トレーナー式雑ご飯とウマ娘   作:コジマ汚染患者

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ナリタブライアン当たったよハルトォォォ!!
何この娘かっこよ可愛いがすぎる。
ウマ娘効果しゅごい・・・日間にいるよ・・・
(;゚Д゚)


アグネスタキオンとポトフ

トレーナーの朝は早い。5時には目を覚まし、身支度を整えて寮の自室にある台所で調理を開始する。最近になって随分と舌の肥えた担当娘達が、とうとう昼の弁当を要求しだしたのだ。

 

最初に言い出したのはゴールドシップ。たまたま金欠日だと言って腹をすかせていた彼女にトレーナーが気まぐれで作って持っていったところ、これが好評。その後も脅迫の末毎食用意することになった所をオグリキャップやシンボリルドルフ、その他チームメンバーに発見されたことでこうして今では毎日昼食をチームメンバー全員に提供する羽目になったのだった。なお流石に彼女達はある程度食材の費用を払っている(ゴルシ以外)。

簡単に済ませたい時は冷凍食品を使い時短するのだが、一人だけ、絶対に冷凍食品を許さないウマ娘がいる。彼女の弁当だけは何があっても手作りするしかなく、もしも忘れて冷凍食品を入れてしまったらどうなるか・・・。

嫌な想像をしてしまったトレーナーは頭を振ってその想像を振り払うと、いそいそと準備を進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっべ、もうすぐ時間過ぎる!」

 

その日のお昼、トレーナーは汗を流しながら全速力で廊下を駆けていた。エアグルーヴに見つかればお小言の一つでも貰いそうではあるが、そんなことも気にしていられないほど今の彼は急いでいた。

普段彼の担当するウマ娘達は自分達で弁当を取りに来てくれる(ゴルシだけは気づくと弁当が消えている)のだが、あるウマ娘にだけはトレーナーがいつも持っていって手渡しするのが習慣となっていた。

そして、現在時刻はいつも弁当を渡す時間にもうすぐ迫ろうとしていた。

 

「最悪だ!事務に集中し過ぎて忘れるなんて・・・あれは!?」

 

時折好奇の視線を向けてくるウマ娘達を横目に走り続けるトレーナー。ふと前を見ると、口に楊枝を咥えて鼻歌まじりに歩くウマ娘を発見する。トレーナーは助かった、と嬉しそうに呟くと走りながらそのウマ娘へと大声で叫ぶ。

 

「ゴルシ!宅急便頼む!」

 

「ん?ようトレーナー!宅急便な、任せろ!」

 

「・・・え、何今の人。ウマ娘?」

 

「いや、トレーナーさんだと思う。けど・・・」

 

「すごい速かったね・・・ウマ娘みたい」

 

周囲の人へぶつからないよう気をつけつつグンと加速するトレーナー。その先には指示を受けたウマ娘ーーーゴールドシップ。どこからか取り出した麻袋の口を広げトレーナーを待ち構えるその姿は、かつて様々なウマ娘を拉致してきた手際の良さがうかがえる。

それを見たトレーナーは、勢いを殺すことなく全力で体を麻袋に滑り込ませた。

 

「場所は!?」

 

「理科室だ!」

 

「オッケィ!」

 

その会話を最後に、トレーナーは視界一杯の麻袋を見ながら異様に揺れる宅急便によって運ばれていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうっちゃーく!着いたぜトレーナー!」

 

人ならざる強靭な脚力を遺憾無く発揮したゴールドシップは、目的地である理科室へとたったの3分でたどり着いた。麻袋からもそもそと出てきたトレーナーは、ゴールドシップの手に何かを握らせる。

 

「助かった・・・んじゃ、これで」

 

「おーう。まぁアタシも楽しかったから良いってことよ!じゃぁな〜」

 

