魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜   作:やってられないんだぜい

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 皆さん元気にしてますでしょうか?
 
 野球ファンのみんな!とうとう甲子園が開始しましたね。ても小園も森木も畔柳も達も出てこない。なんか微妙になっちゃいましたけど応援しようね!

 では本編どうぞ!


豊饒の女主人
男は欲に忠実なのだ


 翌日、エルは普段より少し遅めの7時に起床した。きっと昨日のミノタウロスとのダメージがまだ残っていたのだろう。既にヘスティアは起きていた。ベルはヘスティアが起きる前からダンジョンへ出かけたと言う。

 

 「昨日、色々あったのに今日もダンジョン行くなんてな。もしかしてヘスティア様があいつになんか言ってやったんですか?」

 「そんなに大した事は言ってないよ。どういう冒険者人生を歩みたいか説いてあげただけさ。楽で楽しい道か、険しく辛い道のどちらを行くかをね」

 「ふーん。それであいつはなんて答えたんですか?」

 「昨日のうちはなんとも。多分まだ決まって無いと思うよ。でもベル君はまだ若いんだから、いっぱい悩んでからでも遅くは無いんじゃないかな?勿論君もだよ」

 「……ま、それもそうですね」

 

 ヘスティアの言葉にエルは納得する。悩む時間は若者の特権と言っても良い。悩むだけ悩んで、自分が納得する道を決めれば良い。

 

 「それじゃ行ってきます」

 「待って!」

 

 朝食も終えてエルは早速ダンジョンへ行く前にギルドへ向かおうとする。それは自分を助けてくれた人は誰か知りたかったからだ。ダンジョン探索を終えてからでも良いのだが、探索に夢中になって聞く事を忘れない内に聞いておきたいのだ。しかし、ヘスティアがそんな彼を止める。ミノタウロスに負けた翌日だから気合い入れて家を飛び出そうとした彼は、出鼻を挫かれてややテンションが下がる

 

 「なんですかヘスティア様」

 「何って、忘れた訳じゃ無いよね?バ・イ・ト♡」

 

 ヘスティアはとても良い笑顔でそう言った。この流れ。ウォーシャドーの時と同じだ。ミノタウロスと戦って死にかけるという愚行を犯した罰。それに対しての罰を受けさせられる、そう思われた。

 

 「って言うのは冗談だけどね」

 「え?冗談なんですか?」

 「うん。まぁ気負い過ぎて今度は自らミノタウロスのいる15階層辺りまで潜ろうとしてたら落ち着かせる意味でさせる気だったけどね。軽い気分転換でね。でも今の君を見たら大丈夫かなって。それとも僕と一緒にバイトでもしたかったのかなぁ?」

 「ダンジョン行ってきます!」

 「行ってらっしゃい!気を付けてねぇ!」

 

 バイトさせられるのが苦痛で仕方がないエルは大声で家を飛び出す。ヘスティアはそんなエルを笑顔で見送ってから自分のバイト支度を始めた。

 

 

 

 

 (今日は何処まで降りようかな)

 

 そんな事を考えながら歩いていると、突如背筋に悪寒が走る。今まで経験した事が無い気色悪い悪寒が。エルはその者がいる方角に振り返り、剣に手を添えていつでも最速の抜剣を出来るよう身構えた。

 

 (なんだ今のは⁈心の底を覗かれる様な胸糞悪い感じは⁈誰だ⁈場所は…………バベルか?)

 

 そう言ってバベルの塔を見上げる。距離が遠く、ハッキリと見えないがこちらを窓から見ている者が1人。

 

 「誰だ?」

 

 エルはその者に対して睨み、小さく呟く。

 

 「……あのぉ」

 「…………」

 「あの、大丈夫ですか?」

 「ん?え?何ですか?」

 

 バベルの者に意識を集中させていた際で、後ろから自分に声を掛けてくる女性に気付くのに僅かなラグが発生する。エルは瞬時に前方にステップしてから反転して女性を見る。声を掛けて来たのは女性というより少女。薄鈍色の髪をしたヒューマンだった。それも若葉色のジャンパースカートにサロンエプロンを着た、紛う事なき美少女。

 

 「あ、あの……」

 「何ですか?」

 「とりあえず、その、剣を構えるのを……止めてくれないかな?」

 「え、あ!」

 

 そう言われて自分が未だに抜刀の姿勢を保っている事に気付く。エルは慌てて姿勢を正し、即座に謝った。

 

 「すいませんでした!」

 「ええっと、何かあったの?こんな所で剣を構えてるなんて」

 「それは、その……イメージトレーニングと言いますか……」

 

 『見られていたから』とはとても言えない。そんな事言ったら見られただけで剣を構えるヤバい奴のレッテル貼られる事間違い無しだろう。彼女は『そうなんですか?』と首を傾げる。イマイチ理解出来ていない様だ。すると思い出したかの様に魔石を渡して来た。

 

 「これ落としたよ」

 「………目的は何ですか?」

 「え?」

 

 魔石の換金を忘れる事などそんなヘマはしない。もし、したとしても帰った後に気付く筈だ。机に袋を置いた際の音で。それに彼女は今、拾ったでは無く、落としたと言った。だが、魔石が地面に落ちる音が全く聞こえていない。よって、彼女が何かしたらの目的で魔石を渡して来たのは明らかだった。

 

 「俺が抜剣の構えをしてる以外にも何か用があるから話しかけて来たんですよね?」

 「何を言ってるのかな?私は君が落としたのを親切に…………はぁ、バレちゃったか。さっきは平気だったのになぁ」テヘッ

 

