7人目のスタンド使い魔 ~キャラバンAct2!~ 作:ローレンシウ
明日のためにもそろそろお開きにしなくてはというウェールズの言葉で、ようやく宴も幕となり、貴族や船員たちはアルビオン万歳と口々に唱えては最後の盃を掲げると、会場を後にし始めた。
あとは各々の役割に合わせて、城から打って出るために船の用意をしたり、寝床で体を休めたりするのだろう。
「ふーっ……」
リリーは、これでやっと落ち着けると背伸びをして、深い溜息を吐いた。
自分でそのように話を持っていったからだとはいえ、主役の一人として散々もてはやされて大変だったのだ。
(私も、準備をしとかないと……)
概ねの用意は既に済ませてあるつもりだが、念のため最後の見直しをして、他にやっておけることはないかを考え抜いて。
ルイズらともあらためて打ち合わせをして。
それから、十分に寝て体を休め、万全の状態にしておくことも必要だ。
まあ、キャラバンAct2があるから、時間の心配などはしなくてもいいわけだが……。
そんなことを考えながら、自分も会場を後にしようとしたところで、後ろからワルドに声を掛けられる。
「使い魔くん」
「はい?」
振り向くと、彼はリリーの方をじっと見つめていた。
「君に、言っておかなくてはならないことがある」
表情は柔らかいが、声にはどこか冷たい響きがあるように感じられた。
「なんですか?」
「明日、僕とルイズは、ここで結婚式を挙げる」
「……は?」
リリーは一瞬、何を言ってるのか理解ができず、間の抜けた声を漏らしてしまう。
「あ。す、すみません」
失礼な態度だったとあわてて詫びるも、今の話が全く理解できない、意味不明な内容だったということは変わらない。
「ええと、……その。今、なんて言われました?」
「宴の喧騒も大分収まってきたと思ったんだが、聞こえなかったかな。僕とルイズは、明日ここで結婚式を挙げると言ったんだ」
「…………」
言ってることがわからない……。
イカレてるのか……?
この状況で……。
と、命がけの戦いの最中にいきなり娘をくれと言われた承太郎みたいな反応をしそうになるが、彼女は商売人。
努めて抑えて、失礼のない表情を保とうとする。
しかし、あまりに唐突かつ予想外すぎる話の内容だったために上手くいっていなかったらしく、ワルドはそれを見咎めて目を細めた。
「どうした、不服かね?」
「あ、いえ……」
そもそもあんたは、こないだ宿でルイズに婚約の件は一旦白紙に戻したいって言われたんじゃあなかったの?
なんでそういう話の流れで、あの子が明日あんたと結婚すると思ったの?
もしかして、皇太子が明日の朝玉砕するのをやめにしたから自分が代わりに玉砕してみせようとかいう、体を張ったジョークなの?
(万が一本気でそうなんだとしたら、まあ、ある意味尊敬するけど)
しかし、さすがにそんなことはないだろう。
「……その。私に不服とかはないですし、そもそもルイズの結婚に口を出すような立場でもないですけど。こんな場所で明日すぐにっていうんじゃルイズのご両親だって列席できないですし、なんで自分たちがいない場所で大事な娘の結婚式をって、後で怒られたりしませんか?」
とりあえず無難にそう指摘しておいて、ワルドの反応から彼がなぜ急にこんなことを言い出したのかを探ろうとする。
彼は動じることなく、平然とした様子でそれに答えた。
「確かにいささか性急だろうが、是非ともあの勇敢なるウェールズ皇太子に、僕たちの婚姻の媒酌をお願いしたくなってね」
いささかなんてもんじゃないと思うけど、と内心でツッコミを入れるリリーをよそに、ワルドは講釈を続ける。
「平民の君にはわからないことかもしれないが、王族の媒酌を受けられるなど、貴族にとってもめったにない名誉なのだ。ましてや、明日散っていく王族の最後の皇太子となれば、こんな機会は二度とない。ヴァリエール夫妻は名誉を重んじられる方だ。娘がこんな破格の待遇を受けて、不満のあるはずもないさ」
「……なるほど……」
口ではそう言ったものの、リリーはその理屈を疑わしく思った。
いくら貴族だの、名誉を重んじるだのと言っても、ルイズの両親だって娘を愛する人の親だろう。
ルイズから時折聞く家族の話から判断するに、彼女の両親はいつまで経っても魔法を使えるようにならない末の娘に対して厳しくはあるものの、それは彼女のことを案じているからで、決して親子仲は悪いものではないという印象を受けた。
名誉とやらがどうあれ、義両親が娘の結婚式に立ち会えなくなることもお構いなしにその場の思い付きみたいなノリで結婚式を挙げる男が歓迎されるとは、リリーの感覚ではとても思えないのだが。
(ていうか、さっきの話を聞いてなかったの?)
