新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
どちらの語る言葉にも、人類の未来はありません。
はたして、シン達はこの世界をDG細胞という力の塊から救うことができるのか?
それでは、ガンダムファイト!
レディィィイイ、ゴォォォオオオッ!!
第89話
何故、こんな事になってしまったのか?
「私は、子どもが欲しいの!!」
そう言って彼女は私の前から姿を消した。
失ったものは、何だろう?
愛する人を無くした虚無感。
失望感、裏切り、そしてプライド。
遠き記憶は今でも鮮明に思い出せる。
人を捨てた、今でもだ。
ヴォルテールのブリッジにて。
想いを過去に馳せるのを辞め、デュランダルは艦長席でその瞳を開けた。
目の前には、コウモリの翼が生えた一つ目の鬼を思わせるMSが無数に浮かんでいる。
「ファム。今回は君も出るのかね?」
デュランダルの言葉にブリッジから出て行こうとしているラクスの姿をした少女が振り返る。
「はい。わたくしの力で皆さんの士気が少しでも上がれば、と」
「そうか。クイーンは君の為の機体だ。好きに使いたまえ。願わくば、この争いに終止符を打ちたいものだ」
「ありがとうございます、議長。行ってまいりますわ」
優雅にデュランダルへ一礼し、ファムはラクスの顔のまま去っていった。
MSの発進シークエンスに入る。
随伴として右にハイネのデスナイト。
左にクルーゼのデスビショップが着いた。
「デスクイーン、ファム・ファタール! 出撃いたしますわ!!」
ゴッドガンダムやデビルガンダムの胴体と顔を持つ、ドラグーン装備のデスティニーガンダム。
それがデスクイーンの正体だった。
「では、死者の軍勢に安らかな眠りを捧げましょう」
言いながら、ファムは背中のロングビームライフルを取り出す。
「…わたくしが、戦端を開きます。各機、追撃を!!」
叫ぶと同時に巨大な砲撃が、ダイダロス基地周辺に浮かぶMSを落としていく。
薙ぎ払われる艦隊。
爆発する火花から、無数のデスバットが飛んで来る。
「…さあ、参りましょう? クルーゼ隊長、ヴェステンフルス隊長」
ファムからの通信にハイネが不敵に、クルーゼが嘲笑のように笑みを浮かべる。
「目にもの見せてやるぜ、化け物があ!!」
「…ふふ、力が漲っているようだな」
ハイネの首元から頬にかけて、鱗状の金属片が浮かんでいる。
血走った目や叫ぶ姿からは、それまでの理知的な姿はない。
「…普通の人間には、やはり思考を保つのは難しいようだな。我らの細胞は」
「問題ありませんわ。人は皆、思考を捨てて尽くせば良いのです。今のハイネ隊長の姿も正しき未来の人の姿。世界を乱す者は全て滅ぼすのです」
苦笑混じりに告げるフィルムことクルーゼに、ファムが微笑みながら答える。
そんな彼女にクルーゼは微かに冷たい笑みを浮かべた。
(人の世が滅びるならば、それも良い。だが、人形に過ぎない君に。はたして人を支配などできようか?)
