悪役令嬢(笑)へ転生した俺!ぶっちゃけ商人上がりの偽貴族でほぼ詰み何ですけど!?   作:N2

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第3話 お茶会の時期が始まりました。

 「やっぱり浮いてきたわね」

 

 ナルニア・フォウ・ドレスデンは、誰とは無しに独り言を呟いた。

 ちょっとした洒落ているクライネスレストランを貸し切りで、貧乏男爵グループの女子会が営まれていた。

 

 「元々実家のドレスデン男爵領は貧乏男爵グループだけど、オフリー伯爵家との付き合いがここに来て響いてくるのね…… 加えて専属使用人無し…… オフリーお嬢様も孤立。伯爵家以上は同じ派閥でグループ化か。でも私は専属使用人がいないおかげで、お茶会自体の誘いは多いわね」

 

 一人カウンターの隅で、季節柄の春らしいアスペロールスプリッツを傾けていた。

 

 4月も終盤に近付き、学園内ではそろそろお茶会の時期が始まるので、1年生の男子達からお誘いの手紙がかなりの数になっていた。

 既にナルニアは、2年生や3年生のお茶会にも出席済みであった。

 しかし、ナルニアはオフリー伯爵家の嫌われ具合と勘違いをしているが、集中的に来た2年生と3年生からの誘いの件が、1年生女子からの孤立化を進めていた。

 未だ婚約者がいない2年生男子と特に3年生男子は、ある意味新入生女子を見定める期間だというのに、かなりフライング気味に動いたせいでもある。

 ナルニアは大人っぽく美人の女性だ。

 4月、遅くとも5月の連休に専属使用人を購入する女子もいるのだから、上級生とて4月中に安易に新入生をお茶会には誘わないのだ。

 ナルニアはそこを男子暗黙の了解を無視されているので、学園女子に嫉まれているのが真実であった。

 

 「ねぇ、ナルニアさんよね。上級生のお茶会どうだった?」

 

 「爽やかそうなのを飲んでいるのね。貴女は専属使用人いないままなの?」

 

 小さく溜息を吐き出していた時、二人組の女性がカウンターに近づきナルニアに話しかけてきた。

 

 「確か、ミリーさんとジェシカさんだったかしらね。そういえば貴女達にも専属使用人はいないわね…… お嬢様が全く興味無いから私もパスね。上級生は流石に表面上はスマートだったわよ。でも、焦りと必死さが透けて見えたわ」

 

 いくらナルニア自身浮いている自覚もあるとはいえ、態々邪険にして敵を作る必要性は無いため簡潔だが丁寧に答えていた。

 

 「上級生は大人っぽいもんね。でもそうかぁ、上に行くほど男子も必死なんだなぁ」

 

 ミリーという男爵家の可愛らしい少女が、ナルニアの答えに納得していた。

 

 「私とミリーも専属使用人はいらないから、良かったら私達とも交流しましょう」

 

 清楚系で落ち着きを持ったジェシカが、ナルニアに提案してくる。

 

 「貴女達も知っているでしょう? 私とほら、オフリーお嬢様との関係…… いいのかしら?」

 

 オフリー伯爵家は、ホルファート王国では汚い成り上がりもあって、貴族社会において基本的に毛嫌いされている。

 しかも折しも運悪く、学園内に偶々派閥を共にする生徒がいないのもそれに拍車を掛けていた。

 

 「私達は辺境の浮島出身だから関係ないよ。専属使用人を持たない時点で、上級クラスの女子からは相手にされないしね」

 

 「そうね。オフリーさんも専属使用人持たないなら私達とも交流したいけど、伯爵家だから私達と交流してくれるのかしら?」

 

 ミリーもジェシカもオフリー伯爵家を毛嫌いしてこない所に、ナルニアは新鮮な驚きを覚えてしまう。

 

 「へぇ、そういうものなの? 別にオフリーお嬢様はあまり身分を気にされないわよ。あの人自身、実家が貴族社会で忌み嫌われているのをご存じだから。普通に謙虚で吃驚するわよ。貴女達が構わないのなら、お嬢様も参加するだろうから、今度誘ってみてもいいわよ」

 

 「ほんとっ! 友達出来なくて困ってたんだぁ」

 

 ミリーが素直に喜んでくれている事に対して、隙を突かれたように一瞬思考が固まってしまった。

 

 「嬉しいわ。純粋に友達が増えるのは嬉しいし、やっぱり私達もお茶会色々出るでしょ。意見交換はしたいのよね」

 

