7人目のスタンド使い魔 ~キャラバンAct2!~   作:ローレンシウ

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第二十三話 作戦・決戦・大乱戦

 

「……ねえ、ミズル」

「なに?」

「さっきのやつらで、ゾンビは最後だと思う?」

 

 ゾンビ・コボルドが跳躍の際に蹴った岩盤のひび割れを見て、あらためて屍生人の異常な膂力を認識したルイズが、不安そうにそう尋ねる。

 

「そんなこと聞かれたって、わかるはずがないでしょうに」

「…………」

 

 リリーはそう言って肩を竦めたが、タバサは少し考えてから口を挟んだ。

 

「たぶん、まだいる可能性が高い」

 

 先ほどの屍生馬に食まれていたのは、食い残しの骨などから察するに、おそらく二、三体だろう。

 それに今の四体を合わせて十体未満で全員なら、コボルドの群れとしてはかなり規模が小さいものだろうが。

 この廃坑はそこそこの大きさがあるようだし、たったそればかりの少人数でこんな広い場所に棲んでいるというのは不自然だ。

 タバサはそういった推測の根拠を、簡単に説明した。

 

「これだけ大きな棲所なら、どんなに少なくてもニ十体以上はいると考えた方が自然」

 

 実際にはもっと多いかもしれない。

 そして、群れの規模が大きくなればなるほど、その群れが神官を有する可能性も高くなるのだ。

 まあ、この推測が当たっていたとしても、ここにいたコボルド全員がゾンビにされたかまではわからないのだから、確実にそれだけの数を相手にすることになるとは限らないが……。

 

「要するに、そのくらいはいるものだと考えて備えておいた方が賢明、ってことね」

 

 キュルケの言葉に、全員が神妙な顔をして頷いた。

 

「それじゃあ先へ進む前に、休憩がてら、その辺を踏まえた打ち合わせをしておきましょうか」

 

 リリーがそう提案する。

 さっきの話し合いは、途中でゾンビ・コボルドが乱入してきたために、中断されたままになっていた。

 おそらく敵側は既に仲間がやられたことに気付いて迎え撃つ準備を整えているはずだし、こちらだけ無策で出たとこ勝負というのでは危険すぎるだろう。

 

「まず、わかっている範囲で、その神官とかにできることを教えてもらって。それから、連中がしてきそうなことを考えて……」

 

 ……少女たちはそうしてしばしの打ち合わせと休憩を済ませた後、探索を再開した。

 

 

 しばらくの間、一行は曲がりくねった廃坑を進んでいったが、屍生人や屍生獣の類に出くわすことはなかった。

 ネズミや蝙蝠といった普通の動物にさえも、まったく出会わない。

 野生動物の本能で吸血鬼や屍生人の気配に恐れをなして、どこかへ逃げ散っていったのかもしれない。

 でなければ、ここに棲んでいたコボルドたちが、自分たちの生活に邪魔なそれらの小動物を日頃から追い払うなり食うなりして駆除していたかだろう。

 そういった小さくてすばしっこい動物類は屍生獣にされれば厄介な相手になるだろうから、いないのはありがたいことだが。

 

 そうするうちに、やがて人工的に掘られた坑道が終わり、その先は天然の洞窟につながっていた。

 その洞窟の奥の方から、ゆらゆらと揺らめく松明の明かりのようなものが見える。

 

「どうやら、決戦が近そうね」

 

 キュルケのそんな呟きに、リリーも頷く。

 

「ちょっと待ってて。偵察をしてみるわ」

 

 リリーはひとまず仲間たちをその場で待たせると、明かりを持たずに気配を殺しながら自分だけでそっと近付き、奥の様子を伺ってみた。

 

 緩やかに坂を下った先に劇場のような開けた空間があり、ところどころに鍾乳石や石柱が並んでいて、かがり火が焚かれている。

 中央部には木の枝や動物の骨などを組み合わせて作ったと思しき祭壇があり、コボルドが彼らの崇拝する神を象ったものらしい、大きく粗削りな犬頭の石像が祀られていた。

 その周囲には、かがり火の照らす中を動き回る十体前後ほどのコボルド……いや、屍生人化したゾンビ・コボルドの姿が見える。

 祭壇やその周囲には血が飛び散り、おぞましいことに引き裂かれて無残な姿になったコボルドの体が散乱していて、中にはそれをがつがつと食んでいる者もいるようだった。

 

