ようこそ異世界帰還者がいる教室へ   作:END

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結構説明文苦戦しました。でもおかしなところがありそうで怖い。


拠点と平田の方針

洞窟のスポットであった会合の後、俺は平田と綾小路に拠点になりそうな新たなスポットを案内した。

 

それを見た平田は若干悔しそうに顔を顰めたがここのスポットなら良いだろうと認め、クラスのいた場所に戻り全員で移動する事にした。

 

その後待っていた生徒達と合流した訳だが、Dクラスの奴等は俺も一緒に戻ってきた事やスポットの探索が終わった事に驚いていた。まあすぐに平田が洞窟のスポットの件と新たな拠点の説明を始めたのですぐに関心はそちらに向いた。

 

 

そして今は洞窟での経緯を説明した上でもう一度そのスポットへと向かっている。その際に櫛田が申し訳なさそうにしていた。

 

 

「ごめんね平田くん。みんなで待ってるように言われてたけど、高円寺くん海に泳ぎに行っちゃって。一応止めたんだけど……」

 

「……あはは、仕方ないさ。海に行ったのはわかってるし、しばらく経ったら呼びに行こう」

 

 

櫛田の言葉に平田は繕うように話す。高円寺の行動も俺と同じような自分勝手なもののはずなのにこの差は何なのだろうか。少し不満な気持ちになる俺である。

 

そんな事を考えていると俺たちは拠点になるスポットにたどり着いた。

 

 

「ほらよ、ここが水源のスポットだ。奥に装置があるから確認してみろよ」

 

「うっほー川だ! ものすごく綺麗な感じの! こりゃいいぜ!」

 

「おいっ、行ってみようぜ!!」

 

 

池をはじめとした男子生徒は俺の話を聞かずに川の方に意識を向けていた。いや、まずはスポットの確認しろよ。因みにスポットは川辺近くの大岩に埋め込まれている。

 

とはいえ他の生徒もこの場所が気になっているようで、スポットの周辺を見回り始めた。

 

流れる川は立派でその周囲は森や砂利道があって整備されている。地面の高低差もなくそれ以外の場所には看板で許可ないものの使用を禁止されていた。そこまでして一通り生徒達が見終わり始めた。

 

 

「綺麗な水に日光を遮る日陰。そして地ならしした地面……改めて見ても、ここなら理想的だ」

 

「俺に感謝するんだな。ここは船内を見ても森で隠れていたからさっきの探索で見つけたからな。苦労したぜ」

 

 

まあ《眼》の力で簡単に見つけたので労力はそんなにかかってはないが。

 

 

「確かにお手柄だけど、そんな押しつけの厚意に感謝はしないさ。単独行動を許したんだからこれくらいの働きはしてもらわないと困る」

 

 

しかし平田は冷たい声でそう俺に告げる。しかしこれについてはある程度予想できていたので特に何も感じなかった。

 

 

「それにここを拠点にするのは確定だけど、占有するかどうかは話が変わってくるしね」

 

「するに決まってるじゃん! しない選択肢もないし!」

 

「あるんだよ池くん。確かにここを占有すれば川を独占できるしポイントの収入も得られる。でも更新の際にリーダーを見られないようにする必要があるんだ。ここだと最悪森の茂みに隠れて盗み見られる可能性がある」

 

「それはこう、隠せばいいじゃん。囲むようにしてさ」

 

 

池が言った事に他の生徒も賛同していく。おそらく平田自身もそうは思っていたんだろうが自分が掲げる平和主義上意見を聞いたのだろう。そんな生徒達の振る舞いに平田は嬉しそうな笑みを浮かべると肯定するように頷いた。

 

 

「うん、そうだね。じゃあ後は、誰がリーダーをするかだけど……」

 

「俺がやってやろうか?」

 

 

俺の言葉にクラスメイトの注目が一気に集まり、平田はまた俺を睨みつけてきた。

 

 

「ふざけるな。誰がお前にリーダーを任せると思う」

 

「また俺に突っかかるのか平田。お前はクラスポイントが欲しくないのかよ?」

 

「確かに僕らにはポイントが必要だ。だからこそ、お前のような奴に任せる事こそありえない」

 

「そうは言うけどな。既に俺はこの島にあるスポットを全て見つけた。他クラスの連中も今は拠点の事を優先しているだろうし、今なら俺がリーダーになって大半のスポットを最高ポイントで独占できるぞ?」

 

 

俺は茶柱が渡してきた中途半端な地図を、持っていた平田からぶんどると数カ所にマークをつけた。

 

 

「ほらよ、これがスポットのある箇所だ。全部で40ある。俺以外の奴がリーダーになっても移動で時間食って最高ポイントで占有はできないぞ?」

 