人形の野望など、人形でなくなった彼ならば止められるだろう。
ああ、その時に自分は本当に解放されるのだ。
この憎しみの連鎖から、彼の手によって。
(甘えだな…。だが、見てみたくもあるのだよ。レイ、君ならば私の期待に応えてくれる、と)
悲しげな笑みを仮面で隠し、クルーゼは死者の軍と戦闘を始めた。
全包囲を無数のデスバットが取り囲み、ビームライフルを放ってくる。
これらをクルーゼは、ヒットする寸前に姿が見えない程の高速移動で避ける。
背中から放たれる圧倒的なドラグーンの数。
緑色のビームが雨霰と降り注ぎ、無数のデスバットを葬る。
左腕には盾とライフルとサーベルが兼用になった独特の武器で、攻撃を弾き、撃ち墜とし、切り捨てる。
「デスビショップ。ハイパーモード、始動!!」
胸部のカバーが開き、親機であるデビルガンダムから得たデータで模したエネルギー源、エネルギーマルチプライヤーを稼働させる。
機体の全性能が1.2倍になる。
機体が目に映らない程のスピードで動くビショップ。
その能力はプロヴィデンスガンダムの比ではない。
次々と落とされていく機体に、本来ならば気味悪がるであろう兵士達は興奮し、叫び出す。
「倒せ! 倒せ!! 倒せ!!!」
狂気の渦と化した味方陣営が敵陣営に、突っ込む。
死を恐れない兵士達。
避けようともしない。
ただ、敵を倒す為に兵士達は動く。
ゾンビ兵とDG兵士。
デュランダルは、人間の思考を完全に奪う真似はしない。
本来ならば時間の差はあれ、DG細胞に感染したものは脳をやられ、ゾンビ兵士と化す。
それを人間の知識や能力を残したまま、感染させてゾンビ兵士にまでは行かさず、DG兵士として利用することをデュランダルは実験によって確立させた。
ゾンビ兵士となった者は、サラの作戦で全て使用され処分すみだ。
DG細胞による能力強化をされ、脳をこちらの指示しか聞かないようにいじくる。
そうして出来上がったのが、一般兵士をコーディネーターやナチュラル問わず、エース級にしてみせたDG兵士だ。
今、デュランダル軍の全ての人は、DG兵士となって同類であるゾンビ兵士を殺戮していた。
その中でもオレンジ色のデスナイトに騎乗したハイネの実力は群を抜いている。
「邪魔なんだよ、雑魚ども!! クククははははは!」
哄笑と共に、左手の袖口から繰り出されるヒートロッドはDG細胞によって伸び、一気に数十の敵を切り捨てる。
背中のロケットを思わせるジェットバーニアが、一気に機体を加速させて更なる敵を切り捨てる。
「弱い弱い弱い!! 弱すぎるんだよぉおおっ!!」
テンペストビームソードを抜き、斬撃の衝撃波で次々と落ちるMSを見て笑うハイネ。
デュランダル軍は圧倒的な物量を誇るロゴス軍を相手に圧倒的なパイロット能力を持って、畳み込んでいた。
これをダイダロスから覗くジブリールは笑みを浮かべて見ている。
「素晴らしい! 一般兵士をあそこまで強化できるとは。いけ好かない男だと思っていたが、デュランダルめ。中々、素晴らしい真似をするじゃないか」
「確かに、あのような運用ができるとは。コーディネーターも侮れませんね。これは交渉のし甲斐がある」
厭らしい笑みを浮かべながら、ウォンが呟く。
「やはり、行くのか? お前やウルベならば心配は要らんだろうが」
ジブリールの言葉に肩を竦め、ウォンは告げた。
「ウルベは交渉などやりたがりませんし、貴方はデュランダルが信用しないでしょうからね。仕方ありません」
「ククク、確かにな。ところで、ウォン? 私も出撃して良いのかな?」
邪悪な笑みに瞳から鈍い光を放ちながら、ジブリールは問いかける。
視線の先にはDG細胞に感染させて尚、強き意思の力で抵抗する戦艦のメンバーがあった。
かつて、自分が使い捨てのように考えていたファントムペインの部隊である。
バーサーカーシステムで自我を奪われ、細胞に脳まで感染させられて尚、ゾンビ兵士に落ちない彼らに
「奴等とならば、素晴らしい戦果を上げられよう。データも充分に取れる。何より、弱いDG細胞など、我らの餌にしかなり得ない」
呟くジブリールにウォンも笑みを深める。
「交渉はあくまで手段に過ぎません。貴方の言うとおり、此処であなた方だけに負けるような弱い存在ならば交渉する価値もない。好きになさい、ジブリール」
