そうして雇われ提督と秘書官初霜は逃亡しました。 作:ぽかぽか
濃霧海域(のうむかいいき)。
その海域は深海凄艦さえも近づく事が許されない程の濃い霧が年中発生している未だ未解明な場所が多い海域である。
そんな海域から程近い場所に小さな孤島がある。濃霧海域に近い場所にある事から濃霧島と呼ばれるその島に【民間鎮守府】はある。
見た目は年期のある平屋のような鎮守府の居間で現在、ある死闘が繰り広げられていた。
「落ち着いてくださいゴーヤさん!」
「落ち着いているでち、初霜。だからその手を話すでち。私は島提督にちょっとお仕置きをするだけでち」
「落ち着いてないだろ!?つーか、お仕置きって、その酸素魚雷で何するつもりだ!」
「そんなの決まってるでち…………ぶちこんでねじりこんで……開発するのでち!!」
「ふぉぉぉ!!初霜さん、鈴!頼むからゴーヤを離さないでくれよぉ!」
「うるさい!誰のせいでこうなったんだ!!」
「島提督は速く逃げてください!!」
「いや、それは出来ない!何故なら逃げれば俺への被害が倍増するからだ!」
「なら、手伝ってください!」
「怖いから無理ぽ」
「「やくたたず!」」
「ふふふ、今日も楽しいね」
ゴーヤを必死に押さえ込んでいるのは鈴提督と初霜。
それを怯えながらに応援しているのは伊58の提督である茶髪でアイドルのようなイケメン面の若い男性、島提督。
そして、そんな修羅場をニコニコと笑いながら見守っているのはセミロングの黒髪を後ろで一つの三編みにし、白露型共通の紺に白のラインの入ったセーラー服を着たどこか儚げな雰囲気を纏う一人の艦娘。
彼女の名前は白露型二番艦 駆逐艦娘‘時雨’。
島提督が保有する艦娘であり、この死闘の原因を作った張本人でもあり、悪女でもある。
「時雨!お前も笑ってないで手伝え!!というかお前たちのせいでこうなってんだぞ!」
「僕たちのせい?それは違うよ。僕はただ寂しがってた島提督と遊んでただけで、偶々その時に君達が帰って来ただけだよ。そうだよね、島提督?」
そう言って島提督に向かって妖艶に笑う時雨。それを見た島提督はうっとりとした表情で頷いた。端から見ればヒモになっている男にしか見えない。
「ふふふ……島提督、今すぐにその悪女から助け出してやるでち……」
「くぅ!また力があがった!?ゴーヤさん!貴方本当に潜水艦なの!?!?」
「今はただの恋する艦娘でち」
「もう……限界……だ!」
技名、愛の嫉妬パワーで筋力が倍以上に膨れ上がった伊58は二人を振り払い、ゆっくりとした足取りで島提督に近づいていく。
「島提督……どうして……ごーやは……こんなにも提督の事が好きなんでち……でも、どうして提督は……いつもいつもいつも……その悪女といちゃこらしてるんでち……?」
「ふぉぉぉ!ふぉ、ふぉぉぉぉ!!だ、誰か助けてくれぇぇぇ!!」
そんな悲鳴をあげながら伊58の横を走って逃げようとした島提督。だが、そんな事を伊58が許すはずもなく、目にも止まらない素早い手刀で島提督の意識を刈り取った。
「ふふふ…………島提督はずっと私の物でち……」
右手に酸素魚雷、左手に島提督を掴み、淀んだ空気を撒き散らしながら伊58は部屋を出ていった。
その光景を見た鈴提督と初霜は静かに手を会わせるのであった。
「さて、今日も面白い物が見れたし、僕は部屋に戻ってゆっくりしようかな」
「待て、時雨」
小さな欠伸をしながら出ていこうとする時雨の前に立ち塞がる鈴提督と初霜。そんな二人に少し驚きながらも時雨はまた妖艶に笑う。
「あれ?鈴提督と初霜ももしかして僕と遊びたいの?それは楽しみだね。僕も二人と遊んでみたいとずっと思ってたんだ」
そんな時雨の言葉に首を横に振る二人。そして二人揃って指を指した場所は…………居間に置いてある小さな執務机。その机に天高く聳え立つ書類の塔。つまりはそういうことである。
「「仕事手伝え♪」」
「……それは拒否させてもらうよ」
そうして二度目の死闘が幕を上げた。
簡単な紹介
◇島提督
茶髪でアイドル顔負けの容姿をした若き提督。だが、女性に見境がなく艦娘でも平気で手をつけてしまうダメな奴。仕事は出来るのに残念。
鈴提督と同じく海軍将校だったが、上司の艦娘にも手を出したせいでクビになり、今は変わった縁で知り合った鈴提督と共に民間鎮守府で働いている。
自身が危険に陥れば「ふぉぉぉ!」という奇っ怪な悲鳴を出してしまう。通称、フクロウの悲鳴。
時雨と伊58には頭があがらない(精神的にも肉体的にも)。M体質。
「いや、入らないから、ゴーヤさん!そんな巨大な奴は入らないからぁぁ!!ふぉぉぉ!!」
「えいでち」ズドン
「ふぉぉぉぉおぉぉぉ!!!!」
…………どうやらある部分を開発されたようだ。