんからね」
そう言うアスランに、シュバルツは笑みを浮かべて応える。
「了解だーー。よろしく頼む!」
「俺も、参加させてもらいます! いいですよね、艦長」
今度は、シンが手を挙げた。
「分かったわーー、お願いします。 ただし、アレックス殿とシンには条件があるわ」
「シュバルツさんの足は引っ張りません!」
先に、応えるシンに首を振り、タリア艦長はアスランを見る。
「ミネルバの主砲が届く場所で戦ってください。援護できない位置には移動しない。いいですね?」
「感謝します、グラディス艦長!」
「ありがとうございます、艦長!!」
こうして、ミネルバからは、精鋭中の精鋭の3人が選ばれた。
「話は決まったな、ならば私は先に向かう。彼らを助けねばならんからなーー。ガンダァァム!!」
ファンガースナップを利かせ、呼ぶとシュバルツの胸元から青白い拳大の光の球が表れ、「鏡」の文字を浮かばせると、激しい光を放つ。
思わず目を瞑る皆ーー、光が消えると同時にシュバルツの姿はなく、宇宙空間に黒を基調としたガンダムが浮かんでいた。
そのガンダムから通信が入る。
「では、お先に失礼ーー!」
指を二本伸ばし、額に掲げてこちらに振ると、一気にその場を離れていった。
『ーー艦長、あの機体!! 現存するモビルスーツやモビルアーマーの理論を越えたスピードです!!』
「そうーー。だけど今は、そんなこと、どうでもいいわ」
通信兵からの報告に気の無い返事で応じながら、タリアは思慮にふける。
彼がいなければ、地球は終わるーー。
はっきりと、そう言える。
この状況で、彼が何者かなど、正に些細なことだーー。
「頼むわよ、シュバルツ・ブルーダー。最早、貴方にかけるしかないわ」
モニター越しに見る見る小さくなるバーニアの火を見て、タリアは、シュバルツの援護の為の作戦を展開し始める。
その様をギルバート・デュランダルは誰にも気付かれない程度で、笑みを浮かべてみていた。
まずオルトロスを二基用意し、レイとルナマリアのザクに装備させる。
ジェネレーターを艦の動力炉へ直結させ、強大な砲台とする。
次に、アスランの乗るゲイツRには、急遽ザクのブレイズバックパックを装備させ、機動性をあげる改良がされた。
インバルスも、シルエットをフォースにして、敵を倒すのではなく、攻撃を躱すことに専念してもらう。
倒せれば良いが、生半可な攻撃は、隙を作るだけなのは、エルスマンのオルトロスで理解した。
その為の整備を、急ピッチで行う。
時間は、かけられないーー。
そう正に、時間との戦いであった。
ーーーーーー
ユニウスセブンにて、イザークとディアッカは、MSの動力炉のみを攻撃し爆発させて、跡形もなく消すようにしていた。
こうでもしなければ、何度でも復活するのだ。
触手はオルトロスで焼き切り、ユニウスセブンの内部に入って敵の目をごまかす。
敵は、不死に加えて、ジンやザクとは思えないスピードで攻撃してくる。
人間ならば、間違いなく死ぬようなスピードを軽々とだし、反応してくるのだ。
機体の性能も底上げされているとしか言えない。しかもバッテリーがいつまでも敵は切れないのだ。
攻撃方法が単調でなければ、ディアッカもイザークも、此処までは踏ん張れないだろう。
ユニウスセブンのデッキ内に潜みながら、ザクのエネルギーを確認する。
「ディアッカ、後どのくらい持つ?」
「正直に言って、まだ動けてるのが不思議なくらいだよ」
「やはり貴様もか」
互いに機体の状態を確認してみたが、ひどいものだ。
被弾はほとんどしていないが、2人の腕に機体が付いてきていない。
おまけに、バッテリー稼働のため、エネルギーも切れかかっている。
ジリ貧であったが、何とかミネルバと合流できれば勝機はある、イザークは糸のように細い命綱を手繰り寄せるような気持ちでいた。
