テイオー・・・お前という奴はどうしてピックアップで計ったようにやってくるんだい?カフェの夢ががが・・・
まぁ可愛いからいいや
絵なんか描いてるから投稿が遅れるんだ・・・
「ねみぃ・・・流石に仕事抱えすぎたか」
仕事を終え、寮へと戻る道すがら、トレーナーはあくびを噛み殺しながらゆっくりと歩いていた。その足取りはフラフラとかなり危うい。
「ん?あれは・・・」
ヒト一人、ウマ娘一人いない道を歩いていると、不意に前方のベンチに人影を発見する。人影はうなだれているようではあるが、頭部に見える二つの耳から、ウマ娘であるという事だけは分かる。
「・・・こんな時間に?」
既に寮では夕食の時間。もし人影が栗東寮のウマ娘であれば、暴食の化身たる二人のウマ娘によってぺんぺん草すら生えないレベルで食料は食べつくされ、夕食にありつけなくなる可能性もある。トレーナーは面倒だなぁと呟き、頭を搔きながら声をかけることにするのだった。
「おーい、もう帰寮の時間だぞっと」
「!なんだ、カイチョーのトレーナーさんじゃんか」
「?・・・お前、テイオーか?」
ベンチへと近づくと同時に月明かりが雲の間から漏れ、人影の正体があらわになる。そこにいたのは、かつて知り合ったウマ娘トウカイテイオーだった。トレーニングをした後なのか泥だらけのジャージを着ており、カバンも持っておらずかなりみすぼらしい姿をしていた。月明かりで正体が分かった後ですら一瞬別人だとトレーナーが思ってしまうレベルだ。
「おいおいどーした?なんでそんな泥だらけで・・・というか、こんな時間にカバンも持たないでこんな所で何してんだ」
「うっ、べ、別に何でもないよ!」
トレーナーが心配げに声をかけると、テイオーは慌てて顔を背け明るい口調でそう言って立ち上がる。しかし、トレーナーはテイオーが顔を背けた一瞬、目元が赤くなっていたことに気づいて去ろうとする彼女の手をつかんだ。
「・・・離してよ。ボク帰るんだからさぁ」
「待て。事情が変わった。お前何か隠してるな?目元、見えたぞ」
トレーナーは、掴んだ手により力を込めていく。テイオーは気まずそうに、それでいて尚も顔を見られないようにトレーナーの方には向かない。手を離してもらおうと腕を振るが、ウマ娘の力ではけがをさせてしまいかねないと無意識に力を抑えたため振り解けなかった。
「な、何でもないってばぁ。ちょっと走ってたら目に砂が入ってこすっただけだよ。トレーナーだって忙しいでしょ、ボクにかまってないで帰っていいよ」
「いや、仕事は終わった。今終わった。そして今仕事が増えた」
「はぁ?」
おかしなことを言うトレーナーに首を傾げたテイオーが、思わず顔をトレーナーに向ける。そこには、真剣な表情でテイオーの手を掴んで、ジッとこちらを見つめるトレーナーがいた。
その異様な圧に少し気圧されたテイオーが固まった瞬間、トレーナーの腕が動いた。
「うわっ!?」
「緊急事態につき文句は後で受け付けるぞ」
「な、ちょ!?」
ぬるり、と形容すべき滑らかかつ素早い動きで、あっという間にトレーナーはテイオーの両手を掴むと同時にしゃがみこんで体を倒し、テイオーを肩から担いでしまった。
「は、放してよ!?急に何するの!?」
「動くな。重いから」
「あー!?女の子に重いって言った!重いって言ったー!」
(え、あれ!?下りれない!?というかボクが暴れてるのにトレーナーさん全然ぐらつかない!?体幹どーなってるのー!?)
