魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
少し間が空きましたね。これからロキファミリアとの抗争とかしている間は更新ペースが遅れるかも知れません。戦闘描写なので内容を練るのが難しいので。
後、アンケートですが29日の日曜日に打ち切らせてもらいます。
では本編どうぞ!
ヤミが闘技場に辿り着いた時は、既に【ロキ・ファミリア】は武器を揃えて、更に防具まで揃えていた。ヤミが手加減してたり、アイズと話してチンタラしている間に彼等は万全の状態へ仕上げていた。酒場にいたメンバーだけでなく、今回はホームで留守番をしていたレベル4.3のメンバーも集まっていた。
そんな彼等を見てもヤミは一切の動揺もしない。雑魚が何人集まろうと変わらないと思っているのだ。彼等が待つ地上へヤミは闇の翼を広げて堂々と降り立つ。地上で待つ彼等を見下ろしながら。月明かりをバックに降り立つその姿は、まるで鉄槌を下さんと舞い降りた堕天使の様だった。
ヤミは抱えているアイズを解放し、自分の居場所へと返す。これは元から決めていた事だ。彼女がこちら側についていたら、事態が収集した後にエルだけでなく、彼女の居場所まで無くなってしまう。それは避けた方が良い。彼女も誰一人として死者を出さずにヤミを倒して、少しでも彼等の刑を軽くする事を目的としている。お互いの目的の一致だ。
「アイズ、大丈夫だったか?」
「うん、私は」
「アイズ!良かったぁ!」
「アイズさん!」
アイズはフィン達の元に戻ると、まず無事だった事を皆から祝福される。それだけ彼女はこのファミリアの中心人物なのだ。しかし、彼等は直ぐにこの場にアイズしか来なかった事に最悪の事態が頭によぎる。中でも1番動揺していたのはティオネだ。妹が残り、そして帰ってきていない。
「ねぇ、アイズ。………ガレスや、ティオナは?」
「闇……彼にやられて寝てる。気絶させられただけで死んではいない」
「あぁ、良かったぁ〜」
ティオネは妹の命が無事である事を知らされ、心の底から安堵する。だが、闇へのの怒りは消えた訳ではない。むしろ逆。気絶させられたと言うことはティオナが傷つけられたと言うこと。その原因は誰がなんと言おうとヤミだ。自分の唯一の肉親を傷つけた罪は重い。ティオネは彼に殺気をぶつける。闇がここに来る前にフィンはみんなに伝えていた。『武器は確かに用意させたが、なるべく生捕が望ましい』と。だが、こうとも言っていた。『君達の命が危機に晒された時、やむを得ない場合は仕方がない』と。つまり殺しても文句は無いと言う事だ。ベートはあんなだが、仲間だ、家族だ。家族が殺されそうになって黙って見てるなんて出来ない。人を殺す事はトラウマで抵抗はあるが、家族が狙われてるなら話は別だ。なんの躊躇も無い。
ヤミも彼女の殺気にはいち早く気付いていた。しかし、気付いた上で無視する。気にも留めない。彼女の殺気など、彼にとって無意味。その程度の殺気では、萎縮などする筈も無い。
(貴様の殺気など、あの男の殺気に比べたら赤子も同然だ)
ヤミが思い出すのはエルや自分が産まれて数分でぶつけられたあの強大な殺気。エルはまだ自我が無く、覚えていないだろうが、自分は産まれた時から意識がハッキリしていて、今でも昨日の様に覚えている。忘れたくても忘れられない恐怖。自分が表に出る事は無かったがエルの中で思い知らされた。『この世の悪の権化が目の前にいる』と。
魔神族の長で、彼らにとって神として恐れられている魔神王。その彼の殺気を、赤子とはいえモロともしないエル。あの男に殺されそうになった時もだ。魔力を行使し、魔神王から身を守ったのだ。産まれたばかりで力の使い方を知らない筈の彼がだ。まるで力の方が自ら宿主を助けたかの様に。そんな時でもエルの笑顔は止まなかった。魔神王が悪の権化だとしたら、この赤ん坊は才能の権化だった。だが、その才能故に彼は世界を追放された。実の父親に。魔神王の望んだ力を持って生まれたのに、仮初の愛情すら貰えなかったのだ。エルが魔神王から受けたの殺気と畏怖。
そんな彼が異世界に飛ばされて待っていたのは孤独。友がいない。自分と対等の存在がいない。それはそうだ。現在、この世界に存在する唯一の生物なのだから。信じられるか?自分はこの世の誰とも同じではないのだと。家族だと思っていたベルも、血が繋がっていないどころか、生物そのものが違うのだと。例えるなら、オラウータンやチンパンジーしか存在しない世界に1人存在する人間といったところだろう。エルは本当の意味で孤独なのだ。