「……うげ……」

 

 人間も屍生人化すれば狂暴化して理性を失い、かつての仲間や家族でも平気で殺しては食らうようになるのだから驚くには値しないが、惨いものである。

 リリーは顔をしかめたが、共食いによっていくらかでも数が減っているのなら、それはこちらにとっては好都合なことだ。

 彼女はひとつ深呼吸をして気を取り直すと、敵の陣容を正確に確認していった。

 

 ここから見えている範囲には、無残な姿になって散乱している者を除いて、五体満足なコボルドが全部で十二体。

 そのうちの一体、祭壇の前に立っているコボルドだけが、何やら変わった装いをしている。

 鳥の羽根や獣の骨で作られた大きな仮面を被り、どす黒い色をしたローブを身に纏っているようだ。

 雰囲気からすると、群れのリーダーだろうか。

 連中はやはりこちらの侵入と先遣隊の壊滅には既に気が付いていて、この場所で総力を挙げて迎え撃とうという腹積もりでいるように思える。

 

(この場所から狙撃することも、できなくはないけど……)

 

 しかし、相手が屍生人では、対物ライフルでも一発で仕留めきれるかどうか。

 脳天をど真ん中直撃で吹き飛ばせばいけそうだが、かがり火があるとはいえここはだいぶ暗いし、向こうも止まっててくれるわけではないのだ。

 ちょっとでも的を外したら致命傷にならない可能性が高いし、一発でも撃てばバカでかい音で間違いなく相手方に気付かれる。

 色々と考え合わせると、あまりいい選択肢とはいえないかもしれない。

 

 あの御者の姿は見えない。

 洞窟のもっと奥の方に控えているのか、それとも……。

 

 

 調査を終えたリリーは、ひとまず仲間たちの元へ戻ると、自分の確認した情報を伝えていった。

 

「……ってことだけど。もしかして、あの変わった格好をしていたのが、神官ってやつなのかしら?」

 

 祭壇の前にいたリーダーと思しきコボルドの風貌を伝えてそう尋ねると、タバサがこくりと頷いた。

 心なしか、緊張しているようにも思える。

 

「間違いないと思う」

「うん。じゃあ、さっきの打ち合わせ通りに対応するってことでいいわね?」

 

 そう言うと、ルイズが不安そうな顔をした。

 

「ミズルが相手をするって。先住魔法の使い手と戦った経験もないのに、本当に大丈夫なの?」

 

 リリーは軽く肩を竦めたものの、割と自信ありげな様子で笑みを浮かべる。

 

 神官に対してルイズが先制攻撃で紫外線照射装置を使うという案も出たものの、あいにくと相手はローブだの仮面だのを着込んでいて肌の露出部位が少なく、紫外線を浴びせても一撃では致命傷にならない可能性があった。

 仕留めきれずに反撃される可能性があると考えると、ルイズに任せるのは危険が大きい。

 そういうわけで、今回の作戦と相成ったわけである。

 

「戦った経験がないのはルイズも同じでしょ。まあ、どういうものなのかは聞いたし。その情報に間違いがないのなら、たぶん大丈夫だと思うわ」

「……そ、そう?」

 

 先住魔法の使い手を相手にするのは、メイジにとっても難しいことだ。

 エルフのような高度な使い手ともなれば、メイジの十倍の戦力をもつとさえ言われている。

 よって普通なら先住魔法の恐ろしさを知らない平民の戯言と思うところだが、リリーは先日も対戦相手に関する情報を事前に集めた上で自信をもって勝てると言って決闘に臨み、その宣言通りにロレーヌを下しているのだ。

 今回の敵である未知の吸血鬼だの屍生人だのに関しても知識があるようだし、リリーが勝つ自信があるというのなら、彼女に任せるのが一番いいのかもしれない。

 

