……前回投稿から時間が空いてるので初投稿です。はじめまして
「よーし、今日はこの辺で終わるぞー」
「……おや。もうそんな時間だったか」
「あ!おいトレーナーアタシの飛車返せ!」
「まだもう少しやれると思うが…」
「いやぁ良いデータが取れた。私としても確かにそろそろ切り上げて一度まとめに戻りたいねぇ」
「作戦終了。帰還します」
「えー、もう終わるの?」
「あんまりオーバーワークしてケガしても困るからな。ストレッチは忘れないようにしてくれよ~」
ある日の放課後。久しぶりに行われたチームメンバー全員でのトレーニングが終了し、ストレッチを終えたメンバーが部室へと戻ってくる。
多少の不満はあるようだが各々柔軟をして着替えを済ませていく。なお、その間トレーナーは部室の外へと追いやられる。
「じゃあ、明日もよろしく頼むよトレーナーくん。さっき言っていた新しい料理とやらは、完成したら弁当に入れてくれたまえよ」
「おう、まぁ出来たらな」
「じゃーねートレーナー!」
「ウララ、気を付けて帰れよー」
「マスター。明日の予定についてなのですが」
「あー、スマンブルボン。とりあえず明日朝練前に聞くのでいいか?この後ちょいと用事があってな」
「了解。緊急を要するものではありません、メールを送ることにします」
「助かる。スマホを壊すなよー」
「トレーナー。新料理はいつできる?」
「オグリ……そろそろその話から離れてくれ、出来たら食わすから。お前今日10回目だぞこの流れ」
チームメンバーがそれぞれに帰っていく中、部室にはルドルフとトレーナーのみが残った。ゴールドシップは、いつの間にか消えている。
「さて、私も帰るとしよう。生徒会の方でまだまとめる必要がある資料が残っているのでね。トレーナー君、また明日」
「おう。俺も帰る準備でもするかねぇ」
「……ところで、先程思いついた洒落なんだが、どうかな。タイヤを久しぶりに引いたがやはり重たいや」
「おう、それ生徒会で言うんじゃないぞ」
「むぅ、やはりまだエアグルーヴに披露するには練度が足りていないか……」
そうじゃねぇよ、と少しだけ呆れながらつぶやくトレーナー。ルドルフはそんな呟きに気づくことはなく、得意()の洒落を考えながら帰って行くのだった。
部室の中には、トレーナー一人が残された。それを確認し、ため息をつきつつトレーナーはコーヒーメーカーへとカップを二つセットする。
「まぁ、あいつの事だし10分きっかりで来るだろうな」
10分後。
「よーっす、戻ったぜぃ!」
意気揚々とゴールドシップが戻ってきた。……窓から。
「おうおかえり。ちゃんと扉の方から帰ってきてくれればなお良かったんだがな」
「いやー、危うく我らが会長サマに鉢合わせしそうになっちまったからなー」
「ったく。……それで?急に二人っきりで話とか、どういうことだよ」
あっはっはと笑うゴールドシップからは、反省の色は見えない。おそらくまたいつか同じことをやるだろう、とトレーナーは頭に手を当ててため息をつく。
そんなトレーナーをよそに、ゴールドシップは担いでいた大きめの発泡スチロール箱を机の上へと置く。
「なんだこれ」
「実はよぉ、この間漁師のおっちゃんたちと一緒にいろいろあって意気投合したんだけどな。そのおっちゃんたちが今朝良いモンくれたんだよ。んでも急すぎてアタシん所じゃ保存が利かねーから
そう言ってゴールドシップが蓋を開けると、箱の中には多種多様な魚が敷き詰められていた。どれも新鮮なようで、まだ尻尾をピチピチと跳ねさせている。
「うっわお前これ、買ったら値が張るやつばっかじゃねぇか。なんちゅうもんを……」
「いやー、気のいいおっちゃんばっかだったぜ!」
「いやいやいや、色々とアカンだろこれ……まずお前、お礼は?ちゃんと見合った物を礼に渡さねぇとダメだろこれ。見ろよ、鯛混じってんぞ」
「ああ、それなら大丈夫だって。アタシが釣った鰹は全部渡してきたから」
「ぅおーいお前漁にまで参加してんのかよ!仕事の邪魔だろうがやめろぃ!?」
後日謝罪に行かなければと頭を抱えるトレーナー。そんな様子を大丈夫大丈夫と笑うゴールドシップが、おもむろに自身の鞄から筒状の物体を取り出す。
見ればそれは、普段トレーナーが自炊をする際に使うカセットコンロのガスボンベである。もう片方の手には、業務用のビッグサイズの食用油が握られていた。