 ジェシカの明け透けな意見にはナルニアも同じ気持ちを抱く。ナルニア自身お茶会での情報は、色々と交換していきたいのが実情でもあった。

 

 (お嬢様はお茶会に全く興味がないし、何よりお嬢様の婚約者のブラッド様やその陪臣を頼れなさそうな私は、結局学園で結婚相手を探すしかないものね)

 

 「私もお嬢様も上級クラスでは孤立気味だから、申し出は嬉しいわ。仲良くしていきましょう」

 

 こうして、ナルニアの働きにより、オフリー嬢は図らずも学園内に個別的なグループが形成されたのであった。

 

 

 

 

 「やっぱりナルニアは凄いね! 私もそのミリーさん達の女子会とやらに参加していいの?」

 

 流石、早生まれなのに妙に大人びているナルニアは、旨いこと専属使用人のいない女子達と知り合いに発展している。しかも私もその女子会に参加していいとか、めっちゃ有難いんですけど。

 ナルニアがこの見た目と雰囲気で処女とかマジビビる。

 ちなみに処女じゃない俺とかマジビビるわぁ…… でもその記憶があるから滅茶苦茶気持ち悪い。お陰で専属使用人とか見ると吐き気がしてくるようになってしまった。

 専属使用人とかマジビビる。

 

 「お嬢様なら彼女達は大丈夫そうですよ。それよりお茶会へのお誘いの話をしましょうよ」

 

 「そうだね。見てよ、私なんかにも子爵家出身から結構来てるんだけど…… 実はオフリー伯爵家って知られていないのかな?」

 

 階級が下から上になるにつれて在籍数は少なくなるのは当たり前だが、四通も来ているのに驚きだ。

 伯爵家の女性はそのほとんどが婚約者がいるが、俺のようなのは珍しいから珍獣見物かな?

 

 「何でその数でちょっと嬉しそうにしてるんですか――」

 

 ナルニアのバッグから、ドサドサドサッっとお手紙が落ちてきた。 

 えっ!? 俺の10倍ぐらいあるんですけど! マジビビる。

 

 「――これでやっと普通ぐらいです。男子は方々に誘いの手紙を出しますから。毎日10通以上学年問わず出す男子もいるんですよ。やっぱりお嬢様にとって、オフリー伯爵家は逆の意味で強烈ですね。しかも爵位が高いから相手も少ない……」

 

 えっ!? その数で普通とかマジビビる。もう俺の語彙力にマジビビるんですけど……

 

 「でもお茶会に興味ないからどうでもいいんだけどね。でもニアはしっかり良い人見つけた方がいいよ。ある意味それだけで上手いこと行けば、ニアはオフリー伯爵家から縁切り出来る。私は別の方法でオフリー伯爵家と縁切りする方法を考えるし」

 

 男子の友達は欲しいけど、先ずはオフリー伯爵家からどう離れるかが先決だし。

 一度、仕事関連でフェードアウトしていこうと考えて、父親に事業を手伝ってみたいと打ち明けてみたが散々だった。

 

 「お前のような小娘に何が出来るっ!」「遊び気分か? 質が悪い」「学園生活での仕送りなら十分にしてやる。学園に入学したら、お前はさっさとブラッド様と関係を結んで来い」

 

 そりゃこんな小娘に仕事なんかさせるわけがないよな。

 アルトリーベ外伝、ヘルツォークでのエーリッヒさんは意味不明レベルなだけだよな。マジビビるわぁ。

 

 「例のマルティーナさんとは中々接点が出来ないんですよね。子爵家の令嬢だし、例のお兄さんにベッタリですし」

 

 「私も4月は無理だったよ。クラスや授業が違うのが痛い……」

 

 そうなのだ。この学園は入学してから1週間、各授業のオリエンテーションに力を注いで、その後の1週間で授業を選択するのだ。

 そりゃぁ、1年生男子は4月なんかにお茶会なんて開いてる暇はない。上級生は春休みに選択を行っているから、4月早々、新入生女子をターゲットにお茶会が開催できるという訳だ。

 王都の学園での教育に関しては、正直レベルはかなり高いと思う。

 オフリー嬢の元からスペックと前世知識の俺では、魔法関連と軍務関連は不可能レベル。貴族教養系もほぼ無理。精々が政治経済、領地運営系ぐらいしか、前世知識を駆使しなければ無理っぽい。