「鍾乳石だの石柱だのがあって、こんな配置だったから……。作戦としては、こういう感じで……」

「いいと思う」

「あ、こんなやり方はどうかしら。効果的じゃない?」

 

 いろいろと意見を出し合って細部を詰めると、一行は腰を上げて、いよいよ決戦の場へ赴くことにした。

 

 

 命令に従い、祭壇の周囲で侵入者に備えて警戒態勢で待機しているゾンビ・コボルドらだったが、彼らは元よりそう長い時間集中力がもつような性質ではない。

 屍生人化して生前よりも理性が低下した今となっては、なおさらのことだった。

 暇と食欲を持て余して、散漫な周囲確認の合間にそこらに転がっている元仲間たちの屍をがつがつと貪り食っている。

 

「……ウグルルル?」

 

 そのうちの一匹が、ふとなにか妙な気配を感じたような気がして、血と肉片のこびりついた顔を上げた。

 注意散漫になってはいても、彼らの感覚は鋭い。

 すぐに、坂の上に人間どもの一団がやってきているのを発見する。

 

「グルル!」

 

 そいつの上げた吠え声で他の屍生人たちも異変に気付き、一斉に警戒態勢を整え始めた。

 

「み、見つかったわ!」

「気付くのが早いわね」

「あいつらは、感覚が鋭いからね」

「予想の範囲内」

 

 気付かれずにある程度の距離まで近付けるようならまずは射撃で奇襲攻撃を仕掛ける予定だったが、まあ、元よりそううまくいくとは思っていない。

 

「グルルル! ウグレ、グルルッツレ!!」

 

 祭壇の前にいた神官が他の屍生人らに向けて腕を振り、命令らしき唸り声を上げた。

 

「グルルゥゥゥ!」

「UGURUUUUUUU!」

 

 それを受けて、周囲にいたゾンビ・コボルドどもが一斉に吠え声を上げながら突っ込んでくる。

 犬のような、走るに適した足を持つコボルドのスピードは速い。

 屍生人化して身体能力が高まった今はなおさらのことだ。

 

「じゃ、後をよろしく」

 

 リリーはそう言い置くと、デルフリンガーを抜いて駆け出していく。

 ゾンビ・コボルドどもは向こうから飛び込んできた獲物に歓喜の声を上げながら、彼女を包囲するように動いた。

 

「ウグルルルルルルRURURURUゥーーッ!!」

 

 あっという間に周囲を取り囲むと、先頭の一頭が涎を垂らしながら牙を剥いて飛び掛かっていく。

 同時に、横や背後からも。

 並みの人間なら対処する間もなくズタズタに引き裂かれて、骨ごとミンチになることだろう。

 

 しかし、十分に波紋を練り、さらにルーンの恩恵まで受けた今のリリーにとって、彼らの動きは速いとは言い難かった。

 

「食らえ、『波紋疾走』ッ!」

 

 リリーは正面から飛び込んできた屍生人に向かって跳躍し、その牙が届く前に顔面に靴底を叩き込む。

 

「グギュゥッ!?」

 

 行き掛けの駄賃に溶解した顔面ごと、脳天から胸骨のあたりまでをデルフリンガーで斬り裂いてとどめを刺しつつ。

 そいつを踏み台に軽く跳躍して囲みを抜けると、そのまま祭壇の方へ向かって走っていく。

 残りのゾンビ・コボルドどもがそちらの方に気を取られた隙に、タバサはあらかじめ九分通り詠唱を終えてあった呪文の最期の一節を唱えて、魔力を解き放った。

 

「ハガラース」

 

 彼女が杖を振るのに合わせて周囲の空気が急激に冷え、揺らめく無数のヘビのようになって体の周りを回転する。

 氷と風が織り成す芸術的な美しさとは裏腹に、触れたものすべてを凍て付かせ切り裂いていく強力なトライアングル・スペル、『アイス・ストーム』だ。

 

