10話超えるようなら短編じゃなくて連載にするかも(予定は未定)
今回のお話は色々あって飯テロ要素半減です。
タイトルの通り、このお話は前半です。まだ夏は続くんじゃよ←誰
「夏だー!」
「「「いえーい!!!」」」
砂浜に歓声が響く。周囲のほかのチームの人が何事かと見てくるが、そんなことは気にせずはしゃぐトレーナー。ノリノリで一緒に叫んでいるのはハルウララとゴールドシップ、少しぎこちなくオグリキャップ。アグネスタキオンは参加せずやや後方で実験の準備をしており、シンボリルドルフは生徒会としての雑務もあり後から参加である。今日から夏合宿が始まるということで、トレセン学園で借りたビーチでの特訓が始まろうとしていた。トレーナーのチームはなんだかんだ言ってレース等で好成績を残しているウマ娘が多いこともあり、それなりに良いホテルでの宿泊となっている。ホテルに荷物を置いたチームの面々は、スクール水着に着替えてトレーナーと共に砂浜で一列に並んで指示を待つ。
「よっしゃ早速やっていくかー!準備はできてるかゴルシ!」
「まっかせろい!ゴルシちゃんにそろえられないものは無いってなぁ!」
トレーナーにふられガッツポーズで応えるゴールドシップ。その横には大量の丸太が置かれており、異様な威圧感を放っている。その丸太の山を見た合宿初参加のミホノブルボンが思わず挙手する。
「疑問を提示。マスター、このトレーニングはいったいどんな意味が?」
ミホノブルボンの質問に、サングラスをかけ下は海パン、上はジャージを羽織り中に『教育に今日行く!』と書かれた白のシャツを着たトレーナーがニヤリと笑う。(シャツの裏は『生徒に何とかせいと!?』)
「おいおい、ブルボン。お前今日まで俺とゴルシの渡した資料(アニメとゲーム)で何を学んできたんだ?」
「・・・?申し訳ございません、私にはまだ脳内へのデータ蓄積が足りないようです。ご教授いただくことを希望します」
そう言って静かに見つめてくるミホノブルボンに、トレーナーは哀愁漂う()表情で海の向こうを眺める。
「・・・好きなように生き、好きなように死ぬ。誰のためでもなく」
「!」
「それが彼らの生き方だ。ウマ娘として当てはめるならそうだな。好きなように走り、好きなように駆ける。誰のためでもなく」
「うんうん、やっぱりトレーナーは分かってるわ。流石アタシの相棒!」
「うーん?よく分かんないけど、いっぱい走れば良いんだよね!」
「おやおやおやおや、ナナtゲフンゲフン、ウララは可愛いですねぇ」
「え!えへへ〜、トレーナーそんな急に言われると照れるなー」
「「あ゛〜」」
「・・・結局質問の答えには至ってない気がするんだが?」
ツッコミ不在の恐怖に、思わず呟くタキオン。ウララにほんわかさせられているゴルシとトレーナーをよそに、ブルボンは言われたことを反芻し「好きなように・・・脳内サーバへと追加情報をインプット。オーダーを確認。・・・なるほど、そういうことですか・・・ゲッ○ーとは・・・」と何やらいけない扉を開こうとしていた。
一方オグリはお腹を空かせている。
「・・・っは!いかんいかん、そんじゃとりあえず午前のトレーニングを始めるぞ!みんな丸太は持ったな!?いくぞ!」
「「おおっ!」」
「・・・もう私はツッコまないよ?」
そうしてタキオンは久しぶりに思考を放棄した。そんなこんなでトレーニングが始まり、なぜか用意された丸太を背負い走り続ける彼女たちの姿は、多くのウマ娘のドン引きとトレーナー達のかわいそうなものを見る目をいただくのであった。後ウララは持ちきれなかったので代わりにトレーナーが持っていた。
「よっし、午前のトレーニングはここまで!」
「流石にきついな・・・」
「いつもより高負荷なんじゃないかい?」
「はふぅ、疲れた~!」
ストップウォッチを見つつ手を挙げて叫んだトレーナーの終了の合図に思わず砂浜に座り込むタキオン。オグリも息を荒らげながらその横に倒れており、途中参加のシンボリルドルフですらも肩で息をしながら辛うじて膝に手をついている。今回が初めてのミホノブルボンに至っては、うつぶせに倒れて完全に屍と化している有様だ。唯一まだ辛うじて動けるほどに無事なウララも、そろそろ限界だろう。
「そりゃ、もうすぐレースが近いやつもいるからな。当然練習強度は上げるさ。まぁ代わりと言ってはなんだが、晩飯はホテルでビュッフェだとよ」
「なんだよーもう終わりか?アタシはまだまだやれるっぜ!」
「お前は例外。どうしてきっちりこなしつつそこまで体力残せるのかが謎だわ」
「そりゃ、アタシだからな」
「なるほど」
ゴールドシップに関しては思考を放棄しだしたトレーナー。チームの全員へスポーツドリンクの入った水筒を渡しつつ、持ってきた大きな箱を車から取り出す。
そんな色物集団の練習風景をチラチラ見ていた他チームは、彼女たちの練習のあまりのハードさに驚いていた。
(あれだけの練習量・・・さすがは皇帝擁するチームだ)
(あの変なトレーナーさん、すごい人だったんだ・・・)
(いやでも丸太はおかしくね?)
