新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
メサイアに居座るデュランダルの下に現れたウォン。
そこに向かうファム・ファタールとキラ・ヤマト、アスラン・ザラ。
そして道をレイとミケロによって開かれたシン・アスカ。
次々と最終対決に向けて役者が揃おうとしています。
そして。
傲慢な男によって作り出された悲しい命の二人。
彼らの決着も、今回のお話で着こうとしています。
はたして蘇ったラウ・ル・クルーゼの目的は?
それでは、ガンダムファイト!!
レディイイイイ、ゴォオオオオオオッ!!!
ドモン・カッシュはデビルガンダムのコクピットで精神を統一していた。
気を高め、己の中に眠る力を呼び覚ます。
その時、彼の右手の紋章が輝き始めた。
「……! 時間か。もう少しだけ持ってくれ。俺の力を気を全てを……この男に託す」
ドモンの声にこたえるように輝いていたキング・オブ・ハートの光が収まっていく。
時間はもうない。
もう少しすれば、自分は元の世界に強制的に転移させられるだろう。
あくまでドモンがこちらに来たのはテストだからだ。
通路が繋がったのは向こうでも確認できているはずだが、状況を詳しく解説するには一旦帰還しなければならない。
向こうから出発するとき10日の約束を付けられていた。
期日は既に過ぎていたのだ。
一向に帰る気配のないドモンに向こうの世界の者が強制的に帰還させようとしているのだろう。
「…貴様も女に弱いな、ドモン」
「ああ。カッシュ家の男の性だ」
コクピット内に響く己と同じ声にドモンは笑いかけた。
外ではようやく騒ぎが収まって来ているようだが、正直それを待っている暇はない。
ドモンの意図を正しく理解したデビルガンダムは静かになる。
「デビルガンダムよ。人間の肉体を得るのだから、お前には名前が必要だ」
「……Dで構わん」
「カッシュ家に入るんだから、要る。俺が付けても構わないなら、それを名乗ってくれないか?」
ドモンからの提案にデビルガンダムのコアーーDは訝し気な声をコクピットに響かせる。
「何と名乗る?」
「ダインーー。力の単位を図る言葉だが、本はギリシャ語で『力』を意味する名だ。ネオジャパン風に記載するなら『陀院』となる。本当は生まれてくる子の為に考えていた名前だが、お前になら構わん」
ドモンは静かに明鏡止水を発動させて、黄金の気を纏ったまま瞳を開き真っ直ぐにデビルガンダムに語り掛ける。
ちなみにドモンは告げていないが「陀院」の方にも意味がある。
陀は仏、院は住居を意味する。
心に「仏=神」を宿す者と言う名である。
「Dよ、お前は今日からこの俺! ドモン・カッシュの弟ーーダイン・カッシュを名乗れ!!」
ドモンの言葉をデビルガンダムのコアは心の中で繰り返した。
高速で移動する黄金の光と青白い光。
どちらも宇宙空間に軌跡を描きながらぶつかり合っている。
両者が交錯するたびに桃色の斬撃が飛び散り、火花を散らしている。
共に同じ男の細胞から作られた。
共に男の身勝手な欲望に振り回された祝福されぬ命。
否ーー、機械のように交換することを望まれた命と言うべきか。
金で命を買えるという傲慢な男。
しかし、その男は能力だけは高かった。
他の追随を許さず、誰もその男の間違いを指摘できない。
人格を破綻していようとも、男は正しい。
その男は「勘」という己の能力だけで築き上げた。
金と言う権力の象徴を持っていた。
そんな男の細胞から作られたものは決して男には勝てなかった。
否、男の求める能力には達せられなかったというべきか。
それが彼にとってどれ程の絶望を与えたのか。
息子もクローンも、全て自分の道具に過ぎない。
その程度の考えしかなかった男。
そんな男の遺伝子を持った二人のクローンは言い換えれば。
男に比べてまとも過ぎたのだ。
男の狂気、傲慢、執着が彼らには受け継がれなかった。
だから、ラウ・ル・クルーゼは絶望した。
レイ・ザ・バレルは、そんな彼の絶望を彼の人生を傍で見てきた。
そして、それでも。
彼にとってラウ・ル・クルーゼは憧れだった。
高速移動からの斬りつけ合い。
格闘戦を想定して作られていた機体でありながら、急遽すべての距離に対応できるようにと取り付けられたオールレンジ攻撃。
