新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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 皆さん。

 ドモン・カッシュはDの復活に協力する為、デビルガンダムに乗り込むことになりました。

 かつての怨敵とも言えるガンダムの変化に感慨を覚えます。

 対して、世界はついにデュランダル軍とロゴス軍との最終戦争が開かれようとしていたのです!!

 それでは、ガンダムファイトォオオッ!!

 レディィイイイ、ゴォォォオオオッ!!

第88話



第88話 最終決戦への序曲

 

 ドモン・カッシュ、シュバルツ・ブルーダー、キョウジ・カッシュの三人はエターナルに乗艦し、ラクス・クラインの手引きでクライン派が潜伏している廃棄コロニーに来ていた。

 

 

 

 その後ろにはヴォルテールが着いている。

 

 

 

「……ここがクライン派のアジトか。これほどの規模のモノをプラントの近くに所持していたとは」

 

 

 

 レイが静かに目を細めながら呟く。

 

 

 

「ウム…。デュランダルが危険視するだけの影響力があるようだな、ラクス・クラインという少女には」

 

 

 

 マスターアジアもこれに頷いた。

 

 

 

 チャップマンとミケロも施設を見渡す。

 

 

 

「此処に来るのは二度目だな」

 

 

 

 エターナルから降りたドモンが周囲を見渡しながらの言葉にキョウジが感心したように施設を見る。

 

 

 

「これは、凄いな。こんな施設をラクスが持ってたなんて」

 

 

 

「有無。これほどまでとは思わなかった」

 

 

 

 シュバルツも頷く。

 

 

 

「父の影響です。わたくしの力ではありません」

 

 

 

「謙遜するな、父上殿が亡くなられて2年だと聞く。君自身の力だ」

 

 

 

「ありがとうございます、シュバルツさん」

 

 

 

 ラクスの礼に会釈してから、シュバルツはヴォルテールから出てきた四天王を見据えた。

 

 

 

「では、ドモンがデビルガンダムに乗って調整している間に決めるとしようか?」

 

 

 

 シュバルツの言葉に白い馬ーー風雲再起と再会をはたしていたマスターアジアも頷く。

 

 

 

「ふふふ、良かろう! ドモンとデビルガンダムの組手相手をな!!」

 

 

 

「当然だな。ミケロは満足したかもしれんが、俺もマスターアジアも、全力の拳を交えてはいない」

 

 

 

 チャップマンも頷きながら、刃物のような冷酷な笑みを浮かべている。

 

 

 

 キョウジが盛り上がるファイター達3人を見て、呆れたような顔になる。

 

 

 

 正確には、自分の分身に向かってだ。

 

 

 

「シュバルツ? お前まで組手面子に入る必要あるか?」

 

 

 

 コレにシュバルツは腕を組んで応える。

 

 

 

「何を言っている? ドモンの身の安全とDの復活の為だ。できる限り力を貸すのは当たり前だろう」

 

 

 

「いやいや、なら俺と一緒にデビルガンダムの調整に協力してくれよ」

 

 

 

 兄達が揉めているのを尻目に、ドモンはミーアの方に向かった。

 

 

 

「あ、ドモンさん。Dのこと、よろしくお願いします」.

 

 

 

 ミーアはドモンに気付き、一礼する。

 

 

 

「ああ、任せておけ。それにしても、驚いた」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 ドモンは首を傾げるミーアの胸元に吊らされているガン玉となったDを見る。

 

 

 

「お前が、身を挺してミーアを庇うなんてな」

 

 

 

ーー なんだ? ーー

 

 

 

「……嬉しいぜ、Dよ」

 

 

 

ーー ふん ーー

 

 

 

 ドモンの柔らかい笑顔に、Dも同じくらい優しい笑顔を見せる。

 

 

 

 思わずミーアが見惚れる程に、美しい2人の笑顔だった。

 

 

 

 ミーアからガン玉と化したDを受け取り、ドモンは静かに呟く。

 

 

 

「思えば、父さんが作成したアルティメットガンダムに乗るのは初めてだな」

 

 

 

ーー フン。まさか、このような形で貴様に我が機体(からだ)を使われようとはな ーー

 

 

 

「違いない。人生何が起こるか、分からんものだ」

 

 

 

 言いながらモビルスーツの格納庫でドモンは、深紅の球を掲げる。

 

 

 

「ならば、行くぞ! 出ろぉおおっ、デビィイルッガンダァァアアアムッ!!」

 

 

 