「なあ、イザーク? このユニウスセブン自体が、あの触手の住処みたいだったよな?」
「ああーー。ユニウスセブンに身を隠していれる今の状況は、変だな。触手の住処ならば、ユニウスセブンそのものが奴らの領域のはずだ」
なのに、今は全くの膠着状態。
物陰から、触手が現れることはなく、MS達もこちらに近づいてこない。
「奴等の狙いが、地球へ降りるためだけのものならば、不思議ではないのか?」
考え付くのはそんなところだがーー。
機体の状態から打って出ようにも、ディアッカのザクが持つオルトロスのエネルギー残量からして2発が限度。
イザークのスラッシュザクが所持するビームグレイブは、エネルギーが尽きて実体剣のみ。
機体のエネルギーは2割を切っている。ミネルバを待っていれば、これを地球に近づけ、破砕する確率は危うい。
かと言って撃って出ても、勝率はない。
よくて玉砕、悪ければーーゾンビ兵の一員である。
「万事休すーーか。くそっ!!」
イザークが苛立ちと共に、吐き捨てる。その時だった。
「イザーク、熱源反応だ! ユニウスセブンにめちゃくちゃ早いスピードで近づいてきてる!! 大きさはMSか?」
「MSだと?こんなスピードで移動できるのは、フリーダムかジャスティスくらいだぞ」
2人がユニウスセブンの外にモニターを向けると、そこに黒を基調としたガンダムが腕を組んで現れた。
「フリーダムやジャスティスじゃない!?」
「アレは、何処の所属だーー?」
現れた機体に、一斉に触手が伸びる。黒いガンダムは、両腕に備えられたブレードを展開し、その場でコマのように回転、触手を細切れに斬り払う。
「ーーな!?」
「なんと言う切れ味だ、あの機体」
自分達が散々手こずった触手がまるで紙のように斬り裂かれる様を、驚愕の表情で見る2人。
黒のガンダムーーガンダムシュピーゲルは、静かに構えを取る。
「どうやら、間に合ったようだなーー。私は、ネオドイツのガンダムファイター。そう! シュバルツ・ブルーダーだ!! このコロニーを破壊しに来た。間も無く後方よりミネルバが到着する。此処は私に任せ、君たちはミネルバやボルテールと合流するんだ!!」
「援軍か? しかし、ネオドイツ?」
「イザーク、今は聞いてる状況じゃないぜ。確かにあいつの言うとおり、ザフトの識別信号の鑑が2隻、こちらに来てる。一隻はボルテールだ!」
ディアッカの言葉に頷き、イザークはシュバルツに話しかけた。
「何処の軍の所属かは、知らんが援軍感謝する。俺はザフトのジュール隊隊長ーーイザーク・ジュールだ。補給を受け次第、貴殿の援軍に向かう!!」
言うや否や、ユニウスセブンの陰から、二機のザクが、シュバルツの脇を通り抜けていった。
「今の声ーー!! まさか? いや、そんなはずはないな」
モニターで通り抜けて行った二機を確認し、苦笑するシュバルツ。
弟の声を聞いた気がしたのだ。
目の前に現れるゾンビ兵となった、ジンやゲイツ、ザク。
彼らの冥福を祈りながら、シュピーゲルは両手の指に無数の苦無を挟んだ。
「やはり、デビルガンダム細胞か。奴本体の気配はないが、捨て置く訳にもいかん。せめて、この手で楽にしてやろうーー」
一斉にビームライフルを構えて、放ってくるMS群に、シュバルツもまた、その場でコマのように回転しながら、叫んだ。
「ならば、見よ!! シュトゥルム・エクスプロジオーン!!!」
回転しながら、放たれる苦無は、正確無比にMSの関節部に突き刺さり、爆発する。
ライフルの照準がこちらを捉える前に一気に全機叩き落として見せた。
「デビルガンダム細胞による再生も時間はかかるはず。後は後方のアレックスやミネルバ隊を宛にさせてもらおう。私は、触手やこのコロニーの破砕を優先するーー!!」