「さぁて、トレーナー。お前、これ好きだろ?折角だしアタシとやろうぜ!」
ニヤリと笑うゴールドシップとその手に持ったモノを見て、トレーナーは呆れたように肩を落としつつもどこか嬉しそうにどこからかコンロを取り出すのだった。
「いやー、マジで動いた後の飯はうんめぇよなー!」
「ああ、うめぇよ。うめぇけど、お前今日ずっと囲碁してただけ……まぁいいか」
部室内に、グツグツという油の煮えたぎる音が響く。上機嫌に割り箸と紙皿を持ってコンロを眺めるゴールドシップ。
その横で揚げるための魚を突貫で捌いていたトレーナーは、トレーニング中のゴールドシップの姿を思い出すがツッコむ事すら無駄だと首を振る。
処理の終わった魚から順に、ポンポンと油の中へと放り込んでいくと、パチパチと音を立てて魚が揚げられていく。
「おっほ〜!泳いでる泳いでる!あれだな、油を泳ぐ魚見てぇだなトレーナー!」
「おうそうだな、実際そいつら魚だからな」
「んだよノリ悪ぃな。んじゃあこのニンジンでも入れるか!」
「どっから出したそれ。ここにはもうニンジン置いてなかったはずだが?」
「買ってきた」
「増やすな!部室にニンジンを!この間スペシャルウィークに貰ったニンジンも結局俺とオグリで処分するハメになったんだぞ!一日三食にんじんづくしはウマ娘じゃなきゃ耐えられねぇって!」
「つってももうそこの隅に段ボール5箱くらいあるぞ?農家のおばあちゃんからもらったから」
「ガッテム!」
「なぁ、そういえばトレーナーって、何でも食ってる気がするんだけど食いモンで嫌いなもんとかねぇの?」
「にんじん」
他愛もない話をしながら油の中で泳ぐ魚たちを眺めているゴールドシップとトレーナー。ぐつぐつと煮えたぎる油の音が響く中、互いの声を届かせるために肩を触れるほどに寄せ合いしゃべり続ける。
そんなこんなで揚がった魚を、キッチンペーパーを敷いた皿の上に置いていく。できた揚げ物に何をかけるか少しの間考えた後、思い出したように冷蔵庫の中を漁ってタルタルソースやとんかつソースを取り出してくる。
それらを完成した揚げ物へと嬉々としてぶちまけていき、皿の上は揚げ物のきつね色一色から、乳白色と茶色へと変貌していく。一方ゴールドシップはというと、揚げ物ができてくるのを見てどこからか取り出した茶碗と炊飯器で白飯を用意していた。
「トレーナーはどの魚が好みとかあんのか?」
「ん?ああ、まぁ魚は割と何でも好きだぞ、
そう言ってトレーナーはゴールドシップのクーラーボックスの中から鱚を取り出して見せる。手早くまな板にのせて切り身にしていき、ついでとばかりに油の中へ放り込む。ジュウジュウと音を立てて油に沈んでいく鱚を眺めながら、ゴールドシップは先に出来上がっていた揚げ物をつまんでモグモグと食べていく。程よく揚がった白身の魚は、身がほろほろと口の中で崩れて魚のうま味を口いっぱいに広げていく。
油をある程度きっておいた揚げ物は噛めばじゅわっと油分と共にほんのりとした塩気がにじみ出し、うま味だけではなく運動で疲れ切った体へと塩分をもたらす。
ゴールドシップは嬉しそうに耳と尻尾、ついでに体を震わせながらいそいそと炊飯器を開けた。開けた瞬間に立ち上ってくる炊き立ての白米の香りと湯気を顔いっぱいに浴びながら、これまたどこから取り出したのかしゃもじを構え茶碗へと豪快によそっていく。
「あんまり食うなよ?どうせ寮でも食うんだから」
「分かってるっての!あんまり食ったら今夜のトレーナーの分の米も無くなるからな!」
「あぁ……ってそれ俺ん家の炊飯器!俺が今夜食う白米!いつの間に!?」
「ゴルシちゃん相手に隠し事ができると思うなよぉ~?」
頬に米粒をくっつけながらニヤリと笑うゴールドシップに、トレーナーは肩を落としながらハンカチを取り出す。それを見たゴールドシップは、食べる手は止めないまま顔をトレーナーへと差し出し頬を拭ってもらう。
「ったく、油断も隙もねぇ……別に隠してもねぇし。というかどうやって入ったんだ、鍵は俺が持ってるし……」
「アホか、トレーナーにプライベートなんてものは無いんだよ。それに、ゴルシちゃんからは片時も目を離しちゃダメなんだぞ♡」
「……っは」
「おい、なんだその笑い」