ドラグーンを使いこなすことができる二人。
クルーゼとレイの機体。
斬撃がぶつかり合う度に衝撃が波紋のように広がっていく。
「どうした、レイ? 君の力は、私を打ち倒せない程度なのかね?」
「……負けられない。俺が負けたら、ラウは」
レイは正しく理解している。
自分が負ければ、もう一度ラウ・ル・クルーゼは全てを滅ぼそうとする。
クルーゼ自身の答えーー世界に希望はないーーが正しいとして。
絶望して。
「負けられないんだーーだから、力を貸してくれ。ガンダム!!」
二重の意味でレイは負けられない。
勝たなければならない。
何故なら、クルーゼが絶望するのは希望を託された自分が負けた時だから。
その時は、クルーゼは躊躇い無く全てを滅ぼす。
レイにとって大切なシン、ルナマリア、スティング達にミネルバ隊。
そしてーー自分を必要だと言ってくれた赤い髪の少女
「ーーメイリン」
口に出してみれば、レイの心に力が満ち溢れる。
負けられないと言う想いが溢れてくる。
守りたいのだ、自分は。
だから、勝たなければならない。
是が非でも。
瞬間、網の目の様に奔るドラグーンが互いに向かって放たれたビームが、全て押し合う。
「ーー! 私とドラグーンの操縦で勝負する気か!!」
「貴方を越えるーー。ラウ、俺は貴方の全てを越えてみせる!!」
ドラグーンのビーム砲に明鏡止水の境地で気を込める。
威力は当然、桁違いに上がる。
「機体の稼働力だけではない! ビーム自体の攻撃力も上がるのか!? これが明鏡止水!!」
ビーム砲は見事にクルーゼのドラグーンを撃ち抜いた。
だが、クルーゼも流石だった。
咄嗟に超スピードで空を走るドラグーンの隙間を縫うように移動して捌き切る。
「ドラグーンの威力で俺が勝るなら、貴方は避けるしかできない!」
そして、移動したデスビショップの背後をレイのレジェンドガンダムが取る。
「その位置にしか逃げられないーー。そのように俺がドラグーンで誘導した」
「ふふ、見事だ。だが、レイ。勝敗はまだついてはいない」
振り返りながら複合兵装防盾システムから巨大なビームサーベルを発生させる。
だがーー。
「ラウーー」
目を鋭く細めながら、レイはビームジャベリンを二本足先から取り出して放った。
左手側でしか使えないビームサーベル。
盾としてはあまりに小さすぎるその武装こそが、デスビショップーープロヴィデンスガンダムの弱点だ。
それを互いに理解した上で、ラウ・ル・クルーゼは素早くジャベリンを切り払う。
直後に周囲を包囲していたレジェンドガンダムのドラグーンから集中砲火を浴びる。
それをクルーゼはデスビショップのドラグーンを使ってビーム幕を発生させ、受け止めようとして。
「……フ」
微笑みを浮かべた。
そのまま、ビーム幕を貫いてレジェンドガンダムの放ったドラグーンのビーム砲はデスビショップの体躯を射抜く。
ハチの巣の様にそこいらから穴を空け、火花を散らすMS。
「見事だ、レイ。純粋な勝負で私は君に負けた」
満足そうな、幸せそうな笑みを浮かべてクルーゼは仮面を取り外す。
優しい顏だった。
レイの記憶にあるラウと何ら変わらない美しい顏がそこにあった。
「まだ、戦うのか?」
体が動かないMS。
自己再生を始めているが、コクピットをこのまま射抜けば終わる。
それをレイもクルーゼも分かっている。
勝敗自体はこれ以上ないほどにハッキリとしているのだ。
「レイ。君は私を越えた。ならば最後に君に私から贈り物をしなければな」
目を見開くレイをクルーゼは優しく見据える。
そしてモニター越しに自分の懐から拳銃を取り出した。
「ラウ!! 何を!!?」
クルーゼは自分の腹に向かって銃を放った。
瞬く間に赤い血の球が浮かび上がる。
「ラウ…!!!」
微笑むのを辞めないクルーゼにレイは涙混じりに近づく。
レジェンドガンダムのコクピットを開けて、デスビショップに乗り込もうとさえする。
その時ーー。
「甘いな、レイ。勝負は着いても、敵を殺さねば何も終わってはいない」
デスビショップのドラグーンが動き、レジェンドガンダムを囲む。
「ーー!?」
レジェンドガンダムが振り返り、見開かれたレイの視線の先に放たれたビーム。
