魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
オリジナルがあるので情報にオリ展追加しました。
そして今回ベルがあまりベルらしくありませんがご了承下さい。兄弟がいる事に対するコンプレックス等が絡み合った感じなのでそこのところ、よろしく!
では、本編どうぞ!
「あり得ねぇよ、ベル」
「………」
「だんまりか?…俺とお前は根本的に合わないのかもな。ヘスティア様、先に裏部屋に行ってるから飯食い終わったらステイタス更新お願いします」
「ちょ、ちょっとエル君!」
「………」
エルは怒ってリビングを出て行ってしまった。残されたのは、気まずそうにするヘスティアと、先程からエルに気圧されて何も喋れないベルだった。
確かに2人の絆には、僅かにヒビが入っていた。それは2人が兄弟であるのにも関わらず、似ていない所にあった。まず人柄と性格。ベルは人に好かれるタイプであった。常に誰か(主に女子)と行動していた。性格も好かれるだけあって純粋で素直。笑顔が可愛いと評判だった。一方エルはあまり交友関係を持たない。全力で遊べないと言うのも理由の1つだが、ベル程エルは笑う子供では無かった。それが、周りとの壁を作ってしまったのだ。性格も冷静で大人びている。この時点で正反対だ。見た目もそう。ベルが白髪なのに対してエルは金と黒。身長も、ベルは160中盤なのに対してエルは130。身体能力等は圧倒的に勝っている為コンプレックスとまではならなかったが、何処か、本当に家族なのかと疑問に思う点は何個もあった。
それでも完全に壊れていた訳では無かった。それは、ベルが良い子だったのが大きいだろう。ベルはいつでもエルを慕っていた。自慢の兄だと。それがとても嬉しかったのだ。似てはいない、もしかしたら血も繋がってないかも知れない。それでも自分はベルの兄なのだと思えていたのだ。殆どの兄は弟を疎ましく思っただろう。母を取られた。弟の方が甘い。弟の方が優遇されている。だが、それでも可愛く思えてしまう、本気で嫌いになれないのが兄という生物なのだ。幼く可愛い顔。小さな手足。成長したら自分の後ろをひっついて歩いてくる。時に疎ましくも思うが、可愛く見えてしまうのが弟というものだ。
それが、何故こうなってしまったのか?それは数10分前に遡る。
「ベル、ただいま」
「ふぁ!ふぉふぁあひふぁふぁふぃ!」
「口に入れたまま話すなよ」
「ゴックン、お帰りなさい」
「ちゃんと噛めよ…」
リビングに並んでいるジャガ丸くんを頬張るベルに帰った事を伝えたエル。
2人は別々に潜っている為、当然帰る時間もバラバラだ。その為【ヘスティア・ファミリア】はヘスティアともう片方が帰った時に合わせて夕食という事にしている。基本的にはベルの方が先に帰り、エルが残してくれた分を食べる形なのだが勘違いしてもらいたくない。エルが帰るのが遅いのは単にエルの体内時計が狂っているだけである。別に本人はベルより遅くまでダンジョンに潜ろうと思ってる訳では無い。2人とも7時くらいに帰るのを目安として、ベルは正確に帰ってるだけである。エルが遅刻してるだけである。
エルはベルの対面に座り、ヘスティアはソファーに腰掛けているベルの横に座った。ジャガ丸くんに手をつけた。そして、早速話を切り出した。
「ベル、ダンジョンで良い事あったんだって?ヘスティア様が笑ってたぜ」
「え⁈」
「一体どんな事が起きたんだよ」
「……わ、笑わないでよ」
「笑わねぇよ」
エルがベルに話を聞こうとするとベルは恥ずかしがる。自分より凄い人に自分の自慢話をしても笑われるだけとでも考えているのだろうか?勿論エルは笑う気等無い。ダンジョンという死が身近にある場所での出来事だ。確かにエルや一流冒険者に比べてインパクトは弱いかも知れない。それでも命懸けで戦っている男をどうして笑う事が出来よう。
ベルはモジモジしながらゆっくりと話始めた。
「じ、実は今日、ダンジョンの5階層まで行けたんだ」
「まじ、凄い進歩じゃねぇか」
「たまたまだよ。運良く下への階段を連続で見つけただけだよ」
「それでもだよ」
「そうさ!1階層で1体倒すだけで帰ったあの頃に比べれば大進歩だよ!」
「うぅ、それはもう良いでしょ!」
ハハハハハハ