 オフリー嬢終わってんな、マジビビる。

 しかもこのゲーム世界で転生? 憑依? どっちか知らないが、まだ半年とか本当に無理ゲーだよ。せめて数年前からなら、オフリー伯爵家離脱の準備に貴族社会の勉強とそれなりにやれた事はあったんだけど…… 

 無理ゲー過ぎてビビリマクリスティ。あぁ、そよぐ風にもたれたい……

 

 「一先ずは、お茶会に出て連休にでもミリーやジェシカと親睦でも深めましょう」

 

 「そうだね。やれる所からやるしかないね。ニアに頼りきりで申し訳ないけど……」

 

 冷静に考えると、ナルニアのお陰で首の皮が繋がっているのかもしれない。ミリーやジェシカさんは専属使用人がいないから、専属使用人がいないマルティーナさんと接点があるかもしれない。

 二人は男爵家だがマルティーナさんは子爵家。爵位の違いは気に掛かるが、伯爵家の私にも間接的に声を掛けてきたから、そこにワンチャン賭けるしかない。

 

 「私も助かってますよ。実家が私には仕送り絞り過ぎてて、お嬢様がいなければ上級クラスでやっていけないレベルですもの……」

 

 そこがニアの可哀想なところなんだよなぁ。

 私とニアはもう、ざっくばらんに話し合い過ぎているので、仕送りが滅茶苦茶多い私は、お金の面でもぶっちゃけ相当融通利かせている。

 要は買っていないけど、オフリー伯爵家からは専属使用人代、それも複数レベルで仕送りが含まれているのだ。一応オフリー伯爵家関連が関わっていない、国営系の銀行に貯金もしている。

 正直、家からは何もするな状態の私は身動き取りづらいし、貴族女性が欲するような物は基本的にいらない。ならばニアの生活助ける方が遥かに有意義なんだよな。

 

 「上級クラスの女性って本当にお金掛かるよね。ドン引きなんだけど……」

 

 「私は自分にお金を掛けなさ過ぎるお嬢様にドン引きしていますよ」

 

 お互いに笑い合ってしまった。

 取り敢えず、久しぶりの男子とのお喋りでも楽しんでみますかね。

 

 

 

 

 「お茶会どうだったニア? 私はもう何かやだ。めっちゃ女として見てくるんだもん」

 

 もん!? 一体俺は何を考えているんだ? そんな可愛さ俺にはいらないぞ!? オフリー嬢の顔スペックだと殴られそうだ。

 しかし、あの女として俺を見てくる目付きは気持ち悪い。

 

 「いや、そりゃ女の子ですし…… まぁ、スマートさと必死さは上級生とは隔絶してますね。1年男子は緊張でお茶を溢すわ。会話は止まるわ。彼等が女性やそもそもマナーに慣れるまでは、評価のしようがありませんね」

 

 この世界では15歳が成人とはいえ、そんな年齢で女性をおもてなしなんか出来る方がおかしいよな。

 ジュースとお菓子やファミレスで、くっちゃべるような精神年齢のお年頃だ。

 この世界の常識として、そういうのを刷り込まれている男子も最初はそんなものなのだろう。

 上級クラスの女子が15歳で大人び過ぎているだけだな。1年生女子を一か月近く見てきたけど、その中でもナルニアは最上位クラス。別格に近いだろう。

 公爵令嬢のアンジェリカも見たが、あれはオーラがヤバ過ぎたな。正に別格中の別格…… あの年齢で爵位に名前負けしないだけでマジビビる。

 アンジェリカ…… 何か忘れて、あっ!? ヘルツォークに気を取られ過ぎてた! 通常のアルトリーベって今どんな時期だったっけ? 

 でもまぁ、あっちはオフリーの寿命は1年半近くあるから、今度ゆっくり通常のアルトリーベキャラを観察してみよう。

 

 後日、俺は驚愕した。

 アルトリーベ本伝の攻略キャラ達、キラキラ5人組と滅茶苦茶仲良く過ごしているというか、ほとんど侍らすようにしている、マリエ・フォウ・ラーファンって誰だよ!? マジビビる!!

 頭痛でその日は速攻で寮に帰って、酒をかっくらうように飲んで寝てしまった…… うぅ、頭が色んな意味で痛い。




本伝のアルトリーベをすっぽりと忘れるオフ中の人にマジビビる。
ナルニアの処女が判明してマジビビる。
カーラとイェニーが出てこなくてマジビビる。
ていうか、未だに名前が無いのがマジビビる。

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