魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
あれマジで大変ですね。かなり辛いです。副作用であれならコロナかかったらと思うと怖いです。皆さんも気をつけて下さいね。
では本編どうぞ!
「弓矢部隊!放て!」
戦いの火蓋が切って落とされた。仲間の命を守る為、自らの半身の名誉を守る為、互いの想いを胸に戦闘は開始した。フィンの指示によって放たれた何十本という矢がヤミに襲いかかる。しかし、何も焦ることはない。ヤミは冷静に闇で葉っぱの傘を作り、頭上から降り注ぐ矢をガードする。
「あの黒いのは厄介だな」
フィンは闇のガードを見て悪態つく。今のところ闇の分かっている能力は、闇の姿形は変幻自在である事、そしてベートやティオネ、ティオナの体術を喰らっても、びくともしない防御力だ。だが、策はある。まず1つ、こちらは店の時とは違い、武器を使用している事。同じ打撃系でも武器を用いるか生身では大きく違う。それに、近接戦闘系の団員の武器の主流は剣だ。打撃ではなく斬撃。打撃に強い事は証明されたが、斬撃になるとどう変わるかが見ものだ。
もう1つは、ヤミが闇の変形の能力を制御しきれていない事だ。これはとても重要。もし完全に扱えるのだとしたらアイズ達3人が攻撃を仕掛けた時にアイズの攻撃だけ通るなんて事は起きない。全て防がれていた筈。あの時、壁から戻ってきた奴は言っていた。『闇を操作するのは初めてだ』と。ならば戦法は決まっている。『短期決戦』だ。長年で制御出来ていないなら急には成長する可能性は皆無。しかし、初めてなら別だ。完全に制御するまで掛かる時間は未知数だ。もし完全に制御に出来たらますますこちらの勝機は薄まる。
「リヴェリアとレフィーヤは魔力を一撃に込めろ!他のエルフは陽動を頼む!弓や魔法で敵の注意を引くんだ!」
「「「「「「ハイッ!!!」」」」」」
「盾部隊は奴の攻撃からエルフ達を守れ!」
「「「「「「「ハイ!!!」」」」」」
「僕達も行くぞ!」
フィンの言葉にアイズ達が彼に続いてヤミに向かっていく。直ぐにその集団から抜け出す者がいた。
「死に晒せ!!」
ベートである。彼にとって、これはただの戦いでは無く、誇りを取り戻す為のリベンジマッチだ。一生の不覚。自慢の脚力から繰り出す蹴りは容易く塞がれ、頭を踏みつけられ、地面に頭を垂れた格好となった。奴が大して力を入れてない事は直ぐに分かった。更に深く踏みつけようとしていなかったからだ。まるで海の向こうを眺める際に前にある石に脚をかけた脚は、ベートに重くのし掛かった。何も出来なかった。手足を拘束されている訳でも無いのに立ち上がるどころか、頭部を1ミリ動かす事も叶わない。仲間の前でひたすら立ち上がろうともがく醜態を晒した。酒で酔っていた等は言い訳にならない。それは自分のプライドが許さない。兎に角、自分は酒場という色んな人が集まる公衆の面前で、何処の馬の骨かも分からないチビになす術なくやられた。『ベートはチビに負けたレベル5(笑)』、そんなレッテルを貼られたのだ。
きっと、明日から街を歩けば噂されるだろう。こちらを横目に馬鹿にする様な笑み。勘違いした馬鹿が絡んでくるかも知れない。これから起こり得るであろうそんな予想にどうしようもない怒りが込み上げてくる。この屈辱は10倍にも100倍にもやり返さなければ腹の虫が治らない。我儘を言えば1対1を希望したいが、フィンがそれを良しとしなかった。多対1という状況では雪辱を完全に晴らす事は出来ない。ならせめて気が済むまで、相手が命乞いをして自らの行いを誠心誠意謝罪するまで、一方的に倒すだけだ。
「アイズ!寄越せ!」
「コクッ【
アイズはベートに自らの【
「それがヘスティアが言っていた付与魔法か。まぁ付与ってんなら他人に与える事も出来るわな。果たして俺の獄炎は他人に付呪出来るんかな」
「ごちゃごちゃとウルセェんだよ!」
ベートはあの時と同じ攻撃、ハイキックを繰り出す。アイズの【
「他人に力を借りてその程度か?救いようの無い雑魚だな」
「チッ!(アイズの【
「⁈」
ハイキックが受け止められる事は最早想定済み。いくら【
ベートは懐に隠し持っていた2本の剣を逆手で持ち、ヤミの首目掛けてギロチンの様に斬りつける。逆上しているベート、更に同じ方法で攻撃してきた事から、自分の方が上だと証明する為に同じ攻撃を繰り出したと決めつけたヤミは対処に遅れた。こんな瞬時の判断が必要な時に慣れていない闇で防御しようとすれば操作を誤る可能性がある。
「チッ、小癪な」
