「実年齢二十歳超えてんのに今更高校生やるとかねェよ……。素面で女子高生の相手しろってか」
「この空気の中、三年間過ごせとかキツイって……。いや、箒の護衛だってことは分かってるんだけど」
「てか、同じクラスに布仏がいるだろうに。俺、必要か?」
「本音ちゃんはメンタルケア担当だし。なにより、いっくんが居た方が戦力的に確実だよね?」
「いやまあ、そうだけどさ。野郎が俺だけとかすっげえ疲れる」
「十蔵さんいるじゃない」
「あの人職員だろうに。男子生徒が俺だけってのが問題なんだよ」
「四六時中、珍獣でも見るような目を向けられるのは、正直勘弁願いたい……」
「まあ、人の噂も七十五日っていうし」
「二ヶ月半もあの視線に耐えろとおっしゃるか……」
「う~ん、そう言われてみると結構な長期間だよねぇ……」
「そもそも束以外眼中に無いのに、自分以外異性ばっかりとか普通に罰ゲームだっつうの」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどさ、私が一番なら別にもう二、三人囲ってもいいんだよ?」
「トライアングラーならまだしも、ペンタグラマーとか洒落にならねえよ!」
「つか、そんなことしようもんならアルトの奴をどうこう言えなくなるんだが?」
「でも、箒ちゃん祝福はしてくれたけど、いっくんに未練があるのバレバレだよ?」
「分かってるよ、それぐらいは。昔はともかく、今はそこまで鈍くねえ」
「変われば変わるもんだよねえ、ミスター唐変木とまで言われたいっくんが自己紹介の時、あんなこと言うなんて」
「いやだってさ、余計な期待とか持たせる訳にもいかないだろ」
「女子校でたった一人の男子生徒、ただし彼女持ち。イケメンキタコレ!とか思ってた娘にはとんだ肩透かしだよね」
「女性陣に女心について徹底的に叩き込まれたからな。教材として少女漫画読んでみたり。いや、おもしろかったけどさ」
「その所為か、未だに気障な台詞を口走ることが有るよね。それもすごく様になってるし」
「どうも癖になっちまったみたいでなぁ。直した方がいいのかねぇ」
「駄目とは言わないし、かっこいいからいいけどさ、ほどほどにしといた方がいいんじゃない?」
「今ぐらいの歳の娘って頼り甲斐のある男性に弱いだろうしさ、ある程度線を引いとかないとバレンタインデーとか大変な事になるよ?」
「だからこそ、彼女います宣言したんだが?」
「甘い、甘いよ、いっくん!女ってのはねぇ、他人の男ほど魅力的に思えちゃう生き物なんだよ!」
「彼女いるのにモテてもなあ……正直困る」
「いっそ開き直ってハーレム作っちゃいなよ、ユー」
「彼氏に対する台詞とは思えねえな、おい。そもそも、そこまで甲斐性ねえっての……」