魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜   作:やってられないんだぜい

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 皆さん元気にしてますでしょうか?

 オリンピック、とうとう野球が始まりましたね。初戦はなんとか勝ちました。ても不安に残る試合でしたね。あの戦いを続けてる様では優勝は厳しいと思ってしまいました。日本の野球をもう一度思い出して欲しいです。

 では本編どうぞ!


ヘスティアは良い女

 「負けた……俺は負けた」

 

 エルは呟きながら帰路を歩く。それは真実を受け止めきれないのか、それとも、繰り返し言葉に出す事で真実を受け止め、その上で悔しさを噛み締めているのか、それは本人しか分からない。どちらにせよ、彼の心は悔しさでいっぱいだと言う事だ。それこそ、悔しさのあまり今にも泣き崩れそうな程。レベル1の、それも冒険者になって2週間という駆け出しの少年がミノタウロスに負けて。

 

 (なんで俺はあの時油断した。片足傷付けただけで動けないなんて思い上がった。相手はモンスターだぞ。人間なんか目じゃない程の耐久力に生命力。それに奴に傷付けたのは奴の皮膚すらまともに斬れない俺だぞ。いくら筋肉の薄い膝裏だからってモンスターなら万全とまでは行かなくても動ける程に回復出来る。それにそれに分かってたじゃないか。筋肉が比じゃないって。小回りは苦手でもあの筋肉から繰り出される直線は速いに決まってる筈。今回の負けは完全な力負けだけでは無い。勝敗は分からないが常に相手の次の行動を読み、一瞬の油断もしなければもっと戦えていた。少なくとも脇腹の傷はなかったな。結局、俺は舐めてたんだ、モンスターを。これまでウォーシャドー戦以外まともに攻撃を受けなかった事で。そのウォーシャドー戦でも全く手に負えない感じじゃなかった。あのリーチと戦った事無かった故の経験値不足。それも2戦目以降は瞬殺。上手く行き過ぎていたんだ。だから心に隙を作った。心身ともに俺は負けたんだ)

 

 「クソッ!」

 

 普通ここまで自分を追い込めるか?普通なら戦った事が間違いだったとか、生きていただけで奇跡などと大した振り返りをしない。何故なら相手が相手だから。相手はレベル2で倒す様なモンスターである。その相手に負けてここまで悔しがれる。それは一種の才能では無いのか。言葉で悔しいと言うのは簡単だ。だが心の底から悔しがる。するとどうなる?その者にはその先には2つの道が指し示される。諦めるか、成長するかだ。その成長は言葉だけの薄っぺらい悔しいと言った者とは天と地程の差を広げてくれる。

 

 

 

 「ねぇ、ミィシャ。あの子大丈夫なの?」

 「大丈夫でしょ。傷はしっかり手当てされてたし、普通に歩けてたし」

 

 エルの帰りを見届けたミィシャはエイナに声をかけられていた。本来なら気絶する程の大怪我をした人ならば、手当てしたとしても様子見の為に医療ファミリアに連れてくのがマニュアルなのだが、怪我してたらしいが手当てがしっかりしていて傷が残っていない事、目眩などが無く体調もしっかりしていた事、本人も望んでいなかった事から大丈夫だと判断したのだ。しかし、エイナが心配したのはその事では無かった。

 

 「そうじゃなくて、彼のメンタル面って事」

 「メンタル面?」

 「ほら、気絶して助けられる程モンスターにやられたら恐怖心でもう戦えない人とか出てくるじゃない。子供なんか特によ。メンタルケアしといた方がいいんじゃない?」

 

 即座に冒険者のメンタルケアを考えるなんて流石人気アドバイザーだ。そう言う気遣いが出来るところが人気になる秘訣なのだろう。だがそれは万人受けの人気だ。言うならばマニュアル人間。個人個人に対する対応する臨機応変さは持ち合わせていなかった。その点ミィシャは違った。雑故にマニュアルを完全に把握していない。しかし、だからこそその人に合った対応をする事が出来るのだ。

 

 「そうかな、あの子は逆に慰めたりしたら心に来るタイプだと私は思うな。それに……」

 

 問題なのはそこじゃない、そう思うミィシャ。帰り際エルの顔。恐怖心を抱いている顔では無かった。強敵と出会う事で楽しんでいる戦闘狂の顔でもない。自分を責めている顔のそれと同じだった。

 

 (思い詰め過ぎて今以上に無茶しなきゃいいけど)

 

 

 