 杖が振り下ろされると同時に猛り狂って突っ込んでいった氷嵐が、リリーを包囲するために密集していたゾンビ・コボルドの集団を捉えた。

 たちまち全身の至る所が凍傷を起こし、凍り付き、吹き付ける刃物のような氷片のために肌が裂けていく。

 しかし、筋肉や骨が露出し、四肢が砕けるほどの損傷を受ける者もいながらも、ゾンビ・コボルドどもは倒れずに立っていた。

 荒れ狂う嵐の中で踏み止まる彼らの顔が歪んでいるのは、苦痛よりもむしろ怒りのためだろう。

 生身の人間やコボルドならば耐えきれるはずもない呪文だが、ろくに苦痛も感じず多少の体の損壊を意に介さない屍生人に対しては足止めにはなっても、致命傷とはならないのだ。

 

 だがもちろん、その程度のことは彼女らとて予想していた。

 

「食らいなさいッ!」

 

 ルイズが吹き荒れる氷嵐に向かって、紫外線照射装置の光を放つ。

 たちまち、屍生人どもの悲鳴が上がった。

 

「ウグルィィィッ!?」

「GUUU!!」

 

 氷嵐の中を渦巻く無数の氷片が放たれた紫外線を乱反射し、屍生人にとっては足止めにしかならぬはずの氷嵐は、瞬時に致命的な光の渦へと変わった。

 裂かれた傷口から全身を焼かれ、巻き込まれたゾンビ・コボルドどもが全滅する。

 呼吸を合わせた、タバサとルイズとのいわば合体技だ。

 

「よしッ!」

 

 リリーは背後で彼女らがうまくやっているのを感じながら、自分は神官へ向かっていく。

 事前にタバサらから仕入れた情報によれば、コボルドの神官が使う先住魔法は概ね土系統のメイジが使う魔法と同じようなものだという。

 その魔法もおそらくはそこまで強力なものではなく、せいぜいライン・クラスのスペル程度のものだろうということだった。

 ただ、あらかじめ精霊と契約した場所では簡単な口語の命令ひとつで力を行使させられるために、同等の系統魔法と比較して遥かに発動が早い点が厄介であるらしい。

 トライアングル・メイジやスクウェア・メイジであっても、呪文を唱える前に無数の石つぶてに四方八方から撃ち殺されてはお手上げというわけだ。

 

 だとすると、魔法を使われても十分対処できる余裕があるだけの距離が開いているうちは、メイジを相手にするのと大差ない。

 問題は、使われた魔法に対処する余裕がないところまで距離が詰まった後だろう。

 波紋とルーンで強化された身体能力でもって魔法を使われる前に一気に斬り込んで片をつけられればいいが、間に合わなければ逆に至近距離から魔法を喰らってこちらがお陀仏になるかもしれない。

 

(とにかく、勝負はもうちょっと近付いてからね)

 

 そう考えながら、リリーは駆けていく。

 

 途中、周囲の石柱や天井の鍾乳石の後ろに隠れていた何体かのゾンビ・コボルドどもが、彼女に襲い掛かろうとした。

 しかし、波紋マフラーによる生命感知やタバサの空気の流れによる探知で、彼らの存在は既に気付かれている。

 あらかじめサポートのために控えていたキュルケが放った炎の矢弾や、リリー自身が走りながら投げた波紋入り投げナイフによって、そいつらは飛び出す端から迎撃されていった。

 

「ウぬうゥ!」

 

 配下の屍生人どものふがいなさに痺れを切らしたように、神官が腕を振り上げる。

 駆け寄ってくる人間の女との間の距離は、もう二十メイルもない。

 その口から、口語の調べが漏れた。

 

「精霊よ、やつを止めるんだ。愚か者の前に立ち塞がれィ!」

 

 神官の求めに応じて、人間の身長ほどの高さとそれ以上の幅がある岩の壁が盛り上がり、リリーの行く手を阻もうとする。

 どうやら屍生人と化しても、生前に結んだ精霊との契約は有効なままであるらしい。

 

(距離はもう十分! このまま突っ込むッ!)