そしてそうなると、新たにトレーナーの取り出してきた箱に注目が集まる。ルドルフたちもどうやらそれに見覚えがあるわけではないらしく、まじまじと箱を見ている。周囲の人々からの視線を感じ頭をひねるトレーナー。
(((((一体、あれは何のトレーニング機器なんだ・・・?)))))
「トレーナー、それなに?」
ウララがトレーナーの元へと寄っていき、箱をつつきながら訪ねる。するとトレーナーは、ニヤリと笑いつつ箱を開けた。
「これは・・・釣り竿、か?」
「こっちは釣り餌だな」
「お?青虫かー、わかってんじゃん!」
各々が中をのぞくと、あったのは妙にうまくデフォルメされたチームメンバーの顔がイラストされた釣り竿が人数分と、釣り用の餌と、そして麦わら帽子。
((((なんで釣り竿!?))))
「・・・トレーナーくん、すでになんだか嫌な予感がするのだが、一応聞きたい。というか嘘だと言ってほしい。これはつまり、昨年もやったあれかい?」
頭に手を当てつつ恐る恐るトレーナーへと尋ねるルドルフ。その様子はいつもの皇帝然とした態度ではなく、何かにおびえるかのような姿で周囲の人々は予想外の生徒会長の一面に目を見開く。
よく見ると、オグリキャップは顔面蒼白に、アグネスタキオンに至ってはもうふらふらと倒れそうになっていた。
「おう、去年のあれだ。これと、後しっかり水分は渡す。今日の昼めしは一切用意してないから、それで頑張って釣ってこい!俺はオレでもし釣れなかったときのためにいくらか釣ってくるから。もし釣れなかった奴は、飯の量が減るから覚悟しとけよな?」
「「いやだー!!!」」
すごくイイ笑顔で去ろうとするトレーナーに、全力の否定を叫びつつ追いすがるタキオンとオグリ。またしても普段の様子とは全然違う姿に見ていた人々はもう驚くとかを通り越す。
「私にこの炎天下の中で釣りをしろと!?死ぬぞ!練習もした上でのそれは死んじゃうぞトレーナー!」
「わ、私がどれだけ食べるかわかってるだろうトレーナー!去年だって小さいのしかつれなくてお腹がすきっぱなしだったんだ、今年こそは違うだろうと願っていたのに・・・!」
必死に引き留めるその姿は、いっそ哀れと言えるくらいだった。一方のルドルフ。こちらは誰よりもこの流れを経験してきたからこそ、行動は早かった。
「・・・まぁ、森に入って虫に刺されながら山菜を採るよりはマシか」
(あの生徒会長さんが山菜採り・・・!?)
(マジで何してるんだあのトレーナー!?)