暴れるテイオーを肩に担いだトレーナーは、真剣な表情でさっきまで歩いてきた道を戻り、自分のチームの部室へと戻るのだった。
「おーっし、ついたぞ~」
「おーろーせー!」
部室へと到着し、テイオーを下ろすトレーナー。ピンピンしているトレーナーに対して、ここに来るまでの間に散々暴れたテイオーはかなり疲労しており、口ではまだ文句を言っているがどこかぐったりとしている。
「よし、まずはそこのソファに座れ。そう、そこ」
「もう・・・こんな時間に部室にボクを連れ込むなんて・・・は!?まさか、ボクを襲うつもり!?」
「・・・はっ」
「あー!!!笑った!しかも鼻でぇぇ!!」
口だけはいつまでも元気なテイオー。トレーナーの指示通りソファへ座りつつも乙女心がー、女心をー、とトレーナーへ高説を垂れている彼女だったが、一言、質問を受けて黙り込む。
「その足、いつからだ?」
「・・・え?」
「とぼけるのは無しな。腐ってもトレーナーだ、そのくらいは分かる」
トレーナーの真剣な、というよりも怒っているような表情を受けて、ばつが悪そうに顔をそらしたテイオーは先程までの元気さを失くしたかのように小さく呟く。
「・・・三日前から」
「・・・あのなぁ、医務室がいやなのかは知らんが、怪我をおしてトレーニングってのはダメ。わかるだろ、お前なら」
「うん。というか、ボクのトレーナーからは練習禁止令出されちゃった」
「・・・おい。黙ってやってたな?トレーニング」
トレーナーの確信を持った声色に、観念したテイオーがコクリと頷く。顔に手を当てて上を向き、あ゛~と絞り出したようなうめき声を出すトレーナーに、テイオーの耳が垂れ顔がうつむく。
「お前なぁ・・・」
「その・・・朝に練習再開したいってトレーナーに頼んだんだ。そしたら『まだ早いー』って言われちゃって、その、喧嘩になっちゃった」
「だからアイツ朝から機嫌悪かったのか」
テイオーの口から話された経緯を聞きどこか納得した様子のトレーナー。包帯やテープなどを手に戻ってくると、テイオーの前でしゃがみ、足を手に触診するとともにジャージのズボンの裾を少したくし上げさせ、容体を確認していく。
「そ、そんなにトレーナ—怒ってた?」
「怒ってた怒ってた。昼飯時にあいつのそばから皆離れるくらい怒ってた」
トレーナーの話を聞き、うぐっと声を詰まらせ少し悲し気な表情を浮かべるテイオーを下から見上げ、トレーナーはいたずらっ子めいた笑みを浮かべる。
「安心しろ、お前にじゃなくて自分自身に怒ってたよ。『アイツのケガにすぐに気づいてやれなかった自分が憎い』ってよ」
「え?そ、そう・・・?」
大切にされてんな、と言って締めくくったトレーナーの言葉に、少し嬉しそうににやけるテイオー。尻尾と耳も忙しなく動き、知らないところで思われていたことに嬉しそうである。
「・・・まぁ、大事にはなってないみたいだな。ヨシ!」
「ありがとう・・・え、何そのポーズ」
「様式美」
触診と手当てを終え、立ち上がったトレーナーは片手片足を上げつつテイオーの足を指さし確認する妙な体勢を見せる。礼を言いつつ立ち上がったテイオーが首をかしげるが、気にしてないトレーナーは部室に置かれた時計を見て苦い表情を浮かべる。
「・・・おっと、もうこんな時間か。まずいな、寮の夕食にはもう間に合わねぇ」
「え?あ、本当だ!?ど、どーしよー!」
頭を抱えて時計を見上げるテイオーが悲鳴を上げる中、少し思案しトレーナーは手を叩く。
「しょうがない。治療ついでだ、晩飯作っちゃる」
「いいの!?」
絶望から一転、歓喜の表情で振り向くテイオー。しかしその後すぐに不安げな表情を浮かべる。
「え、でもトレーナーさん、部室での料理ダメになったんでしょ?ここじゃダメじゃん」
「ふっふっふ。甘い、甘すぎるぜテイオー!アンパン砂糖漬けにして、ハチミー固め濃い目ぶっかけて水飴でコーティングしたくらいあまい!」
「ワケワカンナイヨー!?」
トレーナーの意味不明な例えに突っ込むテイオーをよそに、ガサゴソと部室の隅からトレーナーが何かを取り出してくる。
「じゃーん!キャンプで使うタイプの小さめのコンロ!外で作る分には何も言われてないもんねー!」
「な、なんかずるい大人を見てる気分」
「おう、知らなかったか?大人は大体ずるいんだよ」
「知りたくなかったなー?」
チベスナ顔のテイオーをよそに、トレーナーは嬉々として冷蔵庫から食材を取り出すとテイオーを連れてもはや定位置となりつつある遊歩道にある休憩スペースへと向かうのだった。
「あ、帰りが遅れる旨寮長に連絡しとけ。ほらスマホ」
