悪役令嬢(笑)へ転生した俺!ぶっちゃけ商人上がりの偽貴族でほぼ詰み何ですけど!?   作:N2

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パーティー会場での細かい描写が知りたいという方は、原作様web版や書籍版一巻の白い手袋を参照してください。
漫画版ですと2巻の白い手袋、決闘前夜を参照して下さい。

拙作の【乙女ゲー世界はモブの中のにこそ、非常に厳しい世界です】第15話、学期末学年別パーティーでもアンジェリカや5人とマリエのやり取りが記載されてます。
https://syosetu.org/novel/250891/




第10話 しゃしゃり出ちゃいました。

 パーティー会場が静まり返ったかと思えば、直ぐに騒然とし始めた。

 俺、ステファニー・フォウ・オフリーは余りの出来事にポカンとその光景を見ていた。

 落ち着け俺、リオン君は女の子の胸元を無遠慮に見ていたが今は、この展開に困惑した表情を浮かべている。

 主人公のオリヴィアちゃんは制服参加か。てっきりリオン君が、胸元ドバァンのエロいドレスをプレゼントすると思ってたから意外かな。

 アンジェリカさんが手袋を投げた時に慌ててリオン君を呼びに行っていたけど、あれ? 何であの二人は付き合ってないのだろうくらいの距離感だ。

 リオン君もゲームのシナリオを改変させている元凶の一人だと思うんですけど……

 その冒険野郎のリオン君は、アンジェリカさんのドレス姿を凝視していた。どことはリオン君の名誉のために言わないでおいてあげよう。

 

 エーリッヒさんは、ナルニア一点張りの所にマルティーナさんが乱入して、ある意味アンジェリカさんが、手袋を投げた今よりも緊張状態を保っている。雰囲気に恐れをなして、周囲に人が全く居ないのが笑える。

 あの人は運が壊滅的に悪いな。

 というよりも自分の事を余り良く分かっていない残念な人なんだろう。

 5万ディア、約五百万円のドレスをマルティーナさんに見繕ったのに放って置いて、ナルニアと談笑に興じるとか馬鹿でしょ。

 

 「お嬢様、一体どうなるんです?」

 

 カーラは困惑している。そりゃそうだ。普通クラスには全く関係ない状況だからね。

 

 「ありゃぁ、爵位の高い人達のトラブルとか勘弁して欲しいですよねぇ」

 

 オフリーの寄子で騎士爵家出身のイェニーは、うんざりしながらも野次馬根性が刺激されたのか、しっかりとアンジェリカさんとマリエ、そしてカイル君を含めた六人を見ていた。

 

 「カーラ、もう成り行きに任せるしかないよ。あの揉めてるのって、将来この国の重鎮達だよ。もう下々に迷惑かけない範囲で勝手にやってって感じ。イェニーは興味津々に見ないの」

 

 俺も本来なら二年後? のイベントの筈なのに、いきなり過ぎてどうでもよくなってきた。

 

 「あっちも面白そうなんですよね。ニア様ってあんな積極的だったかな? 斜に構えて少し離れたポジションを好むイメージだったのに……」

 

 イェニーの言葉に改めてエーリッヒさんを見ると、マルティーナさんと腕を組んでいるように見えて、その実関節を極められながら青褪めた表情をしている。

 痛いのか悲壮なのかわからない表情でアンジェリカさんを見詰めるエーリッヒさんが滑稽過ぎて笑える。

 しかし、そんな雰囲気の中、エーリッヒさんの右袖を掴んで離さないナルニアには脱帽するな。

 

 「まぁ、エーリッヒさんって内情を知ると結婚相手としては申し分ないからね……」

 

 「バルトファルト卿と同様に人気無いって感じですけど」

 

 カーラはマルティーナさんを恐る恐る見ながら呟いている。

 

 「理由の一つにマルティーナさんの存在があるけどね。上級クラスの女子達は本人の将来性を無視して、その家の財力と権力が目当てだから。あの五人の存在で感覚が更に歪んだ気もするけど……」

 

 カーラとイェニーに応じながら、アルトリーベ本伝の決闘前のシーンを思い浮かべるけど、どうも俺が知ってるユリウスルートとは違う気がする。

 折々でのアンジェリカさんの今の五人とのやり取りに似通ってはいるけど、決定的に違う気がしてならない。

 

 「マリエ、拾え。大丈夫だ。お前には俺が付いている。お前の代理人は俺が務めよう」

 

 「殿下ばかりに良い格好はさせておけませんね。学園のルールでは女子の代理人である男子が一人とは限りません。私も立候補をしましょう」

 

 ユリウス殿下に続いてジルクが名乗りをあげた。

 ん? マリエの学園での状況を考えるとこれって……

 

 「面白いから俺も参加する。誰でもいいからかかってこいよ」

 

 「脳筋はこれだから…… けど、売婦とは聞き捨てならないな。ついでに決闘後には謝罪をして貰うぞ。当然、僕も参加だ」

 

 グレッグにヤレヤレと言いながら、ノリノリで参加表明をするワテクシの婚約者。

 どうしよう、なんの感慨も湧かない。

 ていうか、ちょ、これやっぱり伝説の――

 

 「剣の腕には自信がある。マリエの剣として戦って見せよう」

 

 クリスの言葉で確信した。俺自身はそのルートをプレイしてないが、情報としては知っている。

 

 「みんな…… 私、怖いけど、みんながいれば安心だね。私、この決闘を受けるよ。アンジェリカさん、私はみんなと戦います」

 

 まさか、完璧な逆ハーレムルート、完成していたとは……

 

 「って今の時点でそれは早っ!」

 

 これって本格的に攻略対象のルート化する三年時のイベントじゃねぇか!