全員で協力して敵の陣中を突破して生還する、そのために戦うと決まっただろうに。
明日散っていく王族だなんて、何を縁起でもないことを。
実際のところ、ワルドはルイズを探しに会場を出ていたので本当にその辺の話の流れをまったく聞いていないのだが、リリーは気付いていない。
(……まあ。こっちのほうじゃあちょっと考え方が違うのかもしれないし。後からあらためて家族や友達にも出席してもらえる祝賀会みたいなのを催すとかの方法もあるか……)
そう思い直して、それについてはとりあえず納得しておくことにする。
しかし、そもそも両親がどうとか、縁起がどうとかいう以前に。
「わかりました。それで、わざわざ確認することでもないとは思いますけど。明日式を挙げるってことは、もちろん向こうも承知しているんですよね?」
口ではそう言いながらも、リリーはどう考えてもルイズが承知しているわけがないことはわかっていた。
大方、これから話す気なんだろう。
ラ・ロシェールでの彼女の芳しくない反応にも関わらず、自分が本気で申し込めばルイズが断わるわけがないだとか、そんなことを考えているに違いない。
とんだ勘違い野郎というか、自信過剰すぎて痛々しいというか、見てくれだけはいいけどもはやキモいレベルだというか……。
(先に私に話を持ってきたのは……まさか、私の口からルイズに伝えろだとか、説得して承知させろだとか、そういう肝心な部分を押し付ける気なんじゃないでしょうね?)
もしそうだとしたら、冗談じゃない。
明日は大仕事があるというのに、こんな男の仲介業なんてしていられるものか。
そもそも、需要もない相手に結婚なんて大商品を買わせられるわけがない。
しかし、ワルドの返事は、彼女の予想の斜め上を行くものだった。
「もちろんだ。皇太子は快く承知してくれたよ。明日、決戦の前に、僕たちは式を挙げることになる」
「皇太子? いえ、その……」
そっちじゃなくて、ルイズのほうの話で。
そう言おうとしたものの、そこでリリーはふとワルドの目を見て、口をつぐんだ。
「なんだ、どうかしたかね?」
「……いいえ、別に」
ごまかすように営業スマイルを浮かべながら、リリーはなるほどキュルケは男を見る目がある、自分はまだまだだと思った。
彼女の言ったとおり、この男はまるで氷のように冷たい目をしている。
(あんた、自分の中では、明日にはルイズと結婚するつもりなんでしょうが?)
これは、そんなめでたい日の前日に、結婚相手の話をしているって男の目じゃあない。
大した思い入れもない商品の納入予定について話している商売人みたいな目だ。
「そうそう。明日式があることは、ルイズにはまだ黙っておいてくれよ」
「……はい?」
「彼女を驚かせてやりたいのでね」
彼としては明日になって急に話を振り、もう皇太子も引き受けて大切な時間を割いてきてくれているのだという状況にすることで、ルイズに断ったり引き延ばしたりする選択肢を与えまいとしているわけだが。
リリーはそれを聞いて、ますます胸がむかむかしてきた。
(はああ? サプライズで婚約指輪を差し出すみたいなノリで、当日の朝にいきなり宣言して結婚式??)
