トレーナー式雑ご飯とウマ娘   作:コジマ汚染患者

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ハロウィンということで急遽書きました。前回の予告で示唆した話とは違う閑話的なものです。
なお日付変更に間に合わなかった模様。
あ、飯要素9.9割無いです


閑話:ハッピーハロウィン(にっこり)

「おめでとうございます!二等当たりです!」

 

「やったー!」

 

トレーニングも終え、担当達と別れた後にふと一杯飲みたいという感情に支配されたため商店街へと買い物に来ていた。酒とつまみを粗方買い込み、ホクホク顔で帰路についた俺だったが、ちょうど午後の時間にやっている商店街の福引が目に入ってきた。

どうやら二等賞を当てた者が出てきたようで、野次ウマによって若干の人混みが発生している。少しばかりの興味を覚え近づいてみれば、ウマ娘(制服姿の為おそらくは学園在学の娘)が嬉しそうに友人と手を取り合いながら当てたであろう大量のニンジンを受け取っているところだった。

 

「おぉ、お嬢ちゃんたち運がいいねぇ!はいよ、にんじん段ボール箱3箱分!気を付けて持って帰んな」

 

「ありがとうございます!やったよグラスちゃん、早く持って帰ってみんなで食べようよ!」

 

「みんなでニンジンパーティーデース!」

 

「あらあら、二人とも少し落ち着いて持って帰りましょうね?落としたらもったいないですよ」

 

「いやー、まさかスぺちゃんの券で当たるとはねぇ~?他はみんなティッシュだったけど」

 

「うぅ、まさかキングであるこの私がティッシュだなんて・・・」

 

ワイワイと姦しくしゃべりつつもホクホク顔で段ボール箱を抱えて帰る彼女たちを眺めていると、にわかに人混みがざわめきだす。二等の出たばかりということでその運にあやかりたいのか、大勢の人がふるって福引に参加している。

ふと手元を見れば、先ほど商店街で買い物をした際に渡された福引券が一枚。

 

「・・・でもなぁ。そんなに欲しいものが景品にあるわけでもn」

 

三等賞 最新食洗器

 

「すいません福引お願いします!!!!」

 

気がついた時には、俺は手に持っている福引券を突き上げながら人ごみへと特攻していた。

 

「おお!お兄さん随分やる気だな!よっし、一等目指して頑張ってな!」

 

「三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい三等こい・・・」

 

「・・・うん、よしどうぞ!」

 

「っしゃぁ!」

 

なぜかこっちを見てドン引きしてる福引の係の人の合図で、思い切りぶん回す。福引が中でジャランジャランと玉のぶつかる音を立てながら回るのを、周囲の人と一緒に固唾を飲んで見守る。

やがて回転が止まり、重力に従って中から受け皿へと落ちてきた一つの玉。その色は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、少し休憩にしよう」

 

「はい」

 

「全く、相変わらずここの仕事は疲れるな・・・」

 

生徒会室。いつものように生徒会業務を行っていたシンボリルドルフ・エアグルーヴ・ナリタブライアンの三人は、時計を見上げて時間を確認し、休憩に入る。伸びをしつつ早速休憩に入ったナリタブライアンに対し、エアグルーヴが小言を言いつつ資料の片づけを行う。ルドルフの方はと言えば、そんな生徒会メンバーを見ながらやはり二人は仲がいいな、と微笑みを浮かべている。

 

「会長も何か言ってください。流石にブライアンは怠けすぎです」

 

「うるさいな・・・アンタ姉貴か母さんか?」

 

「誰が母親か!」

 

「まぁまぁ。落ち着いてくれエアグルーヴ。ブライアンも、少しでいいから副会長であるという自覚だけでも持っていてくれ」

 

「会長・・・」

 

「ちっ・・・寝る」

 

2人をなだめながら、ふとルドルフは自分のスマホを見る。執務中ということで通知音を切っていたが、なにやら通知が来ているのだった。

 

(?チームのグループ・・・トレーナーくんの方から何か報告でもあったのか?)