 瞬間、血のように紅い光が場に満ちて、20メートルを越える大型のMFが姿を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラクス達は管制室に着き、格納庫の様子をモニターで確認していた。

 

 

 

 今いるメンバーはラクスにミーア、メイリン。

 

 

 

 イザーク、ディアッカ、ミリアリア、ダコスタ。

 

 

 

 そして、レイとミケロだ。

 

 

 

 モニターには、ゴッドガンダムの顔と胴体とマスターガンダムの両腕に翼を持ち合わせた機体が映っている。

 

 

 

 異形の姿から進化し、より格闘に向いた機体となったデビルガンダムである。

 

 

 

 そのコクピットに黒地に胸元に紅い日の丸が入ったファイティングスーツを着たドモンがいる。

 

 

 

 ドモンは静かに己の機体を見下ろす。

 

 

 

「ゴッドガンダムやシャイニングガンダムと違って巨体ゆえに小回りが利きづらい、か。だがーー!」

 

 

 

 言いながら、性能を確かめる為にその場で拳を放つ。

 

 

 

「このリーチはゴッドガンダムを上回るな。それに機体の身のこなしにパワー、全てゴッドガンダムや進化したシャイニングガンダムに勝るとも劣らない」

 

 

 

 確認しながら拳と蹴りを繰り出し、稼働域や機体の反応速度、スピードを確認する。

 

 

 

「いい機体だ。流石に、お前が選んだだけはある」

 

 

 

ーー ふん。我の機体(からだ)をもう使いこなすか。さすがだな、ドモン ーー

 

 

 

「もともと、俺に合わせていたようだからな。ほとんどゴッドガンダムやシャイニングガンダムと変わらない感覚で使えそうだぜ!!」

 

 

 

 気に入ったと言わんばかりに、演舞を取る。

 

 

 

 袖口からビームクロスを抜き、薙刀にして振り回す。

 

 

 

「デビルスラッシュ・タイフーン!!」

 

 

 

 その場で回転しながら、斬撃を放つ。

 

 

 

 そしてクロスを手の中で消滅させ、拳を握って気を高める。

 

 

 

 螺旋状に緑色の光が拳に纏わりつき、ドモンは目を見開く。

 

 

 

 瞬間、デビルガンダムの胸部カバーが展開され、エネルギーマルチプライヤーが深紅に輝くと、緑色の光が蒼紫の炎へと変化した。

 

 

 

 デビルガンダムのハイパーモードだ。

 

 

 

「次元覇王流、聖拳突きぃいいっ!!」

 

 

 

 ドモンの咆哮と共に、デビルガンダムは蒼紫の炎を纏う拳を繰り出した。

 

 

 

 そして、放った拳をゆっくりと引き戻し、腰に置く。

 

 

 

 左手は顔の横で指を曲げて手のひらを顔側にし、攻撃を受け流し、右手は腰に置いて拳を握り攻撃を繰り出せるようにするドモンの構えだ。

 

 

 

「はぁああああっ!!」

 

 

 

 裂帛の気合いがドモンから放たれる。

 

 

 

 人機一体ーー明鏡止水の境地。

 

 

 

ーー これが、我が宿敵ゴッドガンダムのファイター。ドモン・カッシュの気か!? 何という力だ!! 我が全身に力が漲ってくる!! ーー

 

 

 

 格納庫に巨大な黄金の光の塊が生まれる。

 

 

 

 まるで恒星のような存在だった。

 

 

 

 黄金の機体と化した己を見下ろし、ドモンは笑う。

 

 

 

「此処まで違和感なく乗れるとは、思わなかったぞ」

 

 

 

 そう言いながら、ドモンは右拳に気を集約させていく。

 

 

 

 全身を黄金に染めたデビルガンダムは、右拳に気を集約させ、元の紅を基調としたトリコロールに戻る。

 

 

 

 右拳は白金色の光の玉となり、玉より放たれる光は7色。

 

 

 

 森羅万象、全ての根源たる気にして。

 

 

 

 究極の一。

 

 

 

 そう、明鏡止水の境地の先。

 

 

 

 極み、である。

 

 

 

「…ふん。機体の特性は把握した、兄さん! いつでも準備はいいよ!」

 

 

 

 ドモンは言いながら、白金色の光の玉を纏う拳をゆっくり解きほぐす。

 

 

 

 すると玉は、粒子となって消えていった。

 

 

 

 が、ドモンが見た先に居た兄達と師は、揉めていた。

 

 

 

「? どうしたんだ、兄さんと師匠達は?」

 

