魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜   作:やってられないんだぜい

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 前回までの簡単なあらすじ

 魔神王によってこの地に産まれたエルアコス。しかし我が子の異常な能力に恐怖した魔神王は異世界にエルアコスを放り捨てた。


 では次回どうぞ!


 ー追記ー

 りなりあさん評価ありがとうございます。とても嬉しいです。これからも頑張るので応援よろしくお願いします。


 


捨て子

 

 男神ゼウスは1人で旅をしていた。彼はほんの数ヶ月前までは迷宮都市オラリオで【ヘラ・ファミリア】と並び、世界最強と称された【ゼウス・ファミリア】の主神をしていた。【ゼウス・ファミリア】【ヘラ・ファミリア】その両方とも第一級冒険者が10数人所属しており、それ以下と比べる事すら烏滸がましい程の圧倒的戦力を保有していた。彼等は闇派閥(イヴィルス)へ抑止力ともなっており、英雄と称えられた。

 

 そんな輝かしい彼等のファミリアはある出来事を境にほんの数ヶ月で滅びた。原因はとあるクエストに失敗だった。3大クエスト『黒龍の討伐』、そのクエストで両軍の主力メンバーは皆命を落とした。何年も寝食を共にした仲間だ。人だろうが関係なくゼウスは悲しんだ。しかし、悲しんでいた彼を更なる追い討ちが襲った。襲撃されたのだ。それも闇派閥(イヴィルス)にでは無い。彼等の活躍に嫉妬していたフレイヤとロキ達のファミリアによって。彼等が生き残る為にはオラリオを捨てるしか無かった。ゼウスは自分のファミリアの子供の命懸けの行動によって命からがら生き延びた。しかし合流地点には誰1人として来た者はいなかった。ゼウスは自分を救ってくれた彼等に感謝して歩き出した。

 

 

 約1000年オラリオで暮らしていたゼウスは外の世界についてあまり詳しくない。ポジティブに考えて、これを機に世界を見渡す旅を始めた。

 

 1ヶ月程経った頃だ。新たな村を目指して数日経った頃、赤子が森に捨てられているのを発見した。しかもなんの服も着ておらず、地面に素肌で捨てられていた。ある物といえば、横に置いてある武器1つ。長年オラリオで主神をやって来たゼウスは一眼で分かった。これはとんでもない業物だと。人が作れる代物では無い。それこそ鍛冶神であるヘファイストスが作るレベルだ。武器に心を奪われていたが直ぐに正気に戻った。

 

 「おっと、こうしちゃおれん!」

 

 ゼウスは急いで赤子の口元に顔を近づける。まず生存確認だ。幸い息はしている。まず死んでいなくてホッとする。しかし安心する暇は無い。赤子はいつ体調を崩すか分からない。しかもこんな所に捨てられていたのだ。早く服を着させてミルクを作ってあげなければ、そう思った。しかしゼウスは気付く。彼から伝わる違和感を。

 

 「この赤ん坊……人では無い?」

 

 見た目は何処からどう見ても赤子だ。それもエルフや獣人特有の耳では無く、唯のヒューマン。しかし彼の体から伝わってくる負のオーラ。もはや人と言うよりは魔物に近かった。それも魔物より強大な圧を感じる。しかし魔物では決して無い。魔物はダンジョンで産まれる。そして産まれた瞬間から体が出来上がっており、近くの人に襲いかかる。だから魔物では無い。ある筈が無かった。

 

 「じゃが、これは一体……」

 

 しかし人と呼ぶには余りにも禍々しかった。ゼウスはこの子を助けていいものか迷う。この禍々しさ、もし成長して悪の道に進めば必ず世界の脅威となる。そうなれば現オラリオ最強であるオッタルすら太刀打ち出来なくなる才能を秘めている。

 

 もし違ったら赤子を見殺しにする行為だが、このまま見捨てるのが賢明な判断だろう。可哀想だがこの子はここに捨てておこうとする。その時、赤子の表情が歪む。

 

 「……うぅ、おぎゃあ!おぎゃあ!」

 

 赤子が泣き始めた。その瞬間、ゼウスは反射的に動き、赤子を抱えて走り出した。自分の行為は世界に災いを齎すかも知れない。世界の事を考えるなら、もっと言えば神が取るべき行動では無い。自分でも馬鹿な選択をしたとゼウスは思った。しかし世界を言い訳にして目の前の赤子を見殺しにする様な腐った神でいたくなかった。

 

 ゼウスは次の目的地予定だった村まで全力で走る。

 

 「確かこの先に村があった筈じゃ」

 「おぎゃあ!おぎゃあ!」

 「おお、泣くな。今すぐ暖かい寝床とミルクを与えてやるからな」

 

 ゼウスは息を切らしながら村に辿り着く。何処でもいい、この子が無事安らげる所であれば、そう願い、ゼウスは民家のドアをしきりに叩いた。数秒後、慌てた様子でふくよかな体型をしたおばさんが出た。

 

 「なんなんだい?こんなにドンッドンッ叩いて。ドアが壊れるだろうが」

 「ワシは旅人なんじゃがこの子が温まれる服は無いか!布でもいい!後ミルクも!先程までの森で捨てられてあったんじゃ!いつ死ぬか分からない、緊急を要するのじゃ!金なら払う!どうか頼む!」

 「捨て子⁈わ、分かったわ」

 

 ゼウスは必死になって頭を下げる。おばさんもゼウスの必死さと彼の抱えている赤子が捨て子と聞くと慌てて家の中へ戻る。身体を包める布とミルクをゼウスに急いで提供した。ゼウスは赤子を布で包むと口元に哺乳瓶を持ってく。