今回が初めてのミホノブルボン、何度も経験しているが順応力の高いウララとゴールドシップはそんな周囲はお構いなしにサクサクと準備を進める。
「よっし、ブルボンとウララ!アタシが知ってるこの辺のおすすめスポットあるからそこ行こうぜ」
「うん!よーっし、たくさん釣るぞー!」
「オーダー認証。これよりオペレーション【フィッシング】を開始します」
順応した組と、順応してしまった皇帝が去った後。困ったような表情のトレーナーは頬をかきながらつぶやいた。
「だって、普段お前ら減量を全然しないし・・・こういう時に食う量減らしとかないと全く減らさねーじゃん。オグリは言ってもたかりに来るのやめないし、タキオンはそもそも実験を口実になかなかトレーニング来ないし」
((((あっ・・・))))
「「・・・」」
何となく察した周囲の人々は、かわいそうなものを見る目になりつつもそっと目を逸らし、そのまま離れていくのであった。
取り残されたオグリキャップとアグネスタキオン。二人の様子に流石にかわいそうになってきたトレーナーは、そっと二人の頭に手を置いた。
「・・・一緒に釣るか」
「「・・・うん」」
その後、すでに慣れていたルドルフ、爆釣のゴールドシップについていったブルボンとウララは自力で満足する量をどうにか確保し、タキオンとオグリはトレーナーと一緒に釣ることである程度の量をゲットしたのであった。
「よっし、じゃあ満を持しての魚パーティーといきますか!」
「・・・もう私は疲れたよ」
「ああ、やっと食べられる・・・」
「会長よー、見ろよこれ!でっけぇタコ!」
「ふむ、流石だなゴールドシップ。私の獲った大物は・・・こんなものか」
「な、鯛・・・だと!?」
トレーナーが車から引っ張り出した大型バーベキューコンロの前に、それぞれの釣果が並べられる。既に疲労状態のタキオンは近くの椅子の上でタオルを顔にかけぐったりと寝ており、オグリはようやくやってきた食事の時間に目の光が戻る。ゴールドシップは釣ったタコを自慢しようとして、突然噴かれたタコ墨が飛び散り、砂浜の上で目を抑えて悶絶している。ルドルフはウララとブルボンと一緒に釣れた魚を見せ合い和気あいあいとしており、ここだけが辛うじて平和である。そんな様子を笑いながら見つつ、炭に火を入れて網を乗せていく。ついでに全員の持ってきた魚を食べられる程度に切ったり串を刺して加工していく。
「さてと、準備できたから焼いていいぞー」
準備を終えたトレーナーがそう聞くと、それぞれに食べたい魚や採ってきた貝類などを並べ始める。そこから始まったのは、魚介をかけた取り合い合戦。
「見てみてトレーナー!ブルボンさんと一緒に取った貝!」
「うん、それは食える奴だな。ブルボンのは・・・お前それどっから持ってきた?」
「回答。海の底へと潜水し、採取に成功しました」
「・・・まぁお前がそれでいいならいいわ。怪我とかもないみたいだし」
「トレーナーくん。これはもういいのかな?」
「どれどれ・・・もういいかもな。ちょっと待ってろ醤油あるから」
「トレーナー!これとってくrぎゃあああ!目ぇ!」
「ゴルシ!?タコは一度〆てからにしろとあれほど!」
「トレーナーくぅぅん、私の分を早く~」
「タキオンお前もう動けるだろ!さっき普通に歩いてたの見てるからな!」
「トレーナー、おかわり」
「オグリお前・・・もう何も言わねぇ。食え食え!俺の釣った分もあるから!」
それぞれに釣ったもの、採ったものを網の上に置き、焼いては食し、焼いては食すを繰り返す。苦労した分美味しさも倍増、と言わんばかりに各々が好きなものを食らい談笑する。
そうしてあらかた食べ終わり、オグリ以外の面々が満足したタイミング。トレーナーがアルミホイルに包まれたあるものを取り出す。
「トレーナー、それなに?」
「これは、ほれ。ジャガイモ」
「なに!?」
オグリキャップが稲妻のごとき速度で反応する。他の面々も、ジャガイモと聞いてのそのそとトレーナーの元へと集まってくる。
「・・・じつは、流石にマジでなにも用意してないとかになったら色々とアウトだと思って、多少は用意してきてた」
そう言ってトレーナーは粗方採ってきた物を焼き終わり、ほぼ消えかけていた炭に再度火をつける。そうしてアルミホイルに包まれた洗っただけの丸のままのジャガイモを網上に置いていく。続いて、新しいアルミホイルを中心に大きく敷き、簡易のフライパン代わりにする。その中へ残っていた魚を捌いては放り込み、捌いては放り込んでいく。そして用意していた大量の刻みネギ、ピーマンを投入し軽く炒めていく。魚の身の色が変わってきたタイミングで、醤油、砂糖、みりんを目分量という名の適当でぶちまけていき、そのまま再び炒めていく。
「いいにおい~!」
「さてと、適当にだが完成だ、魚と野菜の炒め物。ジャガイモの方はもうすぐだからこっち先に食べててくれ」