「ククク、感謝するぞ。まあ、安心しろ。奴らが本丸まで攻めて来なければ、こちらも動くつもりはない。では、私はかつての部下達の船へ乗り込むとしよう」
作戦司令部は既にもぬけの空だ。
命ある者は全てゾンビ兵士と化した。
全体の指揮をするのは、ジブリールでありウォンだ。
ジブリールは、片割れとも言うべき男に笑みを投げかけると、ガーティ・ルーと呼ばれる黒いアークエンジェル級によく似た戦艦に乗り込んでいった。
「哀れなものだ。家族を守るが故に、DG細胞の力に屈することができず。苦しみながら命令を受け入れねばならない彼らはね」
ウォンはそう言いながら、冷酷にして残虐な笑みを浮かべている。
三人の魔人と化したガンダムファイター。
ゼウスガンダムのマーキロット、コブラガンダムのシジーマ、ジェスターガンダムのロマリオはデスバットの部隊30機ずつを引き連れて、連合・ザフト軍に突撃していた。
「フハハ、神の怒りを受けよ! 裁きの雷ぃいいっ!!」
ゼウスハンマーと呼ばれる金色の槌を取り出し、振り下ろすと同時に、雷が発生。
宇宙空間を本来ならばあり得ない雷が気によって具現し、無数のMSを引き裂いていく。
「あなた達、命を貰うわよぉ!」
さらにコブラガンダムが右手に持っていた笛を吹き矢のように構え、次々と小さなビームアローを放つ。
見た目にはバルカン砲程度の大きさしかない矢弾は、しかし軽々とMSのコクピットを射抜かれて、堕ちていく。
「冥土のみやげ、と言う言葉はまさに言い得て妙です。あなた方には、わたくしの芸を見せてあげましょう。ああ。代価はあなた方の命です」
言うや否や、バルーンビットから無数のビームが放たれ、幕を形成して何体かのMSの動きを止め、気によって具現された燃える拳で敵を全て射抜いた。
「バルーンスクリーマーにバーニング・パンチ。やはり、シャッフル同盟の技は強力ですね〜」
無抵抗のMSを平然と撃ち抜き、ロマリオは悦に浸る。
月面のクレーターを自由に滑空しながら、ウルベは空を見上げる。
ダイダロス基地の前線で争うゾンビ兵士とDG兵士。
屍人と魔物。
その二つの争いを見ながら、ウルベは嗤う。
「ククク、何が人は変わるだ?」
嘲笑う。
人は変わると赤い鉢巻きの男は言っていた。
人間の醜さなど変わらないではないか、何処も!
覆面の男は言っていた。
この世界の素晴らしい人々の為にだと!?
綺麗事ばかりの兄弟めが。
変わらないのは、私だけだと!?
「笑わせる。笑わせるな!! 綺麗事ばかりほざく貴様らに見せてやる!!! 如何に人間が醜いか? 救われぬ存在か!? この戦いで思い知れ!!!」
それは怒りか?
嘆きか?
高笑うウルベには、己の感情を理解できておらず、その自覚もない。
ただ、死を与えよう。
ただ、絶望を与えよう。
そして支配してやる。
今度こそ、全てをひれ伏してやる!!
魔神はただ全てを呪い、嘆いて高笑うのみだった。
彼の乗るヴァニシングガンダムの目から血のように赤い涙のような光が頬をつたって漏れていた。
ミネルバのブリッジにて。
体を休め、泥のように未だ眠る少年達を置いて、タリア・グラディス艦長は目の前で繰り広げられている戦いに目をみはる。
「艦長、これはーー!」
副長であるアーサーの声が途切れる。
無理もない。
敵も味方も異様な光景だった。
デュランダル軍は皆、人の限界を越えるようなスピードでMSを加速させてビーム砲や近接武器で次々と敵を葬る。
ただし、回避を一切考えてない動きだ。
ガードをせずに、一機でも多く道連れにせんとばかりに最後の瞬間にまで攻撃を繰り出す。
その死を恐れない光景は、ベルリンでデストロイガンダムに踏みつけられながらもこちらにビーム砲を打ち込んできたデスアーミーの大群を思い起こさせる。
「ギルバート、貴方ーー! 自軍の兵士にまで植え付けたというの!? DG細胞を!?」
目を見開くタリアにアーサーも苦虫を噛んだような顔で固まる。
このブリッジにいるミネルバクルーならば最早、一目瞭然だった。
デュランダル軍の兵士達は、DG細胞に感染させられている。
対峙するデスバットの機動性はフリーダムにすら匹敵する。コレにウィンダムやザクでついていけるのだ。
生身の人間には不可能だろう。
キラ、アスラン、シン級のパイロットが、有象無象のようにいる訳はなく。