ヤミは仕方なくベートの剣を素手で止める。止めた手から僅かに血がベートの剣を伝い、地面へ垂れた。ヤミの皮膚が初めて傷を付き、そして血を流した瞬間である。これには『ザマァみろ』とヤミを見下す。この表情がヤミの癇に触った。
ベートの脚と剣を止めたまま、闇を巨大な腕へと変えダブルスレッジハンマーをベートに叩きつけようとする。しかし、それを見たベートがニヤける。それを見て不審がるヤミ。
「何笑ってやがる?」
「テメェ、素人だな?」
「何?」
「テメェは確かに能力は高え。身体スペックは俺の知る中でもトップクラスだ、悔しいがな。だがテメェの動きは簡単だ。フェイクが無い。普通すぎる。それこそ素人の様にな。それにな、テメェは俺への怒りで今どういう状況は忘れた様だな」
「!?」
「くらぇ!」
ヤミはその言葉で、自身の右後方から、ククリ刀による斬撃が飛んで来た事に気付く。ヤミは咄嗟に剣から手を離し、サイドステップで躱そうとする。しかし、気付くのに遅れた為、完全に躱す事は出来ずに脇腹を僅かに斬られてしまった。舌打ちをしながら大きくバックステップして距離を保つヤミ。彼の右下半身を血が流れ落ちる。ヤミは自分に傷をつけたベートとククリ刀で攻撃を仕掛けてきたティオネを睨みつける。
「チッ、もうちょっと深くいきたかったんだけどね」
「遅ぇんだよテメェは。折角俺がやりたくもねぇ囮をしてやったのに、このグズが」
「何ですってぇ!?アンタがもっと引きつけてれば良かったのよ!まともに引きつけ役をやってこなかったツケが今回ってきたのよ!この役立たず!」
「んだと?!このクソアマゾネス!!」
「君達は緊張感が無いのかな?」
ベートとティオネがお互い愚痴を零し、喧嘩へと発展する。いくら仲が悪い彼等でもダンジョン等の危険な時にこんな事態は起こらない。ヤミ相手だって最初はそれと同様に危険視していた。それなのにこんな事が起こった理由は1つ。難攻不落だと思われた鉄壁のだと思われていた要塞から実はどんでも無い大穴がある事を発見したからだ。
戦闘というのは経験が物を言うと言っても過言では無い。身体スペックは高くても経験の少ない相手ならいくらでも手はある。闇という便利な能力がありながら、簡単に血を流したのがいい例だ。歴戦の戦士ならばこんな簡単に血を流さない。更にこちらは大軍。しかも相手は烏合の衆ではなく、オラリオトップ派閥の【ロキ・ファミリア】。勝機は
別に傷を付けた事に調子に乗っている訳では無い。数手だご、攻防を重ねて得た事実だ。ハッキリ言っていくらスペックが高かろうとも、自分の能力を扱いきれず、経験不足の彼では【ロキ・ファミリア】の敵では無い。それが彼等の総意だった。
だが、そん意見に物申す者が1人。
「貴様ら、俺に血を流させた事がそんなに嬉しいか?」
「別に、ただ君が思った程脅威じゃ無い事に安心した感じかな」
「脅威じゃ無い、だと?!」
フィンの挑発とも取れる発言に青筋を浮かべる。
「安心しなよ。確かに君は凄いさ。レベル1でそれって事は、数年後には僕達でも敵わないかも知れない潜在能力を持ってるよ。いや、経験次第で1年もあればで君はオラリオ最強になれるかもね。でも、それは今じゃ無い。今の君では僕達を倒せない」
アイズはフィンの言葉に心の中で同意する。確かにヤミは強い。力がある。しかし、エルにあった戦闘センス、絶望を的状況を打破する発想力は感じない。
「黙れ!」
ヤミは彼の言葉を否定する。自慢の身体スペックを生かして高速で近づき、殴り、蹴りを繰り出す。並の冒険者なら、動体視力が追いつかず、反応も出来ずに1発KOだ。しかし、フィンは槍を使いながら攻撃を見事に躱し、防いだ。まともに防御する必要はない。最低限の動きで避け、受け流すのだ。そうする事で流れた彼の体に隙が生じる。カウンターを食らわす絶好の機会となるのだ。
「グハァッ!!」
人と格好は違うが、店と状況が真逆となった。地面に倒れたのはヤミ。仰向けで倒れる。その彼の胸を踏みつけ、顔の横の地面に槍を突き刺す。
「君程の人材を亡くすのは惜しい。もし反省し、僕等に協力するんだったら今日の事は不問としてあげよう。そうじゃないなら残念だけどそれ相応の処罰受けて貰う」
フィンは威圧をぶつけながら交渉を持ち出す。その力を自分の為に使えと。しかしヤミは、そんな威圧に屈しも誰かに許しを乞う事もしない男だった。
「誰が貴様如きに言葉に耳を貸すか。あの駄犬を殺すまで動き続ける。それが俺の存在理由だ」
「そうか………考えが変わらないなら仕方ない。僕は仲間を守る為なら鬼になろう」
「?!止めてフィン!!」
ザシュッ
