新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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 みなさん、前回の話でデビルガンダムことDは辛うじて自我を保っていました。

 しかし、彼の肉体の復活にはまだまだ、問題が山積みです。

 ラクスはどのような案を出し、この状況を打破するというのでしょうか!?

 それでは、ガンダムファイト!!

 レディィイイイ、ゴォォォオオオッ!!


第86話 甦れ魔王 武神、宇宙へ

 

 プラント最高評議会議長ーーギルバート・デュランダル。

 

 

 

 宇宙に逃げ出したウルベ達に対して一足早く彼もプラントに戻っていた。

 

 

 

 そんな彼のもとに一つの報告が届く。

 

 

 

「……そうか。サラが逝ったか。しかし、彼女はきちんと己の役割を果たしてくれたようだな」

 

 

 

『ええ。あの悪魔の死はこちらでも確認しております。あの状態から復活できたとしても、悪魔の肉体のコピーはこちらが把握している。メンデルに彼らがたどり着くことはありませんわ』

 

 

 

 モニターの向こうではヴォルテックスのブリッジからラクスと同じ顔をした少女が微笑みを浮かべている。

 

 

 

 穏やかな見た目の笑みと違い、ラクスにあるまじき邪悪な内容で。

 

 

 

「油断は禁物だよ、ファム。ウルベ達のように復活を果たす可能性もある。もっとも、Dは他者の肉体に己の因子を植え付けるなどという真似はしていなかったがね」

 

 

 

『…復活の鍵となる可能性があるとすれば、オーブにいるキョウジ・カッシュやシュバルツ・ブルーダーですわね。けれど、彼らも自分達の世界でデビルガンダムに被害を受けた者。今更悪魔の復活に手を貸すとは思えません。たとえラクス・クラインが頼み込んだとしても、ですわ』

 

 

 

「ふふ。後はキングオブハートか。彼に関してはこちらからは手出ししないのが賢明だな」

 

 

 

『…デビルガンダムを三度に渡り倒しただけのことはありますわね。今のところ、彼がいるオーブには隙が見当たらない。でも、わたくしの勘が告げているのですが、彼はそろそろこの世界から消えると思いますわ』

 

 

 

「というと?」

 

 

 

『彼には愛する妻や仲間たちが元の世界に居ます。彼女たちに今の事情を説明するために、一度帰らなければいけないはずです。彼が元の世界に帰還している間がどれくらいになるかはわかりませんが、一週間はエネルギーを溜めなければこちらに戻っては来れないはず』

 

 

 

 亜空間転移理論ーー。

 

 

 

 カッシュ博士が作り出した異世界を渡り歩く術。

 

 

 

 ドモン・カッシュに弱点があるとすれば、彼には家庭があり帰る場所があることだ。

 

 

 

 兄たちを連れて帰ろうにも長期戦になることが必死なこの状況では一度、元の世界に戻って説明しなければいけないはず。

 

 

 

 ファムはそう読んでいた。

 

 

 

 そして、それはそう間違ってもいない。

 

 

 

 ドモンとて父や妻に二人の兄の現状を伝えてやりたいのは事実なのだから。

 

 

 

「つまり、そう遠くない内にキングオブハートがこの世界からいなくなる、と?」

 

 

 

『ええ。悪魔が死に、神が去れば。後はわたくし達が理想の世界を邪魔する害虫を駆除すればよいだけですわ』

 

 

 

「それでもシュバルツやマスターアジア。ウルベ達がいるわけだが…。正直、キングオブハートを相手にするよりはマシか」

 

 

 

 顎に手をやりながらデュランダルは思う。

 

 

 

 実際、レクイエムを正面から打ち破った神の名を冠するガンダムの力は圧倒的だ。

 

 

 

 加えてファイターであるドモンには隙がない。

 

 

 

 彼を相手にするくらいならば、元の世界に帰ってもらってから動いた方がマシだろう。

 

 

 

「分かった。次元移動を彼が終えるまではこちらも動かないと約束しよう」

 