言うや、再びブレードを展開し、両手を頭上で組む。
「ぬおおおおお!!」
更に先ほどのように、自身をコマのように回転させて、叫んだ。
「シュトゥルム・ウント・ドンナーシュラーク!!」
自身をドリルのように回転させながら、ユニウスセブンに突貫するシュピーゲル。
「持ってくれよーー、シュピーゲル!!」
漆黒の竜巻と化したシュピーゲルは、触手を切り裂き、地表を砕き、突き進む。
やがて、ユニウスセブンは、縦に真っ二つに割れた。
同時にシュピーゲルブレードも粉々に砕けてしまう。
丁度シュピーゲルは、ユニウスセブンの後方から、地球への進路を取る前方へ抜けていた。
「くっ、やはりネオドイツの技術を持ってしても持たんか。ならば!!」
地球を背にし、ユニウスセブンを睨みつけると、更に高速で回転。
苦無を指に挟み、連続でユニウスセブンへぶつける。
次々に爆発する苦無だが、決定打にはならない。爆発を連続で起こすも、地道に砕くしかないのだ。
「くっ、メッサーグランツの爆発力では、小規模の連鎖爆破しかできんか! しかし、シュピーゲルにはコレ以上の武装は今無い」
諦めずに1秒間に数十の苦無を叩き込み、爆発させる。
その時だったーー。
「シュバルツさん!!」
「援護します!!」
「ユニウスセブンを真っ二つに!?」
「グゥレイトゥ!! あの忍者、ハンパねえぜ!!」
アスラン、シン、イザーク、ディアッカが援護として現れる。
ゲイツRとインパルス、スラッシュとブレイズのザクが一斉に手持ちのビーム砲を放つ。
同時に後方から、ミネルバのタンホイザー、レイとルナマリアのオルトロスが火を噴く。
「来てくれたか、ミネルバ隊!!」
全てのビーム砲を受けても、この質量には焼け石に水だった。
まるで、破砕できる気がしない。
「やはり、メテオブレイカーが無ければ決定打にはならんか!?」
「ありったけのビーム砲を撃つんだ!! 同時に同じポイントに撃てばーー!!」
「分かっている!命令するな、民間人が!!!」
アスランの言葉にイザークが吠える。同時にディアッカ、イザーク、アスランが砲を構えた。
「シン・アスカ、合わせろ!!」
「ーーえ? は、はい!!」
イザークの言葉にシンも構える。ディアッカがシンの隣に来て、カウントを数えた。
「ゆっくり落ち着いて狙えよ、3、2、1ーー今!!」
「いっけー!!」
同時の攻撃は、ユニウスセブンの地表を僅かに砕いた。更に後方から、陽電子砲をミネルバが放つ。
半分に割れたユニウスセブンにシュバルツの必殺技とミネルバ隊の総攻撃の挟み込みを行う。
「シュバルツ殿の負担が大き過ぎる!」
「今、離れる訳にはいかんだろうが!! 俺たちの総攻撃とあの忍者の攻撃は、ほぼ同じくらいだ。質量を少しでも軽くすれば、奴の負担も軽くなる」
アスランが、シュバルツへ援護しようとするも、イザークが止める。
「だけどよ、折角MSも充電できたのに、これじゃ意味無いぜ!! ライフルの弾丸もそろそろ限界だ」
「うわ、俺のもだ!!」
ディアッカの言葉に、シンも残弾数が少なくなっていることに気づいた。
バッテリーのエネルギーも、7割を切っている。
「くそ!! 無理なのか!!?」
「諦めるのは、まだ早いだろうが!!」
弱気になるアスランを叱咤するイザーク。しかし、ミネルバより、無情な連絡が届いた。
『後5分で、ユニウスセブンは大気圏に突入しますーー!』
遠距離からのビーム砲では、ユニウスセブンを破砕するのは、余りに非力。
例えばジェネシスのような戦略級兵器が、必要になる。
「くそっ!!」
誰もが、絶望に唸るーー。あまりに、無力だ。
それは、ミネルバにいるタリアやクルー達も同じだった。
「艦長ーー。これは」
「精一杯足掻いても、これまでね。MS隊に帰還命令を!!