それは、レイを狙って来たジェスターガンダムを見事に撃ち抜いた。
「おのれーー!」
撃ち抜かれ、怯んだジェスターガンダムの目の前に怒りに震えるミケロのネロスガンダムが現れる。
「…邪魔すんじゃねえよ。テメエら如き、ウジ虫が! 男の覚悟を汚すんじゃねぇえええええ!!」
強烈な銀色の脚がジェスターガンダムの上半身を蹴り、消し飛ばした。
「ミケロ……。ラウ……っ!」
それを呆然と振り返ってみた後、クルーゼに向き直る。
クルーゼは優しい笑みを辞めていない。
顔色がどれだけ悪くなろうとも、彼は穏やかな声で告げる。
「レイーー。君は生きろ。生きて生きて生き延びてくれーー」
「ラウ!! どうして、どうして自分を撃った!!?」
微笑むクルーゼは静かに続ける。
「これで君は生き残れる。この銃弾にはDG細胞の自己再生を殺す作用がある。DG細胞から複製して作られた私の遺体ーー破壊分解された私の細胞があれば、テロメアの解析ができるはずだ。キョウジ・カッシュならば必ず君を助けられる」
「ーーーーっ!!?」
「やっと、楽になれるよ。私はね、キラ・ヤマト君に倒されたときに既に答えを得ていたのだ」
涙混じりにこちらの名を呼ぶレイを無視して、クルーゼは続ける。
「あの時、私は世界に絶望していた。だが、本当は望んでいたのだ。自分が倒されることを」
キラ・ヤマトのフリーダムにコクピットを貫かれたとき、彼は初めて安堵した。
その時にクルーゼの憎しみは終わっていたのだ。
DG細胞によって蘇った彼にとって、役を演じることが無ければ早々に舞台を降りていただろう。
仮初めの肉体と人生をもう一度与えられたクルーゼの心残りは、レイ・ザ・バレルだった。
「レイーー、私は憎しみに囚われ君のことを忘れた。すべてを憎んで滅びろと思ってしまった。だから、これはやり直しだ」
「ラウ! 開けて!! ここを開けて!!!」
レイは聞いてなどいない。
幼子のように泣きながら必死にクルーゼの下へ行こうとデスビショップのコクピット。
そのハッチを叩いている。
これを少し離れたところから狙うゼウスガンダム。
そしてコブラガンダム。
「…一人でも多くの力を取り込もう」
「我々の力の為に」
ネロスガンダムとの戦いに勝てないと悟った彼らDG細胞が取った行動は、出来る限り周りの者を吸収しようとすることだった。
現に先に倒されたジェスターガンダムは光の塊となってゼウスガンダムに吸収された。
全てを吸収してから倒されれば、宙域に跳ぶDG細胞に吸収される。
その個体がまた誰かに吸収され、力は一つにまとめられていく。
だが、ミケロがそんな事を許すだろうか?
かつてのミケロ・チャリオットは己のことを何よりも優先させた。
弱者を踏みにじるのが大好きな男だった。
しかし今の彼は
「ウジ虫ども、言わなかったかぁ? レイの邪魔するなってよぉおおおおおっ!!!」
右脚に全身の気を溜めて、一気に駆ける。
七色を放ちながら白金色に輝く足先。
全てを蹴り砕く究極の一撃。
ドモン・カッシュをも唸らせた極限の一撃。
クラウチングスタイルから、ミケロはネロスガンダムを一気に宙に駆けさせる。
「……まずいな」
「ああ。我々を消す力だ」
淡々と言葉を紡ぐマーキロットとシジ―マ。
既に自我のあった頃とは口調までも変わっている。
完全に言葉を発するだけの存在へと変化していた。
悪あがきだとばかりに二機のガンダムは互いに持った武器を持って無防備なレジェンドガンダムとデスビショップに走る。
「遅せぇええええええっ!! そんな速さで、俺様から逃げられるかぁあああああああっ!!」
絶叫と共に放たれるのは、ミケロ・チャリオットとその愛機ネロスガンダムの最大にして最強の技。
「必ぃいいい殺ぁあつっ! ハイパァアアーー虹色の脚ぃいいいい!! スペシャァアアアアアアルッ!!!」
宇宙の闇を切り裂く神々しい白金の光が一筋。
恒星の如く煌きながら、後ろから二機の邪悪なガンダムを追い抜いていった。
そのまま宙で停止し、ゼウスガンダム達に振り返りながら右足を掲げてまるで獲物を切った刀の血を払うように一閃する。
瞬間、ゼウスガンダムとコブラガンダムの胴体が背中から線が引かれて上半身と下半身がずれて、斬り離されて白金色の光の爆発に消えて行く。
