とある高等学校のとあるクラスの生徒たち、その中には邪神が居たが魔王も居た。
時の魔王常盤ソウゴは、暗躍する全ては世界を救う為。
ある場所、時と空間の狭間或いは世界の外側、そこは何処までも続く荒野にポツリと周りの風景には似つかわしくない荘厳な玉座があるだけの殺風景な場所、而してその唯一の風景を作り出す玉座には一人の王が腰掛ける。
「陛下、如何やらかの邪神の化身が動き出したようです。」
「陛下、貴方が選んだかの王子が英雄となる未来を選びました。」
その王の前に傅くは長いスカーフと焦げ茶のコートに身を包み本を脇に抱く男、その隣にコートの男とよく似た風貌のコートの男とは反対に白のコートを身に纏う薄い書留を脇に抱える男が続け様に王に進言する。
「そうか……では此方も動くとしよう……ウォズヴァイスそしてツクヨミ。」
「ここに、ジオウ陛下。」
二人の進言に応じる様に王は二人の片割れ白い召し物の男と、突如現れた神官の様な服装の女を呼ぶ。
「シュレインいやゲイツの手助けをして遣れ、あの三人も連れて行くがよい。」
「「はっ!」」
王がそう告げると、白の男と神官の女は一瞬で姿を消し、その場には王と黒の男に身が残る。
「さて、ウォズシュバルツよお前には落第者の皇子の監視を命ずる、あの女神なら余計な手出しはせぬだろうが万が一にもあの改変者共が現れた時の事も考え見張って起きたい。」
「仰せのままに我が魔王。」
そう黒の男にも命を出し、彼は王の命に従い何処ぞへと向かう。
そして、その場所でただ一人の存在となった王、時の王又は最低最悪にして最高最善真の意味での魔王たるオ―マジオウ、常盤ソウゴは静かに佇む。
『随分警戒してくれますね常盤君?』
『貴様は相も変らぬな管理者よ。』
一人の静寂を突然の声が遮りオ―マジオウの脳内に若い女の声が木霊する、それに応じる様に彼も鷹揚に答えた。
『そもそもの話、あのタイムジャッカーとか言うのは貴方が引き込んだようなモノじゃないですか?それを私のせいにされても困りますよ。』
『ふん、元は言えば貴様と私を始末したい連中が手を組んで引き起こした無謀が原因、その責任は貴様の怠惰にもある。』
世界の管理者がオ―マジオウに文句を言えば、時を支配する魔王は怠惰な女神に向かい一歩も譲らず返答を返す。
『まぁ、それを言っちゃえばそうなんですけど……でもでも、まさか常盤君と対立していた勢力が前の世界に来るなんて思わないじゃないですか。』
『それでも、確り監視していれば奴らの侵入には気付けた、貴様の管理責任は無かった事には出来ぬぞ。』
世界の絶対者たる二人の論争が静かに激化し始めた、心なしか周り荒野にも軋みのような嵐の兆しが見え始めた。
『……ふぅ、いけないいけない。少し熱くなり過ぎましたね、私達が争ったらアッチの世界にも影響が出ちゃいますからね。』
『うむ、ここで争えばあの日の崩壊程度では済まされぬ被害が出る、それを考えれば争わぬが方が良い。』
だが一触即発となる前に冷静になった二人、時の支配者と世界の管理者である二人は世界を作る概念そのもの、二者が諍い合えば世界も荒れる、それが故に互いに矛を収める。
『それじゃあ、私の方でもタイムジャッカーについては監視しておきますね。』
『うん、頼んだ。』
その念話を最後に二人の頂上者は互いに会話を終わらせ、また荒野に静寂が訪れた。
これは、あの日の古文の授業中の惨事の中、生き残った二人の内の一人の話或いは時の王に見いだされた勇者であり英雄でもある王子の話。