【ヘスティア・ファミリア】には笑顔が咲いていた。ここまでは仲の良い家族だった。問題はこの後である。
「それでさ、5階層を探索してたらミノタウロスに遭遇しちゃって」
「ミノタウロスだって⁈ベル君良く生きれられたね⁈」
「ベルも会ったのか?実は俺もなんだ」
「エル君(お兄ちゃん)も⁈」
まさかのミノタウロス関連だったとはエルも驚きである。2人して生き残れたのは奇跡だろう。エルでも勝てなかった相手だ。その相手に生きて帰れただけで大金星であろう。
「必死に逃げたんだけど、壁際まで追い詰められちゃったんだ。もう終わったかと思ったよ。でもその時にミノタウロスが真っ二つになるのが見えたんだ。一瞬、僕の願望が生み出した幻影かと思ったよ。でも現実だったんだ。そして真っ二つになったミノタウロスの向こうに見えたのがティオナ・ヒリュテさんだったんだ!」
ベルの話にエルは頷く。そりゃ自分が手も足も出なかった相手を一撃で葬り去った人だ。痺れるのも無理はない。自分だって悔しいという思いは当然だが、その人の様に、その人を追い抜ける様に強くなりたいと思う。具体的な目標があるのは良い事だ。しかし、ベルはそんな事考えていない。それどころか、確実にエルが嫌う内容だろう。
だが、まずその前にエルはベルに問いたい事があった。
「そのティオナ・ヒリュテって誰だ?」
「「ありゃ⁈」」
エルの問いに2人は昭和漫画の様な転け片をする。
「お兄ちゃんそれ本当に言ってるの⁈」
「え?何か不味かったか?」
「不味かったというか、世間知らずというか」
「良いお兄ちゃん!」
「お、おう」
ベルの勢いに思わずたじろぐ。
「ティオナ・ヒリュテさんはアマゾネスであの【ロキ・ファミリア】の団員なの!」
(俺らを門前払いした所だな)
「しかも【ロキ・ファミリア】の中核を担うレベル5。歳は17歳!二つ名は【
「まじか、17なんて俺と2つしか違わないのにレベル5かよ。負けてられねぇな」
「エル君、ベル君の言いたいのはそういう事じゃないと思うよ」
エルの反応にヘスティアは冷静にツッコむ。
「助けて貰った時の笑顔が凄く可愛くてね。アマゾネスの所為かかなり薄着なんだけどそれと笑顔が噛み合って破壊力がとんでもないの!恥ずかしくて思わず逃げ出しちゃったんだけどあの顔が忘れられないんだ」
ベルはそう言って真っ赤になっている顔を手で覆った。あまりに初々しく、同じファミリア同士とは言え、堂々と暴露しているベルにヘスティアは自分事の様に恥ずかしくなった。しかし、この場でエルだけが反応が違った。ベルの話についていけてないのだ。エルにとっては予想外の展開に移行した為である。
「ん?え?………え?」
「「どうしたのエル君(お兄ちゃん)?」
「お前はなんの話をしてるんだ?」
「何ってティオナ・ヒリュテさんが可愛いって話だけど?」
「ミノタウロスの話じゃなくて?」
「え、ミノタウロス?…確かに怖かったけど生き残れて良かったよ。それよりもさ……」
ミノタウロスという単語に一瞬の動揺が見えたが、悔しさの感情が全く感じ取れない。それどころか思い出したくないという感情が見て取れる。だがエルは信じきれない。信じたく無いと言うのが本心だろう。なんだかんだ英雄に憧れて育ってきたベルだ。英雄になりたいと小さな頃から毎日の様に言っていた奴が、敵に負けたのにヘラヘラと、それよりも女の方が気になる軟派者と思いたくなかったのだ。
「なぁ、ベル。ミノタウロスに負けて悔しいとか思わなかったのか?」
「うーん、悔しいって思いは無かったかな。だってそもそも冒険者になりたての僕が倒せる相手じゃ無いし」
「一度もか?」
「うん」
「全く?」
「全く。それにお兄ちゃんも対峙して分かったでしょ。勝てる相手じゃないって」
「………」
「……エル君?……ねぇ、ベル君もこの話はここまでにしよ」
「え、神様。僕の意見って間違ってます?ミノタウロスってレベル1で勝てる相手じゃないでしょ」
「分かったから、、」
「それとも神様は僕にミノタウロスと戦えって言ってるんですか?お兄ちゃんより弱い僕が?僕死にかけたんですよ!それなのにまた戦えって言うんですか⁈」
「そ、そう言う訳じゃないけど」
ベルはかなりヒートアップしてる様子だった。彼だって彼なりの恐怖体験をしたのだ。ベルにとって、エルの質問とヘスティアの対応が気に触ったのだろう。恐怖について馬鹿にされた様に感じたのだろう。ベルの矛先は話題を振って黙っているエルではなく、場を収めようとしているヘスティアに向いていた。