 「ただいま帰りました」

 「お帰りってどうしたんだいエル君。そんなに不機嫌そうにしちゃって」

 「なんでもないです。ただダンジョンで悔しい思いしただけです」

 「そう?まぁお腹すいたろ?ジャガ丸君いっぱい貰ったから食べようぜ!話はそれからさ。まぁ話したくないなら無理に聞かないさ」

 「ヘスティア様……ありがとうございます」

 

 ヘスティアはエルの口から悔しいという言葉を聞くと、自分からは触れない方法を取った。エルと出会ってから2週間で、日中はダンジョンに潜っているので、常に一緒にいる訳で無い。それでもエルアコスという人物がどう言う人物かなんとなく分かったつもりだ。

 

 彼を一言で表すならばストイックだろう。彼は自らを常に追い込もうとしている。神の恩恵があるこの世の中では、例え強敵と戦わなくても通常の経験値が得られ効率的に強くなれる。しかし、彼は恩恵を有効活用していない。初日からウォーシャドーと戦ったのが良い例だ。彼の戦い方は多くの人には理解されないだろう。『何故わざわざ死ぬ可能性がある戦いをするのか?』そう思うのが普通の人の考えだろう。しかし、強敵と戦う事で得られる数値に現れない本当の経験値を彼は得ているだろう。確かに、彼の戦い方は賢いとは正直なところ言い難い。恩恵を有効活用した方が死ぬ確率は低く、安全に強くなれるだろう。そう意味では遥かに賢いと言える。しかし、その方法で強くなっても所詮は2流止まりだ。彼の目指す真の強者『最強にはなれない』。ウォーシャドーと戦った理由を彼に聞いた時、彼は『最強の冒険者になる為にオラリオに来たので』そう答えた。その道が想像を絶する程険しい事くらいヘスティアにだって分かる。でも彼は真剣だった。大変で危険と分かっていながらそう答えた。その為に今まで努力して来たし、これからも努力し続けると。だからヘスティアは彼の夢を応援しようと決めたのだ。

 

 だが、その想いが強い人に限って、1つの敗北を経験すると、自分を追い込み過ぎてしまう傾向にある。上手く行ってる時は良い。しかし1つの出来事で歯車は狂い出す。その出来事を無理矢理払拭しようとする。つまり無茶に走りだすのだ。しかもストイックな人は負けたのを仕方がないと割り切らない。自分の努力が足りなかったから、経験値が足りないから失敗した自分を責める。それこそ、他人が辞めさせようと考える程に。だが、他人に無理矢理止められるのを酷く嫌うのだ。そして無理にやめさせるとそれに反抗し、更に無茶をしだす。だがその先に成長は無い。待っているのは死だけだ。ならばどうすれば良いか?答えはもしないだ。敢えて何も言わず、静かに支えてあげる。自分のやり方に口を挟まれず、静かに支えてくれる人が居ると冷静になる。自分は1人ではないのだと。これが1番の対処法なのだとヘスティアは思っている。

 

 「それにしても対照的な2人だね」

 「え?」

 

 ヘスティアの言葉にエルは声を漏らす。対照的とはどう言う意味なのかと?

 

 「そのまんまの意味だよ。ベル君はとてもニコニコして帰ってきたんだ。何か良い事があったのかな?まだ僕も知らないんだよ。話したがってるから食事の時に聞こうと思ってるんだけどエル君が聞きたくないなら聞くのは控えるけどどうする?今はそんな気分じゃない?」

 

 あくまで自分の意思を尊重してくれる事にエルは凄く感謝した。彼女のファミリアに入って本当に良かったと。

 

 「そうですね………自分も聞きたいですね。ベルの頑張り具合を聞くと、自分も頑張らなきゃって励みにもなりますし」

 「……そっか!」

 

 ベルが笑顔でダンジョンから帰って来たと言う事は今までは倒せなかったであろう敵を倒した事や、到達階層を更新した事だろうとエルは思った。兄としてそれは大変喜ばしい事だ。弟の頑張りを聞けば今の気持ちも楽になるだろう、そう思った。弟の活躍を聞いて僻む感情を持つ様な器では無いから。しかし、ベルの話によって2人の関係に亀裂が走るとは、この時誰も知らなかったのであった。





 ご愛読ありがとうございました。

 皆さんの周りに思い詰めてしまう人はいませんか?もしいたとしたら、その人に考え方を強要するのは逆効果だと自分は思います。特にそれなりにプライドがある人なら尚更です。だからその場合は静かに支えてあげた方がその人の気分も楽になると思いますよ。

 では次回もお楽しみに。ではまた。

 次回からベルアンチをつける内容になるかも知れません。ご了承下さい

魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい

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