誰かが言った…出しているときが一番隙があると。
呪霊であっても、例外ではない。呪力が漏れないように細心の注意を払ったとしても、出すという行為と同時に呪力が漏れる。そんな僅かな呪力を察知できる呪術師など数は少ない。
だが、この京都…特に、本日この場に限っては例外であった。
『も、もう許してくれ。五回目だぞ』
呪霊といっても男性型である。つまるところ、下半身の機能もそれに準じる。むしろ、五回も出来た事を誇ってもいいレベルであった。だが、残念な事に喪女の精力は、それを遙かに凌駕する。
世に産まれたばかりの男性呪霊の技術では、歴戦の喪女を満足させるには至らない。これが逆の立場なら話は違っただろう。
「がんばれ!がんばれ!」
喪女呪術師がエールを送るが、その効果は既になかった。回数が少ない時ならば、奮い立たせる事もできた。だが、相手の底なしの精力を前に男性呪霊は既に絶望をしていた。
捕食していると思っていたら、逆に自分が捕食されている事にようやく気がついたのだ。そんな男性呪霊は、救いを求めた。
『誰でも良い、この女から助けてくれ』
◇◇◇◇
捨てる神が居れば、拾う神もいる。
だが、拾われた先が今より待遇が良いとは限らない。世と同じく転職して成功するとは限らない。大体の場合は、今より待遇が悪くなる。
五条悟率いる強襲部隊が、L○veHotelに突入し、神聖な儀式が行われている部屋の前で一同が待機していた。
「なぁ、先生……呪術師じゃなくて、呪霊の方が悲鳴を上げているんだけど」
「だから? 僕には関係ないかな」
京都まで出張してきて、不倫現場を押さえるような仕事。そんな仕事に高校生を動員するのは、倫理観が疑われる。だが、呪術師に倫理観を問うこと自体が間違いである。そもそも、彼等の同級生には美少女呪霊を手に入れるため、除霊という名のNTRを平然と行う男もいるのだから。
3級女性呪術師の能力…『○○しないと出られない部屋』の術式。その本発揮が出来る場所こそHOTELであった。発動するためには、対象二人に触れなければならない。つまり、一瞬でも彼女が低級呪霊藍染惣右介に触れれば、そこで試合は完結する。二人だけの空間が生成され、手出しできなくなる。
「私が藍染惣右介を確保するから、貴方達は女性呪術師の排除をお願いね。3,2,1で突入するから失敗するんじゃないわよ。失敗したら、男同士に対して私の術式使うからね」
その言葉に、御三家の当主達だけでなく呪術高専の生徒も顔を見合わせる。笑えない冗談であった。そう言うプレーは異性とするから楽しいのであって同性でやるなど、地獄絵図でしかない。
五条悟も眼帯を取り、気合いを入れる。
3級女性呪術師を先頭にして、部屋に突入!!
「……だ、誰も居ない!! いや、だけど気配は確かに。逃げられた後か」
部屋の中には、確かに栗ノ花の匂いが残っており、ベッドの上にはそれらしき液体もあった。だが、同時に窓が解放されている。
「まさか、儂等が騙される事になるとはな。五条悟も耄碌したな」
「……なるほど、先ほどの悲鳴も完全催眠という奴かな。でも、既に見つける算段は付いているから問題無い。実は、試してみたいコンボがあったんだよね」
五条悟が釘崎野薔薇の持ち物である藁人形を無造作に受け取る。そして、ベッドの上にあった、液体をタップリと塗り込んだ。
「待て待て待て!! 乙女にそんな汚い液体が付いたモノに対して共鳴りをやれっていうのかよ」
「ハハハ、その通りだよ。でも、少し違うかな。弟君の感度100倍術式をあわせれば、もう無敵の術式になると思うんだよね。下手したら僕にだって有効だよ」
大事な事だが、3級女性呪術師の弟が使う術式……感度が上げられるのは性感度のみ。痛覚などを増幅させる事には至っていなかった。だが、この場合効果があるかと言えばある。ヌルヌルした藁人形を手で上下運動する事で効果はあるだろう。
絵面は最低だが。
一人の女性の尊厳がなくなる事で得られる効果は絶大であった。
「じゃあ、早めにお願いするわ。遠くに逃げられると厄介だから」
「嫌に決まってんだろ! あんなのに触ったら、私もアンタみたいに行き遅れになるわ」
男前である釘崎野薔薇が断固拒否する。栗ノ花の匂いがする液体がついた藁人形をシコシコするだけの簡単なお仕事だというのに。
だが、3級女性呪術師は諦めない。
「ここにキャッシュで、300万あるわ。貴方が自分の仕事をすればコレは貴方のモノよ」
「…や、やるわけないだろう」
釘崎野薔薇は、この程度の金額では折れなかった。
だが、この場には日本が誇り呪術業界の御三家当主様が揃っている。
「けちくさいね。じゃあ僕は、500万出すよ」
「禪院家は、800万だそう」
「加茂家は、1000万」
積まれる大金。一学生が一回の仕事で手に入れられる金額を大幅に超過している。しかも、命の危険などない安全な仕事でだ。ほんの少し、女性としての尊厳を失うだけで数千万が一瞬で手に入る。
この金の魔力に逆らえる者などそうそう居ない。
「先生もみんなもしっかりしてくれよ。文字通り釘崎の手を汚さないでもみんなで探せば、また見つかるって」
「虎杖!! お前は、プロ意識が足りない。依頼を受けた以上、そんな些細な問題に我が儘が通せるか」
釘崎野薔薇の眼に$の文字が浮かんで見える。先ほどまでとは打って変わり、やる気十分であった。金と尊厳を天秤に掛けて金の方に傾いた結果だ。コレが大人のやり方である。
その様変わりした様子に虎杖悠仁も脱帽した。折角、味方したのに裏切られたのだ。
「釘崎~、お前本当にそれでいいのかよ」
「いいんだよ!女は度胸だって何時もいってんだろう。……芻霊呪法共なり、共鳴り!!」
その瞬間、隣の部屋から男性呪霊の聞きたくもない絶叫が響き渡った。
「聞こえていた悲鳴はブラフで、さり気なく隣の部屋に隠れてやり凄そうとは汚いわね。完全催眠も効果が薄いみたいだけど使い方次第という事ね。さぁ、確保に行くわよ。事が済んだら、約束どおり私の術式をいつでも好きなときに使ってあげるわ。回数制限を設けるなんてけちくさい事はしないから、今後もしっかり私と弟を守ってね」
『○○しないと出られない部屋』の術式と『(性)感度100倍』の術式には、それだけの価値があった。特に、男達にしてみれば、重宝するしかない能力である。
………
……
…
『呪霊GO』で初実装された男性呪霊……野に放たれると直ぐに喪女呪術師達に捕獲され、幻のポケモン的な立ち位置になる。そんな呪霊の中には、野心を早々に捨てて、自ら娼館を開き、オーナー兼従業員として着々と力を蓄える知恵者も現れる。
大多数が幸せになる世界が実現し、真の恒久平和が訪れる日も遠くは無かった。人類全てが呪霊とハーフとなった日、人類は新しい時代を迎えることになる。
よし!
これにて、完結です。
無理矢理感があったかもしれませんが、いいんです!
短編小説なのでセーフと言う事で。
さて、未完結の忍者の方を真面目に頑張るぞ!!