悪役令嬢(笑)へ転生した俺!ぶっちゃけ商人上がりの偽貴族でほぼ詰み何ですけど!?   作:N2

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わ、わたしがアリスに殺された理由…… オフリー嬢は必死に考えたそうな(笑)
         を、した。→ に、された、受身形って怖いなぁ……


第7話 気違いのお茶会? に呼ばれました。

 放課後の一室、茶葉の質はわからないが、作法と心得が高くないと出せない香りがその室内には充満している。

 誰が嗅いでも心穏やかに、そして教養がなくともお嬢様言葉が自然と発せられるだろう、芳醇且つふくよかな香りとともに心が満たされる空間において、俺、オフリーとナルニア、カーラとイェニーは戦慄から来る寒気と恐怖に震えていた。

 

 「わたくしが主催するお茶会にようこそ! お兄様がオフリーさんには大変興味を持たれていました。うふ、うふふふふふ」

 

 コポコポとお茶が人数分注がれる。

 本来なら準貴族家出身のイェニーやカーラが率先して代わるはずだ。マルティーナさんは子爵家なので、同じ貴族家として男爵家のナルニアが出張ってもおかしくはない。

 だというのにお尻と背中が椅子にへばりついて、何故かみんな身動きが取れない異常な状況だ。

 「だったら引っぺがせばいいだろう!」などと言われても、「そんな無茶よぉ」としか言いようがない。

 

 「お、お招きいただいて恐縮です」

 

 俺はブルブルと震える。

 隣にいるナルニアはマルティーナさんと視線を合わせないようにしている。

 カーラとイェニーはナルニアの後ろで縮こまっている。そう、見るな、ナルニアのように視線を合わせないほうがいい。

 

 「わたくし困りました。いざお茶会を開いてみたは良いものの、オフリーさんが発する言葉によっては、このお茶会が終わらないかもしれません……」

 

 トゥ、トゥインクル、トゥインクル、小さな蝙蝠さん!?

 え、永遠は人が手を出してはいけない領域なんだぞぉ!

 大丈夫、終われるよ! ただのお茶会だよ! 諦めんなよ!

 

 「で、でも新鮮ですね。女性がお茶会を主催し、しかも私達女性が招かれるなんて」

 

 ナルニアが持ち前の勇気と意思交流強者を発揮して、マルティーナさんの圧力の中、挨拶代わりの質問をしてくれた。

 

 「えぇ、わたくしも驚いています――」

 

 マルティーナさんはため息を付いて背後から何か物を取り出そうとしている。

 お茶を注ぐ作法も完璧、溜息まで淑女然とした様相を崩さない。しかし彼女なら瞬きする間に皆殺しにできる、忘れないことだ。

 俺達はただの案山子かも知れない……

 

 「――何せ、お兄様が、オフリーさんに「その短めの髪型だけだと少し寂しいだろう」などと言って、髪飾りとも言える小さめのピン止めする帽子をプレゼントなさるそうです。これですね! わたくしが本日、女子同士のお茶会をすると言ったらオフリーさんにって!」

 

 マッドハッターァァァァァアアアア!

 何だよその可愛いデコレーションされたアクセ帽子は!? 

 俺はアイドルじゃねぇんだぞ!

 怖い!? 魔力や実技がからきしな俺にも、マルティーナさんの背後にヘルツォークを象った魔力波の陽炎が見える!

 

 「エ、エエ、エーリッヒさんてマメなんですね! 可愛いですが、ニアにも似合いそうですね!」

 

 咄嗟にキラーパスしてしまった! ナルニアはギョッとし出している。

 

 「え、えぇっ!? で、でもエーリッヒさんってセンスが良いんですね! きっとティナさんをモデルにして可愛い寄りの物を選らんだんですよ!」

 

 流石だニア!

 咄嗟にエーリッヒさんを誉めてそれをマルティーナさんに振っている。

 この子、何でオフリーなんかの友達をしてくれているんだろう?

 

 「え!? わたくしを! ですか?」

 

 俺にとってのラスボスが怯んだ!

 

 「だって、綺麗で格好いいティナさんが、それを身に付けると可愛らしい艶やかさがありますから!」

 

 流石だニア、モジモジと実際可愛いらしくなっているぞ!

 ここで畳み掛けてやる!

 

 「け、結局、エーリッヒさんと話すといつもマルティーナさんの事が話題に上がるんですよ! 本音を言うと誰にも嫁にやりたくないって」

 

 知らんけど。

 ゲーム的な感じだと間違ってないだろうけど、あの人同郷の転生者、俺よりも間違いなく年上。

 マルティーナさんの年齢だと早ければ娘に等しい。まぁ、考えようによっては、娘はやらん的になるのかなぁ?

 

 「ふわわわわぁ! もう、お兄様ったら! 直接言って下さればいいのに」

 

 チョロ可愛! 

 モジモジからクネクネし出している。もう帰ってもいいかな?

 半眼になりながら、そんな事を考えているとノックの後に室外から声が掛けられた。

 

 「ティナ、リオン達を連れてきたんだけど参加してもいいかい?」

 

 エーリッヒさんの声だ。

 しかも謎の冒険野郎を連れてきている!? この学園内では未だ目立って無いので、俺には為人がよくわからない。学園入学前に騒がれていたから、興味はある人物だ。

 

 「宜しいですか皆さん?」

 

 「ど、どうぞどうぞ」

 

 せっかく機嫌が良くなっているマルティーナさんの気分を損ねたくは無いので、俺以外もコクコクと首を縦に振っていた。

 俺達の反応を見たマルティーナさんは、自ら扉を開いて出迎える。

 

 「いきなりでごめん。リオンがオフリーさんに興味があるみたいでね」

 

 俺? 

