魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
今回から原作スタートです!これから加わる原作キャラとどのように関わっていくのか楽しみにしてて下さい!
では本編どうぞ!
敗北
翌日を入れて2日間、エルはダンジョンへ行く事をヘスティアから禁じられた。理由は初日から6階層に行った挙句、ウォーシャドーと戦い重症を負うという命を軽んじる行動を取ったからだ。
エルはステイタスを更新した後、ヘスティアにエルの仮説を話したのだ。しかし、突然そんな事言われてもヘスティアからしたらにわかに信じ難い内容だった。ウォーシャドーと戦って気絶した所を誰かに助けてもらったという説。簡単に信じれる内容じゃ無い。だが、ステイタスの異常な成長、そして服の損傷に対して身体への傷が全く無いこと。そして決め手はエルの言葉に何一つ嘘が無かった事だ。もしかしたら夢の可能性もある事も話している。彼が本当だと思っても事実が違う可能性だってある。しかも話し手が嘘だと思っていなかったら、厄介な事に神は嘘と見抜く事が出来ないのだ。本人に嘘を言ってる気が無いから。
ヘスティアは色々な可能性を考慮して、最終的にエルがウォーシャドーと戦った説を推した。自分が信じないで誰がエルを信じるのかと。主神が子供の言う事を信じないでどうすると思ったのだ。だから信じた。
そしてヘスティアはエルを馬車馬の如く働かしたのだ、休憩を挟まず2日間ずっと。結果、現在進行形でソファーに突っ伏している。
「疲れたぁー」
小さい頃から祖父の手伝いと修行を両立してきた事から体力に自信あったエルだったが、バイトがこんなに大変な物とは思わなかった。畑仕事や修行とは使う筋肉もまた別で疲労の溜まり具合も違う。そんな姿を見て、ヘスティアは笑った。
「ははは!そんなんじゃいずれ何日もダンジョンに潜る時に体力が持たないよ!」
多少接客と裏方で役割が違うからといって、エルがこの様な状態なのに、ヘスティアは全く疲れていい。それどころかエルの人間味ある一面が見れて疲れも忘れてとても上機嫌である。エルはそんなヘスティアを見て『やっぱり神って凄いんだな』と改めて神の凄さを体感した。
(因みにエルがバイトで休みを貰えなかったのは罰の一貫である)
エルはミィシャに説明する時は色々とはぐらかした。突然6階層まで行った事を彼女に告げたら、また怒られる。ヘスティアに既に怒られたのだからまた怒られるのは勘弁願う。だが意外にも助かった。ミィシャが許してくれたのだ。『冒険者にも色々とあるものね。話したくないことを無理には聞かないわ。無茶するのも結構、若い内なんだからいくらでもしなさい。でも生きて帰って来てね!』そう言ってウインクして来た。エルは『貴方も若いだろ』と思いながらも、そんなミィシャのウインクにドキッとしてしまう。あまり女性と関わってこなかったエルにとって優しくて、自分の無茶も分かってくれて、可愛いのは魅力的だった。そんな照れてしまう気持ちを忘れる為にエルはダンジョンで奔走する。
「俺はダンジョンに出会いを求めてなどいなあああああい!!」
しかしこのモヤモヤはすぐに解消する事となる。何故ならミィシャの性格を知ったからだ。エルは聞いたのだ。何故冒険者の気持ちを尊重した上でそんなに心配するのかと。なんとなく思ったのだ。彼女は以前に冒険者を好きになった事があるのではないかと。そしてその人は命を落とした。だから今の考え方になったのかと。死んでほしくない、しかしだからと言って頭ごなしに冒険者の無茶を否定したらその人の、冒険者全員の気持ち否定する事になる。しかしその予想は見事に裏切られる。彼女はこう言った。
「え?だってとんでもない言われたらアドバイザーとして貴方に説教しなきゃいけないし、報告書に嘘を書いちゃいけないし、報告しないのも問題だからその事を書いて、今度はギルド長から私が説教されなきゃいけないんだよ。そんなの面倒だもん。貴方は話したくない、私は聞きたくない。これってWINWINの関係でしょ?」