「あ、分かった・・・ねぇトレーナー、このルナって誰なの?なんか午前中1時間に一度とかのすごい回数連絡来てるけど」
「仕事仲間。まぁ気にすんな」
ところ変わって、遊歩道にある休憩スペース。テイオーと二人でやって来たトレーナーは、鼻歌交じりに食材と調理器具を取り出していく。
「にしても、なんでトレーナーさんはそんなにご飯作るの好きなの?」
「あん?」
「いやだってさぁ。ボクのトレーナーとかもそうだけど、他のトレーナーさんは料理できるかもしれないけどわざわざ担当に食べさせたりはしないじゃん。ちょっと気になっただけなんだけどね」
テイオーはそう言ってブラブラと足をぶらつかせている。トレーナーは少しだけ上を向いて考えた後、慌てて目の前のコンロに集中していた。
「別に特に理由は無いけどなぁ・・・あぁ、一つあった」
「え、なになに?教えてよー」
トレーナーはどこか懐かしそうに笑っていた。返ってくるとは思わなかった反応に興味をそそられたテイオーが身を乗り出しながら急かす。トレーナーはうっとおしそうに菜箸の頭の部分でそっとテイオーの額を押してどかせながら、さっと調理中の鍋から一口分の料理をつまんでテイオーの開いていた口へと素早く差し込んだ。
「ムグッなにするの・・・あ、お肉」
「豚バラな。それ食って待ってろ、もう少しでできるから」
「ちぇー、はぐらかしてーもー」
そういいつつテイオーは口内の豚肉を美味しそうに咀嚼しており黙っていた。そうこうしているうちに、トレーナーは紙皿を取り出して完成したものをテイオーに差し出した。
「できたぞ。ほら、割り箸」
「ありがとー!これは何?」
「豚もやし。こんな状況だしこだわりもくそも無いから味つけはポン酢だがな」
そう言ってトレーナーは、別の鍋で温めていた冷ご飯を深めの紙皿によそってテイオーに再度手渡す。
温めなおされた湯気の立つご飯に、テイオーは我慢できず割り箸を差し込んで、大盛りを一口にパクつく。すかさず豚もやしをごっそりとつまみ、これまた口の中へと放り込んで白米と共に咀嚼していく。
「・・・うん、美味しいねこれ!」
「当たり前。味付けシンプルなんだから失敗もクソも無いんだよ。・・・うん、美味い」
嬉しそうに笑うテイオーにそう返しつつも、一口食べるとどこか安心した様子で頷くトレーナー。テイオーはそんな様子を見つつ、再び豚もやしを口に運ぶ。
さっぱりとしたポン酢の酸味と豚肉のうま味が合わさったそれは、空腹も相まってテイオーの食欲をこれでもかと刺激していく。続いて尽きない食欲のままに白米と同時に頬張れば、白米の持つ甘みとボリュームが加わったそれが確かな満足感を与えてくれる。
「あれ、トレーナーさんそれ何?」
「いや、もういちいち分けて食うのが面倒になってきたから丼にしようと思ってな」
「いいねそれ!ボクもボクもー!」
「だー!もう!分かったから落ち着け零れる!」
白米の上に豚もやしを乗せて、丼風にしたテイオーは、追加でポン酢をサッとかけたそれを頬張る。先程と同じくポン酢の酸味が箸を加速させ、豚肉のうま味や脂が白米にしみてより食べろ、もっと食べろと急かしてくる。かといって脂がしつこすぎず、ポン酢もすっぱすぎない程度になっているのは、何と言ってももやしの存在だろう。過分な量のそれらのうま味をもやしが受け止め、もやしの水分がそれらを濃すぎないよう調整してくれている。シャキシャキとした食感も、食べる上でのアクセントとして機能し食べていて飽きない。
「ふぅ。美味しかったぁ」
「さ、流石はウマ娘・・・6合分の冷ご飯のストックが・・・」
お腹を満足そうに抑えるテイオーをよそに、トレーナーは休憩スペースにある自販機から自分の分のコーヒーとテイオー用のニンジンジュースを買って隣に座った。
「ほら」
「あ、ありがと」
「満足したか?」
「うん。前と変わらず、すっごく美味しかったよ」
「そいつは重畳」
その会話の後、しばらくの間静寂が二人を包み込む。雲一つない夜空を見上げるトレーナーと、少しだけ不安そうにチラチラとトレーナーを見るテイオー。
「・・・なんだ?」
「いや、その・・・ごめんなさい。隠れてトレーニングやっちゃって」
「それを言うべきなのは、俺じゃなくてお前のトレーナーだな」
その言葉に、ウグッとまたうめき声をだすテイオー。どうやって謝ろうか、いやそもそもどうやって切り出そうか、とうんうん唸っている彼女を見ながら、トレーナーはどこか懐かしそうに笑みを浮かべた。
「テイオー。お前何が悪かったと思ってる?」
「?それは、ボクがトレーナーに隠れてトレーニングしたこと・・・」
