※オムニバス形式の短編集です。
時系列はバラバラ。
共通しているのは舞台が『幻想郷』って事のみ。
なお、オリキャラ等はモブ程度にする予定です。
●尚、pixivでも投稿しています。
まさかこの人が来るとは思わなかったなぁ…
あ、もちろんプレイ済みですよ!
「いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
とある知らせが届いた、冬のある日、命蓮寺にて―――
「ついに私の時代がぁ、キタ――――――!!!!!」
とある少女の魂の叫びが、幻想郷中に木霊した。
○時代(が追いついた)少女とスタンド親父
事の始まりは、最近人里に重苦しい空気が渦巻きだした事にある。
度重なる異変、抗いようのない天災…それらによってもたらされた厭世間が、絶望感とは違うある種の閉塞感にも似た空気を生み出していた。
そんな時、誰かがこんな声を発した。
『ええじゃないか!』
そう、何も変わらないのであれば、何をしても良いんじゃないか?
そうだ、もっと刹那的に生きてもいいはずだ!
そうして次第に里の人間の心は開放され、それと同時に秩序が乱れていった。
しかしそんな空気を良しとしない者達がいた。宗教家達である。
宗教家達は乱れた人心を掌握しようと考えた。
乱れた秩序を取り戻すと同時に、自らの信仰を集める良い機会でもあったからだ。
彼女達は決意した。
『こういう時こそ、私の出番だ』と。
―――つまり早い話が、宗教家達による信仰集め(というか人気取り)合戦を開催する事になったのだ。
そして命蓮寺代表の一人として、『守り守られし大輪』こと雲居一輪と雲山が選ばれたのである。
「やった…やったわよ。苦節ウン年、この日が来るのをどれだけ待ち望んだことか…!」
これまでの苦労を思い出し、一輪はちょっと涙が出そうになった。
思えば幻想郷に来てからこっち、彼女の境遇は決して良いとは言えなかった。
恩人である姐さん…聖白蓮を救うために奮闘した際もそうである。
結果的に彼女を救えたのは良いものの、道中で巫女やら魔法使いやらに散々な目に遭ったのだ。
細かく説明すると長くなるのでまとめるが、私達がやった事は『恩人を助けるために妖怪達が頑張った』…ぶっちゃけ只の良い話である。
それを奴らは話も聞かずに『異変は解決だー!』などと…お前らは某世紀末のモヒカン野郎か。
スペルカードに則って弾幕勝負をした際も、
R「あんたの弾幕ほとんど雲山頼みじゃない」
M「てかオッサンしかスペカで活躍してないな」
S「正直いちナントカさん要るんですか?」
などと言われる始末。
一輪は声を大にして叫びたかった。
―――だって、だってしょうがないじゃない!そういう能力なんだもん!――――あといちナントカさん言うな。
自身が持つ『入道を操る程度の能力』をフルに活用した結果、あの『握り拳が飛んでくる』という過去類を見ない強烈な弾幕になったのだ。
つまりあのスペカは一輪あってのモノなのである。雲山だけではアレは出来ないだろう…多分。きっと。
私は見えないところで頑張る女なのだ。デキル女なのである。
というかS、ちょっと前に出てきたばっかであの時初めて自機組になったような奴にそこまで言われる筋合いは―――話がそれた。
その後も
『なんか地味』『スペカのネーミングセンス独特ですね』『にょきてwww』などと色々言われてきた。
この格好は一応寺に住んでいる以上、『それっぽい』恰好をしているだけだ。『入道』という言葉も、『仏門に入った者』という意味があるし。
しかしそういう恰好してるのって、ほぼ私だけなんだよなぁ…星はともかく、姐さんはドレスだし。村紗はセーラーだし。ぬえはなんかよくわかんないし。
スペカのネーミングセンスは…どうなのかな、個人的には恰好良いと思うんだけど。『入道にょき』そんなに変かなぁ?