 彼女は最初こそ嘘を貫こうとしたがエルの目を見て騙せそうにない事を悟り、舌を出して可愛らしく笑った。自分の演技が見破られた事に多少残念がっている。普通に考えたら直ぐに分かりそう事だが、これに引っかかった奴はアホだなと思った。だが、それ以上にエルが彼女の話し方を見て思った事。

 

 (明らかに子供と思われてるよなぁ)

 

 彼女の服装から何処かの飲食店などで働いてるのは間違いないだろう。私服がこれだとしたら中々の趣味をしている。しかも見た感じ不良定員にも見えない。お客にはしっかり丁寧口調で話しそうなのに、明らかに子供と話している様な態度だ。まぁ見た目がおさないのは重々承知している事なのでとやかく言うつもりは無い。

 

 「それで、目的はなんですか?」

 「そんな警戒して欲しくないなぁ。私ね、あそこの酒場でウエイトレスしてるの。ちょっと高いけど料理は美味しいし、賑やかだから良かったら来て欲しいなって」

 「⁈美味しい…ですか?」

 「うん、美味しいよ。結構評判良いから聞けば本当だって分かると思うよ」

 

 美味しいという単語に耳を傾ける。食事は好きだ。いっぱい食べてお腹いっぱいになる感覚は堪らない。幸福に満たされた気分になる。オラリオに来てからはほぼ毎日3食ジャガ丸くんの様な生活だからとても惹かれた。別にジャガ丸くんが美味しくないとは言ってない。しかしそれだけと言うのはなんとも味気ないものだ。

 

 「……機会があったら伺います」

 「やった!」

 

 結局エルは食事に釣られてしまった。これでは引っかかった奴と同レベルかも知れない。

 

 「では失礼します」

 「きっと来てね。あ、私の名前はシル・フローヴァ。シルって呼んでね」

 「分かりましたシルさん」

 

 エルはそう言ってギルドへ向かった。そんな彼の後ろ姿を見送りながらシルは微笑む。

 

 「フフ、可愛い♡」

 

 

 

 

 

 「いいわぁ、今日はとても爽やかな気分。朝からこんなに良い事があったんですもの」

 

 バベルの37階に住む【フレイヤ・ファミリア】の主神である女神フレイヤは、エルの後ろ姿を見て顔を紅潮させる。彼女は人の魂の色が見える。

 

 さっきの子はとても綺麗だった。透き通っていた。今まで見た事がない純白。何者にも染まっていない。でも、だからこそ何者にもなれる存在。だから目を奪われた。

 

 そして、次に見た少年。それは普通ではあり得ない魂をしていた。最初見た時はなんの変哲もない普通の魂だった。しかしそれは間違いだったと直ぐに気付く。フレイヤが最初に見た魂は唯の見せかけ。本来の彼の魂は、更に後方に聳え立つ羅生門。そこから僅かに漏れ出す禍々しくも純粋で強大な力だったと。しかも羅生門が1つでないと直ぐに分かった。何重にも重ねて閉じ込めた。尚も漏れ出す程の力。その力の底は想像をも絶するだろう。

 

 「あぁ、今すぐにでも貴方が欲しい」

 

 もし羅生門によって封印されている彼本来の力が完全に解放されたら手に入れるのは不可能となるだろう。だからこそ、不完全である今のうちに手に入れたいと思うのはなんら不思議では無いだろう。

 

 「近いうちに会いましょうね。私の伴侶(ボウヤ)

 

 大多数の人は純粋な人物に好感を持てるだろう。可愛い見た目。可愛い仕草。可愛い反応。見ていて癒されるだろう。では、その人物が自らの伴侶となり得るだろうか?否だ。純粋なだけではつまらない。スパイスが足りない。人は白しか存在しない世界で生き続ける事は出来ない。頭が可笑しくなるからだ。唯の純粋さだけでは愛せないと物語っている。ならば人の魅力とはなんなのか。それは内なる悪だ、欲望などに流させる事のない純粋な悪。絶対に揺らがない黒。悪のカリスマに誰もが惹かれる。だが、それだけでも不完全だ。それではただの悪、破壊者だ。ならば答えとは何か。それは白と黒、純粋と悪が存在する状態。純粋は内なる黒に塗り潰される事無く、悪は内なる白に染められる事がない状態こそ究極なのだ。

 

 伴侶とはいわばパートナー、対等なのだ。可愛がるだけでは人形と変わらない。お互いの価値観を持ち、その想いを互いに尊重しながらもぶつけ合う。時には喧嘩する事もあるだろう。何故なら全ての価値観が全く同じ人物など存在しないのだから。十人十色、人の数だけ考えがある、それが当たり前。仮面を被っていればある程度は仲良くなれるだろう。しかし、その関係はいずれ終わる。不満を素直に言えない関係は長くは続かない。だから、喧嘩する事は悪い事では無い。自分の想いを隠さず、素直に言える相手がいる。それは素晴らしい事だ。そうして乗り越えた2人がこの先、何十年と死ぬまで飯を共にするパートナーとなるのだ。それが伴侶というものだ。

 

 だが彼女は知らなかった。彼女が手を出そうとしている少年の悪は、彼女が手に負える代物では無い事を。何でもかんでも魅了の力に頼って我が物としてきた彼女が扱える存在ではない事を。

 

 

 「…………」





 ご愛読ありがとうございました!

 フレイヤに狙われるエル。エルの封印は羅生門で例えました。何重にも重なった羅生門。そこから漏れ出すエルの本来の何千何万分の1の力。その力をフレイヤは手に入れる事ができるのでしょうか!

 そして最後の無言の人物。それは一体誰なのか!

 では次回もお楽しみに!またね!

 ps.高評価してくれても、良いんだぞ♡!

魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい

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