 

首を傾げつつ端末を開き、アプリを起動する。問題の通知が届いているチームのグループを開くと、どうやらトレーナーではなくメンバーの一人、問題児でもあるゴールドシップのものだった。

 

ゴルシちゃん♡『緊急!お前らトレーナーの奴見てないか!?』

 

「・・・やれやれ」

 

ルドルフはしょうがないな、と苦笑しつつ返事を書いていく。

 

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ルドルフ『ゴールドシップ。止められるとは思わないが、トレーナーくんにあまり迷惑をかけるんじゃないぞ?』

 

タキオン『私は朝から研究中だ。トレーナーくんは弁当を受け取ってからは会ってないぞ。それとゴールドシップ、そっちの用事が終わってからでいいからトレーナーくんはこっちによこしてくれ。ちょうど今いい薬が完成したところだ』

 

ウララ『えー、トレーナー?見てないよー』

 

おぐりきゃっぷ『しらないぞ。わたしもおなかがすいてるからみつけたらおしえてくれ』

 

ブルボン『※※※※、※※※※※※。』

 

ルドルフ『ブルボン、君は多分設定がおかしくなっているからそばに居る誰かに直してもらうといい』

 

ブルボンが退出しました

 

ウララ『あれ?ブルボンちゃん抜けちゃったよ?』

 

タキオン『やれやれ、また操作を間違えたのか壊したんだろう。私が見に行ってくるとするよ』

 

ルドルフ『助かる、よろしく頼むよ』

 

おぐりきゃっぷ『たきおんはやさしいな』

 

ゴルシちゃん♡『お前らそれどころじゃねぇって!くそ、トレーナーの野郎電話にもでねぇ!』

 

ルドルフ『ゴールドシップ、一体何をそう焦っているんだ?今日も朝トレーナーくんとカバディ勝負をして勝ったと上機嫌だったじゃないか』

 

ゴルシちゃん♡『あーあれは確かに爽快だったな。まさかアタシに勝てないからって残像使いだすとは思わなかったぜ・・・』

 

ゴルシちゃん♡『ってちげーんだって!今はマジでそれどころじゃねぇ、お前ら今日が何なのか忘れたのかよ!』

 

ウララ『私知ってるよー!今日ハロウィンだよね!お菓子楽しみ!』

 

ルドルフ『そうか、ウララはかしこいな』

 

おぐりきゃっぷ『おかし ほしい』

 

タキオン『ああ、脳への糖分補給のためにも甘味は欲しいところだねぇ。そう思うとハロウィンという風習も悪くはないが』

 

ゴルシちゃん♡『お前ら菓子どころじゃねぇぞ。今スぺ経由で、とんでもねー情報仕入れちまったぜ!トレーナーがよ、昨日福引でさ・・・』

 

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「っ!?」

 

「?会長、どうしました?」

 

「ああいや、なんでもない!?」

 

「・・・とうとう皇帝も疲労でイカれたか?」

 

「おいブライアン」

 

「ま、まぁまぁ二人とも。うるさくしてすまないなブライアン」

 

不意にスマホを食い入るように見つめながら立ち上がるルドルフ。先程まで小言を言っていたエアグルーヴや寝ていたブライアンが何事かと声をかけると、若干挙動不審になりながら苦笑いする。そんなことをしつつも何故かスマホは手放さず、何度も見つめては「まさか」とか「それなら私も」と呟いている。

 

「あの、会長。本当にどうしました?何か問題でも」

 

「!そういう訳じゃないんだ、別に。ああそうだ、それと今日はハロウィンだったんだな」

 

「ええ、まぁ・・・それと一体どんな関係が?」

 

「い、いやなんでもない。今日はもう仕事は終わりにしよう。折角の催しだ、二人もこの後は自由にしてくれ」

 

「え、ちょっと、会長!?」

 

エアグルーヴの静止の声を振り切るように、手早く自分の荷物をまとめたルドルフは、その皇帝としての自慢の足を存分に生かした加速で生徒会室を颯爽と出ていくのだった。残されたのは、ポカンと口を開けてそれを見送ったエアグルーヴと、これ幸いと片づけを始めるブライアンの二人だけだった。