シュバルツ殿のおかげで、二つに割れたのだから、まだマシとしましょうーー」
タリアの帰還命令が、MS隊に下る。しかし、それを良しとしない男が一人いた。
シュバルツだ。
ただ、只管に、がむしゃらに、一点に苦無を集中して叩き込む。
「貫けーー。貫いてくれ!! 我が技よ!!!」
その様を、アスラン達は見る。
「シュバルツ殿!! ーーっく!!」
アスランは、バーニアをふかし、シュバルツの元へ向かおうとするが、イザークが止めた。
「無茶をするな!! おい、シュバルツとやら、貴殿も帰還命令に従え!! コレ以上は無理だ!!!」
「ーー断る」
その一言に、皆が絶句した。
「シュバルツさんーー! 何を!!?」
シンが食い下がるが、シュバルツは静かに応える。その間も手を休めず、苦無を放ち、爆発させていく。
「母なる大地ーー。この青い地球こそ、最高の命なのだーー! この星には、落とさせん!!」
シュバルツの意地が通じたか、二つに割れたユニウスセブンの一つが、粉々に砕け散っていく。
「シュバルツーー!!」
「なんて奴だ!!!」
アスランやイザークが思わずうなり、一同その光景に絶句していた。
「ねえ、ユニウスセブンがーー!」
「信じられんーー。ユニウスセブンを半分にした後に、それを粉々にするとは」
ルナマリアの言葉に、レイも頷く。
タリアも、ミネルバのブリッジにいるクルー達も、驚愕と喜びの表情に変わっていた。
「ユニウスセブンの半分は砕けた! 後の半分は地球落下も仕方ない、退きなさい!!」
残りの半分には、仕方ないと、タリアは更なる帰還命令を下す。
しかしーー!!
「ーーえ? シュバルツさん!?」
シュバルツ・ブルーダーと言う男は、ここでも、その命令を無視した。
自身の機体も大気圏に触れ、真っ赤に赤く燃えていきながら、移動したのだ。
そうーー、大気圏で残骸が燃え尽きる先ほど自身が砕いた破片ではなく。
もう片方の無傷なユニウスセブンの前に現れる。
「ぬおおおおおおお!!!」
バーニアを全力でふかしながら、両の手でユニウスセブンの地表に触れる。
そのまま、押し返そうと言うのか、バーニアを前にふかす。
「たかが、この程度の塊、ガンダムで押し返してやる!!」
ビタァッ ユニウスセブンが止まった。
「何だと!?」
「あの人、どこまで無茶苦茶なんだよーー」
驚くことしかできないアスラン。呆れてきたシン。
他の者も、驚くなり、呆れるなりしかない。
ガンダムシュピーゲルは、ユニウスセブンの半分を押し止めていた。
ただし、大気圏に半分突入しているため、地球の重力もシュピーゲルに負荷される。
徐々に、地球へ引っ張られていく。
「いかんーー! 引力にはこの状態では逆らえんかーー!!」
「もういいーー! やめるんだ、シュバルツ!! こんなことで、貴方を死なせる訳にはいかない!!」
必死のアスランの声も、シュバルツには届かない。
「たとえ、この身が砕け散ろうと、どうなろうと構わん!! 地球には、キョウジやキラ、ラクス達がいるのだーー。私がやらねば、ならんのだ!!」
「シュバルツーー! 避難勧告は、既に出されている!! キラ達もシェルターに避難しているはずだ!!! だから、貴方もーー!!!」
シュピーゲルの肘関節から、火が吹き出る。
大気圏の熱に触れ、ユニウスセブンの質量、ついに関節が悲鳴を上げ始めた。
「ーーシュピーゲルよーー!!」
それでも、退こうとはしない、シュバルツ。
その時だった、シュバルツの感覚にデビルガンダムの気配が察知できた。
「奴め、このタイミングかーー!?」
脇を見据えると、シャイニングガンダムに似てはいるが、スマートなシャイニングガンダムに比べ、肩幅などが広く取られ、ガッシリとした体格の赤を基調としたトリコロールのガンダムがそこにいた。