握らされたものを一瞥し、笑いながら去っていくゴールドシップ。

渡したのは飴(レモン味)である。理由は不明。ゴルゴルタクシーは代金としてなぜか駄菓子を要求するのである。

 

「さてと・・・」

 

去っていくゴールドシップを見送り、手に持った弁当が崩れていないことと時間をギリギリではあるが超えていない事を確認。間に合ったことにホッとしつつ理科室の扉を開けたのだった。

 

「よっす、タキオンー?昼飯持ってきたぞ〜」

 

「・・・」

 

理科室の中は、授業で使われることもあるため、整理整頓自体はしっかりと行われている。そして特有の薬品などの混ざった不思議なにおいがするところも問題ではない。

問題なのは、机の上に大量に置かれた怪しげな蛍光色の薬の入ったフラスコたちと周囲の床を白く染めるほどにぶちまけられた資料たち。その机の周囲だけが、まるで汚部屋のごとき惨状となっていた。

 

「うっわ、あれほど片付けろって言ったのに・・・っていうかタキオンー?どこいったんだあいつ」

 

普段からこの部屋を占有してしまっている自身の担当ウマ娘に対してぶつぶつと文句をつぶやきながら、落ちている資料を拾い集めるトレーナー。周囲を見渡すが未だ部屋の中に彼女の姿は見えない。

 

「・・・ひょっとして、今日は奇跡的に自分で取りに動いたのか!?だとしたらマズい、職員室に戻んねーと・・・」

 

トレーナーが資料を集めきり、机の上へと置いて走り出そうとした時であった。

 

「とれぇなぁぁぁぁくぅぅんんん」

 

「ぎゃあああああああ!?!?」

 

突如地の底から這いあがるかのようなうめき声と共に、トレーナーの足を何者かがガッとつかむ。予想外の事態に気が動転したトレーナーは全力で跳びあがりその勢いのまま天井の蛍光灯をつかみ真下を確認する。

 

「ななな、なんだなんだ!?何奴!?」

 

「・・・ううぅぅぅぅ、酷いじゃないかぁ・・・声をかけただけなのに・・・」

 

「タキオン!?お前なんでンなとこにいんだ!?というかどうした!」

 

そこにいたのは、トレーナーの担当するウマ娘の一人、名をアグネスタキオン。研究者然とした白衣を身にまとい、ウマ娘のスピードの限界を求め自他問わず実験を行い周囲を巻き込むトレセン学園に潜む問題児の一人である。(ゴルシも同類扱い)

そんな彼女は現在、潰れた虫のような姿で床に倒れ伏し、うーうー呻いているのだった。それを見たトレーナーは慌てて下りてくると、すぐさま抱き上げ介抱する。

 

「大丈夫か、何した!?また作った薬を紅茶と間違えて飲んだのか!?それとも調合を間違えて変なにおいのする薬品を作ってにおい嗅いじゃったのか?・・・まさか、前みたいに白衣の裾を踏んでぶっ倒れたのか!?足を無駄に痛めたあの時みたいに!」

 

「・・・君の中の私への印象がよくわかる推測でなんとも言えないが、どれも違うよ」

 

どうにか持ち直し始めたタキオンは、トレーナーから見ても顔色などはそこまで異常はなさそうである。すると、不意にタキオンのお腹からくるるる、とオグリキャップのそれと比べればずいぶんと可愛らしい音が鳴る。それを聞いたトレーナーはまさか、とタキオンをあきれ顔でにらむ。にらまれたタキオンはと言うと、その顔を真っ赤に染めつつ必死に平静を取り繕いながらか細い声でつぶやいた。

 

「・・・その、朝食を取り忘れてね。・・・お腹がすきすぎて倒れてたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから言ったろうが、飯はきっちりとれと!というか、俺以上の効率厨のはずのタキオンがなんでそんなに私生活はクソずぼらなんだよ!」

 

「いやはや、今回に関しては甘んじてその罵倒は受けるとするよ。ただ訂正するなら、これでも私は自活できる程度には私生活はちゃんとしてるよ」

 