女をなんだと思ってんだ。
頭脳が間抜けなのかとか、イカレてんのかとか、この便器に吐き出されたタンカス野郎がとか。
思いきり罵倒してやりたい気分になったのを、ぐっとこらえる。
そして、得心がいった。
(……ああ。そういうことか……)
向こうが承知しているのかと聞かれたときに媒酌人の皇太子のことだという発想しか出てこないのは、彼女自身のことはとっくに納入が確約された、名乗り出て売約の札を差し出せばそれで手に入る商品くらいにしか思っていないから。
ワルドはルイズを対等な相手として見ていないし、極論意思をもつ個人であることさえ、理屈では理解しているだろうがまともに考慮していない。
ただの商品か道具のようなものだと思っているのだ。
だから、ルイズの気持ちを尊重しようなんて考えもないし、そもそも彼女ももう年頃の女性なのだから幼い頃は懐いていたにもせよ十歳も年上で長い間会ってもいない婚約者については検討し直すかもしれないという発想さえなく、婚約を一旦白紙に戻したいという彼女の意向も認識しないのだろう。
「…………」
これまではせいぜい面倒な人だなとか、見てくれはいいけどちょっとキモいわ、くらいに思っていた程度だった目の前の男に対して、急に嫌悪感が湧き上がってきた。
そんな彼女の胸中も知らずに、ワルドは話を続ける。
「君も出席するかね? だが、帰りのグリフォンの背には三人は乗れないのだから、先に出発しておいてもらったほうがいいかもしれないな」
式の後はルイズも自分たちと同じドラゴンに乗って決戦に向かう予定なのに、なんだか話が噛み合っていない。
リリーはそれを、決戦に僕の花嫁は連れて行かせないからお前らだけでなんとかしろということかと解釈して、ますます気に食わない思いを強める。
(あーそう。さっきみんなで決めたことも無視して。あんたの頭には、どこまでも自分の都合と、おめでたい未来予想図しかないわけね?)
心の中でそう吐き捨てながらも、リリーは完璧な営業スマイルを浮かべた。
嫌悪感が強まったことで、逆に冷静になった感じだ。
「お気遣い、ありがとうございます。そうですね。今は急な話でちょっと驚いているので、明日までにどうするか考えておきますから」
「そうか。では、もしかしたら君とは、ここでお別れになるかもしれんな?」
穏やかにそう言いながらも、ワルドは内心では彼女を先に始末しておくべきかを検討していた。
もし出席するとしたら、明日の式で少々面倒なことになるかもしれないから。
しかし、いてもやり遂げる自信はあるし、主目的にかかる前にあえて危険を冒すこともないだろうと結論する。
(ルイズさえ取り込んでしまえば、こいつもいい手駒になるわけだからな)
そんなワルドの考えなどつゆ知らず、リリーはお別れになるかもってまた縁起でもないことを、と不服に思っていた。
彼女は、お別れになるかもというのは当然、明日の戦いで自分が死ぬかもしれないという意味だと考えている。
明日の決戦のことなど知らないワルドとしては、先にトリステインに帰るならここでお別れという意味で言っているわけだが。
「……ええ。でも、明日はいい日になってほしいですね」
「もちろんだとも。いい日になるさ」
リリーは、最後にワルドが式を挙げる予定でいる大体の時刻や場所を聞き出すと、この愉快だとは到底言い難い会話を打ち切って、その場を離れた。
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その夜。
リリーは他の少女らと共に、明日に向けての最後の打ち合わせをしていた。
もちろん明日に向けてというのは、結婚式ではなく決戦の話である。
その話の途中で、彼女は何気なく、ルイズに話を振ってみた。
「そういえば、ワルド子爵のことなんだけど」
「え、ワルド?」
なんで急に彼の話が出てくるのかと、ルイズがきょとんとする。
脇にいたキュルケが、思い出したように言った。
「そういえばあいつ。パーティ会場であたしたちが話してた時に、ぜんぜん絡んでこなかったわね?」
ルイズの婚約者を気取っていた男なんだから、彼女が戦場に出るなどという話には当然口を出してきそうなものだが。