 

「な、なんなんだ一体・・・」

 

「知るか。どうせあの飯テロトレーナー絡みだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方。普段であればトレーニングや自主練に勤しむウマ娘達であふれる学園内は、異例の光景に包まれていた。

 

「トリックオアトリート!これ、お菓子!」

 

「わぁ、ありがと~!じゃあこっちも、トリックオアトリート!」

 

ミイラにお化け、吸血鬼など、様々な仮装をした教員生徒が闊歩し互いに挨拶の様に合言葉を言い合い、お菓子を交換していく。たまに手持ちのお菓子が切れたウマ娘が今日だけ特別時間外労働をしている購買でお菓子の買い足しを行っている。

その集団の中には、ミイラの格好をしたタマモクロスとイナリワン、スーパークリークなども混じっていた。既にその手には多くの菓子が抱えられている。

 

「なんや、今日はオグリおらんのやな」

 

「あら、そういえばそうですね~?」

 

「てやんでぃ、アイツが一番楽しみにしてただろうに」

 

「まさか、こんなイベントの日に限って自主練でもしとるんやないやろな・・・?」

 

「流石にそれは・・・」

 

「否定できないのがオグリらしいなぁ」

 

いつもは一緒にいるオグリがいない、それも菓子をもらえるという超確変タイムであるこの状況で行方不明ということに三人は疑問を覚える。すると、周囲を見渡していたタマモクロスが見知った人物がいるのに気づく。

 

「おお、アンタオグリのトレーナーやろ!そんなとこで何しとんや」

 

「っっ!?な、なんだタマか・・・」

 

「あら、お久しぶりです~」

 

「・・・なんでそんな隅っこでコソコソしてやがんだ?」

 

「い、いや別に?ただ普通に歩いていただけだが?」

 

((嘘下手っ))

 

その人物・・・オグリやルドルフのトレーナーは、仮装もせずに廊下の隅を隠れるように移動しているところだった。妙に汚れており、背中は汗でぐっしょりでまるでさっきまで走り回って来たかのような姿だった。仮装をしておらず見た感じではお菓子も持っていないため、ハロウィンに参加しているという訳ではなさそうだ。

 

「あんた、オグリ見とらんか?ウチらで探しとったんやけど全然見つからんでなー」

 

「お、おれは知らんぞ・・・?というか今アイツらに見つかるのはマズいんだって」

 

「・・・なんだって?」

 

「いやなんでもない。あ、そうだ。ついでだけどハッピーハロウィン」

 

タマたちと会話をしながらも常に周囲を異様に警戒しているトレーナー。ふと思い出したように手に持ったカバンを開け、取り出したのは手作りの包装三つだった。

 

「いや用意周到やな!まぁ、もらえるもんはもろうとくわ」

 

「ありがとうございます~。・・・あら、きれい」

 

「おっ、こいつは、スイートポテトじゃねぇか!旬も考えてて粋だねぇ!」

 

受け取った三人が包装を開いてみると、なかから出てきたのは黄色くて少しだけのっぺりとした楕円柱形のお菓子。表面にはほんのりとキツネ色の焦げ目がついており、サツマイモの良い香りとほんのりとした温かさが手のひらと鼻から伝わってくる。

 

「訳あってあんまり量が作れてないけど、とりあえずお前らにはやる。それと、これは強制じゃあないが一つ頼みがあるんだ」

 

「ん?なんや?」

 

「オグリに、いやオレのチームメンバー全員に俺の居場所を伝えないでくれ・・・!」

 

「はぁ?なんでやそらまた・・・」

 

トレーナーの懇願に首をかしげる三人。すると、急に背後から不穏な音と共に聞きなれた問題児の声が聞こえてくる。声も大きい方ではあるが、それ以上に異様なエンジン音がそれをかき消すレベルの爆音で聞こえてきて、他のウマ娘の悲鳴も上がっているようだった。

 

「トレーナー!出てこーい!早く例のブツを渡せー!後が怖いぞー!」

 

「!?な、なんや!?」

 

「てやんでぇ!あの声は・・・!」

 