 って不味い……

 

 「あれってオフリーじゃない?」

 

 「ブラッド様の婚約者だっけ?」

 

 「あの娘も惨めよねぇ」

 

 ビックリして一本前に出て声を上げてしまった。

 

 「オフリー、お前……」

 

 俺の実家はアンジェリカさんとは派閥が違うというのに、四方八方から野次と蔑みを一身に受けた彼女は、俺に対してさえ縋るような視線をしてきた。

 

 「君はオフリー伯爵家の。何だ、君もアンジェリカに味方するのかい? それならば、僕の婚約者でも容赦はしないよ」

 

 ぐはっ! 

 ブラッドの奴が俺の逃げ道を塞ぎやがった。

 

 「おい、誰かこいつらを助けてやる奇特な奴はいないのか? 取り巻きもいただろうに。ここまで人徳がないと同情したくなるぜ。決闘を申し込んだんだ。代理人が用意できなくても逃げるんじゃねぇぞ」

 

 アンジェリカさんと俺を笑う声がパーティー会場を満たしていた。心細くなってナルニアの方を見るとエーリッヒさんと目が合った。

 エーリッヒさんは肩を竦めながらリオン君の方を見て、互いに溜め息を吐き――

 

 「じゃぁ僕は、オフリーさんの代理人に立候補しよう」

 

 「はい、は〜い! 俺はアンジェリカさんの代理人に立候補しま〜す!」

 

 チート持ちと鬼畜修羅の登場に、俺は心の底から安堵したのだった。

 

 

 

 

 「さぁ、貴族様御用達のステファニー金融(フィナンシャル)ですよぉ。家紋と家名は必須です。爵位によってお借入額に上限はございます…… が、しかし、無計画なご利用も何のその! 貴族様の無謀な夢とロマンをステファニーフィナンシャルは応援致します」

 

 パーティーの翌日の午後、俺は金融業を営んでいた。

 

 「クラリス先輩、元気出しましょう! ジルク様の本意はエーリッヒさんが、決闘で問い質すって言ってましたし」

 

 エーリッヒさんから、ヘルツォークと俺個人の後ろ盾はバーナード大臣だから、クラリス先輩に状況を伝えてよく見ておけと言われたので、午前中に顔をだした。

 そうしたら用意周到にも婚約破棄の書状が届いたというわけだ。

 

 「ジルク、何も話してくれてなくて…… ジルクが学園に入学してきてからは、ほんの最初しか会えてなかったの。私…… 何か嫌われるようなことしちゃったの?」

 

 グスグスと泣き出してしまった。

 俺は正直、ジルクとクラリス先輩の関係には興味が無いとはいえ、めっちゃ心が痛いっす。 

 この人、本伝ではゲームに殆ど出て来なかったし。名前とイラストのワンカットぐらいだっただろうか?

 攻略キャラの婚約者とはいえ、オフリー嬢よりもモブな立ち位置。オフリーは空賊の手引等噛ませとしてキャラ立ちしてたしね。

 まぁ、顔がめちゃくちゃ美人で、高身長のボン・キュッ・ボン、それなのに物凄いお清楚というだけのモブっ娘だ。

 ……えっ、何それ最高なんだけど。

 ドスケベお清楚とかヤバい。そういえば外伝ではヒロインの一人だったな。

 とまぁ、屋敷で婚約破棄の書状を見たクラリス先輩が大泣きしていたので、無理矢理連れ出したというわけだ。

 後ろ盾の娘さんだからアピっとかないとね。仕方ないね。

 エーリッヒさんは結局、ジルクとブラッドの相手をする事に決まった。

 

 「しかし、ヘルツォークと王国本土間の密輸のために潜水艦を作ってたとか、エーリッヒさんは頭おかしいよな」

 

 俺はつい先程用意された金融業の原資を運び込んできた時の事を思いだす。

 

 

 

 

 「どうもこの決闘、賭けに発展するらしい」

 

 リオン君は賭けの金額の準備をしてきたみたいだ。

 

 「私達は昨日のうちに知ってたよ。エーリッヒさんも昨日のうちから準備して、そろそろこちらに着く時間じゃないかな?」

 

 「マジで!」

 

 「一応私も女子なので、当事者とはいえ女子の話は耳にするし、エーリッヒさんはマルティーナさん経由だろうし」

 

