新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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 さて、皆さん。

 鎮魂歌とは名ばかりの大量殺戮兵器レクイエム。

 これを脅迫材料に使うジブリールに、オーブ・連合・ザフトの三軍はシャトルに手を出すことができません。

 実はこの状況を覆すため、宇宙でも激戦が繰り広げられていたのです!

 はたして、この戦いの結末は!?

 それでは、ガンダムファイト! オーブ戦役決着戦!!

 レディイイイイ、ゴォオオオオオオオッ!!




第80話 神の手 対 鎮魂歌

 

 ジブリールの宣言が響き渡るオーブ諸島戦域。

 

 

 

 その宣言は、キョウジやシュバルツにも届いていた。

 

 

 

「大気圏外からの大量破壊兵器、か」

 

 

 

「やはり、切り札で持っていたか」

 

 

 

「シャトルにジブリールを乗せたこと自体が失敗だな。バリアを張ろうにも既にオーブ本土そのものが、戦闘区域だ。畜生!!」

 

 

 

「ーー仕方あるまい。ジブリールにまさか、そのような切り札があるとは。私にも想像が付かん」

 

 

 

 二人の目が、巨大な立体フォログラムとして映し出されたロード・ジブリールを見据える。

 

 

 

 ウォンがそれにニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

 

「このタイミングでレクイエムを切る、か。悪くありませんよ、ジブリール」

 

 

 

 周りを見ながらウォンも頭を使い始める。

 

 

 

 現状ではキョウジとシュバルツのコンビを打ち破ることはできない。

 

 

 

 どちらも桁違いの実力を持っている。

 

 

 

 おそらく一人でも自分と他の三体のガンダムを屠るくらいは訳はないだろう。

 

 

 

 これで勝ちの目が出てきた。

 

 

 

 この場における勝利とは最低でも自分たちの因子を持つジブリールを宇宙に上げることだ。

 

 

 

 宇宙にはガンダリウム合金が多く存在する。

 

 

 

 DG細胞を使えば「今の自分」が滅ぼされたとしても記憶を受け継いだ「新しい自分」として復活することは可能だと、先のセイラン親子をベースにした実験で把握した。

 

 

 

 このまま上手く行けば「今の自分」のままで宇宙に出れそうだ。

 

 

 

 これ以上の勝利はないウォンは嗤う。

 

 

 

 現状を打破するには、キョウジやシュバルツ、ドモンを抑えた上でキラ達をも相手にしなければならない。

 

 

 

 いかにウルベがハイパーモードを手に入れたとは言え、不可能だろう。

 

 

 

 だからこそ、新しい肉体を得る前提で作戦を敢行していた。

 

 

 

 だが、こうなれば手下をそのまま宇宙に上げることができる上に、自分たちも復活まで待たずに済む。

 

 

 

 まさに一石二鳥だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、ジブリールはシャトルの発進準備を整えて機体にバーニアの火を点火しながら悠然と告げた。

 

 

 

「諸君らは直ちに武装解除したまえ。何、約束は守ろう。我々が無事に宇宙に着くことができればレクイエムを放つのは辞めておく」

 

 

 

 ワインを片手に告げる貴族然とした仕草は、正に帝王のそれだった。

 

 

 

「ちくしょう、何か手はないのか!!」

 

 

 

 シンが思わず映像のジブリールに向かって牙を剥き出しにしながら言うと隣のキラが鋭い目で告げる。

 

 

 

「大気圏外にいる衛星兵器を破壊するのはさすがに難しい。かと言ってこのまま手をこまねいているのもできない」

 

 

 

 キラに間髪入れずアスランが横に来る。

 

 

 

「エターナルに通信を入れるか、キラ」

 

 

 

「うん。ドモンさんの予測どおりになった。ラクス達、兵器を見つけられたかな」

 

 

 

 二人の会話の後、通信が届いた。

 

 

 

「キラ、アスラン!」

 

 

 

「ラクス。そっちはどう? 見つけられた?」

 

 

 

 特殊な暗号通信でやり取りをするキラとラクスだが、状況は芳しくない。

 

 

 

「申し訳ありません。わたくしたちもジュール隊長とエルスマンさんも衛星軌道上を探ってはいるのですが、肝心の兵器がどこにもないのです」

 

 

 

「……そもそも、衛星軌道上に兵器を置くならプラントが先に気付いている、か。だとしたら、どうやって大気圏外から攻撃を仕掛けてくるつもりなんだ?」

 

 

 

 ウォンやジブリールの態度からハッタリではないとキラの勘は告げている。

 

 

 

 一刻も早く兵器の場所を突き止めなければ、自分たちは光に飲み込まれてしまうだろう。

 

 

 

「ラクス達が兵器を見つけるまでに時間を稼ぎたいがーー」

 

 

 

 アスランが苦虫を噛み潰した顔になる。

 

 

 

 ラクスやイザーク達が兵器を見つけるまで食い止める。

 

 

 

 はっきり言ってそんな時間はもうないだろう。

 

 

 

 ドモンやキョウジ達の実力が高すぎた。

 

 

 

 この悪党たちの恐ろしいところは、慎重なところだ。

 

 

 

 たとえ、滅ぼされても復活する手段を常に用意している。

 

 

 

 その上で自分たちが現状勝てない相手だとすると全力で逃げる算段を叩きだしてくる。

 

 

 

 ベルリン然り、ヘブンズベース然りだ。

 

 

 

 このまま奴らを宇宙に上げれば、何が起こるのかアスランをしても想像は付かない。

 

 

 

 ろくでもない事態になることは間違いないだろうが。

 

 

 

 ジブリールが兵器のボタンを押す前に誰かが奴を落とせば、チャンスはあるか。

 

 

 

 しかし、それはイチかバチかだ。

 

 

 

「君たちの位置情報は全て把握している、キング・オブ・ハート。君がその光を私やウルベに打てば、同時に衛星兵器の起動ボタンを押す。オーブ諸島の全ての人間とこの場にいる兵士達の命を天秤にかけるがいい!」

 

 

 

 その言葉にこの場にいる全ての人間が歯を食いしばる。

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ。せっかく英雄が現れてくれたと言うのに、これでは手詰まりかな?」

 

 

 

「冗談言ってる場合じゃありませんよ、クルーゼ隊長」

 

 

 

 デスアーミー達を相手にしていたフィルムとハイネも現状の深刻さに手を止める。

 

 

 

 止めざるを得なかった。

 

 

 

「さて、どうするかね。ファム」

 

 

 

「…現状ではわたくし達にできることはありませんわ。大気圏外にいる彼女たちに全てがかかっていると言ってよいでしょう」

 

 

 

「フム、流石は未来世紀を支配した者達だな。彼らの影響を受けて、小物でしかなかったジブリールもこれほどにまで成長するとは」

 

 

 

「人の欲望とは恐ろしいものですわね、フィルム?」

 

 

 

「ああ。まったくだ」

 

 

 

 二人の会話を聞きながら、この状況でさえ芝居がかった会話にハイネは眉を寄せるだけで何も言おうとはしなかった。

 

 

 

 連合、ザフト、オーブのMS達は既にマスドライバーとそれに乗るシャトルに向かってビーム砲を構えている。何もできないことを理解しながら。

 

 

 

 

 

 

 