「しまった、もうあいつが来たのかよ!」

 

声と音は三人とトレーナーに近づいてきており、やがて爆音の主は角を曲がってその正体を見せた。

 

「みぃつけたぁ~~~~~!!!トレーナーぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「うおぉぉ!?」「き゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?」「あらあら~?」

 

爆音の元凶であるチェンソーは安心と信頼のマキタ、オーバーオールを着こんでおり顔には目元と口元に小さな穴が開いているだけのシンプルな、それでいて恐ろしさも感じる異様な仮面をかぶっている。当然のごとくチェンソーもオーバーオールも真っ赤に染まっており、仮面にまで飛び散ったその赤は明らかに血である。

あまりにもリアルなそれは見るものに恐怖を抱かせ、聞こえてくる声が陽気そうなことも合わさって不気味さが天元突破している。仮装であるという冷静な判断をすることすら許してくれないその異様に三人が各々悲鳴を上げる中、ただ一人。トレーナーは状況を理解して全力で足を踏み出していた。

 

「来るんじゃねぇぇぇぇ!ゴルシてめぇ、【あれ】についてどこで知りやがった!」

 

「アタシに隠し事ができるとでも思ったのかトレーナー!さぁ、おとなしく福引で手に入れてたっていう『温泉旅行ペアチケット』をよこせ!」

 

「渡すかぁ!俺の自由だろ俺が当てたんだからぁ!」

 

「そんな横暴はアタシの道理で蹴っ飛ばす!」

 

「横暴はお前だぁ!!勝手にチームLINEにまで情報流しやがって!」

 

「さぁ!今そのかばんの中に持ってるってのは調べがついてんだ!お縄を頂戴しやがれ!トリックオアトリック!」

 

「いやだあぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!トリックしかねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

チェンソーの音と共に遠ざかっていく二人を、唖然としながら見送った三人。怒涛の展開についていけず完全に固まっている三人だが、唯一その手に握らされたスイートポテトのぬくもりだけがさっきまでの騒ぎが夢ではないことを証明していた。

 

「・・・まぁ、ええか」

 

「そうですね~・・・あら、美味しい」

 

「あのトレーナーも、苦労してるんだなぁ」

 

しみじみとした感想(小並感)をこぼしつつ、三人はそっとスイートポテトを口に運ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ゴルシに追いかけられているトレーナー。明らかにいつものいたずらスイッチが入った様子のゴルシに追いかけまわされており、たまに通りかかる他の仮装ウマ娘達がぎょっとして道を開けていく。

 

「あーもうしつけぇ!お前別にこれいらないだろ!勝手に俺の家来て母さんに肉もらってるって知ってるんだからな!?」

 

「おいおい、トレーナー本人から巻き上げるのが最高のスパイスになるんじゃねぇか!」

 

「こんのクソ野郎!やろうじゃねぇけど!」

 

罵声を浴びせるのが精いっぱいの状態で走り続けていると、不意に駆ける廊下の先に一人、仮装したウマ娘が立ちふさがる。

 

「!ま、まさかゴルシお前ぇ!」

 

「気づいたか!だがおせぇ!さぁとっ捕まえちまえ・・・ウララァ!」

 

廊下の先にいたのは、嬉しそうにどや顔で立ちふさがるウララだった。マントを体に巻き付けている状態から一気にマントをはぎ取って、トレーナーへと走り出す。

 

「がおー!トレーナー、トリックオアトリートォー!トレーナー捕まえたらお菓子くれるんでしょー!捕まえちゃうぞー!」

 

「ああああああくっそぉぉぉぉかわえええええええ!!!!!!」

 

ウララの仮装は、頭の耳に茶色い装飾をかぶせ、体は段ボール製の明らかに突貫工事で作ったであろうボディ。尻尾はウララの桜のようなピンク色のものを隠すようにこれまた雑にはっつけられた茶色いモール。後の証言によると制作者のゴルシ曰く、狼男である。

 

「でもすまん、ウララ・・・!」

 

「あ!くっそ逃げやがった!」

 

「トレーナーすごーい!飛んじゃった、ここ二階なのに!」

 