それにセンス云々ならどこぞの吸血鬼や地獄鴉の方がよっぽどだと思う。
「ともかく、過去は過去!何だかんだで肩身の狭い思いをするのも、これまでよ!」
今回の戦いのルールは確認済みだ。それには『直接攻撃アリ』とあった。
つまり、拳骨でぶん殴ってもOK、ということである。恐らく中距離よりも接近戦がメインになるだろう。
これは間違いなく自分に向いたルールだ。弾幕オンリーで巫女や魔法使いの相手をするのは正直分が悪いが、格闘アリなら此方にも目がある。
結局雲山に頼る?これは能力の有効活用だ。鳥が空を飛んで何が悪い。
この時のために衣装も新調した。新たに袈裟を追加装備して、魅力も倍率ドンだ。『魅力を上げて物理で殴れ』である。
「見てなさい巫女に魔法使い…これまでの私とは一味違うって事を見せて、いや『魅せて』あげるわ!」
「久しぶりに此方に顔を出してみれば、なんだか一輪が随分と荒ぶっているね。何かあったのかい?」
「えぇ、今回の勝負に出れたのがよほどうれしいみたいです」
命蓮寺の縁側にて、ナズーリンと寅丸星がのんびりとお茶を啜っている。
彼女達の目線の先には、雲山の頭上に仁王立ちして高笑いしている一輪の姿が。
「真面目な割に意外と好戦的だね。ところでご主人は出るのかい?」
「正式な発表はされてないですが……どうなんですかねぇ?一輪と違って、私は荒事が苦手ですし。ナズーリンは?」
「要請が来るなら受けない事もないけど、正直あまり興味ないなぁ」
だから一輪があそこまで張り切るのもよくわからんよ。そうつぶやくナズーリンに苦笑しながら星は応えた。
「私はなんとなく一輪の気持ちが分かります」
「おや、そうなのかい?」
それを聞いたナズーリンは少し驚いた。はて、このご主人はそんなに好戦的な性格だったか。
「勝負するのが嬉しいんじゃなくて、『聖の役に立てる』のが嬉しいんですよ」
自身が心から慕っている人の力になる事が出来る。従者として、これほどの喜びはないだろう。
それを聞いたナズーリンは一瞬きょとんとしたあと、「なるほど」と小さく呟いた。確かに自分にはない感情だろう。
ナズーリンは彼女達とは立ち位置が少し違う。彼女が仕えているのはあくまで毘沙門天であり、聖ではないからだ。
「そういうことか、確かに私には分かりにくい感覚だったね」
「ふふ、そういうことです。きっと」
未だに高笑いしている『守り守られし大輪』改め『圧倒する妖怪行者』を見ながら二人はのんびりお茶を飲む。
命蓮寺は今日も概ね平和であった。
おまけ
「さて、天気も良いし、もう一探し行こうかね」
空になった湯飲みを盆の上に置いて、ロッドを手に持つ。
時刻は昼過ぎ。日が暮れるまでにはまだ時間がある。暗くなる前に無縁塚に戻れそうだ。
「そうですか、くれぐれも気をつけてくださいね」
湯飲みを片付けつつそう言う星を見てナズーリンは苦笑した。全く、これではどちらが上司なんだか。
だからと言う訳ではないが、ナズーリンにちょっとした悪戯心が湧いた。
「あぁ、ご主人も色々と大変だと思うが、まぁ気をつけてくれ」
「…はい?」
なんとなくナズーリンの発言に含みを感じた星は首を傾げる。
「いや、今回の勝負、確か敗者はその場で爆発四散するんだろう?」
「……へ?」
気のせいだろうか、いまナズーリンの口から物凄く物騒な単語が出ていたような。
「あくまで『演出』だろうからそのまま死ぬような事は無いだろうが、それでもそれなりに痛いだろうし」
「え?え?」
「まぁご主人や聖はそう簡単に負ける事は無いだろうが、それでも相手はあの巫女や魔法使いだからね」
「え、いやちょっとナズーリン?」
「それに勝負はいつも水物。やってみないとわからないというのもある」
「一応聞きますけど応援してくれてるんですよね?ってそうじゃなくて」
「もっともご主人は曲がりなりにも毘沙門天の代理なんだからそう簡単に負けてもらわれては困るわけだけど」
「さりげなくひどい事言ってるし妙なプレッシャー掛けてきてますよねってそうでもなくて!」
「まぁ頑張ってくれ。それじゃ」
そのままロッドを担いですたすたと歩いていくナズーリン。一番大事なことを聞けていない星は慌てて彼女を追いかける。
「あ…あの、さっきの爆発四散ってのは本当に…?」
「まぁ万が一本当に爆発四散しちゃっても私はダウザーだから。ちゃんと探して拾っておいてあげるよ」
「拾う!?拾うって何をですか!?骨的なアレをですか!?」
「もちろん宝塔」
「そっちかー!多分そうだろうなとは思ってましたけど!そっちも大事ですけど!」
「幻想郷中に散ったご主人はきっとこの世界を守ってくれるんだろうね…」
「やめてくださいよ!散りませんから!演出ですから!そうですよね!」
ニヤニヤと笑うナズーリンと半泣きで事の確認をする寅丸星…はて、どちらがどちらの主人だったか。
命蓮寺は今日も概ね(?)平和であった。
「そう言えばご主人、此処では『常識に囚われてはいけない』らしいよ?」
「いやそこは常識に則りましょうよ!というか誰ですそんな事言ったのはー!」
―――その頃、某神社。
S「クシュン!うーん、風邪ですかねぇ」
K「あらあら大丈夫?最近冷えるから暖かくしなきゃだめよ…いっそ巫女服改良する?」
S「なんのこれしき!巫女たるもの、『寒いから厚着する』などという常識に囚われてはいけないのです!」
K「…育て方間違えたかしら」
改めてプレイしてみると、本当に雲山さんごっついですよね。
どっかで似たようなのみたなぁ…と思ったらGGのザッパ(のラオウ)でした。
そしてまさかの星さんお留守番。
まぁ、公式でも『荒事は苦手』って言ってますしねぇ。
今後も、機会があったら更新していこうと思っています。