正に消滅である。
「そんな鈍足で俺様から逃げようなんてな! このネロスガンダムの前じゃ、速さが足りねぇんだよっ!!!」
ミケロの言葉が断末魔すら上げることなく消し飛んだ二機のガンダムへの最後に送られたものだった。
静かにハッチが開けられた。
必死になってコクピットに乗り込むレイ。
その先には血まみれになったラウ・ル・クルーゼの姿があった。
「ラウ……っ!!」
「フフフ、そうか。最期は君の腕の中で逝けるか。それだけで、二度目の人生は意味のあるものだった」
「ラウ……! いやだ、ラウ!!」
首を必死に横に振りながら告げる。
そんなレイの頬に手を当て、ラウは微笑む。
きれいな顔に血が付いたことを申し訳なさそうにしながら。
「どうかーー。どうか、君は生きてくれ。君の人生をーー! それが私の最後のワガママだ」
そう言いながら、ラウは視線をレイの後方に向ける。
レイが振り返ると、ネロスガンダムの右手にミケロがノーマルスーツを着て立っていた。
「頼んだよ、ガンダムファイターよ」
「……ああ。テメエの命は、こいつが必ず受け継ぐさ」
「そうだな……。レイ、良い仲間に出会えたな」
ミケロからレイに目を向けるとレイは涙ながらに頷きながらラウの頭を掻き抱く。
「レイ……。血を失くしすぎたようだ、すまんな。其処にーーいるのだろう?」
「いるよっ!! 此処にいる!! 俺は、ラウの傍にずっといるから!!! だから!!!!」
「ああ……私は、幸せだった。レイ……君も、どうか……」
言葉は途中で途切れ、クルーゼの命はそこで終わった。
あっけないほどに。
それを理解して、震える腕でレイは掻き抱く。
「うわぁあああああああああっ!!! ラウゥウウウウウウウウウウウウッ!!!」
何一つ通らない。
声すら届かない。
響かないそんな宇宙の闇の中で。
美しくも悲しい涙が流れる。
絶望を背負った男の死を嘆き、涙して。
ミケロは静かに泣きじゃくるレイをそのままにしておく。
ただ鋭い瞳で静かに。
この少年ならば立ち上がる。
それを分かっているからこそ。
「今は泣けや。でなけりゃ、強くもなれやしねえ…」
天を見上げてミケロは静かに、レイに告げた。
強烈な力と光が再び、デビルガンダムのコクピット内で起こる。
それを最後に、ドモンはゆっくりとデビルガンダムから降りた。
彼の視線の先には桃色の髪の姉妹が立っている。
「ドモンさんーー」
「あ、あのDーーううん。ダインは?」
ラクスとミーアに向かってドモンは不敵にして力強い笑みを浮かべて言った。
「すぐに現れるさ。今、デビルガンダムのコクピット内で肉体が生成されはじめている」
そして彼方の方でぶつかり合う4機のガンダムを見据えた。
「兄さん達の手助けなしで行けるとは思わなかったな」
苦笑気味に言うドモン。
その時、右手の輝きが強まった。
元の世界に強引に引かれている。
ドモンは静かに二人に向かって言った。
「どうやら、兄さん達や師匠に一端の別れを言うのは無理そうだ。ラクス、10日後に必ず迎えに来るからって言っておいてくれ」
「はい。ですがーーそれが済めばドモンさん達とはもう?」
「……そうなるな。本来交わるはずのない世界同士が、こうして交わっているのは決して良いことじゃない」
ドモンの言葉にラクスが寂しそうにうなずく。
「そう気落ちするな。生きてさえいれば必ず会えるさ。そう信じろ!」
「……ええ」
ドモンの励ましにラクスが微笑む。
次にドモンはこちらを窺うミーアを見据えた。
「ミーア、お前に渡したいものがある」
「え?」
そう言ってドモンは懐からキョウジの持っているシャイニングガンダムのガン玉とよく似た色の球を取り出して彼女に手渡す。
「これってーー。ダインのデビルガンダムやドモンさんのゴッドガンダムの」
「そいつはガン玉といって、俺たちの世界のガンダムをアルティメットガンダリウムで変化させたものだ。そのガン玉をお前に預けておく。俺の嫁のものだから預けるだけになっちまうんで、10日後に返してくれ」
「ど、どうしてーー?」
戸惑うミーアに力強くドモンは微笑んでウインクした。
「持っておけ。たぶん役に立つ」
意味ありげにデビルガンダムを振り返ってドモンは言う。
ミーアもその言葉に思うところがあるらしい。