前門のウララ(かわいい)、後門のゴルシ(レザーフェイス)という状況に後がなくなったトレーナーは、とっさに窓からのワンチャンダイブを敢行した。ズダンという大きな音を立てて着地し、足から登ってくる痛みと痺れを感じながら上を見上げると、窓からウララとゴルシが見下ろしていた。ウララはトレーナーのダイブに驚いたようですごいすごいと手を叩いておりゴルシは悔しそうにチェンソーを鳴らしている。

 

「た、助かった・・・か?」

 

ゴルシが飛び降りてくる様子もないことに安堵し腰を下ろすトレーナー。しかし、そんな彼の前方、中庭をゆっくりと歩いてくる二人分の足音に全身の毛が逆立つ。

 

「ふむ、ゴールドシップの言っていた通りだったか。トレーナーを追い込めばここに下りてくると言ってはいたが」

 

「彼女はなんだかんだで色々と頭が回るからねぇ。まぁ、今回は色々と根回しが良すぎる気もするが」

 

「おいおいおいおい・・・嘘だろ何でここでお前らだ!?」

 

トレーナーの前にやって来たのは、想像した通りのチームメンバーのウマ娘。よだれがナイアガラ状態のオグリキャップにいつも以上に目に光がないアグネスタキオンの二人は、トレーナーへと一直線にヒタヒタと歩いてくる。その背に背負うプレッシャーはレース本番の時のそれであり明らかに今出していいものではない。

咄嗟にトレーナーが上を再び見上げると・・・そこにはかぶっていた仮面を人差し指の上でくるくると回しながら、腹立つどや顔を見せつけるように見下ろすゴールドシップの姿があった。

 

「ゴルシィィィィィィィ!!!」

 

「さぁ、トレーナーくん・・・?チケットを渡すか、それともこの『一週間ほど七色に輝き続ける薬』を飲まされるか。選びたまえよ?おっと、今日はこういうべきかな?トリック、オア、ドリンク?」

 

「その旅館では美味しい料理が食べ放題だと聞いた。トレーナー、私はお腹がすいた」

 

「待ってぇ!お願い待って!タキオンは別としてオグリ、お前はまた後で食わせてやるから!だからたしけて!」

 

「私は旅館の料理が欲しいんだ。それはそうと、さっきタマがスイートポテトを食べていた。包装にトレーナーのにおいがついていたぞ、あれも欲しい」

 

「ちくしょう案の定交渉の余地がねぇ!」

 

「おかわりになっていただけるだろうか?」

 

「なるかぁ!?」

 

やけくその様に叫びながら、トレーナーは再び立ち上がり無謀な鬼ごっこの第二ラウンドを開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってくれトレーナー。何もしない、ちょっと食べるだけだから」

 

「その言い方がすでにこえぇんだよ!」

 

「トレーナーくぅーん?選びたまえよぉ、今なら飲む薬をこの全身の汗腺から汗が出続ける薬に変えてあげてもいいぞー?」

 

「死ぬよな!?それ俺死ぬよな確実に!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、撒けた・・・もう無理、絶対二度目は無理・・・!」

 

第二ラウンド開始から10分強。オグリへと持っていたスイートポテトを顔面シュートしたり、タキオンをカフェに擦りつけたりといった搦め手によってどうにかこうにか逃げおおせたトレーナーは、達成感に包まれながら人気のない夜の道で座り込んでいた。既に限界まで体力が削れ、一歩も動けない状況のトレーナーへと、不意に横からスポーツドリンクが伸びてくる。

 

「どうぞ、水分補給の必要を確認しました」

 

「エ゛ッホ、あ、ありがと・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

「マスター?私の顔に何か」

 

受け取ったスポーツドリンクを飲み干したところで、冷や汗を流しつつギギギ、と機械の様に首を回す。そこには、拙い撒き方で包帯を巻いたミホノブルボンがいたのだった。

 

「あ、いや、その・・・うん、とりあえずスポドリサンキューな」

 

「はい。水分補給は運動後の回復には必要ですので」

 

「ああ、そーだな。ははは・・・」

 