「だとしてもお前一人で移動しても意味はない。誰かに見られたらリーダー当てられて終わりだ」

 

「そんなヘマするかよ。大体お前ら不良品に任せる方が危なっかしい。下手な真似してポイントが手に入らなかったら来月もお前らに無償でポイントを渡す事になるからな」

 

「はなからお前のポイントに頼るつもりなんてない。それにあれだってただの口約束だ。お前がやめたいと思えばすぐに辞められる……いい加減僕はお前の行為には屈しないぞ」

 

「……ふっ」

 

 

俺は平田の指摘に細く笑んだ。確かに俺がポイントを渡していたのは高円寺の指摘を守っているからじゃない。『俺はお前らに施しを与えられる程優れているんだぞ』とDクラスの面々に知らしめたり『金で須藤の退学を納得するクラスに団結力なんてない』と平田に思い知らせる為だった。

 

正直言えば見栄を張った面もあるし他に方法はいくらでもあっただろうが、一度ポイント=金を貧しい奴に渡して優越感に浸ってみたかったのだ。

 

 

「見事なご指摘ご苦労さん。なら俺がリーダーをやる理由は無くなったな。この試験がどうなろうと毎月一万の件はチャラだーーで? 結局誰がリーダーをやるんだよ。まさか平田、お前がやるってわけじゃ無いだろう」

 

「それは……」

 

 

ここに来て平田の勢いが削がれる。こいつは良くも悪くもDクラス筆頭として他クラスに顔を知られる人物だ。そんな奴が自らリーダーになって占有するのは指摘されるリスクが高まる。それを恐れてのことだろう。

 

だからといって他の生徒には荷が重い案件だ。現に殆どは顔を濁していて立候補する奴は見られない。

 

だがそんな中、一人だけそれをやるという生徒が現れた。

 

 

「ーー私がやるわ」

 

 

手を挙げて立候補したのは我らがDクラスのボッチ女、堀北鈴音である。

 

 

「……ついに頭がおかしくなったのか堀北。おかしくも無いジョークだぞ?」

 

「ジョークなどでは無いわ。私がリーダーに立候補する。それだけよ」

 

 

相変わらず堀北は愛想のない返事をする。普段は表立って何かをする姿勢がないはずなのに何故今になって動き始めたのだろうか。心境の変化を疑いながら俺は眉を顰める。

 

というかここ最近堀北から俺に歯向かうような意志を感じていた。寮裏での一件で恐れたと思っていたがどうやら調教が足りなかったらしい。

 

 

「いやいや、お前にリーダーなんかできるわけねえだろ。というか他の奴が納得すると思うのか?」

 

 

そう言って全体を見渡すように促した。案の定クラスメイトはあまり良い顔をしていなかった。須藤の件での悪評が消えたわけでは無いし、改善も見られない。そんな調子でリーダーに認められるわけがなかった。

 

そう思っていた俺だったが、ここで助け舟が入る。

 

 

「いいんじゃないかな。私は堀北さんがリーダーでも」

 

「く、櫛田ちゃん?」

 

 

他の生徒が難色を示す中でクラスで影響力がある櫛田が堀北を擁護した。しかし他の生徒の難色は残る。

 

 

「でもよ〜櫛田。堀北って前に俺らを馬鹿にしたんだぜ? そんな奴に任せるのはどうかと思うけど……」

 

「確かに堀北さんはみんなと折り合いがつかない所があるかも知れないけど、Aクラスに上がりたいっていう気持ちは誰よりも強いと思う。それに平田くんや軽井沢さんは嫌でも目立っちゃうし、リーダーを任せるなら責任感のある人でないといけない。堀北さんがリーダーになったら、きっと頑張ってくれるんじゃないかな?」

 

「僕も櫛田さんに賛成だ。この場で率先して手を挙げてくれたのなら、僕はそれを聞き入れたい。みんなもどうだろう?」

 

 

櫛田の次は平田も加わりダブル擁護。Dクラスで最も影響力がある発言にクラスメイトも心を動かされ始めた。

 

 

「ま、まあ櫛田ちゃんと平田くんがそこまでいうなら……」

 

「だね。他にやりたい人もいないし……」

 

 

一人、また一人と賛同の声が上がり空気が変わり始める。幸村など一部の生徒は納得のいかない顔をしているが代替案が思いつかないらしく最後には折れた。

 

 

「ふ〜ん……なら好きにすればいいんじゃないか。精々スパイから上手くリーダーを隠し通す事だな」

 

 

最後に俺もリーダーの件を了承した。元々クラスがどうなろうが知ったこっちゃないので反論するつもりはない。後はこいつらの好きにさせればいいだろう。

 

 

「言われなくてもそうするさ。じゃあ堀北さん。お願いするよ」

 