「・・・その言葉に一切の信頼性がねーんだが?」

 

トレーナーは持ってきた弁当をタキオンに押し付け、理科室内の片づけをしている間に説教をしていた。モグモグと弁当を食べつつそれを聞いているタキオンは、甘んじて説教を受けるという普段では考えられない姿を見せているが、その実尻尾はゆらゆらと嬉しそうに揺れているし表情も口角が緩んでおりまともに聞いている様子はない。トレーナー自身も説教の効果が薄いことは分かっているがそれでも言わないと気が済まない。しばらくの間説教をしつつ掃除をしていると、不意にタキオンが面白そうに笑う。

 

「ふふふ、そんなに言うならこの昼食だけではなく、今度から君が私の日々の生活の世話をしてくれてもいいんだよ?」

 

「それもそうだなぁ・・・そうするかなぁ」

 

「うんうん・・・え?い、いいのかい?」

 

予想外の返事に思わず食いつくタキオン。手元から箸が落ちそうになり慌てつつも、その表情は真剣なもの。

 

「授業には毎朝出させるし、トレーニングについても今以上にきっちり出させる。研究の時間は休日に作らせるし、俺に薬を仕込むことも許さない。チームのメンバーに薬の押し付けもさせないし実験は全部学園に申請を通してからやるようにする。それに・・・」

 

「すまない、なかったことにしてくれたまえ」

 

トレーナーは不貞腐れた様子のタキオンに苦笑しつつきれいに空になった弁当箱を渡してもらう。椅子の上で体育座りをし、顎を膝にのせて口をとがらせている様子は可愛らしいが、これを機に多少は集団生活に参加してほしいものだ、とため息をつく。

 

「まぁいいや。それで、今日の実験はどうなったんだ?ぶっ倒れるくらい熱中したってことは・・・」

 

「ふっふっふ・・・見給えこのデータを!今までをはるかに下回る水準に仕上がっているぞ!」

 

「おお、つまり!」

 

「ああ!完全に失敗だ!」

 

ですよねー、とタキオンが見せてきた資料を受け取りつつ互いに苦笑いをする。資料を眺めるトレーナーに説明を行いつつタキオンは椅子から下り、ホワイトボードと黒ペンを取り出しああでもないこうでもないと議論を行っていく。トレーナー自身はそこまでタキオンの研究を理解できるわけではないが、担当として相手をしていくうちに気づくとこのようにタキオンが研究成果を報告してくるようになっていた。

 

「・・・っと、もうこんな時間か。ってまて、俺昼食ってないんだが!?」

 

「ふむ、もうそんな時間か。さて、私はそろそろ実験を再開し」

 

「やらせねぇよ!?次俺の授業だろうが早く来やがれ!」

 

「しまったな、それは気が付かなかった。いやぁすまないなぁトレーナーくん、わたしの欠席届を受理しておいてくれたまえ」

 

「お前よくそれを担当教員の前で言えたな!?許さんぞさっさと来い!」

 

その後、授業は5分ほど遅れて始まり、開始前トレーナーが教室にやってきた際には、散歩を嫌がる犬のように引きずられているタキオンが目撃されたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、せっかくの研究のための時間がふいになったじゃないか。あと少しで良い流れに行けたかもしれないのに・・・」

 

「うるせぇ、いい加減にしねぇとお前の担当下ろされんのは俺なんだぞ?というか、そうなったら俺の査定に響く」

 

「正直な事だねぇ・・・でもそうか、トレーナーくんが担当じゃなくなるのは困る。健常な成人男性というモルモッ、げふん、実験体を手放すのは惜しい」

 

「そこまで言ったらもう言い繕うの無理じゃねぇか?」

 

放課後、トレーナーと一緒に下校していくタキオン。今日はタキオンのトレーニング日ということもあって早めに仕事を終えたトレーナーだが、結局トレーニングから逃げるタキオンとの逃走に時間を取られたため疲れでフラついている。

