ゆっくりしていってね!
夜更けに目を覚ますと、目の前に天使がいた。金髪の髪は月明かりもないのにまるで輝いているようだ。あまりの美しさに少しぼーっとしてしまう。
「……勇者様。少し」
無声音で語られる内容はまだ誤解しているようだが、何か、期待してもいいよね?なんてちょっと期待してしまう。ゆっくりだからしょうがないよね!と都合のいい時の言い訳を心の中でつぶやく。
「分かりました。すぐ起きます」
同じく無声音で返し、急いで立ち上がる。セラフィムリングのおかげか疲れは完全に取れていた。
「こっちへ。縁側なら誰も寝てませんし、多少声を出しても大丈夫です」
抜き足差し足で音を立てないように進む。足ないけど。言葉の綾と言うやつだ。
襖をあけ、縁側に出ると、月がないためほとんど何も見えなかった。ぼおっと天使が輝いているように見えるのは気のせいだろうか。
「……それで、天使様。お話とはどのような──」
「その前に、ひとつ聞きたいことがあります」
めっちゃ被せるやん……と内心引きつつそちらに顔を向ける。さすがに突っ込むほどの余裕はない。
「先程、貴方様から悪魔の気を感じました。さすがに有り得ないと思われますが、まさか、悪魔に接触したのですか?」
「……悪魔?」
名前を聞いた途端恐怖がありありと思い浮かんだ。少し体が震えている。トラウマになっているかもしれない。セラフィムリングは精神までは回復してくれないようだ。
「勇者様?」
「ああ、会いましたよ。普通のゆっくりだと思っていたのに、そのまま殺されるだけだと思っていたのに、急に、……あの変な剣を──」
顔を上げて天使を見ると、暗い中でもはっきりと分かるほど顔を引き攣らせていた。その顔にまた驚く。
「……魔剣リアルゴ……。悪魔が、まさか……?」
目を見開き、何かを考えている様子の天使に、俺は何も出来ず少しだけ後ずさりしていた。その表情はどんどん険しくなっていく。
「なぜ……悪魔は人間と九尾に封印されたはずなのに……それが……」
バッと天使が顔を上げた。その真剣な眼差しに、体が硬直する。
「勇者様。あの時……いえ、記憶を無くしていらっしゃるんでしたね。なら……」
「いえ、だから俺は──」
全く聞いていない。完全に自分の世界に入っている。
「では、勇者様。とりあえず今までについてお話させて頂きましょう。約束。守っていただきますよ」
なんだよ……約束って……
他人の約束を押し付けられ不満だが、そんなことはお構い無しに天使の話が始まった。
はい、早速過去パート、というかゆく育界の歴史いっちゃいます。
割とここの設定細かいから褒めてww
またねー