だけど主人公の鬱描写が続くのは不安よな。
物語、動きます。
ゆっくりしていってね!
「はぁ、はぁ、……」
もう夜か。寝床を探しているうちに何も見えなくなってしまった。遠くで狼かなにかの遠吠えが聞こえてきて心細い気持ちになる。
何か少しでも食べないと。そう思って道端のヨモギを取ってみた。普段食べているヨモギ饅頭の味がしないかなーと期待して口に入れてみる。が、
「にっっっが!!!!」
うえっと吐き出す。無理だ無理だ。アクが強いんだかなんだか分からないけど苦い。苦すぎる。
「お腹……空いたな……」
そう呟いてみるが何もならない。
ごろんと地面に寝そべってみた。曇っていて星は見えない。見えていてもどうせ楽しめるほど余裕はなかっただろうが。
……。
何もせずにいると、昼間の出来事を思い出す。
──なんだったんだ、あれは。一方的にやられていたはずのあの赤髪のゆっくりが、変な剣を使って人間を蹴散らしていた。
高く飛んだ姿はまるで隕石のごとく地面を貫き、その衝撃波は命の痕跡を消し飛ばす。赤い髪に赤い目。そして、あの時は気づかなかったが、角があった。
まるで、悪魔。かつて祖母に聞いた、あの怪物にそっくりだ。
そんなことを考えながら立ち上がった。どうせこのままじゃ死ぬだけだ。だが、足取りは重い。クソッタレ。
だが森へ入った途端、一気に当たりが暗くなり、何も見えなくなってしまった。月明かりもなく、遠くで狼か何がが遠吠えするのを聞いて心細くなる。
村か、せめてどこかに家はないか。だが何も見つからない。獣道のような隙間を何とかすり抜けて歩いていく。
──と
「……誰か……いる?」
なにかの気配が辺りをおおった。狼か、熊か、少なくともこんな時間に深く暗い森の中を出歩いていると言うだけで味方である線は薄い。
くそう。死にたくない。
近くにある頑丈そうな木の棒を拾って構えた。これでも一応剣士の端くれだ。腹が減っているとはいえ、いや、さすがにきついか。
深く息を吐き、深呼吸をする。必殺技はまだ使えないが、村で剣において負けたことは無かった。前方に2つの気配がある。後ろにはひとつ。ならば
「後ろからだっ!」
振り向き気配の方向にダッシュする。
狼だ。くそっ。
「おらああああ!!!」
ゴンッといういい音がなった。獲物の突然の抵抗に反応できなかったようで、少しフラフラッとしてから倒れた。
「よしっ」
さっさと逃げよう。後ろのふたつの気配も狼だとしたらさすがにきつい。
だが、
「……あっ」
疲労と空腹でまるで足がもつれているかのようだ。足がある訳では無いがふらふらする。
やばいっ!
「……った!」
木の根で転んでしまった。普通に歩く分にも険しい森の中、この状態で走って逃げること自体無茶だ。
「くっ!」
急いで立ち上がる。逃げろ。逃げなきゃ死だ。だが体は心の思う通りに動いてくれない。
気配が近づいてきた。もうダメだ。
嫌だ、死にたくない!
目をつぶった。走馬燈が見え……
ない。
「大丈夫ですかぁ?」
「あんたさぁ、あんまりゆっくりに仲良くしちゃダメだよ。うち今何体いると思ってんの。ただでさえ……」
「なぁに?嫉妬?あら可愛いわねー盗賊ちゃん」
「……うっさい」
恐る恐る目を開けると、そこには一体なゆっくりと……1人の人間がいた。
思ったよりも動かなかった?知らんな。
まあ3話目までは読んでやってください。
道端に生えているヨモギはヨモギじゃない可能性もあるのでお気をつけください。毒持ちもいますので。
次回予告 狂戦士は可愛い。異論は認めない。