「まぁそれも悪いんだがな。多分アイツが怒るのそこじゃないと思うぞ」
「え?じゃあ何で怒られるのボク・・・ねーねー教えてよー!」
不安そうな表情のテイオーに、トレーナーは少しだけ自嘲気味に笑う。
「そうだな、まぁあくまで俺の予想だってことで」
「それでいいからさー!」
「自分の体を大事にしなかったこと、だな」
「!」
トレーナーの言葉に、テイオーはハッとする。そんな彼女に、トレーナーはコーヒーを一口飲んで続ける。
「お前らウマ娘は、体が資本だ。まぁアスリートだから当然だが。そんで、俺たちトレーナーにとっては何が資本だと思う?」
「・・・ボクら自身、ってこと?」
「そういう事」
トレーナーは、真剣な表情になったテイオーを見て少し意外だなと眉を上げつつ再び続ける。
「俺らトレーナーってのは、ウマ娘に、担当に成果を出させてなんぼの職だからな。自分の担当の体調やけがの管理は至上命題だよ。まぁその辺については俺は運がいいのか悪いのか担当の方がその辺敏感だからな・・・」
「・・・それで、トレーナーはボクが自分を大事にしないと怒るってこと・・・?」
「まぁそうなる。流石にわかるよな?」
「うん、分かるけど・・・」
どこか納得のかなさそうなテイオーに、トレーナーはにやりと笑う。
「と、言うのがまぁ大多数のトレーナーに当てはまる理由だな。そんで建前」
「建前?」
「担当の管理だなんだとそれっぽいことは言ったが、まぁ簡単な話なんだよ。お前を、
「パー、トナー・・・そうかぁ」
その言葉に、テイオーは少し驚いた後考え事をするようにジュースを持った手を見つめる。トレーナーはそれ以上何も言うことなく、二人の間に再び静かな時間が流れる。
「・・・うん、明日、謝るよ。トレーナーに」
「おう、そーしとけよ」
「・・・ありがと、トレーナーさん」
「・・・ん」
少しの会話の後、二人はどちらともなく同時に持っていた飲み物を一気に呷り、飲み干す。そしてこれまた同時に飲み切った缶をぐしゃぐしゃにへこませると、少し離れたところに置かれたゴミ箱へと全力投球した。
カンッ!
「「・・・」」
2人の投げた缶は、見事にゴミ箱の手前でぶつかり合ってその場に落ちてしまった。
「なんで一緒に投げるのさー!ボクの完璧なコースだったのに!」
「お前こそ何してくれんだ!あと少しでジャストインだったってのに!」
「なにおー!?」
「やんかごら~?」
「・・・」
「・・・」
「「プッ」」
同時に吹き出しながら、二人は落ちた缶を片付け、その場を後にするのだった。
「んじゃ、あと頼むわ」
「ああ、ご苦労様。テイオーもお帰り」
「ただいまー!うーん、疲れた~!」
テイオーをウマ娘寮まで連れてきたトレーナー。寮長のフジキセキへとテイオーを受け渡した後、じゃあねー!と手を振るテイオーの見送りを受けつつトレーナーはトレーナー寮へと帰っていくのだった。
「・・・怪我してほしくない、か」
帰り道、トレーナーは空を見上げる。雲一つなかったはずの夜空には、いつの間にか星を隠すようにちらほらと雲が伸びてきているのだった。
「・・・本当に、そうなのかねぇ」
暗さが増す夜道を、トレーナーは逃げ出すように走って帰るのだった。
トレーナー:テイオーのせいで色々と思い出しちまった。今度飯テロしよう。なお、翌日なぜか部室に調理器具を隠していたことがバレてたづなさんに追いかけられる。・・・ウマ娘から追いかけられる時レベルに命の危機を感じた。
トウカイテイオー:怪我してたのに隠れて練習する系ウマ娘。後日きっちり自白して、きっちり怒られた。トレーナーのいう通り、ボクの!(強調)トレーナーはボクを大切にしてくれてた。
テイオーSトレーナー:担当を説教したのになぜか恍惚とした表情で聞いてるの怖い。あいつ何言った。
たづなさん:トレーナーさん、部室の調理器具について理事長がお話があるそうです。狙った相手はウマ娘だろうがトレーナーだろうが逃げることはできない。
前回のハンバーグ
通常のハンバーグを作る材料:説明不要!作りたい量を用意せよ!
ほうれん草:細かく刻もう!分かりづらいレベルに刻んだ方が子どもは食べてくれる!
玉ねぎ:少し粗く刻んだ方がシャキシャキする!
ハンバーグのレシピ通りに作りつつ、タネにほうれん草と玉ねぎをぶち込む!以上!
大量の肉の中に細かい野菜という料理は野菜嫌いには結構有効!混ぜ込まれてればそれだけをどかすとかいう逃げもできないから観念して食べてくれる。
次回 ゴルシ回(絶望)
再び奴を脳内にインストールするのか・・・あ、続く。