千年前戦争アイギス 占星術師の昔話   作:青き男

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捏造、矛盾、一部設定の意図した無視、黒トゥアンおりゃん、黒ユージェンおりゃん。
それから、ぼくがかんがえた最強の英雄王が出ます。
以上に嫌悪感がある人はブラウザバックを勧めます。

基本的な登場人物はほぼ英傑達で、ソラス視点で話が進みます。


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エピソード1 プロローグ

 先日のアトナテスの助言に従い。

 俺は訳知り顔の占星術師こと、ソラスの部屋に訪れた。

 すると、待っていましたとでも言わんばかりに、彼女はソファに腰掛け。湯気の立つ紅茶を啜っていた。

 すでに見知った仲で、立場は俺の方が上であるかもしれないが。

 彼女は、俺の先祖たる英雄王と共に。物質界をガリウスから守った、偉大なる先人だ。礼儀は払うべきだ。

 ソラスに催促されてから、俺はソファに座り。目の前にある用意されていた紅茶に、俺も一口啜る。

 

 星の導きで、来ることが分かったのか。

 俺がそう尋ねると、ソラスはえぇとだけ返し。

 

 「何の用事ですか、王子君」

 

 にこりと微笑む彼女に、俺は単刀直入に聞く。

 英雄王、その生涯。全てを知りたい、と。

 

 「全て、ですか。千年戦争の魔王との戦い辺りの、わくわくでドキドキな、ハチャメチャ物語ではなく?」

 

 全てと、俺は改めて答える。

 英雄王。

 魔物が溢れかえり、誰もが諦観の中で、絶望が支配した世界。

 その世界で立ち上がり、剣を取り。女神アイギスの加護を受け、魔王を討ち滅ぼした存在。

 ということは誰もが知っている、かつてあった歴史だ。物質界ならどこへ行っても、多くの者が知っている。

 俺も、書庫にある英雄王の物語は何度も、何度も擦り切れる程読んだ。

 

 だが、昔から疑問があった。

 英雄王の物語は、大まかにはこうだ。

 

 悪い魔王が世界を支配しようとした。

 そこに神が選んだ英雄が、国を立ち上げ、英傑という仲間達と一緒に魔王を倒した。

 そして女神様が魔王を封印し、世界に平和が訪れ。

 英雄王は立派な王様として、生涯を終えました。

 めでたしめでたし。

 

 そう、物語は決まって、千年戦争終結後となると、途端に話の内容が薄くなる。

 英雄王の晩節の話に至っては、全く残されていないのだ。

 魔王討伐までの話が英傑達の活躍含めて、色濃く残されているにも関わらずだ。

 いつか聞こう、いつか聞こうを繰り返していく内に随分と時間が経ち。英傑の塔、最近事実が発覚した悪霊もとい、王国大迷宮の事実。そして管理者の少女との交流の後、再度読み直した英雄王の物語。最後に、アトナテスの、俺と皇帝に持つ。英雄王になく、俺達にある力という話を聞き。

 

 今一度。いや今だからこそ、英雄王の全てを知らなくては、そう思い。

 アトナテスが、英雄王の全てを知っていると推した。

 ソラスという、生き証人に聞こうとなった訳だ。

 

 んー。と、人差し指を頬に当ててソラスは考えている。

 今までソラスと、英雄王を話題として話をしたことは幾度かあったが、その晩節までと聞いたのは初めてだった。

 何か話したくなくないことでも、あるのだろうか。日を改めるべきかと顎を少し落とすと。

 

 「……仕方ないですね。王子君の頼みですから」

 

 ソラスはそう言い、また一口紅茶を啜る。

 そして。

 

 「面白くない、話ですよ」

 

 釘を射す様に、ソラスは言う。

 その顔は、普段見せている愉快で、柔らかい顔ではなく。

 商人たちが商談の時に見せるような、冷たさに似た物を感じた。

 彼女が、このような顔をするとは。余程のことだろうと、俺は改めて姿勢を正した。

 

 「王子君問題です。英雄王。その名は、何というでしょう」

 

 ソラスの問題に、俺は困惑した。

 難しいのではない。簡単すぎるのだ。こんな問題は、幼子でも分かる。

 

 アルトリウス。

 

 それが、かの英雄王の名前だ。

 俺の名前も、父王もそれに、ある程度あやかった名前をしている。

 だが、アルトリウスの名だけは、誰であっても名乗ることは許されていない。

 名乗る事すら、恐れ多いとされている程だ。

 

 「いいえ、違います。英雄王の名は、そんな長い名前をしていません」

 

 だが、ソラスは否定した。

 馬鹿な。英雄王から続く、千年を否定された気がした俺は、ショックのあまり、思わず立ち上がりかけるが。

 胸に両手を合わせ、祈る様に瞳を閉じるソラスに、俺は静かに腰を下ろし直す。

 

 「王子君いいですか。私は一度だけ。大切に、とても大切に、心を込めて彼。英雄王の真名を告げます」

 

 しんと部屋が静まり、ソラスと俺の鼓動の音だけが、部屋を満たす。

 だが、ソラスが再び口を開いた時、全ての音が英雄王の真名に音を譲った。

 

 「アルト」

 

 ソラスが言ったことと言えば、ただの名だ。

 だが、その名は、俺が一人受け止めるには、余りにも重すぎた。

 その名が持つ、大きなナニかに、俺は気圧され。

 千年の重み。万感の思いとはかく言うのかと、俺に確信させた。

 

 「……では、お話ししましょう。英雄王がまだ、無名の剣士で、小さな一団を率いていた頃の話。星を詠む者ソラスとの出会い。英傑達の出会い。魔王との決戦。続く再生の日々、そして……晩節を」

 

 これは、英雄王の死までの物語。

 そして同時に、ソラスが見てきた千年前の千年戦争の話。

 ソラスが付き添ってきた、一人の男の話。

 

 

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