悪役令嬢(笑)へ転生した俺!ぶっちゃけ商人上がりの偽貴族でほぼ詰み何ですけど!?   作:N2

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ひふみん様、誤字報告ありがとうございます。


第8話 打ち解けちゃいました。

 エーリッヒは、オフリー伯爵令嬢から聞いた関係先のマフィアの事務所を捜査という名の襲撃を一人でしていた。

 

 「今までは二件が空振りだったが、今回は当たりだな」

 

 なるほど、確かにオフリーさんの言う通り、彼女は伯爵に警戒されているみたいだ。

 結局、オフリーさんの情報通りとはならず、もぬけの殻となった建物や事務所を俺個人が繋がりが深いリッテル商会の調査で、その後の移動先が判明したという経緯だ。

 商会というのはマフィアは基本的に敵だが、極稀に良い取引相手となる。大量仕入れ大量販売で稼ぐような大商会ではないが、大商会よりも多品目を扱うリッテル商会は、そもそもがその辺りの情報に敏い。

 寧ろ珍品や貴重品を大商会に卸したりもしているので、そちらの伝手も多少は扱えるのが強みだ。

 

 「さて、色々と吐いてもらうよ。腕と足を輪切りにしていくけど、早く喋れば治療魔法で繋ぐことが出来るんじゃないかな? それとも、君の真ん中に生えた粗末な足から、ソーセージのようにスライスしていこうかな?」

 

 アトリー伯爵家が手配した人員で固めた建物内に得も言われえぬ叫び声が響き渡るが、魔法で遮断されていることにより、外には一切の物音が知れ渡ることは無かった。

 

 「情けない、縮こまっていてスライス出来なかったじゃないか…… まぁ、手足だけで充分ではあったけどね。聞けることは聞けた。証拠書類に物品も押さえる事が出来るから良しだな」

 

 幾度かショック死をするたび、心臓への雷撃魔法による刺激を行い蘇生させた後は、アトリーの人員に引き渡しを行った。

 

 帰りの道すがら、エーリッヒはオフリー嬢が警戒されていると語った時の事を思い浮かべる。

 

 

 

 

 エーリッヒさんにお茶会に誘われた俺は、こうしてお茶を共にしているわけだが、何故かリオンさんが俺に興味を持ったみたいで、この場に同席をしている。

 リオンさんのお茶、けっこう美味しい。

 

 「もうそろそろ学年別学期末パーティーで長期休暇に入るから、その時までに伯爵家の違法に関する証拠が少しは欲しいね。そうすれば夏季休暇中に大臣がある程度処理できるかもしれないし…… わからないけどね。温めるだけかもしれないし」 

 

 「どういう状況なんだ?」

 

 リオンさんがいきなりの突っ込んだ内容に疑問を頭に浮かべている。

 

 「いえ、あのぉ、実家がヤバい事やってるんで、自分やナルニア達の身が心配で…… 実家との縁切りを考えてた所にエーリッヒさんが偶然。それで相談していたんです」

 

 ざっくりと説明したら、リオンさんが驚いてしまった。

 

 「えっ! だって君、()()オフリー嬢でしょ! あり得ないっていうか…… シナリオはどうなるんだよ」

 

 ん?

 

 「シナリオって何だいリオン? あのって言うけど家とは違ってオフリーさんはいい子だよ」

 

 あれ? エーリッヒさんは俺を褒めながら微妙な顔をしている。

 男だからね。仕方ないね。ん?

 あっ、そういえば俺、中身は男だって言ってないし!

 ということは、爵位的に結婚相手にならない事をガッカリされているのかな?

 

 「いや、でもなぁ。そもそも何でリックとオフリーさんは仲良くなったんだ? マルティーナさんとナルニアさん繋がり? でもこの場にマルティーナさんいないし……」

 

 「……まぁ、商業区の取引所でね。僕しか知らないような符号を使っていたから驚いたんだ。彼女、家から出た後の事も考えて家と無関係の銀行に貯金してるし、投資までしようとしてたんだ。その辺を話し合ったら彼女の事情を教えてくれたという訳だよ」

 

 チラリと俺を見てから暈し気味に説明してくれている。まぁ、前世云々なんか言っても頭のおかしい奴だと思われてしまう。

 それにこの世界がゲームを元としている可能性があるなんて事は、エーリッヒさんにも言っていない。

 エーリッヒさんは、この世界がゲームだって事は知らなさそうだし。

 

 (嘘だろ、あんなプッツン令嬢がこうも変わる? ルクシオン、ルクシオン!)

 

 『何でしょう?』

 

 (ゲームと全然違うんだけど、どう思う?)

