魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
未だに生存している私。てかね、やばいです。なんで豊饒の女主人でこんなに時間かけてんだろうって思っています。このペースだと最終回まで何話掛かる事やら。本当に大変ですね。
皆さんも応援よろしくお願いします。それが私のモチベーションです。
では本編どうぞ!
ヤミは先程のお返しと言わんばかりに性懲りも無くフィンへと走り出し、手前で跳躍。上空から攻撃を仕掛けた。その行動を見たフィンは、呆れて溜め息を吐いた。
(ここに来た時の翼を何故使わない?空中から攻撃を仕掛けるなら出すのが当然だろう。何故だ?その状態でどうやって僕の攻撃を防ぐつもりだ?何か意図があるのか、それともただの馬鹿か)
飛べなければ空中はただの的だ。足場が無ければ避ける事も出来ない。精々体を拗らせて受け流すだけだ。翼を出せば空中を自在に飛べ、こちらも対処しにくくなった筈だ。見た限りだと、ヤミが翼無しで飛べるとは思えない。そんな事も分からないのは、ただの愚か者だ。能力が勿体ない。いっその事、能力を奪えやしないかとさえ思う。自分の方が確実に使いこなせる自信があるからだ。
愚直に向かってくるなら先程と同じ様にカウンターで、変化を付けてくるならまずは防御に徹しようと考えた。そこでフィンはレフィーヤに援護射撃の用意をさせた。必要ないとは思うが、念のためだ。
「レフィーヤ!」
「は、はい!」
「援護を頼む!タイミングは任せた!」
「ええ?!」
「よそ見してる暇があるのか?」
フィンがレフィーヤに指示を出している隙にヤミはすぐそこまで迫っていた。だが、武器の持たない彼を脅威には感じていない。簡単に捌ける。そう思った。なんと両手を手刀の形にし、その延長に刃渡り80cmの剣を作り出したのだ。
「何?!」
「闇が防御にしか使えないとでも思ったのか?」
ヤミはそのまま剣を振り下ろす。嫌な予感がしたフィンは受けずに回避した。その為、剣は空を切る。闇は変幻自在な為、剣にも成れる事はよくよく考えれば自然な事だ。流石に武器持ちだとしたら対応を変えなければならない。そう思っていると自身の両頬が濡れているのを感じた。触れてみると僅かな痛みが走る。その水滴の正体は血だったのだ。
「フィンが避けられなかった?」
「団長の大切な顔に何晒したんじゃあ!」
フィンの顔を傷物にされて切れたティオネが突撃していく。
(馬鹿な?!僕完全に避けた筈だ。鋭過ぎて斬撃が飛んだとでも言うのか?
「ティオネ!その剣に近づくな!仕組みは分からないが当たらなくても斬られるぞ!」
フィンの忠告にティオネが耳を貸した一瞬の隙をヤミは見逃さなかった。一瞬で身体中を切り刻む。そして動けない様にアキレス腱を切っておく。これでティオネは再起不能だ。
「まずは1人」
この体を傷つけた3人の内、1人は倒した。次はお前だと言わんばかりにフィンを睨む。
フィンはこの戦いで初めてカウンターではなく自ら攻撃を仕掛けた。ヤミは闇を広げて全面を完全に防御した。しかし、庇い切れていない場所がある。それは背後だ。フィンは闇の背後に回り込む。
「そこだッ?!」
しかし、ヤミは完全にバレていた。なんとフィンが闇を破らずに背後の隙から攻撃してくるのを読んで最初から闇に背を向けていたのだ。そして視界に入ったフィンの首元を闇の剣を解除した右手でフィンの喉を力強く握りしめる。
「よく俺の心臓を潰してくれたな」
自分の胸を潰した右腕を斬り落とそうとした時、素早い魔法がヤミの左腕を襲った。その衝撃で喉を握る握力が弱まった一瞬の隙に逃げられてしまった。
「な……い…す………だ……………レフィーヤ」
レフィーヤはまだ若く対人戦の経験が無い。これも経験だ。魔物とは違い、意志を持って行動する者に対して、どの様に攻撃すれば効果的になるか。今は平和で恐らくいるであろう闇派閥の生き残りが大人しいが、その平和もいつ終わりを迎えるか分からない。その時、対人に慣れていないのは怖い。彼等は命を奪う事に躊躇などない。こちらの嫌がる事、こちらに不利益な事を平気で狙っている。そんな彼等が襲って来た時、一瞬の躊躇が生死を分ける。特訓では対人をしているが所詮は練習、実践の経験には程遠い。今こそが絶好の場面なのだ。
