悪役令嬢(笑)へ転生した俺!ぶっちゃけ商人上がりの偽貴族でほぼ詰み何ですけど!? 作:N2
ジルクからライフルが幾度も放たれるが、エーリッヒが駆るダビデは、その弾丸を難なく地上スレスレを飛行しながら交わしていく。
闘技場を目一杯に使って飛行しているが、基本的に闘技場は、鎧で飛行するには狭すぎるという難点がある。上空も予め禁止高度が設定されていた。
だからこそ、鎧を使った決闘は近距離戦が大多数を占める。それならば生身でやればいいのではないかとと思うが、鎧を使うのは生身よりも派手だからこそ皆が好むのだ。
そのような常識をエーリッヒはいとも簡単に破り捨てていく。
「くっ、何て非常識な技量ですかっ!?」
煙幕弾をジルクは放つも即座に風魔法で掻き消されていく。
小型魔力弾頭四発を射出し、ワンコーナーとはいえ魔力運用で操る姿に会場からは驚嘆の声があがる。
しかし、エーリッヒの魔法で呆気なく誘爆させられてしまった。
「ふ、ははははは。どのような兵装とて、中らなければどうという事は無い」
(ふむ、ジルクはブラッドほどじゃないが、魔力其の物の扱いの筋は中々に良い…… だからこそ、魔力の波形も読みやすいとも言える)
「こ、この限られた範囲の闘技場でこうまで! しかも鎧を操りながら魔法を!? えぇぃっ、化け物ですか!!」
ステファニーは観客席から見てて思った。
――エーリッヒさんは絶対楽しんでるよなぁ。そんな情けない兵装というか武器無しで楽しんでる貴方のドライな対応のせいで、妹さんがヤバいんですけど。何とかしてほしいんですけどっ!
マルティーナはスキあらば、ジルクの駆るワンオフ機の鎧へ攻撃魔法を放とうとしている。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Ζ_______ ピキィィィッ
「お、お兄様!? 分かりました…… ご披露なさるのも賛成ですが、殺しちゃってください!」
独り言というには難しいほどの声量で、マルティーナは物騒なことを口に出した。
皆がギョッとする中、ステファニーはある真理に辿り着いた。
(三人で話し合ったときにルクシオンが言っていた新人類…… なるほど、
ステファニーはある部分は真理ではなく頓珍漢な所に辿り着き、エーリッヒとマルティーナに関しては、真理の一つに辿り着いたのかもしれない。
「ルクシオン、武器無しだと流石にきつくないか? 鎧を駆りながら魔法を使用した場合、乗算ベースで魔力を消費していくぞ」
『エーリッヒの魔力量は現時点で学園内ではトップクラスですよ。ヘルツォーク十二家内では平均的との事ですが。調査しましたがマルティーナが現時点で魔力量は学園内でトップです。潜在的な部分で言えば、オリヴィアですね。その次にマルティーナです』
「何だかんだでリックもチート持ちかよ。マルティーナさんは意味不明だけど…… あぁ、外伝のヒロイン様か」
『はて? 才能と努力を
ルクシオンの言葉に顔を顰めながら、それでもリオンは己のスタンスを崩さない。
「いいんだよ。俺はモブだからな。これが終わってファンオース何とかしたら、適当に田舎に引き籠もるさ。後は主人公や攻略者様たちで宜しくやってくれればいいよ」
そんなリオンにルクシオンはレンズを左右に振りながら述べる。
『ヤレヤレ、マスターは短絡的ですね。マリエとやらはどうするのです? 傍観し過ぎて場当たり的に対処するのは失敗者の典型ですが』