 

 リオンさんが黙ってジッとしだした。それをエーリッヒさんは訝しんでいるけど、取り敢えず静観するみたいだ。

 

 『そもそもマスターがオリヴィアと仲が良い時点で、その乙女ゲーとやらのシナリオからはズレているのでは? マリエという女生徒も気にかかると』

 

 (うぐ…… まぁ、そうなんだけど、ある程度シナリオ通りじゃないと怖いんだよ)

 

 『私がいる時点でマスターの安全は確実ですので、問題ありませんね』

 

 リオンさんの沈黙が長いな。

 

 「リオンさんどうしちゃったんでしょうね?」

 

 「なるほど、少し面白い物が見れるかも。これをやると警報が鳴って怒られるんだけど。まぁ、いいか」

 

 ん?

 エーリッヒさんが集中して半眼になるが、オフリースペックの俺には全くわからん。

 エーリッヒさんの顔の前で手を振って見る。

 あっ! エーリッヒさんが苦笑した。見えてないとおもったけど見えてるのかな?

 

 『これは、しまった!?』

 

 「おいルクシオン! 声! あっ……」

 

 魔力を感知した警報が室内に鳴り響いた。

 

 「身体強化なら鳴らないけど、魔力を外向きに放出したらね…… 一応学園は機密もあるし、重要な貴族の子弟も多い。そしてリオンにも秘密があったというわけだ」

 

 リオンさんの肩の上にメタリックカラーの赤いレンズをした球体が浮かび上がった。

 

 『魔力波を自身を中心に360度ソナーのように展開して周囲を構成する有機物の探知ですか…… 器用にも程があるでしょう』

 

 球体が悔しげにエーリッヒさんへ呟いているが――

 

 「そ、それ! 課金アイテムじゃん!」

 

 「「え?」」

 

 『おや?』

 

 リオンさんとエーリッヒさんの声がハモる。

 リオンさんは驚愕しているが、エーリッヒさんは、何言ってんだこいつ? とでもいうように訝しげな視線を向けてきた。

 そんな中、課金アイテムの球体、ルクシオンは興味深そうに俺を覗いてくるのだった。

 

 

 

 

 警報に従って講師が入室してきて注意された後、改めてお茶会が再開した。そこには新しい参加者のルクシオンが姿を現したままだ。

 

 「ティナがこの前、女子達とその専属使用人に魔力で威嚇してね。あまりの威力に警報がなっちゃったんだ。血の気が多くて困っちゃうよ――」

 

 それエーリッヒさんの陰口を叩いてて、マルティーナさんが怒った件です。

 マルティーナさんカワイソス……

 

 「――とまぁ、その件は言いとして。オフリーさん、課金アイテムって何だい? リオンもギクリとしているし」

 

 「それはぁ…… はは、は……」

 

 リオンさんは誤魔化そうとしているが、エーリッヒさんの眼光にたじろいでいる。

 別に目付きが特段厳しいわけでもないのに、貴方のその迫力は何なんですか?

 怖いんですけど……

 

 「あ、あのぉ、リオンさんって実は前世とかあって、しかもアルトリーベとかって知ってます?」

 

 「はぁっ!? 何でオフリーさんがそれを知ってんの? マジで! しかも前世って…… 君もかよ」

 

 「これはまさかだな…… 僕も前世がある。日本というオフリーさんと同郷だ。アルトリーベなんていう言葉は今聞いたね…… いや、古い恋物語とかそんな意味かな?」

 

 エーリッヒさんが態々日本語を使用して話をしたが、リオンさんも日本語が理解出来るようだ。

 

 『これは、マスターの誇大妄想の可能性が薄くなってきましたね』

 

 「お前、まだ俺を疑っていたのかよ!」

 

 『はい。それが何か?』

 

 リオンさんとルクシオンは仲が悪いのかな?

 

 

 

 

 そして俺とリオン君はアルトリーベのことを話し合い、それをエーリッヒさんが聞くという流れになった。

 

 「三作目と外伝って…… あのメーカー、頑張りすぎだろ! 外伝は一作目と三作目のハイブリッドっていうし……」

 

 「あれ、けっこう売れたからね。私は二作目と三作目はやってないけど」

 

 一応、死亡時の年齢が俺のほうが上のため、リオン君にはタメ口だが、年齢が少し年上のエーリッヒさんには変わらずに丁寧な言葉遣いを心掛けよう。

 いや、この人の場合、年下でもタメ語は無理だわ。

 

 「まさか、オフリーさんが元は男とはね。確かに貴族女性よりも開けっ広げだとは思っていたが……」

 

 「し、しかも、ぷぷぷっ! 憑依? 前とはいえ、専属使用人と…… ヤバい、腹がよじれる…… な、なんかごめん。プクククク、ねぇ、どんな気持ち?」

 

 おい、てめぇ! 俺の、オフリー嬢の黒歴史を抉るんじゃねぇ!