だが、レフィーヤはフィンの指示を聞いて驚愕する。団長の援護をするそんな責任重大な事を自分のタイミングでやれと言われたのだ。リヴェリアではなく、自分に。理由は分かっている。ターゲットを指定し、その者へ自動追尾する魔法が彼女にあるからだ。この魔法は自動追尾がある代わりに威力が低い(レフィーヤの魔力が高い為、魔法自体が弱くても彼女が使えば自然と高威力になる)。
彼女の体を震えが襲う。自分の判断次第でフィンの生死が決まるかも知れないと彼女は思っているからだ。タイミングを誤ればフィンの反撃の邪魔をしてしまう。それに臆したらタイミングを逃せば、逆にフィンが攻撃を食らってしまう。自分なんか下っ端がオラリオのトップファミリアの命を握っているのだ。そんな思考が頭をよぎり、恐ろしくて震えが止まらない。
「アイズさん!」
そんな時、
彼女達は低ランク冒険者で固められている。だから、【ロキ・ファミリア】が誇る前線の人と互角に戦う
それに比べて自分はどうだ?団長から信頼されてるからこその援護要請だと言うのに体が言う事を聞かない。原因はハッキリしている。
「止まって!止まってよ!」
自分に言い聞かせよう声に出したり、体を叩いても震えが止まらない。どうすれば良いか分からない。レフィーヤは団長の命を握り、尚且つあの化け物に歯向かわなければいけないプレッシャーと恐怖で押し潰されそうだった。フィンのプラスアルファとしてしか考えていなかった指示が、彼女をここまで動揺させるとは誰も思わなかっただろう。
「レフィーヤ?」
「大丈夫?」
レフィーヤの様子がおかしい事に周りが気付き始めた。しかし、声をかけても彼女の耳には届かない。それ程までにレフィーヤの精神は削られていた。もう限界、後少しで精神が耐えきれずに意識を落とす、そんな時である。後ろからポンっとレフィーヤの肩を優しく叩いた人物がいた。リヴェリアだ。2人は少し離れていた場所にいたのだが、レフィーヤの様子がおかしいと遠目から見て気付いた為、駆け寄ったくれたのだ。自分が恐怖のどん底にいる今、優しく微笑んでくれた彼女の顔をレフィーヤは後に聖母にも見えたと語る。
「レフィーヤ、落ち着け」
「リヴェリア……様…」
リヴェリアがレフィーヤの顔を覗き込んだ時、彼女の顔は今にも泣き崩れそうにしていた。確かに彼女は遠征でもよく怯えてはいたが、これ程怯えた表情は見た事が無い。
「リヴェリア様、私の力なんかでは到底無理です」
「何を言ってるんだレフィーヤ。これは【アルクス・レイ】を打てるお前にしか出来ない事なんだ。私では他の者を巻き込んでしまう」
「それは分かっています!でも……でも!」
相当弱っている。リヴェリアは何をそこまで怯えているか理解出来なかった。フィンの言う通り
リヴェリアはレフィーヤを落ち着かせる為に、両手で彼女の頰を強めに叩いた。レフィーヤは驚き、跳ね上がる。
「イタッ!」
「レフィーヤ、敵を自分の中で過大評価するのはよせ。敵を格下に見るのも良くないが、過大評価し過ぎるのも良くない。そんなでは本来の実力を発揮出来ないぞ」
「過大評価なんかしてません!リヴェリア様だって感じたはずです!彼の魔力を!」
「何?!」
リヴェリアが驚いたのはレフィーヤが魔力を感じっている事だ。何故驚いたのか、それはレフィーヤのやった事は一般には知られていない伝説の能力だからだ。
王族に伝わる文献にそれは記されている。『魔力について極めれば、一眼見ただけでその者の魔力を感知する事が出来る』と。詠唱もしていない者の魔力を感知するなど、エルフの王族であるリヴェリアさえ出来ない。それどころかか現代に誰も出来る者がいない。成功例はたった一つ、文献を記した初代女王だけだ。だが初代女王が生きていたのは何千年も前。まだ神が下界に降りる前だ。そんな古い文献な為、いくら執筆者が初代女王と言っても、大袈裟に脚色しただけで真実では無いだろうと言う意見が大多数だ。そんな話をわざわざ民に話したりなどしない。初代女王がホラ吹きなどと言える訳も無い。つまり、彼女は魔力を感知できるなど聞いたことがない筈なのだ。