それを言われてエルは固まった。ミィシャがとんでもない駄目アドバイザーだったのだ。そして彼は学んだ。その人の一面だけを見て決めつけてはいけないのだと。人を思う気持ちの裏側には知らない方が良い一面が存在している事を。
エルは走る。ダンジョンをひたすら走る。あんな駄目アドバイザーに少しでも惹かれてしまった自分のチョロさを恥じて。数日前は苦戦したウォーシャドーを倒しまくる。黒歴史を忘れる為に。
(まさか図星を突かれるとはね。まぁ説教が面倒なのは本当だけどあの事を話したらエル君がダンジョン潜るのに支障をきたすものね。冒険者の邪魔をしないのもアドバイザーの役目。ね、ななしさん)
そしてあれから2週間が経った。エルは現在8階層まで潜っている。それだけでも凄いのだが今の光景はそれ以上だった。対面しているモンスターだ。この階層には絶対にいる筈がないモンスター。その名も、
「ブモオオオオオオオオ!」
ミノタウロス。本来は15階層にいる筈のモンスターが何故この階層にいるのかは問題ではない。問題はエルのこの後に取る行動だ。今のエルにミノタウロスを倒す力は無い。だが逃げる事なら可能だ。ミノタウロスは筋力、耐久力は凄いが足は速く無い。全力で逃走したら逃げれるだろう。だが、エルからしたら答えは決まっていた。
「お前が本来いないこの階層で俺と出会ったって事は元々出会う運命だって事だ。俺は運命と戦う事はしても逃げたく無ぇ。そんなんじゃいつまで経っても最強になれない。…………だがら、俺は運命に従うぜ!」
【
エルは腰から抜刀した剣を強化し、ミノタウロスに無謀にも立ち向かう。魔力が上がった事で最初より力強い獄炎を付呪出来た。ミノタウロスは突っ込んでくるエルに向けて拳を振り下ろす。しかしエルはその拳を避けてミノタウロスの腕を駆け上がる。
(俺がミノタウロスに勝ってるものがあるとしたらそれは足だ。絶対に足は止めない。捕まったら最期、握り潰されるだけだ。体格故の小回りも最大限に利用する!)
駆け上がりミノタウロスの背中が見える瞬間に身体を捻り回転斬りを食らわせてからミノタウロスにカウンターを食らわない様に直ぐに跳ぶ。エルはこの攻撃でミノタウロスの身体がどれ程硬いかを調べる目的もあった。深く斬る事は出来ずとも軽く血を流させるくらいは可能だと思っていた。しかしその読みは甘かった。エルの剣はミノタウロスに傷1つつける事も叶わなかった。体勢を整えてミノタウロスを化け物を見る様な目で見つめる。
(まじか、かすり傷程度としか言えねぇじゃねぇか。これじゃ全身に斬り込みを入れても大したダメージにならねぇな)
これでは普通に攻撃しても時間の無駄だった。だとすれば有効的な関節、そしてどんな生物だろうと鍛える事が出来ない目玉だけだった。
エルは兎に角走る。ミノタウロスに的を絞らせない為に。敵の攻撃を躱しながら反撃の機会を伺う。幸いな事にミノタウロスは格下であるエルに対してなんの警戒もしていない。だからこそ攻撃が大雑把である。エルはミノタウロスのダブルスレッジハンマー(指を組んだ両手で頭上から相手の脳天目掛けて振り下ろす技)を下がるのではなく、逆に股へ跳んで避ける。そして通り過ぎ様に左膝裏を斬りつける。するとミノタウロスは膝をつく。
「ブモオオ⁈」
「良し!予想通り膝裏は周りと比べて柔らかい!」
関節の曲がる側は曲げ伸ばししなければいけない。その時、筋肉が伸縮しやすくする為に柔らかくなければいけない。顔は牛でも身体は人。モンスターだろうと人と身体の構造が同じだ。
ミノタウロスは膝裏が斬られた挙句、火傷のおまけ付きに何度も獄炎を消そうとする。しかし中々消えない。魔力が増えた事で火傷効果も上昇している。するとミノタウロスは膝裏の燃えてる箇所の肉を抉り取ったのだ。モンスターならではの判断だろう。人で同じ状況に陥った時、直ぐ様この対応を取れるとは到底思えない。