 

 「飲む元気があればいいんじゃが」

 

 捨てられてから時間が経った子なら飲む元気すら無くしている子供もいる。もしそうならもう手遅れと言っても良いだろう。ポーションを持ってしても治せない。しかしゼウスの心配は杞憂に終わる。赤子は哺乳瓶が安全な物かを確かめて1口吸うと、目を見開いて勢いよく飲み始めた。余程お腹が空いていたのだろう。

 

 「おお!凄い飲みっぷりじゃ!……これで一安心じゃな。いやー本当に助かったわ。お礼を言わせておくれ、ありがとう。それで金なんじゃがいくらかの?」

 「金ならいいよ。それよりあんた旅人なんだね。どうだい?この子が大きくなるまでこの村に住まないかい?この村は男手がが少なくてね。畑仕事とか大変なんだよ。赤子を連れて旅するのは大変だろう?あんたじーさんの癖に元気良さそうだからな。それで、どうかな?」

 

 おばさんの言う事に納得するゼウス。今までは1人旅だったから自由に出来たが、これからはこの子の世話をしながらする必要がある。赤子の世話をしながら旅をするのはとても大変だ。ならせめてこの子が大きくなるまでは安定した生活をさせてやるべきだと思った。

 

 「分かった。世話になる」

 

 こうしてゼウスは村の世話になった。村の人口は30人程度の小さな村だった。しかし彼女の言う通り男は少なく3人しかいなかった。元から少ない訳では無い。成人した男性は大抵この村を出て行く。理由は、単純に出稼ぎに出たや、オラリオで冒険者になって有名になるといったものだった。だからといってこの村を捨てた訳では無さそうだ。毎月仕送りがあるし、何に数回帰省してくる。

 

 「はぁ…」

 

 思わず溜め息をついてしまう。別に彼女達の話がつまらない訳では無い。思い出してしまうのだ。オラリオでの自分の子供達との思い出を。切り替えたつもりではあったが、オラリオと聞くと顔が強張る。

 

 「だぁあうー?」

 

 その様子を何か感じ取ったのかエルアコスが手を伸ばして来た。エルアコスというのは赤子の名前だ。この子を拾った日、つまりこの村に来たその日に名前が無いのは不便なので名付ける事になった。その時に頭にエルアコスという名前が浮かび上がった。何故この名前が浮かび上がったかは分からない。しかし変に子供のこれからの人生を決めてしまう様な名前を授けるより、直感でつけた方が大成すると思ったゼウスがそのまま赤子にエルアコスと名付けた。

 

 ゼウスが人差し指をエルアコスに差し出すと小さな手を使ってゼウスの指を包み込んだ。それだけでネガティブな思考は吹っ飛んだ。

 

 (ワシはきっといつまでも忘れる事は出来ないだろう。しかしこの子がいれば前を向ける。そう思える。ワシは神じゃがこの子を神からの贈り物として立派に育ててみせる)

 

 

 ゼウスは村で手伝いをしながら暮らしていた。畑仕事と言われたが当然それ以外にも仕事はあった。薪割り、牛の世話など多種多様である。ゼウスは不慣れな為、最初はミスする事もあったが、自分達で食べる食料を自分達で作るというのはとても興味深く、段々と引き込まれるようになっていった。そして半年を過ぎる頃には、この村を離れようとする気持ちも失せていた。

 

 エルアコスはとても元気が良かった。半年を過ぎた頃には立つ事を覚えてあんよもし始めた。そして1番ゼウスが安心したのはエルアコスから感じた禍々しさが見つけたあの日以降感じなくなっていたのだ。実はエルアコスを初めて見つけた時、髪に隠れて見えていなかったが黒い渦の様な紋章があった事。そしてその紋章が数日で消えていた事、その両方を知らなかったゼウスはどうしてか分からなかったが無くなった事は良い事なので深く考える事はしなかった。

 

 因みに1番最初に喋った言葉はババだった。これはあの日にゼウスが尋ねた時に出たふくよかなおばさんの名前だ。現在ババとゼウスとエルアコスの3人で暮らしているのだ。ゼウスが仕事している時はババが内職をしながらエルアコスの世話をしていたのでババの名前を先に覚えてしまった様だ。その事を知ったゼウスは、

 

 「何故じゃぁぁあ!ワシが拾ったのじゃぞ!ワシが親代わりなのじゃ!それなのに可愛い可愛いエルアコスの初めてを奪いよってぇぇえ!」

 

 と号泣して嘆いていたのだった。

 

 

 

 そしてゼウス達がこの村に住んで1年が経った頃、ゼウスは川へ水汲みに出かけた。そこでまた赤子を見つけた。エルアコスの時とは違い、丁寧に赤子が寝れる籠と服。そして手紙が置いてあった。内容は以下の通りである。

 

 『これを読んでくれた方、どうかこの子を育てて下さい。その子の名前はベル・クラネル。訳あって育児を続ける事が出来なくなりました。身勝手な事だと分かっています。それでもどうか、よろしくお願いします』

 

 ゼウスは『捨て子の遭遇率がアップするスキルでも手に入れたのか?』と冗談を溢した。2度目とあって少し余裕があったの後に語る。

 

 

 

 

 




 ご愛読ありがとうございました。

 エルアコスを拾ったゼウス。最初はえるの内なら魔神としてのオーラを危惧したがそれでも見捨てる事は出来なかった。そして翌年にはベルを拾う。

 ベルとゼウスがどう出会ったかとかよく分からないからこうなりました。因みに原作14年前ですけどこっからは原作まで駆け足なので入るまで時間は掛からないと思います。

 では次回もお楽しみに、またね

 

魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい

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