ポーズをとってウインクしてくるゴールドシップを鼻で笑い、トレーナーは魚の処理を継続する。流石に発泡ケースいっぱいの魚を入れるような余裕は冷蔵庫にはなかったため、少しでもこのタイミングに消費しようとしていた。
「にしても、トレーナーは鱚好きだったんだな。やっぱ美味いのか?」
「うん?ああ、まぁ学生時代はしょっちゅう
揚げ物を白飯の上にのせてまぐまぐと咀嚼しているゴールドシップ。食べながらも暇なようでトレーナーにひたすら質問をなげかけ、それに対してトレーナーは何も考えてない様子で適当に答えていく。
「へぇ?トレーナーってんな前から(料理を)やってたのか~、最初から上手かったわけじゃねぇだろ?」
「当たり前だ。最初はずっと暇さえあれば母さんと一緒に練習してたよ」
「ふ~ん?でもそれにしては、 さん自身の方は上手く出来ないんだろ?なんつーか、意外だな」
「俺にはまずお前がいつのまにか母さんの本名を把握していることに驚きだわ」
嫌そうに顔をしかめるトレーナーに、ゴールドシップは追加の揚げ物をつまみながらニヤニヤと笑う。自身のプライバシーどころか、外堀のような何かがガンガンと埋め立てられていってる感覚に肩を落とすトレーナーは、最後の魚を油の中から取り出し、コンロの火を止める。
「はぁ……もう疲れた、俺も食う」
「おう、食え食え!アタシの奢りだぃ!」
「揚げたの俺だからな???」
「う~ん!んまい!」
「全く……でも、ゴルシだって上手いだろ?いろんなことに精通してんだし」
「お?」
白飯をよそい、魚をサクサクと食べながらそう言うトレーナーに、ゴールドシップは少し考えるような仕草を見せ、頭を掻く。
「そりゃアタシだってできるけどさぁ。やっぱり経験の差かねぇ、トレーナーの方が上手いんだよなぁ。コツとかあんの?」
「うんにゃ、何度も経験すりゃ誰でもできる。後が面倒だけどな、掃除とか」
「あ~、掃除なぁ。確かにこれを見ると後片付けがなぁ。ちょうどいいし、アタシのテクニックを見せてやろうか?」
コンロに残された鍋と、その中のたっぷりの油を前にそう言って菜箸を手にするゴールドシップ。どうせ終わったら片づけするしいいか、とトレーナーは揚げ物を手にヘラヘラと笑う。
「んー......まぁ片付けさえすりゃバレねぇか。お前も片づけ手伝えよ?へたくそだったら俺が教えてやるよ」
「ゴルシちゃんがへたくそなわけ無いじゃんか!いっくぞぉい!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一方その頃。部室へ戻って来ていたシンボリルドルフ。
トレーニング後で疲れていたとはいえ、大事な資料を部室に忘れてしまうとは......。
やはりトゥインクルシリーズを引退してから少し弛んでしまっていたのだろうか。
ここのところ、エアグルーヴに披露している洒落も出来が悪いようで変な顔をされている。……でも、先程のタイヤを使った洒落は良い出来だと思うんだが。
「……む?」
もう部室の前か。考え事をしながら歩くのは良くないな、全く気が付かなかった。さて……まだ明かりはついている。トレーナーくんはまだ残っていたようだな。
(いや、でも誰かに呼ばれていると言っていたんだったか。ひょっとしたら中で重要な話をしているのかもしれない、とりあえず今入っても良いかメールを)
そんなことを考えながらスマホを取り出したところで、部室内から二人分の声が漏れ聞こえてくる。一つはトレーナーくんだ。もう一つは……女性、か?何やら別の変な音が混じってて聞き取りづらいな。トレーナーくんとこの時間に話し合いとなると、たづなさんだろうか。
(……いや、この声はゴールドシップ?トレーナーくんの話がある相手は、彼女だったのか)
中から聞こえてきたのは、いつも良く聞く快活な彼女の笑い声だ。トレーナー君の声も聞こえる......なんだろう、ジュワジュワパチパチと大きい音が鳴っていて上手く聞き取りづらいな。
「全く、あれだけお説教を受けたと言うのにまた料理をしているのか?......ふふ、ここはひとつお灸を据えておくかな」
聞こえてくる音的に揚げ物だろう。早速携帯を取り出したづなさんの電話番号を
『にしても、トレーナーはキス好きだったんだな』
「......」
瞬間、私はスマホをカバンごと放り投げ部室の窓へと耳を貼り付けた。......なんだって???