「そして、今日はハロウィンというイベントが発生している日であると記憶しています」

 

「そうだな、学校中が楽しんでるしなぁ・・・」

 

「この包帯は、ライスさんにお願いして巻いてもらいました。伸縮性があって、体を動かすのに支障のないものです」

 

「おう、そうだな。転んだりしたら危ないからな、動きやすさは大事だよな・・・」

 

「はい。主に、対象発見時に速やかに追跡と捕縛ができるようにするためには必須項目であったと思います」

 

「そうだなぁ・・・追いかける時は走るしなぁ・・・そりゃ動きやすさ重視だよなぁ・・・」

 

「はい」

 

「ひょっとしてもう例の話知ってる?」

 

「はい。グループの方にゴールドシップからの通知を確認しました」

 

「「・・・」」

 

「・・・なぁブルボン」

 

「はい、なんでしょうマスター」

 

トレーナーは、静かな会話を終えそっと立ち上がる。それに合わせてブルボンも立ち上がり、トレーナーをそのいつもの凪いだ表情で見つめる。トレーナーもブルボンへと慈愛に満ちた微笑みを湛えながら伸びを一つすると、靴ひもを確認する・・・ふりをしてそのままクラウチングスタートで走り出した。

 

「さらばっ!」

 

「対象の逃走を確認。モード変更224,フェーズ。全システム、チェック終了。ターゲット確認、排除開始」

 

「排除はやめろぉ!というかそれ絶対今真似するべき奴じゃねぇぇぇ!!」

 

・・・第三ラウンド、開幕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理無理無理無理」

 

ブツブツと呟きながら、トレーナーは満身創痍どころか体を地面へと投げだして倒れこんでいた。現在地は生徒会室、第三ラウンドのブルボンは疲労状態で逃げ切れるほど甘くはなく、どうにかライスシャワーへとスイートポテトを渡して買収し抑えてもらい、いつか実家の父親へとあいさつに行くことを条件に見逃してもらったのだった。なおそのいつかがいつとは規定していないためごまかす予定である。

 

「こ、ここなら今の時間誰もいない・・・盲点のはず・・・」

 

走りに走り続けた結果、ミンチよりひでぇ状態で止まるんじゃねぇぞ・・・と寝ているトレーナー。この男、疲労していても余裕である。

すると、不意に窓から差し込んでいた月明かりに影が差し込む。

突然の陰りに絶望しつつ覚悟を決めたトレーナーが顔を上げると、白い三日月が目に映った。

 

「・・・やぁ、トレーナーくん。月がきれいだな」

 

「・・・まだ死にとうない」

 

トレーナーは、いつも通りの厳格で皇帝然としたオーラを身にまとったシンボリルドルフを見上げながら、乾いた笑いを浮かべた。

 

「ふむ。随分と疲労しているようだね」

 

「まぁ、マジでウマ娘に追いかけられるってことの怖さが分かったよ。全く怖え奴らだ」

 

「それで逃げおおせるということの方が私としては理解できないんだがな・・・」

 

呆れた、といった口調で答えるルドルフ。トレーナーへと手を貸して立ち上がらせると、服についているホコリをはたいていく。

 

「ルド・・・ルナは仮装してないんだな」

 

「うん?ああ、たまには羽目を外すのもいいとは思って用意していたんだがな・・・ここに向かって走っていく君を見かけたから追いかける時に少し破れてしまったよ」

 

「・・・アッハイ」

(え、なんか怒ってる・・・?)