「……残念だ。この場で決着が付けられないとはな」

 

 

 

 黄金のゴッドガンダムに対し、ウルベはヴァニシングガンダムのエネルギーの塊を構えながら言った。

 

 

 

「尻尾を巻いて逃げるのか? ウルベ」

 

 

 

 ドモンは石破天驚拳の構えを取りながら、未だに気を納めようとはしていない。

 

 

 

 隙あらば撃つという姿勢だ。

 

 

 

 それを見ながら、ウルベも両手に溜めたエネルギーをそのまま高めていく。

 

 

 

 このまま撃ち合えば間違いなく自分は打ち負ける。

 

 

 

 それでも、ゴッドガンダムの全力の石破天驚拳をこの身に刻むことはできる。

 

 

 

 今のドモンの真の力をDG細胞に記憶させることができるのだ。

 

 

 

 決して悪い条件ではない。

 

 

 

 邪悪な笑みを浮かべてウルベはドモンを見ると、彼もまた不敵な笑みを返してきた。

 

 

 

(私の狙いを分かった上で、撃つつもりか。大した自信だな。それを慢心と言うのだと教えてやろうーー!)

 

 

 

 互いに構える。

 

 

 

 だが、しばらくしてウルベはニヤリと笑った。

 

 

 

「馬鹿馬鹿しい。君に付き合う理由もないか」

 

 

 

 言うと、ウルベはヴァニシングガンダムのエネルギーマルチプライヤーから光を発生させ、機体を拳大のガラス玉に変えた。

 

 

 

 紺色に輝くその球には、虚の文字が刻まれている。

 

 

 

「! ガンダムを消した!?」

 

 

 

 シンが叫ぶ中生身となったウルベは、街の建物の影へと走り込み、姿を隠す。

 

 

 

「しまった!?」

 

 

 

 騒ぎ立てるキラやアスラン達を尻目にドモンは、石破天驚拳の構えを取ったまま動かない。

 

「? ドモンさん?」

 

 

 

 ドモンの視線の先にはジブリールのシャトルがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、大気圏外にいる輸送用MS艇に乗るミリアリアとイザーク、ディアッカは渋い顔をしていた。

 

 

 

「どういうことなの? 連中の言っていた衛星兵器はどこにあるのよ!」

 

 

 

「……見つかったのはデブリ帯に隠れるように置いてあるあの輪っかだけか」

 

 

 

 巨大な廃棄コロニーを改修した怪しい輪っかが宇宙に浮かんでいる。

 

 

 

 解析したところ、ゲシュマイリヒパンツァーと呼ばれるビーム砲を曲げる素材で表面が作られている。

 

 

 

「あの輪っかを使って攻撃をしてくるのは分かる。問題はどこから砲撃してくるかということだ!」

 

 

 

 イザーク達にさえも想像できない。

 

 

 

 この宙域には、あの輪っか型のコロニーしかないのだ。

 

 

 

 ビーム砲をどの距離で放ってくるのか、全く想像できない。

 

 

 

「とりあえず、この輪っかを破壊する?」

 

 

 

「……勘だが、この輪っかが直接攻撃するようなものではないはずだ。必ず替えがある」

 

 

 

「つーことは、こいつを破壊しても別の方法で替えの輪っかを使ってくるか?」

 

 

 

 ミリアリアの言葉にイザークが答え、ディアッカが確認する。

 

 

 

 彼らは、輪っかの分析を行うと共にキョウジ製のレーダーを使ってこの宙域に同じものがないかを確認する。

 

 

 

 エターナルまでの距離を半径として索敵するも反応はない。

 

 

 

「ないなーー。となると」

 

 

 

「索敵範囲を広げてみるわね」

 

 

 

 ディアッカが渋い顔をすると、ミリアリアが応える。

 

 

 

 範囲を倍に広げてみるが、反応はない。

 

 

 

「ーーこいつだけなのか? いや、ビームを曲げる装甲の巨大な塊をわざわざ、デブリに隠すようにあるんだ。必ず何かがーー」

 

 

 

 イザークが言いながら範囲を広げていくと、二つ、三つの反応が見つかった。

 

 

 

「ーービンゴだ、イザーク!!」

 

 

 

「配列を考えて! 位置をマーキングしていきましょ!!」

 

 

 

 宇宙図を展開しながら、マーキングを行い、更に範囲を広げていく。

 

 

 

 地球から月、プラントを半径で結べる程に広げたあたりで、イザーク達は口を開けた。

 

 

 

「ーーこの並び方は!」

 

 

 

 分かったのは20を越える総数の輪が、ふた通りの道を築くかのように並んでいた。

 

 

 

 一つはプラントに向かって。

 

 

 

 もう一つは、イザーク達がいる地球から一番近い衛星軌道上にある輪っかに向かって。

 

 

 

「ーーこれ、月から伸びてるよな?」

 

 

 

 点を線で繋いで行けば、何処から放たれるのかを逆算できる。

 

 

 

 ふた通りある道も、発進口は同じだ。

 

 

 

 地球連合が所有する月面基地ーーアルザッヘル。

 

 

 

 線は其処に向かって伸びている。

 

 

 

「見つけたがMS二機だけで、この輪を全て落とせって言うのかよ!?」

 

 

 

 ディアッカが思わず嘆いた。

 

 

 

 自分達は、明鏡止水とかいう馬鹿げた力もSEEDもないのだ。

 

 

 

 いくら自分用に調整されたフリーダムのカスタム機が割り当てられているとは言え、一つ一つの輪っかの距離を考えれば、いかに不可能な任務か理解できるだろう。

 

 

 

 地球から次への距離を何往復すれば良いというのか。

 

 

 

 考えただけでゾッとする。

 

 

 

「大丈夫よ、その必要はないわ」

 

 

 

 ミリアリアの言葉に二人は注目する。

 

 

 

「見て、これは光を鏡で反射させた映像よ。このデータと輪っかが置かれている位置を計算すると、ほら!」

 

 

 

 コンピュータが弾き出したデータでは、月面基地から放たれたビームをオーブにぶつけるには、イザーク達のいる輪っかの一つ前の中継点での屈折が肝要になる。

 

 

 

「屈折を繰り返して反射させ、決められた位置に砲撃を落とす、か」

 

 

 

「つまり、この中継点にある輪を破壊すれば地球への砲撃を阻止できるということか」

 

 

 

 なるほどと頷く二人にミリアリアは、力強く告げた。

 

 

 

「行くわよ、二人とも!! 大量殺戮ビーム砲なんかオーブに落とさせないわ!!」

 

 

 

 ミリアリアの言葉にイザークとディアッカは力強く頷いた。

 

  

 

「キョウジさんなら、他にも何か思いつくかもしれないけどーー!」

 

 

 

「時間がない、ミリィの言いたいことは分かるが今は破壊を先決しようぜ!」

 

 

 

「うん。ごめん、ディアッカ」

 

 

 

 申し訳なさそうなミリアリアにニッと力強く頷いてみせると、ディアッカはイザークに告げた。

 

 

 

「行くぜ、イザーク!」

 

 

 

「ーーフン、誰に言っている!?」

 

 

 

 二人はMS格納庫に走ると、寝かされている二機に乗り込んだ。

 

 

 

「イザーク・ジュール! デュエルフリーダム、出るぞ!!」

 