一方のタキオンはというと、捕まったことに観念してジャージに着替えてトレーニングへと向かっているが、その手には大量の薬品を抱えておりなんとも不気味な煙を漂わせている。

 

「・・・む。トレーナー、それにタキオンか」

 

「おや、君がこんなところにいるとは珍しいねオグリキャップ」

 

「今日のトレーニングを終わらせたからな。今から部室に戻って夕食までの間ゆっくりするつもりだ」

 

やって来たのはトレーナーに与えられたメニューをやり終えたオグリキャップだった。やや疲労している様子ではあるが、無茶はしていないようである。トレーナーは一瞥してそれだけを確認し、軽く一言挨拶を交わして別れようとしていた。

 

「そうだ、もし暇だというのなら私の実験に協力してくれないかな?なに、一緒に併走してくれるだけでいい」

 

「?だが、私はこれから夕食までの断食前に軽食を食べないと・・・」

 

「それは断食とは言わねーよ・・・じゃああれだ、協力してくれるなら今日も何か作ってやr「何をしてるんだトレーナー!早く終わらせよう!」いやはえーよ!?」

 

物凄い切り替えの速さでUターンしていくオグリキャップに思わずツッコむトレーナー。見えなくなりそうなくらい遠くへ離れていくその姿に苦笑し、タキオンと共に追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナー、それで今日は何を作るんだ?」

 

「焦るな、落ち着け押すな押すな!」

 

トレーニング兼実験を終え、部室へと帰って来た。もう我慢できない様子のオグリキャップは、トレーナーを押し込むように部室へと入っていく。後ろからついてくるタキオンは実験がある程度順調に進んだためホクホク顔だ。

 

「さぁ、トレーナー。約束だぞ?」

 

「分かってるって。そうだな・・・ちょうど明日はチームの全員でトレーニングをする日だったな。明日の分も含めて作るとして、汁物にするか」

 

「ほう・・・?まぁ私としてはなんでも構わないが、ここにはそんなものを作る器具は無いんじゃないのかい?前に君がゴールドシップと一緒に持ち込んだ鉄板もあの理事長秘書に怒られて没収されたと聞いたが」

 

そう言って周囲を見渡すタキオンに、トレーナーは不敵な笑みを浮かべる。

 

「ふっふっふっふっふ、甘い。甘すぎるぜタキオン。あんぱんをはちみつ漬けにして砂糖ぶちまけて水飴でコーティングしたくらい甘いぜ」

 

「そこまで来ると甘いとかの次元じゃなくないかい?」

 

「それは美味しそうだな」

 

変な顔をするタキオンと、想像して涎を垂らすオグリを横目にトレーナーは脚立を用意してやや高いところの棚を開ける。

そこから取り出したのは、明らかに業務用の大きな寸胴鍋と大型のカセットコンロだった。

 

「なんでそんなものがここに置いてあるんだい?」

 

「実家で使わなくなった奴を貰って来たんだよ。ほら、お前らに飯食わせるようになってから調理器具を大型化するのは急務だったからさ」

 

「これ一杯のカレーとか、美味しいだろうな・・・」

 

呆れた様子のタキオンに説明している間に、手際良く冷蔵庫から食材を取り出していく。オグリはどうやら寸胴鍋でカレーを作る妄想をしているようで、しばらく帰ってこないだろう。

 

「さて、そんじゃ大体40分くらいはもらうか。その間ゆっくりしとくといい」

 

 

 

 

 

 

 

「よし、とりあえず出来たぞ」

 

きっちり40分後、それぞれ自分なりに時間を潰していた二人は鍋の元に集まる。トレーナーは鍋から深皿によそうと、二人の前に置いていく。

 

「ポトフだ。煮込みがまだ甘いけど時間がなかったしまた明日までに仕上げるってことで」

 