「ええ、分かったわ」

 

 

平田の言葉に堀北は応じる。

 

 

こうして茶柱に報告して数分後、キーカードを受け取りDクラスのリーダーは堀北鈴音に決定したのであった。

 

 

「じゃあ次の話に移るんだけど……」

 

「その前にここのスポットを占有しようぜ? なんせここを占有すれば風呂と飲み水の心配はねえからな!」

 

「はあ? 川の水飲むとか、あんた正気?」

 

 

平田が話を再開しようとしたが、すぐに出た池の主張に篠原をはじめとした女子が抵抗を見せた。

 

 

「何だよお前ら。折角見つけた川を有効活用しない手はないだろう!」

 

「じゃああんたが試しに飲んでみなさいよ」

 

「は? 別にいいけど」

 

 

篠原の催促に池は手ですくって川の水を飲んで見せた。

 

 

「かーキンキンに冷えてて美味いぜ!」

 

「うわマジドン引き。無理無理、そんなの飲むなんて。気持ち悪い」

 

「はあ!? お前が飲めって言ったんだろ篠原!」

 

「やだやだ。私が一番嫌いなタイプね。あんたみたいな野蛮人」

 

 

篠原を筆頭にした女子生徒が嫌悪の態度を示した。そんなやりとりを見た俺は眉を顰め青筋を浮かべる。女であるという立場を利用して独善的な主張を続ける篠原がムカついたからだ。そう思った俺は平田が止めに入ろうとする前に篠原の背後にゆっくりと立つ。

 

 

「なら同じ野蛮人になれよ不良品」

 

「え…? ーーガブッ!?」

 

 

俺は篠原の頭を掴むと川の水に力一杯沈め込んだ。篠原は突然のことに加えて水の中で呼吸が出来ないことから苦しそうにもがく。

 

 

「ンーーーッ!? ンーーッ!!」

 

「お前さ、さっきからムカつくんだよ。なにもしてないのに駄々しかこねてねえじゃねぇか。テメェは一度立場を自覚しろよ」

 

「村上っ!? 何をしている! 篠原さんを離せ!!」

 

 

平田が怒気を含んだ声で俺を止めにかかるが瞬時に空いている片腕で平田の胸板を押し出した。勢いをつけた一撃だった為平田は「ぐはっ」という声をあげて地面に仰向けに倒れる。

 

 

「邪魔すんなよ平田。俺はただイチャモンばかりつけて怠惰を貪る奴らにお灸を据えるだけだ。殺すつもりはねえよ」

 

 

そう言って俺は溺れる寸前のタイミングで篠原の頭を川から解放してやり掴んでいた頭から無造作に手を離した。篠原は気管に水が入ってゴホッゴホッと咳をする。即座に櫛田が介抱に入るが気にせず俺は篠原に便乗した女子をまとめて睨みつけた。

 

 

「お前らさ…さっきからうぜえんだよ。ロクにクラスに貢献したわけでもねえのに、試験開始されてからお前らは駄々しかこねてない。何様のつもりなんだ? ああっ?」

 

 

俺の言葉に顔色を悪くしながら怯えた表情で目を逸らす女子達。

 

 

「どうした? 反論してみろよ。池には散々罵倒してたじゃねえか。その時みたいにすればいいだけだろ、なあ? なあっ!」

 

「や、やめろよ村上! もういいだろ?」

 

 

俺が女子を責めている最中、先程罵倒された池が俺を止めに入った。

 

 

「何でお前が止めに入るんだ池。お前はさっきこいつらに罵倒されただろう。悔しいとは思わなかったのか?」

 

「そ、そりゃない訳じゃねえけど。考えても見れば初めは抵抗するもんだって気づいたんだよ。女子の言い分は間違ってる訳じゃーーぐへっ!」

 

「勘違いしてるようだから言ってやる。今こうしてるのはお前を擁護する為じゃない。単に腹が立っただけだ。お前のことなんてはなからどうでもいい」

 

 

池の腹にパンチを叩き込んで大人しくさせると、俺は介抱されていた篠原の髪を無造作に掴み顔を無理やり上げさせた。

 

「い、痛っ! やめ…」

 

「特に篠原、俺はお前が嫌いだ。容姿、性格、振る舞い全てがだ。そんな奴が問題を起こすだけでこっちは不快なんだよ。次こんな事したらーー須藤と同じ末路を辿らせるぞ?」

 

「っ!? は、はいっ……すみま、せんでし、た……」

 

 

篠原は俺の言葉に恐怖すると絞り出すように謝罪した。それを聞いた俺は髪を離すとスポットが設置されてる大岩に上り腰を下ろした。

 

 