「三人で話合った時に結論が出たろ。魔笛が無くあのラスボスがなければ、王国に本格的な戦争は仕掛けないだろ。マリエは…… あいつ、この決闘の後どうするんだろうな?」
ストーリーを無視して動くと決めたが、そうなるとマリエ、ひいてはオリヴィアの動向が、この世界的にどうなるのだろうという疑問は解消されなかった。
『マスターの身の安全はレッドグレイブ公爵家への賄賂で確約。エーリッヒ経由でアトリー伯爵家も動くと…… この際マリエを気にせずともいいのでは? だからと言って努力を怠る理由にはなりません。備えたればこそ。マスターのヤル気の無さは学園でトップですね』
最終的には、リオンは己とバルトファルト領に害が及ばなければそれで良い。それはエーリッヒも同様だ。ステファニーは自分とその取り巻きだけという限定的過ぎる範囲だ。
「一番というのは、どんなものでも嬉しいね」
『まったく、ああ言えばこう言う』
「状況に応じて言葉を使い分けるのが大人だろ? 見てみろこの闘技場で観戦してるバカ達を。俺は充分大人だよ」
リオンは観客席を見渡しながら断言した。
『そうですね――』
珍しくリオンの言葉をルクシオンは肯定するが――
『――ダメな大人の見本ですね』
やはりルクシオンは厳しかった。
☆
ジルクは禁止高度ギリギリのラインで浮上しながら、そこから一番距離を置いた地上に立つエーリッヒを見下ろしている。
「さぁ、終わりです! 全魔力を使った魔力弾頭16発、貴方でさえも避けられないでしょう!」
ジルク機から地上にいるエーリッヒが駆るダビデに向かって、左右から四発ずつ、そして正面と上から四発ずつが襲い掛かった。
「至極、色々と読みやすい…… 魔力波把握済み、魔力感応波…… 奪取完了。ダビデェェェエエエ!!」
ダビデから虹色の魔力波が魔力弾頭を包み込む。
「ま、魔力弾頭がっ!?」
虹色の魔力波に各々の弾頭が包まれた瞬間、ジルクからの魔力感応が切断された。
そして16の小型魔力弾頭がエーリッヒの支配下に置かれて向きを変える。
「魔力感応波奪取だ…… フハハハハハ、怖ろう? 己が魔力を掌握され、自らの武器が襲いかかるのは」
そのままジルクは自身の武器に襲い掛かられるのだった。
☆
ステフです。身震いしか起きませんが、エーリッヒさんは魔王か何かなのだろうか?
俺は闘技場の観覧席でドン引きしていた。
そして、ジルクの攻撃をジャック? した姿を見て恍惚としているマルティーナさんにもドン引きです。
アルトリーベ外伝の主人公とヒロインが、魔王とその伴侶にしか見えませんが何か?
「さぁ、自分の武器で墜とされる情けなさを恐怖するがいい!」
魔力弾頭が逃げるジルク機の腕を、脚を吹き飛ばしながら尚も本体に追い縋っていく。
あの人、リアル「ユニコ○―――ン!」をやりやがった!
「堕っちろ、堕ちろ、堕ちろ!」
「ぐ、バカな…… こんな非常識な!?」
ジルク機がどんどんと追い詰められていくのが、オフリースペックの俺でもわかる。
エーリッヒさんは、いつの間にか被弾して切り離されたジルク機の脚を持っていてそれを投げつけた。
「おぉ、やはり、折れたフレームはよく刺さるな」
ジルク機の背面部に刺さってその動きが途端に鈍った。
あれか、名前に濁点があるのと無いのとでは大違いなんだな。
ジル
柄にもなく心の中で叫んでしまった。ステフ、テヘペロ!