 

ルドルフの目の前に立ち、ホコリをはらってもらう。ただそれだけのことをしているのになぜかトレーナーは何とも言えない緊張感を感じていた。

 

「・・・それで」

 

「!は、はい!?」

 

「誰と行くんだ?」

 

「・・・は?」

 

話の意図が一瞬分からなくなり思わずトレーナーが首をかしげる。ルドルフはそんなトレーナーを見て顔を真っ赤にすると、そっぽを向きながらぼそぼそと言い訳の様に語りだした。

 

「いや、君が福引で旅行券を当てたことはすでに知っている。それに、さっきからトレーナーくんがゴールドシップ達に追いかけられていることも見ていたからね。白状すると私は最初から君を尾けていたから君がだれにも旅行券を渡したくないことは分かっていた。だがせめて誰と、そう誰と行きたくて死守しているのか教えてくれないか?」

 

「・・・あ~、そゆことね」

 

「あ、いや別にいいんだがな?誰と行こうとかまわないが私は君の担当だから必要な情報や練習メニューを伝達するために連絡を取ることもあるわけだから、君が一緒に行くであろう相手との時間を邪魔してはいけないからな。そう言ったわけで他意はないんだが相手くらいは教えてくれないかなとまぁ・・・そういうわけだ」

 

既にトレーナーから手を離しておりもじもじと両手を後ろへ回したルドルフは、何度かトレーナーの顔をチラチラ確認しながらなおも言い訳の様に言葉を重ねていく。そんな担当の様子にため息をつきながら、トレーナーは頭をガシガシとかいてぶっきらぼうに手元のカバンへと手を突っ込む。

 

「ん」

 

「そういう訳だから、私としては・・・?トレーナーくん、なんだこれは」

 

トレーナーからつきだされた紙切れに気づき、首を傾げつつ受け取るルドルフ。トレーナーはルドルフが受け取ったのを確認するとそっぽを向きながらぼそりと呟いた。

 

「・・・チケットだ。やる」

 

「・・・ほぇ?」

 

「というか、元々お前を誘おうと思ってたよ」

 

「ふぇ!?」

 

思わぬ展開にかぁっと顔が熱くなるのを感じるルドルフ。手に取ったチケットをガン見するが、それは間違いなく温泉旅行のペアチケットの片割れだった。

チケットとトレーナーの顔を交互に見るルドルフに、トレーナーは気まずい感覚と背中のむずがゆくなるような感覚におそわれ目を逸らす。

 

「・・・いたずら、というかサプライズだな。まぁこれで成功だな」

 

「・・・し、心臓に悪いなそのサプライズは・・・」

 

「んで、返事は?」

 

トレーナーの問いに、ルドルフは一瞬ポカンとした後、チケットを両手で持って隠れるように顔の前まで持っていくと、そっと呟くのだった。

 

「えっと、その・・・よろしくお願いします」




トレーナー:食洗器の方が欲しかった。担当に追いかけまわされるトレーナーとはという何とも言えない悩みを抱えることになった。スイートポテトは何もなければハロウィンということでカボチャマスクに黒タイツの仮装でばらまく予定だった。後日全チームメンバーに反省を促すことになる。

チームメンバー:温泉旅行チケット争奪RTA、はーじまーるよー。トレーナー発見の瞬間からタイマースタートです。このレギュではトレーナーに人権はありません。
ゴルシ:熱海旅行の為
ウララ:ゴルシによりお菓子で買収される(事態がよく分かってない)
オグリ:まだ見ぬ料理の為
タキオン:旅行行きたい。トレーナーと二人で行ければ尚良し
ブルボン:旅行行きたい。あわよくば家族に会わせたい

シンボリルドルフ:仮装してテイオーと一緒に楽しんでたらトレーナー見つけて思わず追いかけてた。二人きりになったので出てきたら何故か大勝利した。スイートポテトは貰えなかったのでそれはそれでションボリルドルフ。

前回の豚もやしポン酢
豚バラ:正直何の肉でもいい!作者は豚バラかささみが好き!
もやし:あふれるほどに!
ポン酢:いいよね!
茹でたりして程よく脂を抜いたら、皿に盛りつけてもやしと一緒にポン酢ぶっかけて食べるだけ!以上!ご飯にのっけて丼にしても割りといける。キャベツをざく切りにしてぶち込むと食感がいい感じになる。

ハロウィンで、家にカボチャがあって、寒いからって昔買った長袖ヒートテックと黒いタイトなズボンがあったので、当然のごとく反省を促す仮装してたらこんな時間。一日を無駄にしたことへの反省を促すダンスを踊らねば・・・

次回 今度こそゴルシ()回
つーづく
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