 

 

ーー 揉め事か? ーー

 

 

 

 そんなことを呟く2人はしばらく、揉め事が収まるまで待機するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 譲らない3人のガンダムファイター。

 

 

 

 キョウジが眉間を押さえながら呟く。

 

 

 

「…何なんだ、この聞き分けのない連中は」

 

 

 

 呆れ半分、諦め半分と言った声にシュバルツがキョウジを向く。

 

 

 

「だが、キョウジ。DG細胞の事を知り、ドモンとDの兄である我々が調整相手を務めるのが当然ではないか?」

 

 

 

「……べつに組み手をするだけが、調整じゃないだろ? むしろ、データを組み合わせてな?」

 

 

 

「そのデータを実戦の中で組み立てていけば誤差も少ない。私とお前ならば、それができる」

 

 

 

 シュバルツの言葉ももっともだと頷く。

 

 

 

 しかし。

 

 

 

 納得いかないんだろうなぁ、どうせ。

 

 

 

 最悪、この三人一人一人にドモンと戦ってもらうしかないかもしれない。

 

 

 

 そう考えるキョウジである。

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

 マスターアジアが声を張り上げる。

 

 

 

「ならば! ワシとチャップマンがコンビを組み、貴様らに挑もうではないか!」

 

 

 

「……ほう? それは面白そうだ」

 

 

 

 チャップマンも乗り気である。

 

 

 

 これにシュバルツも楽し気な表情で笑う。

 

 

 

「確かに。その手があったか」

 

 

 

「いやいやいや! 無い無い!! なんでドモン達の調整相手を決めるのに拳を交えなきゃならないんだ!?」

 

 

 

「決まっている。調整相手を決めるためだ」

 

 

 

 シュバルツの何を当たり前の事を、と言わんばかりの態度と言葉にキョウジは目を点にする。

 

 

 

「何も決まってねえよ…」

 

 

 

 ぼそりとこぼすキョウジだが、完全にシュバルツは無視してマスターアジアを見据える。

 

 

 

「そういうわけだ。私たちはいつでもいいぞ!!」

 

 

 

「……もう、勝手にしろ」

 

 

 

 言いながら、キョウジは考えるのを放棄した。

 

 

 

 

 

 

 

 これをモニターで見ながらミケロがレイに告げる。

 

 

 

「どうやら、しばらく始まりそうにねえな。今のうちに世界情勢でも見てようぜ」

 

 

 

「あ、ああ」

 

 

 

「? どうしたよ?」

 

 

 

 戸惑い気味のレイにミケロが問いかけると、レイはためらいがちに言った。

 

 

 

「マスターアジアはともかく。シュバルツさんが、あんなことに乗り気とは思わなかったんだ」

 

 

 

「………まあ、所詮アイツもガンダムファイターってこった」

 

 

 

 ミケロの言葉にレイは苦笑する。

 

 

 

 あれ程のファイトを目の前で見せられ、まだ闘いたいと言うファイター達に、呆れと憧れのようなものをレイも抱いた。

 

 

 

 ミケロに対しても、Dにしても。

 

 

 

 チャップマンにマスターアジア。

 

 

 

 シュバルツ・ブルーダーにドモン・カッシュ。

 

 

 

 ガンダムファイターは皆、強いのだ。

 

 

 

 力だけではない、心もだ。

 

 

 

 自分にはできない。

 

 

 

 届かないと理解しながらも、レイは静かに微笑んだ。

 

 

 

「では、我々は世界の動きを見てみましょう。ダコスタさん、現状説明をお願いします」

 

 

 

「分かりました」

 

 

 

 ラクス達が管制室のモニター前に集まり、ダコスタの説明が始まる。

 

 

 

 モニターには、月面基地の内部から巨大な光の柱が立っていた。

 

 

 

「まず、月面基地ダイダロスの様子ですが。先日、MFのものと思われるエネルギーフィールドを検知しました。おそらく、ドモンさん達の見立てどおりに、ウルベ・イシカワやウォン・ユンファが生き延びているのでしょう」

 

 

 

「…化け物め。正にゴキブリだ」

 

 

 

 思わず呟くイザークに他の面々も表情が固くなる。

 

 

 

 次にモニターは、プラントを映し出した。

 

 

 

 地球軍の船とザフトの船が編隊をくんでいる。

 

 

 

 そのドッグ内で、ラクスの顔をした少女が熱弁を振るっていた。

 

 

 