 『マスターは女子との接点はオリヴィアしかありませんしね。男子もアンジェリカの代理人の件で避けています。情報収集の大事さをそろそろ理解して頂きたいものです』

 

 ルクシオンがリオン君に苦言を呈しているが、リオン君はハイハイと受け流していた。

 今は港でエーリッヒさんを二人と一台? で待っている所だ。

 クラリス先輩にはカーラとイェニーに付いて貰っている。

 

 「や、待たせたね。明るい内は誤魔化すのに苦労するよ」

 

 物凄い大荷物で恐らくヘルツォークの人員と共にエーリッヒさんが入港してきた。

 

 『エーリッヒ、あなたはまさか?』

 

 「あれ? かなり離れていたはずだけど、恒星間航行宇宙移民船のルクシオン先生にはバレたかな」

 

 「何の事?」

 

 俺もリオン君の疑問に同意。

 

 「表だって出せない資金を持ってきてね。それをヘルツォークから潜水艦で運んできた。他領からの荷役検査証書受領済みのリッテル商会の商船に離れた海域で僕を含めて載せ替えたというわけだよ」

 

 「せ、潜水艦!? なんでまたそんなものを……」

 

 リオン君も俺も絶句してしまうが、飛行船が発展したこの世界では意味不明な代物だからだ。

 

 『なるほど、目くらましにはこれほど有用な物はありませんね』

 

 ルクシオンは感心したように機械音を奏でている。

 

 「潜水艦っていうのは前世ではけっこう古い。1,600年代には木造であったぐらいだからね。魔法技術がある現状では比較的容易だったよ。まぁ、最初の一隻を作るというか改造するのに二年の月日は掛かったけどね」

 

 「でもそんなに必要なものですかね?」

 

 その辺がわからないので、俺は素直に聞いてみた。

 

 「元々はさ、王国本土間の輸出入許可が降りなかった場合の密貿易に使おうと思ったんだ。他領の支店を交えた取引は量も制限されたり、経費も掛かる。海の中、そもそも海自体も無警戒なんだから、密貿易には雨や曇り、夜間運用での潜水艦が非常に有効だ。たった20m程度潜れるだけでね――」

 

 バレなきゃ犯罪じゃないを地で行くこの人はどうかしてるぜ!

 

 「――結局その点に関しては必要にはならなかったけど、僕には公に出来ない巨額の資金があってね。二年前に王国本土からヘルツォーク領に魔石や貴金属、各種貨幣を運んだというわけだよ。今回はほんの一部持ってきたから、これを原資にした金融業をオフリーさんには始めて貰おうと思ってね」

 

 え、あの大荷物って全部貨幣ですか!?

 筋肉モリモリ、マッチョマンの兵隊だ! 

 そんな変態…… じゃなかった、大勢の兵隊さんが台車を各人、一台一台牽いている。

 

 「もちろん王国本土にも表に出せない財はあるんだけど、換金に時間がかかるからね。流動性の高いものは全てヘルツォークに運んでいたから。賭けになるならお金も貸さないとね。貴族相手だから基本的には取りっぱぐれる事はないし、揉めたらバーナード大臣の名前を出していいよ。運営母体は僕のブービ商会という事にするから、れっきとした商売の体裁は整えた。ブービ商会金融部門、ステファニーフィナンシャルの誕生だ」

 

 坊や商会のくせに原資は真っ黒ですが…… 

 この人、ぶっちゃけマネーロンダリングする気満々じゃねぇかっ!

 

 「俺、お前が同じ日本の転生者とか勘弁してほしいんだけど……」

 

 激しく同意!

 

 「決闘なんて茶番はさっさと終わらせたいし、どうせならオフリーさんの家からの縁切りにも活用したいだろうし」

 

 ヤダ! 胸キュンしちゃう! 男の子なのに……

 俺はもう色々とダメかも知れない。

 

 「確かに今更ストーリーどうとかは、どうでもよくなったしな。さっさと終わらせて、俺はルクシオンと公国に潜入しないといけないし」

 

 「僕も行こうか? ファンオースは興味あるしね」

 

 先程までとエーリッヒさんの目付きが変わった。

 何だったかなぁ、設定であったような……

 ヘルツォークは公国と因縁が。みたいな感じでしか、発売前予約に付いてくる簡易設定集には書いてなかった。

 本格的な設定集は発売日が、俺がオフリー嬢に憑依前では未定だったし。

 

 『いい案だと思いますよマスター。腕が立つ人物であれば、手が多いにこしたことはありません』

 

 「そうか? なら決闘後の夏季休暇にリックも来てもらうか。この面子ならルクシオン本体が知られても問題ない。というかオフリーさんは知ってるしな」

 

 リオン君の言葉に俺は頷く。

 

 「では、僕達の戦争を始めようか」

 

 エーリッヒさんの表情にビクッと後退りをしてしまったのは、言うまでもなかった。

 リオン君までドン引きしていた。




ひふみん様の金貸し案を採用させて頂きました。
そうしたら、非公開というか死に設定の潜水艦描写が出来る場面になりました。
ありがとうございます。
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