 

 リリーは走る勢いを止めずに、跳躍してその壁を越えようとした……が。

 

「!?」

 

 壁を跳び越えるか跳び越えないかというところで、その壁の向こう側にいた何体かのゾンビ・コボルドに飛び掛かられる。

 上半身しかないもの、首と垂れ下がった臓物だけのもの、四肢がないものなど。

 どうやら、祭壇の周囲に散乱していたコボルドの残骸はすべてがただの死体というわけではなく、屍生人化した個体が混ざっていたらしい。

 物陰などに隠れておらず、目の前に堂々と野晒しにされていたがゆえの盲点だった。

 エジプト・ツアーの最中に肉体が欠損したはんしんおとこ、もとい半屍生人や、菌糸の苗床のような姿になったキノコ屍生人などとも戦った経験のあったリリーとしては、いささか不覚だったといえよう。

 

 空中で不安定な態勢のところに不意を打たれ、それでも飛び掛かってきた最初の半身コボルドをどうにか波紋疾走で叩き落したものの、続く臓物コボルドの牙の生えた腸に腕を噛まれた。

 そこへ、さらに四肢欠損コボルドが噛み付こうと襲い来る。

 キュルケにとってもこれは当然、予想外の事態であり、彼女の呪文は間に合いそうもなかった。

 このままでは、痛手を受けかねない。

 

「……っ、『キャラバン』ッ!」

 

 咄嗟に、自分のスタンドへ呼びかける。

 

『ええい、しゃあないッ! こうなったら、見せたるわわしの鳥人殺法!』

 

 普段は戦いたがらない性格の自立型スタンドではあるが、本体が危機的状況な時に手助けを拒否するほどではない。

 ヤケクソ気味に手を大きく掲げながら駆けだしてきて、今まさにリリーに噛み付こうとしていた屍生人を横合いから蹴り飛ばす。

 

「ギャンッ!?」

 

 ちょうど痛恨の一撃を決めようとしていたところへ、突然謎の衝撃を食らったゾンビ・コボルドは、訳も分からずに地面に叩き付けられた。

 一度暴れ始めたキャラバンは、あたりを縦横無尽に……、というか滅茶苦茶に跳び回る。

 まさにやぶれかぶれだ。

 

『あちょー! ほわちゃー!! くらえスペースシャトル! スペースファルコン! クロノス・チェンジやー!!』

「最後のは、ちょっと無理なんじゃないの?」

 

 噛み付いてきたコボルドに波紋を叩き込み、食い付いた腸を引き剥がしながら、リリーはそんな突っ込みを入れる。

 

『うるさいわ。気分や、気分!』

 

 リリーは、キャラバンにどつかれて転がった残りの屍生人どもをひとまず放っておいて、再度神官の方に向き直った。

 その時、神官がまた口を開いた。

 

「我が契約せし土よ。汝を踏みしものをとどめよ」

 

 途端に、地面から生えてきた岩の腕が、リリーの足を掴んで固定する。

 

「……あちゃあ」

 

 リリーは小さく呟いて、顔をしかめた。

 なるほどタバサの言っていた通り、発動が早い。

 

「今の奇襲を、よくぞ切り抜けたものだ。どうやったかは知らぬが、愚かな毛なしザルにしては骨があると見えるなァ……」

 

 神官はそんな彼女を、ハフハフと犬が呼気を漏らすような声で嗤った。

 

「だが、もう終わりだ。そうして、自慢の足も止まってしまったからにはなァ?」

 

 両者の間の距離は、今はおおよそ十メイルほど。

 これだけの距離が空いている状況で正面から対峙すれば、のろまな人間が何を仕掛けようとも自分の魔法の方が早いという自信があるのだ。

 ましてや、その場から動けもせぬ、けちな人間の魔法すら使えぬ杖無しなど、もはや相手にもならぬ。

 わざわざ人間の言葉で話しかけてやったりしているのも、その余裕の表れだった。

 

「貴様らの肝を抉りだして祭壇に捧げ、血を新しき主に捧げてやるゥ……。残った肉は、我らの慰みものだァ!」

 





やぶれかぶれ:
 7人目本編でキャラバン(や、他にも多くのスタンド)が使う技のひとつ。
スタンドが戦闘向きであろうがなかろうがとにかく大暴れさせて、敵全体を攻撃する近距離技。
SPの消費量は少ないが、命中率や威力も低い。
 他に近距離単体攻撃技として、スタンドが単純な直接攻撃をする「スタンドアタック」というものもある。
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