「次に、プラントの様子です。此方は議長とファム・ファタールの勢力が反ロゴス派と統合して動いてます。議長への疑問は全てが終わった後、という名目でファムが反ロゴスを掌握してしまったようです」

 

 

 

「…彼女が、新しい議長の」

 

 

 

 ミーアが複雑な表情になり、ラクスも頷く。

 

 

 

「ええ。議長が望み、作り出したわたくしと。そして、キラを苦しめる為に彼女の姿を模した存在」

 

 

 

 ミリアリア、ディアッカが苦虫を噛んだような表情になる。

 

 

 

 そして、ラクスことファムの隣にいる仮面の男に。

 

 

 

「…クルーゼ隊長」

 

 

 

「化けて出たのか、偽物か。どちらにしろ、碌なもんじゃないな」

 

 

 

 イザークとディアッカの言葉に、レイが口を開いた。

 

 

 

「…彼は、ラウだ。間違いない、俺が間違える訳はない。端的に言うなら、フィルム・ノワールを演じているラウ・ル・クルーゼだ」

 

 

 

「ファムって奴とは違うってのか?」

 

 

 

「…ああ。少なくとも、ラウの方は人形ではない」

 

 

 

 ミケロに頷きながら言うと、イザーク達が複雑な表情になる。

 

 

 

「…同じことだ。彼がオリジナルだろうと、違おうと。デュランダル議長のやり方についていくならな」

 

 

 

「ああ。そうだな…」

 

 

 

 イザークとディアッカの言葉に、レイも頷いた。

 

 

 

「覚悟はできている。俺は闘う。ラウが見ているものを知る為に」

 

 

 

「…強いな、貴様は」

 

 

 

 レイの力強い言葉にイザークが関心したような表情で言うと、レイは苦笑を返してきた。

 

 

 

「俺は、強くはない。強くないから、今まで逃げてきた。強く見えるなら、それは強がりだ」

 

 

 

「…そうか。だが、お前はそう思っているかもしれんが、俺はそうは思わない」.

 

 

 

 イザークの言葉に、レイは顔を上げる。

 

 

 

「俺は貴様は強いと思っている。仲間を想いながらも違う道を歩み、進む。あの頃の俺ならばできなかった」

 

 

 

「ジュール隊長。貴方はーー」

 

 

 

 真っ直ぐな瞳に胸を打たれる。

 

 

 

 その様子を、メイリンが優しく見守っていた。

 

 

 

「! 工作員からの通信!? これは!?」

 

 

 

「ダコスタさん、どうされましたか?」

 

 

 

「ラクス様、デュランダル議長とファムを乗せた船・レセップス級が動きました! 数時間後に、ロゴスを匿ったダイダロス基地を強襲すると、宣言しています!!」

 

 

 

「…動き出しましたか。けれど、ミネルバはまだ合流していない。ミネルバの部隊抜きでダイダロス基地を攻略するアテがあるのでしょうか?」

 

 

 

 ラクスの言葉に皆が沈黙した。

 

 

 

 仮にそうだとすれば、この戦いは更なる混乱を巻き起こしかねない。

 

 

 

「…ドモンさんが元の世界に一時的に帰還されるまで後、僅か。彼が再び、こちらに来るには10日かかるとか。その間に決着を着けたいところですわね」

 

 

 

「10日あれば、情勢はかなり動きます。ドモンさんを待つのではなく、決着を着ける方向にシフトしないといけませんね。実際、今の状況では議長とロゴスが削り合いをする中で漁夫の利を得るしかありませんが」

 

 

 

 ダコスタの言葉に頷く。

 

 

 

「確かに。敵の実力が未知数だから、挑むには互いの手札を公開させてからの方がやり易い」

 

 

 

「犠牲がどんだけになるか、考えたくねーな」

 

 

 

「うん。実際、この戦いはもう。お互いの勢力がどれだけDG細胞を会得し解析できているか、だからね」

 

 

 

 イザークとディアッカ、ミリアリアの言葉に皆が頷く。

 

 

 

「この戦いとDG細胞は既に切っても切れない。如何に解明し、進化させるかが勝敗に関わる」

 

 

 

「俺様達の未来世紀以上だな。この世界のDG細胞の使用は。まあ、ガンダムファイトと戦争じゃ、利用者が変わるのは仕方ねえが」

 

 

 

 レイとミケロの言葉の後、彼らは作戦を立てていく。

 

 

 

 真の意味で世界を滅ぼしかねない2つの勢力を打ち倒す為に。

 

 

 

 

 

 

 