 

 

『ありがとうございます、議長』

 

 

 

 静かに答えたギルバートにファムは微笑みを浮かべて答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラクス・クライン専用の高速巡洋艦ーーエターナル。

 

 

 

 その周囲の宇宙空間を無数のMSが取り囲んで、無数のビーム砲を放ってくる。

 

 

 

 一度、デビルガンダムのコクピットに集結した一同はダコスタの居るエターナルのブリッジにミーアを残して乗り込んだ。

 

 

 

 残されたミーアはデビルガンダムを操作しながら、周囲に浮かぶDGザクを相手にしている。

 

 

 

 無数のザクのビーム砲を網の目を縫うようにジグザグに移動して避けるデビルガンダム。

 

 

 

 ミーアの目はデビルガンダムの能力とシンクロしているため、はっきりと攻撃が見えていた。

 

 

 

 自分だけは躱せるがこのままではいずれ、戦艦にあたってしまう。

 

 

 

 どうすれば良いかと疑問を浮かべれば、頭の中にDからイメージが送られる。

 

 

 

 その技の大本は、ネオドイツの忍者シュバルツ・ブルーダーの技。

 

 

 

 これをゴッドガンダムのファイターが真似て編み出した全てを切り払う竜巻の斬撃。

 

 

 

「こんなの! 要はダンスのターンと同じでしょ!!」

 

 

 

 20メートルを越える人型のMFにしては巨大な機体は、両手にビームソードを持って回転し、ビーム砲を全て切り払うと自分達を取り囲んだザクの姿をした異形を葬る。

 

 

 

ーー スラッシュタイフーンを使いこなす、だと? ーー

 

 

 

 ポツリと零したのはイメージをミーアに送った本来の機体の持ち主であり、自我であるDであった。

 

 

 

『ミーア、敵は周囲には確認できません。帰還してください』

 

 

 

 周囲を確認し、残骸すら残らぬ一撃で全てを切り払ったのを確認したミーアの下にラクスから通信が入った。

 

 

 

「了解しました、ラクス様!!」

 

 

 

 圧倒的な戦闘力を見せたミーアは屈託のない笑顔で穏やかな笑みを浮かべて通信を送って来た『姉』に返した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーエターナルブリッジにて。

 

 

 

 一人の赤みがかった髪に褐色の肌の青年軍人が頭を抱えて席に着いていた。

 

 

 

「もう、俺は何が何やらーー」

 

 

 

「ダコスタさん。アンタの気持ち、痛いほど分かるせ」

 

 

 

 そんな彼のボヤキにディアッカが反応して肩を叩く。 

 

 

 

「声が似てるから兄弟に見えるわね〜、アンタとダコスタさんて」

 

 

 

 その光景をしみじみと観察しながらミリアリアがつぶやいていた。

 

 

 

 彼女の隣にはイザークが落ち込んだ表情でつぶやいている。

 

 

 

「民間人に守られるとはーー」

 

 

 

「ジュール隊長、あの人達はシュバルツさんと同じ世界の人みたいですから。常識なんか通じないんです。あまり気にしないほうがいいですよ?」

 

 

 

「あ、ああ。すまないな、メイリン・ホーク。気を使わせた」

 

 

 

 ミーアに守られたことにショックを受けているイザークを慰めているのは微妙に未来世紀を誤解している赤髪のツインテールの少女、メイリンだ。

 

 

 

 エターナルの後方にはデビルガンダム四天王が駆るヴォルテールが続いている。

 

 

 

「しかし、君は良かったのか? レイ・ザ・バレルは向こうの船だが」

 

 

 

「目的地は同じですから。それに王様ーーDさん、でしたか? あの球になってしまった人。彼がミーアさんとこっちの船に居るなら、問題ありません。レイは彼に仕えてるみたいですから」

 

 

 

「意外と計算高いなーー」

 

 

 

 やや引き気味になるイザークである。

 

 

 