 憑依した直前だから、酒と薬で曖昧とはいえ微妙に覚えてるんだぞ! 今でも専属使用人を見ると震えと寒イボが止まらないんだ。

 

 「確かに興味はあるが…… まぁ、オフリーさんが本気で涙を流しているから、リオンもその件には触れないでやろう。しかし、僕がゲームのキャラか…… 何とも言いようがない」

 

 『私も貴女の精神状態に興味があります。データ蓄積のために調べてみたいのですが』

 

 俺は涙を撒き散らしながら首を振って拒否を示した。

 涙を拭いた俺はエーリッヒさんを見るが、しかめっ面をしながら、しきりに首を捻ったり天井を眺めたりしている。

 

 「でも外伝は、ほぼ概要しか知らないんですよね。後は廃人系の実況や掲示板で得た情報ですかね」

 

 「リックがいて、外伝の場合は公国の二年生時にヘルトルーデ、その妹のヘルトラウダ? が三年生時…… 最悪だな。モブじゃないんなら頑張って!」

 

 リオン君いい笑顔でエーリッヒさんに無責任なこと言ってるし。その人怖いよ。

 

 「僕に振るなよ。ヘルツォークが無事なら、最悪王国なんかどうでもいいんだから、僕の場合は。まぁ、無事な王国が背後に無いとラーシェルが本腰入れてきそうな所が悩ましいが。でも本伝の場合、もう破綻してないか? 二人の説明だとオリヴィアさんをリオンが口説いちゃダメだろうに。後、例のマリエの事もある」

 

 「いや、まぁそうだけど。あのリビアの状況は放って置けなかったんだよ」

 

 「癒やし系巨乳だから?」

 

 「そう! じゃなくて!」

 

 エーリッヒさんの問い掛けに対して、半ばリオン君は認めたようなものじゃないか。

 ただ、自分の件とエーリッヒさんの件で俺は手が回らなかったけど、マリエに関してはナルニアから聞いている情報がある。

 

 「ラーファン子爵家のマリエの件ですけど、ナルニアが言うには、五人ともきっちり惚れさせているとか。もうヤッてるだろうというのが、上級クラスの女の子達の見解らしいです」

 

 「という事は、ゲームクリア?」

 

 まだいまいち要領を得ていないのか、エーリッヒさんがお気楽な事を言っている。でも何か考え込む様子も見せているし……

 

 「んなわけないだろ。そもそも戦い関連のイベントがまったく起きていないじゃないか」

 

 「でもそういうゲームって口説いて関係結んだら終わりじゃなかったっけ?」

 

 あぁ、この人、ただのギャルゲー的な感覚が抜けていないのか。

 

 「戦略パートも重要なんですよ。寧ろそこを売りにして一作目は乙女の涙を誘ったんですから」

 

 「それ、難し過ぎて別の意味の涙だからな。コンシューマのくせに課金要素まで入れやがって。ちなみにこのルクシオンは1,200円」

 

 『何という屈辱』

 

 妹さんに押し付けられたリオン君は、げんなりしながらルクシオンの課金額を伝えている。

 

 「私も買いましたよ。けっこう戦略パートをやり込んだので、課金アイテムを使わずにアタックしたりもしましたね。まぁ、王太子殿下ルートだけでしたけど。戦略パートメインで買ったので、男の攻略なんか興味ありませんでしたし」

 

 「ふ〜ん、1,200円か…… 安いな」

 

 『更に屈辱です』

 

 いや、まぁエーリッヒさんの言うように確かに安いけど。

 ソシャゲなんかに比べたら遥かに安いとはいえ、コンシューマで課金するのも微妙に悔しいんだよね。

 

 「じゃぁ、二人の話を聞くと公国が攻めてくるのは間違いないという事かな?」

 

 俺とリオン君は、そうだと(うなず)く。

 

 「なら、もうどうなるか分からないシナリオよりも、公国や王宮に対する対策をしたほうがいいんじゃないか? 僕は正直、二人の話を聞いて思ったのは、その魔笛は確実に破壊、若しくは奪っておきたい」

 

 『ヘルツォークとファンオースは因縁がありそうですが、そちらの対処は?』

 

 「ほう、ルクシオン…… 先生は何でも知っているね」

 

 『何でもではありませんよ。データベースに記録されている事柄と調査した内容だけです。先生とは?』

 

 ルクシオンは委員長キャラなのかな? 

 オフリースペックだからキメ顔が出来ない……

 「まぁいいじゃない」と言って、エーリッヒさんはルクシオン先生の問を流している。

 

 「しかし、そんなこと出来るか? 俺達で」

 

 『私の機能を使用すれば何の問題もありません。それにエーリッヒは王宮の閣僚級とも伝手があるので、そちらは任せたほうがいいでしょうね』

 

 一旦、夏季休暇までにオフリー伯爵家の違法取引の証拠をエーリッヒさんと私で集め、リオン君はルクシオンと時間の取れる夏季休暇にファンオース公国へ潜入する運びとなった。

 そして最後にエーリッヒさんから一言。

 

 「僕のヒロインって誰?」

 

 あんたまさか、さっきからそれを必死に考えていたんじゃないだろうな!




オフリー嬢、名前を気にする人物はもういない( ー`дー´)キリッ

エ、エーリッヒ殿が、別の意味で頭がオカシクなっておられる!?
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