そうして雇われ提督と秘書官初霜は逃亡しました。   作:ぽかぽか

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意外とすらすら書けた。しょうがないね、ハハッ!
それと今回は後書きの簡単な紹介はありません。これもしょうがないね、ハハッ!


第6話

 ーーその部屋は暗かった。

 いや、物理的という訳ではない。ちゃんと電灯もあるし、一介の将校と艦娘に与えられる部屋では無いぐらいに気品に溢れ豪華であった。

 だが、部屋は暗かった。

「ふふふ……もう逃げられない……ふふふ……」

「戦艦怖い空母怖い提督怖い戦艦怖い空母怖い提督怖い───」

 暗さの原因はその部屋の椅子に腰掛け呪いのような言葉を何度も呟いている一組の海軍将校と艦娘、つまり鈴提督と初霜のせいである。

 熊野に拉致されこの南西鎮守府に着いた二人は最後の抵抗とばかりに暴れたが、【南西鎮守府】から増援にきた多数の艦娘達相手ではどうにもならなかった。

 ロープでミノムシ状態にされた二人は丁寧にこの部屋へと運び込まれた。

 そして去り際に彼女達はこう言った。

 明日が本番ですので、と。

 何が本番なのか?とは聞かなかった。二人は分かっていた。明日が狂宴(様々な意味での)だと。

 それから二人はずっとこの状態である。

「戦艦怖い空母怖い提督怖……ふぅ、落ち着いた。さて逃げる方々を考えるか」

 しかし、このまま何もせずに明日のメインディッシュになってたまるものか!と鈴提督は奮起した。

「ふふふ……なに言ってるんですか提督、もう私達は逃げられないんです……このままこの鎮守府の艦娘達の捌け口に使われるんですよ……ふふふふふ」

 見るも無惨に心が折られている初霜を余所に鈴提督は椅子から立ち上がり、ぐるぐると部屋の中を調べ始める。

 あるのは大の大人四人が寝られる程の巨大なベッド。調べたが逃走に使えそうな物はなかった。次は如何にも職人が端正籠めて作ったような色々な家具。こちらもやはり無かった。

 そして窓には重厚な鉄格子と幾重にも巻かれた有刺鉄線。有刺鉄線は使えそうだなと思ったが、工具が無ければ解体出来ない。

 入ってきたの木製の扉に近づき耳を当てる。聞こえてくるのは楽しそうな幼い少女達の声。廊下を歩いている足音が聴こえないので、どうも入り口に陣取っているらしい。数は三人。

 それらを全て確認した鈴提督は椅子にまた腰掛けーー

「……戦艦怖い空母怖い提督怖い──」

 ーーまた呪詛を呟き始めた。どうやら逃走経路が一切浮かんでこなかったらしい。

 初霜はそんな鈴提督から視線を外して窓の外を見る。

 鉄格子と有刺鉄線の隙間から覗かせる綺麗な夕暮れ。それをじっと眺めながら初霜は【民間鎮守府】の皆に願った。

 

 救援求む、と。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 場所は変わって【民間鎮守府】。その居間では時雨と伊58が、霧のおかげで幻想的な美しさを放つ夕日を肴にお茶を飲んでいた。

「遅いね、二人とも」

「途中で拉致られたのに羊羮一つ賭けるでち」

「拉致?二人を拉致るような鎮守府なんて今日の仕事場の近くにあったっけ?」

「甘いでちよ時雨。近くにあろうが無かろうが奴等は追ってくるでちから」

「へぇ、そうなんだ。ちなみに奴等って前の【北東鎮守府】以外にあるの?」

「ゴーヤが知ってるのは、北東、南西、北部の三つでち。まぁ、北部はそこまで危なくないでちが、北東と南西は捕まったらさよならでち」

「北東は分かるけど、南西は何処か危ないんだい?確かあそこは航空戦艦や航空巡洋艦が主力の鎮守府だがら、あの二人ならすぐにでも逃げ出せそうな気がするけど?」

「南西は頭がいい奴が多いでち。それに執着心が半端ないでち。前に助けに行った時はしつこく追ってきて、ゴーヤも冷や汗ものだったんでち」

「君がそこまで追い詰められるとは相当だね……」

「本当もう勘弁でち……さて定期連絡も来ないし、行くでちか」

「あぁ、そうだね。寝てる島提督はどうする?」

「本当はゴーヤがずっと看病しておきたいけど、今回だけはあの忌まわしい看護婦たちにお願いするでち」

「ふふ、了解。じゃあ連絡しておくよ……遺書書いておく?」

「ふざけるなでち」

 軽口を叩き終わると湯飲みをおき、立ち上がる二人。そして各々の艤装を取りに部屋へと戻る。

 そんな二人の背中を後押しするように夕日は輝いていた。

 




なにこの二人カッコいい!!
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