トレーナーの言葉に、受け取った紙皿と割り箸を手にそれぞれがとりわけ、口にしていく。
普段から本人が自称するように、雑な調理で雑に仕上げた野菜炒め。味についても普段よりかは適当な感は否めないが、焼いたことで水分が飛びより濃く感じられるようになった醤油の塩分が効く。魚の方はホクホクの身が醤油とみりんを吸って更に濃い味を残し、しつこく感じるころにはネギとピーマンがそれを喉の奥へと押し込んでいく。
「これは、いいな。疲れた体にちょうどいい味付けだ」
「うめー!なぁなぁトレーナー、おかわりまだか?」
「おちつけ!ってかもうすぐジャガイモの方できるから!」
そう言って慌ててチューブタイプのバターを取り出すトレーナー。アルミホイルを開けていき、中のジャガイモへと容赦なくバターをぶちまけていく。
「じゃがバターか・・・!」
「おう・・・ってオグリ!?よだれよだれ!垂れてる、垂れてるから!」
慌ててよだれの落下コースからじゃがバターをどかしていくトレーナー。他のメンバーも、オグリほどではないものの物欲しそうにじゃがバターを眺めている。
「・・・よし!できたぞー熱いから気をつけ「あっつぅ!?」気をつけないとあそこの
トレーナーのOKに各々がじゃがバターへと手を伸ばす。アルミホイルの包みを開け、中のジャガイモを割ると、そこからアツアツの湯気が立ち上り、割れ目へと溶けたバターが黄金の川になって流れ込んでいく。そのままそっと口へと運び齧ると、まずジャガイモのホクホクとした食感が広がり、次いでバターのほんのりとした塩気がやってきて、更に食べろ、もっと食べろと急かしてくる。その要求に応えるまま二口目、三口目と齧るごとにジャガイモの味とバターの味が口の中と胃にどっしりとした満足感を与えてくる。
「わーい!・・・ん~美味しい!」
「うん、これも美味しい。シンプルだが、それゆえに素晴らしい」
「あちち・・・うん、流石じゃがバタマイスターのトレーナーだ!」
「その勝手につけた妙な称号はお前に返すよゴルシ。タキオン、どうだ?」
「・・・まぁ、悪くないんじゃないかい?」
「タキオンの尻尾・・・揺れているな」
「っ!」
「マスター。胸の奥に温かいものを感知。ステータス【幸せ】を確認」
「そいつはよかった。食べたらごみはこの中な」
そうして満足ゆくまで昼食を堪能した後、ルドルフとトレーナー主導の下片づけを行い、午後のトレーニングへと戻っていくのだった。
それを若干見ていた他のチームはと言うと、
((((おいしそうすぎて集中できない・・・!))))
何とも言えない空腹感を抱えてトレーニングを続けるのであった。
その日の夜。ホテルでの夕食にてオグリが厨房を戦慄させた以上のことは起こらず滞りなく終わり、完全にフリーとなったトレーナー。翌日のトレーニングについての準備と計画を終え、何となく眠る気が起きなかったため夜の砂浜に繰り出していた。
「・・・うん、割と涼しい」
そう呟きつつ、波打ち際を軽くランニングで流していると、遠く進行方向に人影を見つける。
「あれは・・・」
走る速度をやや上げ、人影へと近づくとそこにいたのは、一人のウマ娘だった。
「・・・何やってんだ?こんなとこで」
トレーナー:減量をさせるのが苦手。なのでこういったイベントがあるときに容赦なく行う。オグリキャップを担当するようになってからは、時折彼女たちの見せる減量中の悲壮な表情に可哀そうという感情が抑えられず食べさせてしまうように。それでも勝つ彼女たちには首をかしげている。
トレーナーのチーム:ブルボンを迎え、余計に厨パ感が上がった。減量中にもかかわらずトレーナーが飯テロしてくるので自分たちで鋼の意志を無理にでも持つようになった。なおオグリとタキオンはいろんな意味で食関係の誘惑に弱い。メンバーの中ではハルウララがそういった面では最強。いらないときははっきりといらないと笑顔で否定してトレーナーに悲しい目をさせる。
夏合宿:毎年のようにスパルタなメニューをこなし、毎年のように昼食を自給自足する。発端はトレーナーがゴールドシップに無人島に連れていかれたときの思いつき。
毎年のことなのでベテランのトレーナーはあえてトレーナーのチームの近くではトレーニングしない←裏話。あと夏合宿後半のお話ですが、アンケートの方に応えてくれるとその結果次第でお話が変わるぞ!☆
ネタ切れではないんですがどれを先にするかで完全に迷ってしまい申して・・・(´・ω・`)選ばれなかった話もいつか出す。
前回のサンドイッチ
材料
食パン:最低二枚
具材:なんでもいい
具材を挟める大きさにしてパンで挟む!以上!
具材によっては主食にもおやつにもなる。おすすめアレンジは作中の和風のものと、お菓子を挟んだデザート風。
次回 残虐な飯テロ