 前評判との違いに意外と注目を集めてるってエーリッヒさんも言ってたけど、男子に注目されても中身オッサンだから興味ないんだよね。

 

 「あら? ヴィムさんにクルトさんも。ダニエルさんとレイモンドさんではないのが少々珍しいですね」

 

 そっか、マルティーナさんはエーリッヒさん繋がりで、男爵グループとも面識あるのか。ダニエルとレイモンドは、ナルニアをお茶会に誘った事があり、ナルニアから話を聞いていて間接的に知ってはいる。ナルニアのお眼鏡には適わなかったみたいだけど。

 入ってきた二人は、ミリーさんとジェシカさんが親しくしている子爵家の男子だったよな。

 

 「俺は、ミリーに対するアドバイスをくれたマルティーナさんにお礼をね」

 

 「僕も。ジェシカとの仲を取り持ってくれてありがとう」

 

 二人からプレゼントを受け取るマルティーナさんを後目(しりめ)に、エーリッヒさんとリオンという黒髪黒目の男子が歯軋りしていた。

 俺の見た感じと二人から聞いた話を照合すると、ジェシカさんはエーリッヒさんにホの字、ミリーさんはこのリオンという人物に興味津々だった。

 可哀想にリオンは、マルティーナさんのエーリッヒさんからジェシカさんを引き離す計略に巻き込まれたらしい。

 

 「な、何だ? 憐れむような生暖かい目で見られてるんだけど!」

 

 「僕とリオンは婚活が上手くいかないから同情されてるのかもね」

 

 ナルニアも即座に察したみたいで、俺と同じような視線をリオンという男子に投げ掛けている。普通クラスのカーラとイェニーは、ミリーさんとジェシカさんの事情を知らないためキョトンとしていた。

 エーリッヒさんの言葉に顔を顰めていたが、俺に気付くとジッと伺うような目を投げ掛けてきた。

 

 「え、と…… 何です?」

 

 「あ、ごめん。俺はリオン・フォウ・バルトファルトって言うんだけど、君がオフリーさんでいいんだよな?」

 

 (何であのオフリー伯爵家の令嬢が、こんな人畜無害そうな大人しい感じになってるんだ?)

 

 「はい、そうですけど。え〜と、初めまして」

 

 何だろう? 凄い意外そうな目を向けてくるな。

 まぁ、オフリー伯爵家は貴族社会で悪名高いから、このリオンさんとやらも悪い意味で目立たない俺が不思議なのだろう。

 

 「オフリーさんもリオンもお互い初めて顔を合わせるようなもんだし、会話を楽しんでみたら? オフリーさん、リオンは功績が凄いけど、普段は謙虚でいい奴だよ」

 

 功績からの噂話が一人歩きしている状態だけど、エーリッヒさんと仲が良いのなら、面識があったほうが俺にも良さそうかも。

 

 「俺も正直、オフリーさんとは話をしてみたかったよ。オフリーさんはリビア…… あ〜、オリヴィアさんにもキツくあたっていないみたいだし」

 

 あれ? そういえばこのリオンって人はアルトリーベの主人公ちゃんと仲良いのか?

 こいつ、何してくれちゃってんの? でもあのキラキラ五人はマリエっていうラーファン子爵家の子に夢中だし。もちろんこのリオンもマリエもあの乙女ゲーにはいない。

 俺は一作目と外伝しか知らないから、確かこの国が舞台の三作目にでもいたのだろうか?

 

 「特待生とは距離感が掴めないので…… うちは評判悪いから大人しくしておくつもりなんですよ」

 

 俺の言葉に驚いたように目を丸くするリオンさん。

 何か変なことを言っただろうか?

 

 「さて、じゃぁ僕はナルニアさんとお茶でもして仲を深めよう! 勝ち組のヴィムとクルトは、普通クラスのお嬢さん達が退屈しないように相手してあげて! さ、ナルニアさん、ご一緒して下さいますか?」

 

 「は、はい!」

 

 馬鹿! 要領のいいナルニアがエーリッヒさんに傅かれて、マルティーナさんの存在を忘れている!?

 

 「ったく、まぁ俺はいいけどなぁ」

 

 「お茶の練習になるから僕も構わないけど……」

 

 ヴィムとクルトというお金持ちの子爵家出身の二人は、カーラとイェニーを(もてな)そうとお茶の準備を始める。

 

 「あっ! ズル、くはないや。バカな奴」

 

 俺もリオンさんの意見に賛成。

 

 「お兄様はアホですか! わたくしを放っておく意味がわかりません」

 

 「いだだだだ! こ、婚活が! 僕には必要なことなんだ! ナルニアさんは専属使用人がいないし最高じゃないか! 美人だし! いだだっ、耳が千切れる!?」

 

 あ、ナルニアの目が覚めだしたと思ったら顔をまた赤くし出した。

 ナルニアがエーリッヒさんとくっついたら…… 俺、安泰なんじゃね?

 マルティーナさんの怒声とエーリッヒさんの叫び声がこの部屋を充満させていく。

 あれ、この人意外と馬鹿なのかも? 




オフリー嬢、もう名前いらないんじゃないかなっ(キリッ)
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