「そもそも神様はダンジョンで戦った事も無いのに、死にかけた事も無いのに僕の気持ちなんか分からないでしょ!」
「………ベル、少し黙れ」
エルが口を開く。ベルは既に興奮して涙も出ている。怒るのも、恐怖するのも初めての体験なだけに歯止めが効かなくなっている。
「最初から凄かったお兄ちゃんに僕の気持ちなんか分からないよ!」
「黙れって言ってるのが聞こえ無いのか?」
「ヒッ⁈」ビクッ
エルのドスの効いた声にビビるベル。しかし、ベルがビビったのは何もそれだけでは無い。ベルが今までに見た事の無いエルだったのだ。普段はエメラルド色の目が漆黒に染まり、右目の上側には黒い渦巻きの紋章が浮かび上がっていた。そしてとても禍々しい。それこそ人生で1番の恐怖であるミノタウロスが可愛く思えてしまう。
「お前な、自分が弱いからってヘスティア様に当たってんじゃねぇよ。お前が弱いのはお前の所為だろ。そもそもヘスティア様がダンジョンに潜れる訳無いだろ」
「だ「黙れって言ったろ?」…」
「お前が弱いのは当たり前だろ。なんせお前は努力をしなかったんだからな。小さい頃からお前は遊んでいただけだろ。別に遊ぶのが悪いとは思わない。子供は遊ぶのが仕事とも言うしな。だが、遊んでいただけのお前と必死に修行していた俺が同じ訳ねぇだろうが!」
「」ビクッ ポタポタ
エルのあまりの怖さにベルの涙の量が増す。
「それに覚悟も違う。お前はミノタウロスに襲われて死にかけたと言ったな。実は俺もミノタウロスと遭って死にかけたよ。戦ってな」
「⁈」
「え⁈エル君ミノタウロスと戦ったのかい⁈」
「ああ」
確かに悔しい思いをしたとは聞いていたがまさかミノタウロスとは思いもしなかった。
「勿論負けたぜ。まず剣がまともに通らねぇ。それに防御しても圧倒的力量差で意味をなさないだろう。そんな奴の攻撃を俺は脇腹に食らった。勿論肉は抉れ、血は吹き出したさ。魔法で傷を焼いて止血したがな。でも直ぐに止血したと言っても本来大量出血死ぬ程の怪我さ。普段通りの動きは出来ねえ。それでも頭を駆使して片目を奪ってやった。でも結局はミノタウロスの突進をモロに食らってお陀仏さ。気絶してる所を助けて貰った見たいだけど即死してないのが不思議なくらいだよ」
「全く、君は本当に無茶苦茶だな。主神泣かせも良いとこだよ」
「すいませんね。これが俺なんで」
「それで助けて貰った人の所属ファミリアは聞いたのかい?」
「……あ」
「全く。ミノタウロスに負けた悔しさで恩人の名前を聞くのも忘れたのか君は?レベル1で冒険者になって2週間の子がミノタウロスに負けてそこまで悔しがるのはきっと君だけだよ」
「はは、ありがとうございます?」
「褒めてないよ!たく、明日ギルドで聞いとくんだよ」
「分かってます」
2人の会話を聞きながらベルは思い知らされた。自分がどれだけ甘いのかを。実力だけの問題では無い。強くなるという意思が違いすぎる。
「だからな、ベル。格上と出会った時、逃げるなとは言わない。だが、負けたのにヘラヘラすんな。女に興味あるのは思春期ならしょうがない。だが惨めな姿を晒しといてヘラヘラすんじゃねぇ。そんなのあり得ねぇんだよ。そうしている限り、お前は強くなれねぇ。一生弱いまんまだ。確かに、俺は最初からお前より強かったかも知れねえ。だがここまで差を開いたのはお前だ。お前の気持ちだ。ここまで言って分からないってんなら、俺とお前は根本的に合わないんだろうな」
「……」
「今日はもう止めだ。お前が今何言っても説得力がねぇからな。ヘスティア様、俺先に裏部屋言ってるんで。食べ終わってからで良いんでステイタス更新お願いします」
「ちょ、ちょっとエル君!」
ご愛読ありがとうございました!
なんか書いてるうちにベルがシンジ君に見えてきたよ。まだこの頃のベルって覚悟が全然無かったからこう言う展開にしました。
次回はエルのステイタスですね。では次回もお楽しみに!またね
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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