 一方、艦長のラクスはミーアの駆るデビルガンダムがエターナルに収容されたのを確認すると、オーブのカガリに連絡を入れた。

 

 

 

『ラクス! そっちは無事なのか!?』

 

 

 

 モニターの向こうで金色の髪の乙女がオーブ軍の軍服を着た姿で現れた。

 

 

 

「ええ。此方も何とか妹を迎えられましたわ。それより、カガリさん。キョウジさんやドモンさん達は?」

 

 

 

『ああ。あいつらなら、キラやアスラン達と修行してるぞ?』

 

 

 

 性急だな、と感じながらもカガリは何も言わずに返す。

 

 

 

『シン達ーーミネルバ隊が今日、宇宙に向けて出発する予定なんだ。その仕上げだってさ』

 

 

 

 その報告を聞いているとミーアがブリッジに入ってきた。

 

 

 

 彼女にラクスは労いを込めて微笑むと、ミーアも微笑みを返してくる。

 

 

 

『ーーって、ラクスが2人ィ!?』

 

 

 

 モニター越しに展開されるその光景に驚愕で目を見開くカガリにラクスがイタズラが成功したかのような表情でミーアを見ながら言う。

 

 

 

「紹介しますわ、カガリさん。妹のミーア・クラインです」

 

 

 

『ーーあ、ああ。彼女がーー。って妹? おい、ラクス。それってーー!』

 

 

 

「希望を込めて、ですわ」

 

 

 

 ラクスは茶目っ気たっぷりにミーアに微笑む。これにカガリはポカンとし、ミーアは頬を赤く染めた。

 

 

 

「答え、いずれ聞かせてくださいね? ミーア」

 

 

 

「あ、でも。私なんかでホントにーー?」

 

 

 

「貴女だから、ですわ」

 

 

 

 それ以上は言わせないとばかりに強い口調で止められ、ミーアは意を決したように頬を赤らめたまま応える。

 

 

 

「私は、ラクス様。ううん、ラクス姉様の妹になりたい。でも私、誰かにミーアが必要とされるなんて思わなかったから。だからーー!」

 

 

 

 次の瞬間には、ミーアはラクスに抱き締められていた。

 

 

 

「ああ、ミーア! よかった! 嬉しいです!! わたくしったら断られたら、どうしようかとーー」

 

 

 

「ら、ラクス様ーー!」

 

 

 

 感極まったラクスが、震えながらミーアを抱き締めている。その強さに息苦しさと温かさ、安らぎをミーアに与えていた。

 

 

 

ーー 何でも良いが、そろそろ我を解放してはもらえんのか? ーー

 

 

 

 そんな二人の間に割り込むように、ミーアの首から胸元に吊らされていたデビルガンダムのガン玉ことDが自己主張するように輝きながら告げた。

 

 

 

「Dったら、まだ諦めてないの?」

 

 

 

 ミーアが呆れたような声で言うと、ラクスもミーアから少し離れ、自分達の胸元のDを見る。

 

 

 

「Dさん。実際に復活するあてはあるのですか?」

 

 

 

 ラクスの真剣な表情にDも態度を改める。

 

 

 

ーー 我を生み出したのは、廃棄コロニーのメンデルとか言うところだ。遺伝子や人体実験のメッカだったらしいな ーー

 

 

 

「メンデルは廃棄されて20年近く経つはずですが、やはりあそこでDG細胞の実験をーー!」

 

 

 

ーー 我の細胞を使って破棄されたデータや施設を復元した。今のメンデルには我のサブとなる肉体を器としたDG兵士が量産されているはずだ。ラクスも知っていよう? ーー

 

 

 

「ええ。ドモンさんとゴッドガンダムさんがいなければ、わたくしやダコスタさんはーー!」

 

 

 

 言いながら、ラクスは考える。

 

 

 

 確かにメンデルにはDと同じ姿の魂のない兵士がいる。

 

 

 

 彼らの肉体の一つをDが手に入れられば良いのだろうが。

 

 

 