「や、殺られるっ!?」
出力が落ちたジルク機を容赦なくジルク機の小型魔力弾頭が襲い掛かった。
☆
リオンはその光景を見て慌てだした。
「ちょ、おい! 死んだだろあれっ!?」
『安心してくださいマスター。一発だけジルク機に当たりましたが、シールドで防御に徹したので何とか無事ですよ。残りの魔力弾頭はエーリッヒが誘爆させました。恐らく演出のつもりなのでしょう』
ルクシオンの死んでいないという分析結果にリオンは胸を撫で下ろした。
ジルク機はボロボロで、もはや修理すら不可能な状況であった。
「あそこまで酷い目にあってても、ジルクには同情すら沸かないな」
『一応、乙女ゲームとやらですか? 五人攻略者がいるのであれば、一人ぐらい死んでも良さそうですがね。エーリッヒも甘い。ガッカリです』
「アホか! 俺はそんなお前にガッカリだよ!」
『見解の相違ですね』
リオンとルクシオンがコントを繰り広げるなか、ジルクは鎧から救助されて医務室へ運びこまれたのだった。
☆
鎧から降りたエーリッヒが、リオンに近づいてバトンタッチを交わした。
「後は任せたよリオン。僕はクラリス先輩達を連れてジルクを笑いに行ってくるよ」
あれだけの戦いを演じた疲れを微塵も感じさせずにエーリッヒは言う。
「俺は思ったんだ――」
リオンは達観した表情をしている。
「――俺達でファンオースの対処を行った後は、王国に関しては、もうお前だけでやってみせろよ」
「リオンでもなんとでもなる筈だよ」
「ロストアイテム無しで!?」
駆け付けてきたステファニーが会話に割り込んできた。
その後ろからクラリスにマルティーナ、ナルニア達ステファニーの取り巻きも控えていた。
「大丈夫ですかクラリス先輩? それにティナは何でそんなに怒ってるんだ?」
エーリッヒの言葉にステファニーとリオンは、「こいつ馬鹿か?」という目を向けた。
「あ、あの、ごめんなさい。貴方を巻き込んで」
「クラリス先輩が謝る必要はありませんよ。医務室に行って、無様を晒すジルクに謝らせましょう。引っ叩いてもいいですよ。全身の骨が折れてるでしょうが、まぁ、死にはしないでしょうしね」
ウインクをしながら茶目っ気たっぷりに言うエーリッヒに、クラリスは久しぶりに笑いが溢れた。
ステファニーとリオンは死体蹴りの提案にドン引きしている。
「ティナ、僕にとってジルクに言われた事は事実に近い。お前が悲しむ必要はないよ…… でも、ありがとう」
そう言ったエーリッヒの腕にマルティーナ抱かれながら、胸に顔を埋めて泣き出してしまった。
「お兄様が魔力で緑虫の武器を操ったので、あの緑虫の自爆扱いです。何で…… 何で殺さなかったんですかっ!」
またもやステファニーとリオンはドン引きしている。
「確かに」
そう呟くクラリスにもステファニーとリオンは以下略。
「クラリス先輩もティナも、あんな情けない負け方をして生き恥を晒すジルクを見たくないのかな?」
そんな事を優しく言うエーリッヒに、ステファニーとリオンは以下略。
「ふ、ふふふふふ、あはははははは…… こんなに大声で笑わせて貰ったのは幼少期以来だわ。エーリッヒ君、貴方は誰よりも酷薄で、でもそれ以上に素敵な人なのね。私のいけない所が震えてしまうわ」
妖艶な笑みを浮かべたクラリスと、その言葉に反応したマルティーナの間で火花が散る。
その二人を見たステファニーとリオンは以下略。
ステファニーとリオンを何度もドン引きさせた面子は、ジルクが運ばれた医務室へと向かっていった。
「ねぇ、リオン君。私あの面子に同行する勇気は無い」
勇ましく情けないことをステファニー・フォウ・オフリーは言い放つ。
「うん、あれは無理! アンジェリカさんとリビアについてあげて」
「りょ!」
オフリーは、観客席に戻るのだった。
リオン「やってみせろよリック」
リック「何とでもなる筈だ!」
ステフ「王族だと!?」
₍₍ᕦ((▼w▼))ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ((▼w▼))ว⁾⁾
ステフ「逃げたい!」
₍₍((▽人▽))⁾⁾
₍₍((▼w▼))⁾⁾
ティナ「殺ッちゃってください。そんな緑虫なんか」
₍₍ ʅ((▼w▼))ʃ ⁾⁾
ClariS「ジルク・フィア・マーモリア(怒り)」
₍₍ᕦ((▼w▼))ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ((▼w▼))ว⁾⁾
リック「婚活が控えているんだ。色々とな」
₍₍ᕦ((▼w▼))ᕤ⁾⁾ ₍₍ʅ((▼w▼))ว⁾⁾
₍₍((▽人▽))⁾⁾
₍₍((▼w▼))⁾⁾
ClariS「厄介なものね。緑屑というのは」(好きだったからこそ)
₍₍ ʅ((▼w▼))ʃ ⁾⁾
リック「学園は地獄だぞ」
₍₍((▼人▼))⁾⁾
₍₍((▼w▼))⁾⁾
ルク君「身構えているときには、嫁は来ないものです。エーリッヒ」
(@ ̄□ ̄@;)!!