「流石モンスターって言ったところだな」
しかし、これで奴は左足は思う様に動かせない。だからといって安心する事は出来ない。一撃でも食らったら終わりという状況は変わっていないのだ。しかもミノタウロスはダメージを食らった事で警戒してくる。これまで以上に慎重に攻める。
(カウンターに注意しないとな)
「ブモオオオオオオオオ!」
「何⁈」
ミノタウロスはダメージなどお構い無しにエルに突っ込む。膝をついた状態から右脚で地面を思いっきり蹴ったのだ。エルは咄嗟に右に避けるがミノタウロスの爪がエルの脇腹を抉る。
「ぐあぁ」
エルの脇腹から大量の血が噴き出る。油断はしてなかった。これまで以上に警戒していた。それでもミノタウロスの攻撃を避けきれなかった。片足であれ程のスピードを出せると警戒していなかった。
(ちくしょう、痛え。ミノタウロスはお前より圧倒的格上なんだぞ!それなのにあれくらいで攻撃を仕掛けるのは無理だって決めつけやがって!)
自分に対して怒る事で気持ちを奮起させる。そしてエルはミノタウロスによってつけられた脇腹の傷目掛けて魔法を放つ。
【
エルは傷口を己の炎で焼いたのだ。あまりの痛さに言葉にならない叫びを上げるが出血を止める事が出来る。
(はぁはぁ、気絶するかと思った。でも以前ジジイから教わった知識がこんなに直ぐに役に立つとはな。感謝するぜ)
そんな事考えてる間にミノタウロスが向かってくる。万全の時よりは僅かに遅いがその分迫力が凄い。傷をつけられた事に相当キレているのだろう。エルはそれに対抗するかの様に向かっていく。そしてミノタウロスの膝裏を傷つけた時と同じように股抜きの為か、僅かに上体が前傾になる。ミノタウロスも同じ手は食わないと股抜きをされない為に下から腕をを振り上げる。しかし、この瞬間、ミノタウロスの目に映ったのは口角が釣り上がったエルの口元だった。エルはミノタウロスの攻撃を読んでいたのか、ミノタウロスの腕を利用して駆け上がり、持ち手の逆側から横一閃で両目を斬りつける。これで両目も奪った、そう思われた。しかしミノタウロスは余っていた左手がエルの刀を両目持ってかれる前に止めたのだ。片目は再起不能になったが、そのお返しと言わんばかりにエルの剣を握り潰した。
エルはミノタウロスの後方で直ぐに受け身を取り、ミノタウロスへと振り向く。ミノタウロスは斬りつけられた右目を抑えている。片目だが目を潰す事に成功したエルだったが状況は最悪。武器を失ったのだ。背中の剣は抜かないと決めているエルは丸腰になってしまったのだ。
エルはミノタウロスが目を抑えているうちに深呼吸して覚悟を決めた。持っている折れた剣を捨て、右手を前に突き出して集中する。
「ミノタウロス。これが俺の最後の攻撃だ。これを耐えたらお前の勝ちだ」
その言葉を本能的に理解したのか、ミノタウロスは振り向くとミノタウロス特有の突進の準備をする。エルも己の魔力を最大限に高める。お互いが貯め切った瞬間、最後の攻撃が繰り出される。
「ブモオオオオオオオオオオオオ!!!」
【
ミノタウロスの突進とエルの全力の獄炎の衝撃で煙が辺りを包み込む。煙が晴れて映っていたのは壁にめり込んだエルと雄叫びを上げる隻眼のミノタウロスの姿だった。
ご愛読ありがとうございました!
エル、初めての敗北。これがエルに今後どのような成長をもたらすのか楽しみにしていて下さい。
そして次回はとうとうヒロイン候補の1人であるアイズの登場です!
では次回もお楽しみに!またね
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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