しかし、シュバルツの知る悪魔とは違い、その下半身は通常のMFのそれだ。
大きさこそ、シュピーゲルよりふた回りも大きそうだが、漆黒のガンダムヘッドも、蛇を思わせる長い胴もない。
「デビルガンダムーー、ドモンに敗れたことで、モビルファイターになろうと言うのか?」
独りごちるシュバルツに向かい、デビルガンダムと思わしき機体は青黒く光る右手をかざしてきた。
「かわせんーー! やられる!?」
シュバルツが衝撃に備えようと歯をくいしばると同時に、デビルガンダムの光が弾け、シュピーゲルに纏わり付いた。
「動かんーー!?」
光がシュピーゲルの中に浸透していき、シュバルツの制御を離れる。
シュピーゲルはそのまま、両の手を胸の前に組み、印の形を取る。
「これはーー!?」
瞬間、シュピーゲルの全身を青白い輝きが覆い尽くし、その胸元にあった「鏡」の一文字が「神」の一文字へと変化する。
同時に青白い輝きが、太陽を思わせる真紅と黄金の輝きに変わるーー。
やがて輝きは収まり、そこに居たガンダムに、皆がまたしても驚愕した。
「変形ーー、いや、変身したのか!?」
アスランの言葉どおり、そこに居たのはガンダムシュピーゲルではなかった。
仏像を思わせる、流麗なシルエット。
青、赤、黄色のトリコロールを基調とした機体。赤い炎を全身から放つガンダム。
「ゴッドーー? ゴッドガンダムーー? 何故、私のシュピーゲルがゴッドガンダムに?」
機体のデータがシュバルツの脳内にフィードバックする。正に、自身とシュピーゲルを破った弟ドモン・カッシュの愛機ーーゴッドガンダムであった。
同時にシュバルツの目の前にデータが叩き出される。
「シュピゲル・アンデア・ユングス・ブルトーー鏡転同血(きょうてんどうち)だと? 馬鹿な、私はまだ修行をしていないぞーー!?」
それは、新たにシュバルツが考えていた技の一つだった。
鏡に転じ、敵と同じ姿と血を晒すことで、その者の全能力を己が物とする。
かつて、ガンダムマックスターを真似たジェスターガンダムとは違い、姿形までも完全に同じ。
真似物ではない、限りなく本物に近い幻想、それがこの技、鏡転同血であった。
シュバルツの過去に戦った敵や味方の姿を再現する技であり、シュバルツのゲルマン忍法とシュピーゲルのDG細胞が合わさることで使用できる技であった。
「色々、分からんが、今はこのゴッドガンダムに頼る他あるまいーー」
言うと、シュバルツは背中の6枚のフィンを展開させ、バーニアを吹かしながら、先ほどのシュピーゲルと同じく両の手でユニウスセブンを押し返す。
すると、先ほどまでとは違い、一気に大気圏外に押し返していく。
「ーーな!? なんというーー!?」
一気に押し返してみせたガンダムに、一同コレでもかと驚愕する。
「何よ、シンーー。驚かないんじゃないの?」
「無茶言うなよ。あの人が何をしても驚かない、そう思ってたけどさ。あんなの、反則じゃないかーー!」
インパルスのような機体の色だけの変化ではない、姿形まで変身してみせたのだ、正に異常な現象である。
「これがゴッドのパワーか。ーー凄まじいな、シュピーゲルの比ではない」
その機体の凄まじいパワーに、ユニウスセブンを押し返した、シュバルツ本人も舌を巻いていた。
だが、驚いてばかりもいられない。
自身に光を放ったデビルガンダムの方を見れば、既にその姿はない。
胸のクリスタルが露出し、紅ルビーのような球が中に嵌められており、真っ白に輝くとその光の中央に真紅で神の文字が浮かび上がる。
背中の6枚のフィンは、展開すると同時にを日輪の様な赤い光の輪を形成する。