そんなエルだからこそ、ヤミは彼の精神を乗っ取らずに、陰ながら支えていこうと決めたのだ。彼に少しでも幸せになって欲しいから。そんなエルをベートは馬鹿にした。まだ幼いエルの精神を破壊しようとしたのだ。彼の本当の力も知らない癖に。当然、許せるものではない。アイズには、エルが暴走したからしょうがないといったが、正確ではない。半分正解で半分は嘘と言ったところだ。確かに暴走した闇は目的を果たすか、戦闘不能に陥るまで止まる事は出来ない。だが、ヤミがベートを殺すのは暴走の目的だけではない。自分自身がベートを殺さないと気が済まないからだ。誰に止められようと、この体が動く限りはベートを何処までも追いかけて殺す。そう決めたのだ。
「アイズ、はい」
「うん、ありがとう」
アイズはティオネから愛剣デスペレートを受け取り、ヤミへと向き直る。フィンは既に体調は万全まで回復している。ヤミと戦うには、アルコールが抜けきっていない中途半端な状態では足手まといになる。ガレスからは指揮として必要だと言われたが、それだけでは駄目だ。ヤミに対抗するには少しでも戦力は多い方が良い。ガレスが居ない今、レベル6の自分は必ず戦力として必要になる。
だからフィンは禁忌の方法でアルコールを抜き取り、体調も戻したのだ。
(以降下品な言葉が出るのでご注意を。特に食事中の方)
フィンがやった方法はこうだ。まず水を買い、その水を一気飲みする。そうする事でアルコールを薄める事が出来る。飲み過ぎで気持ち悪くなる限界が来たら、迷わず全て吐く!『豊饒の女主人』食べた料理も、酒も、水も、全てを吐き出す。それを繰り返すのだ。そうする事でアルコールはどんどん薄まり、出すもんも出たので気持ち悪さも軽減される。因みに同じ方法を男勢は全員行った。お陰でベートも回復した。女性陣はそもそも体重を意識してか大した飲み食いをせず、会話で盛り上がっていた為、する必要は無かった。
これを禁忌の方法と言ったのは料理を粗末にする事だからだ。食材を粗末にする事はどの世界でも共通認識だ。特に、料理を作ってくれたのはミアだ。彼女は料理を粗末にすると今までに無いくらいに怒る。例えこの戦いを終えて無事だったとしても、自分達がした行いが彼女の耳に届けば全員タダでは済まないだろう。
「でも、この戦いを凌げなきゃ明日はないからね」
「フィン、何か言った?」
「ううん、なんでもない」
全てはこの戦いに勝ってからだ。この戦いが無事終わったら彼女に怒られにいこう。
「総員!これはダンジョン攻略ではない!よって、君達が命を落とす事は許されない!達の命を賭けるのはどこか!ダンジョンだ!こんな所で尽きて良いものではない!全員で無事ホームに帰還するのだ!」
「「「「「「「「「「おおおお!」」」」」」」」」」
フィンの言葉で【ロキ・ファミリア】の士気が高まる。一連のやり取りが終わると闇がとうとう口を開く。
「覚悟は決まったか?」
「なんだ、案外優しいんだね。わざわざ待ってくれるなんて」
「俺が貴様ら如きに不意打ちを仕掛けるとでも?命懸けでかかって来い。諦めた時がお前らの最期だ」
「弓矢部隊!放てぇ!」
フィンに指示によって【ロキ・ファミリア】とヤミの全面戦争のゴングが鳴った。
「フィン、みんな、無事でいてくれ」
ロキも、【ロキ・ファミリア】のホーム『黄昏の館』に戻って固唾を呑んで彼等の帰還と、全員無事の報告を待った。
一方その頃、『豊饒の女主人』では、シルが携帯通信機。通称『ケータイ』を持って何処かに電話をかけていた。ケータイは世界中のどこにいても、連絡先が登録されていれば通信する事が可能だ。しかし、とても複雑な設計に、入手困難な魔石を使用しているため、1台数百万から、数千万ヴァリスの値段が付くため、中々普及されていない。そんな高価な物で彼女は何処に電話をかけているのだろうか。
「はい………はい。今こう言う事があったので一応ご連絡させて頂ました」
『そう、彼等の目的地は分かる?』
「闘技場の使用許可をと言っていたので恐らくそこかと」
『分かったわ。とても貴重な報告ありがとうね。いつも言ってるけどその堅苦しい喋り方どうにかならないかしら?』