 

 

「ディアッカ・エルスマン! バスターフリーダム、発進するぜ!!」

 

 

 

 青い翼の白い機体が二機、闇の中に飛び立つ。

 

 

 

 その二機のフリーダムガンダムの様は、ミリアリアには希望に見えた。

 

 

 

 イザーク達が目標の輪っかに辿り着いた時、レーダーに反応があった。

 

 

 

「!ーーアラート! 敵部隊出現!? どうして!?」

 

 

 

 宙域には何もなかったはずだった。

 

 

 

 だが今現れた反応は、10や20ではない。

 

 

 

 戦艦は3隻、MSの数は60。

 

 

 

「ミリィ、理由は簡単だ。その部隊は今、生まれたんだ」

 

 

 

「ーーフン。未来世紀、とんだ化け物を生み出してくれたものだな」

 

 

 

 ディアッカの真剣な声にイザークの皮肉気な声が続く。

 

 

 

「それ、どういうーー!」

 

 

 

 モニターを見据えてミリアリアも言葉を止めた。

 

 

 

 デブリにある鉄くず達が、形を変えていくのだ。

 

 

 

 あるものは戦艦に、あるものは一つ目鬼を思わせる死のMSーーデスアーミーに。

 

 

 

「DG細胞!? 既に宇宙にもあるの!?」

 

 

 

「ザフトの施設なら分かるんだがな。議長が怪しいが、これは地球連合の施設。ジブリールやウルベ達が、細胞だけを宇宙に上げていたのか?」

 

 

 

「疑問はあるが、まずは倒すのが先決だ! ぬかるなよ、ディアッカ!!」

 

 

 

 言うやイザークはデュエルフリーダムの翼を展開させると音速を超えるスピードで駆け抜ける。

 

 

 

「ーーぬう! この機動力、流石はフリーダムだ!!」

 

 

 

 言いながらも腰のサーベルを抜き、すれ違いざまに四機のデスアーミーを切り捨てた。

 

 宙に浮かぶ残骸めがけ、ディアッカのバスターフリーダムが、二丁のライフルを連結させて構える。

 

 

 

「行くぜ、スーパー・アグニ・ライフル!!」

 

 

 

 放たれた火の神の一撃は、数十のデスアーミーを焼き払いながら、直線上にある輪っかを狙う。

 

 

 

 思ったとおりだが、ビームは直撃せずに曲げられ、近くにいた戦艦を焼き払った。

 

 

 

「ーーシャレにならねえぞ、この威力」

 

 

 

 艦隊も薙ぎ払えるであろう火力に思わず渋い顔をするディアッカ。

 

 高速機動で隣にきたイザークが言った。

 

 

 

「だが、やはりゲシュマイリヒパンツァーには相性が悪いようだな」

 

 

 

「ーーやれやれ、骨が折れそうだな!!」

 

 

 

「構わん。俺も自分の機体を色々と試したくなってきたぞ!!」

 

 

 

 言うや、自分の背中に固定されているキャノン砲を左腰から前に抜けて構える。

 

 

 

「圧倒的な機動力に、サーベルの切れ味。申し分ないが、砲撃はどうだ!?」

 

 

 

 奇しくもその機体コンセプトおよび基本骨子は、シン・アスカの乗っているデスティニーガンダムによく似ていた。

 

 

 

 当然、バーニアを最大にまで高めると青い翼を象ったバックパックから光の翼が生じる。

 

 

 

 デュエルフリーダムの残像が発生し、一気に敵陣を所狭しと駆け回り、貫通力と消滅力の高い陽電子キャノンを放つ。

 

 

 

 充分な威力を誇る赤と青のビーム砲が、直線上にいる敵を全て撃ち抜いていく。

 

 

 

「ーー申し分ない。だが!!」

 

 

 

「俺たちの装備には実弾がレールガンしかないぜ。どうするよ!?」

 

 

 

 近づいてきた敵を左右に分裂させたライフルで撃ち抜きながら、ディアッカが問いかける。

 

 

 

 MSや敵艦には効いても肝心の輪っかを破壊できなければ厳しい。

 

 

 

 そこに通信が入った。

 

 

 

「ジュール隊長! エルスマンさん!」

 

 

 

 通信先とレーダーを確認し、二機のフリーダムは左方向を向いた。

 

 

 

 そこには、ピンク色の高速巡洋艦エターナルが在った。

 

 

 

「ラクス様!」

 

 

 

「ラクス!!」

 

 

 

 桃色の髪の歌姫は真剣な表情でイザーク達に通信を送る。

 

 

 

「ジュール隊長、エルスマンさん。ミーティアを!!」

 

 

 

 その言葉に二人のパイロットは互いに頷くと、ラクスを見返す。

 

 

 

「お二人とも、どうかオーブを。ミーティア、リフトオフ!!」

 

 

 

 戦艦の端に付けてある二台の艦装にみえた白銀色の核エンジン搭載型MS用の巨大補助兵装。

 

 

 

 宇宙空間にパージされ、二機のフリーダムの背後に回ると腰部とドッキングする。

 

 

 

「こいつのビームソードならば!!」

 

 

 

「ああ、切れるよな!!」

 

 

 

 マルチロックシステムを使い、一気にミーティアの兵装を開放する。

 

 

 

 無数のミサイルと強大なビーム砲が無数にあったデスアーミー達を蹴散らしていく。

 

 

 

 そこかしこで火花が散り、おとされる機体たち。

 

 

 

 無数に咲いた火花を縫うように移動しながら二機のフリーダムは輪っかに接近する。

 

 

 

 右手を大きく掲げて、イザークが叫ぶ。

 

 

 

「くたばれぇえええええ!!」

 

 

 

 上段から300メートルにもなる巨大ビームソードを振り下ろし、輪っかを真っ二つにする。

 

 

 

「こいつも、おまけだぜ!!」

 

 

 

 ディアッカが左の巨大ビームソードを真横に切り払い、縦と横に切り捨てられる巨大な輪っか。

 

 

 

 火花を上げて散るのを確認し、イザークはニヤリと笑う。

 

 

 

「こちらの戦力までは予想できなかったようだな!!」

 

 

 

「キラやアスランだけが、歌姫の戦力じゃないぜ!!」

 

 

 

 勝ち誇る二機を嘲笑うかのように、輪っかは爆発しながら触手を生み出していき、形を変えていく。

 

 

 

「! まさか!? あの輪っかもDG細胞製なのか!!?」

 

 

 

 同時に、イザーク達の真上に輪っかが突如として現れる。

 

 

 

「こ、これはミラージュコロイド!?」

 

 

 

 ミラージュコロイドシステムとは、可視光線や赤外線を含む電磁波を遮断する特殊なコロイド状の微粒子であり、このコロイドを磁場で物体表面に定着させることで、電磁的・光学的にほぼ完璧な迷彩を施すことが可能なステルス機能を言う。

 

 

 

 これを展開している間は、レーダーにも視覚的にもまったく探知されない。

 

 

 

 絶えず粒子を流す波がある海中では不可能と言われているが、宇宙空間ではその限りではない。

 

 

 

「この場所にだけ、二つの輪を置いていたってことは!!」

 

 

 

「間違いない!! ここが、攻撃拠点だ!!」

 

 

 