「しかし、肝心のメンデルの場所が分からんぞ? 俺たちも探してはいるが、まるで移動要塞のようにメンデルは宙域を自由に行き来している」

 

 

 

「加えて外部にはミラージュコロイドが張られているから、どうにもできないしな」

 

 

 

「現状でメンデルに行くのは、オススメできないわね」

 

 

 

 イザーク、ディアッカ、ミリアリアの言葉にDは思案げな表情をすると告げる。

 

 

 

ーー 我らならば、問題ない。メンデルを捕捉し内部を取り込み我の城にするつもりでもあったしな。だが ーー

 

 

 

「Dさんが死んでいると議長達に思わせた方がメリットはありますわね。議長の目をロゴスに固定できるようになりますわ」

 

 

 

ーー アークエンジェルやオーブも、デュランダルは気にしている。貴様のこともな ーー

 

 

 

「だからこそ、貴方の復活を気取られることなく行えるのです。わたくしの案ですがーー」

 

 

 

 ラクスの語る言葉は、その場に居合わせた者達の度肝を抜かせた。

 

 

 

「ドモンさんにDさんーーデビルガンダムさんに乗って貰えば良いのではありませんか? DG細胞にデータを残すためにも」

 

 

 

ーー ドモンが聞けばな。それにドモンの肉体データをコピーできるなら、万全を期したい。やはりメンデルの施設を使わねばならん ーー

 

 

 

「キョウジさんとシュバルツさんのサポートがあってもできませんか?」

 

 

 

ーー 奴らは我を恨んでいるはずだ。それだけの真似を我はカッシュ家にしてきたのだからな ーー

 

 

 

「それを判断するのは、聞いてからでもよろしいのではありませんか?」

 

 

 

 ラクスがそう告げ、モニターに視線を移した。

 

 

 

 そこにいたのは、カガリによって修行を中断したカッシュ家の三人だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ラクス、今の話は?」

 

 

 

 平淡な表情と声でキョウジはそう問いかけてきた。

 

 

 

 余談だが、シュバルツとキョウジが同じ顔をしていることにイザーク達は驚愕していたが話に割り込むのもどうかと考え、うちうちだけで話をしていた。

 

 

 

「キョウジさん、シュバルツさん、ドモンさん。聞いてのとおりです。お力をお借りできませんか?」

 

 

 

 ラクスの言葉にドモンは静かに頷いた。

 

 

 

「ミーアを泣かせた責任は取らせなきゃな?」

 

 

 

ーー 正気か、ドモン? 我は貴様の怨敵ーーデビルガンダムだぞ ーー

 

 

 

「なんだ? ガラにもなく、そんなことを気にしているのか?」

 

 

 

 あまりにもあっけらかんとしたドモンの物言いにDが反発した。

 

 

 

ーー ふざけるな、ドモン! 我は、我は貴様を苦しめ、母と兄を奪った存在だぞ!! 貴様の師を狂わせたのはこの我だ!! 何故憎まない!? ーー

 

 

 

 Dの言葉に、シュバルツとキョウジが互いに顔を見合わせる。先に苦笑をこぼしたのはどちらだろうか。

 

 

 

「Dよ、それは違う」

 

 

 

ーー 何だと? ーー

 

 

 

「確かにお前の力を狙って多くの悪党が動いた。そのせいで母は死に、父は冷凍刑、二人の兄とかけ替えの無い師をこの手で殺めなければならなくなった」

 

 

 

 ドモンの表情は静かだ。

 

 

 

 二人の兄もまた、同じように静かな表情でDを見ている。

 

 

 

「だが、それはお前の責任か? 落下時の衝撃でプログラムが狂ったのが、お前の責任か? ただのコンピュータだったお前の?」

 

 

 

 Dは静かに耳を傾ける。

 

 

 

「それは違う。そんなことを言い出したら元は俺の父と兄がお前を開発したのが発端だ。いや、俺がもっと早く家に帰っていたら、こうはならなかったかもしれない。だが、そんなことに囚われてどうする?」