 ダイダロス基地では、ワインを傾けながらウォンとジブリールが月面基地の前面に展開された部隊を見つめている。

 

 

 

「ミネルバ隊は無し、か。オーブのアークエンジェルも無い。完全にガンダムファイター抜きで攻めてくるとは。デュランダルも思い切りましたね」

 

 

 

「それだけ、自分達がDG細胞を使いこなしているという自信なのだろう。まあ、その研究も我々が取り込んで仕舞えば問題無いがな」

 

 

 

「その通りです。どれだけDG細胞について研究していようが、相手に倒されて吸収されれば終いです。我々も彼らもね」

 

 

 

「ならば取り込めば良い。至極単純な話だ」

 

 

 

 敵が目の前に迫っているのに微笑むジブリールにウォンも笑う。

 

 

 

「そうですね。ですがパーティまではまだ時間があるようです。ウルベ達に伝えてあげましょう。修行の成果を試すことができそうだ、とね」

 

 

 

 サングラスの縁を指で押し上げ、ウォンは静かに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 ウルベ・イシカワは静かにガンダムのコクピットで瞑想をしていた。

 

 

 

「…フン。わざわざドモン君達の前菜になってくれると言うのか? 有難いことだな」

 

 

 

 瞳を開け、ウルベは月面基地から目視できる位置に並ぶプラント・ギルバート軍の艦隊を見据える。

 

 

 

「ウルベ、聞こえますか?」

 

 

 

「ああ。聞こえているよ、ウォン。デュランダルが動いたようだね」

 

 

 

「ええ。取り敢えず、艦隊戦をしてみようと思っていますが。マーキロット達は出せますか? 彼らに現場指揮を任せようかと」

 

 

 

 ウォンの言葉に倒れ伏した三体のガンダムを見据える。

 

 

 

 ウルベは静かに右手を翳し、ガンダムの全身から禍々しい蒼い光を放つ。

 

 

 

 瞬間、月面の大地から緑色の触手のようなコードが無数に生え、マーキロット達に纏わりつくとガンダムのデュアルアイが赤く光り始める。

 

 

 

 触手が引くと、ゆっくりと三体のガンダムは立ち上がった。

 

 

 

「君たちの出番だ。存分に発揮して来たまえ」

 

 

 

 ウルベの言葉に身を起こした3人の魔人は己の掌を開いて閉じ、力強く拳を握ってみせるとニヤリと笑った。

 

 

 

「どうやら俺たちは、生き残れたようだな」

 

 

 

「ホホホ。地獄みたいな数日だったけれど、体から凄いパワーを感じるわぁっ!」

 

 

 

「では、彼らの部隊を頂くとしましょうか」

 

 

 

 ゼウスガンダムが翼をはためかせ、コブラガンダムが下半身の蛇を動かし。

 

 

 

 ジェスターガンダムの袖口から丸いビットが無数にでてくる。

 

 

 

「「「愚かな人間よ、滅びるがいい。我らDG細胞の支配の下、永遠に家畜となり続けよ。貴様らに思考は要らぬ。貴様らはただ、我らに従うのだ!!!」」」

 

 

 

 三体のガンダムは同じ言葉を無感情に告げる。

 

 

 

 これを聞き流しながら、ウルベはヴァニシングガンダムの右手を上げてデュランダルの艦隊を指差した。

 

 

 

「さあ、行くがいい。貴様らの手で多くの人間を支配下に置き、地球再生の為の贄とするがいい。DG細胞よ!!」

 

 

 

 ウルベの叫びに3人の魔人は歓喜の産声を上げて、飛翔した。

 

 

 

 瞬間、月面基地ダイダロスはカタパルトデッキを解放し、無数のコウモリの翼が生えたデスアーミーを射出する。

 

 

 

 ロゴスの意匠をあしらった地球軍の艦隊を出撃させる。

 

 

 

 その周囲には無数の独立型半MSーーガンダムヘッドが地面から生えてきた。

 

 

 

 デュランダル達の軍がザフトと連合の様々なMSや戦艦で組まれた部隊なら、ロゴスは戦艦こそ地球軍のそれだがMS自体が既にDG軍団のデスシリーズであった。

 

 

 

 数の上では五分と五分。

 

 

 

 睨み合う両陣営に対し、デュランダルは公開で通信を呼びかける。

 

 

 

「共に我々と戦うことを決めてくださった反ロゴスの皆様.今私の中にも皆様と同様の悲しみ、怒りが渦巻いています。

 