 ディアッカとイザークの言葉に応えるように、次々と周囲に浮かぶデブリが再び3隻の戦艦とデスアーミー達に変化する。

 

 

 

 いや、今度はデスアーミー達の背にコウモリ型の羽がついていた。

 

 

 

 更に破壊されたゲシュマイリヒパンツァーリングが巨大な機体に変化していく。

 

 

 

「こ、これは!?」

 

 

 

 かつて未来世紀で現れたデビルガンダムコロニー。

 

 

 

 その触手の一機は、ガンダム連合をしてようやく屠れるほどの巨大なガンダムヘッドだった。

 

 

 

「化け物かよ!!?」

 

 

 

 現れたのは、地球を食らおうとデビルコロニーが伸ばしたガンダムヘッド。

 

 

 

 あまりの大きさに、歴戦の兵士であるディアッカとイザークが戦慄するほどだ。

 

 

 

「悪意の塊ーーDG細胞。なんて、恐ろしい姿」

 

 

 

 ラクスは細胞の本来の持ち主であったデビルガンダムことDを思い起こしながら呟く。

 

 

 

「人間の悪意は、これほどにまで醜悪なのでしょうか」

 

 

 

 それは人類の敵と公言した「彼」への問いかけでもあった。

 

 

 

 巨大なコロニーそのままの大きさで変化したガンダムヘッドは、その長い蛇のような体を自在に動かし、あちこちから触手を伸ばして攻撃してくる。

 

 

 

 その触手は先端がビーム砲にもなれば、戦艦並みの大きさの小型のガンダムヘッドを枝分かれのように生やす。

 

 

 

 小型のガンダムヘッドの口からは無数の羽の生えたデスアーミー達ーーデスバットの部隊が出てくる。

 

 

 

 一機一機の実力は知れているが、今度のデスバットは機動力が高い。

 

 

 

 イザークとディアッカのパイロット能力ならば追随は許さないが、数が多く劣勢に立たされる。

 

 

 

「DG細胞ってのは、ばかの一つ覚えみたいに数でごり押ししかしねえのかよ!!」

 

 

 

「だが、それが今は一番きつい!! ラクス様やミリアリアを庇いながら。いや、そもそも二機だけでは厳しいぞ!!」

 

 

 

「だからって、此処を離れたらオーブは撃たれてしまいじゃねえか!! シュバルツ達やキラ達がやられたら、どうなるか分かんだろ!!」

 

 

 

「貴様に言われんでも分かっているわ!!」

 

 

 

 ディアッカに怒鳴り返し、イザークは次々と来る触手を切り捨て、ミサイルを放ってデスバットを葬る。

 

 

 

「ディアッカ、貴様は戦艦に迫る敵や触手を迎撃しろ! 俺は、奴らを攪乱した上でもう一つのリングを破壊する!!」

 

 

 

「バカヤロウ!! いくらなんでも無茶だ!!!」

 

 

 

「なら他に手はあるか!!?」

 

 

 

 二人が怒鳴りあっているその時だった、強烈な黄金の熱線がイザーク達に迫る敵を焼き払ったのだ。

 

 

 

 二人はその光景に呆然としながら光が放たれた方角を見る。

 

 

 

「今のは、ユニウスセブンを消滅させたーー?」

 

 

 

「シュバルツ。いやドモン、か?」

 

 

 

 呟いた彼らの前に現れたのは、赤い翼を広げた20メートルを越えるMSにしては大型の機体。

 

 

 

 ゴッドガンダムと同じ顔を持つ対となるガンダムーーデビルガンダムだった。

 

 

 

 彼は蒼紫に燃える両手をこちらに突き出して構えを取りながら、言った。

 

 

 

「ラクスーーか?」

 

 

 

 その言葉にエターナルのラクスが通信を開いた。

 

 

 

「Dさん!!」

 

 

 

 モニターに写ったのはドモンと同じ顔をした赤い髪に紅の瞳をした男。

 

 

 

 デビルガンダムーーDだった。

 

 

 

 彼は、背後に四機のガンダムを従えてそこに居た。

 

 

 

「こいつらはーー!?」

 

 

 

「もう宇宙に来たのかよ!?」

 

 

 

 ヘブンズベース基地で彼らが「人類の敵」と名乗ったのは記憶に新しい。

 

 

 

 だが、こんなにも早く大気圏外に来るとは思わなかった。

 

 

 

 見れば後ろにレセップス級がある。

 

 

 

「ラクス、ダコスタ。貴様ら、ここで何をしている?」

 

 

 

 Dの問いかけにラクスが凛とした気配で言った。

 

 

 

「月にある地球連合基地が関係していると思われる衛星兵器。それを破壊しようとしたのですが、破壊に成功したと同時に残骸が巨大なガンダムヘッドに変化したのです。力を貸してくれませんか!」

 

 

 

「お願いします、Dさん!! このままじゃ、オーブに居る皆が!!!」

 

 

 

 ラクスとダコスタの言葉にDは眉を顰める。

 

 だが、彼よりも早く反応したものがいた。

 

 

 

「デビルガンダムさま!! ここは俺に戦わせてください!! オーブは、あの国は今討たれるわけにはいかないんだ!!!」 

 

 

 

 少女と見紛うばかりの美しく儚げな少年。

 

 

 

 レイ・ザ・バレルは金色の髪をなびかせ必死になってDに訴えかける。

 

 

 

 人類の敵と名乗った連中の力を借りる。

 

 

 

 それがどれだけ恐ろしいことなのかと、イザークは言いたかったがラクス様の迫力はそれを止めさせるものだった。

 

 

 

 Dは無表情ながらも思案しているようでもあった。

 

 

 

「Dよ。ここは戦力を二つに分けようではないか」

 

 

 

「できるか?」

 

 

 

 初老の男ーーマスターアジアの言葉にDは静かに問いかける。

 

 

 

「俺とマスターアジアだけでもこの程度は充分だ」

 

 

 

 チャップマンがそれだけを告げて構えようとする、がマスターアジアは止めた。

 

 

 

「待て、チャップマン。ここは其処のレイと言う小僧に任せて見ぬか? ミケロ、手を貸してやれい」

 

 

 

 マスターアジアの提案にチャップマンは面白そうに笑みを浮かべる。

 

 

 

 話を振られたミケロは唾を一つ吐き捨てると、言った。

 

 

 

「ケッこの程度のスクラップどもなんぞ、俺様だけで充分だぜ!!」

 

 

 

 言うやミケロは漆黒の気を足先に纏わせると空を蹴り払った。

 

 

 

 同時に扇状型に光が放たれる。

 

 

 

 その光は無数の光弾に拡散すると、一気に触手とMS部隊を撃ち抜いた。

 

 

 

「す、凄いーー!」

 

 

 

 ミリアリアが思わず口にする。

 

 

 

 いまの一撃は、ミーティアを持ったイザークやディアッカに匹敵する数の敵を葬ったのだ。

 

 

 

「ミーティアを装備した俺達とほぼ同じ火力、か」

 

 

 

「怖いねぇ。MFってのは!」

 

 

 

 告げあう二人にミケロは言った。

 

 

 

「ああ? この程度もできねえのなら、失せろよガキ。足手まといだぜ」

 

 

 

「……ほう?」

 

 

 

 ミケロの言葉にイザークのこめかみにしわが寄った。

 