事前の話し合いではその点も考慮して、彼を説き伏せる流れとか、強く望むようなら彼もドラゴンに乗らせるかとか、万が一にも戦場で散ったなら王女からの使命を果たせなくなるという点を強く主張するようなら彼に手紙を渡して先に帰らせるかとか、いろいろ検討していた。
いざ話し合いが始まったらそっちに集中していて気にかける余裕もなかったけれど、言われてみれば彼がまるで絡んでこなかったのは奇妙なことだ。
「……用を足しに出ていたとかで、話の流れがよくわかっていなかったのかもしれない」
とはいえ大して興味のあることでもないので、少し考えたタバサがそう指摘すると、ああなるほどとあっさりと納得したが。
リリーもそうだったのかもしれないとは思ったが、彼女にとってはそのへんの事情はもはやどうでもいいことだった。
「ま、明日は船のほうに残ってもらって、敵の弾を避けたり、魔法で船を加速させたりを担当してもらえばいいでしょ。あれでも風のスクウェアらしいから適任だろうし。魔法衛士隊の隊長ともあろうものが当日になって聞いてないとかごちゃごちゃ文句や泣き言を言ったりはしないでしょ」
「そうね。それが妥当だと思うわ」
「同じく」
そう言う少女たちに、リリーも賛同しておきながら。
何気ないふうを装って話題を変える。
「ところで、緊張感のないことを言うようだけど。こういうときって、緊張でドキドキして、それを近くにいる人へのロマンチックな感情による胸の高鳴りと誤認しやすいらしいのよ。だから、戦場で芽生えたロマンスみたいな話が多いんだとか」
「ふうん。そういうもの?」
ルイズは特に気のない様子で相槌を打った。
「あら、いいじゃないの。きっかけがなんであれ、燃え上がってしまえばそれは恋よ、恋。本物も偽物もないわ。あなたもそう思うでしょ?」
「ノーコメント」
ほのぼのしたやり取りをしているキュルケとタバサのことは、ひとまず置いておいて。
「もしかして、明日ワルドさんから猛烈にアプローチされたりしたら、ルイズもその気になったりする?」
「……はあ?」
リリーにそう聞かれて、ルイズはきょとんとした。
「なんでそんな話になるのよ? わたしが彼に、婚約の件は一旦棚上げにして考え直したいって伝えたのを知ってるでしょ?」
「もちろんよ。でも、『明日には死ぬかもしれないから受け入れてくれないか』とか言われて、その場の雰囲気に流されたりとか……」
ルイズはむっとしたような顔になる。
「貴族の結婚は、始祖に永遠の愛を誓うものよ。そんな一時の感傷で結婚はできないわ。万が一、誰かからそんなことを言われたとしたら……。そうね、『この戦いが終わったら前向きに考えてみるから、必ず生きて帰ってきなさい』って答えると思う」
「そう、わかった。私もそれが妥当だと思うわ」
リリーはそれで、この件についてどうするのかを決めた。
本人の望みどおりにこのまま明日の朝まで黙っておいて、当日ものの見事に玉砕する一部始終をにやにやしながら眺めててやりたいという意地の悪い野次馬根性もないではないし、普段なら実際にそーするかもしれないが。
大事な決戦直前の朝になってから、あんな馬鹿野郎のために少しでも気持ちを乱させるような迷惑を、ルイズにかけることはあるまい。
「みんなに、こんな時に面倒くさい話をして申し訳ないんだけど。実は、ついさっき――」
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その夜のうちに、ルイズとリリーは連れ立って、ウェールズ皇太子の部屋を訪れた。
いちおう、キュルケとタバサも付き添っている。
野次馬根性というやつだ。
「君たちか。どうしたのだ、こんな夜更けに」
「殿下、このような時に大変な失礼をいたして申し訳ありません。ですが、どうしても今夜のうちにお伝えせねばならぬ儀がございます」
「実は、明日の朝のことなのですが――」
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翌朝。
早朝のうちに、ワルドは意気揚々とルイズの部屋を訪れた。
手にはアルビオン王家から借り受けた、永遠に枯れぬ花の飾られた花嫁の冠と、処女性をあらわす純白の、新婦のためのマントを持っている。
「ルイズ、いるかい?」
こんこんと扉をノックするが、返事はない。
(まだ寝ているのか、相変わらず朝が弱いようだな。あの使い魔もか?)