皿の中にはニンジン・ジャガイモ・キャベツがざく切りにされてゴロッと投入されている。更には別のコンロで軽く焼いてから投入されたまるごとのソーセージが存在感を主張している。コンソメの香りが湯気と共に立ち昇っており、オグリとタキオンの鼻をくすぐり胃を刺激する。

 

「ほら、スプーン。・・・召し上がれ」

 

「「いただきます」」

 

二人はスプーンを受け取るや否や手を合わせ、そのまま貪るようにポトフへと向かった。

オグリキャップが最初に手を出したのは、なんといっても中の具材で最も重要なソーセージである。一度軽く焼かれたことで表面はパリパリになっており中の肉の弾力を伝えてくる。

 

ツプッ

 

「〜!」

 

オグリキャップがスプーンをソーセージに差し込む。すると最初のうちはその弾力でスプーンを押し返していたソーセージだが、やがて限界が訪れスプーンが肉へと差し込まれる。と同時に、中から溢れた肉汁がスープの中へとじわじわ広がっていく。それを見たオグリキャップの尻尾は千切れんばかりに揺れ、耳が忙しなく左右にピコピコと揺れ動く。

 

我慢など不要、とばかりに差し込んだ先から二つに割ったソーセージの片割れを大きく開けた口へと放り込む。カジュッという音と共に弾ける肉汁の甘さとスープのコンソメが合わさり麻薬のような多幸感がオグリキャップを包み込む。

 

「〜〜っはぁぁ」

 

思わず、と言った様子でため息をこぼすオグリキャップ。その横では、アグネスタキオンもまたポトフを食していた。

 

タキオンはオグリキャップとは違い最初に野菜、ニンジンへとスプーンを向けた。オグリキャップのソーセージと同様、スプーンをニンジンへと差し込む。ソーセージよりも硬い手応えと共に二つに割れたニンジンを、そっとスープと共に掬い上げ口へと放る。

 

「・・・ほう。にほみがあふぁいとはいっへいたが、じゅうふんやああはいじゃないふぁ(煮込みが甘いとは言っていたが、十分柔らかいじゃないか)」

 

「言ってることは分かるけど口の中なくなってから喋れって」

 

そう言って笑うトレーナーに返事はせず、再びニンジンを口に入れる。スープのコンソメが持つ塩気と、ニンジンの持つ野菜特有の甘さ。ソーセージの肉汁とはまた違った甘さとしょっぱさのコラボにタキオンの頬が思わず緩む。ジャガイモはホクホクとしてスープを吸収しより濃い味に。キャベツはシャキシャキ感を失った代わりにしっとりとした歯触りが優しくスープに溶け合っている。野菜やソーセージにあまり味付けをせずスープの塩気に合わせた事でとても優しい味となっていた。

その優しいポトフを味わいながら、タキオンはトレーナーとの出会いを思い出していた。

 

(あの時のポトフと同じ・・・か)

 

 

 

 

 

 

アグネスタキオンは、研究者だ。『ウマ娘のスピードの限界、その向こう側』を求める探求者である彼女は、他者をあまり自分の懐に入れることは無かった。唯一と言っていいのかはわからないが、なんとなく気になっていたダイワスカーレットと、プランBの関係で目をつけていたマンハッタンカフェ。この二人以外とは基本的に関わることすらしなかった。

 

そんなある日、学園からトレーナーを見つけなければ退学とする、という旨の通告を受ける。どれだけ優秀であろうとも、タキオンという厄介なウマ娘を流石に学園は受け入れきれなくなって来ていた。

 

(ふむ、しかしトレーナーねぇ・・・)

 

退学と聞き流石に今の環境を手放す気のなかったタキオンは困った。トレーナーを探す、と一言で言ってもそれはとても大変なことであった。彼女が求めたのは、自身の研究に理解を示す者。最低でも研究の邪魔はしないということをトレーナーに求めた。