更に右手の青いプロテクターを展開し、真っ赤に輝く拳を掲げる。
ゴッドガンダムのデュアルアイが光り、シュバルツが叫んだ。
「我が心、明鏡止水。されどこの掌は烈火の如く! 爆熱、ゴッドフィンガー!!!」
真っ赤な炎を纏いながら、右手が真紅に輝き、そのまま掌をユニウスセブンの地表に右正拳突きのように突き出しながら、放つ。
瞬間、冗談のようにアッサリとユニウスセブンの4分の1が爆発と共に崩壊した。
だが、まだ足りないーー。
まだ、破片は残っている。
ならばーーゴッドガンダムの真の必殺技を放つしかない。
自分にできるか、そんなことは疑問にすら感じない。
この身で二度も受け、ウォルフの頃に間近で垣間見たその技は、シュバルツをして、目を閉じるだけで思い浮かぶ。
右手を突き出しながら、シュバルツは意識を集中ーー。気を高めていく。
「このゴッドガンダムがあり、我が記憶がある限り、私にできないことなどーーない!!」
閉じられた瞳がカッと力強く見開かれ、その全身が黄金の光を放ち始める。
同時にガンダムが、黄金の光を全身から放ち始めた。
「艦長ーー! 凄いエネルギーです!!」
「ーーなんなの!?」
モニターには、太陽の如き輝きを放つガンダムが神々しく現れる。
ガンダムは、胸部のクリスタルーーエネルギーマルチプレイヤーの前に両の手をたわめる。
すると、そこに神の文字が浮かび上がり、黄金の光の球が現れる。
それを両の手で抱えるようにして、右腰に置き、更に背中の6枚のフィンを展開、後光のような赤い光の輪を発生させる。
「ーーこれが、シュバルツ殿の切り札か」
「この力、こんな力があればーー!」
アスラン、シン共にコックピット内で茫然としながら、この現象を見ていた。
「これぞ、明鏡止水ーー! この一撃に、我が魂の全てを込めるーー!! 石破、天驚拳!!!」
あまりに神々しい、その機体はーー、極大まで高めた黄金の光を、前方に両手を突き出すことで、放ったーー。
余りに美しく、強大で、全てを飲み込む黄金の光の線。
その先端には、真っ赤な文字で「驚」と書かれていた。
シュバルツのゴッドガンダムが放った光の奔流は、ユニウスセブンを貫き、辺りに衝撃波を放ちながら、粉々に爆破してみせた。
正に、究極の一撃である。
後にこの力を間近で垣間見た、彼らはこう語る。
正に、この人間は、神か、悪魔であったーーと。
ユニウスセブン完全破壊、その完璧な勝利に、皆が浮き足立ち、浮かれまくったーー。
「これが君の対極と言うゴッドの力か。素晴らしいが、わざわざ彼に与える必要はあるのかな?
それとも、オリジナルのゴッドガンダムを手に入れる為の布石かーー。実に楽しませてくれるよ、きみはーー。
なあ、デビルーー」
暗闇を見据え、浮かれるミネルバのクルーからは見えない位置で、デュランダルは暗い笑みを浮かべた。
その手には、無色透明なビー玉のような球が3つ乗せられていた。
デビルガンダムから、彼に送られたプレゼントを、デュランダルは楽しそうに見つめる。
次は、このおもちゃの性能を試そう。
あの見事な者達の世界からの贈り物ーー、さぞ素晴らしいものであろう。
みなさん、おまちかねー!!
ユニウスセブンの落下を阻止したアスランは、故郷プラントで先の大戦で亡くなった戦友の墓を訪れます。
そこで、アスランは、カガリの力になる為にも、ザフトに戻れとイザークに説得されるのです。
一方、ユニウスセブン破壊の衝撃波が、地球に津波を起こし、オーブのキラ達にも迫ります。
それを庇うかのように、謎の機体が、津波を倒せと輝き叫ぶのです。
次回、機動武闘伝Gガンダム-SEED-DESTINY 第9話 にレディー、ゴー!!