そう思って冷笑する。
地上へ亡命する女子供を乗せた船の出航に間に合わせねばならないから、もうそろそろ起きねばならない時間のはずなのだ。
もっとも、ワルドにはルイズをその船に乗らせるつもりはないが。
「もう起きるんだ。入るぞ」
しばらくノックしても起きてくる様子はないので、ノブを回してみる。
「おや……?」
鍵がかかっていれば『アンロック』をかけるつもりだったが、扉はあっさりと開いた。
しかし、中はもぬけのからだ。
ベッドはしっかりと片付けられていて、荷物もない。
彼は、昨夜、リリーが式の行われる時間や場所を聞いてきたということを思い出した。
(もしや、あの使い魔が気を利かせたつもりで、早朝のうちに先に荷物をまとめたうえでルイズに伝えて、礼拝堂へ連れて行ったのか?)
こちらへ事前の相談もなしに要らぬ世話をと、ワルドは肩をすくめたが。
まあ、大した問題でもないし、それならそれで別に構わない。
彼はそのまま、礼拝堂へ足を向けた。
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礼拝堂に到着すると、入り口の扉はぴったりと閉ざされていた。
そこに、二通のメッセージカードらしきものが張り付けてある。
「……うん?」
何かと思って顔を近づけ、文面を読んだワルドはしばし目を丸くし、ついでその顔に、さっと朱が差した。
それらのカードには、次のように書かれていたのだ。
『ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵様。
先ほどルイズに昨夜の話を伝えましたところ、彼女は残念ながら本日の婚姻を望まないという意思をはっきりと示しました。
念を入れて繰り返し確認をいたしましたが、気持ちは固いようでした。
本来ならば当然、本人が対面にてお話しするべきところではありますが、貴方様もご存じのように、彼女は当日大切な役目がある身です。
今は十分なお話をするだけの時間の余裕もなく、大きく気持ちを動揺させるような行為も極力避けなくてはなりませんので、大変失礼をいたすことにはなりますが、私の代筆にてその旨をお伝えさせていただきます。
当日の朝になってのこのような連絡は甚だしく非常識なことかとは思いますが、当人に今朝になるまで式の実施を知らせないようにとのご指示のゆえに他の方法がなかったことをご理解いただけますよう、重ねてお願いいたします。
かしこ。
ミズル・リリー』
『ワルド子爵殿。
昨日約束させてもらった婚姻の件だが、残念ながら執り行えなくなった旨、ご連絡する。
ラ・ヴァリエール嬢は、先刻リリー嬢を伴って私を訪問し、事情を話していった。
彼女はつい先ほどまでこの式の話を知らなかったと言い、幼少期に互いの親の間で婚約が交わされたことは確かだが、少なくとも今の時点では君との婚姻を望んでいないと説明した。
彼女の話は理路整然としたもので、意思表示ははっきりとしており、私の判断する限り、気の迷いなどは見られなかった。
よって、双方の合意のない愛の誓いを立てさせることは両名、両家、および始祖に対する重大な侮辱であるゆえに、この式は中止とする。
君たちを交えて一度しっかりと話し合いたいのは山々だが、私も本日の決戦に向けて忙しい身なので、書面にて失礼したい。
追伸:老婆心ながら、次の機会があれば結婚を望む女性にはもう少し早く連絡をとり、本人の意思や都合の確認を徹底しておかれるよう助言する。
ウェールズ・テューダー』
いくらなんでも当日朝まで結婚式をすることを伝えないなんて非現実的だろって?
いや、原作でもそうだったし……。