 

 

 ディアッカの表情が歪む。

 

 

 

「頼むぜ、イザーク! 今はーー!!」

 

 

 

「分かっている。後でだ」

 

 

 

 そう告げながらミーティアの砲撃を乱射しながら、次々と敵を落とすイザークにディアッカは引きつった笑みを浮かべた。

 

 

 

 だが、巨大なガンダムヘッドは先の攻撃にも全くの無傷だ。

 

 

 

「Dさん、月に向かわれるのですか?」

 

 

 

 その時、ラクスが戦闘中でありながらDに問いかけた。

 

 

 

 これにDが静かに彼女を見据える。

 

 

 

 その瞳をラクスは正確に読んでいく。

 

 

 

「ミーアさんーーいいえ、ミーアが月に?」

 

 

 

 ラクスの言葉に応えずに静かに彼女から視線を外すと、Dは月を見据えて言った。

 

 

 

「ラクス。ダコスタ」

 

 

 

 彼の言葉に二人は静かに彼を見据える。

 

 

 

 続く言葉は、ラクスとダコスタを場を弁えずに呆然とさせた。

 

 

 

「ーー死ぬなよ」

 

 

 

 それだけを告げると、Dは黄金の気を全身に纏う。

 

 

 

 そして右手に蒼紫の炎を纏わせると、叫んだ。 

 

 

 

「我のこの手が陰りて嗤う。すべてを屠れと昂まり狂う!」

 

 

 

 巨大なガンダムヘッド本体に向かってデビルガンダムは駆けた。

 

 

 

 黄金の気の粒子がデビルガンダムに巻き付こうとしていた触手やMS達を消し飛ばしていく。

 

 

 

「! なんだ、これは!!」

 

 

 

「はは、こいつが俺たちの敵だって? ムチャクチャだぜ」

 

 

 

 黄金の光の道を作りながらデビルガンダムは蒼紫に燃える右手を振りかぶる。

 

 

 

 牙を剥き出しにして食らいつこうとする巨大ガンダムヘッドに右手を突き出した。

 

 

 

「暴ぅうう裂っ!! デビィイイイイルフィィンガァアアアア!!!」

 

 

 

 蒼紫に燃える光の球がガンダムヘッドの眼前に現れ、恒星に突っ込む哀れな残骸のように消し飛んでいく。

 

 

 

ーーグアアアアアアアアアアアッーー

 

 

 

 化け物の断末魔が宇宙に響いた。

 

 

 

 あまりの威力にポカンとする一同を置いて、デビルガンダムはコロニー大のガンダムヘッドを消滅させるとそのまま月に向かって飛び立って行った。

 

 

 

 その後を漆黒のボディに赤い羽根の機体ーーマスターガンダムと紳士と軍服を足して割ったような機体ーージョンブルガンダムが付き従っていく。

 

 

 

「ラクス様、彼は何故人類の敵になるんですか? 彼は、今俺たちのことをーー!!」

 

 

 

 ダコスタの言葉にラクスは静かに去っていく三機の光を見据えた。

 

 

 

「……彼は。いえ、それよりも今はーー!」

 

 

 

 ラクスの言葉に呼応するように、もう一基のゲシュマイリヒパンツァーリングを庇うデスバットと戦艦の軍団。

 

 

 

 コロニー大のガンダムヘッド。

 

 

 

 その触手たちの残骸はアステロイドベルトの鉄くずを吸収してデスバットに変化する。

 

 

 

「数は多いが、さっきの化け物が居ないなら何とかなるか!!」

 

 

 

「時間をかければな。だが、ビームを撃たれたら終わる。こちらは油断が一切できん」

 

 

 

 言い合う二人に近寄るのはレジェンドガンダムに乗ったレイだった。

 

 

 

「効率よく敵を倒していくしかありません。貴方の指示に従います、イザーク・ジュール」

 

 

 

「その声ーークルーゼ隊長に似ているな。それにザフト製の機体、か」

 

 

 

 何か言いたげなイザークにレイは何も告げない。

 

 

 

 静かに見つめあうこと数秒、イザークは言った。

 

 

 

「余計な詮索はしないでおく。今は、こいつらを倒してあのリングを破壊することが先決だ」

 

 

 

「助かります」

 

 

 

 その言葉にレイが頷き、ミケロを向いた。

 

 

 

「力を貸してくれ。ここでオーブを撃たれるわけにはいかない。貴方もドモン・カッシュと戦いたいのだろう?」

 

 

 

「おい、根暗のガキ。てめえまさか、この俺様にいけ好かねえガキどもの指示を聞けってんじゃねえだろうな?」

 

 

 

 ミケロが獣のような咆哮を上げながら告げるのを予測していたようにレイは言った。

 

 

 

「マスターアジアの指示ではあなたは俺に手を貸すことになっているはずだ。頼む、仲間を守りたいんだ!! 後でいくらでも文句を言ってくれて構わない!! だから、今は!!!」

 

 

 

 必死の形相で頼み込むレイにミケロは鋭い目をイザークに向けた後、レイに向き直った。

 

 

 

「レイっつったよな? テメエ、自分で指示もできねえのかよ?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「俺様は、あくまでテメエに手を貸せと言われてんだ。何かを守りたいってんなら自分の力で守れや。他人に指示なんぞ聞いて甘えてんじゃねえ」

 

 

 

 その言葉にレイが困惑する。

 

 

 

「だ、だがーー俺ではーー!」

 

 

 

 イザークが隣から声を張り上げた。

 

 

 

「俺たちは構わんぞ! 奴らを倒せるならなんでもな!!」

 

 

 

「この際だ。お前の指示の方が案外、頭に血が上りやすいイザークよりやれるかもしれねえしな!!」

 

 

 

 ディアッカも迷うレイの背を押すように提案した。

 

 

 

 はっきり言って時間がない以上、レイも迷っている暇はない。

 

 

 

 祈るようにレジェンドガンダムのグリップを握りしめた。

 

 

 

 すると不思議なことに、彼の中の不安が静かに穏やかになっていく。

 

 

 

(レジェンドガンダムーーお前は)

 

 

 

 静かにシュバルツからの教えを思い出した。

 

 

 

 ガンダムは道具ではない、己の一部とせよ。

 

 

 

 ならば自分の分身とも言えるレジェンドガンダムが、不安を和らげてくれているのだろうとレイは静かに頷き、告げた。

 

 

 

「分かった! 各機、俺の指示に従ってくれ!! この宙域にあるDG細胞とリングを破壊する!!」

 

 

 

 イザークとディアッカの二人にはラクス達の護衛兼、広範囲によるビーム砲での殲滅を。

 

 

 

 旗艦やリーダー機の破壊は自分とミケロが請け負うと告げる。

 

 

 

 輪っかを破壊するのならば、ミケロの力だけでも可能だとレイは踏んでいた。

 

 

 

 イザーク達のコンビネーションはさすがだ。

 

 

 

 接近戦も遠距離戦も難なくこなす彼らは、互いの能力についても分かり合っている。

 

 

 

「残された問題は、俺の判断力か」

 

 

 

 ミケロを見ながら言うと、彼は静かにレイを睨みつけてきた。

 

 

 

「さっさと指示してみろ。そのとおりに動いてやらあ。どうして欲しい!?」

 