また、彼らと同格のパイロットが特攻を仕掛けるような真似をするのはおかしい。
攻撃に関しては圧倒的なのに回避や防御に関しては一般の兵士以下だ。
「人間を化け物みたいに変えて。そんなことまでして、必要な事なの!? デスティニープランなんて!!」
「艦長。私はもう、我慢できません」
静かにアーサーは帽子を脱ぎ、タリアの前に出る。
彼の後ろには同じく静かに怒るクルー達がいた。
「アーサー…!」
「確かに私達には家族がいます。プラントに大勢の家族が。ですが、議長のこれは。私達の大切な家族さえも変えてしまう!!」
「……でも。負ければタダでは済まないわよ? 私と貴方の首だけでは済まない。分かっているの? みんなの命だけじゃない。家族にもーー」
その時だった。
「負けなきゃいいじゃないですか」
燃えるような赤い瞳が、そこにいた。
強い瞳の少年達が束の間の休みを終え、戦士の顔で立っている。
「シン。ルナマリア。スティングにアウル、ステラまで」
シンの左右に立つルナマリアとステラが告げる。
「艦長、あたし達が皆を守ります!」
「必ず、勝ってみせるよ。みんなで!!」
2人の少女の言葉にタリアは目を見開き、眦を震わせる。
震える声で、彼女は言った。
「怖いのよ。皆を信じてるわ。でも貴方達が死んだら、私はきっとーー!」
震える声でタリアは続ける。
「軍人だもの、そんなことはとっくに覚悟してるはずだった。だけど、駄目なのよ。貴方達だけじゃない。このミネルバのクルー誰一人、失いたくないのよ」
タリアの言葉にアーサーが静かに彼女の肩を撫でる。
顔を上げるタリアの前にはスティングが笑いかけてきていた。
「艦長。俺は貴方とそんなに長く話したことはないし、時間もない。だけど分かるよ、貴方は優しくてあったかい人だって」
「僕やスティング、ステラに温かさを与えてくれたのは師匠だった。そしてガーティー・ルーのみんなだ。僕にも分かるよ、艦長。僕もイアン艦長達が死ぬのは嫌だ」
少年達の真っ直ぐな目と想いにタリアの瞳から涙が流れる。
「貴方達、分かってるの? この戦いは既に人のモノではないわ。負ければ死ぬことより恐ろしい事になるかもしれないのよ?」
「でも、逃げれないじゃないですか? 艦長や副長達は」
シンが静かに問いかける。
タリアは目を思わずそらした。
「艦長、プラントに家族がいるのはルナも同じです。メイリンも。だけど皆、戦うことを決めた。理由は逃げても変わらないからだ」
シンは真っ直ぐな目でタリアを見つめながら、続ける。
「俺は家族がオーブで亡くなりました。スティング達には家族がいません。だけど! 血の繋がりより大事な絆ができたんです!! それが友人であり、仲間であり、師匠です。俺にとってミネルバはもう、家族なんだ!!」
タリアがたまらず、口を手で押さえた。
周りを見れば、何名かのクルー達が涙を必死にこらえている。
アーサー副長は力強く頷き返してくれた。
「だから、行きます。戦って皆を守ります。そして、レイを迎えに行きます。俺たちは、死にません!!」
力強く宣言する。
守る者を守り抜く強さならば、もう教わったのだから。
「待っててくださいよ、あたし達が勝ってレイを連れ帰ってくるの!」
「うん! 私もミネルバのみんなや艦長、大好きだから守りたい! 死なせたくない!!」
力強いルナマリアの声、健気なステラの声。
「安心してくれ、艦長。俺たちは、強い!!」
「そうさ! 勝って帰って来るよ! レイを連れて、皆で!!」
スティングにアウルの声が聞こえる。
涙で前が見えない、タリアは必死に顔を隠している。
「艦長、出撃許可を! 俺たちが、終わらせてきます」
シンは真っ直ぐな目を、逸らさずに力強く告げてくる。
「…一つだけ、約束しなさい。みんな。必ず、必ず生きて帰って来て…!!」
震えながら、タリアはシンの頭を胸に抱いて告げる。
シンは、抱かれた腕をそっと掴んで耳元で告げた。
「約束しますよ。艦長に泣かれちゃ、寝覚め悪いですからねっ!」
いたずらをした子どものように屈託無く言うシンに、ルナマリアが呆れ、ステラが楽しそうに笑う。
静かにシンから離れ、タリアは両手で自分の頬を叩いて涙を拭き、真っ直ぐな目でシン達を見据えた。
「…みんな、これが我がミネルバ隊の最後の出撃になると思う。必ず生きて帰りなさい。そして、私達も必ずミネルバを守り抜くわ。貴方達の帰る場所を無くさせはしない」