当然そんなトレーナーはおらず、担当探しは難航を極めた。

 

(仕方ない、多少の面倒さはあるが適当なトレーナーに私を売り込むか。しかし、研究に遅れを作るわけには・・・)

 

迷い、思案しつつ研究をするタキオン。その時、度重なる徹夜での研究によるものか、体がふらつき持っていた薬の入った試験管を落としてしまう。

 

「あっ!」

 

「おっと」

 

すると、いつの間にかやって来ていた誰かが試験管を空中でキャッチする。

 

「誰かな?こんなところに来るとは随分と酔狂だねぇ」

 

「おいおい、まずは取ってくれてありがとうだろうに。・・・ルナが言ってた通りのじゃじゃウマみたいだな」

 

そう言って立っていたのは、現タキオンのトレーナー。この時は、まだシンボリルドルフの担当トレーナーでもある。

そんなトレーナーを胡乱げな目で見つめ、試験管を受け取ると研究に戻ろうとするタキオン。

 

「私は忙しいんだ。悪いが君と話している時間はないんだよ。もうすぐ下校時間ギリギリだしね」

 

「・・・うーん、よし!」

 

そんなそっけない態度のタキオンをしばらく眺め、何を決めたのかトレーナーは一言呟きタキオンの肩に手を乗せる。

 

「よしタキオン、飯食うぞ!」

 

「・・・はぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あの時も、嫌がる私を無理やり連れ出して料理を出してくたな。思えばあの時のポトフが、私をここまで生かしているんだろう)

 

その時のポトフは、今回のポトフとは違う具材だった。作ったのもトレーナーが自分の部屋で自炊するのに使っていた小さな鍋で、具はニンジンのみだった。それでもタキオンには、そのポトフがとても身に染みて思わず溜まっていた研究の疲労とのコンボでその場で倒れて寝てしまった。もしもあの時トレーナーと出会わなければ、タキオンはトレーナーを見つけられないどころか、過労でぶっ倒れていただろう。

 

「・・・ありがとう、トレーナーくん」

 

「ん?おう、良いってことよ!」

 

笑いかけるトレーナーと、一心不乱に食べ進めるオグリキャップを横目に、タキオンはポトフによるものとは違う温かなものを胸に感じているのだった。




トレーナー:ルドルフに頼まれて問題児のタキオンを説得しに行った。なんか思ったより辛そうだったから飯を与えてそのまま担当として拾った。お前も飯友だ。(胃袋にファミパン)。ゴルシと追いかけっこができる身体能力お化けにして教員免許と火薬類取扱保安責任者や発破技士の資格をもつ。

アグネスタキオン:そんな飯に釣られクマー。チームに参加後、ミキサー飯をトレーナーに見せたら白目を剥いて怒られた。ただその後ミキサーで作れる料理をいくつか教えられたのは何でかちょっとよくわからない。冷凍食品は嫌い。トレーナーに舌を肥えさせられたウマ娘筆頭

オグリキャップ:再度登場、未だに寮内での夜食を止められているのでトレーナーにしょっちゅうたかる。トレーナーのお弁当制作のうち所要時間の9割はこの娘の弁当(重箱)

シンボリルドルフ:アグネスタキオンの件をトレーナーに任せたらなんか当人を拾ってきた。ライバル()が増えたことに最初はちょっと複雑な気分だったが今は良き仲間として接している。タキオン側はルドルフはちょっと苦手。

前回のおにぎり
材料
米:くいてー(でもやせたーい)
味海苔:お徳用
中に入れる具材:好きなのでいい
握れ!以上!
手がベタつくのが嫌な人はサランラップを手に広げて握ると、握った後すぐにくるんで置けるから便利。中の具材は好みなのでなんでもいい。本当になんでもいい。ちなみに作者は梅干しと海鮮系が好き。

次回、ポトフの可能性
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