アイズはフィンから感じた殺気から何をするのか予想出来た。ヤミを守る為にフィンを止めようと叫んだのだが、フィンは静止の言葉に耳を貸さずにヤミの心臓に槍を突き刺した。彼の冷徹な行動に一同は恐怖する。自分の目的の邪魔を、そして仲間を殺そうとしたとは言え、躊躇無く殺したのだ。だが、フィンを昔から知っている者はこの行動にやり過ぎとは思っても驚きはしない。【ロキ・ファミリア】を脅威に晒した者を許さない男だと再認識しただけだ。
そして、知らない者達がフィンに向けた感情は2種類に分かれる。1つは情景。自分達を守る為ならなんでもする。これこそまさに勇者だと、まるでアイドルを見たかの様にフィンに溺れていく。男女問わずに。
そしてもう1つは怒り。激しい怒り。この感情をフィンに向けるのはただ1人だ。
「フィン、どうして?」
アイズだった。
「………何がだい?」
「そのまんまの意味だよ。槍を刺したの心臓だよね?」
「そうだよ」
「なんで殺したの?生捕じゃ無かったの?」
アイズはヤミの、魔神族としての弱点を知っている訳では無い。だが、予想はつく。心臓だ。どの生物でも同じ事。それは魔神族だって同じ筈。ヤミは首を刎ねられようが平気と言った。にも関わらず、心臓を大ダメージを与えれば戦闘不能に出来ると。なら、心臓が弱点である事は間違いない。だが、フィンはその心臓を潰したのだ。つまり、ヤミを殺した。自分の身惚れたエルを奪ったのだ。
「彼の意思は堅い。もし生かしていたらベートを狙い続けるだろう。そんな事はさせられない。あれしか方法が無かったんだ」
フィンは事実を話したが真実は話さなかった。フィンがヤミを殺した真の目的は別にある。それはヤミが世界最強として君臨するのを恐れたのだ。彼が世界最強になれば皆の注目が彼に集まり、自分の活躍は霞む。そうなれば目的が果たせない。幸い今の彼は悪人。殺す理由もある。始末するには条件が整っていたのだ。
「そんな事、関係ない」
しかし、アイズには関係ない。フィンの理由等関係。
「なんだいアイズ?よく聞こえなかったな」
「そんな事、関係ない。………返して、返してぇ!!」
アイズは感情を爆発させフィンに刃を向ける。しかも、魔法を発動させながら。これには険しい表情を浮かべフィン。アイズがヤミに少なからず好意を持っている事には気付いていた。だが、彼女も仲間の命の為なら仕方ないと思うと願っていたのたが、ここまでとは予想外だった。このままでは不信感によりファミリアを脱退さらるかも知れないと頭をよぎるが、その前に彼女を拘束するのが先だ。その時、自分の後方から黒いの物体がアイズ目掛けて猛スピードで近づき、そのままの勢いで壁にとてつもない『ドゴッ!』という音を立てて突っ込み、煙が蔓延する。
「なんだ?!僕の後ろには彼しか…何だと?!」
フィンの後方には誰もいなかった。強いて言えばヤミの死体だけの筈、そう思って後ろを振り返ると、彼の死体が消えていた。
「心臓を潰したくらいで死ぬと思っていたのか?」
煙からゆっくり姿を表したのは死んだ筈のヤミだった。しかもティオネの傷や、さっき貫いた筈の心臓の傷が見事に塞がっている。フィンは恐怖を覚えた。目の前の男はなんなのだと。
「心臓を潰されて生きている人物が存在する訳無い」
「人じゃない、魔神族だ。それに駄犬、貴様は俺は素人だと言ったな」
「あ、ああ」
いくらベートでも心臓を潰されて生きている生物に恐怖を隠しきれない。
「確かに貴様の言う通り俺は素人だ。センスも才能もエルの物。闇の力なだけに過ぎない俺は遠く及ばない」
ヤミの言葉に混乱一同。フィン達は目の前の人物はエルアコスと認識している。しかし、目の前の人物は才能などはエル、つまりエルアコスの物だと言って。本人であり、本人でない状況に理解が追いつかない。そんな彼等を置き去りにしてヤミは会話を続ける。
「だがな、成長はするんだぜ。今この戦いでもな。貴様らがこの俺を殺さない限り、貴様らによってな!」
「さぁ、第二ラウンド開始だ!俺が貴様らとの戦いで経験を積み、貴様らを越えるのが先か、貴様らが俺を殺すのが先か!!」
ご愛読ありがとうございました。
まだ戦いは続きますよ。ヤミはまだ力頼みの戦闘で、幾度も死線を潜り抜けたロキファミリアからしたらまだまだでした。しかし、それは現時点です。戦いの最中に成長するなどよくある話です。
ヤミの体力が尽きるのが先か、フィン達を超えるのが先か、どちらになるでしょう!
まだ色々と続くので更新はゆっくりになりますが最低でも1週間に1話は投稿するつもりです。今後ともご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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