力強いタリアの言葉に少年達と、そしてミネルバクルーが頷く。
少年達は、己の分身とも言える機体ーーガンダムに乗る。
「アビー、お願い」
タリアの言葉にアビー・ウィンザーが頷く。
「分かりました。準備はいい? シン?」
モニター越しにシンが親指を立て、人差し指と中指を揃えて前方を指す。
「デスティニー、発進どうぞ!」
「シン・アスカ! デスティニー!! 出撃します!!」
宣言と共に戦闘宙域に向かって、光の翼を広げてデスティニーガンダムが闇を割いていく。
それに続くようにルナマリアが叫ぶ。
「シン一人で行かせると無理やらかすから、早く! アビー!」
「こんな時なのに、変わらないんだから。気をつけてね、ルナ。インパルス、発進どうぞ!」
「OK! ルナマリア・ホーク! インパルス、出るわよ!!」
ルナマリアのインパルスガンダムが、デスティニーガンダムの真横について行く。
「ステラ、行ける?」
「うん! アビー、お願い!!」
ステラの言葉にアビーが宣言する。
「シャッフルハート、発進どうぞ!」
「ステラ・ルーシェ! シャッフルハート、出る!!」
一気に駆け抜ける巨大な角を持つ特殊なガンダム。
次々とスティングがカタパルトにスタンバイしている。
「スティング、気をつけてね!」
「分かってるって! アビー、頼む!」
「クーロンガンダム、発進どうぞ!」
「スティング・オークレー! クーロンガンダム、行くぜぇええっ!!」
叫びながら一気にデスティニー達に追いつく。
そして、トリコロールのガンダムがカタパルトに立つ。
「貴方で最後よ、行ける? アウル」
「問題ないよ。おっと、そうだ。艦長!」
アウルは何かを思い出したように言いながら、タリアを呼ぶ。
「何かしら?」
「…あのさ、一回だけでいいから。私の坊やって言ってくれないかな?」
恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、はっきりと言うアウルにタリアはやや面喰らうも、頷くと告げた。
「生きて帰ってきなさい。待ってるわよ、坊や」
「…! うん。行ってきます、ママ!!」
「…行ってらっしゃい、私のアウル」
その言葉にアウルは満足気味に頷き、気合いを入れてアビーを見る。
「よっしゃ! よろしく、アビー!!」
「もう。気をつけなさいよ、みんな待ってるから。ヤマトガンダム、発進どうぞ!!」
「アウル・ニーダ! ヤマトガンダム、出るよ!!」
最後のガンダムがミネルバから出て行くのをタリアは静かに見送る。
「アーサー。私は幸せね」
「いいえ、我々もですよ」
「そう。そうねーー」
温かい希望の船は、勇者となった少年達の帰りを待つ。
彼らが無事に帰還すると信じてーー。
一方で、ミネルバ隊の後方より更なる援軍が大天使から発進しようとしていた。
「まったく。俺たちが合流するまで待てと言っておいたのに。ミネルバはーー!」
「しょうがないよ。それにあまり長く話してる暇はない。決着をつけに行かなきゃ!」
語り合う二人の青年は、アスランとキラである。
彼らはカタパルトに機体を載せながら、会話していたのだ。
「キラ君、アスラン君。準備はいい?」
マリューからの通信に二人の青年は頷いた。
「ここで終わらせるために、行こうアスラン!!」
「ああ、向かうぞ! キラ!!」
力強い宣言をして、キラは叫ぶ。
「キラ・ヤマト! フリーダム!! 出撃します!!」
「アスラン・ザラ! ジャスティス!! 出る!!」
青い翼のガンダムと、赤い体のガンダムが、ミネルバから出た5機のガンダムに追いつくように宇宙に闇を駆け抜ける。
自由の翼ーーストライクフリーダム。
正義の剣ーーインフィニットジャスティス。
コズミックイラが誇る最強のガンダムとパイロットの揃い踏みである。
いよいよ、最終決戦が始まろうとしていた。
皆さん、お待ちかね〜!
次々と互いに潰し合うロゴス軍とデュランダル軍。
そんな中、ゼウスガンダムの前にデスビショップが立ちはだかるのです。
はたして、この混戦を勝ち抜くのは誰なのか?
次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny
第90話に!
レディー、ゴー!!