 何故こんなことになってしまったのか? 考えても既に意味のないことと知りながら、私の心もまた、それを探して彷徨います」

 

 

 

 艦隊を組んでいる連合とザフト軍人である彼らは静かにデュランダルを見据える。

 

 

 

 彼は悲しげにつぶやいた。

 

 

 

「私たちは、つい先年にも大きな戦争を経験し、その時にも誓ったはずでした。

 

 こんなことはもう二度と繰り返さないと。

 

 にもかかわらず、ユニウスセブンは地球に墜とされそうになり、停戦の努力も虚しくまたも戦端は開かれ。

 

 戦渦は否応なく拡大して、私たちはまたも同じ悲しみや苦しみを得ることとなってしまいました。

 

 また、オーブに堕ちる所であったロゴスの破滅の光、レクイエム。

 

 本当にこれはどういう事なのでしょうか。愚かとも言える、この悲劇の繰り返しは!?」

 

 

 

 デュランダルの演説に皆が拳を握っている。

 

 

 

「一つには先にも申し上げた通り、間違いなく目の前の敵、ロゴスの存在所以です。

 

 敵を作りあげ、恐怖を煽り戦わせて、それを食い物としてきた者たち。

 

 長い歴史の裏側に蔓延る彼ら、死の商人たちです。

 

 だが、我々はようやくそれを滅ぼすことができます。この戦いに勝利することで」

 

 

 

 言葉を切り、全体に響くように熱弁する。

 

 

 

「だからこそ!!

 

 

 

 今、あえて私は申し上げたい!!」

 

 

 

 熱弁は続く。

 

 

 

「我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと。そして、我々はそれにも打ち勝ち、争いの歴史から解放されなければならないのです。

 

 みなさんにも、すでにお判りのことでしょう。

 

 有史以来、人類の歴史から戦いの無くならぬ訳を。常に存在する最大の敵。それは、いつになっても克服できない、我ら自身の無知と欲望だということを。

 

 地を離れて宇宙を駆け、その肉体の能力も、様々な秘密までも手に入れた今でも。人は未だに人を判らず、自分を知らず、明日が見えないその不安。同等に、いやより多く、より豊かにと、飽くなき欲望に限りなく延ばされる手。それが、今の私たちです。争いの種、問題は、全てそこにある。だがそれももう、終わりにする時が来ました。終わりにできる時が。

 

 我々はもはや、その全てを、克服する方法を得たのです。全ての答えは、皆が自身の中に既に持っている。それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが、繰り返される悲劇を止める、唯一の方法です。私は、人類存亡を賭けた最後の防衛策として、デスティニー・プランの導入実行を、今ここに宣言いたします!!」

 

 

 

 デュランダルの本懐たるデスティニープランの宣言がなされた。

 

 

 

 プラントの人間や地球の人々が訝しげになる中で。

 

 

 

 ザフト軍人だけではない、地球軍の軍人達までが熱に浮かされたように叫ぶ。

 

 

 

「ロゴスを倒せ!!」

 

 

 

「愚かで浅はかな欲望の塊たる人類の象徴。ロゴスに制裁を加えよ!!!」

 

 

 

「そして、遺伝子の下に争いを辞め、人類は更なる生命体へとこの力で進化するのだぁ!!!」

 

 

 

 狂信者のように叫ぶ人々。

 

 

 

 その首元から頬にかけて銀色の鱗状のものが浮かび上がり、彼らの瞳は紅に輝いている。

 

 

 

「さあ、決めましょう? わたくしとあなた方。どちらが本当の導き手かを」

 

 

 

 旗艦ヴォルテールの艦長席からファムは怪しげに笑う。

 

 

 

「ウルベ・イシカワ、ウォン・ユンファ。人間如きが世界を支配しようなどと、愚かなことを。人々は管理されねばなりません。遺伝子の名の下にーー!!」

 

 

 

「決着だ、ロゴスの諸君。平和の為に私の贄となりたまえ」

 

 

 

 戦端がついに開かれた。

 

 

 

 

 




 みなさん、お待ちかね〜!

 ついに動き出したデュランダル軍。

 強大な力で全てを取り込もうとする彼らに対し、ロゴスの方も悪魔の軍隊を3人の魔人に指揮させて迎撃します。

 大混戦となる月面に、ついにミネルバが到着するのです。

 果たして、シン・アスカとデスティニーガンダムは、この大戦を無事に乗り切り、デュランダルやウルベとの決着をつけることができるのか!?

 次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第89話に!

 レディー、ゴー!!
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