「レフィーヤ、魔力を感じたと言っていたな」
「そうですが、リヴェリア様は違うのですか?あんなにも彼の体から溢れ出ている莫大な魔力を」
「………ああ」
リヴェリアは自分でも感知する事は可能のか、ヤミを見て自分も感じ取れるか試すが何も感じない。レフィーヤが嘘をついているとは思えない。つまり、彼女は自分よりも上位の存在と化していたのだ。
(今、ようやく理解した。何故レフィーヤを私の後釜に育てようとしたのかを。後釜探しの為に立ち寄ったウィーシェの森。そこで初めてお前に出会ったな。その時は『なんて鈍臭い子なのだろう』と思った。だが、そんなお前から目が離せなかった。特に理由は無かった。だが2回目、魔法の実技の授業でお前の魔法を見た時、その威力を見て『だから私は気になっていたのだな』と思ったよ。でもあれはお前の才能の一端を見たに過ぎなかったんだな。お前は私よりも、どのエルフよりも才能に溢れている)
「レフィーヤ」
「なん、ですか?」
「怖いか?」
「はい」
「そうか、確かに自分より強い者が自分に牙を向いたら怖いだろう。だが、我々の様に後方から魔法を放ち、前線の者をサポートする人物は『決して逃げ出してはいかない』」
「?!」
レフィーヤはリヴェリアの言葉にハッとする。
「いいか、魔道士な基本的卑怯者なんだ。魔道士は基本的に後方にいる。だから基本的に敵の物理攻撃は受けない。前線で戦っている者が応戦しているからだ。前線を突破されても魔道士を守る部隊は必ずと言っていい程存在する。つまり魔道士は安全な場所にいるのだ。そのくせに、いざと言う時は派手な魔法でいい所取りだ。な、卑怯だろ?そんな我々が前線で戦っている者より速く戦いを諦めるなんて絶対にあってはならない。それは前線で戦っている者に対しての最大限の裏切りだ」
「……はい」
言われて思い出した。こんな魔道士として当たり前な事を忘れるくらい自分は動揺していたのだ。レフィーヤは素直に自分を恥じた。自分は魔道士として失格だと。
「帰ったらまた心構えからやり直しだな。ま、その為にはこの戦いを速く片付けてからだな」
「ハイッ!」
「それでは私は持ち場に戻る。期待してるぞ」
そう言ってリヴェリアは戻っていった。レフィーヤは潤んでいた目を拭き、ヤミへ向き直る。完全に強さがなくなった訳では無い。自分が勝てるとも思っていない。それでも自分の出来る事を精一杯やろうと誓ったのだ。レフィーヤは詠唱を開始し、フィンがヤミの攻撃を食らいそうな所で魔法を放つ。自動追尾のレフィーヤの魔法は、フィンを斬ろうとした左腕に命中した。その衝撃でヤミのフィンを束縛していた闇の握力が弱まり、脱出する事に成功する。ヤミは邪魔された事に苛立ちを覚え、魔法を放ったレフィーヤを睨みつける。怖かったが逃げないと誓った彼女はしっかり睨み返す。
(私だって【ロキ・ファミリア】なんだから!)
ご愛読ありがとうございました。
やばい、長いぞ。皆さん飽きたりしてないかな?さっさと怪物祭行けって思ってないか心配な作者。
まだこれ原作1巻の半分程度だよな。もうすぐ30話になるぞ。
そしてレフィーヤが魔力を感知する事が出来る様になりましたね。ダンまちって普段は魔力を感じとるってなかった、よね?確か無いと思うんだけど、もし間違ってたらコメントで教えてくれると嬉しいです。まぁ原作であったとしてもオリジナル設定にしますがね。
では次回もお楽しみに!またね!
ps.フライヤファミリアの戦闘シーンはほぼほぼカット、って言うか書かないと思いますけどご了承下さい。彼等との戦闘ほもっと後にくるんで
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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