 

 

 その言葉に静かに頷くと、明鏡止水を使って機体と自身の五感を一つにする。

 

 

 

 敵陣の戦力の配置を頭の中の地図で確認し、正確に割り出す。

 

 

 

(こちらは強力だが4機に対し、敵は再生もできる機体が100数機か)

 

 

 

 5機のデスバットに囲まれるも、すぐさま予め展開していたドラグーンでハチの巣にする。

 

 

 

「ミケロ! 左舷が薄い、突破できるか!?」

 

 

 

「誰にモノを言ってやがる!? その目ん玉でよく見やがれ!!」

 

 

 

 ミケロを見れば無数に放たれたビームを脚を一振りするだけでかき消すと、一気に距離を詰めて一機のデスバットの頭を蹴り抜くと首だけ残った機体を踏み台にして、駆けると右足に更に気を溜めて放つ。

 

 

 

「銀色のぉおお脚ぃいいいっ!!」

 

 

 

 扇状に放たれた漆黒の光。

 

 

 

 先のように漆黒の光から拡散してビームを放つ。

 

 

 

 上半身や下半身を消し飛ばされながら、ビームを放ってくるデスバット部隊。

 

 

 

 ミケロはネロスガンダムを駆けさせ、ジグザグに宇宙空間を移動させて多重ビームを避けていく。

 

 

 

「大口を叩くだけはあるようだな、あの男!」

 

 

 

「まあ、人間全てを敵にしようってんだ。あれくらいはできるだろうよ、さっきのデビルガンダムとやらを見ても思ったが……」

 

 

 

「…確かにな」

 

 

 

 言い合うと互いにミーティアの武装を開放し、フルバーストを放つ。

 

 

 

 二機の放った一撃はそれぞれ、先のミケロと同等かそれ以上の威力を誇っている。

 

 

 

 これに対応するように敵の動きも変わり始めた。

 

 

 

 ガンダムヘッドがマスクを展開し、口からビームを吐き始めたのだ。

 

 

 

 光弾は貫通力が高く、簡単に小隕石を貫いてエターナルや輸送シャトルを狙ってくる。

 

 

 

「こいつら!!」

 

 

 

「小賢しい真似を!!」

 

 

 

 ミーティアは確かに高い火力を誇る。

 

 しかし、巨大なユニットをMSに取り付ける為、接近戦や細かい動作ができない。

 

 

 

 ビームソードで切り払おうにも、無数のビームを全て切り捨てるには無理がある。

 

 

 

 かと言ってこの数を相手にミーティアを無くすのは火力的にも痛い。

 

 

 

 イザーク達は常に選択を強いられる戦いだった。

 

 

 

 精神的にも相当な疲労が溜まっている。

 

 

 

 当たりどころが悪ければ、一発で戦艦を落とせる桃色のビーム。

 

 

 

 ガンダムヘッドの恐ろしさが身に染みる。

 

 

 

 ミーティアに何発か被弾させるも、戦艦には触らせないイザークとディアッカ。

 

 

 

 だが、限界も近い。

 

 

 

「ーーこのままでは、ジリ貧だな」

 

 

 

 ミーティアのあちこちから火花を散らしながら、イザークは静かに呟く。

 

 ディアッカも冷や汗を流しながら言った。

 

 

 

「落ち着いてる場合じゃねーよ」

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

 更なるガンダムヘッドのビームキャノンが、二人を襲ったのだ。

 

 

 

「後ろに戦艦があるコースを的確に狙うとはな!」

 

 

 

「厄介極まりないぜ、ホントによ!!」

 

 

 

 言い合うと、衝撃に備えようとする。

 

 しかし、それを止めたのはレイのドラグーンシステムだった。

 

 

 

 ドラグーンの4基をイザークとディアッカを囲むように配置するとビームを発生させ、巨大なビームの幕を作ったのだ。

 

 

 

 ガンダムヘッドの光弾がビームである以上、このビーム幕に防がれてしまう。

 

 

 

 レイの頭の中にあったのは、師匠であるシュバルツが変身したバラの花の形をしたドラグーンを放つ騎士を模したガンダム。

 

 

 

 レイは知らないが、彼こそはネオフランスが誇る美と情熱の騎士ーー。

 

 

 

 美しい顔に似合わない熱き魂のファイター。

 

 

 

 彼の考案したローゼススクリーマー、レイはドラグーンシステムでこれを再現してみせたのだ。

 

 

 

「…やるじゃねえか。ネオフランスの技を真似るなんて、な。見直してやるよ」

 

 

 

 ビーム兵器を完全に遮断する盾を見て、ミケロがニヤリと笑う。

 

 

 

「ミケロ、イザーク、ディアッカ! 奴らの戦艦への攻撃は俺が防ぎきる!! ミケロは、この隙にリングを落とせ!! イザーク達は、敵の総数を減らしてくれ!!」

 

 

 

 これにイザークが叫び返した。

 

 

 

「借りは返すぞ、レイとやら!!」

 

 

 

「任せろ、全部まとめてミーティアで落とす!!」

 

 

 

 二機のミーティアのフルバーストが放たれた。瞬く間に落とされる無数のデスバットとゴーストシップ。

 

 

 

 しかし、ガンダムの顔をした異形ーーガンダムヘッドにはまるでダメージが通らない。

 

 

 

 それは、ミケロの銀色の脚でも同じだ。

 

 

 

 ネロスガンダムは静かに両拳を左右の腰に置き、気を溜める。

 

 

 

「クァアアーーッ!! 見せてやる、このミケロ様の真の実力を!!!」

 

 

 

 言うや気を纏う。

 

 

 

 その気の昂まりは赤い炎を具現化し、橙色の光が差し、青い水を可視化させ、藍色の空を思わせ、森林の緑の気を高め、黄色の雷を生み出し、紫の闇色が映える。

 

 

 

 七つの自然に存在する気の色。

 

 

 

 チャクラと呼ばれる体内に七つある気の発生核。

 

 

 

 本来は気による武闘術を学ばねばならないのだが、ミケロは誰に教わるのでもなく、独学で得ていた。

 

 

 

 その拡散される七色の光を放つ技の名はーー

 

 

 

「虹色の、脚ィィィッ!!」

 

 

 

 放たれた七つ色の光は、見事に無数にいたデビルガンダムヘッドを射抜き、爆破させた。

 

 

 

 更に駄目押しでレイが、残骸に向かってドラグーンを放つ。多重ビーム砲は、残骸から形を成そうとしていたDG細胞を消し飛ばした。

 

 

 

「今だ、ミケロ!!」

 

 

 

 レイが目を見開き、クリーンになった視界に入った輪っかを指して叫ぶ。

 

 

 

「やってやんよぉ!! 見てろよ、これが俺様の最高の必殺技!!!」

 

 その言葉にミケロが咆哮を上げながら、陸上競技のクラウチングスタートのような構えを取る。

 

 右の足先に気を溜めていく。

 

 漆黒の光を放っていた気の光が青白く輝き始める。

 

 

 

「ハイパァー銀色の脚ィィィッスペシャァアルゥウ!!」

 

 

 

 ロケットの如きスピードで。

 

 

 

 槍の如き鋭さで。

 

 

 

 弾丸の如き勢いで。

 

 

 