 

 

 

 ドモンは続ける。熱い炎を瞳の中に燃やしながら。

 

 

 

「お前一人が責任を取らなきゃいけない訳がない。そして、その考えは人を甘く見ていると言える。何もかも自分の力のせいで、なんてのはな。単なる自己満足の世界だ。我が師、マスターアジアは己の意思で人類抹殺を決めた。ウルベやウォンは己の意思で人類の支配を望んだんだ。誰に強制されたのでもない、己の意思だ。それは力でどうにかできるもんじゃない」

 

 

 

 口下手なドモンが長く語るなど珍しい。

 

 

 

 だが、その言葉にミーアが目を見開いた。

 

 

 

「シュバルツさんの弟さん、かーー」

 

 

 

 メイリンが隣で静かにつぶやく。

 

 

 

ーー だが、我はこの世界に来ても、デュランダルをサトー達を巻き込んだ。キラ・ヤマトやキョウジの所在を知る為に暗殺部隊も取り込んだ ーー

 

 

 

「それを罪だと理解できるのなら、今のお前は同じ過ちをしないだろう。誰よりもお前はお前を責めているのだからな」

 

 

 

ーー 我のせいで、我を信じたサトーは死んだ。なあ、ドモン。我は約束を守れなかったのだ。人間に絶望した奴らに見せてやりたかった。貴様らの輝きを ーー

 

 

 

 この言葉にヴォルテールにいるレイが目を見開いた。

 

 

 

ーー 人は醜いのか? それとも ーー

 

 

 

「もういい。Dよ、そいつは後悔していたか? お前の目の前で死んだ男は、泣きながら恨み言をお前に吐いたか?違うのだろ?」

 

 

 

ーー 何故、そう、思う ーー

 

 

 

 ひどく幼い声だった。

 

 

 

 魔王であり、人智を越えた力を誇るデビルガンダムとは思えないほどに。

 

 

 

「気付いていないのは、お前だけだ。恨み言を言われた奴が、そんな涙を流せるものかよ」

 

 

 

 皮肉気な、それでいて温かい笑みを浮かべてドモンは言った。

 

 

 

ーー 涙? 泣いているだと? 我が? ーー

 

 

 

 呆然とつぶやくD。

 

 

 

 たまらず、ミーアはDを抱き締めていた。

 

 

 

「D、一人で背負っちゃダメ! あなた、私が必要だって言ってくれたじゃない!! 私だって! 私、Dが必要なんだから!! お願いだから、やめて。このままじゃ、ボロボロになっちゃうよ」

 

 

 

 何もいえない。

 

 

 

 デビルガンダムである彼にとって、初めての感情だ。

 

 

 

 非力な少女の胸元に抱かれ、温かさと安らぎをDは受けていた。

 

 

 

「D、そしてレイよ」

 

 

 

 その時、ドモンの右手に立っていたシュバルツから声がかかった。

 

 

 

「お前達には理解できているのだろう? 人は確かに醜く妬み、憎む心がある。しかし、その心が何かを守ろうとした時、素晴らしい輝きを見せるのだ」

 

 

 

 シュバルツの言葉にレイが胸元を抑えながら泣きそうな顔になって彼を見る。

 

 

 

 すると、シュバルツは温かい笑みで頷いてくれた。

 

 

 

「人間ってさ、難しいよな? 単純に見えて複雑だ。だけど、だから人間なんだ。デビルガンダムーーいや、D。お前の心は紛れもなく人間だよ」

 

 

 

 そのシュバルツの言葉を継いで反対側に立っていたキョウジからもDに声がかかった。

 

 

 

ーー 我が、人間だと? ーー

 

 

 

 呆然となるDにドモンが語りかける。

 

 

 

「ああ。お前は紛れもなく、俺たちと同じ命ーー魂を持った人間だ!!」

 

 

 

 力強い宣言にDは静かにドモンを見据える。

 

 

 