静かに頷いた。
「……ありがとうございます、ドモンさん」
「フ…、いつかお前に義兄さんと呼ばれる日が来るのかな?」
「ど、ドモンさんったら!!」
「ははははは!」
顔を真っ赤にするミーアにドモンは屈託のない笑みを浮かべた後、真剣な顔になって告げた。
「異世界の強きファイター達よ。俺はお前たちに出会えたことを心から感謝している。この戦いが終わって平和になったら、必ずまた会おうーー! 友よ!!」
その言葉にラクスとミーア。
そしてその後ろに立っていたダコスタやイザーク達も頷く。
「ダイン! お前をレインや父さんたちに紹介できる日を俺は楽しみにしてるぞ!!」
その言葉にデビルガンダムが微かに首を縦に振った。
これを確認してドモンは笑うと、最後に大声で告げた。
「キラ! アスラン! シン! ルナマリア! スティング! アウル! ステラ!」
光に飲まれていくドモンの姿はもはや、人型であることしか判別できない。
「お前たちは強い!! 自信を持て! そして切り開け!! お前たちならできる!! 希望の未来を勝ち取ることが、必ずできる!!!」
光に飲み込まれ、異空間に消える瞬間にドモンは告げた。
「コズミック・イラのガンダムファイター達よ!! 勝利を掴めと轟き叫べェえええええええええッ!!!!」
こうして未来世紀最強のファイター、ドモン・カッシュとゴッドガンダムはコズミック・イラを去った。
ドモンの力強い咆哮が遥か彼方に居るキラやシン達に届いたであろうことを。
ラクスは疑っていない。
その力強い言葉と想いが、彼女たちに勇気の炎を灯す。
「ミーア。貴女は此処に残ってください」
「ラクス様!?」
「ダインさんが無事に復活すれば、それで良いのです。迎えて上げて」
「……はい」
ラクスはイザークとディアッカを向く。
「来ていただけますか? ジュール隊長、エルスマンさん」
その言葉に二人はニヤリと不敵に笑って告げた。
「無論! 私の右手は勝利を掴めと轟き叫んでいますから!!」
「おいおい、クールに行こうぜ! 失敗は許されねえんだからよ」
冗談交じりに告げる二人の間をゆっくりと割って入るようにミリアリアが前に出る。
「そんじゃ、行きましょうか! ラクス!!」
「お、おい! ミリィ!!」
焦るディアッカを見てミリアリアは半開きの冷めた目をした後、左手で彼の襟首をつかんで自分に引き寄せるとその唇を奪った。
「! ……っ!!?」
ス……っと自然に拘束を解き、ミリアリアは頬を赤くして告げた。
「私も行くからね!!」
イザークが彼女の行為に関心したように「ほう」と声を上げ、ラクスが微笑む。
そしてディアッカは。
「あ、……はい」
顔を真っ赤にして何も言えなくなっていた。
「くくく、尻に敷かれるのは何処も変わらんな」
ダイン、ディアッカ、アスラン。
自分の知る男は皆、女の尻に敷かれる運命にあるのだろうとイザークは他人事のように笑った。
この時、ダコスタは思わず問いかける。
「ちょっと! ラクス様!! 私は!!?」
「ごめんなさい、ダコスタさんはここで。ミーアと共にキョウジさんやシュバルツさん達を待ってあげてください」
「えええええっ!!?」
「説明をする者が一人は必要でしょうし、ダインさんが目覚める方が早いとミーアが説明できるとは限りませんからね。お願いします」
にべもないラクスの言葉にダコスタは思わず両肩を落としながら告げる。
「最近、俺は貧乏くじしか引いてない気がするんですが?」
思わず愚痴るダコスタの両肩をイザークとディアッカが叩く。
「ダコスタ殿、運命と諦めてくれ」
「わりいな、ダコスタさん」
二人の少年の心遣いが今、身に染みる。
こうして最終決戦の地へと。
希望の船ーーエターナルが出発した。
コーディネーターの歌姫。
ラクス・クラインを乗せてーー。
皆さん、お待ちかね~!
ドモンの去ったコズミック・イラ。
それに呼応するように物語は一気に加速します。
はたして、デュランダルとウォン。
ファム・ファタールを打ち破り、キラ達は世界に平和をもたらせることができるのか?
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第96話に!
レディー、ゴー!!