 ネロスガンダムは、彗星のように光の粒子を脚から放ちながら一瞬で輪っかの真上を取ると、そのまま急降下してぶつかる。

 

 

 

 瞬間、呆気なく感じるほどアッサリと廃棄コロニーで作られた巨大な輪っかは真っ二つに斬れた。

 

 

 

 その切り口は日本刀にも匹敵するほどだった。

 

 

 

 斬れた輪っかはミケロの気によって切り口から爆発し、跡形もなく消えて行く。

 

 

 

「天剣絶刀ーーそれが俺様とネロスガンダムの二つ名よ!!」

 

 

 

 それを見てニヤリと残忍に笑うミケロの姿をレイは、恐ろしくも頼もしく感じていた。

 

 

 

 これでオーブを護れた。

 

 

 

 仲間を救えたのだと、レイは安堵した。

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

「ーーなに!? 巨大なビーム砲だと!!?」

 

 

 

 イザークの言葉に皆が彼のほうを向くと、一瞬後に全てを飲み込む緑色の巨大なビームが地球に向かって降っていった。

 

 

 

「バカな!? コンピューターの計算じゃ、今倒した奴が拠点で間違いないだろ!!?」

 

 

 

「そんな!!?」

 

 

 

 ディアッカの言葉を遮るようにミリアリアが悲鳴を上げた。

 

 

 

「動いてるーー!」

 

 

 

「どういうことですか?」

 

 

 

 ラクスの言葉にミリアリアが青くなった顔のまま、告げた。

 

 

 

「リングの配置図が、さっきまでと全然違ってる。別の角度からオーブに向かってーー!」

 

 

 

「そ、それじゃーー!!」

 

 

 

 ダコスタが地球を見ながら呟いた。

 

 

 

「オーブが焼かれる?」

 

 

 

  オーブ諸島で展開されていた戦闘が中止されていた。

 

 

 

 オーブ・連合・ザフトの三軍は唇を噛みしめながら、カタパルトから今脱出するジブリール達を見据える。

 

 

 

 4機のガンダムが光となってシャトルに吸い込まれた後、宇宙に向かって間髪入れずにシャトルが射出された。

 

 

 

 フォログラムのジブリールが微笑む。

 

 

 

「ご苦労。それでは諸君、宇宙で会おうではないか。もっとも、諸君がこの場を生きて出られたら、だが」

 

 

 

 その言葉に全軍が目を見開く。

 

 

 

「やっぱり、シャトルがカタパルトを出ると同時にーー!」

 

 

 

「オーブをレクイエムとか言う兵器で撃つつもりだったな!!」

 

 

 

 キラとシンの言葉にニヤリと微笑みながら、ジブリールは告げた。

 

 

 

「さらばだ、諸君。後5分で君たちのもとに裁きの光が満ちる。その光から逃れるために無駄な努力をするもよし、祈るもよしだ。好きにしたまえ、それではな」

 

 

 

 既にシャトルは宇宙に向かって空を飛んでいる。

 

 

 

 あれに追いつくのも打ち落とすのも、もはや間に合わない。

 

 

 

「……ここまでなのか」

 

 

 

 アスランが空を見上げながら呟く。

 

 

 

 ゆっくりと緑色の光の輝きが大気圏外から迫ってくるのが視認できた。

 

 

 

 オーブ本国司令部にいるカガリもまた、力を抜いて膝を付く。

 

 

 

「お父様、申し訳ありません。お父様から託された民を、国を、私は守れませんでした。申し訳ありません、お父様。カガリを叱ってください」

 

 

 

 涙を流しながら、カガリは呟く。

 

 

 

 シェルターに避難した国民も本土ごと消されれば逃げ場などない。

 

 

 

 オーブは本当に今日、終わるのだ。

 

 

 

「諦めるのは、まだ早い」

 

 

 

 その時に聞こえた声は、何度もオーブの危機を救った青年の言葉だ。

 

 

 

 オーブ軍の全ての人がシャイニングガンダムに乗る青年を見据える。

 

 

 

「私たちはただ、見ればよい。神域の奥義を」

 

 

 

 その声はザフト軍のミネルバ隊に響き渡る。

 

 

 

 何度も窮地を脱してきた男の声に。

 

 

 

「「私(俺)たちの弟、ドモン・カッシュの力を信じろ!!」」

 

 

 

 二人の声が重なったとき、ドモンが目を力強く見開いて空を見上げる。

 

 

 

 緑色の光は既に空全体を覆いつくさん程に広がりながら、オーブに迫っている。

 

 

 

「無茶ですよ。たとえドモンさんの石破天驚拳で仮にビーム砲を打ち破れても、この一帯は電子レンジよりも高圧のガンマ線に晒されてーー」

 

 

 

 キラが静かにつぶやこうとして、ドモンの力強い瞳を見据え、押し黙る。

 

 

 

「ドモンさん、貴方はーー」

 

 

 

 ドモンの目には恐怖もあきらめもない。

 

 

 

「俺を信じろ、皆ーー!」

 

 

 

 この窮地にありながら、彼は全く己の勝利を信じて疑っていない。

 

 

 

 その言葉に、シンは目を見開いて拳を握った。

 

 

 

(なんだ、こんな状況なのに。どうして、この人なら何とかしてくれるって思っちまうんだ?)

 

 

 

 そのシンの思いがこの場にいる人々に水のように浸透していく。

 

 

 

「はぁあああ! 流派!! 東方不敗が!! 石破ぁ!! 天驚ぉおおおおおーーー!!」

 

 

 

 右腰に溜めていた黄金の光の球を前方に右手で突き出した後、ドモンは叫んだ。

 

 

 

「ーーゴォッドフィンガァアアアアアア!!!」

 

 

 

 一瞬後、紅蓮の光がオーブ全体を包み込んだかと思うと、空一面をつかみ取るかのような巨大で真っ赤に燃える右手が宙に浮かぶ。

 

 

 

 その手はそのまま強大なレクイエムの光を掴みとめた。

 

 

 

「そ、そんな! 爆発も破壊もさせずに掴みとめた!!」

 

 

 

 キラがこの現象に思わず声を漏らす。

 

 

 

 それを横目にニッと笑って見つめた後、ドモンは鋭い目でレクイエムの光を睨みつけると叫ぶ。

 

 

 

「このまま一気に大気圏外にまで押し返してやる!! はぁあああああああ!!!」

 

 

 

 ドモンの気合の声が響く。

 

 

 

 赤い掌が更に強大になり、レクイエムの光を一気に押し返してしまう。

 

 

 

 そのまま一気に大気圏外に出たのを確認すると、ドモンは自分の右手をまるでリンゴを握りつぶすようにして閉じた。

 

 

 

「ヒィイイイイイト! エェエエエエエンドォオッ!!」 

 

 

 

 大気圏の外で起こった爆発は恒星のように真っ赤に空を染め上げた。

 

 

 

 だが目を焼くほどの光だと言うのに、その光は人々の心に温かさを思い起こさせた。

 

 

 

 まるで家族と共にいる時のような温かみ。

 

 

 

 親に守られている赤子のように。

 

 

 

 呆然と空を見上げた人々は、やがて元通りの色に戻った空を見て自分たちが生き延びたことを確信する。

 

 

 

 右拳を振り切った姿勢で止まっているトリコロールの機体。

 