「いえ、そんな事恐れ多いです。これ程良くしてもらっておいて礼儀は忘れたくありません」
『あらそう、残念ね。それじゃまた何かあったら連絡頂戴』
「分かりました。それでは失礼します。お母様」
そう言ってシルは電話を切る。
「う、うーん。……あれ?僕は一体」
それとほぼ同時に、初めに闇の回転によって生じた突風に吹っ飛ばされて気絶していたヘスティアが目を覚ます。彼女は何があったのか記憶を探って、今とても大変な状況になっている事に気が付いた。
「そうだ!エル君は⁈エル君は何処にいったんだい⁈」
「ヘスティア様!落ち着いて下さい」
「ウエイトレス君!エル君は!エル君を知らないかい!エル君は無事なのかい⁈」
ヘスティアは気が動転しているようでシルに掴みかかる。そんなヘスティアをシルが必死に落ち着かせる。
「ヘスティア様!落ち着いて下さい。エルさんの場所は分かりますから!」
「それは本当かい!それは何処なんだい!」
「……場所を教えてどうする気ですか?」
「……なんだって?」
「エルさんは現在、【ロキ・ファミリア】のベートさんを殺そうとしています。そんな彼を止める為、或いは始末する為に【ロキ・ファミリア】は全武装を整えようとしていました」
「そ、そんな」
ヘスティアは膝から崩れ落ちる。自分が最も恐れていた事態が起きたのだ。いくら才能溢れる彼でも、1人で【ロキ・ファミリア】に勝てる訳が無い。それどころか数いる第一級冒険者の1人に捻り潰されるだろう。ヤミの実力を知らないヘスティアはそんな事を思っていた。
「僕は無力だ。その場にいたのにエル君の暴走を防ぐ事も出来ない。なんて惨めな神様なんだ」
「ヘスティア様……」
ヘスティアは両手を地面についてポロポロと涙を流す。自分の不甲斐なさを嘆いていた。だが、ものの数分でヘスティアは立ち上がると涙を拭いて店を飛び出す。シルはその彼女の背中を追った。
「ヘスティア様!どちらは行かれるのですか⁈」
「エル君の所さ!」
「場所を知っているのですか⁈」
「そうだった⁈エル君の居場所を教えてくれ!」
一周回って振り出しに戻った。それでもシルは同じ質問を問いかける。
「知ってどうするのですか?ヘスティアが行った所で戦いを治める力は無いですよね」
「出来る出来ないで行動してないんだよ僕は!」
ヘスティアはそう断言した。
「行動しなきゃ始まらないんだよ!エル君は今、暴走して周りが見えてないんだ!そんな彼を僕が守らなくて誰が守るって言うんだ!」
「⁈」
「確かに僕は事態を治める力は無いよ。でも、だからって見捨てる事なんて出来ないよ!僕は彼を支えるって決めたんだよ!分かったら彼の居場所を教えるんだ!」
ヘスティアは必死だった。今この瞬間にも彼が殺されてしまうかもしれない。どれだけ借金を背負ったっていい。どれだけ頭を下げたっていい。エルを死なせない。それが彼の主神となった自分の最低限の責務だ。
そんな彼女の気迫に押されてシルは彼の居場所を吐く。
「…エルさんは闘技場へ行きました。ベートさんを追って」
「ありがとうウエイトレス君。それじゃあね」
「ヘスティア様!」
「ん?」
「気をつけて下さい」
「うん」
「後、エルさんを助けてあげて下さい」
「うん」
シルはヘスティアに頭を下げた。自分には無かった覚悟。誰かを助ける為に自分の身を張るその覚悟に敬意を評して。
「頑張って下さい」
その頃とある場所では、たくさんの人が集められていた。とある女神によって。
「準備はいいかしら?」
「はい」
「それじゃ、久々に夜の散歩でもしましょ」
ご愛読ありがとうございました。
とうとう全面戦争が始まりましたね。本格的には入ってませんが。それにしてもコメントで言われましたが豊饒の女主人に来てロキファミリアと全面戦争するなんて展開やばく無いですか?飛ばしすぎでしょ。
てかかなり長いですね。豊饒の女主人の所って原作だと1/3程度なんですよ。それで24話ってね。しかもまだ続くからな。これ完結まで何話必要なんだろう。
ま、たくさん時間かかると思いますが、それでも頑張るので応援よろしくお願いします!ではまたね
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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