(トレーナー君がキキキキ、きすが好き?キス?Kiss?接吻?)
思考が揺らぐ、頭がぐらつく。いや待て待て、事を急いてはいけない。うん、そうだ、気の所為、聞き間違いだ。
トレーナー君が、あのクソボケ料理キチがそんな色恋沙汰大好きなわけがn
『うん?ああ、まぁ学生時代はしょっちゅうやってたからな、もう慣れたもんだ』
(しょっちゅうやってたのか!?!?!?!?)
※料理の話です。
嘘だろうトレーナー君!?君はそんなふしだらな男だったのか!?......ま、待て、落ち着けシンボリルドルフ。まだ、まだ聞き間違いの可能性もある!落ち着いて、まだ泣いちゃダメだ、うん。ルナ頑張る。
『へぇ?トレーナーってんな前からやってたのか~、最初から上手かったわけじゃねぇだろ?』
そうだ、最初から上手いなんてないだろう、トレーナー君だって初心な時くらい......いや今もそんな経験無いはずだ、うん!
『当たり前だ。最初はずっと暇さえあれば母さんと一緒に練習してたよ』
(君はそんなふしだらすぎる関係をあの人と持っていたのかい!?!?!?!?!?!?!?)
※料理の話です。
思わず声に出して叫びたくなる所を、頭を部室前の手すりへガンガンぶつけることで正気を保つ。ありえない、トレーナー君がそんなR-18な煩悩を持っているなんてっ......!
頭の中が混乱しぐちゃぐちゃになりつつも、改めて耳をそばだてる。
『全く……でも、ゴルシだって上手いだろ?いろんなことに精通してんだし』
『お?』
(??????トレーナー君?トレーナー君!?!?)
な、なんだ!?話が飛躍してしまっている気がするぞ!?大丈夫かい?対象年齢や規約の方は大丈夫かい!?
......あれ、私は今何を?
よく分からない電波を受信して戸惑っている間にも、部室内ではゴールドシップとトレーナー君の会話が続く。
『そりゃアタシだってできるけどさぁ。やっぱり経験の差かねぇ、トレーナーの方が上手いんだよなぁ。コツとかあんの?』
(トレーナーに、いや成人男性相手に何を聞いているんだ君は!?)
※料理の話です。
『うんにゃ、何度も経験すりゃ誰でもできる。後が面倒だけどな、掃除とか』
(素直に答えるのはどうなんだトレーナー君!?教職だろうキミ!?それと掃除が必要な経験って何だ!?)
※料理の話です。
『あ~、掃除なぁ。確かにこれを見ると後片付けがなぁ。ちょうどいいし、アタシのテクニックを見せてやろうか?』
(テクニック!?何の!?それルナの知ってるテクニックじゃないよね多分!?)
※料理の話です。
『んー......まぁ片付けさえすりゃバレねぇか。お前も片づけ手伝えよ?へたくそだったら俺が教えてやるよ』
(え、ちょ、今!?やるんだな!?今!ここで!?)
※料理の話です。
『ゴルシちゃんがへたくそなわけ無いじゃんか!いっくぞぉい!』
(え、ちょっ、待っ......!)
にわかにガタガタとうるさくなる室内。先程の話の内容もあって頭の中が真っ白......いや、真っピンクになってしまった私は、正常な判断力を放り投げ即座に窓ガラスを割りつつ部室内へと飛び込むのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日
「おっはよう〜!」
「ん、おはようウララ。今日も元気だな」
チームでの朝練の為、早朝より部室へとやってきたのは若干の寝癖が可愛らしいハルウララ。部室への道すがら、前の方を歩いていた同僚───オグリキャップと元気に挨拶を交わす。
「うん!今日もたっくさん走るんだ!オグリちゃんは、それ朝ごはん?」
「ん......ゴクッああ、タマが昨日冷蔵庫に置いておいてくれたんだ。お好み焼きを」
「朝からお好み焼き?すごいねぇ!」
「ああ、5枚も置いておいてくれたんだ」
そう言って4枚目を食べ終わり最後のお好み焼きへと箸をつけるオグリ。歩きながらお好み焼きを食べる姿は酷く珍妙だが、幸いにも現在は早朝。ウララ以外にその姿を見る者はいなかった。
そうして幸運なことに部室棟までウララ以外のウマ娘に出会うことなく、2人は部室へとたどり着いた。
「......あれ、窓ガラス割れちゃってるね?」
「む、本当だ。何か飛び込んだのか?」