「待っていろ、D。今、俺たちがお前の所に行ってやる。今度こそ、人になれ。その為ならば、この拳、いくらでも貸してやるさ。我が最大の宿敵にしてーー俺達の弟よ!」

 

 

 

「そういう訳だ。ドモンも一度向こうの世界に帰らねばならんから、チンタラしている暇はない。此方から出向かせてもらうが構わないか?」

 

 

 

「色々、不服なヤツもいるだろうがな?」

 

 

 

 ドモン、シュバルツ、キョウジの言葉にラクスが頷きながらヴォルテールを見据える。

 

 

 

「わっはははは! ドモンよ、よくぞそこまで変わったものよ!! 貴様とのファイト楽しみにしておるぞ!!」

 

 

 

 これにいち早く反応したのは、拳法の達人マスターアジアだった。

 

 

 

「師匠ーー。いや、人類の敵。マスターアジア東方不敗。貴方とも拳を交えなければいけませんね」

 

 

 

 不敵なドモンの返しに思わず笑みを強めるマスター。

 

 

 

「言いおるわ! ならば今一度、勝負と行こうか!?」

 

 

 

「ええ。本物のキングオブハートがお相手しますよ」

 

 

 

「こやつめ、生意気な!!」

 

 

 

「「わっはははははははは!!!」」

 

 

 

 モニター越しでなければ、肩を組んで笑いあっているだろう仲の良さを見せつけながら、かつての師弟は言葉を交わす。

 

 

 

「ドモン・カッシューー!!」

 

 

 

「ミケロ・チャリオットか…」

 

 

 

 マスターアジアとの語らいを終えた所で凄まじい殺気を放つトサカ髪の男にドモンは目を移した。

 

 

 

「さっさと上がってこいよ。ぶっ殺してやる!!」

 

 

 

「面白い。どれほど貴様が腕を上げたか、見せてもらうぞ!!」

 

 

 

「ーー待ってるぜ、ドモン!!!」

 

 

 

 ミケロの言葉にドモンも力強い笑みと共に頷いた。

 

 

 

 

 

オーブ作戦本部。

 

 

 

 三人の兄弟は同時に懐からガン玉を取り出す。

 

 

 

 シュバルツは空のように青い玉。

 

 

 

 キョウジは海のように碧い玉。

 

 

 

 そしてドモンは太陽の如き真紅の玉。

 

 

 

「カガリ、世話になったな」

 

 

 

「さらばだ! 達者でな、カガリ! キラ達には先に行くと伝えておいてくれ」

 

 

 

「オーブはもう大丈夫だ。後は俺とシュバルツ達が宇宙でケリをつけるだけ、だな!!」

 

 

 

 ドモン、シュバルツ、キョウジはそれぞれにカガリに向かって告げると天高く玉を掲げて告げた。

 

 

 

「「「ガンダァァアアアムッ!!!」」」

 

 

 

 三人の兄弟の宣言と同時に、青、碧、赤の光がオーブ作戦本部内に満ち溢れた。

 

 

 

 光が晴れた時には、三人の姿はない。

 

 

 

 代わりに外を写すモニターに三体のガンダムと呼ばれる機体が宙に浮いていた。

 

 

 

 6枚のフィンを展開し、トリコロールのガンダムーーゴッドガンダムがカガリに向かって親指を立て、一気に3機は飛翔していく。

 

 

 

「負けるなよ、お前らぁあああああっ!!!」

 

 

 

 カガリの声が青いオーブの海と空に響いた。

 

 

 

 その3機を追って一頭の白馬を模した機体が蹄を鳴らして駆けて行った。

 

 

 

 

 

 




 みなさん、お待ちかね〜!

 ミネルバやアークエンジェルより一足早く、宇宙に飛び立つゴッドガンダム達。

 彼らの前に立つのはデビルガンダム四天王のマスターガンダム達です。

 果たして彼らは、このコズミックイラの世界を舞台にどのようなファイトを再び繰り広げるのか?

 次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第87話に!

 レディー、ゴー!!
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