 

 

 日輪を背にしたガンダムを見て。

 

 

 

「……これが、シュバルツさんの弟。最強の武道家ーー!!」

 

 

 

「キング・オブ・ハート。ドモン・カッシューー」

 

 

 

 呆然と呟くシンの隣では、キラも同じように言葉を失っていた。

 

 

 

 そんな彼らの後ろでは、生き延びた現実を感じて取り、人々が徐々に喜びの声を上げ始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーブシャトルにて。

 

 

 

 悠然とジブリールは中に入って来たウォンとウルベ、そしてガンダムファイター三人を迎えた。

 

 

 

「よくやってくれました、ジブリール」

 

 

 

「レクイエムーー衛星兵器を出すタイミングとしては非常にいいタイミングだった」

 

 

 

 ウォンとウルベの言葉にジブリールは笑みを返しながら告げる。

 

 

 

「今、月のアルザッヘルから連絡があってね。ダイダロスからレクイエムを発射しようとしたが、中継ステーションの反応が消えるそうだ。調べたら、コーディネーターの歌姫の艦が居たようだよ」

 

 

 

「DG細胞に感染させて進化させてできた中継ステーションを破壊するとは。ドモン・カッシュの余裕はラクス・クラインでしたか。やはりデュランダルと共にいるラクス姫は偽物か…」

 

 

 

「既にDG細胞によって進化した中継ステーションは、別の経路を取るように指示してある。ゆっくりと見ようではないか、オーブの最期をね」

 

 

 

 考え込むウォンを見ながらジブリールは二人を対面に座らせ、ワインを部下に注がせる。

 

 

 

「ドモンが我々を狙っているようだが、それもこの一撃で終わりだ。仮にゴッドガンダムがレクイエムのビーム砲自体を打ち破っても大気にはレクイエムのガンマ線が満ち溢れ爆発する。いわば極々小規模のガンマ線バーストが発生する、あのオーブ周辺の海域はサイクロプスの比ではない熱量に晒され、消し飛ぶだろう」

 

 

 

 ジブリールからの報告にウォンは微笑むと注がれたワインを手に取り一口含む。

 

 

 

「勝利の美酒を味わえるとは、嬉しいですね」

 

 

 

 対してウルベは注がれたワインを見据えるだけで、静かに窓の外から見える緑色の光の柱を確認する。

 

 

 

「どうしました、ウルベ」

 

 

 

「ウォン。それにジブリール。君たちの思い通りにはいかないようだ」

 

 

 

 ウルベの言葉にジブリールが訝し気に外を見る。

 

 

 

 同時に彼の目には、真っ赤に燃える巨大な右手がレクイエムの光を掴みとめて、大気圏の外へと押し返していく光景が映った。

 

 

 

「ーーな、な?」

 

 

 

 金魚のように口をパクパクさせるしかないジブリールを尻目にウルベはワインを口に含む。

 

 

 

「マーキロット。君たちは彼に勝てるかね?」

 

 

 

 淡々と冷たい何の感情も映さない翡翠の瞳でウルベは、そばに跪く三人のファイターに問う。

 

 

 

 彼らは静かに凶暴な色を瞳に宿して見返してきた。

 

 

 

 それにウルベもニヤリと笑みを浮かべて頷く。

 

 

 

「まあ、何はともあれ。無事に宇宙にこれたのだ。良かったではないか」

 

 

 

 気を取り直せ、と言わんばかりのウルベの言葉にウォンも笑みを返した。

 

 

 

「確かに。少々危ない橋でしたが、何とか渡り切れたようです」

 

 

 

 シャトルは既に大気圏に突入していた。

 

 

 

 この場で攻撃を仕掛けてこれるものなどいない。

 

 

 

 そう思っていた。

 

 

 

「! ウォンさま。何かしら、この音は」

 

 

 

「馬の蹄の音ーー? 何故?」

 

 

 

 シジーマとロマリオが同時にその音に気付く。

 

 

 

 マーキロットの駆るゼウスガンダムの戦車ーーハーキュレイと似て非なる、力強く野性味溢れる蹄の音。

 

 

 

 彼らが外を見たとき、燃える世界の向こうからシャトルに向かって駆けよってくる馬の影があった。

 

 

 

「あれはーー東方不敗マスターアジアの風雲再起!」

 

 

 

 一角獣を思わせる角と、光の翼を背負って駆ける姿は正にマスターアジアからドモン・カッシュへと受け継がれたモビルホース。

 

 

 

 風雲再起だった。

 

 

 

 その手綱を握りしめ、こちらに駆けるガンダムにもウォンとウルベは見覚えがある。

 

 

 

「あれはーー! 暴走するアレンビーを止めた!!」

 

 

 

「ミカムラ博士のライジングガンダム、か」

 

 

 

 シャイニングガンダムの予備パーツで作られたプロトタイプを強化して作られた機体。

 

 

 

 本来ならば自分が乗るはずだった機体を前にウルベが目を見開く。

 

 

 

 風雲再起を駆るライジングガンダムは、大気圏突入中のシャトルの横に着くと並走を始め悠然と左手をこちらへとむける。

 

 

 

「ま、まさかーー!」

 

 

 

 気流が真っ赤に燃えて動かすのさえままならないはずなのに、ライジングガンダムは悠然と左手首に装着している青色の弓を展開。

 

 

 

 右手でゆっくりとビームの弦を引いて発射口にエネルギーを集中していく。

 

 

 

「気による遠隔リモートコントロールか! だが、一体だれが!!」

 

 

 

 ウルベがそういうと同時にウォンがマーキロット達に叫ぶ。

 

 

 

「何をしている!? 迎撃しなさい!!!」

 

 

 

「無茶言わんでください、大気圏突入中に装備もなしじゃ。闘おうにも戦えませんぜ」

 

 

 

 マーキロットの言葉にウォンが目を見開く。

 

 

 

「こ、こんなところでーー! 私の野望が!!」

 

 

 

「い、いやだ! 世界を手に入れられるというのに、こんなところで!!」

 

 

 

 ジブリールも首を横に振りながら、見据える。

 

 

 

 無情にもライジングガンダムはこちらに向かって矢を放った。

 

 

 

「必殺必中ぅううう!! ラァアアイジングゥウアロォオオオオオ!!!」

 

 

 

 ドモンの声が響き渡り、放たれた緑色の光の矢は寸分たがわず大気圏突入中のシャトルに突き刺さった。

 

 

 

「おのれーー!! おのれ、ドモン・カッシュぅううううううう!!!!」

 

 

 

 ウルベの絶叫が響く中、彼らの乗るシャトルは大気圏突入の熱気流に飲み込まれながら爆発して消えて行った。

 

 

 

 その爆煙を見送ると、ライジングガンダムは展開していた弓を左腕に直し、手綱を掴んで風雲再起の馬首を地球に向けると地上へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 




 皆さん、お待ちかね~!
 
 窮地を脱し、ついにウルベ達と決着を付けたドモン達。

 一方、宇宙ではラクス達と離れ、デビルガンダムことDとマスターアジア、ジェントル・チャップマンの三名が。

 月面施設にて囚われの身であるミーア・キャンベルを救うため、コペルニクスに殴り込みを仕掛けるのです!

 次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第81話に!!

 レディー、ゴー!!
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