「さて、雑音が消えたところで話を再開したらどうだ平田。最も新たに飲水の問題が出てきて大変だろうけどな」

 

「……問題ない。それも既に考えてある。その前にみんな、一度気分を落ち着かせよう。篠原さん、立てなければそこにある木に寄りかかりながらでも大丈夫だよ」

 

「あ、ありがとう……」

 

 

平田は一度特に怯えていた篠原に寄り添い気持ちを落ち着かせる。しばらくして俺がつくった険悪な雰囲気がなくなると平田は口を開いた。

 

 

「みんなにどうしても話しておく事がある。この試験は僕たちにとって初めてな事ばかりだ。それぞれが違い価値観を持っているから揉める事だって当然だと思う。だけど慌てずに話し合えば上手く話ができるはずだ。まず僕なりにマニュアルを読んで現実的な数字を導き出してみた。今回の試験では最初に支給されたポイントを120残せるかが鍵だと思う」

 

「つまり俺たちは180使うというのか?」

 

「まずは最後まで聞いてほしい幸村くん。120ポイントっていうのは最低ラインの話なんだ」

 

 

その後平田は食料や飲料水、テントや仮設トイレなどのポイントで150を使い、残りの30ポイントを予備として残しておく作戦を説明した。

 

 

「これが僕の見積もった数値だ。勿論この島で食料や飲料水を賄えればその分ポイントを残せる。川の水で代用できるなら50ポイントも変わってくるんだよ」

 

「そ、そっか…私たちが我慢すれば、それだけ……」

 

「勿論川の水に抵抗がある人もいるから強制じゃないよ。直接飲むのが怖いなら、一度沸騰させて試してみるのも悪くないと思う」

 

「いいじゃんそれ! それなら負担も減るだろう!」

 

 

飲水の問題を出した池本人を筆頭に、一度拒否した女子生徒たちも納得した表情になる。これによって飲水の問題は解決した。

 

 

「だが平田。俺たちのクラスポイントは須藤が退学したせいでマイナス100だ。仮にそのポイントが残ったとしても20しかない事になるぞ?」

 

 

そう言って幸村は異議を申し立てる。確かに今の案を実行しても俺のポイント支給はなくなったので金欠問題は解決しないだろう。すると軽井沢が思いついたように発言した。

 

 

「スポットなんじゃない? 私たちは場所を全部知ってる訳だしそれでポイントを稼ぐとか」

 

「その通りだよ軽井沢さん。これが僕らの本命だ。ここで多くの箇所を占有してポイントを手に入れる」

 

「なるほどな! つまりスポット全部を占有すればいいって訳だ、楽勝だぜ!」

 

 

しかし平田は首を横に振って山内の叫びを否定した。

 

 

「いや、僕らが占有するスポットは20箇所だ。その他のスポットはそのままにしておくほうがいい」

 

「な、なんでだよ平田! スポットの場所がわかるんなら全部取ればいいだろ? 少し遅れても1箇所で1〜2ポイント減るだけだって」

 

「問題はそこじゃないんだ。よく考えてみてくれ。確かに残った全てのスポットを占有できれば僕らは膨大なポイントを手に入れる事ができる。でもそれは同時に管理とリーダー隠蔽の困難さを意味するんだ。最悪スポットを独占してるDクラスを追い込む為に他クラス同士が協力するかもしれない。今の僕らではそれは対処できないよ」

 

「あ、そっか……」

 

「確かにそれは無理だね……」

 

 

平田の説明にクラスメイトも把握できたようだった。そして平田は畳み掛けるように話を進める。

 

 

「そうなると占有する箇所は抑えておくのがベストだ。且多くのポイントを手に入れると考えると全スポットの半分…20箇所が最適だと思うんだ。これなら村上以外の誰かでも十分最高ポイントは得られるし管理だって楽になる。上手くいけば残った120とスポットの最高点である380を合わせた500ポイントを獲得できる。どうかな?」

 

「いいじゃんそれ。やってやろうぜ!」

 

「そうなればマイナスがなくなって4万ポイント貰えるし! 最高だよ!」

 

 

生徒達はやる気に満ち溢れ、互いに想いを向上させていた。どうやら方針は以上の通りらしい。

 

 

「よし、じゃあ決まりだ。みんな、一緒に頑張ろう!」

 

『おおおおおおおおッ!!』

 

 

「………」

 

 

平田の掛け声により湧き上がるクラスメイト。そんな光景を俺はただ冷たい眼差しで見つめていた。




平田の考えた案
・120ポイントは原作通り。
・スポットは40箇所の内20箇所を占有。試験最終日まで独占できれば20箇所×19ポイント(アニメ12話で出されていた1箇所の最高値)で380。
・120+380=500
・500一100=400程度にする作戦です。
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