部室の扉の横につけられた窓には、ちょうどウマ娘ひとりが通り抜けられるような大きな穴が空いていた。割れ方が独特で、頭が通ったであろう辺りにはウマ耳の形に割れている。
「おはようございまーす!窓どうしたのー?」
「モグモグモゴモゴ」
「おう、おはようウララ。今日も良く起きられたな。あとオグリは口ん中どうにかしてから喋れよ」
疑問は尽きないがとりあえず部室へと入ることにした2人。挨拶をしつつ中へと入れば、朝のコーヒーを嗜みつつ書類を眺めていたトレーナーが朗らかに挨拶する。昨日までとの違いと言えば、頬や肘に絆創膏をつけていることだろうか。
「おめーらいい子ちゃんかよ朝練出てくるとかー。ゴルシちゃんを見習えよー」
「あれー、今日はゴルシちゃん早いんだね!」
「おう普段は遅いみたいに言うんじゃねぇよ」
「実際遅いだろ。というか来ることの方が少ねぇじゃんお前」
トレーナーの横では、ブーブー言いつつゴールドシップが既にやって来ていた。パイプ椅子を背もたれの方を前にして座り、顎をそこへ乗せてガタガタと揺らしている彼女の姿はいつものものだが、トレーナーと同じく顔やひじ、スカートから覗く膝には絆創膏が貼られている。
「どうしたんだ?2人とも怪我している様だが」
「本当だね?あ、もしかして窓割れてるのと関係ある?」
「ああ...」
「それはだな...」
「......失礼する」
ウララとオグリの質問に、トレーナーとゴールドシップがにやりと笑った時。部室の扉が開き、静かに挨拶しながら、シンボリルドルフが入室してきた。
不思議なことに彼女は先程の2人以上にボロボロで、手や足の絆創膏だけでなく、キリリと整った端正なその顔にまで絆創膏がベタベタと貼られていたのだった。
鼻の頭にも貼られているその容貌は、彼女が率いる生徒会に所属するナリタブライアンの様でもある。
「あれ!?カイチョーもお怪我してるの!?大丈夫?」
「ゔっ、だ、大丈夫だ。気にしなくて良い、うん......」
「......?(ルドルフから、揚げ物の匂い?)」
「おっっっっっっっっはーーカイチョー様ァ。良い朝だなぁ?ン?」
「ウグッ......ああ、おはようゴールドシップ、それとトレーナー君」
「あー、おう......おはようございます?」
部室へと入るや否やニヤニヤと笑いながらルドルフへと絡みまくるゴールドシップ。普段はあまりそうしたウザ絡みは相手を選ぶはずの彼女だが、今回はなんとも珍しい事に皇帝シンボリルドルフへと尋常じゃなく絡みまくっていた。肩へヌルりと腕を回す様はまるでタコである。
しかし、これまた珍しい事にシンボリルドルフはそれを拒まない。肩へと回された腕も払い除ける事なく、顔を真っ赤にしつつ下を向いてプルプルと震えるだけだ。トレーナーの方も、ラインを見極めて止めに入るのがいつもの事なのに、今回は気まずそうに顔を逸らしぎこちない態度......いや、肩が震えている。笑っているのだろうか?
珍しい光景に珍しい光景が重なった姿に、ウララとオグリは首を傾げ顔を見合わせるのだった。
「知りたい?ねぇ知りたいカイチョー様?何ならアタシが教えるずぇ鱚の揚げ方♡」
「っ、くっ、遠慮、するぅ......」
ニヤつきながら絡みつきまくるタコゴールドシップと、茹でダコのように真っ赤になりつつ震える皇帝を見て、トレーナーは後日ルドルフのメンタル回復の為出かけることを決めるのだった。
久しぶりすぎて文才枯れてんねぇ!
トレーナー:今回俺悪い?え、部室で揚げ物してたのが悪い?それはそう。
ゴールドシップ:後日皇帝強権発動により学園の奉仕活動に付き合わされた。今回私悪かったか?え、必要以上にからかったのが悪い?それはそう。
シンボリルドルフ:勘違いした上で窓割って突入したのは自分が悪いので何も言えずしばらく弄られ続けた。それはそれとしてゴールドシップ、ちょっと付き合え(強制)
部室窓:シテ......ドウシテ......(泣)
遅くなりましたが最新話です。熟成期間大体2年(2年前には出来てたから)
投稿しなかった理由?料理要素が薄かったのと、純粋に自分で自分の文章に納得できなかった。
飯テロ要素薄かったらこの作品の良さウマ娘要素しか無いからさぁ...。
流石に期間空けすぎてて料理要素薄いとか言ってられないと思ったのと、映画見て熱が抑えられなかったからね。しょうがないね。
次回、オグリ脱退
続く?(続く)