Kämpfe gegen die Erde   作:Kzhiro

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執筆者はロロナ氏。


或る地上軍将校の苦労について

ーーかぷり。

 

かつての自宅の数千分の一にも満たぬ狭さの、唯一の自由空間で、さして質のよいわけでもないベッドに腰掛けながらパイプをふかす男が一人。

 

名は、エミール・フォン・ロマノフスキー。

 

かつては銀河帝国地上軍第一師団長を拝命していた将軍であり、今や銀河帝国地上軍を統べる者であった。

 

が、現実はその肩書きに比べて酷く見劣りするものであった。

ロマノフスキーは、「あくまで皇帝陛下にお供すべき」と考えていたものの、部下の

 

「閣下は、あのカルトどもに屈するのですか?閣下は我々のことを考えていたのは知っております!ですが、閣下の理屈に基づけばカルトどもに屈することを私達第一師団は望んでおりません!皆の署名も集めております!閣下、ご判断を!奴等がオーディンに来るまで時間があります!オーディンを捨て、後方の惑星で最後の抵抗をしましょう!」

 

との叫びに屈し、近衛師団等からも志願した有志を統合して脱出を果たした彼らはその後、オリオン腕においてゲリラ的に抵抗を続けた末、オリオン腕全臣民解放戦線へと流れ着いた。

 

その結果、彼はいつの間にか「マトモな地上軍将校」として地上軍統括を任されてしまった。

 

そんな彼は、解放戦線高官としては面倒な立場にあった。

 

装甲擲弾兵を率いるオフレッサーが「れっきとした」上級大将にあったのに対し、彼は「地上軍統括に任じられた際に賜った」上級大将の地位にあったこと、共産主義者から自由主義者、全体主義者に反動主義者、民主主義者までいる解放戦線の中でも、表立って出さないとはいえ「血濡れ」に否定的な穏健的改革派の自由民主主義者という立場は、権力バランスにおいて面倒な影響をもたらしていた。

 

これは、何時でも高官らを拘束しうる地上軍のトップが、よりにもよって財務と近い、ということに加えて下手すれば忠誠心すら怪しいというのだ。

 

更に、オフレッサーに比べて二階級低い中将であった、というのが人望、戦闘力においてオフレッサーに劣るロマノフスキーの立場を尚更厳しくしていた。

 

尤も、ロマノフスキーの強みは「何をやらせても問題なく出来る」ことであり、武勇に全てを振り切ったオフレッサーと比較するのは双方に失礼であるとはいえ、この強みは今のところ活用されていないのが面倒であった。

 

とはいえ、地上軍統括として政治体制に口を出す場合は「組めるものとは組むべきであり、最悪、『ゴールデンバウム朝を軸とした立憲君主制の民主主義連邦国家としての銀河連邦帝国』も考えるべきである」と発言するのみであったが。

 

そんな彼は、軍の指揮系統再編を任されており、如何に共産党系民兵と既存の軍組織両方の不満を抑えつつもこれを回すかを考えていた。

 

(オフレッサー他の意見は「共産党による軍の共産主義蔓延の阻止」であり、かといって「軍事的合理性を欠いてはならない」、そして「上下関係を保ち、一本化された指揮系統」か......せめて数年あれば「元共産党員の教育された将校と兵士による部隊」を作れたものだが、すぐとなれば困るのが、共産主義思想を持つ将校はアグネス殿下が殺してしまったからな...かといってサジタリウス椀の亡命将校なんて更に嫌われるだろう。さて、どうしたものか...)

 

いつの間にかパイプの火が消えて尚、彼は考え込んでいた。

 


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