その願いが、間違っていたとは思わない。
 ただ、その先が見たかった。ただ、ようやく願いを知ったその心を支えたかった。
 笑い続けたその頬に、涙が流れたのに。何一つできないことを憎んだ。
 その涙を、笑顔に変えられたらと願った。
 もしもこの無力な手でその涙を拭いてやれるのなら。どれだけ足掻こうと変えられない未来を、この手で切り開けるかもしれないのならと。
 そう乞うた願いは、きっと何一つ間違っていないはずだ。

 けれどそれでも。
 何一つ失わず、全てを得ることはできなかった。
 奪って。失って。壊して。踏みにじって。
 そうして得た力は、本当にあの日ほしかったものなのか。

 今はもうわからない。
 それでも、止まることなどできない。その資格もない。
 だってもう。残されたものなんて、ここにはないのだから。

 だがそれでも、進むと決めたのは、ほかでもない自分自身だろう?
 故に進め。何を踏み潰そうと。何を犠牲にしようと。
 傷つくことも、赦されることも、何一つあってはならない。
 それを悼む権利は、この身にありはしないのだから。


  part1()
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